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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】穿孔深さゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/22 20060101AFI20220725BHJP
   A61B 17/82 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G01B11/22 H
A61B17/82
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020506720
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 IB2018055825
(87)【国際公開番号】W WO2019030624
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】62/541,832
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エル・ゾービ・ゲイザー
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-525844(JP,A)
【文献】特表2012-517870(JP,A)
【文献】特開平02-249909(JP,A)
【文献】特開平05-203465(JP,A)
【文献】特表2018-526124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0241628(US,A1)
【文献】国際公開第2016/049467(WO,A1)
【文献】特表2009-521671(JP,A)
【文献】特開2001-221659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0075558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
A61B 17/00-17/94
G01D 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深さゲージ装置であって、
中心長手方向軸に延在し、かつチャネル及び光通過孔を含む、本体であって、前記光通過孔が、前記チャネルに対して開いている、本体と、
第1の光ビームを生成するために前記本体内に装着された光源であって、前記第1の光ビームが、前記チャネルを通って延在するドリルビットの表面に向かって前記光通過孔を通過し、前記第1の光ビームが、前記ドリルビット表面から離れて反射されたとき、入射光ビームを形成する、光源と、
前記チャネルを通って移動する前記ドリルビットの位置の変動を検出するように、前記入射光ビームを感知し、かつ前記ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成するために前記本体内に装着された画像センサと、
前記本体に結合されたクランプであって、前記装置を保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、クランプと、を備える、深さゲージ装置。
【請求項2】
前記クランプが、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、前記調節機構を第1の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸に向かって移動させ、前記調節機構を第2の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸から離れて移動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像センサに結合された処理ユニットを更に備え、前記処理ユニットは、前記複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する距離を計算する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光源が、赤外線レーザ源である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記光通過孔が、前記光源からの前記第1の光ビーム及び前記ドリルビット表面から反射された前記入射光ビームの通過のためにサイズ決定及び成形されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記処理ユニットに結合された表示画面を更に備え、前記表示画面は、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する前記距離を表示する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記処理ユニットが、ブルートゥース機能を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記保護スリーブにクランプされるとき、前記チャネルが、前記保護スリーブを通って延在するチャネルと位置合わせされている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
孔の深さを測定するためのシステムであって、
内部を通って延在する深さゲージチャネルを有する深さゲージであって、前記深さゲージチャネル内の標的ドリルビット表面に向かってレーザ光ビームを放射するために前記深さゲージ内部に配設されたレーザ源と、前記ドリルビット表面から反射された入射レーザビームを感知するための光センサと、を含む、深さゲージと、
前記深さゲージに結合された保護スリーブであって、前記保護スリーブが前記深さゲージに結合されたときに、前記深さゲージチャネルと位置合わせされる保護スリーブチャネルを含む、保護スリーブと、
前記深さゲージチャネル及び前記保護スリーブチャネル内に延在して、骨の標的部分を穿孔するように構成されたドリルビットと、を備え、
前記画像センサが、前記ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成して、前記ドリルビットの位置の変動を検出する、システム。
【請求項10】
前記深さゲージが、クランプ部分を更に備え、前記クランプ部分が、前記深さゲージを前記保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記深さゲージが、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、前記調節機構を第1の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記深さゲージの中心長手方向軸に向かって移動させ、前記調節機構を第2の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸から離れて移動させる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像センサに結合された処理ユニットを更に備え、前記処理ユニットは、前記複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、前記ドリルビットが前記深さゲージチャネルを通って移動する距離を計算する、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記深さゲージが、前記処理ユニットに結合された表示画面を更に備え、前記表示画面は、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する前記距離を表示する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
孔の深さを測定するための方法であって、
深さゲージを保護スリーブ上に位置決めすることであって、前記深さゲージが、
中心長手方向軸に延在し、かつチャネル及び光通過孔を含む、本体であって、前記光通過孔が、前記チャネルに対して開いている、本体と、
前記本体内に装着された光源と、
前記本体内に装着された画像センサと、
前記本体に結合されたクランプであって、前記装置を保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、クランプと、を備える、位置決めすることと、
前記チャネル及び前記保護スリーブを通してドリルビットを挿入することと、
前記チャネルを通って延在する前記ドリルビットの表面に向かって、前記光通過孔を通って、前記光源によって生成された第1の光ビームを通過させることであって、前記第1の光ビームが、前記ドリルビット表面から反射されたとき、入射光ビームを形成する、通過させることと、
前記画像センサを介して、前記ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成して、前記チャネルを通って移動する前記ドリルビットの位置の変動を検出することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記深さゲージが、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、前記調節機構を第1の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸に向かって移動させ、前記調節機構を第2の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸から離れて移動させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記画像センサに結合された処理ユニットを介して、前記複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する距離を計算することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記光源が、赤外線レーザ源である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記処理ユニットに結合された表示画面上に、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する距離を表示することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記処理ユニットを介して、線加速度における相対的変化を追跡して、前記ドリルビットが前記標的骨の第2の皮質を出たときを識別することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ドリルビットが前記第2の皮質を出るとき、前記ユーザに指示信号を提供することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年8月7日に出願された、米国仮特許出願第62/541,832号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
骨内に穿孔された孔の深さを正確に評価して、例えば、骨ねじの必要な長さを判定することが多くの場合必要とされる。外傷インプラントは、今日、穿孔された孔内に嵌合するのに必要なねじの長さを判定するために、複数の測定装置を使用する。これらの測定装置は、インプラント及び解剖学的領域に依存して変化し、異なるドリルビットに嵌合するために複数の異なる測定装置を必要とする。更に、相対距離を感知又は判定するための機械的、電気機械的、及び/又は電気/電子技術を用いる現在の測定装置の多くは、不正確な場合があり、その結果、誤った長さのねじが選択される。過度に長いねじを使用することは、軟組織の炎症のリスクを増加させ、一方で過度に短いねじを使用することは、一次安定性を失う危険性があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、様々なドリルビットと適合性があり、迅速かつ正確な測定を提供する、新規の深さ測定器具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、深さゲージ装置であって、中心長手方向軸に延在し、かつチャネル及び光通過孔を含む、本体であって、光通過孔がチャネルに対して開いている、本体と、第1の光ビームを生成するために本体内に装着された光源であって、第1の光ビームが、チャネルを通って延在するドリルビットの表面に向かって光通過孔を通過し、第1の光ビームが、ドリルビット表面から離れて反射されたとき、入射光ビームを形成する、光源と、チャネルを通って移動するドリルビットの位置の変動を検出するために、入射光ビームを感知し、かつドリルビット表面の複数の連続する画像を生成するために本体内に装着された画像センサと、本体に結合されたクランプであって、装置を保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、クランプと、を備える、深さゲージ装置に関する。一実施形態では、クランプは、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、調節機構を第1の方向に回転させることが、複数のアームを中心長手方向軸に向かって移動させ、調節機構を第2の方向に回転させることが、複数のアームを中心長手方向軸から離れて移動させる。別の実施形態では、装置は、画像センサに結合された処理ユニットを含み、処理ユニットは、複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、チャネルを通ってドリルビットが移動する距離を計算する。一実施形態では、光源は、赤外線レーザ源である。更なる実施形態では、光通過孔は、光源からの第1の光ビーム及びドリルビット表面から反射された入射光ビームの通過のためにサイズ決定及び成形されている。別の実施形態では、装置は、処理ユニットに結合された表示画面を更に備え、表示画面は、チャネルを通ってドリルビットが移動する距離を表示する。更なる実施形態では、処理ユニットは、ブルートゥース機能を含む。別の実施形態では、装置は、保護スリーブにクランプされ、チャネルは、保護スリーブを通って延在するチャネルと位置合わせされる。
【0005】
本開示はまた、システムであって、内部を通って延在する深さゲージチャネルを有する深さゲージであって、深さゲージチャネル内の標的ドリルビット表面に向かってレーザ光ビームを放射するために深さゲージ内部に配設されたレーザ源と、ドリルビット表面から反射された入射レーザビームを感知するための光センサと、を含む、深さゲージと、深さゲージに結合された保護スリーブであって、保護スリーブが深さゲージに結合されたとき、深さゲージチャネルと位置合わせされる保護スリーブチャネルを含む、保護スリーブと、深さゲージチャネル及び保護スリーブチャネル内に延在して骨の標的部分を穿孔するように構成されたドリルビットと、を備え、画像センサが、ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成して、ドリルビットの位置の変動を検出する、孔の深さを測定するためのシステムに関する。一実施形態では、深さゲージは、クランプ部分を更に備え、クランプ部分は、深さゲージを保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む。別の実施形態では、深さゲージは、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、調節機構を第1の方向に回転させることが、複数のアームを深さゲージの中心長手方向軸に向かって移動させ、調節機構を第2の方向に回転させることが、複数のアームを中心長手方向軸から離れて移動させる。別の実施形態では、システムは、画像センサに結合された処理ユニットを更に備え、処理ユニットは、複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、ドリルビットが深さゲージチャネルを通って移動する距離を計算する。更なる実施形態では、深さゲージは、処理ユニットに結合された表示画面を更に備え、表示画面は、ドリルビットがチャネルを通って移動する距離を表示する。
【0006】
本開示はまた、深さゲージを保護スリーブ上に位置決めすることであって、深さゲージが、中心長手方向軸を延在し、チャネル及び光通過孔を含む本体であって、光通過孔がチャネルに対して開いている、本体と、本体内に装着された光源と、本体内に装着された画像センサと、本体に結合されたクランプであって、装置を保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、クランプと、を備える、位置決めすることと、チャネル及び保護スリーブを通してドリルビットを挿入することと、光通過孔を通って光源によって生成された第1の光ビームを、チャネルを通って延在するドリルビットの表面に向かって通過させることであって、第1の光ビームが、ドリルビット表面から反射されたとき、入射光ビームを形成する、通過させることと、画像センサを介して、ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成して、チャネルを通って移動するドリルビットの位置の変動を検出することと、を含む、孔の深さを測定するための方法に関する。一実施形態では、深さゲージは、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、調節機構を第1の方向に回転させることが、複数のアームを中心長手方向軸に向かって移動させ、調節機構を第2の方向に回転させることが、複数のアームを中心長手方向軸から離れて移動させる。別の実施形態では、本方法は、画像センサに結合された処理ユニットを介して、複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、ドリルビットがチャネルを通って移動する距離を計算することを更に含む。一実施形態では、光源は、赤外線レーザ源である。更なる実施形態では、本方法は、処理ユニットに結合された表示画面上に、ドリルビットがチャネルを通って移動する距離を表示することを含む。別の実施形態では、本方法は、処理ユニットを介して、線加速度における相対的変化を追跡して、ドリルビットが標的骨の第2の皮質を出たときを識別することを含む。更なる実施形態では、本方法は、ドリルビットが第2の皮質を出るとき、ユーザに指示信号を提供することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の例示的な実施形態による深さゲージシステムの側面図を示す。
図2】例示的な実施形態による、図1のシステムの深さゲージの側面図を示す。
図3図1のシステムの深さゲージの斜視図を示す。
図4図1のシステムの断面図を示す。
図5】例示的な実施形態による、図1のシステムの光源によって放射される赤外線光ビームの経路を示す。
図6】例示的な実施形態による、図1のシステムの画像センサによって捕捉された2つの例示的なフレームを示す。
図7】長骨を通過する図1のシステムの穿孔の加速度パターンのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、以下の説明及び添付の図面を参照して理解することができ、類似の構成要素は同じ参照番号で言及される。本開示は、赤外線レーザダイオードを使用して骨ねじの必要な長さを測定するための方法及び装置に関する。例示的な実施形態では、測定装置は、穿孔スリーブ又は軟組織保護スリーブ上に装置を装着するための調節可能な自在クランプインターフェースを含む。当業者であれば、本発明の原理が、外科手術中に患者に必要とされ得る任意の距離測定に適用されることを理解するであろう。本明細書で使用されるとき、「近位」及び「遠位」という用語は、装置のユーザに向かう(近位)方向及びユーザから遠ざかる(遠位)方向を指すように意図することに留意されたい。
【0009】
図1は、患者の身体内の骨104を通してドリルビットの線形移動(深さ)を測定するための、外科手術中に保護スリーブ102上に位置決めされた深さゲージ装置100を含む、例示的な深さ測定システム10を示す。例えば、動作中、装置100は、深さゲージ装置100及び保護スリーブ102を通って延在するドリルビット106の移動を測定するために使用されてもよい。図2図4に示されるように、深さゲージ装置100は、深さゲージ本体108と、クランプ調節機構112及び赤外線(infrared、IR)レーザ画像化システム114を有する調節可能なクランプ110と、を含む。本体108は、近位端116から遠位端118まで延在しており、内部を通って延在するチャネル120を含む。この実施形態では、チャネル120は、実質的に円筒形の形状であり、内部を通るドリルビット106の挿入のために適合される。しかしながら、チャネル120は、ドリルビット106の挿入のために好適な任意の形状であってもよいことが理解されるであろう。本体108は、この実施形態では、IRレーザ画像化システム114を装着するためにチャネル120に対して開いている装着部分122を含む。装着部分122は、例えば、本体108内の中空空間であってもよい。別の実施形態では、チャネル120は、チャネル120の壁内の横方向切り取り部(図示せず)を本体108に含んでもよく、そのためIR画像化システム114は、チャネル120に突出することなく、又はドリルビット106と接触することなく、切り取り部内に装着されてもよい。本実施形態では、装着部分122は、チャネル120壁の光通過孔124を介してチャネル120に対して開いている。光通過孔124は、装着部分122内の光源142からの第1の光ビーム148と、ドリルビット106の表面150から反射された第2の入射光ビーム154とを、(以下で更に詳細に考察されるように)画像センサ144に通過させるためにサイズ決定及び成形される。光透過孔124は、第2の入射光ビーム154以外の任意の外側光を検出することから、光源142を保護する。
【0010】
例示的な実施形態では、深さゲージ本体108は、遠位端118に結合された調節機構112を含む、調節可能な自在クランプ110を含む。クランプ110は、図3図4に見られ得るように、本体108に結合された近位端130から、装置100を保護スリーブ102にクランプするように適合された自由遠位端132まで延在する複数のアーム128を含んでもよい。クランプアーム128の近位端130は、本体108の遠位端の周囲に分布して、装置100と保護スリーブ102との間に安定した係合を提供する。一実施形態では、アーム128の遠位端132は、保護スリーブ102のヘッド136をフックするためのフック機構134を含む。しかしながら、遠位端132は、装置100と保護スリーブ102との間に安定したクランプ接続を提供する任意の方法で成形されてもよいことが理解されるであろう。アーム128は、クランプ調節機構112の回転を介して保護スリーブ102の周囲に締め付けられ得る。クランプ調節機構112は、その調節のためにアーム128に結合された回転部材138を備える。例えば、この実施形態では、回転部材138の第1の方向への回転は、アーム120を装置100の中心長手方向軸線Lに向かって内側に移動させ、一方で回転部材138の第2の反対方向への回転は、アーム128を長手方向軸から離れて外向きに移動させる。このため、クランプ110は、それが結合されている保護スリーブ102のサイズに調節され得る。この実施形態では、クランプ調節機構112は、本体108の外周の周囲に配設される。しかしながら、調節機構112の回転が、説明されるようにアーム128の移動を容易にする限り、調節機構112は、本体108のどこに位置決めされてもよいことが理解されるであろう。図3に示されるように、調節機構112は、調節機構112が指定されたマーキング140と位置合わせされるとき、クランプ110がその周囲に嵌合することになる保護スリーブ直径を示すマーキング140を含んでもよい。示されるように、この実施形態では、本体102は、0.5間隔で番号付けされたマーキング140(使用されるべきドリルビットのサイズを示す)を含むが、様々なサイズを示す任意の間隔での任意のタイプのマーキングで十分である。
【0011】
図4図5に示されるようなIRレーザ画像化システム114は、本体108の装着部分122内に装着される。画像化システム114は、装置100とドリルビット106との間の相対位置を判定するためにデジタル画像相関を使用し、これは、装置100に対する2次元平面における任意の方向で(矢印164、166によって表されるような)運動であり得る。画像化システム114は、光源142、画像センサ144、及び処理ユニット146を含み、これらの全ては、この実施形態では、本体108の内側に装着されている。例示的な実施形態では、光源142は、画像センサ144によって撮影された画像の解像度を増加させるために赤外線(IR)レーザビーム148を提供し、このため、穿孔された孔の深さをより正確に測定する。本実施形態では、IRレーザビーム148は、光源142から、光通過孔124を通って、ドリルビット106の表面150に線形に方向付けられ、表面画像152は、次いで、ドリルビット表面150から反射された入射光154から生成される。しかしながら、IR画像化システム114は、ドリルビット表面150によって反射された入射光が表面画像を生成する限り、ドリルビット表面150への、又はドリルビット表面150からの指定された経路に沿って、IRレーザビーム148を反射し、方向付けるための1つ以上のインターフェース(図示せず)を含んでもよいことが当業者によって理解されるであろう。この実施形態では、IRレーザビーム148は、例えば、光源142から約45度の入射角で進行する。しかしながら、任意の入射角が、IRレーザビーム148をドリルビット表面150に方向付けるために使用され得る。光源142は、赤外線レーザダイオードなどの任意の赤外線レーザであってもよく、赤外線光ビームを放射する。
【0012】
画像センサ144はまた、装着部分122内に装着され、かつドリルビット表面150から反射された入射レーザビーム154を感知し、検出された画像152を生成するための、ドリルビット表面150に面する画像感知セル(図示せず)を含む。当業者には理解されるように、既存のセンサは、1インチ当たり最大12,000ドット(dots per inch、dpi)の解像度を有する、1秒当たり12,000フレーム数(frames per second、fps)を超えて取ることが可能であり、最大40Gの加速度、及び1秒当たり最大7メートル(meters per second、m/s)の速度を感知することができる。本実施形態では、画像センサは、1秒当たり最大12000以上の連続するフレームを捕捉する。画像センサ144は、ドリルビット106の材料内に自然発生したテクスチャを画像化し、そのためドリルビット106上にグラデーション又はマーキングが必要でない。
【0013】
処理ユニット146は、画像センサ144に結合されて、画像センサ144によって生成された検出画像152から電気信号を生成する。具体的には、この実施形態では、画像センサ144は、ドリルビット表面150の連続する画像を撮影する。光源142によるかすめ角で照らされたとき、表面150は、丘陵地帯に似た明確な影を投じる。これらの表面特徴の画像152は、連続する画像間の差によって表されるドリルビットの移動量を判定するために、連続して捕捉され、かつ互いに比較される。処理ユニット146は、相互相関を使用してこれらの画像152を処理して、x方向及びy方向の両方における連続する画像間のオフセットを計算する。例えば、処理ユニット146は、ドリルビット軸方向並進並びに回転運動を検出してもよい。図6で表されるように、連続する記憶された画像152a、152bを比較することによって、相対運動が判定され得、そのため画像152a、152b内のパターンの相関計算が、連続する画像間の差によって表される移動の距離及び方向を判定するために使用され得る。例えば、第1の捕捉された画像は、事前に捕捉された画像と部分的にオーバーラップし、そのためドリルビットの単一部分は、両方の画像内で表される。このため、処理ユニット146のソフトウェアアルゴリズムは、例えば、各画像152内の特定の識別可能な点を見て、次いで、かかる識別可能な点の移動に注目することによって、相対移動の距離及び方向を計算することができる。どれほど速くドリルビット106が移動しているかに応じて、各画像152a、152bは、ピクセルの画分又は数ピクセルの数だけ前の画像からオフセットされてもよい。連続する対の画像を記憶することにより、「オーバーラップ」するこれらの特徴が識別され得、x方向及びy方向の両方における並進の方向並びに大きさが得られる。本実施形態では、ドリルビット106の検出された回転運動は破棄され、線形の上下の並進(y方向)のみが、処理ユニット146によって記録される。しかしながら、別の実施形態では、ドリルビット106の回転運動(x方向)はまた、情報目的のために記憶されてもよい。一実施形態では、処理ユニット146は、記録された線形移動(深さ)を表示するために、装置100上に位置する表示画面156に結合されてもよい。例示的な実施形態では、処理ユニット146は、Wi-Fi又はブルートゥースなどのネットワーク通信機能を含み、これを通して装置100は、例えば、(例えば、第2の皮質を通過するときに動力工具をオフにトリガするために)コンピュータ装置又は動力駆動穿孔ツールに接続され得る。
【0014】
一実施形態では、装置ソフトウェアは、ドリルビットの加速又は減速パターンを認識して、骨のどの部分をドリルビット106が通過しているかを示してもよい。例えば、図7に見られ得るように、典型的な長骨10(すなわち、大腿骨又は脛骨)は、硬質外層、皮質骨160a、160b(ゾーン1及び3)、及び海綿様骨162のより柔らかい内側コア(ゾーン2)を含む。海綿様コア162に入るドリルビットは、図7のグラフで示されるように、より硬い第1皮質160a内の速度から加速することになる。対照的に、ドリルビット106は、海綿様コア162から骨の第2の皮質160bに入るときに減速することになる。この実施形態による装置ソフトウェアは、線加速度においてこれらの変化を検出かつ追跡して、ドリルビット106が骨の1つの部分から別の部分に通過しているとき(例えば、海綿様コア162を出て第2の皮質(ゾーン2)160b(ゾーン3)に入るとき)を認識し、ユーザに示す。インジケータは、音声又は視覚のいずれであってもよい。例えば、一実施形態では、装置100は、ドリルビット106が第2の皮質106bを出るとき、可聴のビープ音又はピッという音を提供してもよい。別の実施形態では、装置100は、ドリルビット106が第2の皮質106bを出るとき、視認可能な点滅光を提供してもよい。この指示信号は、第2の皮質106bを通過する不必要な穿孔を防止することができ、このため、周囲の組織への不必要な外傷を防止することができる。
【0015】
使用中、深さゲージ装置100は、保護スリーブ102の近位端に取り付けられる。クランプアーム128は、調節機構112の回転によって保護スリーブヘッド136の直径に対してサイズ決定される。装置100が保護スリーブ102に取り付けられるとき、装置100及び保護スリーブ102の両方は、互いに、かつ標的骨104に対して静止して保持される。次いで、ドリルビット106は、中心チャネル120及び保護スリーブ102のチャネルを通って挿入されてもよい。穿孔が開始すると、光源142は、光通過孔124を通って、及びドリルビット表面150上にIRレーザビーム148を投影する。ドリルビット表面150から画像センサ144に反射された入射光ビーム154は、連続する画像フレーム152内に捕捉され、これは深さゲージ装置100に対するドリルビット106の線形移動を計算するために処理ユニット146によって処理される。線形移動は、表示画面156上でユーザに表示されてもよく、又は別様にユーザに通信され得る。一実施形態では、線形移動は、リアルタイムで更新される。別の実施形態では、線形移動は、穿孔が完了した後に提供される。
【0016】
当業者は、その発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。更に、実施形態のうちの1つに関連する構造的特徴部及び方法は、他の実施形態に組み込まれ得ることを理解されたい。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、むしろ付属の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内で修正も包含されるものと理解される。
【0017】
〔実施の態様〕
(1) 深さゲージ装置であって、
中心長手方向軸に延在し、かつチャネル及び光通過孔を含む、本体であって、前記光通過孔が、前記チャネルに対して開いている、本体と、
第1の光ビームを生成するために前記本体内に装着された光源であって、前記第1の光ビームが、前記チャネルを通って延在するドリルビットの表面に向かって前記光通過孔を通過し、前記第1の光ビームが、前記ドリルビット表面から離れて反射されたとき、入射光ビームを形成する、光源と、
前記チャネルを通って移動する前記ドリルビットの位置の変動を検出するように、前記入射光ビームを感知し、かつ前記ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成するために前記本体内に装着された画像センサと、
前記本体に結合されたクランプであって、前記装置を保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、クランプと、を備える、深さゲージ装置。
(2) 前記クランプが、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、前記調節機構を第1の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸に向かって移動させ、前記調節機構を第2の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸から離れて移動させる、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記画像センサに結合された処理ユニットを更に備え、前記処理ユニットは、前記複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する距離を計算する、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記光源が、赤外線レーザ源である、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記光通過孔が、前記光源からの前記第1の光ビーム及び前記ドリルビット表面から反射された前記入射光ビームの通過のためにサイズ決定及び成形されている、実施態様1に記載の装置。
【0018】
(6) 前記処理ユニットに結合された表示画面を更に備え、前記表示画面は、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する前記距離を表示する、実施態様3に記載の装置。
(7) 前記処理ユニットが、ブルートゥース機能を含む、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記装置が、前記保護スリーブにクランプされるとき、前記チャネルが、前記保護スリーブを通って延在するチャネルと位置合わせされている、実施態様1に記載の装置。
(9) 孔の深さを測定するためのシステムであって、
内部を通って延在する深さゲージチャネルを有する深さゲージであって、前記深さゲージチャネル内の標的ドリルビット表面に向かってレーザ光ビームを放射するために前記深さゲージ内部に配設されたレーザ源と、前記ドリルビット表面から反射された入射レーザビームを感知するための光センサと、を含む、深さゲージと、
前記深さゲージに結合された保護スリーブであって、前記保護スリーブが前記深さゲージに結合されたときに、前記深さゲージチャネルと位置合わせされる保護スリーブチャネルを含む、保護スリーブと、
前記深さゲージチャネル及び前記保護スリーブチャネル内に延在して、骨の標的部分を穿孔するように構成されたドリルビットと、を備え、
前記画像センサが、前記ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成して、前記ドリルビットの位置の変動を検出する、システム。
(10) 前記深さゲージが、クランプ部分を更に備え、前記クランプ部分が、前記深さゲージを前記保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、実施態様9に記載のシステム。
【0019】
(11) 前記深さゲージが、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、前記調節機構を第1の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記深さゲージの中心長手方向軸に向かって移動させ、前記調節機構を第2の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸から離れて移動させる、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記画像センサに結合された処理ユニットを更に備え、前記処理ユニットは、前記複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、前記ドリルビットが前記深さゲージチャネルを通って移動する距離を計算する、実施態様9に記載のシステム。
(13) 前記深さゲージが、前記処理ユニットに結合された表示画面を更に備え、前記表示画面は、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する前記距離を表示する、実施態様12に記載のシステム。
(14) 孔の深さを測定するための方法であって、
深さゲージを保護スリーブ上に位置決めすることであって、前記深さゲージが、
中心長手方向軸に延在し、かつチャネル及び光通過孔を含む、本体であって、前記光通過孔が、前記チャネルに対して開いている、本体と、
前記本体内に装着された光源と、
前記本体内に装着された画像センサと、
前記本体に結合されたクランプであって、前記装置を保護スリーブにクランプするように構成された複数の調節可能なアームを含む、クランプと、を備える、位置決めすることと、
前記チャネル及び前記保護スリーブを通してドリルビットを挿入することと、
前記チャネルを通って延在する前記ドリルビットの表面に向かって、前記光通過孔を通って、前記光源によって生成された第1の光ビームを通過させることであって、前記第1の光ビームが、前記ドリルビット表面から反射されたとき、入射光ビームを形成する、通過させることと、
前記画像センサを介して、前記ドリルビット表面の複数の連続する画像を生成して、前記チャネルを通って移動する前記ドリルビットの位置の変動を検出することと、を含む、方法。
(15) 前記深さゲージが、回転可能なクランプ調節機構を更に備え、前記調節機構を第1の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸に向かって移動させ、前記調節機構を第2の方向に回転させることが、前記複数のアームを前記中心長手方向軸から離れて移動させる、実施態様14に記載の方法。
【0020】
(16) 前記画像センサに結合された処理ユニットを介して、前記複数の連続する画像内の識別可能な点の移動を比較して、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する距離を計算することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記光源が、赤外線レーザ源である、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記処理ユニットに結合された表示画面上に、前記ドリルビットが前記チャネルを通って移動する距離を表示することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記処理ユニットを介して、線加速度における相対的変化を追跡して、前記ドリルビットが前記標的骨の第2の皮質を出たときを識別することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記ドリルビットが前記第2の皮質を出るとき、前記ユーザに指示信号を提供することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7