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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】細胞検査装置及び細胞検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20220725BHJP
   G01N 1/30 20060101ALI20220725BHJP
   G01N 1/40 20060101ALI20220725BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20220725BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20220725BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G01N1/28 F
G01N1/28 J
G01N1/30
G01N1/40
G01N33/48 M
G01N33/48 S
G01N33/483 C
C12Q1/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020528601
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2018025360
(87)【国際公開番号】W WO2020008563
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】西川 和孝
(72)【発明者】
【氏名】船崎 純
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-213789(JP,A)
【文献】特開2001-066516(JP,A)
【文献】特開2009-011319(JP,A)
【文献】特表2014-524020(JP,A)
【文献】特開2017-055758(JP,A)
【文献】特開2009-282198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と観察部とを用いて、細胞浮遊液に含まれる細胞を検査する細胞検査方法であって、
貫通孔を有する外筒とスライドとで形成されるチャンバ内に、前記細胞浮遊液を注入して細胞濃縮液を作製する濃縮液作製工程と、
前記スライド上で前記細胞を染色する染色工程と、
前記スライド上に前記細胞を沈降させる細胞沈降工程と、
前記光源で照明しながら前記観察部により前記スライド上の前記細胞を観察する観察工程と、
を備え、
前記濃縮液作製工程において、底面にフィルタが設けられ内部空間を有する内筒を前記底面側から前記外筒の前記貫通孔内に進入させ、前記内筒を前記スライドに近づけることによって、前記細胞濃縮液を作製し、
前記観察工程は、前記内筒を前記外筒に進入させた状態で観察を行う
細胞検査方法。
【請求項2】
前記染色工程は、前記内筒と前記外筒の前記貫通孔とによって囲われた空間に染色液を注入することによって、前記細胞濃縮液中の前記細胞を染色する
請求項1に記載の細胞検査方法。
【請求項3】
前記内筒の前記内部空間内の染色液を吸引する吸引工程をさらに備える
請求項2に記載の細胞検査方法。
【請求項4】
前記観察工程において、
前記内筒の前記フィルタを前記スライドと間隔をあけて配置する
請求項1に記載の細胞検査方法。
【請求項5】
前記観察工程において、
前記内筒の前記フィルタを前記スライドに接触させる
請求項1に記載の細胞検査方法。
【請求項6】
前記濃縮液作製工程および前記染色工程のうち少なくとも一方において、前記内筒を前記外筒の長手方向に進退させる
請求項4または請求項5に記載の細胞検査方法。
【請求項7】
細胞浮遊液に含まれる細胞を検査する細胞検査装置であって、
貫通孔を有し、スライド上に配置され、前記貫通孔と前記スライドとによりチャンバが形成される外筒と、
底面にフィルタが設けられ、内部空間を有し、前記外筒の前記貫通孔内に挿通可能である内筒と、
前記細胞の濃縮が実行された状態の前記チャンバ内に染色液を注入する染色液注入部と、
前記スライドに対して前記外筒と反対側に設けられた観察部と、
を備え、
前記チャンバ内に前記細胞浮遊液を収容した状態であって、前記内筒が、前記底面側から前記外筒の前記貫通孔に進入されて前記スライドに接近した状態のとき、前記細胞の濃縮が実行され、
前記細胞が、前記染色液により染色され、かつ前記スライドに沈降した状態において、前記内筒が、前記外筒に進入したままの状態のとき、前記観察部による前記細胞の観察が実行可能な状態となる
細胞検査装置。
【請求項8】
細胞浮遊液に含まれる細胞を検査する細胞検査装置であって、
ベースプレートと、
貫通孔が形成され、スライド上に配置される外筒と、
底面にフィルタが設けられ、内部空間を有し、前記外筒の前記貫通孔内に挿通可能である内筒と、
光源と、
前記スライドに対して前記外筒と反対側に設けられた観察部と、
を備え、
前記スライドと前記外筒の前記貫通孔とにより細胞浮遊液を注入するためのチャンバが形成され、
前記ベースプレートは、観察穴が形成され、前記スライドを載置する窪みを有し、
前記内筒の前記フィルタは、光透過性の材料からなり、前記光源は、前記チャンバ内の細胞を、前記内筒を前記外筒に進入させた状態で照明する
細胞検査装置。
【請求項9】
前記外筒の側壁には、前記外筒の前記貫通孔と外部とを連通する連通孔が設けられている請求項7または請求項8に記載の細胞検査装置。
【請求項10】
前記観察穴には、前記観察部が挿通可能である
請求項8に記載の細胞検査装置。
【請求項11】
前記内筒の前記内部空間に挿通可能な光ファイバをさらに備える
請求項7に記載の細胞検査装置。
【請求項12】
前記フィルタは、前記細胞浮遊液の屈折率より高い屈折率を有する材料からなる
請求項7または請求項8に記載の細胞検査装置。
【請求項13】
前記フィルタは、前記細胞よりも小さな孔径を有している
請求項7または請求項8に記載の細胞検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞検査装置及び細胞検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡で観察しながら穿刺針等で採取した細胞を迅速に診断する方法として、迅速病理診断(Rapid on - site evaluation,以下、ROSEと称す)が知られている。一般的なROSEでは、穿刺針により採取された細胞を細胞保存液で薄めて細胞浮遊液を作製する。細胞浮遊液をフィルタにより濾過して細胞を標本化した後、顕微鏡により細胞を観察する。ROSEにより、細胞を採取した場所で、必要な細胞が採取されているか否かを判断することができる。
ROSEを用いない場合、穿刺針等で採取した細胞は、細胞を採取した場所とは別の検査場所に搬送されて病理診断などの検査が行われる。その結果、必要な細胞が採取されていなかった場合は、再度、細胞の採取が必要である。ROSEを用いた検査では、細胞を採取した現場で必要な細胞が採取されたか否かを判断できるため、容易に細胞の採取を追加できる。したがって、ROSEは、再検査率を低減することができるため、各施設でのROSEの実施が望まれている。
【0003】
細胞の標本の作製において、スライド上に細胞を沈降させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、内側に空間を有する中空管と、中空管が載置される顕微鏡スライドと、顕微鏡スライドが嵌る凹部が形成されたベースプレートとを備える。
ベースプレートの凹部に顕微鏡スライドを嵌め、顕微鏡スライド上に中空管を載置する。中空管の空間に所定のサンプル細胞懸濁液を入れ、細胞が重力により沈降するのを待つ。細胞が顕微鏡スライドに沈降したら、上澄み液を吸引によって取り出し、細胞を染色した後、顕微鏡スライド上の細胞を観察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開平6-213789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている方法では、細胞が顕微鏡スライド上に自然に沈降するのを待つ必要があるため、必要な量の細胞が沈降するのに長時間を要する。
また、一般にスライド上に沈降した細胞を染色する際は、スライドを染色液に浸すため、スライド上の細胞が染色液内に脱落するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、細胞を確実に確保し、かつ、細胞をスムーズかつ迅速に検査することができる細胞検査装置及び細胞検査方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る細胞検査方法は、光源と観察部とを用いて、細胞浮遊液に含まれる細胞を検査する細胞検査方法であって、貫通孔を有する外筒とスライドとで形成されるチャンバ内に前記細胞浮遊液を注入して細胞濃縮液を作製する濃縮液作製工程と、
前記スライド上で前記細胞を染色する染色工程と、前記スライド上に前記細胞を沈降させる細胞沈降工程と、前記光源で照明しながら前記観察部により前記スライド上の前記細胞を観察する観察工程と、を備え、前記濃縮液作製工程において、底面にフィルタが設けられ内部空間を有する内筒を前記底面側から前記外筒の前記貫通孔内に進入させ、前記内筒を前記スライドに近づけることによって、前記細胞濃縮液を作製し、
前記観察工程は、前記内筒を前記外筒に進入させた状態で観察を行う
【0008】
本発明の第2の態様に係る細胞検査方法は、上記第1の態様において、前記染色工程は、前記内筒と前記外筒の前記貫通孔とによって囲われた空間に染色液を注入することによって、前記細胞濃縮液中の前記細胞を染色してもよい。
【0009】
本発明の第3の態様に係る細胞検査方法は、上記第1の態様、または、上記第2の態様において、前記内筒の前記内部空間内の染色液を吸引する吸引工程をさらに備えていてもよい。
【0010】
本発明の第4の態様に係る細胞検査方法は、上記第の態様において、前記観察工程において、前記内筒の前記フィルタを前記スライドと間隔をあけて配置してもよい。
本発明の第5の態様に係る細胞検査方法は、上記第の態様において、前記観察工程において、前記内筒の前記フィルタを前記スライドに接触させてもよい。
【0011】
本発明の第6の態様に係る細胞検査方法は、上記第4の態様、または、上記第5の態様において、前記濃縮液作製工程および前記染色工程のうち少なくとも一方において、前記内筒を前記外筒の長手方向に進退させてもよい。
【0012】
本発明の第7の態様に係る細胞検査装置は、細胞浮遊液に含まれる細胞を検査する細胞検査装置であって、貫通孔を有し、スライド上に配置され、前記貫通孔と前記スライドとによりチャンバが形成される外筒と、底面にフィルタが設けられ、内部空間を有し、前記外筒の前記貫通孔内に挿通可能である内筒と、前記細胞の濃縮が実行された状態の前記チャンバ内に染色液を注入する染色液注入部と、前記スライドに対して前記外筒と反対側に設けられた観察部と、
を備え、前記チャンバ内に前記細胞浮遊液を収容した状態であって、前記内筒が、前記底面側から前記外筒の前記貫通孔に進入されて前記スライドに接近した状態のとき、前記細胞の濃縮が実行され、前記細胞が、前記染色液により染色され、かつ前記スライドに沈降した状態において、前記内筒が、前記外筒に進入したままの状態のとき、前記観察部による前記細胞の観察が実行可能な状態となる。
本発明の第8の態様に係る細胞検査装置は、細胞浮遊液に含まれる細胞を検査する細胞検査装置であって、ベースプレートと、貫通孔が形成され、スライド上に配置される外筒と、底面にフィルタが設けられ、内部空間を有し、前記外筒の前記貫通孔内に挿通可能である内筒と、光源と、前記スライドに対して前記外筒と反対側に設けられた観察部と、
を備え、前記スライドと前記外筒の前記貫通孔とにより細胞浮遊液を注入するためのチャンバが形成され、前記ベースプレートは、観察穴が形成され、前記スライドを載置する窪みを有し、前記内筒の前記フィルタは、光透過性の材料からなり、前記光源は、前記チャンバ内の細胞を、前記内筒を前記外筒に進入させた状態で照明する。
【0013】
本発明の第の態様に係る細胞検査装置は、上記第7の態様、または、上記第8の態様において、前記外筒の側壁には、前記外筒の前記貫通孔と外部とを連通する連通孔が設けられていてもよい。
本発明の第10の態様に係る細胞検査装置は、上記第8の態様において、前記観察穴には、前記観察部が挿通可能であってもよい。
【0014】
本発明の第11の態様に係る細胞検査装置は、上記第7の態様において、前記内筒の前記内部空間に挿通可能な光ファイバをさらに備えていてもよい。
本発明の第12の態様に係る細胞検査装置は、上記第7の態様、または、上記第8の態様において、前記フィルタは、前記細胞浮遊液の屈折率より高い屈折率を有する材料からなっていてもよい。
本発明の第13の態様に係る細胞検査装置は、上記第7の態様、または、上記第8の態様において、前記フィルタは、前記細胞よりも小さな孔径を有していてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記各態様の細胞検査装置及び細胞検査方法によれば、細胞を確実に確保し、かつ、細胞をスムーズかつ迅速に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る細胞検査装置を示す全体図である。
図2図1の外筒を示す斜視図である。
図3図1の内筒を示す斜視図である。
図4図1のベースプレートを示す上面図である。
図5図1のベースプレートに外筒を取り付けた状態を示す要部断面図である。
図6】本発明の細胞検査方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の細胞検査方法で使用される細胞浮遊液の作製手順を示す図である。
図8】本発明の細胞検査方法で使用される細胞浮遊液の作製手順を示す図である。
図9】本発明の細胞検査方法で使用される細胞浮遊液の作製手順を示す図である。
図10】本発明の細胞検査方法で使用される細胞浮遊液の作製手順を示す図である。
図11】本発明の細胞検査方法を示す図である。
図12】本発明の細胞検査方法を示す図である。
図13】本発明の細胞検査方法を示す図である。
図14】本発明の細胞検査方法を示す図である。
図15】本発明の細胞検査方法を示す図である。
図16】本発明の細胞検査方法を示す図である。
図17】本発明の一実施形態に係る細胞検査装置の変形例を示す全体図である。
図18】本発明の一実施形態に係る細胞検査装置の変形例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[一実施形態]
本発明の一実施形態に係る細胞検査装置について、図1から図16を参照して説明する。
細胞検査装置1は、細胞浮遊液に含まれる細胞を観察する装置である。なお、細胞は細菌を含んでいてもよい。細胞検査装置1は、図1に示すように、ベースプレート30上に配置された外筒10及び内筒20と、観察部50とを備えている。
【0018】
外筒10は、図2に示すように、外筒10の長手方向に、上部11と、底部12と、上部11と底部12とを接続する円筒状の筒部13とを備えている。外筒10には、外筒10の長手方向に沿って貫通孔14が形成されている。筒部13の外壁(側壁)13aには、外筒10の貫通孔14と外部とを連通する連通孔16が形成されている。
上部11は、外筒10の長手方向に垂直な方向に拡径している。上部11には、上部11の上面11aに向かって開口する凹部11bが形成されている。凹部11bから細胞浮遊液が注入される。貫通孔14の第1端14aは、凹部11bの底面11cに開口し、貫通孔14の第2端14bは底部12の底面12aに開口している。これにより、貫通孔14は、上部11の凹部11bから底部12の底面12aまで貫通している。
底部12は、外筒10の長手方向に垂直な方向に拡径している。底部12の底面12aには、円環状の溝12bが設けられている。溝12bには、ゴム等の弾性部材によって形成されたOリング15が配設されている。底部12には、後述するネジ33が挿通可能なネジ穴12cが、底部12の厚み方向に貫通して形成されている。ネジ穴12cは、外筒10の長手軸を挟んで対称に一対設けられている。
【0019】
内筒20は、図3に示すように、上部21と、円筒状の筒部22とを備えている。
上部21は、外筒10の長手方向に垂直な方向に拡径している。上部21には、上部21の上面21aに向かって開口する凹部21bが形成されている。凹部21bは、図1に示すように、筒部22に向かって縮径する。
筒部22には、図3に示すように、筒部22の長手方向に沿って内部空間23が形成されている。内部空間23の第1端23aは凹部21bに開口し、内部空間23の第2端23bは内筒20の底面20aに開口している。これにより、内部空間23は、上部21から筒部22の底面20aまで貫通している。
筒部22の底面20aには、フィルタ24が接着されている。フィルタ24は、筒部22の底面20aを覆っている。フィルタ24は、細胞よりも小さな孔径を有している。フィルタ24の濾材は、特に限定されないが、例えば、織布または不織布からなる。フィルタ24は、光透過性を有する材料からなる。フィルタ24は、細胞浮遊液の屈折率より高い屈折率を有する材料からなる。
【0020】
筒部22の外側面20bには、円環状の溝20cが設けられている。溝20cには、ゴム等の弾性部材によって形成されたOリング25が配設されている。Oリング25は、筒部22よりも径方向外方に突出している。
筒部22の長手軸方向に対して垂直方向における筒部22の先端部26(上部21が配置されている側とは反対側)の外径寸法L1は、筒部22の長手軸方向に対して垂直方向における筒部22の外径寸法L2より小さい。これにより、筒部22の先端部26には、段部27が形成されている。
【0021】
外筒10は、図1に示すように、一般に使用される顕微鏡のステージ(図示略)に嵌合されるベースプレート30に取り付けられる。ベースプレート30は、図4に示すように、窪み31と、観察穴(貫通穴)32とを備える。
ベースプレート30には、厚み方向(上面30aから下面30b)まで貫通するネジ穴30cが形成されている。窪み31は、略長方形状であり、スライド40が載置される。観察穴32は、窪み31に形成されており、図1に示すように、窪み31から下面30bまで貫通されている。観察部50は、観察穴32に進入可能である。
【0022】
図5に示すように、外筒10の底部12の底面12aがスライド40に接触するように、外筒10をスライド40上に配置する。これにより、外筒10の貫通孔14とスライド40とによりチャンバPが形成される。チャンバPには、細胞浮遊液が注入される。外筒10とベースプレート30とは、ネジ穴12c及びネジ穴30cにネジ33を挿通させることによって固定される。外筒10がベースプレート30に固定された状態において、Oリング15により、外筒10の貫通孔14とスライド40との間に液密を確保することができる。すなわち、チャンバPに注入された細胞浮遊液は外筒10の底部12の底面12aからチャンバPの外に漏れない。
外筒10の連通孔16には、チューブ61を介してシリンジ60が接続されている。チューブ61は外筒10に対して着脱可能である。染色液は、シリンジ60からチューブ61を通ってチャンバPに注入される。染色液の他に細胞をスライド40上に固定する固定液が、シリンジ60からチャンバPに注入されてもよい。
【0023】
図1に示すように、外筒10の貫通孔14に、内筒20の筒部22が挿通される。具体的には、図2に示す外筒10の長手軸方向に対して垂直方向における貫通孔14の内径寸法L3は、図3に示す筒部22の外径寸法L2よりも大きい。内径寸法L3と外径寸法L2との差はわずかである。図1に示すように、内筒20の筒部22を外筒10の貫通孔14に挿通させた際、Oリング25が押圧され、Oリング25は貫通孔14内では付勢された状態となる。すなわち、Oリング25により、内筒20と外筒10の貫通孔14によって囲われた空間P1は、液密が確保されている。
また、拡径している内筒20の上部21が、外筒10の上部11の凹部11bに当接するまで、内筒20の筒部22が外筒10の貫通孔14内に進入可能である。この当接状態では、フィルタ24とスライド40とは間隔をあけて配置されている。フィルタ24からスライド40までの距離Dは、内筒20で連通孔16を塞がない程度であればよく、例えば、3mm以上5mm未満である。さらに、この当接状態では、段部27に連通孔16が位置するため、連通孔16を通った液体は空間P1に注入される。
【0024】
細胞検査装置1は、図1に示すように、観察部50を備えている。ベースプレート30を顕微鏡のステージ(図示略)に嵌合させた際、観察部50は、観察穴32に挿通可能である。観察部50は、スライド40に近接する方向、あるいは、離間する方向に移動可能である。観察部50が、スライド40に近接したり、離間することにより、細胞に焦点を合わせることが可能となる。
細胞検査装置1は、さらにモニタ(図示略)を備えている。モニタは、観察部50に接続されている。観察部50により取得された細胞の画像は、モニタに表示される。
【0025】
次に、本実施形態に係る細胞検査方法について図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、図5に示すように、ネジ33により外筒10をベースプレート30に固定し、チャンバPを形成する(準備工程:ステップS1)。外筒10が固定されたベースプレート30を顕微鏡のステージ(図示略)に嵌合させる。
次に、患者の体内を超音波内視鏡で観察しながら穿刺針等を組織に刺入し、細胞を採取する。図7に示すように、採取された細胞Tをシャーレ90に吐出し、細胞保存液をシャーレ90内に注入して、細胞Tをほぐす。細胞Tをほぐした後、図8に示すように、底部にフィルタ91が設けられた容器92をシャーレ90内に挿入する。図9に示すように、シャーレ90内に容器92を押し進めていくと、図10に示すように、容器92内の細胞浮遊液Cと、シャーレ90内の細胞Taとに分離される。このようにして、細胞浮遊液Cが作製される。
【0026】
作製された細胞浮遊液Cは、スポイト、または、シリンジ等に吸引され、外筒10の凹部11bから注入される。細胞浮遊液Cは、図11に示すように、チャンバP内に細胞Tを含む細胞浮遊液Cが貯留する。
【0027】
次に、図12に示すように、内筒20を底面20aから外筒10の貫通孔14に進入させる。内筒20の筒部22を押し進めていくと、内筒20の底面20aにフィルタ24が設けられているので、細胞T以外の液体C1がフィルタ24を通って、筒部22の内部空間23に流入し、空間P1には細胞Tを含む細胞濃縮液C2が残る。このようにして、細胞濃縮液C2が作製される(濃縮液作製工程:ステップS2)。内筒20の筒部22を外筒10の貫通孔14に一度のみ押し込むだけでもよいが、内筒20を外筒10の長手軸方向に数回進退させてもよい。内筒20を外筒10に対して進退させることにより、細胞濃縮液Cがより早く作製される。
【0028】
次に、空間P1内の細胞濃縮液C2に、染色液Sがシリンジ60からチューブ61及び連通孔16を通って注入される。図13に示すように、空間P1内に染色液Sが滞留し、細胞Tが染色される(染色工程:ステップS3)。内筒の筒部22に段部27が形成されていない場合や、連通孔16が塞がれている場合は、内筒20を一旦引き上げてから染色液を注入する。内筒20を外筒10の長手軸方向に数回進退させてもよい。内筒20を外筒10に対して進退させることにより、細胞Tがより早く染色される。空間P1に染色液が注入されると、内部空間23内の液体C1と染色液Sとが混じり着色された液体C3が内部空間23内に貯留する。
【0029】
次に、図14に示すように、液体C3を内部空間23の外に排出する。液体C3の排出方法は特に限定されないが、例えば、吸引器70により排出される。吸引器70は、内部空間23に挿通可能なチューブ71を有する。すなわち、チューブ71の外径寸法は、内部空間23の内径寸法より小さい。チューブ71を内部空間23に挿通し、内部空間23の液体C3を吸引することにより排出する(吸引工程:ステップS4)。
【0030】
図15に示すように、染色された細胞Tは、しばらくするとスライド40上に沈降する(細胞沈降工程:ステップS5)。
次に、図16に示すように、光ファイバ81を有する光源80を用いて細胞Tに光を照射する。光ファイバ81は内部空間23に挿通可能である。すなわち、光ファイバ81の外径寸法は、内部空間23の内径寸法より小さい。光ファイバ81を内部空間23に挿通し、光源80により光を照明しながら、観察部50によりスライド40上の細胞Tをモニタ(図示略)で観察する(観察工程:ステップS6)。必要に応じて観察部50を観察穴32内に進入させ、スライド40に近づける。必要な細胞が採取されていれば、図10に示す細胞Taを病理検査に搬送する。一方、必要な細胞が採取されていない場合は、内視鏡を用いて再度細胞を採取する。
【0031】
本実施形態の細胞検査装置1によれば、内筒20の筒部22を外筒10の貫通孔14に挿通させることにより、細胞濃縮液C2を作製する。これにより、スライド40上により多くの細胞Tを確保することができる。
また、染色液Sを注入する連通孔16が筒部22の外壁13aに設けられているため、観察部50による観察の妨げにならない。
細胞検査装置1は、スライド40が載置されるベースプレート30を備えているため、外筒10とスライド40とを固定することができる。これにより、より安定して、細胞Tを観察することができる。
細胞検査装置1は、内筒20の内部空間23に挿通可能である光ファイバ81(光源)を備えているため、細胞Tを鮮明に観察することができる。
フィルタ24は、細胞浮遊液Cの屈折率より高い屈折率を有する材料からなるため、光源80から照射された光を拡散することができる。これにより、光源80から照射された光を効率良く利用することができる。
【0032】
本実施形態の細胞検査方法によれば、準備工程(ステップS1)、濃縮液作製工程(ステップS2)、染色工程(ステップS3)、細胞沈降工程(ステップS5)、観察工程(ステップS6)が、顕微鏡のステージ上、すなわち、同じ場所で行われるため、細胞Tをスムーズかつ迅速に検査することができる。
内筒20のフィルタ24をスライド40と間隔をあけて配置されているため、観察部50で細胞Tを観察する際、フィルタ24が映り込むのを防止することができる。
外筒10の外壁13aに染色液Sを注入する連通孔16が形成されているため、染色液Sを貯留するシリンジ60が観察部50による観察の妨げにならない。
ベースプレート30は、一般に使用される顕微鏡のステージに嵌合されるだけであり、シリンジ60のチューブ61が外筒10に対して着脱可能であるので、ベースプレート30と、外筒10と、内筒20とを使用ごとに交換するディスポーザブルタイプとして構成することができる。なお、ネジ33を取り外すことにより、ベースプレート30は使いまわすことも可能である。
【0033】
ここで、底面20aにフィルタ24を設けていない内筒を用いたときのスライド40上に確保される細胞の量(面積)と、本実施形態のフィルタ24を有する内筒20を用いたときのスライド40上に確保される細胞の量(面積)とを比較した。チャンバPに細胞浮遊液Cを注入したときを開始時刻とし、フィルタのない内筒を用いた場合、そのまま3分経ったときのスライド40上の細胞の面積と、フィルタ24を有する内筒20を用いた場合、外筒10の貫通孔14に内筒20の筒部22を押し込む時間を含め3分経ったときのスライド40上の細胞の面積とを比較した。その結果、即ちフィルタのない内筒を用いた場合に比べて、フィルタ24を有する内筒20を用いた場合の方が約4.7倍の面積であった。すなわち、本実施形態の細胞検査装置1及び細胞検査方法によれば、従来に比べて短時間で必要な細胞をスライド40上に沈降できることが分かった。
【0034】
また、ステップS2の濃縮液作製工程後に、ベースプレート30から取り外し、スライド40を染色液に浸した場合の細胞の量(面積)と、本実施形態の細胞検査装置1により染色された細胞の量(面積)を比較した。その結果、フィルタのない内筒を用いた場合に比べて、フィルタ24を有する内筒20を用いた場合の方が約3.5倍の面積であった。すなわち、本実施形態の細胞検査装置1及び細胞検査方法によれば、染色液内に細胞が脱落するのを防止できることが分かった。
【0035】
なお、内筒20のフィルタ24をスライド40と間隔をあけて配置したが、図17の変形例に示すように、内筒20の長手軸方向において、筒部22が本実施形態の筒部22よりも長く、内筒20のフィルタ24をスライド40に接触させてもよい。これにより、細胞Tをスライド40上に固定することができる。
また、連通孔16を筒部13に形成したが、外筒10の底部12に貫通孔14と外部とを連通する連通孔が形成されていてもよい。また、外筒10に連通孔16を設けず、図18に示すように、シリンジ65に設けられたチューブ66を内筒20の内部空間23に挿通し、内部空間23からフィルタ24を通って、空間P1に染色液Sを注入してもよい。
また、フィルタ24は、細胞浮遊液の屈折率より高い材料からなるとしたが、必ずしも細胞浮遊液の屈折率より高い材料から構成されていなくてもよい。
【0036】
外筒10は、上部11と、底部12、筒部13とを備える構成としたが、少なくとも貫通孔14を有する筒部13を備える構成であればよい。
外筒10をベースプレート30にネジ33により固定したが、外筒10とベースプレート30との固定はこれに限らない。また、外筒10がベースプレート30上に載置されているだけでもよい。
また、細胞検査方法は、必ずしも液体C3を内部空間23の外に排出する吸引工程(ステップS4)を備える必要はないが、液体C3は着色されているため、内部空間23に液体C3がない方が、光ファイバ81からの光を効率よく利用することができる。例えば、内筒20を外筒10から取り出し、内筒20を上下逆さまにして、内部空間23内の液体C3を排出してもよい。
また、観察部50により取得された細胞Tの画像をモニタ(図示略)で観察したが、目視で細胞Tを観察してもよい。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記各実施形態の細胞検査装置及び細胞検査方法によれば、フィルタ上に細胞を貯留したまま、染色、顕微鏡観察を行なうため、細胞を確実に確保し、かつ、細胞をスムーズかつ迅速に検査することができる。また本発明は、フィルタの孔径を小さくすることで、細菌の検査に応用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
C 細胞濃縮液
S 染色液
P チャンバ
1 細胞検査装置
10 外筒
14 貫通孔
16 連通孔
20 内筒
20a 底面
20b 外側面
23 内部空間
24 フィルタ
30 ベースプレート
32 観察穴(貫通穴)
40 スライド
50 観察部
60 シリンジ
80 光源
81 光ファイバ
図1
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