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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】フォイル軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/02 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020565824
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2019062445
(87)【国際公開番号】W WO2019228803
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-23
(31)【優先権主張番号】102018208511.0
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスナー ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】カッツ マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィートマン フェリックス
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-183830(JP,A)
【文献】特開平9-88950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受スリーブ(2)の内部に配置された少なくとも1つのフォイル(3,4)を有するフォイル軸受(1)において、前記軸受スリーブ(2)は少なくとも2つの分離されて再び継ぎ合わされた部分体(31,32)を含み、
前記軸受スリーブ(2)が円筒形であって、前記軸受スリーブ(2)の長手方向両端部且つ周方向に間を空けて刻み目(35,36,37)が形成されるとともに、破断分離又はクラッキングによって分離線(33,34)が前記刻み目(35,36,37)に連通するように製作されて成るものであり、
前記少なくとも1つのフォイル(3,4)の端部を固定するためのジオメトリー(5)が前記刻み目(35,36,37)の位置と円周上の別の位置に設けられていることを特徴とするフォイル軸受。
【請求項2】
前記分離線(33,34)に沿って前記2つの部分体(31,32)が物質接合式に互いに結合されることを特徴とする、請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項3】
前記部分体(31,32)のうち少なくとも1つは前記フォイル(3,4)を固定するためのジオメトリー(5)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のフォイル軸受。
【請求項4】
前記両方の部分体(31,32)はほぼ等しい大きさであることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載のフォイル軸受。
【請求項5】
求項1からまでのいずれか1項に記載のフォイル軸受(1)のための軸受スリーブ(2)を製造する方法において、一体的な軸受スリーブ(2)が分離線(33,34)のところで少なくとも2つの部分体(31,32)に分離され、該部分体のうち少なくとも1つが加工されてから、加工された前記部分体(31,32)が継ぎ合わされることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記軸受スリーブ(2)を少なくとも2つの前記部分体(31,32)に分離するために、破断力(41~45,51~55)が前記一体的な軸受スリーブ(2)に対して軸方向で印加されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記部分体(31,32)のうち少なくとも1つが切削加工されることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
加工された両方の前記部分体(31,32)が前記分離線(33,34)のところで継ぎ合わされて溶接されることを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受スリーブの内部に配置された少なくとも1つのフォイルを有するフォイル軸受に関する。さらに本発明は、フォイル軸受のための軸受スリーブを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許の特許文献1、およびこれと近縁の欧州特許の特許文献3のドイツ語翻訳である特許文献2より、流体力学的な流体膜と可撓のフォイルとを有するラジアル軸受が公知であり、該ラジアル軸受は、開口部を区切るインサートブッシュのハウジングと、インサートブッシュのハウジングの開口部の内部に配置された弾性フォイル部材と、弾性フォイル部材の内部に配置された流体フォイル部材とを含み、弾性フォイル部材と流体フォイル部材は開口部の形状に合わせて適合化され、ならびに、弾性フォイル部材の流体フォイル部材の内部およびインサートブッシュのハウジングの開口部の内部で回転できるように位置決めされたロータを含み、ロータの回転は開口部の内部でロータの位置を支持してコントロールする力を流体膜で生成し、インサートブッシュのハウジングによって定義される開口部は流体フォイル部材とロータとの間で交互に収束と発散をする流体楔形通路を形成するために円形でない内側輪郭を有し、インサートブッシュの開口部は多数の収束するランプ部と発散する歯状部とを有するための輪郭を有し、該輪郭は流体フォイル部材とロータとの間で交互に収束と発散をする同じ流体楔形通路を形成するように弾性フォイル部材と流体フォイル部材とを強制し、インサートブッシュのハウジングの開口部は狭いフォイル固定スリットを有し、そこでは弾性フォイル部材と流体フォイル部材とに成形された屈曲が、フォイル固定スリットの中に押し込まれて回転と抽出に抗して固定されることをこれらのフォイル部材に可能にする。米国特許の特許文献4、および欧州特許の特許文献6のドイツ語翻訳である特許文献5より、可撓のフォイル・流体膜・ラジアル軸受が公知であり、該フォイル・流体膜・ラジアル軸受は、等しい間隔を有するとともに内部の穴に突入する軸方向に延びる複数のホルダおよび隣接するホルダの間の複数の膨出部を含む内部の穴を有するスリーブと、それぞれスリーブの内部の穴の中でそれぞれ隣接するホルダの間に配置された複数の可撓のフォイルと、それぞれの可撓のフォイルのそれぞれ下で隣接するホルダの間に配置された複数のフォイル支持ばねとを含み、ホルダは全般的にT字形状であり、内部の穴は円筒状であり、個々の可撓のフォイルの下の個々のフォイル支持ばねは全般的にT字形状の隣接するホルダの間で合流する楔形を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US5,427,455
【文献】ドイツ特許出願公表第69522683T2号明細書
【文献】欧州特許第0756672B1号明細書
【文献】US5,915,841
【文献】ドイツ特許出願公表第69832579T2号明細書
【文献】欧州特許第0927831B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、軸受スリーブの内部に配置された少なくとも1つのフォイルを有するフォイル軸受の製造、特に組立を簡易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、軸受スリーブの内部に配置された少なくとも1つのフォイルを有するフォイル軸受において、軸受スリーブが少なくとも2つの分離されて再び継ぎ合わされた部分体を含むことによって解決される。このフォイル軸受はラジアル軸受として施工され、空気力学式の滑り軸受と呼ぶこともできる。空気力学式の滑り軸受を潤滑するために、気体状の流体、特に空気が利用される。したがって、このフォイル軸受または空気力学式の滑り軸受は、空気軸受と呼ぶこともできる。フォイル軸受の軸受スリーブは、実質的に、中空の直円柱または環状体の形態を有する。したがって、この軸受スリーブは軸受リングと呼ぶこともできる。フォイル軸受の軸受スリーブは最初は一体として、たとえば注型によって製造される。次いで、この一体的な軸受スリーブが製造時に、たとえばクラッキングや破断分離によって意図的に破壊される。このことは特に、分離された2つの部分体をいっそう簡易に加工することができ、特に、いっそう簡易に切削加工できるという利点をもたらす。そして加工された部分体を再び継ぎ合わせることができ、特に物質接合式に継ぎ合わせることができる。
【0006】
フォイル軸受の1つの好ましい実施例は、軸受スリーブが軸方向に連続する2つの分離線を含み、これらの分離線のところで2つの部分体が物質接合式に互いに結合されることを特徴とする。分離線は、両方の部分体の定義された組み合せを結合前に簡易化する破断線として施工されるのが好ましい。そして、互いに相対的に正確に位置決めされた部分体を簡易な仕方で物質接合式に、特に溶接によって、互いに固定的に結合することができる。その後は、少なくとも2つの部分体からなる軸受スリーブを、一体的な軸受スリーブとまったく同様に使用することができる。
【0007】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、軸受スリーブが分離線の各端部にそれぞれ刻み目を有することを特徴とする。この刻み目は、軸受スリーブが破断分離されるときに分離線が所望の経路をとることを簡易な仕方で保証する。
【0008】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、各部分体のうち少なくとも1つがフォイルを固定するためのジオメトリーを有することを特徴とする。フォイルを固定するためのジオメトリーは、たとえば凹部、特に軸方向溝として施工される。フォイルを固定するためのジオメトリーは簡易な仕方で、特に切削式に、部分体で作成することができる。
【0009】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、分離線が、フォイルを固定するためのジオメトリーの領域で軸受スリーブに配置されることを特徴とする。それにより、フォイルを固定するためのジオメトリーを作成するときの加工を、特に軸受スリーブの部分体の切削加工を、いっそう簡易化することができる。
【0010】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、両方の部分体がほぼ等しい大きさであることを特徴とする。両方の部分体は、実質的に、軸受スリーブの2つの半体をなす。両方の軸受スリーブ半体は加工のために、特に切削加工のために、完全な軸受スリーブよりもはるかに簡易に取扱可能である。
【0011】
フォイル軸受のための、特に上で説明したフォイル軸受のための、軸受スリーブを製造する方法では、上に述べた課題は代替的または追加的に、一体的な軸受スリーブが分離線のところで少なくとも2つの部分体に分離され、そのうち少なくとも1つが加工されてから、加工された部分体が再び継ぎ合わされることによって解決される。部分体は一体的な軸受スリーブよりもはるかに簡易に加工することができ、特に切削加工することができる。
【0012】
本方法の好ましい実施例は、軸受スリーブを少なくとも2つの部分体に分離するために、一体的な軸受スリーブに破断力が軸方向に印加されることを特徴とする。破断力が印加されることで、軸方向に連続する2つの分離線に沿って軸受スリーブが分離される。
【0013】
本方法の別の好ましい実施例は、部分体のうちの少なくとも1つが切削加工されることを特徴とする。この切削加工では、フォイルを固定するためのジオメトリーが軸受スリーブに刻設されるのが好ましい。その代替または追加として、両方の部分体の相応の加工により、軸受スリーブの内面の非円形の輪郭を特に切削によって生成することができる。
【0014】
本方法の別の好ましい実施例は、加工された両方の部分体が分離線のところで継ぎ合わされて溶接されることを特徴とする。それにより、内部に複雑なジオメトリーを有する軸受スリーブが簡易な仕方で製作される。
【0015】
軸受スリーブでフォイルを固定するためのジオメトリーは、フォイルの2つの円周端部区域が係合する軸方向溝を含むのが好ましい。軸方向溝により、フォイルが半径方向で軸方向スリーブに好ましく固定される。
【0016】
フォイル軸受の好ましい実施例は、軸方向溝が、フォイルの2つの円周端部区域が支持される、互いに円周方向で向かい合う溝側面を有することを特徴とする。それにより、軸受スリーブでのフォイルの安定した支持が簡易な仕方で可能となる。これに加えて、軸受スリーブへのフォイルの組付けが簡易化される。
【0017】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、軸方向溝が、半径方向で内方に向かって拡張していく台形状の溝断面を有することを特徴とする。軸方向溝の互いに向かい合う溝側面の傾斜位置は、フォイルの円周端部区域が組付状態のときに軸方向溝から外にすべり出ないように選択されるのが好ましい。
【0018】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、フォイルの円周端部区域が互いに形状接合式に結合されることを特徴とする。この形状接合は、フォイルの円周端部区域が取付状態のとき軸方向で互いに相対的に固定されるように施工されるのが好ましい。軸方向という概念は、フォイル軸受の回転軸を基準とするものである。軸方向とは、フォイル軸受の回転軸の方向もしくはこれに対して平行を意味する。同様に、半径方向はフォイル軸受の回転軸に対して横向きを意味する。
【0019】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、円周端部区域のうちの一方が、他方の円周端部区域にある差込切欠きに係合する差込ラグを有することを特徴とする。それにより一方では、軸方向溝の中での円周端部区域の軸方向の固定が可能となる。これに加えて、差込接合される円周端部区域を有するフォイルの組付けが著しく簡易化される。
【0020】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、差込ラグと差込切欠きが長方形の形態を有することを特徴とする。差込ラグと差込切欠きを簡易な仕方で、たとえば打抜きによって、フォイルに生成することができる。
【0021】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、差込ラグと差込切欠きが台形の形態を有することを特徴とする。台形の形態は互いに反対方向を向いているのが好ましい。すなわち、端部に向かって短くなっていく差込ラグが、端部に向かって短くなっていく差込切欠きと組み合わされ、その逆も成り立つ。
【0022】
フォイル軸受の別の好ましい実施例は、フォイル軸受が、上側フォイルと、上側フォイルと軸受スリーブとの間に配置された下側フォイルとを含むことを特徴とする。上側フォイルはトップフォイルとも呼ばれる。上側フォイルの内部に、フォイル軸受により支承されるべきシャフトが配置される。下側フォイルはビームフォイルまたはバンプフォイルとも呼ばれる。下側フォイルは弾性装置と組み合わされるのが好ましい。弾性装置は、たとえば多数の弾性ラグの形態で、下側フォイルに組み込まれるのが好ましい。
【0023】
さらに本発明は、上で説明したフォイル軸受のためのフォイルに関する。フォイルは別個に取扱可能である。
【0024】
上で説明したフォイル軸受に少なくとも1つのフォイルを組み付ける方法では、上で述べた課題は代替的または追加的に、フォイルが、軸受スリーブの内径よりも小さい外径を有する組付補助装置によって保持され、軸受スリーブへ挿入され、軸方向で位置決めされてから、位置決めされたフォイルを有する軸受スリーブから組付補助装置が取り外されることによって解決される。それにより、フォイル軸受でのフォイルの組付けが、特に2つのフォイルの組付けが、著しく簡易化される。
【0025】
本発明は、場合により、上で説明した方法に基づいて上に説明したフォイル軸受に少なくとも1つのフォイルを組み付けるための組付補助装置も対象とする。組付補助装置は別個に取扱可能である。
【0026】
本発明のその他の利点、構成要件、および具体的事項は、図面を参照しながら種々の実施例が個別に記述される以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】軸受スリーブの内部に配置された2つのフォイルを有するフォイル軸受の軸受スリーブを示す斜視図である。
図2図1のフォイル軸受を示す前面図であり、両方のフォイルは、軸受スリーブの軸方向溝に係合する、それぞれの互いに向き合う円周端部区域でのみ図示されている。
図3図1および図2のフォイル軸受のフォイルを示す平面図である。
図4】組付補助装置を用いて両方のフォイルを組み付けるときの図1および図2のフォイル軸受を示す簡略図である。
図5図1に類似する図であり、フォイル軸受の軸受スリーブは、分離されて再び継ぎ合わされた2つの部分体を含んでいる。
図6図5のフォイル軸受を示す前面図であり、フォイルの互いに向き合う両方の円周端部区域だけが図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1および図2には、軸受スリーブ2を有するフォイル軸受1がそれぞれ異なる視点で示されている。軸受スリーブ2は軸受リングと呼ぶこともでき、実質的に中空の直円柱の形態を有している。軸受スリーブ2の内部に、フォイル軸受1の2つのフォイル3,4が配置されている。
【0029】
フォイル3はビーム、バンプ、または下側フォイルとも呼ばれ、軸受スリーブ2と、トップフォイルまたは上側フォイルとも呼ばれるフォイル4との間に配置されている。軸受スリーブ2は半径方向内側に、図1および図2では下側に、軸受スリーブ2でフォイル3,4を固定するためのジオメトリーをなす軸方向溝5を有している。
【0030】
上側フォイル4は、フォイル軸受1の軸受スリーブ2で、(図1および図2には図示しない)シャフトを回転可能に支承するための役目を果たす内部空間6を区切る。シャフトはたとえば(同じく図示しない)流動機械のロータに属する。
【0031】
流動機械は、たとえば燃料電池システムの空気供給ユニットの一部である。燃料電池システムでは、流動機械がたとえば圧縮機として施工される。圧縮機は、ロータの好ましい構成要素である圧縮機ホイールを含む。
【0032】
軸方向溝5は底辺10を有する台形状の横断面を有し、そこから2つの溝側面8,9が発する。軸方向溝5の溝広さまたは溝幅は、軸方向溝5の台形状の横断面に基づき、半径方向内方に向かって拡張していく。図示しているものとは異なり、軸方向溝5が長方形の横断面、または半径方向内方に向かって狭くなる台形状の横断面を有することもできる。
【0033】
下側フォイル3は、互いに向き合う2つの円周端部区域11,17を有している。上側フォイル4は、互いに向き合う2つの円周端部区域12,18を有している。フォイル3,4の円周端部区域11および12は差込ラグ13,14として施工されており、軸方向溝5の溝側面8に支持される。フォイル3,4の円周端部区域17,18は差込切欠き15,16として施工されており、軸方向溝5の溝側面9に支持される。
【0034】
軸方向溝5によって両方のフォイル3,4が半径方向で固定される。軸方向溝5は比較的容易かつ低コストに、たとえばブローチ加工プロセスによって製作可能である。
【0035】
図3には、両方のフォイル3,4のうちの一方が、ここでは下側フォイル3が、平面図として示されている。下側フォイル3は弾性装置20を備えている。弾性装置20は、たとえば下側フォイル3から屹立する、フォイル軸受1で弾性初期応力を生成するための役目を果たす多数の弾性ラグを含む。弾性装置20の構造と機能はそれ自体として周知である。
【0036】
図3には、円周端部区域11にある差込ラグ13と、円周端部区域17にある差込切欠き15とを平面図で見ることができる。上側フォイル4の差込ラグ14および差込切欠き16は、下側フォイル3の差込ラグ13および差込切欠き15とまったく同様に施工されるのが好ましい。
【0037】
差込ラグ13と差込切欠き15は、長方形の形態を有することができる。
【0038】
図3では、差込ラグ13と差込切欠き15が台形状に構成されていてよいことが破線と点線で示唆されている。破線により、差込ラグ13と差込切欠き15が端部に向かって狭くなることが示唆されている。点線により、差込ラグ13と差込切欠き15が端部に向かって広くなることもできることが図3に示唆されている。
【0039】
図4には、好ましくはそれぞれの円周端部区域で差込接合される両方のフォイル3,4を、組付補助装置25を用いてどのように軸受スリーブ2に組み付けることができるかが簡略化して示されている。組付補助装置25は、内側の保持体26と外側の保持体27とを含んでいる。
【0040】
内側の保持体26は、たとえば直円柱または直円柱外套の形態を有する。外側の保持体27は、軸方向に延びるスリットを備えた直円柱外套の形態を有するのが好ましい。
【0041】
組付補助装置25の外側の保持体27にある軸方向に延びるスリットは、円周方向で、軸方向溝5よりも若干大きい寸法を有するのが好ましい。組付補助装置25の両方の保持体26,27は、たとえば組付補助装置25の端部にある半径方向のウェブによって互いに結合される。
【0042】
外側の保持体27の外径は軸受スリーブ2の内径よりも小さくなっており、それにより、組付補助装置25をその中に配置されて差込接合されたフォイル3,4とともに軸受スリーブ2へ容易に挿入することができる。正しい軸方向の位置に達すると、組付補助装置25が引抜によって取り外される。フォイル3,4の円周端部区域11,12および17,18は、図2に示すように、組付補助装置25のスリットを通して軸方向溝5の中に配置される。
【0043】
図5および図6には、2つの分離されて再び継ぎ合わされた部分体31,32を含む軸受スリーブ2をフォイル軸受1が含むこともできることが示されている。2部分からなる軸受スリーブ2は、たとえばクラッキングや破断分離によって製作することができる。
【0044】
図5および図6には2つの分離線33,34が示唆されており、これらに沿って軸受スリーブ2がクラッキングや破断分離のときに分離される。クラッキングまたは破断分離の際には、図5に矢印41~45および51~55によって示唆されているように、破断力が軸方向で軸受スリーブ2に対して印加される。
【0045】
クラッキングまたは破断分離を簡易化するために、刻み目35,36,37が軸受スリーブ2へ的確に刻設されるのが好ましい。刻み目35~37は、図5および図6の線61,62によって示唆されているとおり、フォイル3,4を固定するためのジオメトリー5すなわち軸方向溝5の領域に位置決めされていてよいのが好ましい。このことは、フォイル3,4を固定するためのジオメトリーを表す軸方向溝5をいっそう簡易に製作できるという利点をもたらす。切削加工のために多種多様な工具を利用できるからである。
【0046】
破断力41~45および51~55が印加されると、軸受スリーブ2が破断線33,34に沿って2つの部分体31,32に分かれる。そしてフォイル3,4を固定するための軸方向溝5を、部分体32に刻設することができる。このことは切削プロセスによって簡易かつ低コストに行うことができる。軸受スリーブ2が両方の部分体31,32に分かれることで、軸方向溝5を形成する切削のための面に良好にアクセスできるからである。
【符号の説明】
【0047】
1 フォイル軸受
2 軸受スリーブ
3,4 フォイル
5 フォイルを固定するためのジオメトリー
31,32 部分体
33,34;61,62 分離線
35,36,37 刻み目
41~45,51~55 破断力
図1
図2
図3
図4
図5
図6