(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】フレキソ印刷のための装置
(51)【国際特許分類】
B41F 31/26 20060101AFI20220725BHJP
B41F 5/24 20060101ALI20220725BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20220725BHJP
【FI】
B41F31/26 Z
B41F5/24
B23K26/00 B
(21)【出願番号】P 2020570384
(86)(22)【出願日】2018-03-09
(86)【国際出願番号】 NL2018050146
(87)【国際公開番号】W WO2019172748
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】510173351
【氏名又は名称】アペックス・ヨーロッパ・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Apex Europe B.V.
【住所又は居所原語表記】Metaalweg 8,5527 AK Hapert,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス、マルティヌス・アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ステーンセル、アントニウス・ペトルス
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-507731(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163891(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0261577(US,A1)
【文献】特開2013-000753(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103342048(CN,A)
【文献】特開平1-234295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00-33/14
B41F 5/00-13/70
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニロックスロールであって、前記アニロックスロールは、円筒状の形状と、印刷装置の中の流体を転写するためにその外側表面の上に提供されているパターンとを有しており、
前記パターンは、少なくとも1つのチャネル(302a、302b;312a、312b;402a、402b)を備え、
前記少なくとも1つのチャネル(302a、302b;312a、312b;402a、402b)は、前記流体を受け入れ、前記円筒状の形状の上に前記流体を分配し、前記流体を転写するためのものであり、前記少なくとも1つのチャネル(302a、302b;312a、312b;402a、402b)は、前記アニロックスロール(104)の円周方向に対して所定の角度で真っ直ぐなコース方向に延在するコース(602)を有しており、それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、第1の壁部(301a;311a;401a)と、前記第1の壁部(301a;311a;401a)に対向する第2の壁部(301b;311b;401b)と、によって
画定されており、
前記第1の壁部(301a;311a;401a)は、1つまたは複数のポイントにおいて第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)に接しているが、前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)に交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)は、前記チャネル側にあり、前記コース方向に対して平行になっており、
前記第2の壁部(301b;311b;401b)は、1つまたは複数のポイントにおいて第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)に接しているが、前記第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)に交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)は、前記チャネル側にあり、前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)に対して平行になっており、
前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)は、前記第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)から距離Dだけ分離されており、 前記距離D=
0である、アニロックスロール。
【請求項2】
それぞれのチャネル(302a;312a;402a)の前記第1の壁部(301a;311a;401a)および前記第2の壁部(301b;311b;401b)は、位相差なしに互いに平行に蛇行している、請求項1に記載のアニロックスロール。
【請求項3】
それぞれのチャネル(302a;312a;402a)、ならびに、前記第1の壁部(301a;311a;401a)および前記第2の壁部(301b;311b;401b)は、正弦波状の波、鋸歯形状の波、または三角形形状の波
の形状を有している、請求項2に記載のアニロックスロール。
【請求項4】
それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、断面ラインが前記真っ直ぐな仮想ライン(303b、303c;313b、313c;403b、403c)に対して垂直になっているときに、U字形状またはV字形状の断面を有している、請求項1に記載のアニロックスロール。
【請求項5】
それぞれのチャネルは、その全体長さに沿って同じになっているチャネル幅を有している、請求項1に記載のアニロックスロール。
【請求項6】
前記第1および第2の壁部は、1μm~10μmの範囲にある、好ましくは、1μm~5μmの範囲にある、最も好ましくは、1μm~3μmの範囲にある壁部幅を有している、請求項1に記載のアニロックスロール。
【請求項7】
前記チャネルは、前記アニロックスロールの有効表面
の全体をカバーしている、請求項1に記載のアニロックスロール。
【請求項8】
印刷されることとなる被印刷物のための供給部と、インクのための供給部とを有する印刷デバイスを備える印刷装置であって、前記印刷デバイスは、軸受の中に装着されている請求項1から
7のいずれか一項に記載のアニロックスロールを備える、印刷装置。
【請求項9】
前記印刷装置は、フレキソ印刷装置である、請求項
8に記載の印刷装置。
【請求項10】
アニロックスロール(104、63)を形成するための方法であって、前記方法は、細工されることとなる外側表面(70、100)を有する前記アニロックスロールの円筒を供給することと、少なくとも1つの連続的レーザー供給源(60)を供給することと、細工されたアニロックスロールを取得するための前記連続的レーザー供給源によって形成されているレーザースポット(69)によって、前記アニロックスロールの前記外側表面をレーザー彫刻することとを備え、前記方法は、細工されることとなる前記外側表面の上で前記レーザースポットが往復移動(73)することを可能にするために、レーザーの光路の中に光学ガイド(72)を適用することをさらに備え、前記往復移動(73)は、前記アニロックスロール(63)を連続的に回転させながら、および、前記アニロックスロールの長手方向軸線(62)に対して平行に前記連続的レーザー供給源を移動させながら、前記長手方向軸線に対して平行になっている方向への前記アニロックスロール(104、63)の上の前記レーザースポット(69)のシフトを引き起こし、前記連続的レーザー供給源(60)が
、前記外側表面(70、100)を彫刻し、それによって、前記アニロックスロールの前記外側表面の中にチャネル(24)を形成するようになっており、
前記アニロックスロールは、請求項1に記載のアニロックスロールである、方法。
【請求項11】
前記アニロックスロールの
前記長手方向軸線(62)に平行な方向への前記往復移動のシフ
ト速度Vsは、
-Ld<=2*((t2-t1)*Vs-A-Ww-Wb)<=Rd
を満たし、ここで、Aは、前記往復移動(73)の振幅であり、Wwは、前記チャネルを形成する壁部の幅であり、Wbは、前記レーザーのビーム幅であり、t1およびt2は、前記アニロックスロールが同じ位置にターンするときの2つの隣接する時間ポイント(t2>t1)であり
、Ld=Rd=0である、請求項1
0に記載の方法。
【請求項12】
印刷プロセスにおいて使用されることとなるアニロックスロール(104、63)を形成するように配置されている装置であって、前記装置は、支持ユニットと、彫刻ユニット(61)と、駆動ユニットとを備え、前記支持ユニットは、前記円筒状の形状のアニロックスロールを支持するように、および、長手方向軸線の周りに前記アニロックスロールを回転させるように配置されており、前記彫刻ユニット(61)は、前記アニロックスロールの前記外側表面(70、100)の上に構造体を彫刻するために、前記アニロックスロールの円筒軸線(62)に対して平行移動するように配置されており、前記駆動ユニットは、前記彫刻ユニット(61)の彫刻セッティングを駆動するように配置されており、前記彫刻ユニットは、少なくとも1つの連続的レーザー供給源(60)を備え、前記少なくとも1つの連続的レーザー供給源(60)は、レーザースポット(69)によって前記アニロックスロール(104、63)の前記外側表面をレーザー彫刻するように配置されており、前記彫刻ユニットは、前記連続的レーザー供給源の光路の中に光学ガイド(72)をさらに備え、前記連続的レーザー供給源は、前記アニロックスロールの前記外側表面の上で、反復的な方式で、前記レーザースポット(69)を往復移動させるように配置されており、
前記光学ガイドは、前記アニロックスロールの長手方向軸線(62)に対して主に平行になっている方向への前記アニロックスロール(104、63)の上の前記往復移動によって前記レーザースポット(69)のシフトを引き起こすように配置されており、前記支持ユニットは、前記アニロックスロール(63)を連続的に回転させるように配置されており、前記装置は、前記長手方向軸線に対して平行に前記連続的レーザー供給源を連続的に移動させるように配置されており、前記連続的レーザー供給源(60)
が前記外側表面(70、100)を彫刻するようになっており、それによって、前記アニロックスロールの前記外側表面の中にチャネル(24)を形成するようになっている、装置において、前記装置は、請求項11に記載の方法を実施するために配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項13】
前記光学ガイド(72)は、音響光学変調器として実装される、請求項1
2に記載の装置。
【請求項14】
前記光学ガイド(72)は、移動ユニットによって彫刻ユニット(61)に接続されており、前記移動ユニットは、前記レーザースポット(69)が往復移動(73)することを可能にするように配置されている、請求項1
3に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、印刷のための装置に関する。より具体的には、本発明は、フレキソ印刷のための装置に関する。さらにより具体的には、本発明は、アニロックスロールの装置、アニロックスロールを作製すること、および、アニロックスロールを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]典型的なフレキソ印刷プロセス/装置の断面図が
図1に示されている。典型的なフレキソ印刷プロセス/装置100は、インクファウンテン101と、ファウンテンロール/シリンダー102と、メータリングシステム103および104と、印刷されることとなるパターンを備える印刷プレート/フォーム105と、印刷プレート105が取り付けられているプレートシリンダー(または、印刷ロール/シリンダー)106と、インプレッションシリンダー107と、パターンが印刷されることとなる被印刷物108とを備える。印刷プレート105は省略され得り、そのケースでは、印刷されることとなるパターンは、シリンダー106の外側表面の上に提供される。
【0003】
[0003]インクファウンテン101は、特定の量のインクを備える。当業者は知ることとなるように、その粘度は、必要とされる用途に依存する。ファウンテンロール102は、インクファウンテン101からインクをロードし、ロードされたインクを印刷フォーム105に供給する。ロードされたインクが印刷フォーム105に供給される前に、メータリングシステム103および104が使用され得る。メータリングシステムは、ブレード103およびアニロックスロール104を備えることが可能である。メータリングシステム103および104の主な目的は、印刷フォーム105または印刷ロール106の表面の上のパターンに依存して、所望の量のインクを印刷フォーム105または印刷ロール106に均一にまたは不均一に提供することである。アニロックスロールは、印刷されることとなるパターンに依存して、任意の量のインクおよび局所的な分布のインクを印刷フォーム105または印刷ロール106に分布することができるべきである。その効果のために、アニロックス表面パターンは、その有効表面全体を横切って均一になっているべきである。
【0004】
[0004]ブレード103は、アニロックスロール104の表面から余分なインクを掻き落とすために使用され、たとえば、アニロックスロールの表面に沿ってインクを均一に分配するようになっている。アニロックスロール104は、たとえば、セルまたはチャネルを含む、特定の表面パターンを備え、特定の表面パターンは、ファウンテンロール102からまたは直接的にシンク101からインクを受け取り、アニロックスロール104の上方にインクを分配し、さらにインクを印刷フォーム105に転写するように設計されている。この表面パターンは、たとえばWO09082225に説明されているように、アニロックスロール104の円周方向に沿って延在する小さいセルまたは1つまたは複数のチャネルを有することが可能である。印刷フォーム105および/または印刷ロール106は、被印刷物108(たとえば、紙、布、プラスチックシートなど)の上に印刷されることとなる印刷パターンを備える。被印刷物108は、印刷フォーム105(または、印刷ロール106)とインプレッションシリンダー107との間に設置されている。多色印刷に関して、
図1に示されているようなシーケンシャルプロセスが必要とされる可能性があり、そのそれぞれが、被印刷物108の上に少なくとも1つの色を印刷する。
【0005】
[0005]
図1において、ファウンテンロール102および/またはブレード103は省略され得る。印刷フォーム105も省略され得り、印刷パターンが印刷ロール106の表面の上に直接的に位置付けされ得る。この文献の残りの部分において、印刷ロールという用語は、印刷フォーム105と印刷ロール106の両方を備える構造体と、印刷ロール106だけを備えた構造体(印刷パターンがその表面の上に直接的にある)の両方を表すことが可能である。
【0006】
[0006]より一般的にアニロックスロールに関して、アニロックスロールは、印刷産業の中のフレキソ印刷方法において使用されてきた。この印刷方法は、紙、ラベル、テープ、(プラスチック)バッグ、およびボックスなどのような、異なる被印刷物を印刷するために一般的に使用されていた。アニロックスロールは、フレキソ印刷方法以外の印刷方法においても使用され得る。また、オフセット印刷および凹版印刷においても使用され得る。アニロックスロールは、正確な一定の量でインクを転写するためのこれらの他の方法において使用される。
【0007】
[0007]アニロックスロールは、スチールまたはアルミニウムのコアを有する一般的に硬いシリンダーを備える。セラミックの薄い層がコアの上に提供されている。薄い層の中には、通常は小さいインクセル(以降では、セル)が彫刻される。公知の実施形態において、セルは、アニロックスロールの表面の上に六角形パターンまたはハニカムパターンを有して形成されている。セルは、セルのサイズおよびセルの深さの関数としてインクを受け入れるための体積を有している。アニロックスロールの表面の上のパターンおよびセルは、レーザー彫刻方法を実施することによってレーザーを使用して形成され得る。方法は、連続的なまたは脈動するレーザーを備えることが可能である。レーザーは、レーザースポットを形成するアニロックスロールの表面の上に方向付けられ、レーザースポットは、表面の上にパターンを彫刻することとなる。レーザーの強度は、アニロックスロールの外側層の材料(たとえば、酸化クロム)を局所的に蒸発させるのに十分になっている。これは、セルを形成させることとなる。セルは、セル壁部によって取り囲まれているロールの表面の中に局所的な凹部を備える。単一のセル壁部は、セルを分離する、2つの隣接するセルのための壁部であることが可能である。
【0008】
[0008]アニロックスロールは、
図1に示されているフレキソ印刷装置などのような印刷装置の中に軸受によって装着されている。アニロックスロールは、印刷装置のフレームの上に装着され得るシリンダーの長手方向の端部を備える。アニロックスロールは、クリーニングまたは急速交換を可能にするために解除可能に装着されている。アニロックスロールは、その長手方向軸線の周りに円周方向に回転することが可能である。
【0009】
[0009]回転しているアニロックスロールが、インクファウンテン(たとえば、
図1の中の101)の中に部分的に出現することが可能であるか、または、ファウンテンロール(たとえば、
図1の中の102)が、インクファウンテン(たとえば、
図1の中の101)の中に部分的に出現することが可能であり、前記スクリーンロールは、アニロックスロールの上におよびセルの中にインクを転写するために、アニロックスロールと接触した状態になっている。動作時に、アニロックスロールを備える印刷装置は、アニロックスロールの表面の上にインクを転写するように動作することとなり、表面構造体は、表面の上および中にインクを保つために配置されている。インクは粘着性がある。ブレード(たとえば、
図1の中の103)は、アニロックスロールまたはインクロールからインクの余りを掻き取るために使用され得る。インクは、アニロックスロールの表面の上に形成されたセルの中に残ったままになることとなる。
【0010】
[0010]動作時に、アニロックスロールが回転することとなり、アニロックスロールの表面は、回転可能な印刷ロール(たとえば、
図1の中の印刷フォーム105を備えた印刷ロール106)に接触することとなる。アニロックスロールの動作モードにおいて、印刷ロールは、アニロックスロールの表面の上/中に収集されているインクの一部を受け取ることとなる。転写されたインクの量および局所的な分配は、印刷されることとなるイメージに依存することとなる。印刷ロールは、次のステップにおいて被印刷物(たとえば、
図1の中の108)の上にインクを転写することとなる。
【0011】
[0011]被印刷物の上の所望の色の強度は、アニロックスロールの表面の上のインクフィルムの平均厚さによって影響を受ける。インクフィルムの厚さに影響を与える1つの重要な要因は、セルの中に含有されているインクの体積である。セルの中に含有されているインクの体積が増加させられる場合には、より多くのインクが印刷ロールに転写されることとなり、最終的に被印刷物の上に印刷され、結果として生じる色を強めることとなる。比較的に大きい体積を有する(すなわち、大きい体積のインクを含有することが可能である)セルを備えたアニロックスロールを使用し、比較的に大きいインク液滴を転写するときに、インクの重い層(すなわち、厚いインクフィルム)が被印刷物の上に形成され、一方、印刷における詳細が、小さいセル(すなわち、小さいインク液滴を含有する)を使用して取得される。インクの重い層が必要とされるプロセスは、当技術分野において「フルトーン」とも呼ばれており、一方、比較的に薄い層のインクによってより小さい詳細を印刷するためのプロセスは、当技術分野において「ハーフトーン」と呼ばれている。
【0012】
[0012]フルトーン印刷およびハーフトーン印刷は、通常、異なる印刷プロセスにおいて別個の異なるアニロックスロールを使用するが、それは、コストがかかる。したがって、単一のアニロックスロールは、通常、印刷プロセスにおいて使用されている。印刷プロセスは、フルトーン印刷とハーフトーン印刷の両方を同時に必要とする可能性があり、たとえば、いくつかのエリアは、インクの重い層(フルトーン)を必要とするが、他のエリア(ハーフトーン)は少なくしか必要としない。しかし、先行技術のアニロックスロールは、1つの印刷プロセスにおいて、フルトーン印刷とハーフトーン印刷の両方のために同時に所望のインクを提供することができない。
【0013】
[0013]より具体的には、セルの密度は、1センチメートル当たりのライン数(ラインスクリーンと呼ばれる)で表現される。先行技術のセル状表面構造体に関する公知のラインスクリーンは、たとえば、1センチメートル当たり100~180ラインである。ここで、1センチメートル当たりXラインのラインスクリーンは、1cm当たりX個の隣接するセルを表している。異なるラインスクリーンは、同様のタイプのアニロックスロールに関して特定の印刷目的を有しており、たとえば、セルの深さは、実質的に同じになっており、セル壁部厚さは、実質的に同じになっている。たとえば、1センチメートル当たり100ラインを有するアニロックスロールは、大きいセルに起因して、被印刷物の上にインクの重い層を印刷(すなわち、フルトーン印刷)するのによく適していることが可能である。比較的に大きい体積のインクは、アニロックスロールの動作モードで転写されることとなる。1センチメートル当たり180ラインを有するアニロックスロールは、高い解像度を有することとなり、それらを、小さいセルに起因して被印刷物の上に詳細を印刷(たとえば、ハーフトーン印刷)するのにより適切なものにする。より高いラインスクリーンを有するアニロックスロールは、比較的に小さい体積を有するインクの液滴を転写することとなり、それは、アニロックスロールのこの動作モードにおいて、合計でより少ないインクを転写することを結果として生じさせることとなる。高いラインスクリーンを有するほとんどの先行技術のアニロックスロールは、インクの重い層を印刷するのに適切であることが少ない。
【0014】
[0014]先行技術の印刷方法において、バランスが、高い解像度と色の強度との間で見出されることとなる。より高いラインスクリーンは、より大きい深さを有するセルを設けられ得る。これは、セル体積を増加させることとなる。しかし、実際には、増加した深さのセルを使用することは、セルの中に残っているインク残留物の増加を結果として生じさせることとなる。セルからのすべてのインクが、印刷ロールの上に転写されることとなるとは限らない。したがって、依然として、印刷された被印刷物は、所望の色の強度を示していない可能性がある。そのうえ、増加した深さを有するセルを備えたアニロックスロールは、したがって、クリーニングすることがより困難である。
【発明の概要】
【0015】
[0015]現在知られているアニロックスロールは、印刷産業において現在設定されている基準を個別に満たしていない可能性がある。したがって、多くの用途において、異なるラインスクリーンを備えた異なるアニロックスロールが連続して使用されることが必要であり、それは、印刷プロセスの速度を落とすものであり、それは、印刷プロセスを多大な労力を必要とするものにし、時間がかかるものにし、および高価なものにする。そのうえ、アニロックスロールの上の公知のパターンは、印刷の間の(特に、アニロックスロールの高速ターニングの間の)重力またはアニロックスロールのターニングに起因して、インクの不均一な分配またはインクのスポイル(spoil)を結果として生じさせる可能性がある。そのうえ、アニロックスロールの上の公知のパターンは、ブレードによってインクの余りを掻き取るときに、ミスト効果を結果として生じさせる可能性があり、すなわち、インクが、空気の中にスプレーされ得る。
【0016】
[0016]本発明は、従来のものよりも良好なアニロックスロールを提供すること、および、アニロックスロールを作製し、形成し、または彫刻するためのより容易な方式を提供することを意図している。
【0017】
[0017]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールは、円筒状の形状と、印刷装置の中の流体を転写するためにその外側表面の上に提供されているパターンとを有しており、前記パターンは、少なくとも1つのチャネルを備え、少なくとも1つのチャネルは、流体を受け入れ、円筒の上に流体を分配し、流体を転写するためのものであり、チャネルは、アニロックスロールの円周方向に対して所定の角度で真っ直ぐなコース方向に延在するコースを有しており、それぞれのチャネルは、第1の壁部と、前記第1の壁部に対向する第2の壁部とによって限定されており、前記第1の壁部は、1つまたは複数のポイントにおいて第1の真っ直ぐな仮想ラインに接しているが、前記第1の真っ直ぐな仮想ラインに交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第1の仮想ラインは、チャネル側にあり、前記コース方向に対して平行になっており、前記第2の壁部は、1つまたは複数のポイントにおいて第2の真っ直ぐな仮想ラインに接しているが、前記第2の真っ直ぐな仮想ラインに交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第2の真っ直ぐな仮想ラインは、チャネル側にあり、前記第1の真っ直ぐな仮想ラインに対して平行になっており、前記第1の真っ直ぐな仮想ラインは、前記第2の真っ直ぐな仮想ラインから距離Dだけ分離されており、前記距離D=0、または、-12μm<D<12μm、好ましくは、-5μm<D<5μm、および、最も好ましくは、-2μm<D<2μmのいずれかである。
【0018】
[0018]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルの第1の壁部および第2の壁部は、位相差なしに互いに平行に蛇行している。
【0019】
[0019]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネル、ならびに、第1の壁部および第2の壁部は、正弦波状の波、鋸歯形状の波、または三角形形状の波などのような、繰り返しパターンを伴う波形状を有している。
【0020】
[0020]本発明の実施形態によれば、繰り返しパターンは、チャネルの幅の4倍未満の波長、好ましくは、チャネル幅の2倍未満の波長を有している。
【0021】
[0021]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、第1の壁部および第2の壁部と同一の繰り返しパターンを有している。
【0022】
[0022]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、5μmから150μmの間の、好ましくは、10μmから100μmの間の、さらにより好ましくは、20μmから80μmの間のチャネル幅を有している。
【0023】
[0023]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、ハーフトーン印刷およびフルトーン印刷に適切であるように配置されている。
【0024】
[0024]本発明の実施形態によれば、角度(β)は、0よりも大きい。
【0025】
[0025]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、断面ラインが真っ直ぐな境界ラインに対して垂直になっているときに、U字形状またはV字形状の断面を有している。
【0026】
[0026]本発明の実施形態によれば、U字形状またはV字形状の断面寸法は、チャネルのそれぞれのポイントに関して実質的に同じになっている。
【0027】
[0027]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、その全体長さに沿って同じになっているチャネル幅を有している。
【0028】
[0028]本発明の実施形態によれば、第1および第2の壁部は、1μm~10μmの範囲にある、好ましくは、1μm~5μmの範囲にある、最も好ましくは、1μm~3μmの範囲にある壁部幅を有している。
【0029】
[0029]本発明の実施形態によれば、チャネルは、アニロックスロールの有効表面の実質的に全体をカバーしている。
【0030】
[0030]本発明の実施形態によれば、印刷されることとなる被印刷物のための供給部と、インクのための供給部とを有する印刷デバイスを備える印刷装置であって、印刷デバイスは、軸受の中に装着されている上記実施形態のいずれかによるアニロックスロールを備える。
【0031】
[0031]本発明の実施形態によれば、印刷装置は、フレキソ印刷装置である。
【0032】
[0032]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールを形成するための方法は、細工されることとなる外側表面を有するアニロックスロールの円筒を供給することと、少なくとも1つの連続的レーザー供給源を供給することと、細工されたアニロックスロールを取得するための連続的レーザー供給源によって形成されているレーザースポットによって、アニロックスロールの外側表面をレーザー彫刻することとを備え、方法は、細工されることとなる外側表面の上でレーザースポットが往復移動することを可能にするために、レーザーの光路の中に光学ガイドを適用することをさらに備え、往復移動は、アニロックスロールを連続的に回転させながら、および、アニロックスロールの長手方向軸線に対して平行にレーザー供給源を移動させながら、前記長手方向軸線に対して平行になっている方向へのアニロックスロールの上のレーザースポットのシフトを引き起こし、レーザー供給源が、完全な外側表面を彫刻し、それによって、アニロックスロールの外側表面の中にチャネルを形成するようになっており、前記アニロックスロールは、上記実施形態のいずれかに記載のアニロックスロールである。
【0033】
[0033]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの経度に沿った往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、
-Ld<=2*((t2-t1)*Vs-A-Ww-Wb)<=Rd
を満たし、ここで、Aは、往復移動の振幅であり、Wwは、チャネルを形成する壁部の幅であり、Wbは、レーザーのビーム幅であり、t1およびt2は、アニロックスロールが同じ位置にターンするときの2つの隣接する時間ポイント(t2>t1)であり、LdおよびRdは、12μmであり、好ましくは、LdおよびRdは、5μmであり、より好ましくは、LdおよびRdは、2μmであり、さらにより好ましくは、Rdは0であり、Ldは5μmであり、または、さらにより好ましくは、2μmであり、最も好ましくは、Ld=Rd=0である。
【0034】
[0034]本発明の実施形態によれば、印刷プロセスにおいて使用されることとなるアニロックスロールを形成するように配置されている装置は、支持ユニットと、彫刻ユニットと、駆動ユニットとを備え、支持ユニットは、円筒形状のアニロックスロールを支持するように、および、長手方向軸線の周りにアニロックスロールを回転させるように配置されており、彫刻ユニットは、アニロックスロールの外側表面の上に構造体を彫刻するために、アニロックスロールの円筒軸線に対して平行移動するように配置されており、駆動ユニットは、彫刻ユニットの彫刻セッティングを駆動するように配置されており、彫刻ユニットは、少なくとも1つの連続的レーザー供給源を備え、少なくとも1つの連続的レーザー供給源は、レーザースポットによってアニロックスロールの外側表面をレーザー彫刻するように配置されており、彫刻ユニットは、レーザー供給源の光路の中に光学ガイドをさらに備え、レーザー供給源は、アニロックスロールの外側表面の上で、反復的な方式で、レーザースポットを往復移動させるように配置されており、光学ガイドは、アニロックスロールの長手方向軸線に対して主に平行になっている方向へのアニロックスロールの上の往復移動によってレーザースポットのシフトを引き起こすように配置されており、支持ユニットは、アニロックスロールを連続的に回転させるように配置されており、装置は、前記長手方向軸線に対して平行にレーザー供給源を連続的に移動させるように配置されており、レーザー供給源が完全な外側表面を彫刻するようになっており、それによって、アニロックスロールの外側表面の中にチャネルを形成するようになっている、装置において、装置は、方法の上記実施形態を実施するために配置されていることを特徴とする。
【0035】
[0035]本発明の実施形態によれば、光学ガイドは、音響光学変調器として実装される。
【0036】
[0036]本発明の実施形態によれば、光学ガイドは、移動ユニットによって彫刻ユニットに接続されており、移動ユニットは、レーザースポットが往復移動することを可能にするように配置されている。
【0037】
[0037]本発明は、添付の図面を参照してより詳細に下記に議論されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】[0038]典型的なフレキソ印刷プロセスおよび/または装置を示すダイアグラム。
【
図2A】[0039]従来技術によるアニロックスロールの表面の詳細図の例を示す図。
【
図2B】従来技術によるアニロックスロールの表面の詳細図の例を示す図。
【
図3A】[0040]従来技術によるアニロックスロールの表面部分の詳細図の例を示す図。
【
図3B】従来技術によるアニロックスロールの表面部分の詳細図の例を示す図。
【
図4】[0041]本発明によるアニロックスロールの表面部分の詳細図の例を示す図。
【
図5A】[0042]本発明によるアニロックスロールの表面部分の詳細図の例を示す図。
【
図5B】本発明によるアニロックスロールの表面部分の詳細図の例を示す図。
【
図6】[0043]本発明によるアニロックスロールの表面部分の詳細図の例を示す図。
【
図7】[0044]本発明によるアニロックスロールのチャネル状のパターンを通る断面を示す図。
【
図8】[0045]本発明によるアニロックスロールの作製の仕方を示すダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[0046]本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書で下記に説明されることとなる。しかし、本開示の実施形態は、特定の実施形態に限定されず、すべての修正例、変形例、均等のデバイスおよび方法、ならびに/または、本開示の代替的な実施形態を含むものとして解釈されるべきである。
【0040】
[0047]本明細書で使用されているような「有する」、「を有することが可能である」、「含む」、および「含むことが可能である」という用語は、対応する特徴(たとえば、数値、機能、動作、またはパーツなどのようなエレメント)の存在を示しており、追加的な特徴の存在を除外していない。
【0041】
[0048]本明細書で使用されているような「AまたはB」、「Aまたは/およびBのうちの少なくとも1つ」、または、「Aまたは/およびBのうちの1つまたは複数」という用語は、それらによって列挙されているアイテムのすべての可能な組み合わせを含む。たとえば、「AまたはB」、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、または「AまたはBのうちの少なくとも1つ」は、(1)少なくとも1つのAを含むこと、(2)少なくとも1つのBを含むこと、または、(3)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBの両方を含むことを意味している。
【0042】
[0049]本明細書で使用されているような「第1の」および「第2の」などのような用語は、対応するエレメントの順序および/または重要性にかかわらず、さまざまなエレメントを修飾することが可能であり、対応するエレメントを限定しない。これらの用語は、1つのエレメントを別のエレメントから区別する目的のために使用され得る。たとえば、第1のエレメントは、本発明の範囲から逸脱することなく第2のエレメントと称され得り、同様に、第2のエレメントは、第1のエレメントと称され得る。
【0043】
[0050]エレメント(たとえば、第1のエレメント)が別のエレメント(たとえば、第2のエレメント)に「(動作可能にもしくは通信可能に)連結されている」または「接続されている」ときには、エレメントは、別のエレメントに直接的に連結され得り、また、介在するエレメント(たとえば、第3のエレメント)がエレメントと別のエレメントとの間に存在する可能性があるということが理解されることとなる。それとは対照的に、エレメント(たとえば、第1のエレメント)が別のエレメント(たとえば、第2のエレメント)に「直接的に連結されている」または「直接的に接続されている」ときには、介在するエレメント(たとえば、第3のエレメント)がエレメントと別のエレメントとの間に存在しないということが理解されることとなる。
【0044】
[0051]本明細書で使用されているような「ように構成されている(または、ように設定されている)」という表現は、文脈にしたがって、「のに適切な」、「する能力を有している」、「ように設計されている」、「ように適合されている、」、「ように作製されている」、または「ことができる」と相互交換可能に使用され得る。「ように構成されている(ように設定されている)」という用語は、必ずしも、ハードウェアレベルで「ように具体的に設計されている」ということを意味しているとは限らない。その代わりに、「…ように構成されている装置」という表現は、特定の文脈において、装置が他のデバイスまたはパーツとともに「…ことができる」ということを意味することが可能である。
【0045】
[0052]本開示のさまざまな実施形態を説明する際に使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、本開示を限定することを意図していない。本明細書で使用されているように、文脈が明確に別段の指示をしていない限り、単数形は、同様に複数形を含むことを意図している。技術的なまたは科学的な用語を含む、本明細書で使用されている用語のすべては、それらが別段の定義をされていない限り、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書の中に定義されている用語は、関連の技術の文脈上の意味と同じまたは同様の意味を有するものとして解釈されるべきであり、それらが本明細書で明確に定義されていない限り、理想的なまたは誇張された意味を有するものとして解釈されるべきではない。状況によっては、本開示の中で定義されている用語でさえ、本開示の実施形態を排除するものとして解釈されるべきではない。
【0046】
[0053]
図2aは、アニロックスロール104の表面の詳細図を示す例である。示されている表面構造体は、先行技術から公知である。
図2aは、全体の表面の一部分だけを示しているに過ぎない。示されている構造体は、完全な有効表面、すなわち、実際の印刷プロセスにおいて使用され得る表面部の上に存在している。アニロックスロール104は、構造体14を設けられており、構造体14は、複数の規則正しく位置決めされた閉じたセル15から形成され得る。セル15は、アニロックスロール104の中の凹部によって形成されている。セル15は、幅w1を有する側壁部17によって互いから分離されている。従来技術によれば、幅w1は、3μm~20μmであることが可能である。側壁部は、インクが1つのセルから別のセルへ移動することができないことを確実にする。表面構造体14を有するアニロックスロール104の表面の上にインクが提供される場合には、側壁部17が、インクレベルの上方に延在することとなる。インクは、セル15の中に存在していることとなる。余剰のインクは、ブレード103によって除去されることとなる。
【0047】
[0054]セルは、3μm~20μmのオーダーの全体的なサイズh(すなわち、1つの壁部から対向する壁部へ)を有している。使用の間に、アニロックスロールの表面は、摩耗によって影響を与えられる。結果的に、壁部(それは、傾けられた側面を有している)は、時間の経過とともにより厚くなり、全体的なサイズhはより小さくなる。特定の使用の期間の後に、摩耗が壁部にあまりに損傷を与えるので、表面が再加工される必要がある。それぞれのセルは、深さ(図示せず)を有している。それぞれのセルは、特定の体積を有している。インク体積は、印刷ロールおよび被印刷物の上に転写されることとなるインク液滴に対応している。
図2aの中のセルは、六角形に形状決めされており、セルは、ハニカム状の構造体の中に位置決めされている。しかし、セルの他の形状も可能である。2つの近隣のセルの中心点の間の距離c(ここで、その距離は、ロールの回転/円周方向に対して垂直に測定される)は、アニロックスロールのラインスクリーンを決定する。先行技術のセル状表面構造体に関する公知のラインスクリーンは、1cm当たり100、120、140、180ラインである。ラインスクリーンは、この文献の中で後でより詳細に議論されることとなる。
【0048】
[0055]アニロックスロールから印刷ロールの上にインクを転写する際の問題は、
図2aに示されているようなアニロックスロールの表面の上に形成されたこのセルの中に、インクが残る可能性があるということである。インクの粘度、および、印刷プロセスの速度は、アニロックスロールの上に残るインクを結果として生じさせる可能性がある。これは、被印刷物の印刷に影響を与えることとなる。そのうえ、セルは、インクの中へ空気を持ち込む空気ポンプとして機能し、インクの発泡を結果として生じさせる可能性があり、インクの中の前記空気は、セルの中への新しいインクの転写を制限することとなる。セルの中の空気は、インクによって交換されるべきであり、特定の量の時間が、そのような交換を行うために必要とされ、回転の速度を制限し、最後に印刷速度を制限する。
【0049】
[0056]
図2bは、従来技術によるアニロックスロール104の外側表面の別の例を示している。この実施形態では、チャネル18が、アニロックスロールの外側表面に沿って適用されている。チャネルは、幅h(15μm~120μm)を有しており、厚さtを有する壁部19によって互いから分離されている。チャネルの長手方向は、アニロックスロールの回転の方向Rに対して角度αで位置決めされている。角度αは、誇張された形態で示されている。いくつかの適用例では、示されているチャネルは、アニロックスロールの一方の端部から他方の端部へアニロックスロールの外側表面の上に螺旋状になっている単一のチャネルの実際に平行なチャネル部分である。次いで、角度αは、当業者に明らかになることとなるように、チャネルの幅と、レーザービームの上のフィードと、壁部の幅とに依存する。代替的に、示されているチャネルは、複数の平行の螺旋状チャネルを備える表面パターンの一部であることが可能である。そのような実施形態は、滑らかな方式で被印刷物にインクを適用するのに適切である。チャネルは真っ直ぐなラインとして設計されているということ、および、したがって、チャネルの中にインクを広める際に制限はないということが明らかである。したがって、
図2bに示されているセルの中のインクの容易で自由な移動に起因して、インクは、重力またはアニロックスロールのスピニング(特に、高速スピニング)によって、空気の中に不均一に分配またはスポイルされ得る(spoiled)。
【0050】
[0057]
図3Aおよび
図3Bは、WO2009/082225から一般的に公知のアニロックスロールの表面の詳細図の例である。
【0051】
[0058]アニロックスロールは、アニロックスロールの外側表面の上に、チャネルとチャネル壁部とを備え、チャネルおよびチャネル壁部は、外側表面の上の特定のパターンの蛇行および/または波であり、たとえば、正弦波、鋸歯、三角形、または他の規則的なパターンなどの形態になっている。たとえば、
図3Aにあるように、3つの隣接するチャネル壁部301a、301b、および301cは、2つの隣接するチャネル302aおよび302bを形成している。チャネル302aおよび302bは、ファウンテンロール102またはインクファウンテン101からインクを受け入れるために、また、次いで、印刷フォーム105または印刷ロール106にインクを転写するために、アニロックスロール104の外側表面の上に位置付けされている。繰り返しになるが、示されているすべてのチャネル302aおよび302bは、実際には、アニロックスロール104の外側有効表面の上に螺旋状になっている単一のチャネルの一部分であることが可能である。そのケースにおいて、壁部301aおよび301bは、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の壁部の一部分である。そのうえ、仮想の真っ直ぐなライン303aおよび303cは、次いで、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の仮想の真っ直ぐなラインの一部分である。また、仮想の真っ直ぐなライン303bおよび303dは、次いで、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の仮想の真っ直ぐなラインの一部分である。仮想の真っ直ぐなライン303および303cは、詳細に後に議論されることとなる。
【0052】
[0059]代替的に、チャネル302aおよび302bは、アニロックスロール104の外側表面の上に螺旋状になっている2つ以上の平行のチャネルの一部分であることが可能である。
【0053】
[0060]以下の説明において、「左」および「右」という用語は、アニロックスロールの長手方向軸線に対して垂直の円周方向のラインに対して定義されている。当業者は、本出願の文脈においてこれらの用語の意味を理解するべきである。
【0054】
[0061]
図3Aの中の壁部301a、301b、301cのそれぞれは、2つの真っ直ぐな仮想ラインの間に含有され得り、これらの2つの真っ直ぐな仮想ラインの間に最小距離を伴っている。2つの真っ直ぐな仮想ラインは、互いに平行になっている。たとえば、壁部301aは、2つの真っ直ぐな仮想ライン303aおよび303bの間に含有されており、ここで、真っ直ぐな仮想ライン303aは、壁部301aの左側にあり、真っ直ぐな仮想ライン303bは、壁部301aの右側にある。平行の仮想ライン303aおよび303bは、壁部301aの1つまたは複数のピークに接している。したがって、仮想ライン303aと303bとの間のエリアは、壁部301aがその中に位置付けされているアニロックス表面の上のエリアを画定している。別の言い方をすれば、ここで、最小距離は、壁部301a全体を含有するときに、真っ直ぐな仮想ライン303aと303bとの間の距離がより小さくなることができないということを意味している。すなわち、壁部301aの右側にある真っ直ぐな仮想ライン303bは、壁部301aに対して最小距離を有しており、または、換言すれば、壁部301aの上のポイントのそれぞれは、(真っ直ぐな仮想ライン303bが壁部301aの右側にあるときに)真っ直ぐな仮想ライン303bに対して最小可能距離を有している。
【0055】
[0062]真っ直ぐな仮想ラインは、アニロックスロールの外側表面の上に位置付けされており、チャネル302a、302bのように、外側表面の上の螺旋を辿るということが理解されるべきである。アニロックスロールの外側表面が2D環境に置かれているときに、たとえば、平坦な表面の上に広げられているときに、仮想ラインは真っ直ぐになっている。真っ直ぐな仮想ラインのこの解釈は、本発明を理解するために使用されるべきである。
【0056】
[0063]同様に、壁部301bは、2つの平行の真っ直ぐな仮想ライン303cおよび303dの間に含有されており、これらの2つの真っ直ぐな仮想ラインの間に最小距離を伴っており、ここで、ライン303cは、壁部301bの左側にあり、ライン303dは、壁部301bの右側にある(303cと301bとの間におよび303dと301bとの間にオーバーラップは存在しない)。すべての仮想ライン303a、303b、303c、および303dは、平行になっている。真っ直ぐな仮想ライン303cと303dとの間の距離は、壁部301b全体を含有するときに、より小さくなることができない。したがって、壁部301bの左側にある真っ直ぐな仮想ライン303cは、壁部301bに対して最小距離を有しており、すなわち、壁部301bの上のそれぞれのポイントは、(303cが301bの左側にあるときに)真っ直ぐな仮想ライン303cに対して最小可能距離を有している。仮想ライン303cおよび303dは、壁部301bの1つまたは複数のピークに接している。したがって、仮想ライン303cと303bとの間のエリアは、壁部301bがその中に位置付けされているアニロックス表面の上のエリアを画定している。
図3Aの状況において、仮想ライン303aと303bとの間のエリアは、仮想ライン303cと303dとの間のエリアとオーバーラップしていない。
【0057】
[0064]仮想の真っ直ぐなラインは、また、上記とは異なって説明され得る。たとえば、チャネル302aは、2つの対向する壁部301aおよび301bによって限定されており、壁部301aは、壁部301bの左側にある。仮想の真っ直ぐなライン303bは、壁部301aの右側にあり、壁部301aに対して最小距離を伴っており、壁部301aは、ライン303bに交差していない。そして、別の仮想の真っ直ぐなライン303cは、壁部301bの左側にあり、壁部301bに対して最小距離を伴っており、壁部301bは、ライン303cに交差していない。
【0058】
[0065]
図3Aの例において、ライン303cは、ライン303bの右側にある。結果的に、壁部301aに関して右の真っ直ぐな仮想ライン303bと壁部301bに関して左の真っ直ぐな仮想ライン303cとの間に距離Dが存在しており、ライン303bは、ライン303cの左側にある。このケースでは、Dが比較的に大きい場合には、インクがチャネル302aの中に受け入れられて充填されるときに、チャネル302aの中に円周方向に自由に流れる部分が存在しており(すなわち、真っ直ぐな仮想ライン303bと303cとの間に)、チャネル302aの中において、インクは、チャネル302aのコースに沿って(すなわち、真っ直ぐな仮想ライン303bおよび/または303cのうちの1つの方向)直接的に流れることが可能である。ライン303bと303cとの間のこの円周方向に自由に流れる部分が幅広過ぎる場合には、それは、いくつかのシナリオにおいて不利である可能性があるということを本発明者は見出した。たとえば、ライン303bとライン303cとの間のこの部分の中のインクの自由な円周方向への移動の可能性に起因して、インクは、アニロックスがターンしているときには空気の中にスポイルされ得り、または、アニロックスロールの表面の上でのインクの少なくとも不均一な分配が引き起こされ得り、それは、望ましくない印刷結果につながる可能性がある。特定のインク粘度の場合、アニロックスロールのターニング速度が高いときに、すなわち、高い接線方向の速度のときに(それは、回転速度(毎分回転数)およびアニロックスロールの直径に依存する)、この不利益はより深刻になる可能性がある。
【0059】
[0066]
図3Aに関する上記の説明において、壁部に関して左および右の真っ直ぐな仮想ラインは、壁部の2つの真っ直ぐな境界ラインとして理解され得り、ここで、一方の境界ラインは、壁部のチャネル側にあり、他方の境界ラインは、壁部の他方の側にある。たとえば、
図3Aにおいて、壁部301aに関して2つの真っ直ぐな境界ライン303aおよび303bが存在している。チャネル302aを考えるとき、真っ直ぐな境界ライン303bは、壁部301aのチャネル302a側にあり、真っ直ぐな境界ライン303aは、壁部の他方の側にある。同様に、壁部301bに関して2つの真っ直ぐな境界ライン303cおよび303dが存在している。チャネル302aを考えるとき、真っ直ぐな境界ライン303cは、壁部301aのチャネル302a側にあり、真っ直ぐな境界ライン303dは、壁部の他方の側にある。したがって、2つの真っ直ぐな仮想ラインの間の上述の距離は、2つの真っ直ぐな境界ラインの間の距離として理解され得り、その2つの真っ直ぐな境界ラインのそれぞれは、2つの隣接する壁部がチャネルを形成するときに、壁部のチャネル側にある。
図3Aのケースにおいて、真っ直ぐな境界ライン303cは、壁部301aとオーバーラップしておらず、および/または、真っ直ぐな境界ライン303bは、壁部301bとオーバーラップしていない。このケースでは、相対的に幅の広いチャネル302aが、2つの壁部301aおよび301bによって形成されている。
【0060】
[0067]
図3Bは、アニロックスロールの外側表面の上のチャネルおよび壁部の別の公知の正弦波パターンを示している。たとえば、このパターンでは、3つの隣接する壁部311a、311b、および311cが、2つのチャネル312aおよび312bを形成している。チャネル312aおよび312bは、
図3Aのチャネル302aおよび302bよりも(はるかに)狭くなっていることが可能である。より具体的には、
図3Aと同様に、
図3Bの2つの真っ直ぐな仮想ライン313aおよび313bは、その間に壁部311aを含有しており、仮想ライン313aと313bとの間に最小距離を伴っており、ここで、仮想ライン313aは、壁部311aの左側にあり、仮想ライン313bは、壁部311aの右側にある(仮想ライン313aと壁部311aとの間におよび仮想ライン313bと壁部311aとの間にオーバーラップは存在しない)。仮想ライン313aおよび313bは、互いに平行になっており、壁部311aの1つまたは複数のピークに接している。したがって、仮想ライン313aと313bとの間のエリアは、壁部311aがその中に位置付けされているアニロックス表面の上のエリアを画定している。
【0061】
[0068]2つの真っ直ぐな仮想ライン313cおよび313dは、その間に壁部311bを含有しており、仮想ライン313cと313dとの間に最小距離を伴っており、ここで、ライン313cは、壁部311bの左側にあり、ライン313dは、壁部311bの右側にある(313cと311bとの間におよび313dと311bとの間にオーバーラップは存在しない)。すなわち、
図3Aの中の仮想ラインと同様に、真っ直ぐな仮想ライン313bは、最小距離を伴って壁部311aの右側にあり、真っ直ぐな仮想ライン313cは、最小距離を伴って壁部311bの左側にある。仮想ライン313cおよび313dは、互いに平行になっており、壁部311bの1つまたは複数のピークに接している。したがって、仮想ライン313cと313dとの間のエリアは、壁部311bがその中に位置付けされているアニロックス表面の上のエリアを画定している。
図3Bの状況において、仮想ライン313aと313bとの間のエリアは、仮想ライン313cと313dとの間のエリアとオーバーラップしている。
【0062】
[0069]仮想の真っ直ぐなラインは、また、上記とは異なって説明され得る。たとえば、2つの壁部311aおよび311bが存在しており、壁部311aは、壁部311bの左側にある。仮想の真っ直ぐなライン313bは、(オーバーラップを伴わず)壁部311aの右側にあり、壁部311aに対して最小距離を伴っている。そして、別の仮想の真っ直ぐなライン313cは、(オーバーラップを伴わず)壁部311bの左側にあり、壁部311bに対して最小距離を伴っている。
【0063】
[0070]すべての仮想の真っ直ぐなライン313a、313b、313c、および313dは、互いに平行になっており、
図3Bに示されているパターンもアニロックスロール表面の上に螺旋状になっているときに、アニロックスロール表面の上に螺旋状になっている。
【0064】
[0071]繰り返しになるが、示されているすべてのチャネル312aおよび312bは、実際には、アニロックスロール104の外側有効表面の上に螺旋状になっている単一のチャネルの一部分であることが可能である。そのケースにおいて、壁部311aおよび311bは、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の壁部の一部分である。そのうえ、仮想の真っ直ぐなライン313aおよび313cは、次いで、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の仮想の真っ直ぐなラインの一部分である。また、仮想の真っ直ぐなライン313bおよび313dは、次いで、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の仮想の真っ直ぐなラインの一部分である。
【0065】
[0072]代替的に、チャネル312aおよび312bは、アニロックスロール104の外側表面の上に螺旋状になっている2つ以上の平行のチャネルの一部分であることが可能である。
【0066】
[0073]
図3Bの例において、ライン313bは、ライン313cの右側にあり、これらの2つのラインの間に距離Dが存在している。追加的に、Dが比較的に大きい場合には、いくつかの不利益が存在している。たとえば、インクの自由な移動が壁部によって阻止されることに起因して、チャネルの中のインク移動が困難である。結果的に、ブレード103がアニロックスロールから余分なインクを掻き落とすために使用されるときには、それは、「ミスト効果」を引き起こす可能性があり、すなわち、インクがチャネルの中に迅速に分配されることができないので、微細なインク液滴が空気の中にスプレーされる。特定のインク粘度の場合、アニロックスロールのターニング速度が高いので、すなわち、高い接線方向の速度(アニロックスの表面速度)(それは、回転速度(毎分回転数)およびアニロックスロールの直径に依存する)を有するので、ミスト効果は、高速印刷において悪くなる。
【0067】
[0074]
図3Bに関する上記の説明において、壁部に関して左および右の真っ直ぐな仮想ラインは、壁部の2つの真っ直ぐな境界ラインとして理解され得り、ここで、一方の境界ラインは、壁部のチャネル側にあり、他方の境界ラインは、壁部の他方の側にある。たとえば、
図3Bにおいて、壁部311aに関して2つの真っ直ぐな境界ライン313aおよび313bが存在している。チャネル312aを考えるとき、真っ直ぐな境界ライン313bは、壁部311aのチャネル312a側にあり、真っ直ぐな境界ライン313aは、壁部の他方の側にある。同様に、壁部311bに関して2つの真っ直ぐな境界ライン313cおよび313dが存在している。チャネル312aを考えるとき、真っ直ぐな境界ライン313cは、壁部311aのチャネル312a側にあり、真っ直ぐな境界ライン313dは、壁部の他方の側にある。したがって、2つの真っ直ぐな仮想ラインの間の上述の距離は、2つの真っ直ぐな境界ラインの間の距離として理解され得り、その2つの真っ直ぐな境界ラインのそれぞれは、2つの壁部が隣接してチャネルを形成するときに、壁部のチャネル側にある。
図3Bのケースにおいて、真っ直ぐな境界ライン311cは、壁部311aとオーバーラップしており、および/または、真っ直ぐな境界ライン311bは、壁部311bとオーバーラップしている。このケースでは、非常に幅の狭いチャネル312aが、2つの壁部311aおよび311bによって形成されている。
【0068】
[0075]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールのチャネルおよび壁部パターンが、
図4に示されている。一般的に、チャネル402a、402bと壁部401a、401b、401c、および401dの両方の形状を画定するパターンは、正弦波、鋸歯、三角形パターン、および、任意の他の適切な規則的な繰り返しパターンのうちの1つであることが可能である。好ましくは、パターンは、有効表面積全体を横切って、アニロックスロール表面の上に螺旋状になっている。チャネル402a、402bの対向する側部における隣接する壁部は、好ましくは、同位相関係で平行になっている。パターンが正弦波、鋸歯、および三角形のうちの1つであるときには、波パターンの振幅と波長との間の適切な比率は、>1/8の範囲の中にあることが可能であり、好ましくは、>1/2の範囲の中にあることが可能である。
【0069】
[0076]
図4は、2つの隣接するチャネル(左から右へ)402aおよび402bを形成する3つの隣接する壁部(左から右へ)401a、401b、および401cを示している。2つの平行の真っ直ぐな仮想ライン403aおよび403bは、その間に壁部401aを含有しており、403aと403bとの間に最小距離を伴っており、ここで、ライン403aは、壁部401aの左側にあり、ライン403bは、壁部401aの右側にある(ライン403aと壁部401aとの間におよびライン403bと壁部401aとの間にオーバーラップは存在しない)。2つの真っ直ぐな仮想ライン403cおよび403dは、その間に壁部401bを含有しており、403cと403dとの間に最小距離を伴っており、ここで、ライン403cは、壁部401bの左側にあり、ライン403dは、壁部401bの右側にある(ライン403cと壁部401bとの間におよびライン403dと壁部401bとの間にオーバーラップは存在しない)。すなわち、
図3Aおよび
図3Bの中の仮想ラインと同様に、真っ直ぐな仮想ライン403bは、最小距離を伴って壁部401aの右側にあり、真っ直ぐな仮想ライン403cは、最小距離を伴って壁部4011bの左側にある。仮想ライン403aおよび403bは、互いに平行になっており、壁部401aの1つまたは複数のピークに接している。したがって、仮想ライン403aと403bとの間のエリアは、壁部401aがその中に位置付けされているアニロックス表面の上のエリアを画定している。同様に、仮想ライン403cおよび403dは、互いに平行になっており、壁部401bの1つまたは複数のピークに接している。したがって、仮想ライン403cと403dとの間のエリアは、壁部401bがその中に位置付けされているアニロックス表面の上のエリアを画定している。
【0070】
[0077]仮想の真っ直ぐなラインは、また、上記とは異なって説明され得る。たとえば、チャネル402aは、2つの対向する壁部401aおよび401bによって限定されており、壁部401aは、壁部401bの左側にある。仮想の真っ直ぐなライン403bは、(交差を伴わず)壁部401aの右側にあり、壁部401aに対して最小距離を伴っている。そして、別の仮想の真っ直ぐなライン403cは、(交差を伴わず)壁部401bの左側にあり、壁部401bに対して最小距離を伴っている。
【0071】
[0078]繰り返しになるが、示されているすべてのチャネル402aおよび402bは、実際には、アニロックスロール104の外側有効表面の上に螺旋状になっている単一のチャネルの一部分であることが可能である。そのケースにおいて、壁部401a、401b、および401cは、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の壁部の一部分である。そのうえ、仮想の真っ直ぐなライン403aおよび403cは、次いで、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の仮想の真っ直ぐなラインの一部分である。また、仮想の真っ直ぐなライン403bおよび403dは、次いで、実際には、有効な外側アニロックス表面の上に螺旋状になっている単一の仮想の真っ直ぐなラインの一部分である。
【0072】
[0079]代替的に、チャネル402aおよび402bは、アニロックスロール104の外側表面の上に螺旋状になっている2つ以上の平行のチャネルの一部分であることが可能である。
【0073】
[0080]
図3Aまたは
図3Bとは異なり、
図4では、ライン403bおよび403cは、互いに一致しており、または、実質的に一致している。別の言い方をすれば、ライン403bと403cとの間の距離Dは、0に等しい。本発明者は、このセットアップがいくつかの利点を有するということを見出した。
図4のパターンの場合、チャネルに沿ったインクの自由な移動を可能にするための自由に流れるチャネル部(たとえば、
図3Aの中の303bと303cとの間など)が存在していない。したがって、インクは、アニロックスロールのターニングに起因して空気の中にスプレーされにくくなり、インクは、アニロックスロールのチャネルの異なるパーツの中に均一に分配されやすくなる。そのうえ、
図4の中のパターンの場合、インクは、
図3Bにおけるものよりも壁部によって阻止されにくく、したがって、インクは、チャネルの中をより容易に移動し、上述のミスト効果を防止することが可能であり、より迅速にチャネルの中に分配され得る。正確な波パターン(すなわち、チャネル幅、パターンの振幅、およびパターンの波長)に応じて、幅広い印刷用途が、フルトーン範囲とハーフトーン範囲の両方においてサポートされ得る。パターン
図4は、同様の状況下における他のパターンと比較して、インクのスプレーおよびミスト効果を考えた非常に良好でバランスの取れた性能を有しているということを実験が示している。
【0074】
[0081]
図4に関する上記の説明において、壁部に関して左および右の真っ直ぐな仮想ラインは、壁部の2つの真っ直ぐな境界ラインとして理解され得り、ここで、一方の境界ラインは、壁部のチャネル側にあり、他方の境界ラインは、壁部の他方の側にある。たとえば、
図4において、壁部401aに関して2つの真っ直ぐな境界ライン403aおよび403bが存在している。チャネル402aを考えるとき、真っ直ぐな境界ライン403bは、壁部401aのチャネル402a側にあり、真っ直ぐな境界ライン403aは、壁部の他方の側にある。同様に、壁部401bに関して2つの真っ直ぐな境界ライン403cおよび403dが存在している。チャネル402aを考えるとき、真っ直ぐな境界ライン403cは、壁部401aのチャネル402a側にあり、真っ直ぐな境界ライン403dは、壁部の他方の側にある。したがって、2つの真っ直ぐな仮想ラインの間の上述の距離は、2つの真っ直ぐな境界ラインの間の距離として理解され得り、その2つの真っ直ぐな境界ラインのそれぞれは、2つの壁部が隣接してチャネルを形成するときに、壁部のチャネル側にある。
図4のケースにおいて、真っ直ぐな境界ライン403cおよび真っ直ぐな境界ライン403bは、実質的に同じラインである。
【0075】
[0082]仮想ライン/境界ライン403bおよび403cは、
図4に示されているように正確に一致する必要はないということを実験が示している。
図3Aおよび
図3Bの一般的な先行技術に対して改善された性能が、
-12μm<D<12μm、
好ましくは、-5μm<D<5μm、
より好ましくは、-3μm<D<3μm、
さらにより好ましくは、-2μm<D<2μm、および
最も好ましくは、D=0(
図4のものと同様)
のときに実現され得る。D>0は、ライン403cがライン403bの右に位置付けされており、非常に僅かな真っ直ぐな自由なインクのフローが依然として可能であるという状況を示しているということに留意されたい。D<0は、ライン403cがライン403bの左に位置付けされており、ライン403aと403bとの間のエリアがライン403cと404dとの間のエリアとオーバーラップしており、真っ直ぐな自由なインクのフローが可能でないという状況を示している。
【0076】
[0083]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの外側表面の上のチャネルは、アニロックスロール外側表面の上に同じコースを有している。また、アニロックスロールの外側表面の上の壁部は、同じコースを有している。たとえば、
図4にあるように、チャネル402aおよび402bは、同じまたは同様の形状を有しており、壁部401a、401b、および401cは、同じ形状を有しており、それは、また、チャネル402aおよび402bと同じ形状であり、すなわち、壁部とチャネルの両方が、正弦波状の形状になっている。
【0077】
[0084]いくつかの他の例は、
図5Aおよび
図5Bに示されており、
図5Aおよび
図5Bは、本発明の代替的な例である。たとえば、
図5Aにおいて、壁部は、鋸歯パターンを有しており、チャネルは、同様の形状を有している。
図5Bにおいて、壁部およびチャネルは、同様の三角形形状を有している。しかし、壁部の形状は、チャネルの形状とは異なっていることが可能である。たとえば、チャネルは、接続されたセルの形状(すなわち、真珠ネックレス形状と同様)になっていることが可能であるが、チャネルの周りの壁部は、異なる形状になっていることが可能である。
【0078】
[0085]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの外側表面の上のチャネルおよび/または壁部は、繰り返しパターン、たとえば、(
図3A、
図3B、および
図4にあるような)正弦波状の波、
図5Aにあるような鋸歯形状の波、および、
図5Bにあるような三角形形状を有することが可能である。チャネルおよび/または壁部の他の繰り返し形状も可能であり、たとえば、それは、接続された繰り返しセルによって形成されたチャネルであり、ここで、セルは、円形、楕円形、正方形、または他の可能な形状を有することが可能である。
【0079】
[0086]本発明の実施形態によれば、チャネルは、同じ幅を有しており、および/または、壁部は、同じ幅を有している。同じチャネル幅を有するチャネルは、アニロックスロールの表面にわたってインクの均一な分配を結果として生じさせることが可能である。壁部幅は、実質的に同じであり、それは、実質的に同じチャネル幅を結果として生じさせることが可能である。チャネル幅は、壁部幅よりも大きくなっていてもよく、または、壁部幅よりも小さくなっていてもよい。
【0080】
[0087]
図5Aおよび
図5Bの実施形態のチャネルおよび壁部のサイズ、ならびに、Dの値は、
図4の実施形態を参照して上記に述べられているものと同じであることが可能である。
【0081】
[0088]本発明の実施形態によれば、チャネルのそれぞれは、真っ直ぐな仮想ライン(たとえば、
図4の中の403a、403b、403c、または403d)に対して垂直のU字形状またはV字形状の断面を有している。好ましくは、U字形状またはV字形状のサイズ(すなわち、幅および深さ)は、アニロックスロール表面全体を横切って、チャネルのそれぞれのパーツに関して均一になっている。U字形状またはV字形状は、湾曲したまたは平坦な底部を有することが可能である。U字形状またはV字形状の開口部の幅は、底部の幅よりも大きくなっていてもよく、または、底部の幅と同じになっていてもよい。
【0082】
[0089]
図7は、壁部およびチャネルの1つの例の断面図を示している。参照数字701aおよび701bは、壁部を表しており、702aおよび702bは、チャネルを表している。
図7に示されているように、壁部701a、701bのパーツの壁部厚さ/幅は、アニロックスロール104の表面からの深さに伴って変化することが可能である。たとえば、アニロックスの表面の上の壁部701a、701bの厚さは、アニロックスロール104の中のより深い壁部701a、701bの部分を考えるときの壁部701a、701bの厚さよりも小さくなっていることが可能である。すなわち、壁部701a、701bの上部は、壁部の底部よりも薄くなっている(壁部の底部よりも小さい幅を有する)ことが可能である。したがって、壁部701a、701bは、上下逆さのU字またはV字の断面形状を有することが可能である。アニロックスロール104の表面から深さ方向への壁部幅/厚さの差に起因して、壁部701a、701bの幅/厚さは、しばらくの間使用された後に変化する可能性がある。すなわち、アニロックスロールの摩滅は、アニロックスロール表面の上の壁部701a、701bの幅を増加させる可能性がある。たとえば、
図7において、長時間の使用の後に、壁部701a、701bの上部の厚さが増加する可能性があり、結果的に、チャネル702a、702bの幅が減少する可能性があり、それは、距離Dの減少を結果として生じさせる。
【0083】
[0090]本発明の実施形態によれば、チャネルは、互いに平行になっている。より好ましくは、チャネルは、位相差なしに互いに平行になっており、それは、
図4および
図5Bに示されているように同じ幅を有するチャネルを結果として生じさせることが可能である。本発明の実施形態によれば、壁部は、
図4、
図5A、および
図5Bに示されているように互いに平行になっていることが可能である。より好ましくは、壁部は、位相差なしに互いに平行になっており、それは、
図4および
図5Bに示されているように一定の幅を有するチャネルを結果として生じさせることが可能である。
【0084】
[0091]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの外側表面の上のチャネルは、1つのチャネルまたは複数のチャネルとは異なるパーツであることが可能である。たとえば、表面の上に1つだけのチャネル(すなわち、連続的なチャネル)が存在しており、それは、アニロックスロールの表面の上に螺旋形状(または、スプリング形状)を有しており(たとえば、アニロックスロールの円周方向に対して所定の角度で延在している)、螺旋形状(すなわち、スプリング形状)の中心軸線は、円筒形状のアニロックスロールの中心軸線と同じである。そして、このチャネル/これらのチャネルの一部は、
図3A、
図3B、
図4、
図5A、または
図5Bに示されているように、アニロックスロールの表面の上にパターンを形成することが可能である。したがって、パターンは、1つの連続的なチャネルによって、または、複数の連続的なチャネルによって形成され得る。
【0085】
[0092]本発明の実施形態によれば、いくつかの仮想の真っ直ぐなラインは、アニロックスロールの軸線方向に沿って螺旋形状(すなわち、スプリング形状)の1つの仮想の真っ直ぐなラインからのパーツであることが可能である。たとえば、
図4の中の仮想ライン403a、403b、403c、または403dは、螺旋形状(すなわち、スプリング形状)の1つの仮想ラインからのパーツであることが可能である。
【0086】
[0093]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの周囲部に沿った1周の長さにわたって、チャネルは、整数個の繰り返しパターンを含有することが可能であり(1つのパターンは、たとえば、1つのサイナス(sinus)、1つの鋸歯、1つの三角形などである)、それは、平行でのチャネルを結果として生じさせることとなる。
【0087】
[0094]本発明の実施形態によれば、チャネルのコースは、円筒形状のアニロックスロールの円周方向に対して角度βを有することが可能である。例が、
図6に示されており、ここで、ライン601は、円筒形状のアニロックスロールの円周方向であり、ライン602は、チャネルのコースを示している。
図6の実施形態において、パターンは、正弦波パターンであり、コース602は、正弦波の中心線と一致している。チャネルのコース602は、真っ直ぐな仮想ライン603aおよび/または603bに対して平行になっており、真っ直ぐな仮想ライン603aおよび603bは、その間に壁部を含有しており、ライン603aと603bとの間に最小距離を伴っている。円周方向601とチャネルコース602との間の角度βは、0よりも大きいが、ほとんどのケースにおいて、非常に小さい。角度βの実際の値は、平行の螺旋状チャネルの数、チャネルの幅、壁部の厚さ、および、アニロックスロール104の直径に依存する。
【0088】
[0095]本発明の実施形態によれば、チャネルおよび壁部は、アニロックスロールの有効な外側表面全体をカバーしている。好ましくは、チャネルおよび/または壁部のパターンは、アニロックスロールの外側表面全体にわたって同じであるかまたは実質的に同じである。
【0089】
[0096]本発明の実施形態によれば、印刷装置(たとえば、
図1にあるようなもの)は、本出願に述べられているアニロックスロールを備える。好ましくは、印刷装置は、フレキソ印刷装置である。
【0090】
[0097]アニロックスロールは、2つの重要なパラメーター、すなわち、ラインスクリーンおよび体積を有している。ラインスクリーンは、通常、1メートルまたは1センチメートル当たりのセルの数であり、または、1メートルまたは1センチメートル当たりのライン(すなわち、壁部もしくはチャネル)の数である。たとえば、
図2bのパターンの場合、ラインスクリーンは、1メートル当たりの壁部の数であることが可能である。体積は、(たとえば、インクフィルムの形態で)アニロックスロールの表面の上の1平方メートルまたは1平方インチ当たりに含有されるインクの量である。体積に関して一般に使用される単位は、1平方インチ当たりのBillion Cubic Micron(BCM)(すなわち、BCM/inch
2、場合によっては、BCMは、産業界ではBCM/inch
2として直接的に使用されている)または1平方メートル当たり立方センチメートル(すなわち、cm
3/m
2、それは、アニロックスロールの表面の上の平均インクフィルム厚さとして理解され得る)である。
【0091】
[0098]通常、ラインスクリーン値は、印刷がどの程度きめ細かくなることができるかということを決定する。たとえば、ラインスクリーン値は、印刷のときにラインがどの程度細くなることができるかということを決定し、それは、コンピュータースクリーンまたはTVの中のピクセルのパラメーターと同様の概念である。体積値は、印刷がどの程度重くなることができるかということ(たとえば、高い色強度(ヘビーインク印刷))を決定し、それは、コンピュータースクリーンまたはTVの中の色強度パラメーターと同様の概念である。したがって、両方のパラメーターは、印刷産業において重要である。
【0092】
[0099]きめ細かい印刷(たとえば、テキスト印刷)に焦点を合わせる印刷プロセス/動作モードは、ハーフトーン印刷と称され得り、大きい連続的なエリアに焦点を合わせる印刷プロセス/動作モードは、産業界においてフルトーン印刷と称され得る。ハーフトーン印刷モードは、通常、インクフィルムの平均的な薄い層を必要とし、フルトーン印刷モードは、通常、インクフィルムの平均的な厚い層を必要とする。
【0093】
[00100]明らかに、ラインスクリーンおよび体積(すなわち、インクフィルムの厚さ)は、
図2Aに示されているようなセルを備えた従来のアニロックスロールにおいて、互いから完全に隔離されているとは限らない。たとえば、高いラインスクリーンは、表面の上のより多い壁部および浅いセルに起因して(小さいが深いセルは、クリーニングすることが困難である)、低いインク体積(すなわち、小さいインク液滴が、アニロックス表面の中に含有され、印刷ロールに転写される)を結果として生じさせる可能性がある。そして、低いラインスクリーンは、より少ない壁部および恐らくはより深いセルに起因して、高いインク体積を結果として生じさせる可能性がある(すなわち、大きいインク液滴が、アニロックス表面の中に含有され、印刷ロールに転写される)。従来のアニロックスロールに関するこれらの2つのパラメーターのいくつかの典型的な値は、以下の表の中に要約されている(Prof.K.-H.Meyerによる教科書「Technik Des Flexodrucks」の2006年版の第71頁の表64から)。
【0094】
【0095】
[00101]上記の表に示されているように、従来の/公知のアニロックスロールは、異なる要件を伴う異なる印刷シナリオにおいて(たとえば、詳細/ハーフトーン印刷プロセスにおいて、および、ヘビーインク/フルトーン印刷プロセスにおいて)、または、異なる要件を含有する1つの印刷シナリオにおいて(たとえば、詳細/ハーフトーン印刷およびヘビーインク/フルトーン印刷を同時に伴う1つの印刷プロセスにおいて)、使用されることができないということが明らかである。したがって、従来から、複数のアニロックスロールが、異なる印刷目的/プロセスのために必要とされており、それは、コストがかかる。より具体的には、公知のアニロックスロールの問題のうちの1つは、アニロックスロールが通常はラインスクリーンの単一の値を有しており、したがって、1つのタイプの印刷のためだけに働くということである。たとえば、公知のアニロックスロールは、被印刷物の上にイメージを印刷することを許容せず、そのイメージは、ヘビーインク/フルトーン印刷と詳細/ハーフトーン印刷の両方を同時に備える。アニロックスロールを交換することは、時間がかかりコストのかかるプロセスである。その理由は、印刷が一時的に無効化されることとなり、異なるラインスクリーンを有する異なるアニロックスロールが提供されることとなるからである。
【0096】
[00102]本発明の実施形態によれば、チャネルが、異なる動作モード/印刷モード、たとえば、詳細/ハーフトーン印刷およびヘビーインク/フルトーン印刷に適切になるように配置されており、すなわち、(たとえば、
図3、
図4、
図5、および
図6に示されているような)本発明において説明されているパターンを備えたアニロックスロールが、両方の印刷のために同時に使用され得る。
【0097】
[00103]インクの自由な移動が蛇行した壁部によって部分的に制限されるので、本発明は、特に、アニロックスロールが高い速度でスピンしているときに、インクのスポイルまたは不均一な分配を防止することが可能である。このインクスポイルおよびインクの不均一な分配(重力およびアニロックスロールのスピニングに起因する)は、
図2Bのパターンによって解決されることができない。追加的に、インクの自由な移動が本発明における壁部によって完全に阻止されるとは限らないので、インクファウンテンまたはファウンテンロールからインクを吸収し、次いで、アニロックスロールの表面の全体にわたって1つまたは複数のチャネルにわたってインクを分配することが容易である。また、本発明において、
図3Bに示されているパターンを備えるものよりも容易なインクの自由な移動に起因して(特に、D>5μmのとき)、ミスト効果が最小化される。
【0098】
[00104]本発明の実施形態によれば、チャネルのそれぞれは、5μmから150μmの間の、好ましくは、10μmから100μmの間の、さらにより好ましくは、20μmから80μmの間のチャネル幅を有している。そのうえ、壁部のそれぞれは、1μm~10μmの範囲にある、好ましくは、1μm~5μmの間の、さらにより好ましくは、1μm~3μmの間の壁部幅を有している。
【0099】
[00105]また、本発明は、アニロックスロールを形成するための方法に関する。方法は、細工されることとなる外側表面を有するアニロックスロールのための円筒を供給することを備える。方法は、好ましくは、少なくとも1つのレーザー供給源を提供することと、アニロックスロールの外側表面をレーザー彫刻することとを備える。当業者は、本発明による方法を実施するために、レーザーと同様の方式で働く将来の技法を使用できることとなるということが明らかになることとなる。
【0100】
[00106]本発明による方法は、レーザー供給源によって形成されるレーザースポットによって、アニロックスロールの外側表面をレーザー彫刻することを備える。レーザーおよびそのレーザースポットは、ビームの強度をアニロックスロールの上の小さい位置に焦点を合わせることができる。これは、アニロックスロールを細工することを可能にする。アニロックスロールは、印刷産業において使用され得る。
【0101】
[00107]本発明の実施形態による方法は、レーザースポットがアニロックスロール(アニロックスロールの外側表面が細工されることとなる)の長手方向への往復移動を実行することを可能にするために、レーザーの光路の中に光学ガイドを適用することを備えることが可能である。往復移動は、アニロックスロール表面の上のレーザースポットの位置における繰り返し移動をもたらす。好ましくは、往復移動は、アニロックスロールの長手方向軸線に対して主に平行になっている方向へのアニロックスロールの上のレーザースポットのシフトを引き起こす。これは、驚くほど簡単な方式で、細工されることとなる表面の上のレーザースポットの繰り返し移動を実行するための能力を生成させる。
【0102】
[00108]ある実施形態では、製造の間に、アニロックスロールは、一定の速度で回転する。そのうえ、パターンがその表面の上に螺旋状になっているコースを伴って作製されるときには、レーザー供給源およびアニロックスロールは、アニロックスロールの長手方向に互いに対して移動するように動作させられる。次いで、レーザースポットは、3つの成分、円周方向の成分(それは、一定である)、アニロックスロールに対するレーザー供給源の長手方向の移動によって引き起こされるような長手方向の移動、および、上述の往復移動によって、アニロックスロール表面に対して移動する。アニロックスロールの表面の表面材料の概して均一の蒸発が、それによって取得される。これは、概して均一なチャネル(たとえば、
図4、
図5A、
図5B、および
図6に示されている形状のうちの1つを有する)を形成することを可能にする。好ましくは、チャネルの深さおよび幅は、形成されるチャネルの全体を通して概して一定になることとなる。さらに、チャネルは、概してU字形状の断面を有することとなる。
【0103】
[00109]ある実施形態では、光学ガイドは、音響光学変調器AOMによって実装され、音響光学変調器AOMは、先行技術から公知である。往復移動は、変化する電流をAOMに供給することによって引き起こされる。この場合、レーザービームの軌跡の中の偏向が引き起こされ、レーザースポットの移動を結果として生じさせることが可能である。変化する電流は、周知の交流電流(AC)などのような、正弦波状の電流であることが可能である。この場合、正弦波状の往復移動が発生させられる。異なる波形によって変化する電流を供給することは、
図5A、
図5Bに示されているもののように、アニロックスロールの上の別のパターンを結果として生じさせる。
【0104】
[00110]
[00111]連続的レーザーを使用する方法を適用することは、例外的に有利である。これによって、表面の上方でレーザースポットを往復移動させながらアニロックスロールを連続的に回転させることができる。アニロックスロール(それは、その長手方向軸線の周りに連続的に回転することが可能である)を回転させることと組み合わせて、揺動する(wobbling)トラックが焼かれ得る。このトラックは、CDまたはDVDの上のトラックと比較可能である。焼かれないままに残されている壁部によって取り囲まれているそのような揺動する溝部を備える外側表面を形成する方法は、有利には、印刷産業において適用され得る。レーザー彫刻は、アニロックスロールの回転方向に延在するチャネルを形成するためにここで使用され、チャネルは、たとえば
図3A、
図3B(-12μm<=D<=12μm)および
図4から
図6に示されているように、本発明によるパターンを形成する。
【0105】
[00112]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールが同じ位置に回転するたびに、レーザースポットは、整数個の完全な往復移動を終了した。これは、チャネル部がアニロックスロールの表面の上で互いに平行になっているということを保証する。すなわち、アニロックスロールの外側表面の接線方向の速度(すなわち、アニロックスロールの表面速度、m/s)Vaは、以下の式を満たす。
【0106】
【0107】
ここで、t1およびt2は、アニロックスロールが同じ位置にターンするときの2つの隣接する時間ポイントであり(t2>t1)、nは、整数であり、Lwは、アニロックスロールの円周方向の上の繰り返しパターンの長さである。以下の式も満たされる。
【0108】
【0109】
ここで、Δtは、レーザースポットの完全な往復移動に関する時間である。
【0110】
[00113]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールが時間t1においてある位置に回転し、次に、時間t2において同じ位置に回転するときに、t1から始まるアニロックスロールの経度に沿った往復移動、および、t2から始まるアニロックスロールの経度に沿った往復移動は、互いにオーバーラップしておらず、12μm未満の、好ましくは5μmの、さらにより好ましくは2μmの、または、最も好ましくはD=0の距離を伴っている(すなわち、
図3Aにおける0<D<=12μmのときの、または、最も好ましくは、
図4から
図6におけるD=0のときのパターンを彫刻している)。または、上記の2つの往復移動は、オーバーラップを有することも可能であり、オーバーラップ部は、12μmよりも小さくなっており、好ましくは、5μmよりも小さくなっており、さらにより好ましくは、2μmよりも小さくなっている(すなわち、-12μm<D<0μmのときの、または、好ましくは-5μm<=D<0μmのときの、または、さらにより好ましくは-2μm<=D<0μmのときの、
図3Bに示されているパターンを彫刻している)。
【0111】
[00114]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの経度に沿った往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、以下の式を満たす。
【0112】
【0113】
ここで、Aは、往復移動の振幅であり、Wwは、壁部の幅であり、Wbは、レーザーのビーム幅(および/またはチャネル幅)であり、t1およびt2は、アニロックスロールが同じ位置にターンするときの2つの隣接する時間ポイント(t2>t1)である。
【0114】
より好ましくは、往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、以下の式を満たす。
【0115】
【0116】
さらにより好ましくは、往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、以下の式を満たす。
【0117】
【0118】
さらにより好ましくは、レーザースポットの往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、以下の式を満たす。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
最も好ましくは、レーザースポットの往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、以下の式を満たす。
【0123】
【0124】
[00115]本発明のさらなる目標は、印刷プロセスにおける使用のためのアニロックスロールを形成するための装置によって取得され、装置は、円筒形状のアニロックスロールを支持するための、および、長手方向軸線の周りにアニロックスロールを回転させるための支持ユニットを備える。本発明の態様によれば、装置は、レーザー供給源を備えた彫刻ユニットを備え、レーザー供給源は、特に、回転するアニロックスロールと組み合わせて、アニロックスロールの外側表面の上に構造体を彫刻するために、アニロックスロールの円筒軸線に対する平行移動のために配置されている。また、装置は、彫刻ユニットの彫刻セッティングを駆動するための駆動ユニットを備える。彫刻セッティングは、彫刻のための駆動パラメーターであり、彫刻は、それによって影響を受け得る。当業者は、彫刻の設定の仕方を理解することとなる。
【0125】
[00116]別の有利な実施形態において、彫刻ユニットは、レーザーの光の軌跡の中に位置決めされている光学ガイドを備え、ガイドは、彫刻ユニットに移動可能に接続されている。これは、全体としての彫刻ユニットの移動に追加して、アニロックスロールの表面の上でのレーザースポットの機械的な往復移動を可能にする。余分な移動は重ね合わせられる。
【0126】
[00117]対物レンズを備えた彫刻ユニットを提供することが有利である。レンズは、レーザーの焦点を合わせることができる。レンズは、往復移動を実施する光学ガイドであることが可能である。
【0127】
[00118]2つのレーザーもしくはより多くのレーザーおよび/または1つもしくは複数のビームスプリッターを備えた彫刻ユニットを提供することが可能である。このように、複数の平行のチャネルが、アニロックスロールの中に同時に提供され得る。
【0128】
[00119]
図8は、本発明の実施形態によるアニロックスロールの中に構造体を形成するための装置の概略図を示している。ここで、レーザー60が使用されている。レーザー60は、彫刻ユニット61の一部である。彫刻ユニット61は、アニロックスロール63の長手方向軸線62に沿って位置決めされている。アニロックスロール63は、単に概略的に示されているに過ぎない。図は、正しい縮尺で描かれてはいない。彫刻ユニット61は、フレーム(図示せず)の上に位置決めされており、フレームは、矢印62にしたがってアニロックスロール63に沿った彫刻ユニットの長手方向の移動を可能にする。ガイディングトラックなどのような適切なガイディング手段が適用され得る。
【0129】
[00120]アニロックスロール63は、コンテナの中に位置決めされており、コンテナは、軸受の上に支持されており、フレームに接続されている。このように、アニロックスロールは、矢印64にしたがってその長手方向軸線の周りに回転することができる。軸線の周りの回転と軸線に沿った移動の両方の組み合わせは、レーザーによる完全な外側表面の彫刻によって細工することを可能にする。これらの移動を使用して従来技術にしたがってアニロックスロールを製造する(より具体的には、彫刻する)ための構築は、1マイクロメートルよりも小さい精度で細工することを可能にする。方法は、アニロックスロールの表面の上にチャネルを形成することを可能にする。チャネルの中の材料は蒸発させられ、一方、壁部パーツは残ったままである。
【0130】
[00121]彫刻ユニット61は、レーザービームを作り出す。レーザービームは、公知の光学ガイド65~68によって、アニロックスロール63の外側表面70の上のスポット69の中に集中させられ得り、光学ガイド65~68は、この実施形態では、4つのコーナーミラーによって形成されている。スポットが形成されている位置において、特定の量の熱が集中させられ、アニロックスロールの外側表面の材料のピースが蒸発することとなるようになっている。この材料は、酸化クロムなどのようなセラミック組成物であることが可能である。当業者は、異なる組成物および/または化合物に精通しているであろう。
【0131】
[00122]レーザースポット69に焦点を合わせることによって、アニロックスロールの外側表面の一部を蒸発させることが可能である。本発明の好適な実施形態では、連続的レーザー60が使用されている。回転移動および長手方向の移動によってレーザーのパルスを同期させることは、より連続的になる。より具体的には、ロールおよび/または彫刻ユニットの連続的な移動とともに連続的レーザーを使用することによって、アニロックスロール63の上に蒸発させられた材料の連続的なトラックを形成し、それによって、チャネルを形成することが可能である。高い速度で連続的なトラックを形成することが可能である。速度は、レーザーのパワーのみによって制限される。
【0132】
[00123]本発明のさらなる実施形態において、レーザー60のビーム71は、レーザー60とスポット69との間の軌跡の中の(AOMのような)光学ガイドによって影響を受ける。光学ガイド72は、彫刻されることとなる表面の上方でのスポットの往復移動73を強化することが可能である。結果として、スポットは、好ましくは、連続的な速度で、同一の移動を繰り返して実行することとなる。この移動は、アニロックスロールの回転(たとえば、連続的な回転)とともに、連続的に変化するスポットの場所をもたらすことが可能である。好ましくは、往復移動は、アニロックスロールの長手方向軸線に対して平行になっている方向へのスポットのシフト73を結果として生じさせる。連続的レーザーと組み合わせたそのような変化は、たとえば、
図3から
図6によるチャネルのパターンを形成するために使用され得る。
【0133】
[00124]好ましくは、レーザースポットの往復移動は、正弦波、鋸歯、または三角形のような移動である。その移動は、機械的にまたは電子的に支配され得る。
図8に示されている好適な実施形態では、一方ではAOM74と他方では電力供給部75によって供給される電圧との組み合わせが使用される。電圧は、AOM74に供給される。光学ガイド72およびより具体的にはAOM74は、レーザースポットの往復移動のための発生デバイスとして機能することとなる。電圧は、ビーム71の軌跡の変化を引き起こすために、より具体的には、スポットの最終的なシフトの変化を引き起こすために、AOM74に供給される。供給される電圧は、たとえば反復的であり、スポットの移動も反復的であるということを結果として生じさせる。制御ユニット76は、たとえば、AOM74と供給部75との間の電気的な接続の中に提供されている。制御ユニット76は、供給される電圧を調節することが可能である。制御ユニット76は、アニロックスロール63の回転64(それは、一定であることが可能である)、および、全体として彫刻ユニット61のアニロックスロール63に沿った移動62と、AOM制御電圧を同期させるための外部コントローラーに接続され得る。
【0134】
[00125]電圧の変化は、たとえば、振幅および周波数などのようなパラメーターによって特徴付けられている。これらの2つのパラメーターは、それぞれ、シフトの量および往復移動の繰り返しに関係し得る。
【0135】
[00126]発生器デバイスおよび光学ガイドの他の実施形態も可能である。また、移動ミラーを利用することも可能である。別の実施形態では、干渉効果が、スポットの往復移動を発生させるために使用され得る。
【0136】
[00127]異なるプロファイルの実施形態に対する変形例が、本発明の主な概念からそれることなく想像可能である。本発明は、好適な実施形態を使用することによって説明されているということが明確である可能性がある。本発明は、これらの実施形態に限定されることを意図していない。
【0137】
[00128]本発明は、好適な実施形態を参照して説明されており、また、説明されることとなるが、本発明の範囲内において、複数のおよび異なる実施形態が可能であるということが明らかになることとなる。本出願の目標は、説明されている実施形態と、特許請求の範囲によって示されている実施形態と、その均等物とを保護することである。当業者は、本発明の利点が実験的に公知であるということを知ることとなり、異なる実施形態を構築することができることとなる。本出願によってこれらの実施形態を保護することも本発明者の意図である。
【0138】
[00129]より具体的には、当業者は、利点のうちの1つまたは複数を取得することを可能にする本出願の中の本開示にしたがって、アニロックスロールの表面に対する制限を形成することができる。したがって、機能的な保護が許容されるべきである。
【0139】
[00130]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールは、円筒状の形状と、印刷装置の中の流体を転写するためにその外側表面の上に提供されているパターンとを有しており、前記パターンは、少なくとも1つのチャネルを備え、少なくとも1つのチャネルは、流体を受け入れ、円筒の上に流体を分配し、流体を転写するためのものであり、チャネルは、アニロックスロールの円周方向に対して所定の角度で真っ直ぐなコース方向に延在するコースを有しており、それぞれのチャネルは、第1の壁部と、前記第1の壁部に対向する第2の壁部とによって限定されており、前記第1の壁部は、1つまたは複数のポイントにおいて第1の真っ直ぐな仮想ラインに接しているが、前記第1の真っ直ぐな仮想ラインに交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第1の仮想ラインは、チャネル側にあり、前記コース方向に対して平行になっており、前記第2の壁部は、1つまたは複数のポイントにおいて第2の真っ直ぐな仮想ラインに接しているが、前記第2の真っ直ぐな仮想ラインに交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第2の真っ直ぐな仮想ラインは、チャネル側にあり、前記第1の真っ直ぐな仮想ラインに対して平行になっており、前記第1の真っ直ぐな仮想ラインは、前記第2の真っ直ぐな仮想ラインから距離Dだけ分離されており、前記距離D=0、または、-12μm<D<12μm、好ましくは、-5μm<D<5μm、および、最も好ましくは、-2μm<D<2μmのいずれかである。
【0140】
[00131]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルの第1の壁部および第2の壁部は、位相差なしに互いに平行に蛇行している。
【0141】
[00132]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネル、ならびに、第1の壁部および第2の壁部は、正弦波状の波、鋸歯形状の波、または三角形形状の波などのような、繰り返しパターンを伴う波形状を有している。
【0142】
[00133]本発明の実施形態によれば、繰り返しパターンは、チャネルの幅の4倍未満の波長、好ましくは、チャネル幅の2倍未満の波長を有している。
【0143】
[00134]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、第1の壁部および第2の壁部と同一の繰り返しパターンを有している。
【0144】
[00135]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、5μmから150μmの間の、好ましくは、10μmから100μmの間の、さらにより好ましくは、20μmから80μmの間のチャネル幅を有している。
【0145】
[00136]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、ハーフトーン印刷およびフルトーン印刷に適切であるように配置されている。
【0146】
[00137]本発明の実施形態によれば、角度(β)は、0よりも大きい。
【0147】
[00138]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、断面ラインが真っ直ぐな境界ラインに対して垂直になっているときに、U字形状またはV字形状の断面を有している。
【0148】
[00139]本発明の実施形態によれば、U字形状またはV字形状の断面寸法は、チャネルのそれぞれのポイントに関して実質的に同じになっている。
【0149】
[00140]本発明の実施形態によれば、それぞれのチャネルは、その全体長さに沿って同じになっているチャネル幅を有している。
【0150】
[00141]本発明の実施形態によれば、第1および第2の壁部は、1μm~10μmの範囲にある、好ましくは、1μm~5μmの範囲にある、最も好ましくは、1μm~3μmの範囲にある壁部幅を有している。
【0151】
[00142]本発明の実施形態によれば、チャネルは、アニロックスロールの有効表面の実質的に全体をカバーしている。
【0152】
[00143]本発明の実施形態によれば、印刷されることとなる被印刷物のための供給部と、インクのための供給部とを有する印刷デバイスを備える印刷装置であって、印刷デバイスは、軸受の中に装着されている上記実施形態のいずれかによるアニロックスロールを備える。
【0153】
[00144]本発明の実施形態によれば、印刷装置は、フレキソ印刷装置である。
【0154】
[00145]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールを形成するための方法は、細工されることとなる外側表面を有するアニロックスロールの円筒を供給することと、少なくとも1つの連続的レーザー供給源を供給することと、細工されたアニロックスロールを取得するための連続的レーザー供給源によって形成されているレーザースポットによって、アニロックスロールの外側表面をレーザー彫刻することとを備え、方法は、細工されることとなる外側表面の上でレーザースポットが往復移動することを可能にするために、レーザーの光路の中に光学ガイドを適用することをさらに備え、往復移動は、アニロックスロールを連続的に回転させながら、および、アニロックスロールの長手方向軸線に対して平行にレーザー供給源を移動させながら、前記長手方向軸線に対して平行になっている方向へのアニロックスロールの上のレーザースポットのシフトを引き起こし、レーザー供給源が、完全な外側表面を彫刻し、それによって、アニロックスロールの外側表面の中にチャネルを形成するようになっており、前記アニロックスロールは、上記実施形態のいずれかに記載のアニロックスロールである。
【0155】
[00146]本発明の実施形態によれば、アニロックスロールの経度に沿った往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、
【0156】
【0157】
を満たし、ここで、Aは、往復移動の振幅であり、Wwは、チャネルを形成する壁部の幅であり、Wbは、レーザーのビーム幅であり、t1およびt2は、アニロックスロールが同じ位置にターンするときの2つの隣接する時間ポイント(t2>t1)であり、LdおよびRdは、12μmであり、好ましくは、LdおよびRdは、5μmであり、より好ましくは、LdおよびRdは、2μmであり、さらにより好ましくは、Rdは0であり、Ldは5μmであり、または、さらにより好ましくは、2μmであり、最も好ましくは、Ld=Rd=0である。
【0158】
[00147]本発明の実施形態によれば、印刷プロセスにおいて使用されることとなるアニロックスロールを形成するように配置されている装置は、支持ユニットと、彫刻ユニットと、駆動ユニットとを備え、支持ユニットは、円筒形状のアニロックスロールを支持するように、および、長手方向軸線の周りにアニロックスロールを回転させるように配置されており、彫刻ユニットは、アニロックスロールの外側表面の上に構造体を彫刻するために、アニロックスロールの円筒軸線に対して平行移動するように配置されており、駆動ユニットは、彫刻ユニットの彫刻セッティングを駆動するように配置されており、彫刻ユニットは、少なくとも1つの連続的レーザー供給源を備え、少なくとも1つの連続的レーザー供給源は、レーザースポットによってアニロックスロールの外側表面をレーザー彫刻するように配置されており、彫刻ユニットは、レーザー供給源の光路の中に光学ガイドをさらに備え、レーザー供給源は、アニロックスロールの外側表面の上で、反復的な方式で、レーザースポットを往復移動させるように配置されており、光学ガイドは、アニロックスロールの長手方向軸線に対して主に平行になっている方向へのアニロックスロールの上の往復移動によってレーザースポットのシフトを引き起こすように配置されており、支持ユニットは、アニロックスロールを連続的に回転させるように配置されており、装置は、前記長手方向軸線に対して平行にレーザー供給源を連続的に移動させるように配置されており、レーザー供給源が完全な外側表面を彫刻するようになっており、それによって、アニロックスロールの外側表面の中にチャネルを形成するようになっている、装置において、装置は、方法の上記実施形態を実施するために配置されていることを特徴とする。
【0159】
[00148]本発明の実施形態によれば、光学ガイドは、音響光学変調器として実装される。
【0160】
[00149]本発明の実施形態によれば、光学ガイドは、移動ユニットによって彫刻ユニットに接続されており、移動ユニットは、レーザースポットが往復移動することを可能にするように配置されている。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] アニロックスロールであって、前記アニロックスロールは、円筒状の形状と、印刷装置の中の流体を転写するためにその外側表面の上に提供されているパターンとを有しており、
前記パターンは、少なくとも1つのチャネル(302a、302b;312a、312b;402a、402b)を備え、
前記少なくとも1つのチャネル(302a、302b;312a、312b;402a、402b)は、前記流体を受け入れ、前記円筒の上に前記流体を分配し、前記流体を転写するためのものであり、前記少なくとも1つのチャネル(302a、302b;312a、312b;402a、402b)は、前記アニロックスロール(104)の円周方向に対して所定の角度で真っ直ぐなコース方向に延在するコース(602)を有しており、それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、第1の壁部(301a;311a;401a)と、前記第1の壁部(301a;311a;401a)に対向する第2の壁部(301b;311b;401b)とによって限定されており、
前記第1の壁部(301a;311a;401a)は、1つまたは複数のポイントにおいて第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)に接しているが、前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)に交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)は、前記チャネル側にあり、前記コース方向に対して平行になっており、
前記第2の壁部(301b;311b;401b)は、1つまたは複数のポイントにおいて第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)に接しているが、前記第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)に交差していない、蛇行した形状を有しており、前記第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)は、前記チャネル側にあり、前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)に対して平行になっており、
前記第1の真っ直ぐな仮想ライン(303b;313b;403b)は、前記第2の真っ直ぐな仮想ライン(303c;313c;403c)から距離Dだけ分離されており、
前記距離D=0、または、
-12μm<D<12μm、
好ましくは、-5μm<D<5μm、および、
最も好ましくは、-2μm<D<2μmのいずれかである、アニロックスロール。
[2] それぞれのチャネル(302a;312a;402a)の前記第1の壁部(301a;311a;401a)および前記第2の壁部(301b;311b;401b)は、位相差なしに互いに平行に蛇行している、[1]に記載のアニロックスロール。
[3] それぞれのチャネル(302a;312a;402a)、ならびに、前記第1の壁部(301a;311a;401a)および前記第2の壁部(301b;311b;401b)は、正弦波状の波、鋸歯形状の波、または三角形形状の波などのような、繰り返しパターンを伴う波形状を有している、[2]に記載のアニロックスロール。
[4] 前記繰り返しパターンは、前記チャネルの幅の4倍未満の波長、好ましくは、前記チャネルの幅の2倍未満の波長を有している、[3]に記載の方法。
[5] それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、前記第1の壁部(301a;311a;401a)および前記第2の壁部(301b;311b;401b)と同一の繰り返しパターンを有している、[2]から[4]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[6] それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、5μmから150μmの間の、好ましくは、10μmから100μmの間の、さらにより好ましくは、20μmから80μmの間のチャネル幅を有している、[1]から[5]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[7] それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、ハーフトーン印刷およびフルトーン印刷に適切であるように配置されている、[1]から[6]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[8] 前記角度(β)は、0よりも大きい、[1]から[7]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[9] それぞれのチャネル(302a;312a;402a)は、断面ラインが前記真っ直ぐな境界ライン(303b、303c;313b、313c;403b、403c)に対して垂直になっているときに、U字形状またはV字形状の断面を有している、[1]から[8]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[10] 前記U字形状またはV字形状の断面寸法は、前記チャネルのそれぞれのポイントに関して実質的に同じになっている、[9]に記載のアニロックスロール。
[11] それぞれのチャネルは、その全体長さに沿って同じになっているチャネル幅を有している、[1]から[10]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[12] 前記第1および第2の壁部は、1μm~10μmの範囲にある、好ましくは、1μm~5μmの範囲にある、最も好ましくは、1μm~3μmの範囲にある壁部幅を有している、[1]から[11]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[13] 前記チャネルは、前記アニロックスロールの有効表面の実質的に全体をカバーしている、[1]から[12]のいずれか一項に記載のアニロックスロール。
[14] 印刷されることとなる被印刷物のための供給部と、インクのための供給部とを有する印刷デバイスを備える印刷装置であって、前記印刷デバイスは、軸受の中に装着されている[1]から[13]のいずれか一項に記載のアニロックスロールを備える、印刷装置。
[15] 前記印刷装置は、フレキソ印刷装置である、[14]に記載の印刷装置。
[16] アニロックスロール(5、63)を形成するための方法であって、前記方法は、細工されることとなる外側表面(70、100)を有する前記アニロックスロールの円筒を供給することと、少なくとも1つの連続的レーザー供給源(60)を供給することと、細工されたアニロックスロールを取得するための前記連続的レーザー供給源によって形成されているレーザースポット(69)によって、前記アニロックスロールの前記外側表面をレーザー彫刻することとを備え、前記方法は、細工されることとなる前記外側表面の上で前記レーザースポットが往復移動(73)することを可能にするために、レーザーの光路の中に光学ガイド(72)を適用することをさらに備え、前記往復移動(73)は、前記アニロックスロール(63)を連続的に回転させながら、および、前記アニロックスロールの長手方向軸線(62)に対して平行に前記連続的レーザー供給源を移動させながら、前記長手方向軸線に対して平行になっている方向への前記アニロックスロール(5、63)の上の前記レーザースポット(69)のシフトを引き起こし、前記連続的レーザー供給源(60)が、完全な前記外側表面(70、100)を彫刻し、それによって、前記アニロックスロールの前記外側表面の中にチャネル(24)を形成するようになっており、
前記アニロックスロールは、[1]から[13]のいずれか一項に記載のアニロックスロールである、方法。
[17] 前記アニロックスロールの経度に沿った前記往復移動のシフト/オフセット速度Vsは、
-Ld<=2*((t2-t1)*Vs-A-Ww-Wb)<=Rd
を満たし、ここで、Aは、前記往復移動(73)の振幅であり、Wwは、前記チャネルを形成する壁部の幅であり、Wbは、前記レーザーのビーム幅であり、t1およびt2は、前記アニロックスロールが同じ位置にターンするときの2つの隣接する時間ポイント(t2>t1)であり、
LdおよびRdは、12μmであり、
好ましくは、LdおよびRdは、5μmであり、
より好ましくは、LdおよびRdは、2μmであり、
さらにより好ましくは、Rdは0であり、Ldは5μmであり、または、さらにより好ましくは、2μmであり、
最も好ましくは、Ld=Rd=0である、[16]に記載の方法。
[18] 印刷プロセスにおいて使用されることとなるアニロックスロール(5、63)を形成するように配置されている装置であって、前記装置は、支持ユニットと、彫刻ユニット(61)と、駆動ユニットとを備え、前記支持ユニットは、前記円筒状の形状のアニロックスロールを支持するように、および、長手方向軸線の周りに前記アニロックスロールを回転させるように配置されており、前記彫刻ユニット(61)は、前記アニロックスロールの前記外側表面(70、100)の上に構造体を彫刻するために、前記アニロックスロールの円筒軸線(62)に対して平行移動するように配置されており、前記駆動ユニットは、前記彫刻ユニット(61)の彫刻セッティングを駆動するように配置されており、前記彫刻ユニットは、少なくとも1つの連続的レーザー供給源(60)を備え、前記少なくとも1つの連続的レーザー供給源(60)は、レーザースポット(69)によって前記アニロックスロール(5、63)の前記外側表面をレーザー彫刻するように配置されており、前記彫刻ユニットは、前記連続的レーザー供給源の光路の中に光学ガイド(72)をさらに備え、前記連続的レーザー供給源は、前記アニロックスロールの前記外側表面の上で、反復的な方式で、前記レーザースポット(69)を往復移動させるように配置されており、
前記光学ガイドは、前記アニロックスロールの長手方向軸線(62)に対して主に平行になっている方向への前記アニロックスロール(5、63)の上の前記往復移動によって前記レーザースポット(69)のシフトを引き起こすように配置されており、前記支持ユニットは、前記アニロックスロール(63)を連続的に回転させるように配置されており、前記装置は、前記長手方向軸線に対して平行に前記連続的レーザー供給源を連続的に移動させるように配置されており、前記連続的レーザー供給源(60)が完全な前記外側表面(70、100)を彫刻するようになっており、それによって、前記アニロックスロールの前記外側表面の中にチャネル(24)を形成するようになっている、装置において、前記装置は、[16]または[17]に記載の方法を実施するために配置されていることを特徴とする、装置。
[19] 前記光学ガイド(72)は、音響光学変調器として実装される、[17]に記載の装置。
[20] 前記光学ガイド(72)は、移動ユニットによって彫刻ユニット(61)に接続されており、前記移動ユニットは、前記レーザースポット(69)が往復移動(73)することを可能にするように配置されている、[17]に記載の装置。