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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】自動車のための、電気システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/033 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
B60R16/033 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020572818
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019067466
(87)【国際公開番号】W WO2020002672
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】1855909
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、ドマンジャー
(72)【発明者】
【氏名】アフィッド、イアッダーデン
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル、フィリペ
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-285817(JP,A)
【文献】特開2003-018759(JP,A)
【文献】特開2015-202773(JP,A)
【文献】特表2015-532574(JP,A)
【文献】特開2019-083687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための、電気システム(10)であって、
第1の接地(GND1)を有し、第1の供給端子(B1)に第1の電圧(V1)を供給される、第1の電気回路(12)と、
前記第1の接地(GND1)とは別の第2の接地(GND2)を有し、第2の供給端子(B2)に前記第1の電圧(V1)とは異なる第2の電圧(V2)を供給される、第2の電気回路(14)と、
前記第1の電気回路(12)の第1の電位点(A)を前記第2の電気回路(14)の第2の電位点(B)に接続する容量素子(20)と、を含む、電気システム(10)。
【請求項2】
前記第2の電圧(V2)が、前記第1の電圧(V1)よりも大きいか、またはそれに等しい、請求項1に記載の電気システム。
【請求項3】
前記容量素子(20)が、1~4.7μFの容量を有する、請求項1または2に記載の電気システム。
【請求項4】
温度の関数として変化する抵抗を有する可変抵抗器(30)をさらに含み、前記可変抵抗器(30)が、前記容量素子(20)と前記第2の接地(GND2)との間に設置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気システム。
【請求項5】
温度測定デバイス(40)をさらに含み、前記温度測定デバイス(40)が、電圧発生器(42)、取得デバイス(44)、演算器(μC)、ならびに、前記電圧発生器(42)の端子に接続される第1の電気端子(C)および前記第1の電気回路(12)の前記第1の電位点(A)に接続される第2の電気端子(D)を有する第1の抵抗器(46)を含み、
前記電圧発生器(42)が、前記第1の抵抗器(46)の前記第1の端子(C)において周期信号を発するように構成され、
前記取得デバイス(44)が、入力端子(A/D)に存在する電位を周期的にサンプリングするように構成され、前記入力端子が、前記第1の電気回路(12)の前記第1の電位点(A)に接続され、
前記演算器(μC)が、前記取得デバイス(44)によって取得されるサンプルから前記温度を測定するように構成される、請求項4に記載の電気システム。
【請求項6】
前記電気システム(10)が動作しているとき、前記第1の電気回路(12)の前記第1の接地(GND1)が、前記第2の電気回路(14)の前記第2の接地(GND2)に、電気的に接続される、請求項5に記載の電気システム。
【請求項7】
前記電圧発生器(42)が、方形波信号を発するように構成される、請求項5または6に記載の電気システム
【請求項8】
前記電圧発生器(42)が、40%以上および60%以下のデューティサイクルを有する信号を発するように構成される、請求項5~7のいずれか一項に記載の電気システム。
【請求項9】
前記温度測定デバイス(40)が、前記第1の電気回路(12)の前記第1の電位点(A)に存在する電位を、それが前記取得デバイス(44)によってサンプリングされる前に、フィルタリングするように配置および構成されるフィルタリングデバイス(50)をさらに含み、前記フィルタリングデバイスが、
前記第1の電気回路(12)の前記第1の電位点(A)と前記取得デバイス(44)の前記入力端子(A/D)との間に接続される第2の抵抗器(R2)と、
直列で接続される第1のフィルタリングコンデンサ(C21)および第1のスイッチ(I1)であって、前記第1のフィルタリングコンデンサ(C21)および第1のスイッチ(I1)の直列接続が、前記取得デバイス(44)の前記入力端子(A/D)と前記第1の接地(GND1)との間に並列で設置される、第1のフィルタリングコンデンサ(C21)および第1のスイッチ(I1)と、
直列で接続される第2のフィルタリングコンデンサ(C22)および第2のスイッチ(I2)であって、前記第2のフィルタリングコンデンサ(C22)および第2のスイッチ(I2)の直列接続が、前記取得デバイス(44)の前記入力端子(A/D)と前記第1の接地(GND1)との間に並列で設置される、第2のフィルタリングコンデンサ(C22)および第2のスイッチ(I2)と、を含み、
前記第1および第2のスイッチの開状態または閉状態が、前記電圧発生器(42)によって発せられる前記方形波信号によって制御され、前記第1のスイッチは、第2のスイッチが閉であるときに開であり、その逆も然りである、請求項7と併せて請求項8に記載の、または請求項7に記載の電気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車のための、電気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、統合電子システムを備えた電気機械を回転させることに関係する。具体的には、特に自動車において、高電圧、例えば、48ボルトの、電子デバイス、と呼ばれるものはますます増えている。このタイプの高電圧デバイスは、一般には、低電圧、典型的には12ボルト、を供給される1つ以上のセンサに接続される。
【0003】
したがって、自動車内の電子デバイスにおいてはますます、典型的には車両から12ボルトの電圧を供給される回路に接続される低電圧部分と、典型的には48ボルト以上の電圧を供給される回路に接続される高電圧部分とが共存している。
【0004】
この場合、“LV148”規格と呼ばれるものは、低電圧回路、典型的には12V、および高電圧回路、典型的には48Vの2つの接地の間の1μA未満の漏洩電流では70ボルトの電圧を維持することを規定する。
【0005】
この要件に準拠するために、アナログおよびデジタル信号のためのガルバニック絶縁を使用することが知られている。
【0006】
しかしながら、このタイプの絶縁は、比較的高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、この問題を是正するための電気システムを提供することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の1つの主題は、特に自動車のための、電気システムであって、
第1の供給端子における、第1の接地を有し、第1の電圧を供給される、第1の電気回路と、
第2の供給端子における、第1の接地とは別の第2の接地を有し、第1の電圧とは異なる第2の電圧を供給される、第2の電気回路と、
第1の電気回路の第1の電位点を第2の電気回路の第2の電位点に接続する容量素子と、を含む、電気システムである。
【0009】
言い換えると、容量素子は、電位、即ち電圧、が異なる2つの地点の間に設置される。
【0010】
有利には、そのような電気システムは、一般的に使用されるガルバニック絶縁を省くこと、それを容量性絶縁と置き換えること、またこうして、電気システム内の温度測定の文脈において特に、生産費を低減することを可能にする。
【0011】
本発明による電気システムはまた、以下の特徴のうちの1つ以上を、個々に考慮して、または任意の技術的に実現可能な組み合わせで、含み得る:
第1の回路と第2の回路との間で測定される漏洩電流が、第1の回路12の第1の供給端子に接続される第1の接地と第2の回路14の第2の供給端子に接続される第2の接地との間に70Vに実質的に等しい、もしくは等しい電圧を印加するとき、1μA未満である、および/または、
第2の電圧が、第1の電圧より大きいか、それに等しい、および/または
第1の電圧が、3V~40Vであり、第2の電圧が、20V~70Vである、および/または
容量素子が、1~4.7μFの容量を有する、および/または
電気システムが、温度の関数として変化する抵抗を有する可変抵抗器をさらに含み、上記可変抵抗器が、容量素子と第2の接地との間に設置される、および/または
電気システムが、温度測定デバイスをさらに含み、温度測定デバイスが、電圧発生器、取得デバイス、演算器、ならびに、電圧発生器の端子に接続される第1の電気端子および第1の電気回路の第1の電位点に接続される第2の電気端子を有する第1の抵抗器を含み、
電圧発生器が、第1の抵抗器の第1の端子において周期信号を発するように構成される、
取得デバイスが、入力端子に存在する電位を周期的にサンプリングするように構成され、上記入力端子が、第1の電気回路の第1の電位点に接続される、
演算器が、取得デバイスによって取得されるサンプルから温度を推定するように構成される、
および/または
第1の抵抗器の第1の端子において発せられる周期信号が、周期電圧である、および/または
取得デバイスの入力端子に存在する電位が電圧である、および/または
電気システムにおいて、電気システムが動作しているとき、第1の電気回路の第1の接地が、第2の電気回路の第2の接地に、好ましくは、電気ケーブルによってのみ、電気的に接続される、および/または
電圧発生器が、方形波信号を発するように構成される、および/または
電圧発生器が、40%以上および60%以下のデューティサイクルを有する信号を発するように構成される、および/または
温度測定デバイスが、第1の電気回路の第1の電位点に存在する電位を、それが取得デバイスによってサンプリングされる前に、フィルタリングするように配置および構成されるフィルタリングデバイスをさらに含み、上記フィルタリングデバイスが、
第1の電気回路の第1の電位点と取得デバイスの入力端子との間に接続される第2の抵抗器と、
直列で接続される第1のフィルタリングコンデンサおよび第1のスイッチであって、第1のフィルタリングコンデンサおよび第1のスイッチの直列接続が、取得デバイスの入力端子と第1の接地との間に並列で設置される、第1のフィルタリングコンデンサおよび第1のスイッチと、
直列で接続される第2のフィルタリングコンデンサおよび第2のスイッチであって、第2のフィルタリングコンデンサおよび第2のスイッチの直列接続が、取得デバイスの入力端子と第1の接地との間に並列で設置される、第2のフィルタリングコンデンサおよび第2のスイッチと、を含み、
第1および第2のスイッチの開状態または閉状態が、電圧発生器によって発せられる方形波信号によって制御され、第1のスイッチは、第2のスイッチが閉であるときに開である、その逆も然りである。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面を伴って、非限定的な例として提供され、また例証される実施形態の詳細な説明を読むことにより明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従う第1の実施形態の回路図である。
図2図1の電気システムの動作を例証するタイミング図である。
図3】本発明に従う第2の実施形態の回路図である。
図4】第1の接地と第2の接地との間のノイズの存在を例証し、また図1の電気システムの動作に対するこのノイズの影響を例証するタイミング図である。
図5図3の電気システムのフィルタリングデバイスの動作を例証するタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図において、同様の要素は、同一の参照番号によって表される。さらに、様々な要素は、本発明を理解し易くする視点を提示するために、必ずしも縮尺通りに示されない。
【0015】
図1および図2は、特に自動車のための、本発明による電気システムの第1の実施形態を例証する。
【0016】
電気システム10は、第1の接地GND1を有し、第1の供給端子B1に第1の電圧V1を供給される、第1の電気回路12を含む。
【0017】
電気システム10は、第2の接地GND2を有し、第2の供給端子B2に第2の電圧V2を供給される、第2の電気回路14をさらに含む。
【0018】
第1の回路12の第1の接地GND1は、第2の回路14の第2の接地GND2とは別である。
【0019】
さらには、第2の電圧は、第1の電圧とは異なる。例えば、第2の電圧V2は、第1の電圧V1より大きいか、それに等しい。
【0020】
好ましくは、第1の電圧V1は、3V~40Vであり、第2の電圧V2は、20V~70Vである。図に例証される例では、第1の電圧V1は、12Vのオーダーであり、第2の電圧V2は、48Vのオーダーである。
【0021】
本発明によると、電気システムは、有利には、第1の電気回路12の、Aで表される第1の電位点を、第2の電気回路14の、Bで表される第2の電位点に接続する容量素子20を含む。
【0022】
容量素子20は、好ましくは、1~4.7μF、および好ましくは1~2.2μFの容量を有する。容量素子20のこの特有の寸法は、第1の回路12の第1の接地と第2の回路14の第2の接地との間で測定される漏洩電流が、第1の回路12の第1の端子に接続される第1の接地と第2の回路14の第2の端子に接続される第2の接地との間に70Vに実質的に等しい電圧を印加するとき、1μA未満であることを可能にする。したがって、電気システム10は、LV148規格からのE48-20テストに準拠する。
【0023】
そのような電気システムの漏洩電流はさらに、70Vに実質的に等しい電圧が、第1の回路12の第1の端子に接続される第1の接地と第2の回路14の第2の端子に接続される第2の接地との間に印加された後に、漏洩電流が第1の電気回路12と第2の電気回路14との間で測定される、測定方法を通じて容易に測定され得る。電気システムはさらに、有利には、可変抵抗器30を含み、可変抵抗器30の抵抗は、温度の関数として変化する。この可変抵抗器30は、その端子のうちの一方により、第2の電気回路14の第2の電位点に、その端子のうちの他方により、第2の回路14の第2の接地GND2に電気的に接続される。言い換えると、可変抵抗器30は、容量素子20と第2の回路14の第2の接地GND2との間に接続される。
【0024】
ここに説明される例では、可変抵抗器30は、温度が上昇すると抵抗R30が減少し、その逆も然りである、NTC(負温度係数)サーミスタである。
【0025】
変異形として、可変抵抗器30は、温度が上昇すると抵抗が増加し、その逆も然りである、PTC(正温度係数)サーミスタであってもよい。
【0026】
有利には、本発明による電気システム10は、温度測定デバイス40をさらに含む。温度測定デバイス40は、電圧発生器42、取得デバイス44、および値R46を有する抵抗器46を含む。抵抗器46は、電圧発生器42の端子に接続される第1の電気端子C、および第1の電気回路12の第1の電位点Aに接続される第2の電気端子Dを有する。
【0027】
電圧発生器42は、好ましくは、抵抗器46の第1の端子Cにおいて周期信号を発するように構成される。
【0028】
ここに説明される例では、抵抗器46の第1の端子Cにおいて発せられる周期信号は、周期電圧である。
【0029】
電圧発生器42は、好ましくは、図2に例証されるように、期間T0を有する方形波信号を発するように構成され、こうして、処理されるべき信号の形状を簡素化することを可能にする。
【0030】
取得デバイス44は、好ましくは、第1の電気回路12の第1の電位点Aに接続される抵抗器46の第2の端子Dにおいてアナログ信号をサンプリングするように構成される。例えば、第2の端子Dにおけるアナログ信号は、この地点Dに存在する、電位、即ち電圧、に対応する。
【0031】
取得デバイス44は、好ましくは、電圧発生器42によって発せられる信号が周期的であるとき、この発せられた信号の期間T0の半分に等しいサンプリング周波数T1で、抵抗器46の第2の端子Dにおいてアナログ信号をサンプリングするように構成される。
【0032】
電圧発生器42は、好ましくは、マイクロコントローラμCの汎用入力/出力GPIOポートおよびバッファステージ増幅器48を直列で設置することによって形成され、GPIOポートは、バッファステージ増幅器48によって増幅されるバイナリデジタル信号が発せられる出力ポートとして構成される。言い換えると、バッファステージ増幅器48の出力に存在する電圧は、期間T0を有する方形波周期信号内で展開する。バッファステージ増幅器48はさらに、マイクロコントローラμCのGPIOポートによって発せられる信号の周波数との干渉からの第1の電気端子Cにおけるいかなる負荷変動も回避することを可能にする。
【0033】
取得デバイス44は、好ましくは、アナログ・デジタル変換器によって形成される。ここに説明される例では、アナログ・デジタル変換器は、マイクロプロセッサμCに統合され、A/DまたはADC(アナログ・デジタル変換器)入力と呼ばれるものを介してアクセス可能である。
【0034】
図に説明される例では、また限定することなく、GPIOポートによって発せられるデジタルバイナリ信号は、高レベルでは3.3Vの振幅、および低レベルでは0Vの振幅を有する一方、バッファステージ増幅器48の出力における方形波周期信号は、0~5Vの間で変化する振幅を有する。
【0035】
電気システム10が動作しているとき、第1の電気回路12の第1の接地は、第2の電気回路14の第2の接地に、好ましくは、電気ケーブルによってのみ、電気的に接続される。
【0036】
電圧発生器42が抵抗器46の第1の端子Cにおいて周期信号を発するときの第1の接地と第2の接地との間の接続インピーダンスZは、好ましくは、可変抵抗器30のインピーダンスR30および抵抗器46のインピーダンスR46に対して、取るに足りないものである。
【0037】
したがって、電気システム10が動作しているとき、本発明は、変圧器を使用することと比較して、可変抵抗器30と取得デバイス44との間に電気接続を形成するために1つのみのワイヤを使用するという利点を有し、接地ループが、第1の電気回路12の第1の接地と第2の電気回路14の第2の接地との間の上述の接続によって形成される。
【0038】
有利には、電圧発生器42は、40%以上および60%以下の、好ましくは、50%に実質的に等しいデューティサイクルを有する信号を発するように構成される。温度測定値は、したがって、図2に関しては取得デバイス44によって取得される、アナログ信号の高い状態と低い状態との間の測定値、即ち、地点Dに存在する電位または電圧、から割り出され得る。
【0039】
好ましくは、容量素子20、可変抵抗器30、および抵抗器46によって形成されるRC回路は、電圧発生器42によって発せられる、即ち、説明される例においてはバッファステージ増幅器48の出力において発せられる、方形波信号の半期よりもはるかに大きい時定数(コンデンサ20の値と抵抗器30および46の合計との積)を有する。
【0040】
これらの条件下で、RC回路は、RC積分回路として挙動する。定常状態では、容量素子20は、その端子にわって、電圧発生器42によって発せられる信号の平均値Vavに等しい定電圧を有する。
【0041】
例として、図2は、温度測定デバイス40が、図1に説明されるようなものであり、電圧発生器42が、RC回路を形成する素子の以下の値の場合に期間T=0.2msを有する方形波周期信号を発するときを考慮した信号の形状を示す。
温度25℃の場合、R30=10kΩ
46=10kΩ、および
20=1μF
【0042】
図2に例証される例では、電圧発生器42の出力における方形波周期信号は、0~5Vの間で変化する振幅を有する。
【0043】
図2はまた、第1の電気回路12の第1の電位点に存在する対応する電圧を示す。
【0044】
RC回路の時定数タウは、0.02sであり、このRC回路を励起する信号の0.2msの期間Tよりもはるかに大きい。さらには、地点Cに存在する電圧の平均値は、Vav=2.5Vである。
【0045】
定常状態では、抵抗器30および46は、分圧器ブリッジである。
【0046】
さらに、図2に説明される例では、取得デバイス44は、電圧発生器42によって発せられる信号の期間Tの半分に等しいサンプリング期間Tで地点Aにおいてアナログ信号をサンプリングするように構成される。サンプリングデバイス44は、したがって、値VmaxおよびVminをそれぞれ有するサンプルEmaxおよびEminを取得する。
【0047】
さらには、電位差Vmax-Vminは、可変抵抗器30の値R30に依存し、この値自体は、可変抵抗器30の周囲の温度に依存する。
【0048】
したがって、電位差Vmax-Vminは、可変抵抗器30の周囲の温度に依存し、この関係は、2つの列を含む対応表において説明することができる。第1の列は、Vmax-Vminの可能性のある値を列挙し、第2の列は、第1の列に列挙されるVmax-Vminの値に対応する、可変抵抗器30の周囲の温度を列挙する。
【0049】
したがって、この例では、温度測定デバイス40のマイクロコントローラμCは、その入力A/Dにおいて、サンプルEmaxおよびEminを連続して受信し、それらの差を計算し、対応表を使用することによって抵抗器30の周囲の温度を計算する。
【0050】
上に説明される例では、マイクロコントローラμCは、差Emax-Eminを使用して、抵抗器30の周囲の温度を決定する。変異形として、マイクロコントローラμCは、サンプルEmaxのみ、またはサンプルEminのみを使用して、抵抗器30の周囲の温度を決定し得る。
【0051】
図3に例証される第2の実施形態によると、電気システム10は、地点Aに存在するアナログ信号を、それが取得デバイス44によってサンプリングされる前に、フィルタリングするように配置および構成されるフィルタリングデバイス50をさらに含む。
【0052】
ここに説明される例では、地点Aに存在するアナログ信号は、第1の接地GND1に対する、電位、即ち電圧である。
【0053】
取得デバイス44のサンプリング時間は、一般的には、数マイクロ秒のオーダーであるため、方形波パターンにおける測定の時間は、高周波ノイズの存在下では測定の精度に大きな影響を及ぼす。このノイズは、例えば、電気システムの電力スイッチング動作によって発生し得る。
【0054】
図4aに例証されるように、このノイズは、第1の接地GND1と第2の接地GND2との間に存在する変動電圧VFとして表現され、また第1の接地GND1と第2の接地GND2との間に存在する電圧源SBとしてモデル化され得る。このノイズは、時には同時の周期的な発生を伴って、高振幅ピークを方形波信号に追加する(図4bを参照)。ノイズは平均してゼロであるが、スイッチングノイズの時間パターンが、サンプルEmaxおよび/またはEminの取得の時間と同期される場合、温度測定デバイス40は、バイアスを伴って抵抗器30の周辺の温度を決定する。
【0055】
さらに、ノイズの時間パターンは、対称的ではないため、サンプルEmaxおよびEminにもたらされるバイアスは同一ではない。
【0056】
ノイズのこれらの特徴は、サンプルEmaxおよびEminの単純な連続フィルタリングを通じてノイズのゼロ平均値を獲得することが困難であることを意味する。
【0057】
図3に示されるフィルタリングデバイス50は、
第1の電気回路12の第1の電位点Aと取得デバイス44の入力端子A/Dとの間に接続される抵抗器R2と、
直列で接続される第1のフィルタリングコンデンサC21および第1のスイッチI1であって、第1のフィルタリングコンデンサC21および第1のスイッチI1の直列接続が、取得デバイス44の、A/Dと呼ばれる入力端子と第1の接地GND1との間に並列で設置される、第1のフィルタリングコンデンサC21および第1のスイッチI1と、
直列で接続される第2のフィルタリングコンデンサC22および第2のスイッチI2であって、第2のフィルタリングコンデンサC22および第2のスイッチI2の直列接続が、取得デバイス44の、A/Dと呼ばれる入力端子と第1の接地GND1との間に並列で設置される、第2のフィルタリングコンデンサC22および第2のスイッチI2とを含む。
【0058】
さらに、第1および第2のスイッチの開状態または閉状態は、電圧発生器42によって発せられる方形波信号によって制御され、第1のスイッチI1は、第2のスイッチI2が閉であるときに開であり、その逆も然りである。
【0059】
電圧発生器42によって発せられる方形波信号に対するスイッチI1およびI2の開閉のこのような同期は、スイッチI1およびI2を制御するための2つの論理ゲートによってそれぞれ達成される。
【0060】
第1の論理ゲートLO1は、電圧発生器によって発せられる信号を反転させる反転論理ゲートである。第2の論理ゲートLO2は、入力および出力を有する論理ゲートであり、この論理ゲートLO2は、その入力において利用可能な信号をその出力にコピーする。したがって、ここに説明される例では、電圧発生器42によって発せられる方形波信号がその最大値をとるとき、第1のスイッチは開である一方、第2のスイッチは閉である。
【0061】
スイッチI1およびI2は、例えば、トランジスタ、例えば、論理ゲートLO1およびLO2を通じて電圧発生器42によって発せられる信号を用いて制御されるMOSFETトランジスタまたはバイポーラトランジスタである。
【0062】
これらの条件下で、2つのRC回路は、地点Aに存在する電位を、それが取得デバイス44によってサンプリングされる前に、電圧発生器42によって発せられる信号に応じて、交互にフィルタリングする、2つのRC積分回路と呼ばれるものとして挙動する。
【0063】
したがって、定常状態では、コンデンサC21は、電圧Vminまで荷電する一方、コンデンサC22は、電圧Vmaxまで荷電する。
【0064】
言い換えると、マイクロコントローラμCのGPIO出力ポートにおいて発せられるバイナリデジタルバイナリ信号が高い値をとるとき、スイッチI2は閉である一方、スイッチI1は開であり、取得デバイス44は、コンデンサC22の端子にわたって存在する電位をサンプリングする。
【0065】
同様に、マイクロコントローラμCのGPIO出力ポートにおいて発せられるバイナリデジタルバイナリ信号が低い値をとるとき、スイッチI2は開である一方、スイッチI1は閉であり、取得デバイス44は、コンデンサC21の端子にわたって存在する電位をサンプリングする。
【0066】
例として、以下の値が、図3に示されるフィルタリングデバイス50を形成するために使用され得る。
C21=C22=1μF、および
R2=10kΩ
【0067】
容量素子C21および抵抗器R2によって形成されるRC回路は、10ms以上の時定数(コンデンサ21の値と抵抗器R2の値との積)、および100Hz以下の遮断周波数を有する。
【0068】
フィルタリング素子C22および抵抗器R2によって形成されるRC回路は、さらには、フィルタリング素子C21および抵抗器R2によって形成されるRC回路と同じ時定数および遮断周波数を有する。
【0069】
フィルタリングデバイス50は、したがって、ノイズの満足のいく積分を獲得するために、臨界フィルタリング周波数よりはるかに低い遮断周波数、および非常に高い時定数を有するように構成され、臨界フィルタリング周波数は10kHzである。
【0070】
したがって、非常に高いノイズ減衰レベルを有すると同時に、取得デバイス44によって取得される信号の高い状態および低い状態に対応する非常に低い周波数において、フィルタリングされた値を獲得することが可能である。
【0071】
図5は、ノイズフィルタリングデバイス50を使用する利点を例証する。
【0072】
曲線CO1は、第1の電気回路12の第1の電位点に存在する電圧を例証する。この曲線は、第1の接地GND1と第2の接地GND2との間に存在するノイズに起因して、極めて高ノイズである。
【0073】
曲線CO2は、取得デバイス44から見た電圧を例証する。
【0074】
これら2つの曲線は、第1の接地GND1と第2の接地GND2との間に存在するノイズに直面したフィルタリングデバイスの拒絶反応が、低周波数フィルタリングであることを例証し、各部分VmaxおよびVminが独立してフィルタリングされる。
【0075】
有利には、サンプルEmaxおよび/またはEminは、電圧発生器42によって発せられる信号の高い状態および低い状態にそれぞれ対応する連続した半期T0/2における任意の時間に取得され得る。
【0076】
本発明は、上に説明される実施形態に限定されない。具体的には、それらに対して修正がなされ得ることは当業者にとっては明らかである。
【0077】
さらには、使用される用語は、上に説明される実施形態の要素に限定されるものと理解されるべきではなく、逆に、当業者が自らの一般的知識から推測し得るすべての等価の要素を網羅すると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5