(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】プリント配線基板のサポートピン位置決め方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
H05K13/04 P
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2021078529
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2017088465の分割
【原出願日】2017-04-27
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】上田 利生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 文子
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-150700(JP,A)
【文献】特開2005-064058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の子基板が面付けされている多面取りの親基板となるプリント配線基板に対し、当該親基板を支持する複数の柱状のサポートピンを配設するための構造を備えたサポート台を用い、前記親基板の各子基板に均等にサポートピンを配設するプリント配線基板のサポートピン位置決め方法であって、
前記親基板のデータから前記親基板の配置禁止領域を設定するステップと、
設定された前記親基板の配置禁止領域と前記サポート台のピン立て位置データを重畳するステップと、
前記親基板の配置禁止領域内の前記サポート台のピン立て位置データを削除することで、前記親基板に配置できるピン立て位置データを決定するステップと、
決定した前記親基板に配置できるピン立て位置データに対して各子基板の前記サポート台のピン立て位置データを重畳
し、各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データを決定するステップと、
決定した各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データから、すべての子基板において重なった前記サポート台のピン立て位置データを
判定し、すべての子基板において重なると判定した前記サポート台のピン立て位置データを配置可能位置データとして決定するステップと、
前記子基板と実装する部品のデータから目標位置データを決定するステップと、
前記配置可能位置データと前記目標位置データとを重畳するステップと、
前記配置可能位置データと前記目標位置データとの重畳に基づいてサポートピン配置位置を決定するステップと
を備えた、プリント配線基板のサポートピン位置決め方法。
【請求項2】
前記サポート台は、前記サポートピンを配設するための構造と、クリーム半田印刷機または自動装着機に固定する為のサポート台固定穴と、異なるサポート台と連結する為のサポート台連結穴とを有することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め方法。
【請求項3】
前記プリント配線基板は、前記プリント配線基板を複数重ね合わせた多層プリント配線基板であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め方法。
【請求項4】
前記プリント配線基板上の部品配置を半透明シートにプリントすることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め方法。
【請求項5】
前記半透明シートに、バーコードまたはQRコード(登録商標)を印刷してなることを特徴とする、請求項4に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め方法。
【請求項6】
複数の子基板が面付けされている多面取りの親基板となるプリント配線基板のデータを入力する入力部と、
入力データ及び演算結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータを用いて、前記親基板の配置禁止領域、配置可能位置データ、目標位置データおよびサポートピン配置位置を決定する演算部と、
クリーム半田印刷機、自動装着機、プリンタの少なくともいずれか一つが接続されていて、前記演算部で得られるサポートピン配置位置を出力する出力部と、
前記入力部、前記記憶部、前記演算部及び前記出力部を制御する制御部とを備え、
前記制御部及び前記演算部は、前記クリーム半田印刷機または前記自動装着機に、前記プリント配線基板を下方から支持するように、サポート台に配設されたサポートピンの配設位置を決定するサポートピン配設手段を構成し、
前記サポートピン配設手段は、
前記親基板のデータから前記親基板の配置禁止領域を設定するステップと、
設定された前記親基板の配置禁止領域と前記サポート台のピン立て位置データを重畳するステップと、
前記親基板の配置禁止領域内の前記サポート台のピン立て位置データを削除することで、前記親基板に配置できるピン立て位置データを決定するステップと、
決定した前記親基板に配置できるピン立て位置データに対して各子基板の前記サポート台のピン立て位置データを重畳
し、各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データを決定するステップと、
決定した各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データから、すべての子基板において重なった前記サポート台のピン立て位置データを
判定し、すべての子基板において重なると判定した前記サポート台のピン立て位置データを配置可能位置データとして決定するステップと、
前記子基板と実装する部品のデータから目標位置データを決定するステップと、
前記配置可能位置データと前記目標位置データとを重畳するステップと、
前記配置可能位置データと前記目標位置データとの重畳に基づいてサポートピン配置位置を決定するステップと
を有する、プリント配線基板のサポートピン位置決め装置。
【請求項7】
前記サポート台は、前記サポートピンを配設するための構造と、クリーム半田印刷機または自動装着機に固定する為のサポート台固定穴と、異なるサポート台と連結する為のサポート台連結穴とを有することを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め装置。
【請求項8】
前記プリント配線基板は、前記プリント配線基板を複数重ね合わせた多層プリント配線基板であることを特徴とする請求項6または7に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め装置。
【請求項9】
前記プリント配線基板上の部品配置を半透明シートにプリントすることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか1項に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め装置。
【請求項10】
前記半透明シートに、バーコードまたはQRコード(登録商標)を印刷してなることを特徴とする、請求項9に記載のプリント配線基板のサポートピン位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板に電子部品(以下、単に部品と称す)を実装する際に、基板を支持するためのサポートピン位置決め方法及び装置に関し、特に、両面実装の基板の一方の面に表面実装用の部品(Surface Mount Device)(以下、SMDと称す)を実装した後に、他方の面に部品を実装する時、または挿入実装用の部品(Insertion Mount Device)(以下、IMDと称す)が、裏面に貫通し、サポートピンを配設する台(以下、サポート台と称す)へ干渉する時、プリント配線基板を支持するためのサポートピン位置決め方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板を製造する際、製造ラインに合わせた大きさ(以下、ワークサイズと称す)の材料を加工しているため、ワークサイズに合わせて、複数個のプリント配線基板を面付けしている。複数個のプリント配線基板が面付けされているワークサイズのプリント配線基板を親基板、親基板に面付けされている1つのプリント配線基板を子基板とする。例えば、子基板のサイズが縦80mm、横70mmで、3枚面付けする場合、親基板のサイズは縦100mm、横300mmのものを使用できる。親基板のサイズ、子基板のサイズおよび子基板の個数はこれに限ったものでなく、製品のサイズ、製造ラインによって異なるものである。
【0003】
部品の半田付け工程における、クリーム半田のスクリーン印刷は、クリーム半田印刷機にプリント配線基板をセットし、セットしたプリント配線基板の部品実装面にメタルマスクを置き、クリーム半田をスキージで押さえつけることで、メタルマスク上の穴にクリーム半田が入り、プリント配線基板に印刷される。
【0004】
プリント配線基板に、部品を実装する際、クリーム半田をスクリーン印刷する時および部品を自動装着機で搭載する時の圧力が、プリント配線基板に加わる。両面実装のプリント配線基板の場合、プリント配線基板の一方の面にSMDを実装した後、他方の面に部品を実装するため、プリント配線基板上のSMDの外形、SMDを実装するパッド、プリント配線基板の穴およびプリント配線基板切り離し箇所に当たらないように配置したサポートピン(以下、サポートピンと称す)が必要となる。また、片面実装のプリント配線基板であっても、IMDを使用しているプリント配線基板の場合、IMDの外形、IMDのリードを挿し込むプリント配線基板の穴およびプリント配線基板切り離し箇所に当たらないように、プリント配線基板を支持するサポートピンが必要となる。
【0005】
従来、サポート台を使用する場合、子基板において、子基板の外形、サイズ、部品配置、配線パターンデータおよび部品のサイズ(以下CADデータと称す)を使用し、サポート台のピン立て位置データと照合し、先に実装された部品と重ならないように、サポートピンを配置する位置を決定する方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、CADデータから子基板の部品が実装された面の部品と重ならない範囲を予め決定し、部品を実装する面の部品の実装位置の近辺を下方から支持するように、サポートピンの配置位置を決定し、サポート台のピン立て位置データと照合する方法が提案されている。
【0007】
また、特許文献2では、CADデータおよび、各部品の形状を示す部品ライブラリデータから、子基板の部品が実装された面の部品と重ならない範囲のサポートピンの配置位置を決定し、部品と重なる範囲のサポートピンの高さを調整する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-124508号公報
【文献】特開2002-359499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の方法は、子基板についてのみ考慮するものであり、複数個の子基板を面付けしている親基板について考慮されていない。親基板において、クリーム半田をスクリーン印刷する時および部品を自動装着機で搭載する時の圧力は、各子基板で同一であることが望ましい。サポート台のピン立て位置が各子基板に対して、異なる構成の時、各子基板に異なる圧力が加わり、部品実装後の品質が同一にならないという課題がある。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、親基板の各子基板に加わる圧力を同一にするとともに、各子基板の品質を一定に保つことができるプリント配線基板のサポートピン位置決め方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプリント配線基板のサポートピン位置決め方法は、複数の子基板が面付けされている多面取りの親基板となるプリント配線基板に対し、当該親基板を支持する複数の柱状のサポートピンを配設するための構造を備えたサポート台を用い、前記親基板の各子基板に均等にサポートピンを配設するプリント配線基板のサポートピン位置決め方法であって、前記親基板のデータから前記親基板の配置禁止領域を設定するステップと、設定された前記親基板の配置禁止領域と前記サポート台のピン立て位置データを重畳するステップと、前記親基板の配置禁止領域内の前記サポート台のピン立て位置データを削除することで、前記親基板に配置できるピン立て位置データを決定するステップと、決定した前記親基板に配置できるピン立て位置データに対して各子基板の前記サポート台のピン立て位置データを重畳し、各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データを決定するステップと、決定した各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データから、すべての子基板において重なった前記サポート台のピン立て位置データを判定し、すべての子基板において重なると判定した前記サポート台のピン立て位置データを配置可能位置データとして決定するステップと、前記子基板と実装する部品のデータから目標位置データを決定するステップと、前記配置可能位置データと前記目標位置データとを重畳するステップと、前記配置可能位置データと前記目標位置データとの重畳に基づいてサポートピン配置位置を決定するステップとを備えたものである。
【0012】
また、本発明に係るプリント配線基板のサポートピン位置決め装置は、複数の子基板が面付けされている多面取りの親基板となるプリント配線基板のデータを入力する入力部と、入力データ及び演算結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータを用いて、前記親基板の配置禁止領域、配置可能位置データ、目標位置データおよびサポートピン配置位置を決定する演算部と、クリーム半田印刷機、自動装着機、プリンタの少なくともいずれか一つが接続されていて、前記演算部で得られるサポートピン配置位置を出力する出力部と、前記入力部、前記記憶部、前記演算部及び前記出力部を制御する制御部とを備え、前記制御部及び前記演算部は、前記クリーム半田印刷機または前記自動装着機に、前記プリント配線基板を下方から支持するように、サポート台に配設されたサポートピンの配設位置を決定するサポートピン配設手段を構成し、前記サポートピン配設手段は、前記親基板のデータから前記親基板の配置禁止領域を設定するステップと、設定された前記親基板の配置禁止領域と前記サポート台のピン立て位置データを重畳するステップと、前記親基板の配置禁止領域内の前記サポート台のピン立て位置データを削除することで、前記親基板に配置できるピン立て位置データを決定するステップと、決定した前記親基板に配置できるピン立て位置データに対して各子基板の前記サポート台のピン立て位置データを重畳し、各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データを決定するステップと、決定した各子基板のそれぞれに配置できるピン立て位置データから、すべての子基板において重なった前記サポート台のピン立て位置データを判定し、すべての子基板において重なると判定した前記サポート台のピン立て位置データを配置可能位置データとして決定するステップと、前記子基板と実装する部品のデータから目標位置データを決定するステップと、前記配置可能位置データと前記目標位置データとを重畳するステップと、前記配置可能位置データと前記目標位置データとの重畳に基づいてサポートピン配置位置を決定するステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、親基板の各子基板の品質を一定に保つことができる親基板のサポートピンの位置決め方法および装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るプリント配線基板のサポートピン位置決め装置を示すハードウェアの構成ブロック図である。
【
図2】
図1の制御部804の制御に基づく演算部802におけるサポートピン配置位置の決定処理についてのフローチャートを示した図である。
【
図3】
図2に示すフローチャートの、サポートピン配置位置決定ステップS200に関するサブルーチンについてのフローチャートを示した図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る親基板のCADデータを示した図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る親基板の配置禁止領域を示した図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係るサポート台のピン立て位置データを示した図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係るサポート台のピン立て位置データと親基板の配置禁止領域の重畳処理の説明する図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る親基板におけるサポート台のピン立て位置データを示した図である。
【
図9】本発明の実施の形態1に係る配置可能位置データについて示した図である。
【
図10】本発明の実施の形態1に係る目標位置データについて示した図である。
【
図11】本発明の実施の形態1に係る配置可能位置データと目標位置データの重畳処理の説明する図である。
【
図12】本発明の実施の形態1に係るサポートピン配置位置について示した図である。
【
図13】本発明の実施の形態2に係るもので、隣接する最大まで広げた目標位置データ603を最大外形で繋ぎ、楕円、三角形、四角形で生成した目標位置領域604a~cを説明する図である。
【
図14】本発明の実施の形態8に係るもので、サポートピン配置シート702に親基板300の管理番号704を印刷した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るプリント配線基板のサポートピン位置決め装置の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係るプリント配線基板のサポートピン位置決め装置のハードウェア構成を示すブロック図である。また、
図2は、
図1に示す制御部804の制御に基づく演算部802におけるサポートピン配置位置の決定処理に関するフローチャートであり、
図3は、
図2に示すフローチャートのサポートピン配置位置決定ステップS200に関するサブルーチンについてのフローチャートである。
【0017】
図1に示すように、サポートピン位置決め装置900は、複数の子基板が面付けされている多面取りの親基板となるプリント配線基板のデータを入力する入力部800と、入力データ及び演算結果を記憶する記憶部801と、前記記憶部801に記憶されたデータを用いて、前記親基板の配置禁止領域、配置可能位置データ、目標位置データおよびサポートピン配置位置を決定する演算部802と、クリーム半田印刷機901、自動装着機902、プリンタ903の少なくともいずれか一つが接続されていて、前記演算部802で得られるサポートピン配置位置を出力する出力部803と、前記入力部800、前記記憶部801、前記演算部802及び前記出力部803を制御する制御部804とを備え、制御部804及び演算部802は、クリーム半田印刷機901または自動装着機902に、プリント配線基板を下方から支持するように、サポート台に配設されたサポートピンの配設位置を決定するサポートピン配設手段を構成する。
【0018】
入力部800は、サポート台のピン立て位置データ、CADデータ、親基板の重さ、子基板の重さおよび部品の重さを入力するものである。記憶部801は、入力部800から入力されたデータ、演算部802で得られる演算結果を記憶するものである。演算部802は、記憶部801に記憶されたデータを用いて、親基板の配置禁止領域、配置可能位置データ、目標位置データおよびサポートピン配置位置を決定するものである。出力部803は、演算部802で得られるサポートピン配置位置を出力するものである。制御部804は、入力部800、記憶部801、演算部802、出力部803を制御するものである。
【0019】
図1に示す制御部804の制御に基づく演算部802における処理について
図2及び
図3に示すフローチャートに従って説明する。
図2及び
図3は、制御部804及び演算部802により構成されるサポートピン配設手段の内容であり、クリーム半田印刷機901または自動装着機902に、プリント配線基板を下方から支持するように、サポート台に配設されたサポートピンの配設位置を決定する。
【0020】
まず、
図4に示す親基板のCADデータから、親基板300の基準穴302、親基板の穴303、親基板の子基板切り離し箇所304a~hおよび部品・パッド情報305a~fに基づいて、
図5に斜線部で示す親基板の配置禁止領域306を設定する(ステップS101)。ここで、部品・パッド情報305a~fは、外接矩形に対し、一定の幅を付加しても良い。付加する幅は、部品・パッド毎に変更しても良いし、同じ幅を付加しても良い。例えば、部品・パッド情報305a~fに対して、2mmの幅を持たせた領域を親基板の配置禁止領域306としても良い。
【0021】
親基板の配置禁止領域306は、親基板の表面、親基板の裏面少なくとも一方の面で設定する。例えば、親基板の表面、親基板の裏面、親基板の両方の面の配置禁止領域306を重ね合わせて設定しても良い。
【0022】
次に、設定された親基板の配置禁止領域306と、
図6に示すサポート台400のピン立て位置データの、ピン立て位置401、サポート台連結穴402a~d、サポート台固定穴403a~bを重畳する(ステップS102)。
【0023】
クリーム半田印刷機901または自動装着機902とサポート台400と親基板300の各座標を合わせる基準を基準位置404とする。例えば、
図7(c)に示すように、
図7(a)に示すサポート台400と、
図7(b)に示す親基板300を重畳する時、サポート台400の中心軸を基準位置404とし、親基板300の中心軸を基準位置404に合わせる。基準位置404については、中心軸である必要はない。例えば、親基板の基準穴302を用いて、基準位置404を設定しても良いし、親基板300の片方の端を基準位置404としても良い。
【0024】
そして、親基板の配置禁止領域306とサポート台400のピン立て位置データが重なる部分を判定し、親基板の配置禁止領域306内のサポート台400のピン立て位置データを削除することで、
図8に示すように、親基板300に配置できるピン立て位置401の位置データを決定する(ステップS103)。
【0025】
さらに、
図9に示すように、
図9(a)に示す親基板300の各子基板301のサポート台のピン立て位置データを重畳し(ステップS104)、重なるサポート台のピン立て位置データを判定し、重なったサポート台のピン立て位置データを、
図9(b)に示す配置可能位置データ501とする(ステップS105)。
【0026】
次に、子基板のサイズ、子基板の重さ、実装する部品の位置および部品の重さから、目標位置データ601を決定する(ステップS106)。目標位置データ601は、子基板301の一辺に対して少なくとも2点、すなわち、子基板301に対して少なくとも4点配置する。目標位置データ601を配置する数および配置する間隔は、子基板301のサイズ、子基板301の重さ、実装する部品の位置、実装する部品の重さにより任意に変更する。例えば、重たい部品が実装される周辺に多く配置することが可能である。本例では、
図10に示すように子基板301に均一に支えるために、マトリックス状に配置しているが、これに限るものではない。
【0027】
次に、
図11(c)に示すように、
図11(a)に示す配置可能位置データ501と
図11(b)に示す目標位置データ601を重畳し(ステップS107)、サポートピン配置位置を決定する(ステップS200)。
【0028】
サポートピン配置位置の決定のための
図3に示すサブルーチンにおいて、目標位置データ601を任意の真円とし(ステップS201:第1ステップ)、配置可能位置データ501と目標位置データ601が重なるか否かを判定する(ステップS202:第2ステップ)。配置可能位置データ501と目標位置601が重なった場合は、
図11(d)のように、サポートピン配置位置701とし(ステップS203:第3ステップ)、コンピュータのプログラム上で、重なった目標位置データ601を削除する(ステップS204:第4ステップ)。
【0029】
他方、
図12(a)に示す配置可能位置データ501と目標位置データ601が重ならなかった場合は、
図12(b)に示すように、コンピュータのプログラム上で、各目標位置データ601を中心に真円状に一定の規則を持って広げ、広げた目標位置データ602とする(ステップS205:第5ステップ)。目標位置データ601を中心に真円状に広げる幅は、任意とする。例えば、広げる幅を固定値とし、1mmずつ広げても良いし、比例関数的に1mm、2mmと広げても良い。
【0030】
次に、隣接する広げた目標位置データ602と広げた目標位置データ602が接触しているか否かを判定する(ステップS206:第6ステップ)。ここで、隣接した広げた目標位置データ602と広げた目標位置データ602が接触していない場合、配置可能位置データ501と重なるか判定し(ステップS202)、重なった場合、サポートピン配置位置701とし(ステップS203)、コンピュータのプログラム上で、広げた目標位置データ602を削除する(ステップS204)。
【0031】
目標位置データ601は、任意の大きさまで広げる。本例では、隣接する目標位置データ601が接触するまで広げるものとしているがこの限りではない。例えば、固定値として50mmとしても良いし、隣接する目標位置データ601の間が1mm以下になるまでとしても良い。
図12(c)に示すように、最大まで広げた目標位置データ603になるまで、繰り返しサポートピン配置位置701を決定する。
【0032】
目標位置データ601を最大まで広げた後、重ならなかった目標位置データ601と配置可能位置データ501を削除し、
図12(d)に示すように、サポートピン配置位置701のみとする。
【0033】
以上の通り、各子基板301のサポートピン配置位置701を統一することで、サポート台のピン立て位置構成に関係なく、品質を一定に保つことが可能なプリント配線基板のサポートピンの位置決めを行うことができる。
【0034】
実施の形態2.
図12(c)において、目標位置データ601を最大まで広げた目標位置データ603とした後、配置可能位置データ501と重ならない場合、
図13のように、隣接する最大まで広げた目標位置データ603を最大外形で繋ぎ、2つ繋いだ場合は楕円、3つ繋いだ場合は三角形、4つ繋いだ場合は四角形の領域を生成し、生成した目標位置領域604a~c内部にある配置可能位置データ501を、サポートピン配置位置701としても良い。また、最大まで広げた目標位置データ603を繋ぐ数は任意とする。この場合、より多くのサポートピン配置位置701を配置することができる。
【0035】
実施の形態3.
サポート台400は、1台でも良いし、2台以上を連結するものでも良く、親基板300のサイズに合わせて変更できる。各子基板301のサポート台のピン立て位置データを重畳するため、サポート台400の外形、サイズおよび台数に関係なく、サポートピン配置位置701を配置することができる。
【0036】
実施の形態4.
親基板300の子基板301の面付け数は、3枚である必要はなく、2枚以上であれば良い。各子基板301のサポート台のピン立て位置データを重畳するため、子基板301の面付け数に関係なく、サポートピン配置位置701を配置することができる。
【0037】
実施の形態5.
親基板300および子基板301は、矩形である必要はなく、例えば円形でも良い。子基板301のCADデータから子基板301の外形およびサイズに合わせて、配置を決定するため、子基板301の外形に関係なく、サポートピン配置位置701を配置することができる。
【0038】
実施の形態6.
親基板300および子基板301は、多層構造でも良く、プリント配線基板の構成、プリント配線基板の材質、プリント配線基板のサイズ、プリント配線基板の重さに合わせて、目標位置データ601を変更することができる。目標位置データ601を変更することで、プリント配線基板の構成等に関係なく、品質を均一にすることができる。
【0039】
実施の形態7.
親基板300は、1種類である必要はなく、複数の種類に対して、共通のサポートピン配置位置701を決めても良い。例えば、2種類の親基板300の配置禁止領域306を重畳し、複数の種類に対して、共通のサポートピン配置701を決めることで、サポートピン配置位置701の変更せずに使用でき、配置変更時間を短縮できる。
【0040】
実施の形態8.
図1に示す構成において、サポートピン位置決め装置900の出力部803からデータをプリンタ903へ出力し、
図14に示すようなサポートピン配置シート702を印刷しても良い。サポートピン配置シート702を使用し、サポートピン配置位置701を目視することで、手動で配置することができる。サポートピン配置シート702の外形は矩形である必要はなく、例えばサポート台400、クリーム半田印刷機901に合わせた外形にすることで、サポートピン配置シート702をサポート台400に載せたまま、クリーム半田の印刷が可能である。
【0041】
サポートピン配置シート702が透明の場合、サポート台400にセットした際に、ピン立て位置401等を確認することができるが、サポートピン配置シート702に印刷した文字、例えば、親基板300の管理番号704の読取が困難なため、サポートピン配置シート702の表裏を間違える可能性がある。
【0042】
サポートピン配置シート702が半透明の場合、サポート台400にセットした際に、ピン立て位置401等を確認することができるだけでなく、サポートピン配置シート702に印刷した文字、例えば、親基板300の管理番号704の読取も容易になり、サポートピン配置シート702の裏表の判別も容易になる。また、印刷された子基板の外形703も確認しやすくなり、対応した親基板300の判別も容易になる。
【0043】
半透明のシートは、例えばトレーシングペーパに印刷し、静電気防止機能付きラミネートフィルムで加工して作成することができるが、これに限るものではない。
【0044】
実施の形態9.
サポートピン配置シート702に、親基板300を管理する情報のQRコード(登録商標)を印刷することにより、サポートピン配置シート702と親基板300の管理を容易にすることができ、サポートピン配置シート702と親基板300を一意に特定できる。
【0045】
上述したように、本発明は、サポート台のピン立て位置データとCADデータから、片面実装の場合は、IMDの外形、親基板の穴および親基板の子基板切り離し箇所と重ならないサポートピンの配置位置、両面実装の場合は、IMDの外形、親基板の実装された面のSMDの外形、SMDを実装するパッド、親基板の穴および、親基板の子基板切り離し箇所と重ならないサポートピンの配置位置を決定し、一つの子基板上に重ね合わせることで、どの子基板でも同一の位置に、配置可能なサポートピンの配置位置(以下、配置可能位置データと称す)を決定した後、子基板のサイズ、子基板の重さ、実装する部品の位置および、部品の重さから想定した一定の規則を持ったサポートピン配置データ(以下、目標位置データと称す)を配置可能位置データに重ね合わせ、目標位置データと配置可能位置データが重ねあった箇所を、サポートピン配置位置とする手段を備える。また、目標位置データと配置可能位置データが重ね合わなかった場合は、目標位置データをコンピュータ上のプログラムにより、目標位置データを中心に真円状に広げ、真円が他のサポートピンの目標位置データから広げた真円の円周に接触するまで、真円を広げる。広げた真円が配置可能位置データと重なった箇所の配置位置をサポートピン配置位置とする手段を備える。広げた真円が配置可能位置データと重ね合わなかった場合、サポートピン配置は無しとするものである。
【0046】
このように、サポートピン配置位置を決定することにより、クリーム半田をスクリーン印刷する時および部品を自動装着機で搭載する時の各子基板に加わる圧力を同一にすることで、各子基板の品質を一定に保つことができる。
【0047】
なお、本発明は、このような特徴的な手段を備えたサポートピン位置決め装置として実現することができるだけでなく、それらの特徴的な手段をステップとするサポートピンの位置決め方法として実現したり、特徴的な命令を含むプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD-ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、クリーム半田印刷機のサポートピン配置位置を決定する位置決め装置に適用でき、特に、多面取りのプリント配線基板のクリーム半田印刷機などに利用できる。
【符号の説明】
【0049】
300 親基板
301 子基板
302 基準穴
303 プリント配線基板の穴
304a プリント配線基板切り離し箇所
304b プリント配線基板切り離し箇所
304c プリント配線基板切り離し箇所
304d プリント配線基板切り離し箇所
304e プリント配線基板切り離し箇所
304f プリント配線基板切り離し箇所
304g プリント配線基板切り離し箇所
304h プリント配線基板切り離し箇所
305a プリント配線基板部品・パッド情報
305b プリント配線基板部品・パッド情報
305c プリント配線基板部品・パッド情報
305d プリント配線基板部品・パッド情報
305e プリント配線基板部品・パッド情報
305f プリント配線基板部品・パッド情報
306 配置禁止領域
400 サポート台
401 ピン立て位置
402a サポート台連結穴
402b サポート台連結穴
402c サポート台連結穴
402d サポート台連結穴
403a サポート台固定穴
403b サポート台固定穴
404 基準位置
501 配置可能位置データ
601 目標位置データ
602 広げた目標位置データ
603 最大まで広げた目標位置データ
604a 目標位置領域
604b 目標位置領域
604c 目標位置領域
701 サポートピン配置位置
702 サポートピン配置シート
703 子基板の外形
704 親基板の管理番号
800 入力部
801 記憶部
802 演算部
803 出力部
804 制御部
900 サポートピン位置決め装置
901 クリーム半田印刷機
902 自動装着機
903 プリンタ