(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220725BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2021154666
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-09-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500527786
【氏名又は名称】株式会社タウ
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】宮本 明岳
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-044573(JP,A)
【文献】特開平10-222568(JP,A)
【文献】特開2018-205876(JP,A)
【文献】特開2003-157371(JP,A)
【文献】特開2004-066493(JP,A)
【文献】特開2002-304460(JP,A)
【文献】米国特許第09208526(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより管理される損害車の再利用方法を区分する情報処理装置において、
前記損害車について、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する損害車情報取得手段と、
前記損害情報に基づいて前記損害車の修理コストを算出し、当該修理コストに基づいて損壊度を決定する損壊度決定手段と、
前記車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び前記損壊度に基づいて残存価値を決定する残存価値決定手段と、
前記損壊度及び前記残存価値に基づいて、前記損害車の再利用方法として、前記損害車を修復して中古車販売する修復販売方法と、前記損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する再利用方法区分手段と、
を備え
、
前記損壊度を示す第1軸と前記残存価値を示す第2軸とから構成される平面であって、経済価値の観点から、前記修復販売方法を示す第1領域と、前記リサイクル方法を示す第2領域とに区分された平面が予め用意されている場合において、
前記再利用方法区分手段は、前記損壊度決定手段により決定された前記損壊度及び前記残存価値決定手段により決定された前記残存価値により特定される前記平面上の点が、前記第1領域と前記第2領域との何れに属するのかを判断することで、前記損害車の再利用法方法として、前記修復販売方法と前記リサイクル方法とのうちの何れかに区分する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記損壊度決定手段は、前記修理コストとして、国内向け修理コストを算出し、
前記残存価値決定手段は、前記中古車相場として、国内向け中古車相場を算出し、
前記再利用方法区分手段は、前記損害車の再利用方法を前記修復販売方法に区分した場合、前記国内向け修理コスト及び前記国内向け中古車相場に基づいて、前記損害車を修復して国内において中古車販売する国内向け修復販売方法と、前記損害車を修復して海外において中古車販売する海外向け修復販売方法とのうち何れかに区分する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記再利用方法区分手段は、前記損害車の再利用方法を前記リサイクル方法に区分した場合、前記残存価値に基づいて、前記損害車を資源としてリサイクルする資源リサイクル方法と、前記損害車を構成する各パーツのうち少なくとも一部をパーツとしてリサイクルするパーツリサイクル方法とのうち何れかに区分する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記再利用方法区分手段は、前記損害車の再利用方法を前記リサイクル方法に区分した場合、前記損害車を構成する前記各パーツを単位として、各単位毎に、前記資源リサイクル方法と前記パーツリサイクル方法とのうち何れかに区分する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザにより管理される損害車の再利用方法を区分する情報処理装置が実行する情報処理方法において、
前記損害車について、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する損害車情報取得ステップと、
前記損害情報に基づいて前記損害車の修理コストを算出し、当該修理コストに基づいて損壊度を決定する損壊度決定ステップと、
前記車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び前記損壊度に基づいて残存価値を決定する残存価値決定ステップと、
前記損壊度及び前記残存価値に基づいて、前記損害車の再利用方法として、前記損害車を修復して中古車販売する修復販売方法と、前記損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する再利用方法区分ステップと、
を含
み、
前記損壊度を示す第1軸と前記残存価値を示す第2軸とから構成される平面であって、経済価値の観点から、前記修復販売方法を示す第1領域と、前記リサイクル方法を示す第2領域とに区分された平面が予め用意されている場合において、
前記再利用方法区分ステップは、前記損壊度決定ステップの処理により決定された前記損壊度及び前記残存価値決定ステップの処理により決定された前記残存価値により特定される前記平面上の点が、前記第1領域と前記第2領域との何れに属するのかを判断することで、前記損害車の再利用法方法として、前記修復販売方法と前記リサイクル方法とのうちの何れかに区分する、
情報処理方法。
【請求項6】
ユーザにより管理される損害車の再利用方法を区分するコンピュータに、
前記損害車について、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する損害車情報取得ステップと、
前記損害情報に基づいて前記損害車の修理コストを算出し、当該修理コストに基づいて損壊度を決定する損壊度決定ステップと、
前記車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び前記損壊度に基づいて残存価値を決定する残存価値決定ステップと、
前記損壊度及び前記残存価値に基づいて、前記損害車の再利用方法として、前記損害車を修復して中古車販売する修復販売方法と、前記損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する再利用方法区分ステップと、
を含
う、
前記損壊度を示す第1軸と前記残存価値を示す第2軸とから構成される平面であって、経済価値の観点から、前記修復販売方法を示す第1領域と、前記リサイクル方法を示す第2領域とに区分された平面が予め用意されている場合において、
前記再利用方法区分ステップは、前記損壊度決定ステップの処理により決定された前記損壊度及び前記残存価値決定ステップの処理により決定された前記残存価値により特定される前記平面上の点が、前記第1領域と前記第2領域との何れに属するのかを判断することで、前記損害車の再利用法方法として、前記修復販売方法と前記リサイクル方法とのうちの何れかに区分する、
制御処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中古車査定支援システムにおいて、各種情報に基づいて、修理費用や中古車買取価格を算定するための技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を含め従来の技術では、単に、中古車について、修理費用等を考慮して中古車買い取り価格を算定することができるに過ぎなかった。
通常、中古車買取業者は、ある一定の処分方法を提案するに過ぎない。即ち、ある中古車買取業者は、中古車を買い取り、修理の上で、日本国内において再度販売することを前提とした買い取りをするに過ぎなかった。その結果、中古車のユーザにとっては、その中古車買取業者が想定している以外の適切な処分方法における買取価格の提案がされてこなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、損害車を管理するユーザに対して、その損害車の再利用方法の提案における利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
ユーザにより管理される損害車の再利用方法を区分する情報処理装置において、
前記損害車について、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する損害車情報取得手段と、
前記損害情報に基づいて前記損害車の修理コストを算出し、当該修理コストに基づいて損壊度を決定する損壊度決定手段と、
前記車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び前記損壊度に基づいて残存価値を決定する残存価値決定手段と、
前記損壊度及び前記残存価値に基づいて、前記損害車の再利用方法として、前記損害車を修復して中古車販売する修復販売方法と、前記損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する再利用方法区分手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、本発明の一態様の情報処理装置に対応する方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、損害車を管理するユーザに対して、その損害車の再利用方法の提案における利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムが適用される本サービスの流れの一例を説明する模式図である。
【
図2】
図1の本サービスにいて、損害車の再利用方法の決定に資するカートリアージの概念を示す図である。
【
図3】
図1のサービスの提供のための情報処理システムの構成の例を示す図である。
【
図4】
図3の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図4のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図5の機能的構成を有するサーバによる損害車の再利用方法の区分の一例を示す他フロー図である。
【
図7】
図5の機能的構成を有するサーバにおいて損害車情報を取得する流れを示す図である。
【
図8】
図5の機能的構成を有するサーバにおいて損壊度を算出する流れを示す図である。
【
図9】
図5の機能的構成を有するサーバにおいて残存価値を算出する流れを示す図である。
【
図10】
図5の機能的構成を有するサーバにおいてリサイクルにおける残存価値を算出する流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムが適用されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の流れの一例を説明する模式図である。
【0012】
本サービスは、ユーザUにより管理される車両Cについて、ユーザUにより撮像された車両Cの写真に基づいて、その車両Cの再利用方法や、その再利用方法を採用した際の車両Cの買取価格等を提示するものである。また、本実施形態では、再利用方法として修復(修理)を前提とする買取方法が提示される場合、その修復(修理)費用も提示される。
詳しくは後述するが、本サービスは、特に事故や天災等による損害を受けた車両Cに対して有用である。そこで、以下、損害を受けた車両Cであるものとして、車両Cを「損害車C」と呼ぶ。
また、本サービスの特徴として、カートリアージの概念に基づいて損害車Cの再利用方法を決定し、ユーザUに対してよりよい再処理方法を提示することができる。
カートリアージとは、損害車Cの損壊度及び残存価値に応じて経済価値を最大化する損害車Cの再利用方法を決めるためのものである。
カートリアージのさらなる詳細については後述する。
【0013】
なお、以下、本サービスの提供者(以下、「サービス提供者」と呼ぶ)は、ユーザUに再利用方法とその買取価格を提示しユーザ端末2に、ユーザUから買い取った損害車Cを、その再利用方法に応じた方法で他の事業者等に販売するものとして説明する。
【0014】
以下、
図1に示すステップST1乃至ST6に沿って、本サービスの流れの概要について説明する。
【0015】
具体的には例えば、ステップST1において、ユーザUは、自身が利用するスマートフォン等のユーザ端末2のカメラを用いて、損害車Cを被写体に含む写真を撮影する。これにより、ユーザ端末2からは、損害車Cを被写体に含む(写真の)撮像画像のデータ(以下、「写真画像情報」と呼ぶ)が送信されて、サービス提供者(後述する
図3のサーバ1)に提供される。
なお、
図1において、損害車Cは、損害を受けた(事故を起こした)直後の様子として図示されているが、ユーザUが損害車Cを被写体に含む写真を撮影するタイミングは、損害を受けた(事故を起こした)直後でなくてもよい。
【0016】
また、ステップST1において、ユーザUは、ユーザ端末2を用いて、損害車Cの車検証を被写体に含む写真を撮像する。これにより、ユーザ端末からは、車検証を被写体に含む撮像画像のデータ(以下、「車検証情報」と呼ぶ)が送信されて、サービス提供者(後述する
図3のサーバ1)に提供される。
これにより、サービス提供者(後述する
図3のサーバ1)において、次のようなステップST2乃至ST4の一連の流れが行われる。
【0017】
即ち、ステップST2において、送信されてきた写真画像情報に基づいて、損害車Cの損傷個所の特定がなされる。具体的には例えば、後述するサーバ1では、AI(Artificial Intelligence、人工知能)の画像認識モデルが採用されている。この画像認識モデルは、送信されてきた写真画像情報を入力すると、当該写真画像情報に被写体として含まれる損害車Cの損傷の箇所及び程度を特定して出力するものである。
このような画像認識モデルは、所定の学習処理の結果生成される。即ち例えば、損害車Cの写真画像情報と、その損害車Cの損害の程度を示すデータとを用いた学習処理により、画像認識モデルが生成又は更新される。
【0018】
次に、ステップST3において、ステップST2により得られた損害車Cの損傷の箇所及び程度に基づいて、損害車Cの修理コストが算出される。具体的には例えば、サーバ1では修理見積システム(後述の
図5の損壊度決定部52)が採用されている。修理見積システムは、特定された損害車Cの損傷の箇所及び程度に基づいて、その修理コストを算出する。
【0019】
次に、ステップST4において、ステップST3により得られた損害車Cの修理コストが考慮された損害車Cの残存価値の算出がなされる。即ち、サーバ1では、ステップST1により得られた車両Cの車検証情報と、ステップST3の段階において算出された損害車Cの修理コストに基づいて、損害車Cの残存価値を算出する。
ここで、損壊度とは、損害車Cの損壊の程度を表す指標である。本実施形態では、損壊度として、損害車Cが修理された場合における価値(販売価格)から損害車Cが修理されるために必要なコスト(即ち、上述の修理コスト)を減じたものと、損害車Cが修理された場合における価値(販売価格)との割合が、採用されている。
【0020】
ステップST5において、ステップST3及び4において算出された、損害車Cの損壊度及び残存価値に基づいて、損害車Cを最も高額で販売できる方法等がユーザ端末2を介してユーザUに提示される。
本実施形態の損害車Cを最も高額で販売できる方法には、以下のHOW,WHERE,WHENが含まれている。
即ち、最も高額で販売できる方法のHOW(どうやって)として、修理販売、現状販売、解体販売等の別が、ユーザUに提示される。
また、最も高額で販売できる方法のWHERE(どこ)として、中古車AA(Auto□Auction)販売、小売販売及び海外への輸出販売等の別が、ユーザUに提示される。
また、最も高額で販売できる方法のWHEN(いつ)である価値最大化のタイミングに基づいた損害車Cの販売方法が、ユーザUに提示される。即ち例えば、中古車の残存価値(中古車市場で販売する場合は市場価値)は、需要と供給の変動と連動して変化する。そのため、例えば、損害車Cの買取時期からの所定期間後における残存価値と、当該所定期間まで損害車C(又は修理された損害車C)の保管費用等に基づいた損害車Cの販売方法が、ユーザUに提示される。
【0021】
本サービスでは、上述のHOW(どうやって)の決定に際して、カートリアージの概念を導入することで、ユーザUに対してよりよい再処理方法を提示することができるのである。
【0022】
ステップST6において、ステップST5において提示された損害車Cを最も高額で販売できる方法における、損害車Cの残存価値が、ユーザUに対して提示される。
即ち、ユーザUは、ステップST5の処理の結果提示された最も高額で販売できる方法のWHEN、WHERE及びHOW、並びに、その方法における損害車Cの残存価格を把握することができる。即ち、ユーザUに対して買取価格の透明性の担保をすることができる。これにより、ユーザUは、損害車Cの価格に対してその理由を把握、納得感をもって損害車Cの販売する決断をしたり、再利用方法を決定したりすることができるのである。
【0023】
なお、例えば、損害車Cについて修復(修理)を前提とした再利用方法と、買取価格と、その修復(修理)費用がユーザUに提示された場合において、ユーザUは、損害車Cを買い取ってもらうよりも修理して乗り続けようと考えることがある。その場合、サービス提供者は、提示された修復(修理)費用に基づいてユーザUから損害車Cの修復(修理)を受注することができる。
即ち、このようにサービス提供者が修復(修理)を引き受けることを前提とした修復(修理)費用がユーザUに提示される。これにより、買取価格の透明性の担保がなされるのである。
【0024】
以上、
図1を用いて、本サービス全体的な流れについて説明した。
以下、
図2を用いて、本サービスにおけるカートリアージの概念について説明する。
【0025】
図2は、
図1の本サービスにいて、損害車の再利用方法の決定に資するカートリアージの概念を示す図である。
【0026】
従来、トリアージとは、自然人に対して適用する手法であって、災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度の区分を決める際に用いられるものである。
【0027】
本サービスのカートリアージは、車両Cに対して適用する手法であって、車両Cの損壊度及び残存価値に基づいて、経済価値を最大化する再利用方法を決めるために用いることができる。
即ち、本サービスのカートリアージとは、損害車Cの損壊度(修理コストの大小に相関する)と、残存価値に応じて経済価値を最大化する再利用方法を区分することをいう。
【0028】
図2に示すグラフの縦軸は、損壊度(即ち、修理コストの大小に相関する)を示す軸であって、上側に行くほど損壊度が高く(即ち、損害を受けていて損壊している)、下側に行くほど損壊度が低い状況を示している。
また、
図2に示すグラフの横軸は、残存価値を示す軸であって、右側に行くほど損害車Cの残存価値が低く、左側にいくほど損害車Cの残存価値が高い状況を示す。
【0029】
図2に示すグラフをみると、損壊度と残存価値に応じて、4つの領域R1乃至R4に区分されている。
領域R1は、国内向け修復販売の区分を示すものである。
国内向け修復販売とは、修復することを前提として中古車として小売販売やAAで車両Cを販売する方法である。
【0030】
領域R2は、海外向け修復販売の区分を示すものである。
海外向け修復販売とは、修復することを前提として中古車として海外向けに車両Cを販売する方法である。
【0031】
領域R3は、パーツリサイクル販売の区分を示すものである。
パーツリサイクル販売とは、車両Cの部品(パーツ)について、1以上のパーツについてパーツ単位で販売することを前提として、車両C(又は1以上のパーツ)を販売する方法である。
【0032】
領域R4は、資源リサイクルの区分を示すものである。
資源リサイクル販売とは、車両Cの材料について、材料の資源としての価値を前提に販売することを前提として、車両Cを販売する方法である。
【0033】
以下、
図2のグラフを用いながら、カートリアージの概念により、どのように再利用方法の区分がなされるのかについて説明する。
まず、
図2の線L11に示すように、損害車Cの損壊度及び残存価値に基づいて、損害車Cの再利用方法として、損害車Cを修復して中古車販売する修復販売方法と、損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分される。
具体的には、損害車Cの残存価値が高く損壊度が低い場合、即ち、残存価値に対して損壊度が低い場合には、損害車Cを修復して中古車販売する修復販売方法が採用される。これは、損害車Cの修理コストを中古車販売することで得られる売上等で賄うことが可能であるので、損害車Cを修理するべきであることを示している。
また、損害車Cの残存価値が低く損壊度が高い場合、即ち、残存価値に対して損壊度が高い場合には、損害車をリサイクルするリサイクル方法が採用される。これは、損害車Cの修理コストを中古車販売することで得られる売上等で賄うことができないため、損害車Cを修理するべきでないことを示している。
即ち、カートリアージの結果、損害車Cの損壊度及び残存価値に基づいて、損害車Cについて修復を行う再利用方法を採用すべきか、修理を行わずリサイクルする再利用方法を採用すべきかの区分がなされるのである。
【0034】
ここで、日本国内での修理コストは、外国(特に日本国産の損害車Cの購入を希望するユーザのいる外国)での修理コストよりも高くなることが多い。
即ち、日本国内では、外国と比較して、修理を担当する者の人件費が高いことが通常である。また、日本国内では、修理の完成度への要求が高いのが通常である。即ち例えば、日本国内で修理に用いるパーツは、新品や良品が求められるため、費用がかさんでしまうことがある。また例えば、ボディの軽微な傷などまで修理を求められることがある。まとめると、人件費が高く、修理への要求が高いため、修理の完成度への要求が高い結果として、残存価値が低下してしまうのである。
これに対して、外国では、修理を担当する者の人件費が安く、完成度への要求が低く、事故歴が有ったとしていても、走行できる程度に修理されていれば、残存価値の低下も少ないことが多い。
また、外国での販売を前提とした損害車Cの輸送費用は、日本国内での販売を前提とした損害車Cの輸送費用と比較して高くなる。
【0035】
そのため、損害車Cの再利用方法が修復販売方法に区分された場合(線L11より下側の場合)において、損害車Cの再利用方法は、
図2の線L12に示すように、国内向け修復販売方法と、海外向け修復販売方法とのうち何れかに区分される。
具体的には、修復販売方法が採用された場合であって、損害車Cの残存価値が高く損壊度が低いとき、即ち、残存価値に対して損壊度が低いときには、損害車Cを修復して国内において中古車販売する国内向け修復販売方法が採用される。
また、修復販売方法が採用された場合であって、損害車Cの残存価値が高く損壊度が高いとき、即ち、残存価値に対して損壊度が高いときには、損害車Cを修復して海外において中古車販売する海外向け修復販売方法が採用される。
即ち、カートリアージの結果、損害車Cの損壊度及び残存価値に基づいて、損害車Cについて修復販売方法が採用された場合において、国内向け修復販売方法を採用すべきか、外国向け修復販売方法を採用すべきかの区分がなされるのである。
なお、上述では日本国内とその外国として説明したが、第1国内における人件費が第2国内における人件費と比較して高額であって、第2国において第1国の車両の価値が高い場合等には、第1国から第2国への外国向け修理販売方法が好適である。
【0036】
ここで、損害車Cについて修復を行わない場合、損害車Cは(道路等を走行する目的で購入される)自動車としてではない形態で、処分される。
具体的には、処分においては、損害車Cを資源としてリサイクル方法が存在する。即ち、例えば、損害車Cの各パーツ(フレームやギヤ、ホイール等)を、鉄やアルミといった資源としてリサイクルするのである。
また、処分においては、損害車Cを構成する各パーツの内少なくとも一部をパーツとしてリサイクルする方法が存在する。即ち、例えば、損害車Cのうち、損傷のなかったメータパネルを、パーツとしてリサイクルするのである。
例えば、追突の結果、損害車Cの後方のみに損害を受けている場合、損害車Cのエンジンルームの各パーツをリサイクルすることで、各パーツを鉄といった資源としてリサイクルするよりも高価に処分することができる。
【0037】
そのため、損害車Cの再利用方法がリサイクル方法に区分された場合(線L21より上側の場合)において、損害車Cの再利用方法は、
図2の線L13に示すように、資源リサイクル方法と、パーツリサイクル方法とのうち何れかに区分される。
具体的には、リサイクル方法が採用された場合であって、損害車Cの残存価値が低く損壊度が高いとき、即ち、残存価値に対して損壊度が高いときには、損害車Cを資源としてリサイクルする資源リサイクル方法が採用される。
また、リサイクル方法が採用された場合であって、損害車Cの残存価値が高く損壊度が低いとき、即ち、残存価値に対して損壊度が低いときには、損害車Cを構成する各パーツのうち少なくとも一部をパーツとしてリサイクルするパーツリサイクル方法が採用される。
即ち、カートリアージの結果、損害車Cの損壊度及び残存価値に基づいて、損害車Cについてリサイクル方法が採用された場合において、資源としてリサイクルする資源リサイクル方法を採用すべきか、各パーツのうち少なくとも一部をパーツとしてリサイクルするパーツリサイクル方法を採用すべきかの区分がなされるのである。
【0038】
このように、
図2のグラフにおける直線L21を見ると、一定の残存価値の損害車Cについて、損壊度によって4つの区分が異なることになる。
即ち、損壊度が十分に低い場合、損害車Cは、領域R1の方法、即ち、国内向け修復販売により再利用される。
そこで、損壊度が中程度の(例えば、直線L21上では40%程度の)場合、修復された損害車Cの残存価値に対して、損害車Cを修復するコストは、上述の例よりも大きくなっている。この場合、海外向けに損害車Cを修復して、修復された損害車Cとして販売するのが好適である。
更に言えば、損壊度が高い程度の(例えば、直線L21上では60%程度の)場合、修復された損害車Cの残存価値に対して、損害車Cを修復するコストは、上述の例よりもさらに大きくなっている。この場合、海外向け国内向けを問わず、損害車Cを修復することを断念し、少なくとも一部をパーツとして損害車Cを販売するのが好適である。
そして、損壊度が更に高い程度の(例えば、直線L21上では80%程度の)場合、修復された損害車Cの残存価値に対して、損害車Cを修復するコストは、上述の例よりもさらに大きくなっている。この場合、損害車Cのパーツにも価値が無いものとして、損害車Cを資源として再利用するのが好適である。
【0039】
同様に、
図2のグラフにおける直線L22を見ると、一定の損壊度の損害車Cについて、残存価値によって4つの区分が異なることになる。
即ち、上述の説明と同様に、残存価値が大きい場合には、国内向け修復販売、残存価値が小さい場合には、資源としてリサイクルするのが好適であることがわかる。
【0040】
このように、本サービスにおいては、損害車Cの再利用方法として何れの方法が好適であるかを、カートリアージにより区分することができるのである。
【0041】
図3は、
図1のサービスの提供のための情報処理システムの構成の例を示す図である。
【0042】
図3に示す情報処理システムは、サーバ1と、ユーザ端末2と、担当者端末3と、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されることで構成される。
【0043】
サーバ1は、サービス提供者により管理される情報処理装置である。ユーザ端末2は、ユーザUにより操作される情報処理端末である。担当者端末3は、損害車Cを買い取るための役務を提供するべくユーザUとやり取りをする買取の担当者に操作される情報処理端末である。
【0044】
また、ユーザ端末2や担当者端末3との間で行われる情報の授受は、基本的にサーバ1を介して行われる。そして、サービス提供者Sは、サーバ1から必要に応じて情報を授受する。
【0045】
図4は、
図3の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0047】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0048】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0049】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0050】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(
図2の例ではユーザ端末2や担当者端末3)との間で通信を行う。
【0051】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0052】
なお、図示はしないが、
図3の情報処理システムのユーザ端末2や担当者端末3は
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有している。
【0053】
図5は、
図4のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ1のCPU11においては、損害情報取得部51と、損壊度決定部52と、残存価値決定部53と、再利用方法決定部54と、提示情報生成部55と、提示制御部56とが機能する。損害情報取得部51においては、損害車情報取得部61と、損傷個所特定部62とを有する。再利用方法決定部54は、再利用方法区分部71と、WHERE部72と、WHEN部73とを有する。サーバ1の記憶部18の一領域には、損害特定AIモデル81が格納されている。
【0054】
損害車情報取得部61は、損害車Cについて、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する。
損壊度決定部52は、損害情報に基づいて損害車Cの修理コストを算出し、当該修理コストに基づいて損壊度を決定する。
残存価値決定部53は、車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び前記損壊度に基づいて残存価値を決定する。
再利用方法区分部71は、損壊度及び残存価値に基づいて、損害車Cの再利用方法として、損害車Cを修復して中古車販売する修復販売方法と、損害車Cをリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する。
【0055】
具体的には、損壊度決定部52は、修理コストとして、国内向け修理コストを算出する。
残存価値決定部53は、中古車相場として、国内向け中古車相場を算出する。
再利用方法区分部71は、損害車Cの再利用方法を修復販売方法に区分した場合、国内向け修理コスト及び国内向け中古車相場に基づいて、損害車Cを修復して国内において中古車販売する国内向け修復販売方法と、損害車Cを海外において修復して中古車販売する海外向け修復販売方法とのうち何れかに区分する。具体的には例えば、再利用方法区分部71は、国内向け修理コスト及び国内向け中古車相場に基づいて、国内での損害車Cの修復販売方法では利益が発生しない場合に、海外向け修復販売方法を行うものとして区分する。
【0056】
再利用方法区分部71は、損害車Cの再利用方法をリサイクル方法に区分した場合、残存価値に基づいて、損害車Cを資源としてリサイクルする資源リサイクル方法と、損害車Cを構成する各パーツのうち少なくとも一部をパーツとしてリサイクルするパーツリサイクル方法とのうち何れかに区分する。
【0057】
再利用方法区分部71は、損害車Cの再利用方法をリサイクル方法に区分した場合、損害車Cを構成する各パーツを単位として、各単位毎の価値を算出し、資源リサイクル方法とパーツリサイクル方法とのうち何れかに区分する。
【0058】
図6は、
図5の機能的構成を有するサーバによる損害車の再利用方法の区分の一例を示す他フロー図である。
【0059】
ステップST21に示すように、損害車Cを修理できるか否かの観点により、損害車Cの再利用方法が区分される。
具体的には例えば、上述の
図2の線L11による区分に相当する観点により、損害車Cの再利用方法が、区分される。
ここで、ステップST21において「はい」と判断された場合、ステップST22に進む。また、ステップST21において「いいえ」と判断された場合、ステップST24に進む。
【0060】
ステップST22に示すように、損害車Cを自社で修理するか否かの観点により、損害車Cの再利用方法が区分される。
ここで、ステップST22において「はい」と判断された場合、ステップST23に進む。また、ステップST22において「いいえ」と判断された場合、修復販売方法のうち、WEB販売が採用される。
【0061】
ステップST23に示すように、損害車Cを業販するか否かの観点により損害車Cの再利用方法が区分される。
ここで、ステップST23において「はい」と判断された場合、修復販売方法のうち、AA出品が採用される。また、ステップST23において「いいえ」と判断された場合、修復販売方法のうち、小売販売が採用される。
【0062】
上述のように、WEB販売、AA出品、小売販売は、修復販売方法の一例である。即ち、ステップST21において、修理できると判断された場合、修復販売方法が採用され、いずれかの方法で販売されるのである。
【0063】
ステップST24に示すように、損害車Cにおいて部品の価値が有るか否かの観点により損害車Cの再利用方法が区分される。
ここで、ステップST24において「はい」と判断された場合、リサイクル方法のうち、パーツリサイクル方法R3が採用される。また、ステップST23において「いいえ」と判断された場合、リサイクル方法のうち、資源リサイクル方法R4が採用される。
【0064】
図7は、
図5の機能的構成を有するサーバにおいて損害車情報を取得する流れを示す図である。
まず、前提として、ステップST31に示すように、損害車Cに対して、以下のように損害車情報が取得される。
即ち、ステップST32に示すように、ユーザUは、ユーザ端末2を操作することにより、損害車Cを被写体として撮像する。
次に、ステップST33に示すように、ステップST32において撮像された損害車Cを被写体として撮像された画像情報は、サーバ1に送信され、AIモデルが用いられた損傷個所特定部62により、損傷個所が認識される。
【0065】
図8は、
図5の機能的構成を有するサーバにおいて損壊度を算出する流れを示す図である。
ステップST41に示すように、
図7のステップST33において認識された損傷個所に応じて、サーバ1により、修理工賃が算出される。
ステップST42に示すように、修理において用いられる交換部品が自動検索される。
次に、ステップST43に示すように、ステップST41及びS42において算出された修理工賃及び交換部品の費用に基づいて、修理金額が算出される。
【0066】
図9は、
図5の機能的構成を有するサーバにおいて残存価値を算出する流れを示す図である。
前提としてステップST51に示すように、
図7のステップST32において取得された、損害車Cの車両情報に基づいて、以下のように残存価値が算出される。
即ち、ステップST52に示すように、独自のアルゴリズムが用いられ、各場所(WHERE)において、修理された後において販売される価格(即ち、残存価値)が算出される。
次に、ステップST53において、ステップST52において算出された各場所にける残存価値のうち最も高い残存価値となる場所の情報と共に、ユーザUや買取の担当者に、残存価値が提示される。
【0067】
具体的には、ユーザUには、残存価値のみが提示されてもよい。これにより、ユーザUは、損害車Cの残存価値を把握したうえで、損害車Cの販売する決断を行うことができる。
また例えば、ユーザUには、残存価値と共に再利用方法がユーザUに提示されてもよい。これにより、ユーザUは、損害車Cの残存価値と共に、その残存価値の根拠としてどのような再利用方法を前提としているのかを把握することができる。その結果、ユーザUへの買取価格の透明性が確保されるため、ユーザUは納得感を持って損害車Cの販売する決断をすることができる。
また例えば、上述したように、再利用方法が国内向け修復販売方法の場合、ユーザUには、残存価値と共に再利用方法及び修復(修理)費用がユーザUに提示されてもよい。これにより、ユーザUは、損害車Cの残存価値と共に、その残存価値の根拠として国内での修復を前提としている旨と、修復(修理)費用の金額を把握することができる。このとき、サービス提供者は、提示された修復(修理)費用に基づいてユーザUから損害車Cの修復(修理)を受注することができる。このようにサービス提供者が修復(修理)を引き受けることを前提とした修復(修理)費用がユーザUに提示される。これにより、買取価格の透明性の担保がなされる。
【0068】
また、買取の担当者には、最も高い残存価値となる場所の情報や、他の場所における残存価値が提示されてもよい。これにより、買取の担当者は、ユーザUに提示された残存価値等の情報の正当性を検証したり、ユーザUへの説明に用いたりすることができる。
具体的には例えば、本サービスにより再利用方法がリサイクル方法である場合において、ユーザUは、「損害車Cには修復販売方法を採用した際の価値がある」といった感想を持つことがある。この場合、修復販売方法における損害車Cの残存価値を把握している買取の担当者は、その残存価値をユーザUへの説明に用いることができる。これにより、買取価格の透明性の担保がなされる。
【0069】
図10は、
図5の機能的構成を有するサーバにおいてリサイクルにおける残存価値を算出する流れを示す図である。
ステップST61に示すように、
図7のステップST33において認識された損傷個所の情報に基づいて、以下のようにリサイクルにおける残存価値が算出される。
ステップST62に示すように、損傷個所ではないパーツ、又は、損傷した上でも価値があるパーツがリサイクルパーツとして抽出される。
ステップST63に示すように、ステップST62において抽出されたリサイクルパーツの残存価値と、リサイクルパーツとならなかった損害車Cの資源としてのリサイクルにおける残存価値とが、ユーザUや買取の担当者に提示される。
【0070】
このように、本サービスでは、ユーザUが損害車Cを撮影することで、カートリアージがなされる。そして、上述したようにカートリアージの結果である再利用方法とともに、ユーザUから損害車Cが買い取られる際の価格が提示される。
これにより、損害車Cの買取価格(査定額)の算出のために担当者が損害車Cのもとへ出向く必要がないため、そのコストを削減し、損害車Cの買取価格(査定額)の増額や買取業者の収益に充てることができる。更に言えば、査定のための時間の削減に貢献するため、大規模災害等、大量の損害車Cが発生した場合においても、迅速に査定を行うことができる。この結果、被災者たるユーザUにとっては、損害車Cをすぐに買取されるため、被災に係る経費が必要なときにすぐに資金を得ることができるといったメリットも奏することができる。
【0071】
また、従来、ユーザUは、中古車販売業者等に損害車Cの査定を申し込み、中古車販売業者が直接損害車Cを確認し、損害車Cの買取価格(査定額)を提示していた。ユーザUにとっては、その査定はブラックボックスであり、損害車Cの今後の取り扱い(修理されるのか、スクラップとして処分されるのか)等について周知されることもないのが通常であった。そのため、ユーザUは、複数の中古車販売業者等に損害車Cの査定を申し込み、その査定額を比較して高額となる中古車販売業者に買取させていたのが現状であった。
【0072】
本サービスでは、ユーザUには、国内向け修復販売方法、海外向け修復販売方法、資源リサイクル方法及びパーツリサイクル方法といった、各種各様な再利用方法が考慮された損害車Cの買取価格(査定額)が提示される。更には、ユーザUには、各種各様な再利用方法のうち何れの方法における損害車Cの買取価格(査定額)であるのかが提示されることもできる。そのため、、ユーザUに対して買取価格の透明性の担保し、ユーザUは、その査定の結果に納得感を得ることができる。
更に言えば、例えば国内向け修復販売方法においては、どのような場所(WHEREであって、複数のAA等のうち何れかの場所)で販売するのかの情報もユーザUに提示される。これにより、ユーザUに対して買取価格の透明性の担保し、ユーザUの査定に対する納得感はさらに向上する。
【0073】
また、本サービスにより、以下に示す効果を奏することができる。即ち、ユーザUは以下のようなメリットを受けることができる。なお、ユーザUには、損害車Cの所有者の他、車両保険の適用のため損害車Cを所有している又は所有予定の損保会社や所有者の代理として本サービスを利用する自動車ディーラ、中古車業者、板金業者等が含まれ得る。
即ち、上述したように、ユーザUは、買取価格への納得感を得ることができる。具体的には例えば、ユーザUは、残存価値(或いは損害車Cの買取価格)を把握することができるとともに、その透明性により納得感を得ることができる。
【0074】
また、ユーザUは、本サービスにより迅速かつ適切な価格提示を受けることができる。その結果、ユーザUのうち自動車を販売する者(特に、新車を販売しようとする自動車ディーラ)は、自動車(新車)の買い替えへの導入が容易となる。ユーザUのうち損害車Cの所有者は、損害車Cの買取査定のために時間を割くことなく、自動車(新車)への買い替えの判断を行うことができるようになる。
【0075】
また、ユーザU(特に、車両保険の適用のため損害車Cを所有している又は所有予定の損保会社)は、支払った保険金の補填度合を向上させることができる。
また、ユーザUは、損害車Cの扱いで、現状有姿での売却と修理する価格を同時に入手することができる。
また、ユーザU(特に、法人として本サービスを利用する者)は、法人のシステムに本サービスとAPI(Application Programming Interface)連携等をすることにより、価格算出機能を追加でき、自社システムの差別化を実現できる(DX化)。
【0076】
また、本サービスを用いて損害車Cを購入する者は、以下のようなメリットを受けることができる。なお、上述の実施形態におけるサービス提供者は、本サービスを用いて損害車Cを購入する者の一例である。
即ち、損害車Cを購入する者は、収益、損害車の価値の最大化することができる。具体的には例えば、最適な再利用方法が提示され、また、国内向け修復販売方法においては残存価値が高く評価されるAA会場で流通させることができるようになる。
また、損害車Cを購入する者は、査定に出向くコストや時間の圧縮(生産性向上)することができる。
また、損害車Cを購入する者は、営業コストや上述の査定に出向くコストを削減し、買取価格に転嫁することができる。
また、損害車Cを購入する者は、営業担当者同士の査定能力格差(属人性)を平準化することができる。
また、損害車Cを購入する者は、新人営業担当者や営業経験の有無にかかわらず一定の営業力(査定能力)を備えることが出来る。その結果、例えば、OJT(On the Job Training)にかける労力とコストを削減することができる。
また、損害車Cを購入する者は、本サービスに係るシステムやその技術を他の買取業者にライセンスする等によりマネタイズすることができる。即ち、損害車Cを購入する者は、損害車Cの購入や販売以外の収益をえることができるようになる。
また、損害車Cを購入する者は、システムを使用許諾(有償でも無償でも良い)することによる仕入先の囲い込みすることができる。
また、損害車Cを購入する者は、独自の値付け、販売方法のフィルター掛けによる競争力のある買取価格提示することができる。これにより、損害車Cを購入する者は、損害車買取業界における市場占有率(シェア)を向上させることができる。
また、損害車Cを購入する者は、買取以外に修理の依頼獲得による利益を得る(拡大する)ことができる。
また、損害車Cを購入する者は、車両及び損傷データの蓄積することができる。これにより、ノウハウを蓄積すると共に、本サービスのAIアルゴリズム等の精度向上をさせることができる。
【0077】
また、本サービスにより、以下に示す社会問題等の解消に資することができる。
即ち、大規模災害などの大量の損害車が発生する場面で迅速に対応が可能となる。
また、罹災者や事故に遭った者といったユーザUに対して、迅速かつ適切な金額が可能となる。即ち、このようなユーザUは、早急な金銭の確保が必要なことが多い。本サービスにより、このようなユーザUのニーズに対応し、迅速かつ適切な金額による経済的支援が可能となる。
また、地球環境への負荷が低減される。即ち、いわゆるエコであって、SDG’sの観点で、よりよい資源の循環を創出することができる。
また、「事故車or低年式or過走行=価値のないもの」という人々や世の中の価値観から、「事故車or低年式or過走行=価値のあるもの」への価値観の変容(パラダイムシフト)を促すことができる。
また、本サービスの再利用方法には外国向け修復販売方法が含まれ、そのような再利用方法が採用される損害車Cが増加することが期待される。これにより、外国(特に発展途上国)におけるモータリゼーション、修復レベル、雇用創出などの一層の推進をすることができる。
また、素材(マテリアル)価値の透明性を高める事による、適正な解体業者への流通促進ができる。即ち、解体業者は、損害車Cを買いたたいていることがあった。しかしながら、本サービスでは、パーツリサイクル販売を含む再利用方法が検討されるとともに、様々な解体業者での買取価格を前提として素材(マテリアル)価値を算出することができる。その結果、適正な解体業者へ損害車Cの買取の依頼がなされる。
【0078】
また、上述の再利用方法等は、損害車Cの買取の担当者(営業担当者等)にも提示される。即ち、
図5には図示していないが、損害車Cの買取の担当者(営業担当者等)は、担当者端末3を用いて各再利用方法における損害車Cの買取価格(査定額)や、どのような場所(WHERE)でどのような残存価値となっているかを閲覧することができる。
これにより、担当者にとっては、自身が損害車Cの元を訪れて査定を行う必要がなくなるとともに、更には、ユーザUに対してその根拠の説明を行ったりすることも可能となる。
【0079】
また、上述の実施形態では、再利用方法区分部71は、国内向け修理コスト及び国内向け中古車相場に基づいて、国内での損害車Cの修復販売方法では利益が発生しない場合に、海外向け修復販売方法を行うものとして区分するものとしたが特にこれに限定されない。
具体的には例えば、残存価値決定部53は、海外において修復して中古車販売する場合における、外国向け中古車相場を算出することができる。具体的には例えば、海外において修復して中古車販売することを前提として、損害車Cの損害情報及び車両情報に基づき、当該損害車Cの中古車相場(例えば、海外に損害車Cを輸出する企業への譲渡の対価)を算出してもよい。そして、再利用方法区分部71は、損害車Cの再利用方法を修復販売方法に区分した場合、国内向け修理コスト及び海外向け修理コスト並びに国内向け中古車相場及び海外向け中古車相場に基づいて、損害車Cを修復して国内において中古車販売する国内向け修復販売方法と、損害車Cを修復して海外において中古車販売する海外向け修復販売方法とのうち何れかに区分することができる。
【0080】
以上、本発明が適用される情報処理システムの実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明が適用される実施形態は、例えば次のようなものであってもよい。
【0081】
上述の実施形態では、損害車Cを被写体とした写真は、損害車Cを保有するユーザUにより撮像されるものとしたが、特にこれに限定されない。即ち例えば、損害車Cの買取査定を行う者により撮像されれば足りる。具体的には例えば、損害車Cを大量に査定する(車両保険や水害保険等の)損害保険会社の担当者や、自動車ディーラの担当者等が撮像してもよい。
【0082】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図4の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末2や担当者端末3等に移譲させてもよい。逆にユーザ端末2や担当者端末3の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0083】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0084】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザUにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者Uに提供される記録媒体等で構成される。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0086】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0087】
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば、
図2乃至4のサーバ1)は、
ユーザにより管理される損害車の再利用方法を区分する情報処理装置において、
前記損害車について、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する損害車情報取得手段(例えば、
図5の損害車情報取得部61)と、
前記損害情報に基づいて前記損害車の修理コストを算出し、当該修理コストに基づいて損壊度を決定する損壊度決定手段(例えば、
図5の損壊度決定部52)と、
前記車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び前記損壊度に基づいて残存価値を決定する残存価値決定手段(例えば、
図5の残存価値決定部53)と、
前記損壊度及び前記残存価値に基づいて、前記損害車の再利用方法として、前記損害車を修復して中古車販売する修復販売方法と、前記損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する再利用方法区分手段(例えば、
図5の再利用方法区分部71)と、
を備えれば足りる。
これにより、ユーザが損害車を撮像するだけで、損害車の再利用方法として最適な方法区分される。即ち、ユーザは、損害車の再利用方法と、その再利用方法における残存価値を把握することが可能となり、損害車の再利用方法に納得の上で損害車を手放す(買い取ってもらう)ことが可能となる。
買い取る側としては、上述の通り、ユーザに納得感を得てもらいやすくなるため、買取が容易となり、買取の数も増加させることが可能となる。
【0088】
さらに、
前記損壊度決定手段は、前記修理コストとして、国内向け修理コストを算出し、
前記残存価値決定手段は、前記中古車相場として、国内向け中古車相場を算出し、
前記再利用方法区分手段は、前記損害車の再利用方法を前記修復販売方法に区分した場合、前記国内向け修理コスト及び前記国内向け中古車相場に基づいて、前記損害車を修復して国内において中古車販売する国内向け修復販売方法と、前記損害車を修復して海外において中古車販売する海外向け修復販売方法とのうち何れかに区分する、
ことができる。
【0089】
さらに、前記再利用方法区分手段は、前記損害車の再利用方法を前記リサイクル方法に区分した場合、前記残存価値に基づいて、前記損害車を資源としてリサイクルする資源リサイクル方法と、前記損害車を構成する各パーツのうち少なくとも一部をパーツとしてリサイクルするパーツリサイクル方法とのうち何れかに区分する、
ことができる。
【0090】
さらに、前記再利用方法区分手段は、前記損害車の再利用方法を前記リサイクル方法に区分した場合、前記損害車を構成する前記各パーツを単位として、各単位毎に、前記資源リサイクル方法と前記パーツリサイクル方法とのうち何れかに区分する、
ことができる。
【符号の説明】
【0091】
1・・・サーバ、2・・・ユーザ端末、3・・・担当者端末、11・・・CPU、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、51・・・損害情報取得部、52・・・損壊度決定部、53・・・残存価値決定部、54・・・再利用方法決定部、55・・・提示情報生成部、56・・・提示制御部、61・・・損害車情報取得部、62・・・損傷個所特定部、71・・・再利用方法区分部、72・・・WHERE部、73・・・WHEN部、81・・・AIモデル
【要約】
【課題】カートリアージの概念に基づいて損害車Cの再利用方法を決定し、ユーザUに対してよりよい再処理方法を提示すること。
【解決手段】損害情報取得部51は、損害車Cについて、その車両情報と、損害を特定可能な損害情報とを含む情報を損害車情報として取得する。損壊度決定部52は、損害情報に基づいて損害車の修理コストを算出し、修理コストに基づいて損壊度を決定する。残存価値決定部53は、車両情報に基づいて中古車相場を算出し、当該中古車相場及び損壊度に基づいて残存価値を決定する。再利用方法決定部54は、損壊度及び残存価値に基づいて、損害車の再利用方法として、損害車を修復して中古車販売する修復販売方法と、損害車をリサイクルするリサイクル方法とのうちの何れかに区分する。
【選択図】
図5