IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プロクマティック・インターナショナル・エービーの特許一覧

<>
  • 特許-動的な浮上調整を備えたシート給送装置 図1
  • 特許-動的な浮上調整を備えたシート給送装置 図2
  • 特許-動的な浮上調整を備えたシート給送装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】動的な浮上調整を備えたシート給送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/48 20060101AFI20220725BHJP
   B65H 1/14 20060101ALI20220725BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
B65H3/48 310A
B65H1/14 322A
B65H7/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021556520
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020057737
(87)【国際公開番号】W WO2020188073
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】1950347-3
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521126988
【氏名又は名称】プロクマティック・インターナショナル・エービー
【氏名又は名称原語表記】PLOCKMATIC INTERNATIONAL AB
【住所又は居所原語表記】Telefonvaegen 30,126 26 Haegersten,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ダールクビスト、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】オロフソン、ペーテル
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-047062(JP,A)
【文献】特開2017-105563(JP,A)
【文献】国際公開第2017/171627(WO,A1)
【文献】特開2019-059564(JP,A)
【文献】特開2019-119605(JP,A)
【文献】特開2019-218179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート給送装置(1)を動作させる方法であって、前記装置(1)は、
シートの束のための昇降機(2)と、
前記シートの束の複数の上部シートを浮上させるために、前記シート給送装置(1)の上部領域(4)に向かって1つ以上の空気流を供給及び誘導するように構成された空気供給システム(3)と、を備え、
前記昇降機(2)は、前記シートの束を下方から支持するための垂直方向に移動可能な支持体(5)を備え、
前記シート給送装置(1)は、複数の異なる高さにおいて前記浮上したシートから反射された光を測定するために、前記浮上したシートに隣接して配置された光学センサ(6)を備え、
前記方法は、
浮上しているシートの密度を示す密度読み取り値(DR)を前記光学センサ(6)から連続的に導出するステップと、ここにおいて、浮上しているシートの密度は、各シートの物理的密度ではなく、浮上していないシートの束の上方の浮上領域において浮上しているシートの枚数である、
複数の密度読み取り値に基づいて、平均密度(AD)を連続的に導出するステップと、 所定の密度上限係数(UDLF)を乗じた前記平均密度(AD)に基づいて、密度上限(UDL)を連続的に導出するステップと、
所定の密度下限係数(LDLF)を乗じた前記平均密度に基づいて、密度下限(LDL)を連続的に導出するステップと、
前記密度読み取り値(DR)が前記密度上限(UDL)を上回る場合、前記シート給送装置(1)の第1の動作パラメータ(OP)を調整するステップと、ここで、前記第1の動作パラメータ(OP)の調整は、前記浮上したシートの密度を低減させるものであり、 前記密度読み取り値(DR)が前記密度下限(LDL)を下回る場合、前記シート給送装置の前記第1の動作パラメータ(OP)を調整するステップと、ここで、前記第1の動作パラメータ(OP)の調整は、前記浮上したシートの密度を増大させるものであり、
前記第1の動作パラメータ(OP)を調整して、密度読み取り値(DR)が密度上限(UDL)と密度下限(LDL)の間になるように制御するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の動作パラメータ(OP)は、前記垂直方向に移動可能な支持体表面の高さである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の動作パラメータ(OP)は、前記空気供給システム(3)の空気速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学センサは、垂直方向に分散された光起電力センサの配列(7)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記光学センサ(6)は、シートによって反射された光が前記光起電力センサによって検出可能であるように、前記シートの束及び/又は浮上したシートに向かって光を放射するように配置された、垂直方向に分散された発光ダイオード(10)を更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記平均密度(AD)は、前記光学センサ(6)からの15~25秒の読み取りに基づく、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
密度読み取り(DR)は、毎秒少なくとも30回実行される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記密度上限係数(UDLF)は、1.05~1.15の範囲内である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記密度下限係数は、1/1.15~1/1.05の範囲内である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
シート給送装置(1)であって、
シートの束のための昇降機(2)と、
前記シートの束の複数の上部シートを浮上させるために、前記シート給送装置(1)の上部領域(4)に向かって1つ以上の空気流を供給及び誘導するように構成された空気供給システム(3)と、を備え、
前記昇降機(2)は、前記シートの束を下方から支持するための垂直方向に移動可能な支持体(5)を備え、
前記シート給送装置(1)は、複数の異なる高さにおいて前記浮上したシートから反射された光を測定するために、前記浮上したシートに隣接して配置された光学センサ(6)を備え、
前記シート給送装置(1)は、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法に従って動作するように構成された制御装置に接続されている、シート給送装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷産業用のシート給送装置、例えば、プリンタ、複写機、又は分類機用のシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート給送装置は、一般にプリンタ又は複写機に組み込まれており、印刷又は分類等のシートに対する後続の動作のために、シートを1枚ずつ自動的に給送するために、多数のシートが手動で装填されている。
【0003】
本出願人による先行技術のシート給送装置の一例が、国際特許出願第PCT/SE2017/050323号に記載されている。前縁、後縁、並びに第1及び第2の側縁を有する、用紙の束用の収納面を備える用紙給送装置が開示されている。この収納面は、垂直方向に移動されるように適合されている。この装置は、用紙を収納面上のそれらの位置から給送し、一番上の紙シートに水平変位を与えるための真空ベルトフィーダと、一番上の紙シートを残りの用紙の束から分離する空気のカーテンを提供するように適合されている送風装置(blower arrangement)と、を更に備える。この装置は、用紙の束における上部紙シートが、残りの紙シートから分離し始める場所を決定するように配置されたセンサ装置を更に備え、センサ装置は、複数の赤外線反射センサを備える。
【0004】
シート給送装置の課題は、二重給送、シート詰まり、又は異なるシートサイズ及び品質でシート給送装置を動作させるための手動の設定及び調整に関連付けられた問題を最小化又は排除しながら、様々な材料及び品質のシートを取り扱うことである。
【発明の概要】
【0005】
従って、本開示は、シート給送装置を動作させる方法を提供することによって、上述の欠点を単独で又は組合せにおいて軽減することを目的とし、このシート給送装置は、
シートの束のための昇降機と、シートの束の複数の上部シートを浮上させるために、シート給送装置の上部領域に向かって1つ以上の空気流を供給及び誘導するように構成された空気供給システムと、を備え、昇降機は、シートの束を下方から支持するための垂直方向に移動可能な支持体を備え、シート給送装置は、複数の異なる高さにおいて浮上したシートから反射された光を測定するために、浮上したシートに隣接して配置された光学センサを備える。
【0006】
シート給送装置は、通常、個々のシートを1枚ずつプリンタ/複写機/用紙処理機械に供給するために、プリンタ、複写機又は他の用紙処理機械の前で使用される。これを可能にするために、シートの束は、側面支持部材がシートの束のそれぞれの対向する側面を側方から支持するように、側面支持部材がシートの束の幅に対応する空間を画定するように配置されている状態で、昇降機上に積載される。次いで、昇降機は、シートの束の一番上のシートを、それが上部領域において好適な高さになるまで上方又は下方に移動させる。空気供給システムは、上部領域に向かって空気流を供給及び誘導し、それによって、シートの束の複数の上部シートを、それらが分離されて空気流中に浮遊するように浮上させるために使用される。空気流によって浮上しているとき、浮上したシートの最上部からシートが取り除かれるにつれて、一番上のシートは、浮上空気(floating air)によって、シートの束から真空ベルトフィーダに向かって上方に順次搬送される。真空ベルトフィーダは、その穿孔されたベルトを通じて真空を提供し、これは、浮上したシートの一番上のものをベルトに保持させ、これにより、次いで、ベルトは、それを浮上したシートから遠ざけて、更なる処理のためにシート給送装置から出ていくように搬送し得る。
【0007】
シート給送装置を制御する方法は、浮上しているシートの密度を示す密度読み取り値(density reading)を光学センサから連続的に導出するステップと、複数の密度読み取り値に基づいて、平均密度を連続的に導出するステップと、所定の密度上限係数を乗じた平均密度に基づいて、密度上限(upper density limit)を連続的に導出するステップと、所定の密度下限係数を乗じた平均密度に基づいて、密度下限(lower density limit)を連続的に導出するステップと、密度読み取り値が密度上限を上回る場合、シート給送装置の第1の動作パラメータを調整するステップと、ここで、第1の動作パラメータの調整は、浮上したシートの密度を低減させるものであり(is such as to)、密度読み取り値が密度下限を下回る場合、シート給送装置の第1の動作パラメータを調整するステップと、ここで、第1の動作パラメータの調整は、浮上したシートの密度を増大させるものである、を備える。
【0008】
シート給送装置の動作に際して、シートの束が昇降機に配置されている。一番上のシートは、空気供給システムを使用して浮上され、浮上したシートの密度は、光学センサを使用して連続的に測定される。浮上したシートは、浮上している間に動き回る傾向があり、従って、密度測定は、ばらつきのある読み取り値(varying reading)をもたらすことになる。平均値が、複数の密度読み取り値に基づいて導出され、次いで、密度上限及び密度下限が、それぞれ密度上限係数及び密度下限係数を乗じた平均値を使用することによって導出される。次いで、シート給送装置は、現在の密度読み取り値と、平均密度から導出された密度上限及び密度下限との比較に基づいて、浮上した用紙の密度を必要に応じて増大又は低減させるように動作される。例えば、高すぎる密度読み取り値は、垂直方向に移動可能な支持体の下降をトリガするために使用され得、また、低すぎる密度読み取り値は、垂直方向に移動可能な支持体の上昇をトリガするために使用され得る。
【0009】
従って、シート給送装置は、浮上したシートのより安定した密度を達成するために、その動作パラメータを動的に適合させる。この方法により、シート給送装置は、様々な動作条件下で様々な重量及び種類のシートを自動的に処理することが可能になり、一方、先行技術の解決策は、各用紙品質に対する手動設定に基づく固定範囲(fixed ranges)に依拠する。動作パラメータの調整は、しばらくしてから、密度が増大又は低減するように浮上しているシートの密度に影響を及ぼし、これは順に、平均密度を変化させ、それによって、使用されるシートの品質と、現在のシートのカール等に影響を及ぼしている湿度レベル等の現在の動作条件とに好適な安定した条件(stable condition)を追求する。
【0010】
第1の動作パラメータは、垂直方向に移動可能な支持体表面の高さであり得る。垂直方向に移動可能な支持体を上昇させることは、浮上したシートの密度を増大させる傾向があり、一方、垂直方向に移動可能な支持体を下降させることは、浮上したシートの密度を低下させる傾向がある。従って、垂直方向に移動可能な支持体の高さは、密度読み取り値が密度上限を上回る場合に下降される。更に、垂直方向に移動可能な支持体の高さは、密度読み取り値が密度下限を下回る場合に上昇される。
【0011】
第1の動作パラメータは、空気供給システムの空気速度であり得る。空気供給システムの空気速度は、浮上しているシートの密度に影響を及ぼすために使用され得る。具体的には、より高い空気速度は、より多くの浮上したシートをもたらし得、一方、より低い空気速度は、より少ない浮上したシートをもたらし得る。しかしながら、高すぎる空気速度は、複数のシートを上方に一緒に押し付けること、即ち、分離させないことになり、一方、低すぎる空気速度は、シートを浮き上がらせないことになる。従って、空気速度は、密度読み取り値が密度上限を上回る場合に低下される。更に、空気速度は、密度読み取り値が密度下限を下回る場合に増大される。
【0012】
光学センサは、垂直方向に分散された光起電力センサの配列を備え得る。光起電力センサは、光強度を測定するための低コスト手段を提供し、このようなセンサの配列は、浮上したシートの垂直範囲に沿った光強度の測定を可能にする。しかしながら、光起電力センサの間隔は、処理されるシートの典型的な厚さと比較して比較的大きく、従って、これらセンサは、浮上しているシートの詳細図を提供せず、従って、密度の大まかな測定のみである。しかしながら、提案された方法のステップと併せると、密度読み取り値に基づく動作パラメータの自動調整は、良好に機能する。
【0013】
光学センサは、シートによって反射された光が光起電力センサによって検出可能であるように、シートの束又は浮上したシートに向かって光を放射するように配置された、垂直方向に分散された発光ダイオードを更に備え得る。発光ダイオードの使用は、センサによって調べられるべき浮上した用紙の領域の制御された照明を可能にし、従って、周囲照明に依拠する場合に比べて、より予測可能な結果をもたらす。
【0014】
平均密度は、光学センサからの15~25秒、好ましくは20秒の読み取りに基づき得る。
【0015】
密度読み取りは、毎秒少なくとも30回、好ましくは毎秒少なくとも50回、例えば、毎秒50~60回実行され得る。
【0016】
上位パラメータは、1.05~1.15の範囲内、例えば、1.09~1.11であり得、又は上位パラメータは、1.1であり得る。
【0017】
下位パラメータは、1/1.05~1/1.15の範囲内、例えば、1/1.09~1/1.11であり得、又は下位パラメータは、1/1.1であり得る。
【0018】
本開示はまた、シートの束のための昇降機と、シートの束の複数の上部シートを浮上させるために、シート給送装置の上部領域に向かって1つ以上の空気流を供給及び誘導するように構成された空気供給システムと、を備えるシート給送装置に関し、昇降機は、シートの束を下方から支持するための垂直方向に移動可能な支持体を備え、シート給送装置は、複数の異なる高さにおいて浮上したシートから反射された光を測定するために、浮上したシートに隣接して配置された光学センサを備え、シート給送装置は、このようなシート給送装置を動作させる上記に開示された方法に従って動作するように構成された制御装置に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1の実施形態によるシート給送装置の斜視図を示す。
図2図2は、光学センサを有する詳細図Aを示す。
図3図3は、密度読み取り値、平均密度、並びに導出された密度上限及び密度下限のグラフを示す。
【0020】
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のシート給送装置1の第1の実施形態が、添付の図面を参照して以下に説明される。
【0022】
上述されたように、シート給送装置1は、通常、個々のシートを1枚ずつプリンタ/複写機/用紙処理機械に供給するために、プリンタ、複写機又は他の用紙処理機械の前で使用される。これを可能にするために、シートの束が、昇降機2上に積載される。シート給送装置1には、側面支持部材がシートの束のそれぞれの対向する側面を側方から支持するように、シートの束の幅に対応する空間を画定するように配置された側面支持部材8が設けられている。次いで、昇降機2は、一番上のシートがシート給送装置1の上部領域4において好適な高さになるまで、垂直方向に移動可能な支持体5を上昇又は下降させることによって、シートの束の一番上のシートを上方又は下方に移動させる。空気供給システム3は、上部領域4に向かって空気流を供給及び誘導し、それによって、シートの束の複数の上部シートを、それらが分離されて空気流中に浮遊するように浮上させるために使用される。空気流によって浮上しているとき、浮上したシートの最上部からシートが取り除かれるにつれて、一番上のシートは、浮上空気によって、シートの束から真空ベルトフィーダ9に向かって上方に順次搬送される。真空ベルトフィーダ9は、その穿孔されたベルトを通じて真空を提供し、これは、浮上したシートの一番上のものをベルトに保持させ、これにより、ベルトは、このシートを浮上したシートから遠ざけて、更なる処理のためにシート給送装置1から出ていくように搬送し得る。
【0023】
シート給送装置1は、少なくとも、垂直方向に移動可能な支持体5の垂直位置を制御することと、空気供給システム3を制御することと、真空ベルトフィーダ9を制御することと、を行うように構成された制御装置(図示せず)を備える。制御装置は、シート給送装置1から送り出されたシートを考慮して、垂直方向に移動可能な支持体5を動作させ、それによって、適正な枚数の浮上しているシートを維持する。垂直方向に移動可能な支持体5の高さが高すぎると、典型的に、分離されていないシートをもたらすことになり、垂直方向に移動可能な支持体5の高さが低すぎると、典型的に、最終的には、真空ベルトフィーダ9が捕えるシートの欠如をもたらすことになる。制御装置はまた、浮上しているシートの良好な分離を伴う適正な浮上を提供するように、空気供給システム3を動作させる。更に、制御装置は、浮上している一番上のシートを捕え、それを遠ざけるように移動させて、シート給送装置1から送り出されるようにするために、真空ベルトフィーダ9を動作させる。制御装置は、1つ又はいくつかの制御ユニット内に実装され得、制御ユニットは、シート給送装置1と一体化され得るか、又はシート給送装置1とは別個にではあるが、それらが通信し得るようにシート給送装置1に接続されて設けられ得る。
【0024】
しかしながら、浮上プロセスの制御は、自明ではないことが理解されるべきである。垂直方向に移動可能な支持体5の高さを制御するために、本発明は、光学センサ6からの情報を使用して、垂直方向に移動可能な支持体5の高さを制御する。他の実施形態では、光学センサ6からの情報はまた、真空ベルト9及び/又は空気供給システム3のファン速度を制御するために使用され得る。
【0025】
この実施形態では、光学センサ6は、光起電力センサ等の垂直方向に分散された光センサの配列を備える。光センサは、2つの垂直の列に整列しており、これら列は、光センサの垂直位置が2つの列の間で重なり合うように垂直方向にオフセットされており、それによって、1つの列の光センサのみを使用する場合と比較して、垂直解像度の向上をもたらす。このようなセンサは、PCT/SE2017/050323に更に記載されている。光センサは、可視光が光測定(light measurements)に干渉しないように、赤外光に対して感度のよいタイプのものである。しかしながら、他の実施形態では、光センサは、他の波長を測定するために設計され得る。これらのセンサの利点は、それらが安価で信頼性が高いことである。しかしながら、垂直方向に分散された光センサは、比較的大きく、数が非常に少なく、間隔を置いて配置されており、これは、それら光センサに、制御装置が作業するための比較的低解像度の情報を提供させる。従って、このような光学センサは、個々のシートの位置を検出するのに信頼性がない。光学センサはまた、シートによって反射された光が光センサによって検出可能であるように、シートの束及び/又は浮上したシートに向かって光を放射するように配置された、垂直方向に分散された発光ダイオード(LED)を備える。LEDは、赤外LEDであるが、他の実施形態では、省略され得るか、又はそれらが光センサの波長に適合されている限り、他のタイプのものであり得る。発光ダイオードの使用は、センサによって調べられるべき浮上した用紙の領域の制御された照明を可能にし、従って、周囲照明に依拠する場合に比べて、より予測可能な結果をもたらす。
【0026】
本発明は特に、シート給送装置1が1シートずつ確実に給送するように、シート給送装置1の動作パラメータOPを制御するためにシート給送装置1の光学センサ6を使用する新しい方法の使用を教示する。動作パラメータOPは、垂直方向に移動可能な支持体5の高さ位置であり得るが、それは代替として、空気速度又は浮上したシートの密度を制御する何らかの他のパラメータであり得る。具体的には、方法は、垂直方向に移動可能な支持体5の高さ位置を自動制御するために、浮上したシートの密度測定を利用する。浮上しているシートの「密度(density)」は、各シートの物理的密度ではなく、浮上していないシートの束の上方の浮上領域において浮上しているシートの枚数であることが理解されるべきである。浮上しているシートによって反射された光の量を調べることによって、浮上しているシートの密度/枚数の測定が確立される。浮上したシートは、空気中に浮遊した静止位置を有さないが、動き回る傾向があり、これは、シートによって反射された光にばらつきをもたらす。シート給送装置1の制御装置は、本発明の方法に従ってシート給送装置1を動作させるように構成されており、方法は、浮上しているシートの密度を示す密度読み取り値DRを光学センサ6から連続的に導出することと、複数の密度読み取り値に基づいて、平均密度ADを連続的に導出することと、所定の密度上限係数UDLFを乗じた平均密度ADに基づいて、密度上限UDLを連続的に導出することと、所定の密度下限係数LDLFを乗じた平均密度ADに基づいて、密度下限LDLを連続的に導出することと、密度読み取り値DRが密度上限UDLを上回る場合、垂直方向に移動可能な支持体5の高さ位置を低減させ、それによって、浮上したシートの密度を低減させることと、密度読み取り値DRが密度下限LDLを下回る場合、垂直方向に移動可能な支持体5の高さ位置を増大させ、それによって、浮上したシートの密度を増大させることと、を備える。他の実施形態では、空気速度は、追加又は代替として、垂直方向に移動可能な支持体5の高さ位置調整に加えて/その代替として調整され得る。
【0027】
従って、シート給送装置1は、浮上したシートのより安定した密度を達成するために、その動作パラメータを動的に適合させる。この方法により、シート給送装置1は、様々な動作条件下で様々な重量及び種類のシートを自動的に処理することが可能になり、一方、先行技術の解決策は、各用紙品質に対する手動設定に基づく固定範囲に依拠する。動作パラメータの調整は、しばらくしてから、密度が増大又は低減するように浮上しているシートの密度に影響を及ぼし、これは順に、平均密度を変化させ、それによって、使用されるシートの品質と、現在のシートのカール等に影響を及ぼしている湿度レベル等の現在の動作条件とに好適な安定した状態を追求する。
【0028】
垂直方向に移動可能な支持体5を上昇させることは、浮上したシートの密度を増大させる傾向があり、一方、垂直方向に移動可能な支持体5を下降させることは、浮上したシートの密度を低下させる傾向がある。従って、垂直方向に移動可能な支持体5の高さは、密度読み取り値が密度上限UDLを上回る場合に下降される。更に、垂直方向に移動可能な支持体5の高さは、密度読み取り値が密度下限LDLを下回る場合に上昇される。
【0029】
空気供給システム3の空気速度は、浮上しているシートの密度に影響を及ぼすために使用され得る。具体的には、より高い空気速度は、より多くの浮上したシートをもたらし得、一方、より低い空気速度は、より少ない浮上したシートをもたらし得る。しかしながら、高すぎる空気速度は、複数のシートを上方に一緒に押し付けること、即ち、分離させないことになり、一方、低すぎる空気速度は、シートを浮き上がらせないことになる。従って、空気速度は、いくつかの実施形態では、密度読み取り値が密度上限UDLを上回る場合に低下され得る。更に、空気速度は、いくつかの実施形態では、密度読み取り値が密度下限LDLを下回る場合に増大され得る。
【0030】
光学センサ6は、垂直方向に分散された光起電力センサの配列7を備える。光起電力センサは、光強度を測定するための低コスト手段を提供し、このようなセンサの配列7は、浮上したシートの垂直範囲に沿った光強度の測定を可能にする。しかしながら、光起電力センサの間隔は、処理されるシートの典型的な厚さと比較して比較的大きく、従って、これらセンサは、浮上しているシートの詳細図を提供せず、従って、密度の大まかな測定のみである。しかしながら、提案された方法のステップと併せると、密度読み取り値に基づく動作パラメータOPの自動調整は、良好に機能する。
【0031】
光学センサ6は、シートによって反射された光が光起電力センサによって検出可能であるように、シートの束又は浮上したシートに向かって光を放射するように配置された、垂直方向に分散された発光ダイオードを更に備える。発光ダイオードの使用は、センサによって調べられるべき浮上した用紙の領域の制御された照明を可能にし、従って、周囲照明に依拠する場合に比べて、より予測可能な結果をもたらす。
【0032】
平均密度は、20秒の読み取り値に基づくが、他の実施形態では、代替として、光学センサからの15~25秒の読み取りに基づき得る。
【0033】
密度読み取りは、毎秒50回行われるが、他の実施形態では、代替として、毎秒少なくとも30回、好ましくは毎秒少なくとも50回、例えば、毎秒50~60回行われ得る。
【0034】
上位パラメータは、1.1であるが、他の実施形態では、代替として、1.05~1.15の範囲内、例えば、1.09~1.11であり得る。
【0035】
下位パラメータは、1/1.1であるが、他の実施形態では、代替として、1/1.15~1/1.05の範囲内、例えば、1/1.11~1/1.09であり得る。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] シート給送装置(1)を動作させる方法であって、前記装置(1)は、
シートの束のための昇降機(2)と、
前記シートの束の複数の上部シートを浮上させるために、前記シート給送装置(1)の上部領域(4)に向かって1つ以上の空気流を供給及び誘導するように構成された空気供給システム(3)と、を備え、
前記昇降機(2)は、前記シートの束を下方から支持するための垂直方向に移動可能な支持体(5)を備え、
前記シート給送装置(1)は、複数の異なる高さにおいて前記浮上したシートから反射された光を測定するために、前記浮上したシートに隣接して配置された光学センサ(6)を備え、
前記方法は、
浮上しているシートの密度を示す密度読み取り値(DR)を前記光学センサ(6)から連続的に導出するステップと、
複数の密度読み取り値に基づいて、平均密度(AD)を連続的に導出するステップと、 所定の密度上限係数(UDLF)を乗じた前記平均密度(AD)に基づいて、密度上限(UDL)を連続的に導出するステップと、
所定の密度下限係数(LDLF)を乗じた前記平均密度に基づいて、密度下限(LDL)を連続的に導出するステップと、
前記密度読み取り値(DR)が前記密度上限(UDL)を上回る場合、前記シート給送装置(1)の第1の動作パラメータ(OP)を調整するステップと、ここで、前記第1の動作パラメータ(OP)の調整は、前記浮上したシートの密度を低減させるものであり、 前記密度読み取り値(DR)が前記密度下限(LDL)を下回る場合、前記シート給送装置の前記第1の動作パラメータ(OP)を調整するステップと、ここで、前記第1の動作パラメータ(OP)の調整は、前記浮上したシートの密度を増大させるものである、 を備える、方法。
[2] 前記第1の動作パラメータ(OP)は、前記垂直方向に移動可能な支持体表面の高さである、[1]に記載の方法。
[3] 前記第1の動作パラメータ(OP)は、前記空気供給システム(3)の空気速度である、[1]に記載の方法。
[4] 前記光学センサは、垂直方向に分散された光起電力センサの配列(7)を備える、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記光学センサ(6)は、シートによって反射された光が前記光起電力センサによって検出可能であるように、前記シートの束及び/又は浮上したシートに向かって光を放射するように配置された、垂直方向に分散された発光ダイオード(10)を更に備える、[4]に記載の方法。
[6] 前記平均密度(AD)は、前記光学センサ(6)からの3~5秒の読み取りに基づく、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 密度読み取り(DR)は、毎秒少なくとも30回、好ましくは毎秒少なくとも50回、例えば、毎秒50~60回実行される、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記密度上限係数(UDLF)は、1.05~1.15の範囲内、例えば、1.09~1.11であるか、又は前記密度上限係数は、1.1であり得る、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記密度下限係数は、1/1.15~1/1.05の範囲内、例えば、1/1.11~1/1.09であるか、又は前記密度下限係数は、1/1.1であり得る、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] シート給送装置(1)であって、
シートの束のための昇降機(2)と、
前記シートの束の複数の上部シートを浮上させるために、前記シート給送装置(1)の上部領域(4)に向かって1つ以上の空気流を供給及び誘導するように構成された空気供給システム(3)と、を備え、
前記昇降機(2)は、前記シートの束を下方から支持するための垂直方向に移動可能な支持体(5)を備え、
前記シート給送装置(1)は、複数の異なる高さにおいて前記浮上したシートから反射された光を測定するために、前記浮上したシートに隣接して配置された光学センサ(6)を備え、
前記シート給送装置(1)は、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法に従って動作するように構成された制御装置に接続されている、シート給送装置(1)。
図1
図2
図3