(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ベルト巻上装置及びメッシュベルト式連続焼結炉
(51)【国際特許分類】
F27B 9/24 20060101AFI20220726BHJP
B65G 23/04 20060101ALI20220726BHJP
B65G 23/26 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
F27B9/24 E
B65G23/04 C
B65G23/26 A
(21)【出願番号】P 2019562742
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2018033242
(87)【国際公開番号】W WO2019130669
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2017255110
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593016411
【氏名又は名称】住友電工焼結合金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西井 強
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-310901(JP,A)
【文献】特開2017-009227(JP,A)
【文献】実開平05-032311(JP,U)
【文献】特開昭63-022417(JP,A)
【文献】特開平10-338319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/00 - 9/40
B65G 23/04
B65G 23/26
B65G 15/00 -15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュベルト式連続焼結炉
の駆動プーリーを走行した後に下方に垂れ下がるメッシュベルトを
、上方に巻き上げるためのベルト巻上装置であって、
前記メッシュベルトの内側の面と当接する従動ローラと、
前記従動ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、当該従動ローラとの間に前記メッシュベルトを挟んで、その回転により当該メッシュベルトを
上方に送り出す駆動ローラと
を備えており、
前記駆動ローラは、前記メッシュベルトを送り出す方向の回転だけを許容するラチェット機構を有する、ベルト巻上装置。
【請求項2】
前記従動ローラの回転軸に対する前記駆動ローラの回転軸の平行性を保ちつつ、当該駆動ローラが、従動ローラに対して接近する方向及び離間する方向に移動するのをガイドするガイド機構を有する、請求項1に記載のベルト巻上装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のベルト巻上装置を備えた、メッシュベルト式連続焼結炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルト巻上装置及びメッシュベルト式連続焼結炉に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄紛等の金属粉末を加圧成形した成形体を焼結して得られる焼結体が、自動車用部品や一般機械用部品等に用いられている。かかる焼結体は、メッシュベルトを用いたメッシュベルト式連続焼結炉を用いて製造することができる。
【0003】
図6は、一般的なメッシュベルト式連続焼結炉(以下、単に「焼結炉」ともいう)100の断面説明図である。この焼結炉100は、金属で作製された横断面がドーム形状のマッフルからなる炉本体部101と、この炉本体部101内を走行する無端のメッシュベルト102とを備えている。メッシュベルト102の上に加熱対象であるワークWが載置される。炉本体部101は、入口側(
図6において左側)から出口側に向けて順に脱ガスゾーン103、焼結ゾーン104、及び冷却ゾーン105を有している。メッシュベルト102は、炉本体部101の入口側に設けられた駆動プーリー106及び出口側に設けられた従動プーリー107に張架されている。メッシュベルト102は、駆動プーリー106を、図示しないモータで駆動させることにより引張応力が作用した状態で炉本体部101内を走行する。焼結ゾーン104において、例えば1100~1200℃程度の高温にさらされたメッシュベルト102は、冷却ゾーン105を出るときには100℃程度の温度に冷却されている。なお、
図6において参照符号108はメッシュベルト102の走行時の抵抗を低減させるために床面上に配設された搬送ローラであり、参照符号109は伸びたメッシュベルト102を収容するためのピットである。
【0004】
メッシュベルト102は、熱間強度が高く耐熱性を有する、例えばSUS310やSUS316等のステンレス鋼で作製されているが、引張応力が作用し、且つ、前記のように温度変化が大きな環境下で使用されるので、高温クリープにより比較的短期間で大きな伸びが生じる。例えば、全長約50mのメッシュベルトの場合、2週間で約1mの伸びが生じることがある。このため、焼結炉100ではメッシュベルト102の伸びを定期的に点検し、所定の伸びが生じるたびにメッシュベルト102を切断して繋ぎ合わせるというメンテナンスを行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メッシュベルト102は金属製であり、例えば幅100cmのメッシュベルト102の場合、約20kg/mと非常に重く、かかるメッシュベルト102を切断して繋ぎ合わせるという作業は重労働であり、危険を伴う作業である。また、ピット109内に収容されている伸びたメッシュベルト部分を人力で引き上げる作業を伴うため、メンテナンスに時間がかかっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安全且つ手軽に短時間でメッシュベルトの巻上作業を行うことができるベルト巻上装置及びメッシュベルト式連続焼結炉を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るベルト巻上装置は、メッシュベルト式連続焼結炉における当該メッシュベルトを巻き上げるためのベルト巻上装置であって、
前記メッシュベルトの内側の面と当接する従動ローラと、
前記従動ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、当該従動ローラとの間に前記メッシュベルトを挟んで、その回転により当該メッシュベルトを送り出す駆動ローラと
を備えており、
前記駆動ローラは、前記メッシュベルトを送り出す方向の回転だけを許容するラチェット機構を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記発明によれば、安全且つ手軽に短時間でメッシュベルトの巻上作業を行うことができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のベルト巻上装置により巻き上げられるメッシュベルトを備えたメッシュベルト式連続焼結炉の一例の説明図である。
【
図2】本発明のベルト巻上装置の一実施形態の斜視説明図である。
【
図3】駆動ローラと従動ローラとの関係を説明する図である。
【
図6】従来のメッシュベルト式連続焼結炉の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔本発明の実施形態の説明〕
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係るベルト巻上装置は、
(1)メッシュベルト式連続焼結炉における当該メッシュベルトを巻き上げるためのベルト巻上装置であって、
前記メッシュベルトの内側の面と当接する従動ローラと、
前記従動ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、当該従動ローラとの間に前記メッシュベルトを挟んで、その回転により当該メッシュベルトを送り出す駆動ローラと
を備えており、
前記駆動ローラは、前記メッシュベルトを送り出す方向の回転だけを許容するラチェット機構を有する。
【0011】
本態様に係るベルト巻上装置では、駆動ローラを回転させることにより当該駆動ローラと従動ローラとの間に挟まれたメッシュベルトを送り出すことができる。駆動ローラはハンドル等を利用して簡便に且つ短時間で回転させることができ、また、本態様に係るベルト巻上装置では、当該駆動ローラがメッシュベルトを送り出す方向の回転だけを許容するラチェット機構を有しているので、巻き上げたメッシュベルトの重量によって駆動ローラが逆回転することがなく安全に巻上作業を行うことができる。
【0012】
(2)上記(1)のベルト巻上装置において、前記従動ローラの回転軸に対する前記駆動ローラの回転軸の平行性を保ちつつ、当該駆動ローラを、従動ローラに対して接近する方向及び離間する方向にガイドするガイド機構を有することが望ましい。この場合、ガイド機構を用いることで、簡便に、駆動ローラをメッシュベルトに当接させた状態(この状態で駆動ローラを回転させることでメッシュベルトを巻き上げることができる)と、メッシュベルトから離反した状態とをとらせることができる。
【0013】
(3)本発明の他の態様に係るメッシュベルト式連続焼結炉は、上記(1)又は(2)のベルト巻上装置を備えている。
【0014】
〔本発明の実施形態の詳細〕
以下、本発明のベルト巻上装置及びメッシュベルト式連続焼結炉を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本発明のベルト巻上装置により巻き上げられるメッシュベルトを備えたメッシュベルト式連続焼結炉の一例の説明図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るベルト巻上装置の斜視説明図である。
【0015】
焼結炉1は、金属等で作製された横断面がドーム形状のマッフルからなる炉本体部2と、この炉本体部2内を走行する無端のメッシュベルト3とを備えている。メッシュベルト3は、熱間強度が高く耐熱性を有する、例えばSUS310やSUS316等のステンレス鋼で作製されている。メッシュベルト3の上に鉄紛等の金属粉末を加圧成形して得られる成形体からなるワークWが載置される。
【0016】
炉本体部2は、入口側(
図1において左側)から出口側に向けて順に脱ガスゾーン4、焼結ゾーン5、及び冷却ゾーン6を有している。メッシュベルト3は、炉本体部2の入口側に設けられた駆動プーリー7及び出口側に設けられた従動プーリー8に張架されている。メッシュベルト3は、駆動プーリー7を、当該駆動プーリー7の近傍に設けられた図示しないモータで駆動させることにより引張応力が作用した状態で炉本体部2内を走行する。
【0017】
脱ガスゾーン4において、ワークWはガスバーナーや電気ヒータ等の加熱手段により、例えば650~750℃程度に加熱される。ワークWは脱ガスゾーン4を通過する間に、金属粉末を加圧成形する際に用いられたステアリン酸亜鉛や金属石けん等のろう状の潤滑剤成分が熱分解されて除去される。
【0018】
脱ガスゾーン4を通過したワークWは、続く焼結ゾーン5で所定の焼結温度(例えば、1100~1200℃程度)に加熱される。加熱は、焼結ゾーン5内に設けられた、例えばニクロムやカンタル等の発熱体を用いて行うことができる。また、焼結に際して、焼結ゾーン5内に窒素ガス、変性ガス等の雰囲気ガスが導入される。
【0019】
焼結ゾーン5を通過したワークWは、続く冷却ゾーン6において、炉本体部2に設けられたウォータージャケット(図示せず)等の冷却手段により、例えば900~100℃程度まで冷却される。冷却ゾーン6を通過して焼結処理が完了したワークWは、炉本体部2の排出口9から排出され、続く工程に移動させるために回収される。
【0020】
炉本体部2の下方の床面上には複数の搬送ローラ10が敷設されており、当該炉本体部2の排出口9を出て、従動プーリー8を経由したメッシュベルト3は、この搬送ローラ10の上を走行して駆動プーリー7に戻る。
【0021】
炉本体部2の入口手前の床にはピット11が設けられている。このピット11は、高温クリープにより伸びたメッシュベルト3を収容するためのスペースである。交換された直後のメッシュベルト3は、
図1において、2点鎖線で示される状態であるが、焼結炉1を稼働させるにつれて、少しずつ実線で示されているように下方に垂れ下がる。この垂れ下がりがひどくなり、メッシュベルト3がピット11の底面11aに達すると、メッシュベルト3が変形し正常な走行をすることができなくなるので、事前にメッシュベルト3のメンテナンス(切断作業及び繋ぎ作業)を行う必要がある。駆動プーリー8を通過したメッシュベルト3は、複数のガイドローラ12によりガイドされて入口13から炉内に導かれる。
【0022】
焼結炉1は、メッシュベルト3を巻き上げるための、本実施形態に係るベルト巻上装置20を備えており、このベルト巻上装置20は、
図2に示されるように、炉本体部2の入口13のやや上流側であって、ピット11の上方に設けられる。ベルト巻上装置20は、従動ローラ21と、駆動ローラ22と、ラチェット機構23と、ガイド機構24とを備えている。
【0023】
従動ローラ21は、
図3に示されるように、メッシュベルト3の内側の面3aと当接しており、駆動ローラ22と協働して当該メッシュベルト3を炉本体部2側に送り出す。本実施形態では、複数のガイドローラ12のうちの1本が従動ローラ21としても機能している。
【0024】
駆動ローラ22は、従動ローラ21の回転軸と平行な回転軸22aを有しており、当該従動ローラ21との間にメッシュベルト3を挟んで、その回転によりメッシュベルト3をピット11から引き上げて炉本体部2側に送り出す。駆動ローラ22の回転軸22aの一端側はラチェット機構23に接続されている。駆動ローラ22は、例えば鉄等の金属で作製された回転軸22aの周囲にゴム(NBR)が被覆された構成を備えている。
【0025】
ラチェット機構23は炉本体部2の入口12側に設けられた金属製の架台25の上方に配設されている。ラチェット機構23は架台25に固定されてはおらず、駆動ローラ22とともに移動できるように当該架台25の上面25aから離間した状態にある。ラチェット機構23の取付けプレート50の下部ベース50aは、架台25の上面25aから離間した状態で当該上面25aに固定された押さえ板51の下面に当接するか又は当該下面からわずかに離間するように配設されている。ラチェット機構23は、駆動ローラ22がメッシュベルト3を送り出す方向D(
図3参照)の回転だけを許容し、万一、自重によってメッシュベルト3が下方(ピット11に向かう方向)にずり下がろうとしても、ラチェット機構23により駆動ローラ22の回転がロックされるので、かかるずり下がりは防止される。したがって、安全に巻上作業を行うことができる。ラチェット機構23としては、公知の構成のものを用いることができる。
【0026】
ラチェット機構23を貫通した駆動ローラ22の回転軸22aに、当該回転軸22aを回転させるためのハンドル26が取り付けられている。このハンドル26を回転させることで駆動ローラ22を回転させ、従動ローラ21との間に挟み込んだメッシュベルト3を巻き上げる、又は、送り出すことができる。
【0027】
本実施形態では、駆動ローラ22の両端にガイド機構24が設けられている。ガイド機構24は、従動ローラ21の回転軸に対する駆動ローラ22の平行性を保ちつつ、当該駆動ローラ22が、従動ローラに対して接近する方向及び離間する方向に移動するのをガイドする役割を果たす。ガイド機構24は、
図4に示されるように、架台25の上に取り付けられた支持体28にボルト29で固定されており、ブロック体30と、ねじ部31と、ハンドル部32と、移動プレート33と、ガイドプレート34とを備えている。
【0028】
ブロック体30は、長手方向の中央付近にねじ孔35が形成されている。このねじ孔35にねじ部31が螺合されている。ねじ部31の一端には当該ねじ部31をまわすためのハンドル部32が取り付けられている。ねじ部31の他端には短円柱形状の当接体36が固定されている。
【0029】
ガイドプレート34は、架台25の上に取り付けられた支持体28にボルト29で固定されている。ガイドプレート34は上ガイド37、下ガイド38及び中央プレート39を備えている。上ガイド37は中央プレート39の上縁に設けられており、下ガイド38は中央プレート39の下縁に設けられている。上ガイド37及び下ガイド38は、いずれも断面L字状の部材からなっており、上ガイド37は、下方が開放された溝を形成するように、下ガイド38は、上方が開放された溝を形成するように、中央プレート39に設けられている。
【0030】
中央プレート39は長方形状を呈しており、長手方向に沿って矩形状の開口40を有している。開口40は、少なくとも駆動ローラ22の回転軸22aが通過し得る大きさを有している。
【0031】
移動プレート33は矩形状の一対の板体からなっており、駆動ローラ22の回転軸22aが貫通し得る大きさの孔41を有している。各板体の上縁部には第1屈曲部42が形成されており、下縁部には当該第1屈曲部42と同じ方向に屈曲する第2屈曲部43が形成されている。両屈曲部により溝が形成されるように、一対の板体が互いに固定される。2つの第1屈曲部42により形成される溝によって上ガイド37の壁37aがすきまを有した状態で挟み込まれ、2つの第2屈曲部43によって下ガイド38の壁38aがすきまを有した状態で挟み込まれる。したがって、移動プレート33は、上ガイド37及び下ガイド38の長手方向に沿って当該両ガイドにガイドされつつ移動可能である。
【0032】
図4~5に示されるように、移動プレート33を構成する一対の板体それぞれのハンドル部32側の側部の上下方向中央付近には断面半円状の受け部44が形成されており、両受け部44により形成される短円筒部内をねじ部31が挿通している。
【0033】
ねじ部31の先端の当接体36は当該ねじ部31に固定されており、ねじ部31の回転とともに回転する。当接体36は、移動プレート33のハンドル部32寄りの箇所に形成された開口45内に位置している。ねじ部31はブロック体30に形成されたねじ孔35に螺合されているので、ハンドル部32を操作してねじ部31を回転させると当接体36はねじ部31とともに当該ねじ部31の軸方向に沿って前後に移動する。ねじ部31を前方に移動させると、やがてねじ部31の先端の当接体36が前記移動プレート33の開口45の縁部に当接する。そして、さらにねじ部31を前方に移動させると駆動ローラ22は当接体36に押されて従動ローラ21側に移動し、当該従動ローラ21との間にメッシュベルト3を挟み込む。その後、負荷に抗してハンドル部32を回転させることでメッシュベルト3を駆動ローラ22と従動ローラ21との間にしっかりと挟み込むことができる。この状態でハンドル26を回すことで、メッシュベルト3を簡単に巻き上げることができる。本実施形態におけるガイド機構24は、前記のように駆動ローラ22と従動ローラ21との間にメッシュベルト3を挟み込んだ状態では、メッシュベルト3が駆動ローラ22により送り出される方向と逆の方向に自重で滑り落ちない程度に当該駆動ローラ22とメッシュベルト3との間に摩擦力を発生させることができる。
【0034】
ハンドル26を回す前に、駆動ローラ22よりも下流側(炉本体部2の入口12側)の箇所でメッシュベルト3を切断しておく必要がある。ハンドル部32の操作は2人の作業員で行うこともできるし、また、1人の作業員が両ハンドル部32を交互に操作して駆動ローラ22を移動させることもできる。
【0035】
所定長さのメッシュベルト3の巻上が完了すると、巻き上げたメッシュベルト部分を切断して取り除き、残ったメッシュベルトの端部と、巻上前に切断したメッシュベルトの端部とを繋ぎ合わせる。また、従動ローラ21側に移動させていた駆動ローラ22を当該従動ローラ21から離れる方向に移動させる。その際、ねじ部31の先端の当接体36は後退時に両受け部44により形成される短円筒体に当接するので、さらにハンドル26を操作することで従動ローラ21側に移動していた移動プレート33とともに駆動ローラ22を従動ローラ21から離すことができる。これにより、メッシュベルトのメンテナンスが終了する。
【0036】
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、メッシュベルト上に載置され焼結炉内で焼結されるワークとして鉄紛等の金属粉末を加圧成形した成形体を例示しているが、例えばセラミック等の他の物質を焼結対象とすることができる。
また、前述した実施形態では、駆動ローラをメッシュベルトの外側に配置し、従動ローラをメッシュベルトの内側に配置しているが、ローラの配置はこの逆でもよい。すなわち、駆動ローラをメッシュベルトの内側に配置し、従動ローラをメッシュベルトの外側に配置することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 : 焼結炉
2 : 炉本体部
3 : メッシュベルト
4 : 脱ガスゾーン
5 : 焼結ゾーン
6 : 冷却ゾーン
7 : 駆動プーリー
8 : 従動プーリー
9 : 排出口
10 : 搬送ローラ
11 : ピット
11a: 底面
12 : 入口
13 : ステージ
20 : ベルト巻上装置
21 : 従動ローラ
22 : 駆動ローラ
22a: 回転軸
23 : ラチェット機構
24 : ガイド機構
25 : 架台
26 : ハンドル
28 : 支持柱
29 : ボルト
30 : ブロック体
31 : ねじ部
32 : ハンドル部
33 : 移動プレート
34 : ガイドプレート
35 : ねじ孔
36 : 当接体
37 : 上ガイド
38 : 下ガイド
39 : 中央プレート
40 : 開口
41 : 孔
42 : 第1屈曲部
43 : 第2屈曲部
44 : 受け部
45 : 開口
50 : 取付プレート
50a: ベース部
51 : 押さえ板
100 : 連続焼結炉
101 : 炉本体部
102 : メッシュベルト
103 : 脱ガスゾーン
104 : 焼結ゾーン
105 : 冷却ゾーン
106 : 駆動プーリー
107 : 従動プーリー
W : ワーク