IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-通信システム 図1
  • 特許-通信システム 図2
  • 特許-通信システム 図3
  • 特許-通信システム 図4
  • 特許-通信システム 図5
  • 特許-通信システム 図6
  • 特許-通信システム 図7
  • 特許-通信システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/06 20220101AFI20220726BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20220726BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220726BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20220726BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220726BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H04L67/06
F21S9/02 200
F21V23/00 140
F21V23/04 500
H04Q9/00 311H
H04M11/00 302
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017184185
(22)【出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2019061382
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 真
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
(72)【発明者】
【氏名】プットラ メロン ファビアン グナワン
(72)【発明者】
【氏名】小野 智嗣
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055171(JP,A)
【文献】特開2006-042104(JP,A)
【文献】特開2012-113877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
F21S 9/02
F21V 23/00
F21V 23/04
H04Q 9/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と;
前記端末装置との間で通信を行う複数の通信装置と;
を具備し、
前記複数の通信装置は、
通信部と;
自装置に関するデータおよび前記通信部で受信した他の前記通信装置に関するデータを蓄積する記憶部と;
前記記憶部に蓄積されたデータのうち送信条件に合致するデータを前記通信部から送信させる制御部と;
を具備し、
前記制御部は、前記端末装置への複数のデータの送信が中断した場合に、前記複数のデータの送信状況に関する情報である送信状況情報を前記通信部からメッシュネットワークを利用して他の前記通信装置へ送信し、
前記端末装置は、前記通信装置からの前記複数のデータの受信が中断した場合に、前記の通信装置の内いずれかに対し送信再開要求を送信し、
前記他の通信装置の制御部は、前記送信再開要求が前記通信部によって受信された場合に、前記複数のデータのうち未送信のデータを前記送信状況情報に基づいて特定し、特定した前記未送信のデータを前記送信条件に合致するデータとして前記通信部から送信させる
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置の一種として、たとえば、無線通信を用いて外部にデータを送信することのできる照明装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-185978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信するデータ量が増えてくると一度にデータを送信しきれないことがある。このような場合に、初めからデータの送信を再開すると、既に送信済みのデータまで再度送信することとなり、通信の無駄が発生する。
【0005】
本発明は、無駄な通信を発生させないようにすることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る通信装置は、通信部と、記憶部と、制御部とを具備する。記憶部は、自装置に関するデータおよび通信部で受信した他の通信装置に関するデータを蓄積する。制御部は、記憶部に蓄積されたデータのうち送信条件に合致するデータを通信部から送信させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無駄な通信を発生させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る照明システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る照明装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る記憶部の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
図5図5は、点検者端末の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る照明システムにおける一連の点検処理の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、実施形態に係る照明システムにおけるデータ送信の再開処理の一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、実施形態に係る照明システムにおける他装置点検結果の消去処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係る照明装置10(通信装置の一例)は、通信部12と、自装置(照明装置10)に関するデータおよび通信部12で受信した他の通信装置に関するデータを蓄積する記憶部15と、記憶部15に蓄積されたデータのうち送信条件に合致するデータを通信部12から送信させる制御部16とを具備する。
【0010】
また、以下で説明する実施形態に係る照明装置10において、制御部16は、通信部12による複数のデータの送信が中断された場合に、複数のデータのうち未送信のデータを送信条件に合致するデータとして通信部12から送信させる。
【0011】
また、以下で説明する実施形態に係る照明装置10において、制御部16は、複数のデータの送信状況を記憶部15に記憶させる。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る照明装置10において、制御部16は、送信条件に合致するデータの送信が完了した場合に、記憶部15に蓄積されたデータのうち、他の通信装置に関するデータを消去する。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係る照明システム1(通信システムの一例)は、点検者端末30(端末装置の一例)と、端末装置との間で通信を行う照明装置10(通信装置の一例)とを具備する。照明装置10は、通信部12と、自装置(照明装置10)に関するデータおよび通信部12で受信した他の通信装置に関するデータを蓄積する記憶部15と、記憶部15に蓄積されたデータのうち送信条件に合致するデータを通信部12から送信させる制御部16とを具備する。
【0014】
また、以下で説明する実施形態に係る照明システム1において、端末装置は、照明装置10からの複数のデータの受信が中断した場合に、照明装置10に対して送信再開要求を送信する。照明装置10の制御部16は、送信再開要求が通信部12によって受信された場合に、複数のデータのうち未送信のデータを送信条件に合致するデータとして通信部12から送信させる。
【0015】
[実施形態]
<照明システムの構成>
まず、本発明の実施形態に係る照明システム1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る照明システム1の構成例を示す図である。
【0016】
図1に示す照明システム1は、複数の照明装置10と点検者端末30とを具備する。照明装置10は、たとえば、非常灯などの非常用照明装置である。非常用照明装置としての照明装置10は、施設内に所定の間隔で設置され、停電時や災害時等の非常時に避難誘導のために室内や廊下を照らす。なお、照明装置10は、非常口や避難通路を示すために設置される誘導灯であってもよい。また、照明装置10は、常時は照明装置として点灯し、停電時に避難誘導のために室内や廊下を照らす照明装置であってもよい。
【0017】
各照明装置10は、非常用ランプ等の光源11と、通信部12とを具備する。各照明装置10は、自装置の通信エリア内に位置する他の照明装置10や点検者端末30との間で、通信部12を用いた双方向通信を行う。複数の照明装置10は、通信エリア内に位置する他の照明装置10との間で相互にデータの送受信を行うことにより、各照明装置10をノードとするメッシュネットワークを形成する。
【0018】
点検者端末30は、点検者3が所有する情報処理装置である。点検者端末30は、点検者3が持ち運び可能な情報処理装置であればどのような情報処理装置であってもよく、たとえば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。
【0019】
実施形態に係る照明システム1において、点検者3は、点検者端末30を用い、施設内に設置された複数の照明装置10の一括点検を行う。
【0020】
点検者3は、まず、複数の照明装置10のうちの任意の1台に対し、点検者端末30から点検要求を送信させる。照明装置10は、点検要求を受信すると、自装置の通信エリア内に位置する1または複数の他の照明装置10に対して点検要求を転送する。さらに、照明装置10から点検要求を受信した他の照明装置10も同様に、自装置の通信エリア内に位置する1または複数の他の照明装置10に対して点検要求を転送する。このようにして、複数の照明装置10の全てに点検要求が転送される。そして、点検要求を受信した各照明装置10は、点検動作を開始する。点検動作は、たとえば、法令で定められた時間連続して光源11を点灯させる動作である。
【0021】
その後、点検者3は、複数の照明装置10のうちの任意の1台に対し、点検者端末30から結果送信要求を送信させる。結果送信要求を受信した照明装置10は、自装置の通信エリア内に位置する1または複数の他の照明装置10に対して結果送信要求を転送する。さらに、照明装置10から点検要求を受信した他の照明装置10も同様に、自装置の通信エリア内に位置する1または複数の他の照明装置10に対して結果送信要求を転送する。このようにして、複数の照明装置10の全てに結果送信要求が転送される。そして、結果送信要求を受信した各照明装置10は、通信エリア内の1または複数の他の照明装置10に対し、自装置の点検結果を送信するとともに他装置の点検結果を転送する。このように、複数の照明装置10の間で点検結果が相互に送受信されることにより、複数の照明装置10の全ての点検結果が各照明装置10の記憶部に蓄積された状態となる。その後、照明装置10は、点検者端末30に対して複数の照明装置10の全点検結果を送信する。
【0022】
つづいて、点検者3は、複数の照明装置10のうちの何れかに対し、点検者端末30から結果送信要求を送信する。ここで、点検者3が結果送信要求を送信する照明装置10は、必ずしも点検要求を送信した照明装置10であることを要しない。結果送信要求を受信した照明装置10は、自装置の点検結果を通信エリア内に位置する1または複数の他の照明装置10へ送信する。また、各照明装置10は、他の照明装置10から受け取った他装置の点検結果を、通信エリア内に位置する1または複数の他の照明装置10へ転送する。このように、複数の照明装置10の間で点検結果が相互に送受信されることで、全ての照明装置10の点検結果が各照明装置10の記憶部に蓄積される。
【0023】
その後、照明装置10は、点検者端末30に対して全ての照明装置10の点検結果を送信する。
【0024】
ここで、たとえば100台の照明装置10が施設内に設置されているとすると、照明装置10は、点検者端末30に対して100台分の点検結果を送信することとなる。このように、多量のデータを送信する場合、全てのデータの送信が完了するまでにはある程度の時間を要する。このため、たとえば、点検者3が照明装置10の通信エリア外へ移動した場合等にデータ送信の中断が発生するおそれがある。このような場合に、初めからデータの送信を再開すると、既に送信済みのデータまで再度送信することとなり、通信の無駄が発生してしまう。
【0025】
そこで、実施形態に係る照明装置10は、送信条件に合致するデータを通信部12に対して送信させることとした。すなわち、たとえば上記のようにデータ送信が中断した場合には、点検者端末30に対して未送信のデータだけを通信部12に対して送信させる。これにより、無駄な通信を発生させないようにすることができる。
【0026】
<照明装置の構成>
次に、実施形態に係る照明装置10の構成について図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係る照明装置10の構成例を示す図である。
【0027】
図3に示すように、照明装置10は、光源11と、通信部12と、蓄電池13と、取得部14と、記憶部15と、制御部16とを具備する。
【0028】
また、図3に示す外部電源6は、たとえば電力会社等から供給される電力源である。なお、外部電源6は、太陽光発電システムから供給される電力源であってもよい。
【0029】
光源11は、たとえば非常用ランプであり、外部電源6から供給される電力が著しく低下した場合(以下、停電時と記載する)に点灯する。光源11としては、たとえば蛍光灯やLED(Light Emitting Diode)等、目的に応じて種々の光源が用いられてもよい。
【0030】
通信部12は、たとえばビーコンであり、上述したように点検者端末30および他の照明装置10との間で双方向通信を行うことができる。通信部12は、たとえば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の規格にしたがった通信方式で無線通信を行う。
【0031】
通信部12は、外部電源6から供給される電力によって動作する。一方、通信部12は、停電時においては、後述する蓄電池13から供給される電力によって動作する。このように、通信部12は、停電時においても動作可能である。
【0032】
蓄電池13は、停電時において非常用電源として利用される。蓄電池13は、照明装置10に対して着脱自在である。また、蓄電池13は、外部電源6から供給される電力によって充電される。
【0033】
取得部14は、照明装置10の各種情報を取得するセンサである。たとえば、取得部14は、外部電源6から供給される電圧が閾値を下回った場合に、停電が発生したことを示す異常信号を制御部16へ出力する。また、取得部14は、蓄電池13の残容量に関する情報を取得して、制御部16へ出力する。その他、取得部14は、光源11の点灯状況に関する情報を取得してもよいし、照明装置10内部の温度情報を取得してもよい。
【0034】
記憶部15は、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。図3は、実施形態に係る記憶部15の構成例を示す図である。図3に示すように、記憶部15は、自装置点検結果151と、他装置点検結果152と、送信状況情報153とを記憶する。
【0035】
自装置点検結果151は、自装置の点検動作の結果であり、他装置点検結果152は、他の照明装置10の点検動作の結果である。点検結果には、光源11の点灯状況に関する情報などが含まれる。
【0036】
自装置点検結果151および他装置点検結果152は、たとえば、点検結果の識別情報と、自装置の識別情報と、点検の実施年月日等と関連付けて記憶される。
【0037】
送信状況情報153は、点検者端末30から送信を指示された複数の点検結果の送信状況に関する情報である。たとえば、送信状況情報153は、送信対象となっている複数の点検結果のうち、送信済みの点検結果の個数を含む。なお、送信状況情報153は、未送信の点検結果の個数、未送信の点検結果の識別情報等を含んでいてもよい。
【0038】
制御部16は、照明装置10の各部を制御するコントローラである。制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサであってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路であってもよい。また、制御部16は、1つの素子で構成されていてもよいし、複数の素子で構成されていてもよい。制御部16が複数の素子で構成される場合、これら複数の素子は、照明装置10内の離れた場所に配置されていてもよい。例えば、複数の素子が別々の基板に実装されていてもよい。
【0039】
図4は、実施形態に係る制御部16の構成例を示す図である。図4に示すように、制御部16は、点灯部161と、蓄電池制御部162と、点検部163と、通信制御部164とを具備する。これらは制御部16の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。たとえば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ或いは1つの集積回路であってもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。
【0040】
点灯部161は、光源11の点灯及び消灯を制御する。点灯部161は、たとえば、取得部14から停電が発生したことを示す異常信号を取得した場合に、蓄電池13から供給される電力を用いて光源11を点灯させる。
【0041】
また、点灯部161は、点検動作が開始された場合に、点検部163からの指示に従って光源11の点灯及び消灯を制御してもよい。
【0042】
蓄電池制御部162は、蓄電池13を制御する。たとえば、蓄電池制御部162は、外部電源6から供給される電力を用いて蓄電池13を充電する。蓄電池制御部162は、蓄電池13の蓄電量が所定量以上となった場合は充電を行わないようにしてもよい。また、蓄電池制御部162は、取得部14から異常信号を取得した場合、すなわち、停電が発生した場合に、蓄電池13に蓄えられた電力を通信部12や制御部16に供給させる。
【0043】
点検部163は、点検者端末30または他の照明装置10から通信部12を介して点検要求を受けた場合に、点検動作を照明装置10に実行させる。たとえば、点検部163は、点灯部161等に対して光源11の点灯または消灯を指示する。また、点検部163は、光源11や蓄電池13等の状態に関する情報を取得部14から収集して自装置点検結果151として記憶部15に格納する。
【0044】
通信制御部164は、通信部12を制御する。たとえば、通信制御部164は、通信部12を制御することにより、点検者端末30との間での通信確立処理のほか、点検要求、結果送信要求および点検結果の転送処理等を行う。
【0045】
また、通信制御部164は、通信部12を制御することにより、記憶部15に蓄積された自装置点検結果151および他装置点検結果152のうち、送信条件に合致するデータを点検者端末30に対して送信する。たとえば、通信制御部164は、点検者端末30への点検結果の送信が中断した場合に、点検者端末30からの送信再開要求に応じて、未送信の点検結果だけを点検者端末30へ送信する。
【0046】
<点検者端末の構成>
次に、点検者端末30の構成について図5を参照して説明する。図5は、点検者端末30の構成例を示す図である。
【0047】
図5に示すように、点検者端末30は、通信部31と、入出力部32と、記憶部33と、制御部34とを具備する。
【0048】
通信部31は、照明装置10の通信部12との間でデータ通信を行う。入出力部32は、データの入出力を行う。入出力部32には、ディスプレイ、タッチパネル、マウス、キーボード等が含まれる。記憶部33は、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置である。記憶部33は、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAM等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部33は、たとえば、照明装置10から送信される点検結果を記憶する。また、記憶部33は、受信状況情報を記憶する。受信状況情報は、点検者端末30が送信を要求した複数の点検結果の受信状況に関する情報である。たとえば、受信状況情報は、送信対象となっている複数の点検結果のうち、受信済みの点検結果の個数を含む。なお、受信状況情報は、未受信の点検結果の個数、未受信の点検結果の識別情報等を含んでいてもよい。
【0049】
制御部34は、点検者端末30全体を制御する。制御部34は、例えば、CPU、MPU等の電子回路や、ASIC、FPGA等の集積回路である。このとき、制御部34は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部34は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0050】
制御部34は、点検者3による入出力部32への入力操作に基づき、照明装置10に対して点検要求を送信する。また、制御部34は、点検者3による入出力部32への入力操作に基づき、照明装置10に対して結果送信要求を送信する。また、点検者3による入出力部32への入力操作に基づき、照明装置10に対して送信再開要求を送信する。また、制御部34は、照明装置10から通信部31を介して取得された点検結果を記憶部33に格納したり、点検結果の受信状況を示す受信状況情報を記憶部33に格納したりする。
【0051】
<点検処理の例>
次に、実施形態に係る照明システム1における一連の点検処理の流れについて図6を参照して説明する。図6は、実施形態に係る照明システム1における一連の点検処理の一例を示すシーケンス図である。ここでは、点検者端末30から点検要求を受信する照明装置10を「照明装置10A」と記載し、照明装置10Aから点検要求を受信する照明装置10を「照明装置10B」と記載する。
【0052】
図6に示すように、点検者端末30は、複数の照明装置10のうち照明装置10Aに対して点検要求を送信する(ステップS11)。点検要求の送信先となる照明装置10Aは任意である。たとえば、点検者3は、自身に最も近い場所に設置されている照明装置10Aに対して点検者端末30から点検要求を送信させる。
【0053】
点検者端末30から通信部12を介して点検要求を受信した照明装置10Aは、点検者端末30との間で識別情報やパスワード等を用いた通信確立処理を行い、点検者端末30との間で通信が確立されると、通信エリア内に位置する他の照明装置10Bに対して点検要求を転送する(ステップS12)。また、照明装置10Aは、点検動作を開始する(ステップS13)。
【0054】
つづいて、照明装置10Bは、照明装置10Aから点検要求を受信すると、照明装置10Aから受信した点検要求を通信エリア内に位置する他の照明装置10(図示せず)に転送する(ステップS14)。また、照明装置10Bは、点検動作を開始する(ステップS15)。
【0055】
このようにして複数の照明装置10の全てに点検要求が送信されて、複数の照明装置10の全てが点検動作を開始する。なお、照明装置10A,10Bは、点検動作を開始(ステップS13,S15)した後で、点検要求の転送(ステップS12,S14)を行ってもよい。
【0056】
その後、点検者端末30は、照明装置10Aに対して結果送信要求を送信する(ステップS16)。ここで、結果送信要求には、点検者端末30に対して送信すべきデータを指定する情報が含まれる。本例では、今回の点検動作の点検結果を指定する情報が結果送信要求に含まれるものとするが、結果送信要求には、たとえば、「今年分の点検結果」のように点検の実施期間を指定する情報や、「10台分の点検結果」のように照明装置10の台数を指定する情報等が含まれてもよい。
【0057】
点検者端末30から結果送信要求を受信した照明装置10Aは、点検者端末30との間で通信確立処理を行う。その後、点検者端末30との間で通信が確立されると、照明装置10Aは、通信エリア内に位置する他の照明装置10Bに対して結果送信要求を転送する(ステップS17)。また、照明装置10Bは、照明装置10Aから受信した結果送信要求を通信エリア内に位置する他の照明装置10(図示せず)に転送する(ステップS18)。これにより、複数の照明装置10の全てに結果送信要求が送信される。
【0058】
結果送信要求を受信した照明装置10は、今回の点検動作における自装置点検結果151を通信エリア内に位置する他の照明装置10へ送信する。また、各照明装置10は、他の照明装置10から受信した他装置点検結果152を通信エリア内に位置する照明装置10へ転送する(ステップS19,S20)。各照明装置10は、自装置点検結果151および受信した他装置点検結果152を記憶部15に記憶させる。これにより、複数の照明装置10の全てが、複数の照明装置10の全ての点検結果を保持した状態となる。
【0059】
その後、照明装置10Aは、点検者端末30に対し複数の照明装置10の全ての点検結果(自装置点検結果151および他装置点検結果152)を送信する(ステップS21)。
【0060】
<データ送信の再開処理の例>
次に、ステップS21においてデータ送信の中断が発生した場合におけるデータ送信の再開処理について図7を参照して説明する。図7は、実施形態に係る照明システム1におけるデータ送信の再開処理の一例を示すシーケンス図である。
【0061】
図7に示すように、照明装置10Aは、点検結果の送信に先立ち、点検者端末30に対してデータ総数情報を送信する(ステップS21-1)。データ総数情報は、点検者端末30へ送信するデータの総数を示す情報である。ここでは、データ総数が100個であることを示すデータ総数情報が点検者端末30に送信されるものとする。
【0062】
データ総数情報を受信した点検者端末30は、照明装置10Aに対し、送信開始要求を送信する(ステップS21-2)。照明装置10Aは、点検者端末30から送信開始要求を受信すると、結果送信要求によって指定された点検結果(ここでは、全ての照明装置10の今回の点検結果)を点検者端末30に対して順次送信する(ステップS21-3)。この間、照明装置10Aは、点検結果の送信状況を記憶部15に記憶し(ステップS21-4)。点検者端末30は、点検結果の受信状況を記憶部33に記憶する(ステップS21-5)。
【0063】
ここで、結果送信要求によって指定された100個の点検結果のうち50個を送信し終えたときに、データ送信の中断が発生したとする(ステップS21-6)。
【0064】
この場合、点検者端末30は、照明装置10Aに対して送信再開要求を送信する(ステップS21-7)。送信再開要求は、点検者3による入出力部32への入力操作に基づいて送信されてもよいし、全ての点検結果を受信し終えるまで点検者端末30によって自動的に送信されてもよい。
【0065】
照明装置10Aは、点検者端末30から送信再開要求を受信すると、記憶部15に記憶される送信状況情報153に基づき、結果送信要求によって指定された複数の点検結果のうち、未送信の点検結果だけを点検者端末30に対して送信する(ステップS21-8)。つまり、照明装置10Aは、点検者端末30へのデータ送信を51個目の点検結果から再開する。
【0066】
上述してきたように、実施形態に係る照明システム1において、照明装置10の制御部16は、記憶部15に蓄積されたデータのうち送信条件に合致するデータを通信部12に対して送信させる。たとえば、今回の点検結果を送信するように点検者端末30によって指定された場合に、制御部16は、記憶部15に蓄積されている多量の点検結果のうち、今回の点検結果だけを点検者端末30に送信する。これにより、必要なデータだけを点検者端末30に対して送信することができ、データ送信に要する時間を短くすることができる。
【0067】
また、制御部16は、通信部12による複数の点検結果の送信が中断された場合に、複数の点検結果のうち未送信の点検結果を送信条件に合致するデータとして通信部12に対して送信させる。これにより、照明装置10は、点検結果の送信を再開する際に、既に送信済みの点検結果まで送信してしまうことを防止することができる。したがって、実施形態に係る照明装置10によれば、無駄な通信を発生させないようにすることができる。
【0068】
また、制御部16は、点検者端末30によって指定された複数の点検結果の送信状況を記憶部15に記憶させる。これにより、照明装置10の制御部16は、未送信の点検結果を特定することができる。
【0069】
<他装置点検結果の消去処理の例>
図8は、実施形態に係る照明システムにおける他装置点検結果の消去処理の一例を示すシーケンス図である。
【0070】
図8に示すように、点検者端末30は、指定した全ての点検結果を照明装置10Aから受信すると、照明装置10Aに対して受信完了通知を送信する(ステップS31)。そして、照明装置10Aは、受信完了通知を受信した場合に、記憶部15に蓄積された点検結果のうち自装置点検結果151を残しつつ、他装置点検結果152を消去する(ステップS32)。また、照明装置10Aは、通信エリア内に位置する他の照明装置10Bに対して受信完了通知を転送する(ステップS33)。
【0071】
照明装置10Aから受信完了通知を受信した照明装置10Bは、記憶部15に蓄積された他装置点検結果152を消去し(ステップS34)、通信エリア内に位置する他の照明装置10(図示せず)に対して受信完了通知を転送する(ステップS35)。このようにして複数の照明装置10の全てに受信完了通知が送信されて、複数の照明装置10の全ての記憶部15から他装置点検結果152が消去される。
【0072】
このように、実施形態に係る照明システム1において、照明装置10の記憶部15は、自装置に関するデータである自装置点検結果151と、他の通信装置に関するデータである他装置点検結果152とを蓄積する。そして、照明装置10の制御部16は、結果送信要求によって指定された全ての点検結果の送信が完了した場合に、記憶部15に蓄積された点検結果のうち、他装置点検結果152を消去する。これにより、たとえば、他装置点検結果152を消去せずに保持し続ける場合と比較して、容量の大きな記憶部を照明装置10に搭載する必要がない。
【0073】
<変形例>
上述した実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0074】
たとえば、図7のステップS21-7において、点検者端末30は、受信状況情報を含んだ送信再開要求を照明装置10Aに対して送信してもよい。この場合、照明装置10Aは、送信再開要求に含まれる受信状況情報(たとえば、50個受信済みであることを示す情報)に基づき、未送信のデータとして51個目以降の点検結果を点検者端末30に送信することができる。
【0075】
また、たとえば、図7のステップS21-6において、データ送信の中断が発生した場合に、照明装置10Aは、送信状況情報をメッシュネットワークを利用して全ての照明装置10に送信してもよい。これにより、点検者端末30は、照明装置10Aだけでなく、他の照明装置10から未送信のデータを受信することが可能となる。
【0076】
また、ここでは、照明装置が非常灯や誘導灯のような非常用照明装置である場合を例に挙げて説明したが、照明装置は常用の一般照明であってもよい。また、ここでは、通信機能を備えた照明装置を通信装置の一例として挙げたが、通信装置は照明装置に限定されない。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、これらの実施形態やその変形は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 照明システム
3 点検者
10 照明装置
11 光源
12 通信部
13 蓄電池
14 取得部
15 記憶部
16 制御部
30 点検者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8