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7110588シンチレータパネルおよび放射線画像検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】シンチレータパネルおよび放射線画像検出装置
(51)【国際特許分類】
   G21K 4/00 20060101AFI20220726BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G21K4/00 B
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017243474
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019109171
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊月 直秀
(72)【発明者】
【氏名】並松 智也
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-101722(JP,A)
【文献】特開2004-309168(JP,A)
【文献】特開2010-112733(JP,A)
【文献】特開2004-061115(JP,A)
【文献】特開昭61-228399(JP,A)
【文献】特開2007-085797(JP,A)
【文献】特開2004-226269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0091615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 4/00
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、蛍光体およびバインダー樹脂を含有する蛍光体層を有するシンチレータパネルであって、前記蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量が18体積部以下であり、前記蛍光体層の外周部側面に被覆層を有し、前記蛍光体層の端部の空隙率が内部の空隙率よりも低く、前記蛍光体層の端部の空隙率が10%未満であるシンチレータパネル。
【請求項2】
前記蛍光体層が蛍光体の粒子径が異なる複数の層を有する請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記被覆層の表面と、蛍光体層と接する側の基板表面との成す角度が90度を超える請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記被覆層がポリビニルアルコールを含む請求項1~のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のシンチレータパネルの蛍光体層上に、接着層および離型シートをこの順に有する離型シート付きシンチレータパネル。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のシンチレータパネル、接着層および光電変換撮像素子基板を有する放射線画像検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンチレータパネルとこれを用いた離型シート付きシンチレータパネルおよび放射線画像検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場において、フィルムを用いた放射線画像が広く用いられてきた。しかし、フィルムを用いた放射線画像はアナログ画像情報であるため、近年、コンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等のデジタル方式の放射線画像検出装置が開発されている。このFPDには、直接方式と間接方式とがある。直接方式は放射線を直接電気信号に変換して検出する方式である。一方、間接方式は、放射線をシンチレータパネルで一旦可視光に変換した後、該可視光を光電変換撮像素子で検出する方式である。そのため、間接方式の放射線画像検出装置は、光電変換撮像素子基板とシンチレータパネルの基板2枚から構成される。光電変換撮像素子基板とシンチレータパネルを密着させて、光電変換撮像素子基板とシンチレータパネルとの間における蛍光光の拡散による解像度の低下を抑制するために、光学的に透明な接着層を形成し、光電変換撮像素子基板とシンチレータパネルを接着することが行われている。
【0003】
光電変換撮像素子基板は、ガラス基板上に、フォトダイオード、薄膜トランジスタ、電気配線などを含む50~300μmの画素を2次元的に有することが一般的である。フォトダイオードなどによりシンチレータパネルで発生した可視光を電気信号に変換することにより、放射線の情報をデジタル信号に変換する。
【0004】
シンチレータパネルは、酸硫化ガドリニウム(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)などの蛍光体を含有する蛍光体層を備えており、照射された放射線に応じて蛍光体が可視光を発光する。
【0005】
接着層としては、OCA(Optical Clear Adhesive)と呼ばれる、フィルム状の粘着シートが一般的に用いられる。接着層を2枚の離型シートで挟んだ構造のものが一般的であり、塗布工程を要することなく、転写加工のみで接着層を形成できるため、簡便な方法で歩留り良く接着することができる。
【0006】
シンチレータパネルは、例えば、シート状のプラスチック基板上に蛍光体とバインダー樹脂を含有する蛍光体層を塗布した後、乾燥することにより形成することができる。接着層は、OCAの一方の離型シートを剥がした後、露出した接着層をシンチレータパネル基板の表面にラミネータロールなどを用いて圧着することにより形成することができる。次に、OCAの反対側の離型シートを剥離し、露出した接着層を、ラミネータロールを用いて光電変換撮像素子基板に圧着することにより、光電変換撮像素子基板とシンチレータパネルを密着させて貼り合わせることができる。
【0007】
蛍光体層は、蛍光体を多く含有するほど輝度が高くなり、FPDとしての特性が良化する。一方、バインダー樹脂の含有量が少なくなるほど、蛍光体層が脆くなり膜の強度が低下するため、シンチレータパネルの製造時やその後の運搬、光電変換撮像素子基板との貼り合わせ時に、膜剥がれや蛍光体層の削れが発生しやすい傾向にある。特に、蛍光体層の外周部分は、曲がりや擦れによる膜剥がれや蛍光体層の削れが発生しやすい。そこで、かかる課題に対して、対抗する二辺の端部の蛍光体層の厚さが、その蛍光体層の平均厚さよりも薄くされており、かつ端部周辺における蛍光体の充填密度が蛍光体層中における蛍光体の平均充填密度よりも高くされている放射線像変換パネル(例えば、特許文献1参照)、蛍光体層の周縁の側面に縁貼り部材が設けられている放射線変換シート(例えば、特許文献2参照)、蛍光体層の非積層面側に、金属を含有する金属含有層を少なくとも1層含むコーティング層が形成されている放射線像変換パネル(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭61-228399号公報
【文献】特開2010-101722号公報
【文献】特開2007-85797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シンチレータパネルを光電変換撮像素子基板に貼り付ける工程において、離型シートを有するOCAを用いる場合には、シンチレータパネル上に形成された離型シートのみを剥離する必要があるが、特許文献1に記載の技術は、離型シートを有するOCAを用いる場合には、離型シートの剥離時に蛍光体層の膜剥がれが発生する課題があった。特に、蛍光体層における蛍光体含有量が多く、バインダー樹脂含有量が少ないほど、蛍光体層が脆くなり、基板との密着性も低下することから、蛍光体層の膜剥がれや削れ屑が発生しやすい。特許文献2~3の技術により、蛍光体外周部からの蛍光体削れ屑の発生は抑制できるものの、FPD特性向上のために蛍光体含有量を多く、バインダー樹脂含有量を少なくすると、蛍光体層の膜剥がれが発生しやすい課題があることが、本発明者らの検討により分かった。
【0010】
そこで本発明は、バインダー樹脂含有量が少ない場合においてもシンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれと蛍光体削れ屑の発生を抑制することができるシンチレータパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、基板上に、蛍光体およびバインダー樹脂を含有する蛍光体層を有するシンチレータパネルであって、前記蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量が18体積部以下であり、前記蛍光体層の外周部側面に被覆層を有し、前記蛍光体層の端部の空隙率が内部の空隙率よりも低く、前記蛍光体層の端部の空隙率が10%未満であるシンチレータパネルによって達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれや蛍光体削れ屑の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のシンチレータパネルの一態様を模式的に表した断面図である。
図2】本発明のシンチレータパネルの一態様の端部を模式的に表した断面図である。
図3】本発明の放射線画像検出装置の一態様を模式的に表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のシンチレータパネルは、基板上に、蛍光体層を有し、蛍光体層の外周部側面に被覆層を有する。基板は、蛍光体層を支持する作用を有する。蛍光体層は、照射された放射線を、より長い波長の光に変換する作用を有する。変換される光としては、可視光が好ましい。本発明のシンチレータパネルは、蛍光体層の外周部側面に被覆層を有することを特徴とする。蛍光体層側面に被覆層を有することにより、蛍光体層の外周部分における蛍光体削れ屑の発生を抑制することができる。また、蛍光体層の膜剥がれが発生しやすいバインダー樹脂含有量が少ない場合においても、蛍光体層と基材との密着力を向上させて蛍光体層の膜剥がれを抑制することができる。
【0015】
図1は、本発明のシンチレータパネルを模式的に表した断面図である。シンチレータパネル2は、基板4上に蛍光体層5を有し、蛍光体層5の外周部側面に被覆層8を有する。ここで、蛍光体層の外周部側面とは、蛍光体層のうち、基板面に対して略垂直方向の端部を言う。蛍光体層5上に、必要に応じて接着層7を有してもよい。接着層7を有することにより、シンチレータパネルと光電変換撮像素子基板との密着性をより向上させて蛍光光の拡散を抑制し、画像鮮鋭度を向上させることができる。この場合、取扱性の観点から、接着層7上に離型シート6を有することが好ましい。
【0016】
基板を構成する材質としては、例えば、放射線透過性を有するガラス、セラミック、半導体、高分子化合物、金属、金属酸化物などが挙げられる。ガラスとしては、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどが挙げられる。セラミックとしては、例えば、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などが挙げられる。半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素などが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネート、炭素繊維強化樹脂などが挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅などが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、可視光透過率が高く、蛍光体の発光光を高効率に利用することができることから、ガラス、高分子化合物が好ましく、ボイドを含む白色ポリエステルがより好ましい。
【0017】
基板の厚みは、シンチレータパネルの軽量化の観点から、2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。
【0018】
蛍光体層は、少なくとも蛍光体およびバインダー樹脂を含有する。蛍光体は、照射された放射線を、より長い波長の光に変換する作用を有する。バインダー樹脂は、蛍光体同士の結着力を高め、蛍光体層としての形状を維持する作用を有する。
【0019】
蛍光体としては、例えば、CsI、CsBr、GdS(以下、「GOS」)、GdSiO、BiGe12、CaWO、LuS、YS、LaCl、LaBr、LaI、CeBr、CeI、LuSiOなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、GOS、CsIが好ましい。
【0020】
蛍光体には、賦活剤が添加されていてもよく、発光効率を向上させることができる。賦活剤としては、例えば、ナトリウム(Na)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)、テルビニウム(Tb)、セリウム(Ce)、ユーロピウム(Eu)、プラセオジム(Pr)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。化学的安定性が高く、発光効率が高いことから、テルビニウムを添加した硫酸化ガドリニウム(GOS:Tb)、タリウムを添加したヨウ化セシウム(CsI:Tl)が好ましい。
【0021】
蛍光体の形状は、球状、扁平状、棒状等が好ましい。蛍光体の粒子径(D50)は、1.0~20μmが好ましい。ここで、蛍光体の粒子径(D50)は、粒度分布測定装置(例えば、MT3300;日機装(株)製)を用いて、水を満たした試料室に蛍光体を投入し、300秒間超音波処理を行った後に測定した粒度分布から算出することができる。
【0022】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレン、ポリメチルシロキサンやポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリスチレン、ブタジエン/スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリアクリルアミド、アクリル樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。後述する被覆層を形成する材質に応じて選択することが好ましく、これらの中でも、被覆層との相溶性の観点から、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロースが好ましい。
【0023】
蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量は、18体積部以下である。FPD特性向上のためにバインダー樹脂の含有量を18体積部以下とすると、従来の技術においては、蛍光体層の膜剥がれや蛍光体削れ屑が発生しやすい課題があったが、本発明においては、被覆層を設けることにより、これらの課題を解決することができる。また、蛍光体の含有量を相対的に増量することができるため、輝度をより向上させることができる。一方、蛍光体同士の結合を強化し、膜剥がれをより抑制する観点から、バインダー樹脂の含有量は、5体積部以上が好ましい。
【0024】
蛍光体層を2層以上有してもよい。蛍光体の粒子径(D50)が異なる複数の蛍光体層を有することが好ましく、画像鮮鋭度を向上させることができる。この場合、蛍光体の粒子径(D50)が小さく充填密度が最も高い層、すなわち高充填密度蛍光体層は、可視光の反射率が高いことから、蛍光光の拡散を抑制し画像鮮鋭度を向上させることができるため、放射線の入射側に位置することが好ましい。一方、高密度蛍光体層よりも蛍光体の粒子径が大きな層は、発光光が多いことから、光電変換効率を向上させるために、光電変換撮像素子基板の受光面側に位置することが好ましい。
【0025】
蛍光体層の厚みは、発光効率を向上させる観点から、10μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。一方、蛍光体層の厚みは、画像鮮鋭度を向上させる観点から、600μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましい。
【0026】
被覆層を形成する材質としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、これらの共重合体等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。この中でも、ポリビニルアルコールが好ましく、蛍光体層外周部と基板との密着性を向上させ、蛍光体層の膜剥がれをより抑制することができる。また、ポリビニルアルコールは薄膜形成しやすいことから、バリが生じにくく、シンチレータパネルを光電変換撮像素子基板に貼り合せる際に、バリ起因の気泡混入を抑制することができる。
【0027】
本発明のシンチレータパネルは、蛍光体層上に保護膜を有してもよい。保護膜としては、透明な有機高分子フィルムなどが挙げられる。
【0028】
図2に、本発明のシンチレータパネルの一態様の端部を模式的に表した断面図を示す。蛍光体層の端部12は、その空隙率が、蛍光体層の内部13よりも低いことが好ましく、剥離しやすい蛍光体層外周部において、蛍光体層と基板との密着性が向上することから、蛍光体層の膜剥がれをより抑制することができる。蛍光体層の端部12の空隙率は、10%未満がより好ましい。なお、後述する被覆液を用いて被覆層を形成する場合、蛍光体層の外周側面は、被覆液の浸み込みにより空隙率が低下しやすく、蛍光体層と基材との密着性をより向上させることができる。ここで、蛍光体層の端部12とは、蛍光体層の側面から内側に向かって100μmまでの領域を指し、蛍光体層の内部13とは、蛍光体層の端部を除く内側全ての領域を指す。また、蛍光体層の空隙率は、蛍光体層の断面を精密研磨した後に、走査型電子顕微鏡(例えば、S2400;(株)日立製作所製)を用いて倍率2000倍で拡大観察し、得られた画像における固形分部分(蛍光体およびバインダー樹脂等)と空隙部分を2階調に画像変換し、蛍光体層の断面の面積に占める空隙部分の面積割合から算出することができる。
【0029】
本発明のシンチレータパネルは、被覆層表面と、蛍光体層と接する側の基板表面とのなす角度は、90°を超えることが好ましい。かかる角度が90°を超えると、離型シート付きシンチレータパネルとして用いる場合に、離型シートを剥離しやすくなる。ここで、被覆層表面とは、蛍光体層外周部に、基板面に対して略垂直方向に延びる被覆層の、層面方向の最表面を言う。被覆層表面と、蛍光体層と接する側の基板表面とのなす角度は、蛍光体層端部の断面を精密研磨した後に、光学顕微鏡(例えば、VHX-900F;(株)キーエンス)を用いて倍率100倍で拡大観察し、角度測定機能を用いて測定することができる。かかる角度を90°以上にする方法としては、例えば、シンチレータパネルの製造において、後述する好ましい方法により裁断する方法などが挙げられる。
【0030】
本発明の離型シート付きシンチレータパネルは、シンチレータパネルの蛍光体層上に、接着層および離型シートをこの順に有する。
【0031】
接着層を構成する材質は、強度や作業性の観点から、光学的に透明な熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が好ましい。具体的には、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エチルセルロース樹脂などの透明接着剤が挙げられる。接着層は、必要に応じて、架橋剤、可塑剤、粘着性付与剤、充填剤、劣化防止剤の添加剤を含有してもよい。接着層の厚みは、10~50μmが好ましい。
【0032】
離型シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン等の樹脂フィルムが挙げられる。離型シートの接着層との接合面には、離型コート層(シリコーン層)を有してもよい。離型シートの厚みは、10~75μmがより好ましい。
【0033】
本発明のシンチレータパネルは、例えば、基板上に、少なくとも蛍光体およびバインダー樹脂を含有する蛍光体ペーストを塗布・乾燥して蛍光体層を形成し、蛍光体層の外周部側面に被覆液を塗布・乾燥して被覆層を形成することにより得ることができる。蛍光体層上に接着層および離型シートを形成する場合は、作業性および経済性の観点から、OCA(Optical Clear Adhesive Film)と呼ばれる、接着層を2枚の離型シートで挟んだフィルム状の粘着シートを用いることが好ましい。OCAの一方の離型シートを剥離し、接着層を蛍光体層側にして貼り合わせることにより、蛍光体層上に、接着層および離型シートを積層し、離型シート付きシンチレータパネルとすることができる。
【0034】
蛍光体ペーストは、少なくとも前述の蛍光体およびバインダー樹脂を含有する。必要に応じて、増粘剤、可塑剤、沈降防止剤などの添加剤や有機溶媒を含有してもよい。有機溶媒は、バインダー樹脂の良溶媒であり、水素結合力が大きいことが好ましく、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、ジヒドロターピネオール、γ-ブチロラクトン、ジヒドロターピニルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-メチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキシレングリコール、ブロモ安息香酸などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0035】
蛍光体ペーストの塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどを用いる方法などが挙げられる。
【0036】
離型シート付きシンチレータパネルの製造に際しては、大きなサイズのシンチレータパネルと離型シートを貼り合わせてから、所定サイズに裁断する方法が好ましい。プレス裁断機(トムソンカット)を使用して、シンチレータパネルの基板面から離型シート面に向かって刃入れすることが好ましく、蛍光体層の外周部側面と、蛍光体層と接する側の基板表面とのなす角度を、容易に90°より大きくすることができる。
【0037】
次に、本発明の放射線画像検出装置について説明する。本発明の放射線画像検出装置は、少なくとも前述のシンチレータパネル、接着層および光電変換撮像素子基板を有する。
【0038】
図3に、本発明の放射線検出装置の一態様を模式的に表した断面図を示す。放射線画像検出装置1は、接着層7を介して、シンチレータパネル2と光電変換撮像素子基板3が貼り合わされてなり、さらに図示されない電源部を有する。光電変換撮像素子基板3は、基板11上に、光電変換層9と出力層10を有する。ただし、図示の都合上、図3の紙面における下方向が、本説明における上方向となる。光電変換層9は、図示しない光電変換素子とTFTを有する画素を2次元状に形成したものが一般的である。シンチレータパネル2の出光面と、光電変換撮像素子基板3の光電変換層9とを、接着層7を介して接着または密着させることが好ましい。
【0039】
放射線画像検出装置1に入射した放射線が、蛍光体層5において蛍光体に吸収され、可視光が放射される。放射された可視光が光電変換層9に到達すると、光電変換層9で光電変換され、出力層10を通じて、電気信号として出力される。
【実施例
【0040】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。まず、評価方法について説明する。
【0041】
<蛍光体層の空隙率>
各実施例および比較例により形成した蛍光体層の断面を精密研磨した後に、走査型電子顕微鏡(S2400;(株)日立製作所製)を用いて倍率500倍で蛍光体層を拡大観察した。得られた画像において、固形分部分(蛍光体およびバインダー樹脂等)と空隙部分を画像処理ソフト(Adobe Photoshop;アドビシステムズ(株)製)で2階調に画像変換し、シンチレータ層の断面の面積に占める空隙部分の面積割合を空隙率として算出した。蛍光体層端部の空隙率は、蛍光体層の側面から内側に向かって100μmの範囲において上記記載の方法で算出した。蛍光体層内部の空隙率は、蛍光体層の側面から内側に向かって100μmを超える範囲において上記記載の方法で算出した。
【0042】
<被覆層表面と、蛍光体層と接する側の基板表面との成す角度>
各実施例および比較例により得られた離型シート付きシンチレータパネルの端部断面を精密研磨した後に、光学顕微鏡(VHX-900F;(株)キーエンス製)を用いて倍率100倍で拡大観察し、角度測定機能を用いて、被覆層表面と、蛍光体層と接する側の基板表面との成す角度を測定した。
【0043】
<被覆層起因の気泡>
各実施例および比較例により得られた離型シート付きシンチレータパネルの白色PETフィルム基板面を吸着ステージに吸着させた後に、離型シートを剥離して、接着層を介してシンチレータパネルを光電変換撮像素子基板に貼り合わせて、放射線画像検出装置を作製した。ただし、実施例7については、シンチレータパネルと光電変換撮像素子基板をポリエステルテープ(559A;ニチバン(株)製)により貼り合わせて、放射線画像検出装置を作製した。得られた放射線画像検出装置に対し、シンチレータパネルの基板側から管電圧60kVpのX線を照射して、シンチレータ層からの発光をFPDで検出し発光画像を取得した。取得した発光画像を目視で観察し、シンチレータパネル外周部への被覆層起因の気泡混入を以下の基準で判定した。
○:被覆層起因の気泡混入が確認されない
×:被覆層起因の気泡混入が確認される。
【0044】
<蛍光体層の膜剥がれ>
各実施例および比較例により得られた離型シート付きシンチレータパネル各50枚の白色PETフィルム基板面を吸着ステージに吸着させた後に、離型シートを剥離し、蛍光体層を目視観察し、膜剥がれの有無を以下の基準で判定した。ただし、実施例7については、離型シートを有しないため、形成した蛍光体層をそのまま目視観察した。
◎:方形の角部200箇所中、蛍光体層の膜剥がれが観察される箇所が4箇所未満
○:方形の角部200箇所中、蛍光体層の膜剥がれが観察される箇所が4箇所以上10箇所未満
×:方形の角部200箇所中、蛍光体層の膜剥がれが観察される箇所が10箇所以上。
【0045】
<蛍光体層の削れ屑>
各実施例および比較例により得られた離型シート付きシンチレータパネルの白色PETフィルム基板面を吸着ステージに吸着させた後に、離型シートを剥離し、離型シートを剥離して、接着層を介してシンチレータパネルを光電変換撮像素子基板に貼り合わせて、放射線画像検出装置を作製した。ただし、実施例7については、シンチレータパネルと光電変換撮像素子基板をポリエステルテープ(559A;ニチバン(株)製)により貼り合わせて、放射線画像検出装置を作製した。得られた放射線画像検出装置に対し、シンチレータパネルの基板側から管電圧60kVpのX線を照射して、シンチレータ層からの発光をFPDで検出し発光画像を取得した。取得した発光画像を目視観察し、蛍光体層の削れ屑起因の異物混入を以下の基準で判定した。
○:蛍光体層の削れ屑起因の異物が確認されない
×:蛍光体層の削れ屑起因の異物がシンチレータパネルと光電変換撮像素子基板の間に混入する。
【0046】
<相対輝度および相対画像鮮鋭度>
各実施例および比較例により得られた離型シート付きシンチレータパネルを、離型シートを剥離してFPD(PaxScan3030;Varian社製)にセットし、放射線画像検出装置を作製した。ただし、実施例7については、シンチレータパネルと光電変換撮像素子基板をポリエステルテープ(559A;ニチバン(株)製)により貼り合わせて、放射線画像検出装置を作製した。放射線画像検出装置に対し、シンチレータパネルの基板側から管電圧60kVpのX線を照射して、シンチレータ層からの発光量をFPDで検出し、シンチレータパネルの輝度を評価した。また、シンチレータパネルの画像鮮鋭度を、矩形波チャートの撮影画像に基づき評価した。実施例1に記載のシンチレータパネルの輝度及び画像鮮鋭度を100とした場合の相対輝度および相対画像鮮鋭度を算出した。相対輝度および相対画像鮮鋭度ともに90を下回るとFPDとしての特性は不十分である。算出した相対輝度および相対画像鮮鋭度を以下の基準で判定した。
◎:100以上
○:90以上100未満
×:90未満。
【0047】
(蛍光体ペースト1の作製)
20質量部の有機バインダー(エチルセルロース(7mPa・s);比重1.1g/cm)を、80質量部の有機溶媒(テルピネオール、比重0.93g/cm)に80℃で加熱溶解し、有機溶液を得た。また、蛍光体粉末1として、平均粒子径D50が10μmのTb賦活GdS(GOS:Tb、比重7.3g/cm)を準備した。7.0質量部の有機溶液に、93.0質量部の蛍光体粉末を混合して、蛍光体ペースト1を作製した。
【0048】
(蛍光体ペースト2の作製)
3.6質量部の有機溶液に、96.4質量部の蛍光体粉末を混合したこと以外は蛍光体ペースト1の作製と同様にして、蛍光体ペースト2を作製した。
【0049】
(蛍光体ペースト3の作製)
11.9質量部の有機溶液に、88.1質量部の蛍光体粉末を混合したこと以外は蛍光体ペースト1の作製と同様にして、蛍光体ペースト3を作製した。
【0050】
(蛍光体ペースト4の作製)
13.1質量部の有機溶液に、86.9質量部の蛍光体粉末を混合したこと以外は蛍光体ペースト1の作製と同様にして、蛍光体ペースト4を作製した。
【0051】
(蛍光体ペースト5の作製)
蛍光体ペースト1と同様の方法により有機溶液を得た。また、蛍光体粉末2として、平均粒子径D50が5μmのTb賦活GdS(GdS:Tb、比重6.9g/cm)を準備した。7.4質量部の有機溶液に、92.6質量部の蛍光体粉末2を混合して、蛍光体ペースト5を作製した。
【0052】
(蛍光体ペースト6の作製)
3.8質量部の有機溶液に、96.2質量部の蛍光体粉末を混合したこと以外は蛍光体ペースト5の作製と同様にして、蛍光体ペースト6を作製した。
【0053】
(蛍光体ペースト7の作製)
12.5質量部の有機溶液に、87.5質量部の蛍光体粉末を混合したこと以外は蛍光体ペースト5の作製と同様にして、蛍光体ペースト7を作製した。
【0054】
(被覆液1の調製)
50質量部のポリビニルアルコール(E-AL-200;アラビックヤマト(株)製)を、50質量部のエタノール(055-00457;和光純薬工業(株)製)に溶解させて被覆液1を調製した。
【0055】
(実施例1)
200mm×200mmの白色PETフィルム基板(E6SQ;東レ(株)製)上に、前記蛍光体ペースト1を、ダイコーターを用いて、乾燥後の蛍光体層厚みが200μmになるように塗布し、80℃の熱風乾燥炉で4時間乾燥することにより第一の蛍光体層を形成した。第一の蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量は10体積部であった。
【0056】
厚みが25μmの接着剤層の両面に、厚みが50μmの離型フィルムが積層されたOCAフィルム(8171-CL;スリーエムジャパン(株)製)を準備した。OCAフィルムの一方の離型シートを剥がした後、貼り合わせ装置(HAL-650S;三共(株)製)を用いて、むき出しになった接着層が第一の蛍光体層に接触するように貼り付け、第一の蛍光体層上に接着層と他方の離型シートを積層した。
【0057】
第一の蛍光体層端部側面の全周に前記被覆液1を塗布し、乾燥することにより、第一の蛍光体層の外周部側面に被覆層を形成し、離型シート付きシンチレータパネルを作製した。
【0058】
そして、プレス裁断機(MP-600SL;曙機械工業(株)製)と刃先角度が30°のトムソン刃を用いて、シンチレータパネルの基材面から離型シート面に向かって刃入れし、100mm×100mmの方形に裁断した。前述の方法により被覆層表面と、蛍光体層と接する側の基板表面との成す角度を測定したところ、105°であった。
【0059】
得られた離型シート付きシンチレータパネルについて評価した結果を表1に示す。前述の方法により蛍光体層の空隙率を測定したところ、蛍光体層内部は15%、蛍光体層端部は5%であった。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。シンチレータパネルの輝度および画像鮮鋭度も良好であった。
【0060】
(実施例2)
前記蛍光体ペースト1にかえて蛍光体ペースト2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。第一の蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量は5体積部であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は105であり良好であった。相対画像鮮鋭度は94であり、90を上回っておりFPDとしての特性を満たしていた。
【0061】
(実施例3)
前記蛍光体ペースト1にかえて蛍光体ペースト3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。第一の蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量は18体積部であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は93であり、90を上回っておりFPDとしての特性を満たしていた。相対画像鮮鋭度は107であり良好であった。
【0062】
(実施例4)
200mm×200mmの白色PETフィルム基板上に、前記蛍光体ペースト5を、ダイコーターを用いて、乾燥後の蛍光体層厚みが40μmになるように塗布した。その上に、前記蛍光体ペースト1を、ダイコーターを用いて、乾燥後の蛍光体層厚みが180μmになるように塗布した。そして、80℃の熱風乾燥炉で4時間乾燥することにより、第一の蛍光体層および第二の蛍光体層を形成した。第一の蛍光体層および第二の蛍光体層における蛍光体の合計含有量100体積部に対するバインダー樹脂の合計含有量は10体積部であった。その後、実施例1と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は95であり、90を上回っておりFPDとしての特性を満たしていた。相対画像鮮鋭度は115であり良好であった。
【0063】
(実施例5)
前記蛍光体ペースト5にかえて蛍光体ペースト6を、ペースト1にかえて蛍光体ペースト2を用いたこと以外は実施例4と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。第一の蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量は5体積部であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は106、相対画像鮮鋭度は104であり良好であった。
【0064】
(実施例6)
前記蛍光体ペースト5にかえて蛍光体ペースト7を、ペースト1にかえて蛍光体ペースト3を用いたこと以外は実施例4と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。第一の蛍光体層における蛍光体の含有量100体積部に対するバインダー樹脂の含有量は18体積部であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は96であり、90を上回っておりFPDとしての特性を満たしていた。相対画像鮮鋭度は117であり良好であった。
【0065】
(実施例7)
接着層および離型シートを積層しなかったこと以外は実施例1と同様の方法によりシンチレータパネルを得た。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入はいずれも認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は100であり良好であった。相対画像鮮鋭度は97であり、90を上回っておりFPDとしての特性を満たしていた。
【0066】
(実施例8)
前記被覆液1にかえてシリコーン樹脂(KE-45;信越化学工業(株)製)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所以上10箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生は認められなかったが、被覆層起因の気泡混入が発生した。相対輝度および相対画像鮮鋭度は100であり良好であった。
【0067】
(比較例1)
被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の方法によりシンチレータパネルを得た。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中10箇所以上であり不良であった。削れ屑が発生し、光電変換撮像素子基板への貼り付けは不良であった。相対輝度および相対画像鮮鋭度は100であり良好であった。
【0068】
(参考例)
前記蛍光体ペースト1にかえて蛍光体ペースト4を用いたこと、刃先角度が30°のトムソン刃にかえて離型シート面からシンチレータパネルの基材面に向かって刃入れしたこと以外は実施例1と同様の方法により離型シート付きシンチレータパネルを得た。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。蛍光体層厚みは、蛍光体層端部よりも蛍光体層内部の方が薄く、蛍光体層の空隙率は、蛍光体層内部は11%、蛍光体層端部は2%であった。シンチレータパネルの蛍光体層の膜剥がれは方形の角部200箇所中4箇所未満であり良好であった。削れ屑の発生、被覆層起因の気泡混入は認められず、光電変換撮像素子基板への貼り付けは良好であった。相対輝度は88であり90を下回っており不良であった。相対画像鮮鋭度は109であり良好であった。
【0069】
【表1】
【符号の説明】
【0070】
1 放射線画像検出装置
2 シンチレータパネル
3 光電変換撮像素子基板
4 基板
5 蛍光体層
6 離型シート
7 接着層
8 被覆層
9 光電変換層
10 出力層
11 基板
12 蛍光体層の端部
13 蛍光体層の内部
14 被覆層表面
図1
図2
図3