(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ジブ引込装置およびジブ引込方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20220726BHJP
B66C 23/70 20060101ALI20220726BHJP
B66C 23/42 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B66C23/26 E
B66C23/70 C
B66C23/42 B
(21)【出願番号】P 2018009126
(22)【出願日】2018-01-23
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2017119020
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中司 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮 英司
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-192271(JP,A)
【文献】特開昭59-057890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
B66C 23/70
B66C 23/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
前記ブームに起伏自在に取り付けられるジブと、
前記ブームに取り付けられ、ブーム幅方向の回転軸を中心に回転自在である引込用シーブと、
前記引込用シーブに掛けられ、前記ジブに設けられる引込用ロープ取付部に取り付けられる引込用ロープと、
上下方向に対して前側に前記ブームが傾斜するとともに前記ジブが垂下した姿勢であるブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、前記引込用ロープに張力を付与する引込用張力付与部と、
ブーム軸方向に移動自在に前記ブームに取り付けられ、前記引込用シーブの回転軸を支持する可動部と、
を備
え、
前記前側は、前記ブームが起こされた姿勢かつ前記ジブが垂下した姿勢のときに、前記ブームから前記ジブに向かう側である、
ジブ引込装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のジブ引込装置であって、
前記可動部に取り付けられ、前記可動部をブーム軸方向に移動させる引上用ロープを備える、
ジブ引込装置。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のジブ引込装置を用いたジブ引込方法であって、
前記ブームに対して前記ジブが起こされた姿勢である作業姿勢のときの前記可動部の位置は、前記ブームおよび前記ジブがブーム傾斜ジブ垂下姿勢とされるとともに前記ジブが前記ブーム側に引き込まれるときの前記可動部の位置よりもブーム先端側である、
ジブ引込方法。
【請求項4】
ブームと、
前記ブームに起伏自在に取り付けられるジブと、
前記ブームに取り付けられ、ブーム幅方向の回転軸を中心に回転自在である引込用シーブと、
前記引込用シーブに掛けられ、前記ジブに設けられる引込用ロープ取付部に取り付けられる引込用ロープと、
上下方向に対して前側に前記ブームが傾斜するとともに前記ジブが垂下した姿勢であるブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、前記引込用ロープに張力を付与する引込用張力付与部と、
を備
え、
前記引込用ロープ取付部は、ジブ軸方向に移動自在に前記ジブに取り付けられ、
前記前側は、前記ブームが起こされた姿勢かつ前記ジブが垂下した姿勢のときに、前記ブームから前記ジブに向かう側である、
ジブ引込装置。
【請求項5】
請求項
4に記載のジブ引込装置であって、
前記引込用ロープ取付部は、重力および前記引込用ロープの張力の少なくともいずれかにより、ジブ軸方向に移動自在である、
ジブ引込装置。
【請求項6】
請求項
4または5に記載のジブ引込装置を用いたジブ引込方法であって、
前記ブームに対して前記ジブが起こされた姿勢である作業姿勢のときの前記引込用ロープ取付部の位置は、前記ブームおよび前記ジブがブーム傾斜ジブ垂下姿勢とされるとともに前記ジブが前記ブーム側に引き込まれるときの前記引込用ロープ取付部の位置よりもジブ基端側である、
ジブ引込方法。
【請求項7】
請求項1
、2、4、および5のいずれか1項に記載のジブ引込装置であって、
前記引込用ロープのうち、前記引込用シーブから前記引込用ロープ取付部までの部分は、前記ブームおよび前記ジブがブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、直線状に配置可能である、
ジブ引込装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブをブーム側に引き込む、ジブ引込装置およびジブ引込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来の技術が記載されている。特許文献1の
図1に記載のクレーンは、ブームと、ブームに起伏自在に取り付けられたジブと、を備えている。このクレーンでは、ブームに対してジブが起こされた状態(作業姿勢)から、ブームの中心軸とジブの中心軸とが平行または略平行となるようにジブがブーム側に近づけられた姿勢(内抱き姿勢)に変えられる。この内抱き姿勢で、ブームおよびジブが地面に降ろされ、ジブに関する作業(例えば分解など)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、ジブを作業姿勢から内抱き姿勢にするには、ブームを地面に対して垂直にする必要がある。しかし、ブームを地面に対して垂直にし、ジブを内抱き姿勢にした状態は、見た目が不安定である。そのため、上下方向に対して前側にブームが傾斜した状態で、垂下したジブを、ブーム側に引き込むことが望まれている。また、ジブをブーム側に引き込む装置が、簡易な構成であることが望まれている。
【0005】
そこで本発明は、上下方向に対して前側にブームが傾斜するとともにジブが垂下した姿勢から、ジブをブーム側に引き込むことができ、そのための装置を簡易に構成できる、ジブ引込装置およびジブ引込方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のジブ引込装置は、ブームと、ジブと、引込用シーブと、引込用ロープと、引込用張力付与部と、を備える。前記ジブは、前記ブームに起伏自在に取り付けられる。前記引込用シーブは、前記ブームに取り付けられ、ブーム幅方向の回転軸を中心に回転自在である。前記引込用ロープは、前記引込用シーブに掛けられ、前記ジブに設けられる引込用ロープ取付部に取り付けられる。前記引込用張力付与部は、上下方向に対して前側に前記ブームが傾斜するとともに前記ジブが垂下した姿勢であるブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、前記引込用ロープに張力を付与する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、上下方向に対して前側にブームが傾斜するとともにジブが垂下した姿勢から、ジブをブーム側に引き込むことができ、そのための装置を簡易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示すブーム30を傾斜させ、ジブ40を垂下させた状態のクレーンを横から見た図である。
【
図5】
図4に示すフレーム部50などを示す図であり、
図4に示す状態よりも可動部53が上側に配置された状態を示す図である。
【
図6】
図2に示すブーム30が接地した状態を示す
図2相当図である。
【
図7】
図6に示すブーム30が起こされ、ジブ40が地面に置かれた状態を示す
図6相当図である。
【
図8】
図7に示すストラット17aが接地した状態を示す
図7相当図である。
【
図9】
図8に示すジブ基端部40fが引き上げられた状態を示す
図8相当図である。
【
図10】
図9に示すジブ先端部40tが引き上げられた状態を示す
図9相当図である。
【
図11】
図2に示すジブ40がブーム30側に引き込まれた状態を示す
図2相当図である。
【
図12】
図1に示す可動部53が、
図1に示す状態よりも下側に配置された状態を示す
図1相当図である。
【
図16】
図15に示すジブ40が引き上げられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図12を参照して第1実施形態のクレーン1について説明する。
【0010】
クレーン1は、
図1に示すように、建設作業などに用いられる建設機械である。クレーン1は、移動式でもよく、固定式でもよい。例えば、クレーン1は、タワークレーンでもよく、ラッフィングクレーンでもよい。クレーン1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、ブーム起伏装置15と、ジブ起伏装置17と、ジブ引込装置20と、保持装置90と、を備える。
【0011】
下部走行体11は、クレーン1を走行させる部分である。下部走行体11は、クローラ式でもよく、ホイール式でもよい。下部走行体11は、設けられなくてもよい。
【0012】
上部旋回体13は、下部走行体11に対して旋回可能であり、下部走行体11よりも上側Z1に配置される。上部旋回体13は、キャブ13aと、ウエイト13bと、を備える。上部旋回体13の長手方向かつ水平方向を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、ウエイト13bからキャブ13aに向かう側を前側X1とし、その逆側を後側X2とする。前後方向Xおよび上下方向Z(鉛直方向)に直交する方向を、横方向Y(ブーム30幅方向、ジブ40幅方向)とする。上下方向Zには、上側Z1と、下側Z2と、がある。
【0013】
ブーム起伏装置15は、上部旋回体13に対してブーム30を起伏させる。ブーム起伏装置15は、ガントリ15aと、ブーム起伏ロープ15bと、ブームガイライン15cと、を備える。ガントリ15aは、上部旋回体13に取り付けられ、ブーム30よりも後側X2に配置される。ブーム起伏ロープ15bおよびブームガイライン15cは、ガントリ15aの先端部とブーム30の先端部とにつながれる。図示しないウインチがブーム起伏ロープ15bを巻き取りおよび繰り出しすることで、ブーム30が、上部旋回体13に対して起伏する。
【0014】
ジブ起伏装置17は、ブーム30に対してジブ40を起伏させる。ジブ起伏装置17は、ストラット17aと、ジブ起伏ロープ17bと、ジブガイライン17c・17dと、ジブ起伏用ウインチ17eと、を備える。ストラット17aは、ブーム30の先端部に回転自在に取り付けられる。ジブ起伏ロープ17bおよびジブガイライン17cは、ジブ起伏用ウインチ17eとストラット17aとにつながれる。ジブガイライン17dは、ストラット17aとジブ40の先端部とにつながれる。ジブ起伏用ウインチ17eがジブ起伏ロープ17bを巻き取りおよび繰り出しすることで、ジブ40が、ブーム30に対して起伏する。
【0015】
ジブ引込装置20は、
図2に示すように、垂下した姿勢のジブ40をブーム30側に引き込む装置であり、ジブ40を内抱き姿勢にする装置(内抱き機構)である。ジブ引込装置20は、ブーム30と、ジブ40と、
図4に示すフレーム部50と、引込部60と、引上部70と、を備える。
【0016】
ブーム30は、
図2に示すように、上部旋回体13に起伏自在に取り付けられ、上部旋回体13に対して横方向Yの回転軸を中心に回転する。ブーム30の長手方向に延びるブーム30の中心軸を、ブーム中心軸30aとする。ブーム中心軸30aの方向を、ブーム30軸方向とする。ブーム30軸方向におけるブーム30の両端のうち、上部旋回体13に取り付けられる側の端部をブーム基端部30fとし、ブーム基端部30fとは反対側の端部をブーム先端部30tとする。「端部」は、端およびその近傍の部分を意味する(以下同様)。ブーム30軸方向において、ブーム先端部30t側をブーム30先端側とし、ブーム基端部30f側をブーム30基端側とする。ブーム中心軸30aを水平方向としたときにブーム30の上面(上側Z1の面)となる面をブーム背面30bとし、ブーム30の下面(下側Z2の面)となる面をブーム腹面30vとする。ブーム30の横方向Y外側の面を、ブーム側面30sとする。
【0017】
このブーム30は、ラチス構造を有するラチスブームである。ブーム30は、複数のパイプにより構成される。ブーム30を構成するパイプには、ブーム主柱30p1と、ブーム縦横材30p3と、ブーム斜材30p5と、がある。ブーム主柱30p1は、ブーム30軸方向に延び、ブーム30軸方向から見たブーム30の角の部分に配置される。ブーム縦横材30p3は、ブーム主柱30p1どうしを連結し、ブーム30軸方向に直交する方向に延びる。ブーム斜材30p5は、ブーム主柱30p1どうしを連結し、ブーム30軸方向に対して傾斜する方向に延びる。なお、
図2などでは、ブーム30を構成するパイプの一部にのみ符号を付した。ブーム30は、複数の部品がブーム30軸方向に連結されたものである。ブーム30を構成する部品には、下部ブーム31と、中間ブーム33と、上部ブーム35と、がある。
【0018】
下部ブーム31は、上部旋回体13に取り付けられ、ブーム基端部30fを含む。中間ブーム33は、下部ブーム31の先端側(ブーム30先端側)に連結される。上部ブーム35は、中間ブーム33の先端側に連結され、ブーム先端部30tを含む。
【0019】
ジブ40は、ブーム30に起伏自在に取り付けられ、ブーム30に対して横方向Yの回転軸を中心に回転する。ジブ40は、ブーム30とほぼ同様に構成される。ジブ40の長手方向に延びるジブ40の中心軸を、ジブ中心軸40aとする。ジブ中心軸40aの方向を、ジブ40軸方向とする。ジブ40の長手方向におけるジブ40の両端のうち、ブーム30に取り付けられる側の端部をジブ基端部40fとし、ジブ基端部40fとは逆側の端部をジブ先端部40tとする。ジブ40軸方向において、ジブ先端部40t側をジブ40先端側とし、ジブ基端部40f側をジブ40基端側とする。
図1に示すようにクレーン1が作業姿勢のときに、ジブ40の上面となる面をジブ背面40bとし、ジブ40の下面となる面をジブ腹面40vとする。ジブ40の横方向Y外側の面を、ジブ側面40sとする。
図2に示すように、ジブ40は、ブーム30よりも小さい。ジブ40軸方向におけるジブ40の長さは、ブーム30のブーム30軸方向における長さよりも短い。ジブ40の横方向Yの幅は、ブーム30の横方向Yの幅よりも狭い。
【0020】
このジブ40は、ラチス構造を有するラチスジブである。ブーム30と同様に、ジブ40を構成するパイプには、ジブ主柱40p1と、ジブ縦横材40p3と、ジブ斜材40p5と、がある。なお、
図2などでは、ジブ40を構成するパイプの一部にのみ符号を付した。ジブ40は、複数の部品がジブ40軸方向に連結されたものである。ジブ40を構成する部品には、下部ジブ41と、先端側ジブ42(中間ジブ43および上部ジブ45)と、がある。また、ジブ40には、引込用ロープ取付部47(
図4参照)が設けられる。
【0021】
下部ジブ41は、ブーム先端部30tに取り付けられ、ジブ基端部40fを含む。先端側ジブ42は、下部ジブ41のジブ40先端側に連結される部分である。先端側ジブ42は、中間ジブ43と、上部ジブ45と、を備える。中間ジブ43は、下部ジブ41の先端側に連結される。上部ジブ45は、中間ジブ43の先端側に連結され、ジブ先端部40tを含む。
【0022】
引込用ロープ取付部47は、
図4に示すように、引込用ロープ63(後述)が取り付けられる部分である。引込用ロープ取付部47は、引込用ロープ63の張力がジブ40に伝わるように構成される。引込用ロープ取付部47は、ジブ40に設けられる。例えば、引込用ロープ取付部47は、ジブ40と一体(ジブ40の一部)でもよく、ジブ40に対して固定されてもよく、ジブ40を構成するパイプなどでもよい。例えば、引込用ロープ取付部47は、ジブ40に取り付けられる物でもよい(第4実施形態の引込用ロープ取付部447を参照)。引込用ロープ取付部47の位置については後述する。
【0023】
(作業姿勢)
ブーム30およびジブ40は(クレーン1は)、
図1に示すように、作業姿勢になることが可能である。この姿勢では、ブーム30に対してジブ40が起こされた状態である。この姿勢では、ジブ先端部40tが、ジブ基端部40fよりも上側Z1に配置される。この姿勢では、水平方向とブーム30軸方向とが成す角度(ブーム30の起伏角度)は、90°でもよく、90°未満でもよい。
【0024】
(ブーム傾斜ジブ垂下姿勢)
ブーム30およびジブ40は、
図2に示すように、ブーム傾斜ジブ垂下姿勢になることが可能である。ブーム傾斜ジブ垂下姿勢は、ブーム30が上下方向Zに対して前側X1に傾斜するとともに、ジブ40が垂下した姿勢である。この姿勢では、ブーム30の起伏角度は、90°未満である。この姿勢では、ジブ40軸方向は、上下方向Zと一致する、またはほぼ一致する。以下では、特に断らない限り、ブーム30およびジブ40が、ブーム傾斜ジブ垂下姿勢である場合について説明する。
【0025】
フレーム部50は、
図4に示すように、ブーム30に取り付けられる構造物である。フレーム部50は、ブーム30に対して引込部60の少なくとも一部を支持する部分である。フレーム部50は、ブーム30に対して引上部70の少なくとも一部を支持する部分である。フレーム部50は、固定部51と、可動部53と、を備える。
【0026】
このフレーム部50は、例えば次のように配置される。
図4に示す例では、フレーム部50は、ブーム腹面30vに取り付けられ、ブーム腹面30vからジブ40側に突出する。フレーム部50は、
図4に示す例ではブーム30の外側に配置される。フレーム部50は、ブーム30の内側に配置されてもよく、ブーム30の外側および内側に配置されてもよい。フレーム部50は、ブーム腹面30vよりもブーム背面30b側に配置されてもよい。フレーム部50は、ブーム腹面30vとブーム背面30bとの間に配置されてもよい。フレーム部50は、ブーム背面30bに取り付けられてもよい。フレーム部50は、ブーム側面30sよりも横方向Y内側に配置されてもよく、例えば横方向Yにおけるブーム30の中央部などに配置されてもよい。フレーム部50は、ブーム側面30sに取り付けられてもよく、ブーム側面30sよりも横方向Y外側に配置されてもよい。
【0027】
固定部51は、ブーム30に固定される。固定部51の位置がジブ40に近いほど、引込用ロープ63の連結部分63a(後述)を短くできる。例えば、固定部51は、ブーム腹面30vに固定される。固定部51は、ブーム30を構成するパイプに固定されてもよく、ブーム30を構成するパイプに固定された部材など(板など)に固定されてもよい。固定部51は、
図5に示すように、基端側固定部51aと、先端側固定部51bと、ガイド部51cと、を備える。
【0028】
基端側固定部51aは、固定部51のうち、ブーム30基端側(下側Z2)の部分を構成する。基端側固定部51aは、基端側固定部凹部51a1と、基端側固定部傾斜部51a2と、を備える。基端側固定部凹部51a1は、基端側突起部53b(後述)が差し込まれる部分であり、ブーム30軸方向に凹んだ形状を有し、ブーム30基端側に凹んだ形状を有する。基端側固定部傾斜部51a2は、基端側突起部53bをガイドする部分である。基端側固定部傾斜部51a2は、ブーム30軸方向に対して傾斜し、基端側固定部凹部51a1に向かうように延びる。基端側固定部傾斜部51a2は、可動部53がブーム30基端側に移動したとき、基端側突起部53bが基端側固定部凹部51a1に容易に差し込まれるように形成される。
【0029】
先端側固定部51bは、固定部51のうち、ブーム30先端側(上側Z1)の部分を構成する。先端側固定部51bは、先端側固定部凹部51b1と、先端側固定部傾斜部51b2と、を備える。先端側固定部凹部51b1は、先端側突起部53c(後述)が差し込まれる部分であり、ブーム30軸方向に凹んだ形状を有し、ブーム30先端側に凹んだ形状を有する。先端側固定部傾斜部51b2は、先端側突起部53cをガイドする部分である。先端側固定部傾斜部51b2は、ブーム30軸方向に対して傾斜し、先端側固定部凹部51b1に向かうように延びる。先端側固定部傾斜部51b2は、可動部53がブーム30先端側に移動したとき、先端側突起部53cが先端側固定部凹部51b1に容易に差し込まれるように形成される。
【0030】
ガイド部51cは、
図4に示すように、可動部53をガイドする。ガイド部51cは、可動部53のジブ40側への移動を規制する。例えば、
図5に示す基端側突起部53bおよび先端側突起部53cがガイド部51cに接触することで、
図4に示す可動部53のジブ40側への移動が規制される。ガイド部51cは、基端側固定部51aと先端側固定部51bとにつながれる。ガイド部51cは、基端側固定部51aおよび先端側固定部51bのそれぞれに固定され、例えばボルトなどの締結部材(図示なし)などにより固定される。ガイド部51cは、棒状であり、ブーム30軸方向に延びる。例えば、ガイド部51cは、可動部53の可動部本体53aを横方向Yから挟むように構成される。なお、可動部53の、ジブ40側とは反対側(後側X2)への移動は、例えばブーム腹面30vに設けられた部材などによって規制されてもよく、規制されなくてもよい。
【0031】
可動部53は、
図5に示すように、引込用シーブ61(後述)の回転軸を支持する。可動部53は、第3引上用シーブ71c(後述)の回転軸を支持する。可動部53は、ブーム30軸方向に移動自在である。可動部53は、固定部51を介してブーム30に取り付けられる。可動部53は、可動部本体53aと、基端側突起部53b(突起部)と、先端側突起部53c(突起部)と、を備える。可動部本体53aは、引込用シーブ61を挟む2枚の板状部材などを備える。突起部(基端側突起部53b、先端側突起部53c)は、可動部本体53aに対して横方向Yに突出する。基端側突起部53bは、引込用シーブ61の回転軸の位置に配置される。先端側突起部53cは、第3引上用シーブ71cの回転軸の位置に配置される。
【0032】
引込部60は、ジブ40(
図4参照)をブーム30側に引き込む。引込部60は、引込用シーブ61と、引込用ロープ63と、引込用ウインチ65(引込用張力付与部)(
図2参照)と、を備える。
【0033】
引込用シーブ61は、引込用ロープ63の延びる方向を変える滑車である。引込用シーブ61は、横方向Yの回転軸を中心に回転自在である。引込用シーブ61は、ブーム30に取り付けられる。引込用シーブ61は、フレーム部50を介してブーム30に取り付けられる。引込用シーブ61は、可動部53に回転自在に取り付けられる。引込用シーブ61の配置は、フレーム部50と同様に、様々に設定され得る。
【0034】
引込用ロープ63は、
図2に示すように、引込用ウインチ65により、巻き取りおよび繰り出しされる。引込用ロープ63は、引込用ウインチ65から、ブーム30軸方向に延び、上側Z1に延びる。引込用ロープ63は、ブーム30よりも外側に配置されてもよく、ブーム30の内側に配置されてもよい。
図2に示す例では、引込用ロープ63は、ブーム腹面30vよりもジブ40側に配置される。引込用ロープ63は、ブーム腹面30vよりもブーム背面30b側に配置されてもよい。引込用ロープ63は、ブーム側面30sよりも横方向Y内側に配置されてもよく、ブーム側面30sよりも横方向Y外側に配置されてもよい(
図14参照)。
図4に示すように、引込用ロープ63は、引込用シーブ61に掛けられる。引込用ロープ63は、引込用シーブ61と、第3引上用シーブ71c(後述)と、可動部本体53a(例えば2枚の板状部材)と、に囲まれた空間に通される。引込用ロープ63は、引込用シーブ61から、前側X1に延び、ジブ40側に延びる。
【0035】
この引込用ロープ63は、ジブ40の引込用ロープ取付部47に取り付けられる。引込用ロープ63は、例えば金具などの部材(引込用ロープ取付部材)を介して引込用ロープ取付部47に取り付けられてもよく、直接的に引込用ロープ取付部47に取り付けられてもよい。引込用ロープ63のうち、引込用シーブ61から引込用ロープ取付部47までの部分を、連結部分63aとする。引込用ロープ63のジブ40への取付位置(引込用ロープ取付部47の位置)が、ブーム30に近いほど、連結部分63aを短くできる。例えば、引込用ロープ取付部47は、ジブ腹面40vに配置される(引込用ロープ63は、ジブ腹面40vに取り付けられる)。引込用ロープ取付部47は、ジブ腹面40vよりもジブ背面40b側に配置されてもよく、ジブ腹面40vとジブ背面40bとの間に配置されてもよく、ジブ背面40bに配置されてもよい。引込用ロープ取付部47は、下部ジブ41に配置され、
図2に示す先端側ジブ42(中間ジブ43および上部ジブ45の少なくともいずれか)に配置されてもよい。
図4に示す引込用ロープ取付部47は、ジブ側面40sよりも横方向Y内側に配置されてもよく、例えばジブ40の横方向Yにおける中央に配置されてもよい。例えば、引込用ロープ取付部47は、ジブ側面40sに配置されてもよく、ジブ側面40sよりも横方向Y外側に配置されてもよい。引込用ロープ取付部47は、ジブ40を構成するパイプに配置されてもよく、ジブ40を構成するパイプに固定された部材などに配置されてもよい。すなわち、引込用ロープ63は、ジブ40を構成するパイプに取り付けられてもよく、ジブ40を構成するパイプに固定された部材などに取り付けられてもよい。
【0036】
この引込用ロープ63に張力が作用したとき、連結部分63aは、直線状に配置される。すなわち、連結部分63aにはシーブがかけられない。さらに詳しくは、引込用ロープ63のうち、引込用シーブ61よりも引込用ロープ取付部47側、かつ、引込用ロープ取付部47よりも引込用シーブ61側の部分には、シーブが掛けられない。
【0037】
引込用ウインチ65(引込用張力付与部)は、
図2に示すように、引込用ロープ63に張力を付与する。引込用ウインチ65は、引込用ロープ63の巻き取りおよび繰り出しをする。引込用ウインチ65は、ブーム30に取り付けられ、例えば下部ブーム31に取り付けられる。引込用ウインチ65は、上部旋回体13に取り付けられてもよい。引込用ウインチ65が上部旋回体13に取り付けられる場合、ブーム30が起伏すると、引込用ロープ63がブーム30軸方向に移動し、引込用ロープ63が引っ張られる(張力が発生する)、または、引込用ロープ63がたるむ。そのため、ブーム30の起伏と同時に、引込用ウインチ65の調整(引込用ウインチ65による引込用ロープ63の巻き取りまたは繰り出しなど)を行う必要がある。一方、引込用ウインチ65がブーム30に取り付けられる場合は、ブーム30が起伏することによる引込用ウインチ65の調整は不要である。一方、ジブ40が起伏することによる引込用ウインチ65の調整は行われる(後述)。
【0038】
引上部70は、
図5に示すように、可動部53をブーム30軸方向に移動させる。引上部70は、引込用シーブ61をブーム30軸方向に移動させる。引上部70は、引込用シーブ61の、引き上げ(ジブ40先端側への移動)、および、引き下げ(ジブ40基端側への移動)を行う。引上部70は、例えばロープ(引上用ロープ73)を用いたものなどである。引上部70は、引上用シーブ71と、引上用ロープ73と、引上用ウインチ75(
図2参照)と、を備える。
【0039】
引上用シーブ71は、引上用ロープ73の延びる方向を変える滑車である。引上用シーブ71は、横方向Yの回転軸を中心に回転自在である。引上用シーブ71は、ブーム30に回転自在に取り付けられる。引上用シーブ71の配置は、フレーム部50と同様に、様々に設定され得る。引上用シーブ71は、例えば複数設けられ、例えば3つ設けられる。引上用シーブ71は、第1引上用シーブ71aと、第2引上用シーブ71bと、第3引上用シーブ71cと、を備える。第1引上用シーブ71aは、先端側固定部51bよりもブーム背面30b(
図4参照)側に配置され、ブーム30に回転自在に取り付けられる。第2引上用シーブ71bは、先端側固定部51bに回転自在に取り付けられる。第3引上用シーブ71cは、可動部53に回転自在に取り付けられる。
【0040】
引上用ロープ73は、可動部53に取り付けられ、可動部53をブーム30軸方向に移動させる。引上用ロープ73は、引上用シーブ71に掛けられる。
図2に示すように、引上用ロープ73は、引上用ウインチ75により、巻き取りおよび繰り出しされる。引上用ロープ73は、引上用ウインチ75からブーム30軸方向に延び、上側Z1に延びる。引上用ロープ73は、引込用ロープ63と同様に、ブーム30の内側に配置されてもよく、ブーム30よりも外側に配置されてもよい。
図5に示すように、引上用ロープ73は、第1引上用シーブ71aに掛けられ、第1引上用シーブ71aから前側X1(
図4に示すジブ40側)に延びる。
図5に示す引上用ロープ73は、第2引上用シーブ71bに掛けられ、第2引上用シーブ71bから下側Z2に延びる。引上用ロープ73は、第3引上用シーブ71cに掛けられ、第3引上用シーブ71cから上側Z1に延びる。引上用ロープ73の例えば先端部は、フレーム部50に固定され、例えば固定部51に固定され、例えば先端側固定部51bに固定される。なお、引上用ロープ73の例えば先端部は、可動部53に固定されてもよい。また、
図3および
図4では、引上用ロープ73自体は図示せず、引上用ロープ73の中心軸を図示した。
【0041】
引上用ウインチ75は、
図2に示すように、引上用ロープ73に張力を付与する(引上用張力付与部)。引上用ウインチ75は、引上用ロープ73の巻き取りおよび繰り出しをする。引上用ウインチ75は、引込用ウインチ65と同様に、ブーム30に取り付けられ、例えば下部ブーム31に取り付けられ、上部旋回体13に取り付けられてもよい。
【0042】
保持装置90は、ブーム30に対してジブ40を内抱き姿勢(
図11参照)で保持する装置である。内抱き姿勢は、ブーム中心軸30aとジブ中心軸40aとが平行または略平行となるようにジブ40がブーム30側に近づけられた姿勢である。保持装置90は、ジブ40に取り付けられるジブ側部材90aと、ブーム30に取り付けられるブーム側部材90bと、を備える。保持装置90は、ジブ側部材90aとブーム側部材90bとが互いに引っ掛かり合うことで、ブーム30に対してジブ40を内抱き姿勢で保持する装置(ラッチ装置)である。例えば、保持装置90から離れた位置での操作により、ジブ側部材90aとブーム側部材90bとの引っ掛けが解除可能となるように、保持装置90が構成される。例えば、引っ掛けを解除するための部材(例えば図示しないロープやリンク部材など)が操作されると、引っ掛けが解除されるように、保持装置90が構成される。
【0043】
(ジブ40の張出)
クレーン1の状態を、ブーム30にジブ40が取り付けられていない状態(
図6参照)から、作業姿勢(
図1参照)に変える作業は、次のように行われる。以下では、作業の手順に沿って説明する。なお、作業の手順は、ジブ40の張出が成立する範囲内で変更されてもよい。
【0044】
図6に示す状態では、ブーム30が上部旋回体13に取り付けられた状態である。ブーム中心軸30aは、水平方向または略水平方向である。ブーム先端部30tは、接地している。ストラット17aは、ブーム先端部30tに取り付けられている。
【0045】
引込用ロープ63が、引込用ウインチ65から繰り出され、引込用シーブ61に掛けられる。このとき、引込用ロープ63が、引込用シーブ61に対して十分に(余分に)引き出される。また、引上用ロープ73が、引上用ウインチ75から繰り出される。そして、
図4に示すように、引上用ロープ73が、引上用シーブ71に掛けられ、フレーム部50に(例えば先端側固定部51bに)固定される。
【0046】
次に、
図7に示すように、ブーム30の下側Z2(真下)にジブ40を置ける程度に、ブーム30が起こされる。このときのブーム30の起伏角度は、
図7に示す例では約10°であり、約20°などでもよい。このとき、引込用ロープ63が、引込用シーブ61から垂れ下がる。例えば、引込用ロープ63の一部がジブ40に達する程度に、引込用ロープ63が、引込用シーブ61から長く垂れ下がる。ブーム30が起こされるとき、引込用ロープ63のうちブーム30に沿って配置されている部分が、引込用ロープ63の自重により、落ちる(下がる、たるむ)場合がある。すると、引込用シーブ61から垂れ下がる引込用ロープ63が、引込用シーブ61よりも引込用ウインチ65(
図6参照)側に巻き込まれる(引き込まれる)場合がある。そこで、ブーム30が起こされるとき、引込用ロープ63の一部(例えば先端部など)が、どこか(例えばジブ40など)に固定されていることが好ましい。次に、ジブ40が組み立てられ、ジブ40がブーム30の下側Z2(真下)に置かれる。
【0047】
次に、
図8に示すように、ブーム30が伏せられる(地面に降ろされる)。すると、ストラット17aが接地する。次に、引込用ロープ63が、ジブ40の引込用ロープ取付部47に取り付けられる。
【0048】
次に、
図9に示すように、ジブ基端部40fが上側Z1に移動するように、ジブ40が、補助クレーンにより引き上げられる。補助クレーンは、クレーン1を組み立てるための(または分解するための)クレーンである。このとき、補助クレーンを用いることに代えてまたは加えて、引込用ロープ63を用いて、ジブ40が引き上げられてもよい。そして、ジブ基端部40fが、ブーム先端部30tに取り付けられる。
【0049】
引込用ロープ63が、引込用ウインチ65により巻き取られる。引込用ロープ63が、引込用シーブ61に対して引き込まれる。
【0050】
次に、
図10に示すように、ジブ先端部40tが上側Z1に移動するように、ジブ40が、補助クレーンにより引き上げられる。すると、ジブ40が、内抱き姿勢になる。また、保持装置90のブーム側部材90bが、ブーム30に取り付けられる。このとき、ジブ側部材90aとブーム側部材90bとが互いに引っ掛けられた状態である。保持装置90の引っ掛けを解除するための部材(例えば図示しないロープやリンク部材など)が、ブーム側部材90bに取り付けられる。
【0051】
次に、
図11に示すように、ブーム30が、上下方向Zに対して前側X1に傾斜するように(傾斜姿勢となるように)起こされる。ブーム30の起伏角度が90°未満とされる。
図11に示す例では、ブーム30の起伏角度は80°である。
図11に示す状態では、
図4に示す可動部53は、可動部53の可動範囲のうち最もブーム30基端側(下側Z2)の位置に配置されている。このとき、基端側突起部53bは、基端側固定部凹部51a1に差し込まれている。
【0052】
次に、
図11に示すブーム30に対するジブ40の保持が、次のように解除される。保持装置90による引っ掛けが解除される。また、引込用ウインチ65が引込用ロープ63を繰り出すことで、引込用ロープ63が緩められる。この際、ジブ40が前側X1に急激に振り出されることを抑制することが好ましい。そのために、保持装置90による引っ掛けが解除された後、引込用ウインチ65が、引込用ロープ63に張力を作用させながら、徐々に引込用ロープ63を繰り出す。これにより、ジブ40が前側X1に徐々に振り出される。
【0053】
すると、
図2に示すように、ジブ40が、垂下姿勢になる。その結果、ブーム30およびジブ40が、ブーム傾斜ジブ垂下姿勢になる。引込用ウインチ65が、引込用ロープ63をさらに繰り出し、引込用ロープ63を緩める(フリーにする)。このとき、
図4において二点鎖線で示すように、連結部分63aが垂れ下がる程度に、引込用ロープ63の張力が緩められる。
【0054】
次に、
図12に示すように、ジブ40が引き起こされる。そして、クレーン1が、クレーン作業(ジブ40で吊荷を吊り上げる作業など)を行える状態(作業姿勢)となる。
【0055】
図12に示す状態のとき、引込用ロープ63の連結部分63aは、ブーム30とジブ40との間の領域(ブーム30の前側X1かつジブ40の下側Z2の領域)に配置されている。そのため、引込用シーブ61および引込用ロープ取付部47の位置によっては、引込用ロープ63がクレーン作業の邪魔になる場合がある。
【0056】
そこで、
図3に示すように、引上部70により、引込用シーブ61が引き上げられる。さらに詳しくは、
図12に示す引上用ウインチ75が、引上用ロープ73を巻き取る。すると、
図3に示すように、可動部53が、固定部51に対してブーム30先端側に移動する。このとき、例えば、可動部53が、可動部53の可動範囲のうち最もブーム30先端側(上側Z1)の位置に配置される。このとき、先端側突起部53cが、先端側固定部凹部51b1に差し込まれている。可動部53が上側Z1に移動する結果、引込用シーブ61がブーム30に対して上側Z1に移動する。これにより、連結部分63aが、上部ブーム35およびジブ40に近づく。よって、引込用ロープ63がクレーン作業の邪魔になる事を抑制できる(
図1および
図12参照)。
【0057】
図3に示す引上部70による引込用シーブ61の引き上げは、例えば
図2に示すようにジブ40が垂下姿勢のときに行われてもよい。引込用シーブ61の引き上げは、例えば
図12に示すようにジブ40が引き起こされた状態のときに行われてもよく、ジブ40が引き起こされている最中に行われてもよい。
【0058】
クレーン作業では、
図1に示すブーム30に対してジブ40が起伏する場合がある。すると、引込用シーブ61から引込用ロープ取付部47までの距離が変わる。ジブ40が起こされると、引込用ロープ63が引っ張られ、ジブ40が伏せられると、引込用ロープ63が緩む。そこで、ブーム30およびジブ40が(クレーン1が)作業姿勢のとき、引込用ウインチ65は、引込用ロープ63をわずかに引っ張ることが好ましい。このとき、引込用ウインチ65は、連結部分63aが直線状または略直線状(わずかにたるむ)となる程度に、引込用ロープ63にわずかに張力を作用させる。このとき、引込用ウインチ65は、ジブ40をブーム30側に引き込む際(
図2参照)に引込用ロープ63に作用させる張力よりも小さい張力を、引込用ロープ63に作用させる。
【0059】
(ジブ40の格納)
ジブ40の格納は、基本的には、ジブ40の張出の逆の手順により行われる。以下では、ジブ40の格納のうち、主にジブ40の引き込み(ジブ引込方法)について説明する。
【0060】
図2に示すように、ジブ40が伏せられ、ブーム30およびジブ40がブーム傾斜ジブ垂下姿勢にされる(ジブ40垂下工程)。また、
図4に示すように、引上部70により、引込用シーブ61が下ろされる。このとき、可動部53が、可動部53の可動範囲のうち最もブーム30基端側(下側Z2)の位置に配置される。このとき、例えば、基端側突起部53bが、基端側固定部凹部51a1に差し込まれる。
【0061】
次に(ジブ40垂下工程の後)、引込用ウインチ65(
図2参照)が、引込用ロープ63に張力を付与する。これにより、引込用ロープ63の連結部分63aが、直線状に配置される。このとき、連結部分63aは、ジブ40をブーム30側に引き込むためのモーメントができるだけ大きくなるように配置されることが好ましい。具体的には、連結部分63aは、ジブ40軸方向に対して、略直交する方向に延びることが好ましい。また、引込用シーブ61の上下方向Z位置(上下方向Zにおける位置、高さ位置)は、引込用ロープ取付部47の上下方向Z位置と、略同じであることが好ましい。
【0062】
そして、
図2に示す引込用ウインチ65が、引込用ロープ63を巻き取ることで、ジブ40がブーム30側に引き込まれる(引込工程)。その結果、
図11に示すように、ジブ40が内抱き姿勢になる。このとき、保持装置90のジブ側部材90aとブーム側部材90bとは、自動的に互いに引っ掛けられる。その後、ジブ40およびブーム30が地面に伏せられる(
図10などを参照)。
【0063】
(第1の発明の効果)
図4に示すジブ引込装置20による効果は次の通りである。ジブ引込装置20は、ブーム30と、ジブ40と、引込用シーブ61と、引込用ロープ63と、引込用ウインチ65(引込用張力付与部)(
図2参照)と、を備える。ジブ40は、ブーム30に起伏自在に取り付けられる。
【0064】
[構成1-1]引込用シーブ61は、ブーム30に取り付けられ、ブーム30幅方向(横方向Y)の回転軸を中心に回転自在である。引込用ロープ63は、引込用シーブ61に掛けられ、ジブ40に設けられる引込用ロープ取付部47に取り付けられる。
【0065】
[構成1-2]
図2に示すように、引込用ウインチ65は、上下方向Zに対して前側X1にブーム30が傾斜するとともにジブ40が垂下した姿勢であるブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、引込用ロープ63に張力を付与する。
【0066】
図4に示すジブ引込装置20は、上記[構成1-1]および[構成1-2]を備える。この構成において、ブーム30およびジブ40がブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、引込用ウインチ65(
図2参照)により、引込用ロープ63に張力が付与される。すると、引込用ロープ63の連結部分63aがブーム30側に引っ張られる。すると、引込用ロープ取付部47をブーム30側に近づけることができる。よって、上下方向Zに対して前側X1にブーム30が傾斜するとともにジブ40が垂下した姿勢(
図2参照)から、ジブ40をブーム30側に引き込むことができる。
【0067】
上記[構成1-1]では、ジブ40をブーム30側に引き込むために、引込用シーブ61および引込用ロープ63が用いられる。よって、例えば引込用ロープ63の連結部分63aと同様の位置に、複雑な構造の装置など(例えば伸縮シリンダなど)を配置し、この装置を用いてジブ40をブーム30側に引き込む場合に比べ、ジブ引込装置20を簡易に構成できる。
【0068】
(第2の発明の効果)
[構成2]引込用ロープ63のうち、引込用シーブ61から引込用ロープ取付部47までの部分(連結部分63a)は、ブーム30およびジブ40がブーム傾斜ジブ垂下姿勢のときに、直線状に配置可能である。
【0069】
上記[構成2]により、連結部分63aにシーブが掛けられる場合などに比べ、ジブ引込装置20を簡易に構成できる。
【0070】
(第3の発明の効果)
[構成3]
図5に示すように、ジブ引込装置20は、可動部53を備える。可動部53は、ブーム30軸方向に移動自在にブーム30に取り付けられ、引込用シーブ61の回転軸を支持する。
【0071】
ジブ引込装置20は、上記[構成3]を備える。よって、可動部53をブーム30軸方向に移動させることで、引込用ロープ63の連結部分63aの位置を変えることができる。よって、例えば次の効果が得られる場合がある。
【0072】
上記[構成1]では、
図12に示すように、ブーム30およびジブ40が作業姿勢のとき、ブーム30とジブ40との間の領域に、連結部分63aが配置される場合がある。すると、クレーン作業を行う際に、連結部分63aが、周囲の物と干渉する場合がある。そこで、
図4に示すようにジブ40がブーム30側に引き込まれるときに比べ、
図3に示すようにブーム30およびジブ40を作業姿勢としたときに、可動部53をブーム30先端側に配置する。この場合、引込用ロープ63の連結部分63aが、クレーン作業の邪魔になりにくい。
【0073】
(第4の発明の効果)
[構成4]
図5に示すように、ジブ引込装置20は、引上用ロープ73を備える。引上用ロープ73は、可動部53に取り付けられ、可動部53をブーム30軸方向に移動させる。
【0074】
ジブ引込装置20は、上記[構成4]を備える。よって、可動部53の近傍に複雑な構造の装置などを配置し、この装置を用いて可動部53をブーム30軸方向に移動させる場合などに比べ、簡易な構成で可動部53を移動させることができる。
【0075】
(第7の発明の効果)
本実施形態のジブ引込装置20を用いたジブ引込方法による効果は次の通りである。ジブ引込方法は、ジブ垂下工程と、引込工程と、を備える。
【0076】
[構成7]
図4に示すように、ジブ垂下工程は、ブーム30およびジブ40をブーム傾斜ジブ垂下姿勢にする工程である。引込工程は、ジブ垂下工程の後に行われる。引込工程は、引込用ウインチ65(
図2参照)が引込用ロープ63に張力を付与し、引込用シーブ61から引込用ロープ取付部47までの部分(連結部分63a)で引込用ロープ63を直線状に配置させ、ジブ40をブーム30側に引き込む工程である。
【0077】
上記[構成7]により、上記「(第1の発明の効果)」と同様の効果が得られる。
【0078】
(第8の発明の効果)
[構成8]
図3に示すように、ブーム30に対してジブ40が起こされた姿勢である作業姿勢のときの可動部53の位置を第1の位置とする。
図4に示すように、ブーム30およびジブ40がブーム傾斜ジブ垂下姿勢とされるとともにジブ40がブーム30側に引き込まれるときの可動部53の位置を第2の位置とする。可動部53の第1の位置(
図3参照)は、可動部53の第2の位置(
図4参照)よりもブーム30先端側である。
【0079】
ジブ引込方法は、上記[構成8]を備える。よって、
図4に示すようにジブ40がブーム30側に引き込まれるときに比べ、
図3に示すようにブーム30およびジブ40を作業姿勢としたときに、引込用シーブ61(上記[構成3]参照)が、ブーム30先端側に配置される。よって、ブーム30およびジブ40を作業姿勢としたときに、引込用ロープ63の連結部分63aが、クレーン作業の邪魔になりにくい。
【0080】
(第2実施形態)
図13を参照して、第2実施形態のジブ引込装置220について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、ジブ引込装置220のうち、第1実施形態との共通点については、第1実施形態と同一の符号を付し、説明を省略した(共通点の説明を省略する点については他の実施形態の説明も同様)。ジブ引込装置220は、引込用シーブ261と、外れ止め部267と、を備える。なお、
図13では、ブーム30およびジブ40が作業姿勢のときのジブ40および連結部分63aを二点鎖線で示す(
図14も同様)。
【0081】
引込用シーブ261は、次のように構成される。
図4に示すように、第1実施形態では、引込用シーブ61の回転軸は、ブーム30に対してブーム30軸方向に移動自在であった。一方、
図13に示すように、本実施形態では、引込用シーブ261の回転軸は、ブーム30に対して固定される。引込用シーブ261は、例えばブーム腹面30vなどに配置される。引込用シーブ261は、ブーム30の構成要素(部品)のうち、上部ブーム35よりも下側Z2の構成要素に取り付けられる。ジブ引込装置220は、
図4に示す可動部53を備えない。よって、ブーム30軸方向に移動自在に可動部53を支持するための部材(ガイド部51cなど)、および可動部53を備える場合に比べ、
図13に示すジブ引込装置220を簡素に構成できる。
【0082】
外れ止め部267は、引込用シーブ261から引込用ロープ63が外れることを防ぐ。例えば、外れ止め部267は、ローラまたはシーブなどである。外れ止め部267は、引込用シーブ261の近傍に配置される。外れ止め部267は、引込用シーブ261よりも上側Z1に配置される。ブーム30およびジブ40が作業姿勢のとき、引込用ロープ63は、外れ止め部267にかけられてもよい。
【0083】
(第3実施形態)
図14を参照して、第3実施形態のジブ引込装置320について、第2実施形態との相違点を説明する。ジブ引込装置320は、引込用シーブ361を備える。
【0084】
引込用シーブ361は、次のように構成される。
図13に示すように、第2実施形態では、引込用シーブ261は、ブーム30の構成要素のうち、上部ブーム35よりも下側Z2の構成要素に取り付けられた。一方、
図14に示すように、本実施形態では、引込用シーブ361は、上部ブーム35に取り付けられる。引込用シーブ361は、例えば上部ブーム35の上側Z1端部に配置される。引込用シーブ361の上下方向Z位置は、例えばジブ基端部40fの上下方向Z位置よりも上側Z1であり、ジブ基端部40fの上下方向Z位置と同じ位置(同じ高さ)でもよく、ジブ基端部40fの上下方向Z位置よりも下側Z2でもよい。例えば、引込用シーブ361は、ブーム側面30sよりも横方向Y外側に配置される。引込用シーブ361は、ブーム側面30sよりも横方向Y内側に配置されてもよい。
【0085】
図12に示すように、第1実施形態では、ブーム30およびジブ40が作業姿勢のときに、ブーム30とジブ40との間の領域に配置される連結部分63aを、できるだけ上側Z1に配置させるために、可動部53が設けられた。一方、
図14に示すように、本実施形態では、ブーム30およびジブ40が作業姿勢のときに、ブーム30とジブ40との間の領域に連結部分63aが配置されない、またはほとんど配置されない。よって、引込用シーブ61をブーム30軸方向に移動自在にするための構成(例えば第1実施形態の可動部53(
図3参照)など)を設ける必要がない。
【0086】
(第4実施形態)
図15および
図16を参照して、第4実施形態のジブ引込装置420について、第2実施形態(
図13参照)との相違点を説明する。第2実施形態では、引込用ロープ取付部47は、ジブ40に対して固定された。一方、
図15に示すジブ引込装置420では、引込用ロープ取付部447は、ジブ40に対して移動自在である。ジブ引込装置420は、レール部451と、スライド部453と、を備える。
【0087】
引込用ロープ取付部447は、ジブ40軸方向に移動自在にジブ40に取り付けられる。「ジブ40軸方向に移動自在」には、ジブ40軸方向に対して傾いた方向に移動自在であることが含まれる。例えば、引込用ロープ取付部447は、下部ジブ41のジブ腹面40vに沿う方向に移動自在である。引込用ロープ取付部447は、重力および引込用ロープ63の張力の少なくともいずれかにより、ジブ40軸方向に移動自在である。引込用ロープ取付部447は、レール部451およびスライド部453を介して、ジブ40に取り付けられる。
【0088】
レール部451は、ジブ40に対する引込用ロープ取付部447の、ジブ40軸方向への移動をガイドする。レール部451は、レール部451が延びる方向への引込用ロープ取付部447の移動を自在とし、レール部451が延びる方向に直交する方向への引込用ロープ取付部447の移動を規制する。レール部451は、ジブ40に固定される。レール部451は、スリット(長孔)または溝など(以下、「スリットなど」という)を有する。
【0089】
このレール部451は、例えば次のように配置される。レール部451の位置がブーム30に近いほど、引込用ロープ63の連結部分63aを短くできる。例えば、レール部451は、ジブ腹面40vに固定される。レール部451は、ジブ40を構成するパイプに固定されてもよく、ジブ40を構成するパイプに固定された部材など(板など)に固定されてもよい。
図15に示す例では、レール部451は、ジブ腹面40vに取り付けられ、ジブ腹面40vからブーム30側に突出する。
図15に示す例では、レール部451は、ジブ腹面40vに沿うように延びる。レール部451は、
図15に示す例ではジブ40の外側に配置される。レール部451は、ジブ40を構成するパイプなどと引込用ロープ63とが干渉しなければ、ジブ40の内側に配置されてもよく、ジブ40の外側および内側に配置されてもよい。レール部451は、ジブ側面40sよりも横方向Y内側に配置されてもよく、例えば横方向Yにおけるジブ40の中央部などに配置されてもよい。レール部451は、ジブ側面40sに取り付けられてもよく、ジブ側面40sよりも横方向Y外側に配置されてもよい。
【0090】
スライド部453は、レール部451に取り付けられ、レール部451に対してジブ40軸方向に移動自在(スライド自在)である。スライド部453は、スライド部フレーム453fと、ローラ453rと、を備える。スライド部フレーム453fは、引込用ロープ取付部447が設けられる(形成される)フレームである。スライド部フレーム453fは、ローラ453rを回転自在に支持する。スライド部フレーム453fは、ローラ453rに対して回転自在である。ローラ453rは、レール部451のスリットなどに取り付けられ(例えば差し込まれ)、スリットなどを転がる。なお、ローラ453rは設けられなくてもよい。例えば、スライド部フレーム453fに樹脂などのスライドパッドが設けられてもよく、このスライドパッドがレール部451のスリットなどを摺動してもよい。
【0091】
(ジブ40の張出)
ブーム30およびジブ40がブーム傾斜ジブ垂下姿勢のとき、引込用ロープ取付部447は、レール部451の下側Z2部分に配置される。このとき、例えば、引込用ロープ取付部447は、レール部451に対する引込用ロープ取付部447の可動範囲の中で最も下側Z2(ジブ40先端側)に配置される。
【0092】
次に、
図16に示すように、ジブ40が、ジブ基端部40fを中心に回転させられ、引き起こされる。そして、ブーム30およびジブ40が作業姿勢になる(
図1参照)。ジブ40が引き起こされるとき、レール部451および引込用ロープ取付部447も、ジブ基端部40fを中心に回転し、上側Z1に移動する。すると、レール部451の長手方向は、ジブ40先端側ほど上側Z1に配置されるように、水平方向に対して傾斜する。すると、引込用ロープ取付部447は、重力により、ジブ40基端側(下側Z2)に移動する。このとき、引込用ロープ取付部447は、スライド部453の自重、および引込用ロープ63の自重により、ジブ40基端側に移動する。また、引込用ロープ取付部447は、引込用ウインチ65(
図1参照)によって引込用ロープ63に付与された張力により、ジブ40基端側に移動してもよい。引込用ロープ取付部447がジブ40基端側に移動することで、引込用ロープ63の連結部分63aが、ジブ基端部40fに近づく。よって、第1実施形態と同様に、引込用ロープ63がクレーン作業の邪魔になる事を抑制できる。
【0093】
(ジブ40の格納)
ブーム30およびジブ40が作業姿勢の状態から、
図15に示すように、ジブ40が、ジブ基端部40fを中心に回転させられ、伏せられる。そして、ブーム30およびジブ40が、ブーム傾斜ジブ垂下姿勢になる。ジブ40が伏せられるとき、レール部451および引込用ロープ取付部447も、ジブ基端部40fを中心に回転し、下側Z2に移動する。すると、レール部451の長手方向が、ほぼ上下方向Zに配置される。すると、引込用ロープ取付部447は、重力により、ジブ40先端側(下側Z2)に移動する。このとき、引込用ロープ取付部447は、例えば、スライド部453の自重、および引込用ロープ63の自重により、ジブ40先端側に移動する。また、引込用ロープ取付部447は、引込用ロープ63の張力によりジブ40先端側に移動してもよい。引込用ロープ取付部447がレール部451に対して最も下側Z2に移動した状態で、引込用ロープ63の連結部分63aが、ジブ40軸方向に対して、略直交する方向に延びることが好ましい(第1実施形態と同様)。次に、引込用ロープ63の張力により、ジブ40が、ブーム30側に引き込まれる(第1実施形態と同様)。
【0094】
図15に示すジブ引込装置420による効果は次の通りである。
【0095】
(第5の発明の効果)
[構成5]引込用ロープ取付部447は、ジブ40軸方向に移動自在にジブ40に取り付けられる。
【0096】
ジブ引込装置420は、上記[構成5]を備える。よって、引込用ロープ取付部447をジブ40軸方向に移動させることで、引込用ロープ63の連結部分63aの位置を変えることができる。よって、例えば次の効果が得られる場合がある。
【0097】
上記[構成5]により、
図15に示すようにジブ40がブーム30側に引き込まれるときに比べ、
図16に示すようにブーム30およびジブ40を作業姿勢としたときに、引込用ロープ取付部447をジブ40基端側に配置することが可能である。このように配置した場合は、引込用ロープ63の連結部分63aが、クレーン作業の邪魔になりにくい。
【0098】
(第6の発明の効果)
[構成6]引込用ロープ取付部447は、重力および引込用ロープ63の張力の少なくともいずれかにより、ジブ40軸方向に移動自在である。
【0099】
ジブ引込装置420は、上記[構成6]を備える。よって、引込用ロープ取付部447をジブ40軸方向に移動させるためにのみ用いられる装置(専用の装置)を設ける必要がない。よって、簡易な構成で引込用ロープ取付部447をジブ40軸方向に移動させることができる。
【0100】
図16に示すジブ引込装置420を用いたジブ引込方法による効果は次の通りである。
【0101】
(第9の発明の効果)
[構成9]ブーム30に対してジブ40が起こされた姿勢である作業姿勢のときの引込用ロープ取付部447の位置を第3の位置とする。
図15に示すように、ブーム30およびジブ40がブーム傾斜ジブ垂下姿勢とされるとともにジブ40がブーム30側に引き込まれるときの引込用ロープ取付部447の位置を第4の位置とする。引込用ロープ取付部447の第3の位置(
図16参照)は、引込用ロープ取付部447の第4の位置(
図15参照)よりもジブ40基端側である。
【0102】
ジブ引込方法は、上記[構成9]を備える。よって、
図15に示すようにジブ40がブーム30側に引き込まれるときに比べ、
図16に示すようにブーム30およびジブ40を作業姿勢としたときに、引込用ロープ取付部447が、ジブ40基端側に配置される。よって、ブーム30およびジブ40を作業姿勢としたときに、引込用ロープ63の連結部分63aが、クレーン作業の邪魔になりにくい。
【0103】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。上記実施形態の構成要素の配置や形状などは変更されてもよい。上記実施形態の構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。固定は、直接的な固定でも間接的な固定でもよい。
【0104】
例えば、
図4に示す引込用ロープ取付部47は、引込用ロープ63の張力がジブ40に伝わるように構成されればよい。引込用ロープ取付部47は、例えば引込用ロープ63が掛けられるシーブなどでもよい。
【0105】
例えば、引込用ロープ63は、1本のみ設けられてもよく、複数本設けられてもよい。引込用ロープ63が複数設けられる場合は、引込用ロープ63の数に応じた引込用シーブ61が設けられる。
【0106】
例えば、
図2に示す引込用ロープ63に張力を付与する部分(引込用張力付与部)は、引込用ウインチ65であった。一方、引込用張力付与部は、様々に変形されてもよい。[例1]引込用張力付与部は、ウインチ以外のアクチュエータを備えてもよい。このアクチュエータは、例えば伸縮シリンダなどでもよい。[例2]引込用ロープ63とアクチュエータとは、直接的につながれてもよく、間接的につながれてもよい。[例2-1]例えば、引込用ロープ63とアクチュエータとの間に、リンク部材が含まれてもよい。このリンク部材は、例えば、ブーム30軸方向に延びる部材を備えてもよい。この例では、アクチュエータは、リンク部材を移動させる伸縮シリンダでもよい。[例2-2]例えば、引込用ロープ63とアクチュエータとの間に、チェーンが含まれてもよい。この例では、アクチュエータは、チェーンを巻き取りおよび繰り出しする引込用ウインチ65でもよい。
【0107】
例えば、上記実施形態では、
図5に示す引上部70は、引上用シーブ71、引上用ロープ73、引上用ウインチ75を備えるものであったが、様々に変形されてもよい。[例3]引上部70は、可動部53の近傍(フレーム部50、ブーム30など)に取り付けられるアクチュエータなどを備えてもよい。[例4]例えば、可動部53とアクチュエータとは、直接的につながれてもよく、間接的につながれてもよい。[例4-1]例えば、可動部53とアクチュエータとの間に、リンク部材(上記[例2-1]参照)が含まれてもよい。[例4-2]例えば、可動部53とアクチュエータとの間に、チェーン(上記[例2-2]参照)が含まれてもよい。
【0108】
上記[例1]~[例4]のアクチュエータは、例えば電気式でもよく、例えば流体圧式(例えば空圧式、油圧式など)でもよい。可動部53の近傍にアクチュエータが配置される場合(例えば上記[例3])、アクチュエータは、流体圧式よりも電気式が好ましい。例えば上部旋回体13(
図2参照)から、可動部53の近傍のアクチュエータまで流体圧配管(例えば油圧配管など)を配策するよりも、上部旋回体13から可動部53の近傍のアクチュエータまで電線を配策する方が、容易に配策できる。また、高所のアクチュエータに圧力流体(例えば圧油など)を供給するよりも小さいエネルギーで、高所のアクチュエータに電力を供給できる。
【0109】
例えば、
図2に示す保持装置90は、設けられなくてもよい。例えば、保持装置90を用いることなく、引込用ロープ63の引き込みの力(引張力)で、
図11に示すような姿勢にすることができる場合などには、保持装置90は設けられなくてもよい。
【0110】
例えば、第1実施形態の引込用シーブ61(
図3参照)に、第2実施形態の外れ止め部267(
図13参照)が設けられてもよい。
【0111】
例えば、
図3、4に示すようにブーム30に対して引込用シーブ61が可動である構成と、
図15、16に示すようにジブ40に対して引込用ロープ取付部447が可動である構成と、が組み合わされてもよい。この場合、
図16に示すブーム30およびジブ40が作業姿勢のときに、引込用ロープ63の連結部分63aを、ブーム30先端側およびジブ40基端側により近づけることができ、連結部分63aがクレーン作業の邪魔になりにくい。
【0112】
例えば、上記実施形態では、引込用ロープ取付部447は、重力および引込用ロープ63の張力の少なくともいずれかにより、ジブ40軸方向に移動した。一方、引込用ロープ取付部447は、引込用ロープ取付部447をジブ40軸方向に移動させるためにのみ用いられる装置(専用の装置)により、ジブ40軸方向に移動させられてもよい。この場合、専用の装置は、例えば、ロープやリンク部材などが用いられた装置でもよく、アクチュエータの動力が用いられた装置でもよい。
【符号の説明】
【0113】
20、220、320、420 ジブ引込装置
30 ブーム
40 ジブ
47、447 引込用ロープ取付部
53 可動部
61、261、361 引込用シーブ
63 引込用ロープ
65 引込用ウインチ(引込用張力付与部)
73 引上用ロープ