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特許7110727ビーコン発信機位置抽出システム及びビーコン発信機位置抽出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ビーコン発信機位置抽出システム及びビーコン発信機位置抽出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20220726BHJP
【FI】
G01S5/02 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018100007
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019203826
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓補
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0195314(US,A1)
【文献】特開2007-060093(JP,A)
【文献】特開2016-033457(JP,A)
【文献】特表2017-529528(JP,A)
【文献】特開2008-268204(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01983397(EP,A2)
【文献】特開2015-190931(JP,A)
【文献】特表2017-525199(JP,A)
【文献】特開2003-244709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0026224(US,A1)
【文献】尾原 和也 Kazuya Ohara,Wi-Fiチャネル状態情報を用いた屋内位置推定によるStructure from Motionのためのスケール復元,電気学会研究会資料,日本,一般社団法人電気学会,2017年08月02日,Pages: 35-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00 - 1/68
5/00 - 5/14
11/00 - 11/16
19/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって携帯され移動しつつ動画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置に設けられ、ビーコン発信機の発信するビーコン信号を受信するビーコン受信装置と、
前記動画像から3次元形状を復元する3次元形状生成部と、
前記3次元形状における前記ビーコン発信機に備えられた点滅装置の位置を、前記動画像における当該点滅装置の点滅状態から検出する点滅装置検出部と、
前記ビーコン信号の計測により求めた前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機との距離に対応する電波対応距離情報と、前記点滅装置の位置及び前記撮像装置間の距離情報である形状対応距離とに基づき、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う発信機位置抽出部と
所定の時刻範囲における時刻と前記形状対応距離との関係を示す形状距離変化曲線を前記点滅装置毎に生成するとともに、当該時刻と前記電波対応距離情報との関係と対応関係を示す電波距離変化曲線を前記ビーコン発信機毎に生成し、前記点滅装置毎の形状距離変化曲線の各々と前記ビーコン発信機毎の電波距離変化曲線の各々との組み合わせ毎の類似度を算出する類似度算出部
をさらに備え、
前記発信機位置抽出部が、前記類似度に基づき、時刻に対する距離の変化が類似する形状距離変化曲線と電波距離変化曲線との組み合わせを抽出することで、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う
ことを特徴とするビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項2】
前記点滅装置の位置と前記撮像装置との前記形状対応距離を求める形状対応距離算出部と、
前記ビーコン信号の計測結果から、前記電波対応距離情報を求める電波対応距離算出部と
をさらに備え、
前記発信機位置抽出部が、前記形状対応距離及び電波対応距離情報の各々を比較することにより、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項3】
前記距離情報が前記ビーコン信号の電波強度から求めた、前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機の各々との距離である電波対応距離である
ことを特徴とする請求項2に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項4】
前記距離情報がビーコン信号のビーコン信号受信装置への到来時間から求めた、前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機の各々との電波対応距離である
ことを特徴とする請求項2に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項5】
前記点滅状態が所定の周期で点滅装置の点灯の照度が変化する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項6】
前記点滅状態が所定の周期で点滅装置の点灯の色が変化する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項7】
前記発信機位置抽出部が、
前記ビーコン発信機の発信するビーコンに含まれる、当該ビーコン発信機を識別する固有識別情報と、前記3次元形状における前記点滅装置の位置とを対応付ける
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項8】
前記撮像装置が前記動画像の撮像において、撮像における明るさの調整をゲイン補正により行う
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項9】
前記点滅装置検出部が、
前記動画像のフレーム毎にゲイン補正値を予測し、動画像のゲイン補正値を同一とする補正を行い、前記点滅装置の点灯を検出する
ことを特徴とする請求項8に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項10】
前記発信機位置抽出部は、前記類似度が最も大きい組み合わせを抽出することで、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う
ことを特徴とする請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載のビーコン発信機位置抽出システム。
【請求項11】
撮像装置ユーザによって携帯され移動しつつ動画像を撮像する撮像過程と、
ビーコン受信装置により、前記撮像装置に設けられ、ビーコン発信機の発信するビーコン信号を受信するビーコン受信過程と、
3次元形状生成部が、前記動画像から3次元形状を復元する3次元形状復元過程と、
点滅装置検出部が、前記3次元形状における前記ビーコン発信機に備えられた点滅装置の位置を、前記動画像における当該点滅装置の点滅状態から検出する点滅装置検出過程と、
発信機位置抽出部が、前記ビーコン信号の計測により求めた前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機との距離に対応する電波対応距離情報と、前記点滅装置の位置及び前記撮像装置間の距離である形状対応距離とに基づき、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う発信機位置抽出過程と
類似度算出部が、所定の時刻範囲における時刻と前記形状対応距離との関係を示す形状距離変化曲線を前記点滅装置毎に生成するとともに、当該時刻と前記電波対応距離情報との関係と対応関係を示す電波距離変化曲線を前記ビーコン発信機毎に生成し、前記点滅装置毎の形状距離変化曲線の各々と前記ビーコン発信機毎の電波距離変化曲線の各々との組み合わせ毎の類似度を算出する類似度算出部過程と、
を含み、
前記発信機位置抽出過程は、前記類似度に基づき、時刻に対する距離の変化が類似する形状距離変化曲線と電波距離変化曲線との組み合わせを抽出することで、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行うことを含む
ことを特徴とするビーコン発信機位置抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーコン発信機位置抽出システム及びビーコン発信機位置抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内における対象物(例えば、人間)の行動計測においては、GPS(global positioning system)を用いることができないため、室内の複数箇所に配置されたビーコン発信機の各々から発信されるビーコンによる測位が行われている(例えば、特許文献1参照)。
上記ビーコンとして用いられる電波の規格としては、例えばWiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びUWB(ultra wide band:超広帯域無線)がある。
上記ビーコンの電波強度あるいは到達時間差などを用いた三角測量、あるいは到来角度を用いた三辺測量から、対象物の測位を行うことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-126002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したビーコンを用いた室内における対象物の測位に関しては、室内における3次元座標系におけるビーコン発信機の配置位置の座標値が既知であることが必要である。
また、室内における対象物の動線を表示画面において視認する際、対象物の測位を行う室内の3次元形状が必要となる。
【0005】
通常の建物における室内であれば、建物のCAD(computer aided design)情報などを用いることが可能であり、ビーコン発信機を配置する位置が、室内の3次元座標系における座標値として容易に抽出することができる。
すなわち、CAD情報に基づく3次元座標系を用いることにより、室内に配置したビーコン発信機の固有識別情報とビーコン発信機の座標値との対応関係を容易に対応付けることができる。
【0006】
しかしながら、イベント会場などの仮設の3次元空間にビーコン発信機を配置する場合、上述したCAD情報などの3次元形状を示す情報が無いため、室内の3次元座標系が予め準備されていない。
そのため、3次元座標系が準備されていないため、室内のいずれの位置にどの固有識別情報を有するビーコン発信機が配置されたかを容易に検出することはできない。
【0007】
また、イベント会場の3次元形状を取得して、イベント会場内の3次元座標系を構成した後に、ビーコン発信機を配置したとしても、仮設であるため内装の変更などが行われる。
結果として、3次元形状が変化するため、再度3次元座標系の構成をし直し、同様に位置が変更されたビーコン発信機の座標値を求めることになる。
このため、イベント会場の3次元形状を取得して、かつビーコン発信機の固有識別情報とビーコン発信機の座標値との対応関係を求めるのは煩雑な作業となる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、イベント会場などの仮設として設けられた屋内の3次元形状を取得し、かつビーコン発信機の固有識別情報とビーコン発信機の屋内の3次元座標系における座標値との対応関係を容易に求めることが可能なビーコン発信機位置抽出システム及びビーコン発信機位置抽出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のビーコン発信機位置抽出システムユーザによって携帯され移動しつつ動画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置に設けられ、ビーコン発信機の発信するビーコン信号を受信するビーコン受信装置と、前記動画像から3次元形状を復元する3次元形状生成部と、前記3次元形状における前記ビーコン発信機に備えられた点滅装置の位置を、前記動画像における当該点滅装置の点滅状態から検出する点滅装置検出部と、前記ビーコン信号の計測により求めた前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機との距離に対応する電波対応距離情報と、前記点滅装置の位置及び前記撮像装置間の距離情報である形状対応距離とに基づき、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う発信機位置抽出部と、所定の時刻範囲における時刻と前記形状対応距離との関係を示す形状距離変化曲線を前記点滅装置毎に生成するとともに、当該時刻と前記電波対応距離情報との関係と対応関係を示す電波距離変化曲線を前記ビーコン発信機毎に生成し、前記点滅装置毎の形状距離変化曲線の各々と前記ビーコン発信機毎の電波距離変化曲線の各々との組み合わせ毎の類似度を算出する類似度算出部をさらに備え、前記発信機位置抽出部が、前記類似度に基づき、時刻に対する距離の変化が類似する形状距離変化曲線と電波距離変化曲線との組み合わせを抽出することで、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行うことを特徴とする。
【0010】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記点滅装置の位置と前記撮像装置との前記形状対応距離を求める形状対応距離算出部と、前記電波状態から、前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機との距離に対応した電波対応距離情報を求める電波対応距離算出部とをさらに備え、前記発信機位置抽出部が、前記形状対応距離及び前記電波対応距離情報の各々を比較することにより、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行うことを特徴とする。
【0011】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記距離情報が前記ビーコン信号の電波強度から求めた、前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機の各々との距離である電波対応距離であることを特徴とする。
【0012】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記距離情報がビーコン信号のビーコン信号受信装置への到来時間から求めた、前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機の各々との電波対応距離であることを特徴とする。
【0013】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、所定の時刻範囲における時刻と前記形状対応距離との関係と、当該時刻と前記距離情報との関係との類似度を算出する類似度算出部をさらに備え、前記発信機位置抽出部が前記類似度に基づき、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行うことを特徴とする。
【0014】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記点滅状態が所定の周期で点滅装置の点灯の照度が変化することを特徴とする。
【0015】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記点滅状態が所定の周期で点滅装置の点灯の色が変化することを特徴とする。
【0016】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記発信機位置抽出部が、前記ビーコン発信機の発信するビーコンに含まれる、当該ビーコン発信機を識別する固有識別情報と、前記3次元形状における前記点滅装置の位置とを対応付けることを特徴とする。
【0017】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記撮像装置が前記動画像の撮像において、撮像における明るさの調整をゲイン補正により行うことを特徴とする。
【0018】
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記点滅装置検出部が、前記動画像のフレーム毎にゲイン補正値を予測し、動画像のゲイン補正値を同一とする補正を行い、前記点滅装置の点灯を検出することを特徴とする。
本発明のビーコン発信機位置抽出システムは、前記発信機位置抽出部が、前記類似度が最も大きい組み合わせを抽出することで、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行うことを特徴とする。
【0019】
本発明のビーコン発信機位置抽出方法は、撮像装置ユーザによって携帯され移動しつつ動画像を撮像する撮像過程と、ビーコン受信装置により、前記撮像装置に設けられ、ビーコン発信機の発信するビーコン信号を受信するビーコン受信過程と、3次元形状生成部が、前記動画像から3次元形状を復元する3次元形状復元過程と、点滅装置検出部が、前記3次元形状における前記ビーコン発信機に備えられた点滅装置の位置を、前記動画像における当該点滅装置の点滅状態から検出する点滅装置検出過程と、発信機位置抽出部が、前記ビーコン信号の計測により求めた前記ビーコン受信装置と前記ビーコン発信機との距離に対応する電波対応距離情報と、前記点滅装置の位置及び前記撮像装置間の距離である形状対応距離とに基づき、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行う発信機位置抽出過程と、類似度算出部が、所定の時刻範囲における時刻と前記形状対応距離との関係を示す形状距離変化曲線を前記点滅装置毎に生成するとともに、当該時刻と前記電波対応距離情報との関係と対応関係を示す電波距離変化曲線を前記ビーコン発信機毎に生成し、前記点滅装置毎の形状距離変化曲線の各々と前記ビーコン発信機毎の電波距離変化曲線の各々との組み合わせ毎の類似度を算出する類似度算出部過程と、を含み、前記発信機位置抽出過程は、前記類似度に基づき、時刻に対する距離の変化が類似する形状距離変化曲線と電波距離変化曲線との組み合わせを抽出することで、前記ビーコン発信機と前記点滅装置との対応付けを行うことを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、イベント会場などの仮設として設けられた屋内の3次元形状を取得し、かつビーコン発信機の固有識別情報とビーコン発信機の屋内の3次元座標系における座標値との対応関係を容易に求めることが可能なビーコン発信機位置抽出システム及びビーコン発信機位置抽出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるビーコン発信機位置抽出システムの構成例を示すブロック図である。
図2】記憶部129に記憶されている動画像データテーブルの構成例を示す図である。
図3】記憶部129に記憶されている、ビーコン発信機の固有識別情報毎に設けられている計測電波強度テーブルの構成例を示す図である。
図4】記憶部129に記憶されている、タイムスタンプ毎の携帯端末及びビーコン発信機間の形状対応距離を示す形状対応距離テーブルの構成例を示す図である。
図5】類似度算出部126が生成する形状距離変化曲線及び電波距離変化曲線の各々を示すグラフの図である。
図6】記憶部129に記憶されている、ビーコン発信機101の位置座標とビーコン発信機101の固有識別情報との対応を示す対応テーブルの構成例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態のビーコン発信機位置抽出システムが行うビーコン発信機の位置座標と固有識別情報との対応付けの処理の動作例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態における点滅装置102の点滅周期における輝度値の変化パターンを示す図である。
図9】記憶部129に記憶されている動画像データテーブルの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるビーコン発信機位置抽出システムの構成例を示すブロック図である。図1において、ビーコン発信機位置抽出システム1は、携帯端末11とビーコン発信機位置抽出サーバ12とを備えている。また、ビーコン発信機位置抽出サーバ12の機能を所定のアプリケーションとして、携帯端末11にこのアプリケーションのプログラムをインストールすることにより持たせる構成としても良い。本実施形態においては、屋内施設における測位対象の測位に用いるビーコン発信機として、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2、ビーコン発信機101_3の3台を用いて説明するが、これに限らず、屋内施設の広さに応じて、3台以上の任意の複数個が配置される。
【0023】
ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機2_3の各々には、点滅装置102_1、点滅装置102_2、点滅装置102_3のそれぞれが備えられている。以下、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機2_3の各々を総称する場合にビーコン発信機101と表し、点滅装置102_1、点滅装置102_2及び点滅装置102_3の各々を総称する場合に点滅装置102と表す。
【0024】
また、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機2_3の各々は、所定の発信周期毎に、それぞれを識別する固有識別情報のデータを含むビーコン信号を発信する。
また、点滅装置102_1、点滅装置102_2及び点滅装置102_3の各々は、それぞれ所定の点滅周期毎に、予め設定された点灯時間、消灯時間で、点灯及び消灯を繰り返す。
【0025】
携帯端末11は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々が配置されている屋内施設500の3次元形状を復元するための動画像を撮像する。
また、携帯端末11は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々の発信する電波信号であるビーコン信号を受信し、このビーコンそれぞれの受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を取得する。
【0026】
ビーコン発信機位置抽出サーバ12は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々の発信するビーコン信号の計測電波強度と、動画像から求められる3次元座標系における点滅装置の位置座標とから、ビーコン発信機の固有識別情報と、点滅装置の位置座標との対応関係を抽出する。すなわち、ビーコン発信機位置抽出サーバ12は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々の3次元座標系における位置座標を抽出する。以下、ビーコン発信機の位置座標の抽出を行うビーコン発信機位置抽出システム1の構成を詳細に説明する。
【0027】
携帯端末11は、画像撮像部111及び電波受信部112の各々を備えている。ここで、ユーザは、携帯端末11を携帯して、屋内施設500内部を所定の速度により移動して、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々が配置されている屋内施設500の動画像を撮像するとともに、それぞれの発信するビーコン信号の電波強度を計測して計測電波強度を取得する。
【0028】
画像撮像部111は、例えば、1秒あたり30個のフレーム画像からなる動画像を撮像して、フレーム画像毎に、当該フレーム画像を撮像した時刻を示すタイムスタンプを添付して、ビーコン発信機位置抽出サーバ12へ送信する。
電波受信部112は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々が発信するビーコン信号を受信し、ビーコン信号に含まれている固有識別情報により、ビーコン発信機101、ビーコン発信機101_2、ビーコン発信機101_3それぞれの出力するビーコン信号の計測電波強度を求める。また、電波受信部112は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々が発信するビーコン信号の計測電波強度と、ビーコン信号を受信した時刻を示すタイムスタンプを付加して、ビーコン発信機位置抽出サーバ12へ送信する。
【0029】
ビーコン発信機位置抽出サーバ12は、データ入出力部121、3次元形状生成部122、点滅装置検出部123、形状対応距離算出部124、電波対応距離算出部125、類似度算出部126、発信機位置抽出部127、対応テーブル生成部128及び記憶部129の各々を備えている。
【0030】
データ入出力部121は、携帯端末11から供給される、動画像におけるフレーム画像とタイムスタンプとを対応させて、記憶部129に対して書き込んで記憶させる。
また、データ入出力部121は、携帯端末11から供給される、固有識別情報毎のタイムスタンプと計測電波強度とを対応させて、記憶部129に対して書き込んで記憶させる。
【0031】
図2は、記憶部129に記憶されている動画像データテーブルの構成例を示す図である。図2の動画像データテーブルにおいて、レコード毎に、タイムスタンプ及びフレーム画像インデックスの各々の欄が設けられている。
ここで、タイムスタンプは、動画像におけるフレーム画像の各々が撮像された時刻を示している。フレーム画像インデックスは、記憶部129の画像記憶領域における、タイムスタンプに対応するフレーム画像の各々が書き込まれているアドレスを示している。
【0032】
図1に戻り、また、データ入出力部121は、携帯端末11から供給される、ビーコン発信機101、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々が発信したビーコン信号の計測電波強度とタイムスタンプとを、ビーコン発信機101、ビーコン発信機101_2、ビーコン発信機101_3それぞれの固有識別情報に対応させて記憶部129に書き込んで記憶させる。
【0033】
図3は、記憶部129に記憶されている、ビーコン発信機の固有識別情報毎に設けられている計測電波強度テーブルの構成例を示す図である。図3の計測電波強度テーブルにおいて、レコード毎に、タイムスタンプ、計測電波強度及び電波対応距離の各々の欄が設けられている。ここで、タイムスタンプは、計測電波強度テーブルの固有識別情報に対応するビーコン発信機が発信したビーコン信号を受信した時刻を示している。計測電波強度は、同一レコードの時刻において計測された、計測電波強度テーブルの固有識別情報に対応するビーコン発信機が発信したビーコン信号の電波強度を示している。電波対応距離は、計測電波強度から算出した、携帯端末11と、計測電波強度テーブルの固有識別情報に対応するビーコン発信機との距離を示している。
【0034】
図1に戻り、3次元形状生成部122は、動画像で撮像された屋内施設500内部の3次元形状を復元処理し、屋内施設500内の3次元座標系(屋内施設500のいずれの位置を原点とするかは任意)を生成する。屋内施設500内における移動体(入場者など)の測位は、上記3次元座標系の座標に対応して行われる。
【0035】
ここで、3次元形状生成部122は、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、AKAZE(Accelerated KAZE)及びORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF(Binary Robust Independent Elementary Features))などの輝度値変化に対してロバスト性を有する特徴量算出アルゴリズムにより、フレーム画像毎の画像特徴量を算出して、各フレーム画像間における特徴点の対応を求めて、SfM(Structure from Motion)/MVS(Multi-View Stereo)などのアルゴリズムによって3次元点群を生成する。
【0036】
そして、3次元形状生成部122は、求めた3次元点群を用いて屋内施設500内の壁、窓、配置された棚やテーブルなどの、屋内施設500の3次元座標系における3次元形状を復元する。
この3次元形状の復元を行う際、3次元形状生成部122は、屋内施設500の3次元座標系における、携帯端末11の画像撮像部111がフレーム画像を撮像した撮像位置(座標値)及び撮像角度の各々も求める。
【0037】
点滅装置検出部123は、フレーム画像間において対応する画素から、輝度が経時的に変化する画素を検出し、検出された画素に対応する座標値を、3次元形状生成部122が生成した3次元座標系において抽出する。これにより、点滅装置検出部123は、所定の点滅周期により点滅する点滅装置(102_1、102_2、102_3など)の3次元座標系における位置座標を求める。
【0038】
また、点滅装置102_1、点滅装置102_2及び点滅装置102_3の各々は、ビーコン発信機101、ビーコン発信機101_2、ビーコン発信機101_3それぞれに備えられている。
このため、点滅装置検出部123は、動画像から、実質的に、ビーコン発信機101、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3の各々の位置座標を求める。
【0039】
形状対応距離算出部124は、フレーム画像が撮像されたタイムスタンプ毎に、携帯端末11の位置とビーコン発信機101との3次元座標系における距離である形状対応距離を、携帯端末11及びビーコン発信機101の各々の位置座標と、フレーム画像を撮像した撮像角度とにより算出する。
すなわち、形状対応距離算出部124は、3次元座標系において、携帯端末11がフレーム画像を撮像した撮像位置の座標値(位置座標)と、点滅装置102の位置座標との間の距離を算出する。そして、形状対応距離算出部124は、算出した距離を、携帯端末11及びビーコン発信機101間の形状対応距離とする。
【0040】
電波対応距離算出部125は、ビーコン発信機101の各々が発信するビーコン信号の計測電波強度から、以下の(2)式を用いて、タイムスタンプ毎に携帯端末11とビーコン発信機101との距離である電波対応距離を算出する。(1)式は、ビーコン信号の電波強度RSSIを求める式である。したがって、計測電波強度が判っている場合、(1)式を変形した以下の(2)式により、携帯端末11とビーコン発信機101との距離distanceを求めることができる。
【0041】
RSSI=TxPower-20×log10distance …(1)
上記(1)式に基づき、
distance=10(TxPower-RSSI) …(2)
上記(1)及び(2)式において、RSSIは電波強度を示し、TxPowerはビーコン発信機101が発信するビーコン信号の発信強度を示し、distanceは携帯端末11及びビーコン発信機101間の電波対応距離を示している。
【0042】
電波対応距離算出部125は、タイムスタンプ毎に、ビーコン信号に含まれている固有識別情報により、ビーコン発信機101の各々の計測電波強度を、上記(2)式により算出する。
そして、電波対応距離算出部125は、算出した上記計測電波強度を、固有識別情報に対応させて、記憶部129におけるそれぞれの計測電波強度テーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0043】
図4は、記憶部129に記憶されている、タイムスタンプ毎の携帯端末及びビーコン発信機間の形状対応距離を示す形状対応距離テーブルの構成例を示す図である。形状対応距離テーブルは、点滅装置検出部123が検出した点滅装置102の位置座標の座標値毎、すなわち点滅装置102毎に設けられている。
【0044】
図4の形状対応距離テーブルにおいて、レコード毎に、タイムスタンプ、撮像位置、撮像角度及び形状対応距離の各々の欄が供えられている。ここで、タイムスタンプは、携帯端末11の画像撮像部111が動画像におけるフレーム画像の各々を撮像した時刻を示している。撮像位置は、フレーム画像を撮像した3次元座標系における座標値を示している。撮像角度は、フレーム画像を撮像した3次元座標系における撮像方向の角度を示している。形状対応距離は、点滅装置の位置座標と撮像位置との座標値間の距離を示している。
【0045】
図1に戻り、類似度算出部126は、点滅装置102毎に、記憶部129の形状対応距離テーブルを参照し、タイムスタンプ(時刻)と形状対応距離との対応関係を示す形状距離変化曲線を生成する。形状距離変化曲線における形状対応距離は、最大の形状対応距離により規格化されている。
そして、類似度算出部126は、点滅装置102毎に、形状距離変化曲線を書き込んで記憶させる。
【0046】
また、類似度算出部126は、ビーコン発信機101(固有識別情報)毎に、記憶部129の電波対応距離テーブルを参照し、タイムスタンプ(時刻)と電波対応距離との対応関係を示す電波距離変化曲線を生成する。電波距離変化曲線における電波対応距離は、最大の電波対応距離により規格化されている。
そして、類似度算出部126は、ビーコン発信機101毎に、電波距離変化曲線を書き込んで記憶させる。
【0047】
図5は、類似度算出部126が生成する形状距離変化曲線及び電波距離変化曲線の各々を示すグラフの図である。図5において、縦軸は距離(規格値)を示し、横軸は時刻を示している。形状距離変化曲線50は、各時刻と形状対応距離との対応関係を示す曲線である。また、電波距離変化曲線60は、各時刻と電波対応距離との対応関係を示す曲線である。時刻は、本実施形態において同期が取れている、例えば、日本標準時などの時刻を用いて時刻同期が取れている。距離が最も小さいときの時刻が、携帯端末11がビーコン発信機101及び点滅装置102に最も近接した時刻である。
【0048】
すでに述べたように、ビーコン発信機101及びこのビーコン発信機101に備えられた点滅装置102の各々は、配置した位置が同一と認識することができる。
このため、形状距離変化曲線50及び電波距離変化曲線60の各々の時刻同期が取れており、携帯端末11とビーコン発信機101との距離とした場合、ビーコン発信機101から発信されたビーコン信号から求められた電波対応距離の電波距離変化曲線60と、このビーコン発信機101に備えられた点滅装置102により求められた形状対応距離の形状距離変化曲線50との形状は類似する。
【0049】
図1に戻り、類似度算出部126は、例えば、形状距離変化曲線50及び電波距離変化曲線60の各々の座標値(tn,d1)と座標値(tn,d2)と誤差の二乗を加算し、加算結果の逆数を類似度とする。
そして、類似度算出部126は、ビーコン発信機101_1、ビーコン発信機101_2及びビーコン発信機101_3に対応する電波距離変化曲線60の各々と、点滅装置102_1、点滅装置102_2及び点滅装置102_3に対応する形状距離変化曲線50の各々との組合わせ、すなわち9個の類似度を求め、それぞれの組合わせ毎に記憶部129に対して求めた類似度を書き込んで記憶させる。
【0050】
この時点においては、例えば、点滅装置102_1の座標値が判っているものの、点滅装置102が存在していることは判るが、それが点滅装置102_1、点滅装置102_2、点滅装置102_3のいずれであるかは認識できていない。
同様に、ビーコン発信機101_1が発信したビーコン信号が固有識別情報で判り、かつ所定の時刻における携帯端末11とビーコン発信機101との距離(電波対応距離)も判るが、ビーコン発信機101_1が何れの座標値に存在しているかは認識できていない。
【0051】
発信機位置抽出部127は、記憶部129を参照して、類似度算出部126が求めたビーコン発信機101の電波距離変化曲線60各々と、点滅装置102の形状距離変化曲線50各々との組合わせの類似度において、例えばビーコン発信機101の電波距離変化曲線60毎に、最も類似度が大きい組合わせを抽出する。
例えば、発信機位置抽出部127は、ビーコン発信機101_1の発信したビーコン信号に基づいて求めた電波距離変化曲線60と、点滅装置102_1、点滅装置102_2及び点滅装置102_3の各々の座標値から求めた形状距離変化曲線50それぞれとの組合わせに対する類似度を比較し、最も類似度の大きい組合わせを抽出する。すなわち、発信機位置抽出部127は、時刻に対する距離変化が類似する形状距離変化曲線50と電波距離変化曲線60との組合わせを抽出する。
【0052】
この時点において、発信機位置抽出部127は、形状距離変化曲線50及び電波距離変化曲線60の各々の類似度から、すなわち、携帯端末11とビーコン発信機101との距離変化と、携帯端末11と点滅装置102との距離変化との類似度が高いと、携帯端末11に対して、ビーコン発信機101及び点滅装置102の各々が同一の位置にあることが推定される。ビーコン発信機101と点滅装置102とが同一の位置にある場合、点滅装置102の座標値に、この点滅装置102が備えられたビーコン発信機101が配置されていることが判る。ここで、点滅装置102から求められた3次元座標系における座標値に、この点滅装置102が備えられたビーコン発信機101があるため、屋内施設500内における点滅装置102から求めた3次元座標系における座標値と、この点滅装置102が備えられたビーコン発信機101の固有識別情報との対応が求められる。
【0053】
そして、対応テーブル生成部128は、発信機位置抽出部127が抽出した形状距離変化曲線50及び電波距離変化曲線60の組合わせにおいて、この形状距離変化曲線50に対応する点滅装置102の座標値と、電波距離変化曲線60に対応するビーコン発信機101の固有識別情報とを、対応付けて記憶部129に書き込んで記憶させる。
【0054】
図6は、記憶部129に記憶されている、ビーコン発信機101の位置座標とビーコン発信機101の固有識別情報との対応を示す対応テーブルの構成例を示す図である。図6の対応テーブルにおいて、レコード毎に、固有識別情報と座標値との各々の欄が備えられている。
ここで、固有識別情報は、ビーコン発信機101の各々を識別する識別情報である。座標値は、同一レコードにおける固有識別情報のビーコン発信機101の3次元座標系における座標である。
【0055】
図7は、本発明の一実施形態のビーコン発信機位置抽出システムが行うビーコン発信機の位置座標と固有識別情報との対応付けの処理の動作例を示すフローチャートである。携帯端末11には、画像撮像部111による動画像の撮像処理と、電波受信部112によるビーコン発信機101の発信するビーコン信号の受信処理とを、時刻同期して行うアプリケーションのプログラムがインストールされており、ユーザがこのアプリケーションを起動して、以下の処理が行われる。
【0056】
ステップS101:
ユーザは、携帯端末11を携帯して、屋内施設500内を移動しつつ、屋内施設500内の3次元空間の3次元形状の撮像を行う。
このとき、携帯端末11の画像撮像部111は、撮像した動画像のフレーム画像のデータを、このフレーム画像を撮像した時刻を示すタイムスタンプを付加して、ビーコン発信機位置抽出サーバ12に対して送信する。
また、電波受信部112は、受信したビーコン信号の計測電波強度のデータを、この計測電波強度を計測した時刻を示すタイムスタンプ及びビーコン信号を発信したビーコン発信機101の固有識別情報(ビーコン信号から抽出)を付加して、ビーコン発信機位置抽出サーバ12に対して送信する。
【0057】
このとき、データ入出力部121は、携帯端末11から供給されるフレーム画像のデータを、タイムスタンプとともに、記憶部129における動画像データテーブル、画像記憶領域のそれぞれに対して書き込んで記憶させる。
また、データ入出力部121は、携帯端末11から供給されるビーコン信号の計測電波強度を、タイムスタンプとともに、記憶部129における固有識別情報に対応する計測電波強度テーブルに対して書き込んで記憶させる。
そして、例えば、ユーザは、屋内施設500内を移動して、内部の3次元形状を撮像した後、終了ボタンを押下する。これにより、携帯端末11は、データの取得処理が終了したことを示す終了信号を、ビーコン発信機位置抽出サーバ12に対して送信する。
【0058】
ステップS102:
3次元形状生成部122は、順次、記憶部129における動画像データテーブルのフレーム画像インデックスを参照し、動画像のフレーム画像のデータを画像記憶領域から読み出す。そして、3次元形状生成部122は、各フレーム画像の画像特徴量を抽出し、特徴点を対応付けて、屋内施設500内の3次元形状の3次元点群を生成する。
この際、3次元形状生成部122は、3次元座標系内における画像撮像部111がフレーム画像の各々を撮像したときの撮像位置(座標値)及び撮像方向の各々を求める。
【0059】
ステップS103:
次に、3次元形状生成部122は、生成した3次元点群に基づき、屋内施設500内の3次元形状の復元を行い、屋内施設500内における移動体などの測位に用いる3次元座標系(3次元マップ)を生成する。
そして、3次元形状生成部122は、生成した3次元座標系としての3次元形状のデータを記憶部129に対して書き込んで記憶させる。
【0060】
ステップS104:
点滅装置検出部123は、3次元形状生成部122が求めたフレーム画像間において対応する特徴点から、フレーム画像間において輝度が経時的に変化する特徴点を検出する。そして、点滅装置検出部123は、検出した特徴点に対応する座標値を、3次元形状生成部122が生成した3次元座標系における点滅装置102の各々の座標値として抽出する。
そして、点滅装置検出部123は、記憶部129に点滅装置102の座標値毎に設けられた形状対応距離テーブルに対し、タイムスタンプと、このタイムスタンプに撮像されたフレーム画像を撮像した際の撮像位置及び撮像角度を書き込んで記憶させる。
【0061】
ステップS105:
形状対応距離算出部124は、フレーム画像が撮像されたタイムスタンプ毎に、携帯端末11の位置とビーコン発信機101との3次元座標系における距離である形状対応距離を、携帯端末11及びビーコン発信機101の各々の位置座標(撮像位置)と、フレーム画像を撮像した撮像角度とにより算出する。
そして、形状対応距離算出部124は、記憶部129における点滅装置102(座標値)単位で設けられた形状対応距離テーブルに対し、タイムスタンプ毎に算出した形状対応距離を書き込んで記憶させる。
【0062】
ステップS106:
電波対応距離算出部125は、ビーコン発信機101の各々が発信するビーコン信号の計測電波強度から、上記(1)式を用いて、タイムスタンプ毎に携帯端末11とビーコン発信機101との距離である電波対応距離を算出する。
そして、電波対応距離算出部125は、固有識別情報毎に記憶部129に設けられた計測電波強度テーブルに対して、それぞれの固有識別情報に対応する固有識別情報のビーコン発信機101から発信されたビーコン信号の算出した計測電波強度を、書き込んで記憶させる。
【0063】
ステップS107:
類似度算出部126は、記憶部129における点滅装置102毎(座標値毎)に設けられた形状対応距離テーブルを参照し、タイムスタンプ毎の形状対応距離のデータを連結し、点滅装置102毎の時刻に対する形状対応距離の変化を示す形状距離変化曲線を求める。
また、類似度算出部126は、記憶部129におけるビーコン発信機101毎(固有識別情報毎)毎に設けられた電波対応距離テーブルを参照し、タイムスタンプ毎の電波対応距離のデータを連結し、ビーコン発信機101毎の時刻に対する電波対応距離の変化を示す電波距離変化曲線を求める。
【0064】
次に、類似度算出部126は、点滅装置102毎の形状距離変化曲線と、ビーコン発信機101毎の電波距離変化曲線との各々の組合わせ毎の類似度を求める。
そして、類似度算出部126は、記憶部129に対して、求めた組合わせ毎の類似度を書き込んで記憶させる。
【0065】
ステップS108:
発信機位置抽出部127は、記憶部129を参照して、類似度算出部126が求めたビーコン発信機101の電波距離変化曲線60各々と、点滅装置102の形状距離変化曲線50各々との組合わせの類似度において、例えばビーコン発信機101の電波距離変化曲線60毎に、最も類似度が大きい組合わせを抽出する。
すなわち、発信機位置抽出部127は、時刻に対する距離変化が類似する形状距離変化曲線50と電波距離変化曲線60との組合わせを抽出することで、屋内施設500内における点滅装置102から求めた座標値と、この点滅装置102が備えられたビーコン発信機101の固有識別情報との対応が求められる。
【0066】
そして、対応テーブル生成部128は、発信機位置抽出部127が抽出した形状距離変化曲線50及び電波距離変化曲線60の組合わせにおいて、この形状距離変化曲線50に対応する点滅装置102の座標値と、電波距離変化曲線60に対応するビーコン発信機101の固有識別情報とを対応付けて、記憶部129における対応テーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0067】
ステップS109:
対応テーブル生成部128は、記憶部129における対応テーブルを参照し、ビーコン発信機101の固有識別情報と、点滅装置102の座標値との対応した数と、屋内施設500内に配置したビーコン発信機101及び点滅装置102の各々の全ての数と一致しているか否かの判定を行う。
【0068】
このとき、対応テーブル生成部128は、固有識別情報と座標値との対応した数が、ビーコン発信機101及び点滅装置102の各々の全ての数と一致している場合、処理をステップS110へ進める。
一方、対応テーブル生成部128は、固有識別情報と座標値との対応した数が、ビーコン発信機101及び点滅装置102の各々の全ての数と一致していない場合、処理をステップS111へ進める。
【0069】
ステップS110:
対応テーブル生成部128は、記憶部129における対応テーブルを図示しない表示画面に対して表示する。
そして、対応テーブル生成部128は、屋内施設500内における3次元形状を復元した3次元マップが生成され、かつ屋内施設500内に配置したビーコン発信機101の各々の3次元座標系における座標値が対応付けられたことを示す画像を、上記表示画面に対して終了通知として表示する。
また、データ入出力部121は、必要(外部装置からの要求)に応じて、屋内施設500内の移動体の測位を行う外部装置に対して、上記対応テーブル及び3次元座標系における3次元形状を示す3次元マップを出力する。
【0070】
ステップS111:
ユーザは、ビーコン発信機位置抽出サーバ12を操作し、上記表示画面に対して3次元マップの画像を表示させ、ビーコン発信機101の各々を特定のマーク画像により示す。
このとき、例えば、ビーコン発信機101を10台配置したにもかかわらず、ビーコン発信機101を示すマーク画像が9個しかない場合、座標値の検出が行われない点滅装置102があるとして、表示画面において動画像を観察する。
【0071】
そして、ユーザは、点滅装置102が点滅している位置に、ビーコン発信機101を示すマーク画像が表示されない場合、その座標をマウスによりクリックし、ビーコン発信機位置抽出サーバ12に対して処理継続を行わせる。
このとき、点滅装置検出部123は、ユーザがクリックした座標値を、動画像のデータから抽出した点滅装置102の座標値に加える。
これにより、点滅装置検出部123は、処理をS105に戻す。
【0072】
上述したように、本実施形態によれば、点滅装置102が備えられた複数のビーコン発信機101の各々が配置されている屋内施設500を、順次、ビーコン発信機101がフレーム画像に含まれるように、携帯端末11を携帯したユーザが移動しつつ動画像を撮像することにより、屋内施設500の3次元形状とともに、この3次元形状の3次元座標系におけるビーコン発信機101の座標値と、この座標値のビーコン発信機101の固有識別情報との対応関係を一括して容易に求めることができる。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、イベント会場などにおいて、入場者の各々の動線を求めるために用いるビーコン発信機101の座標値とこのビーコン発信機101の固有識別情報との対応を、CADデータを用いずとも簡易に求めることが可能となる。
これにより、本実施形態によれば、イベント会場などにおいて、入場者の動線に基づいて、配置を換えても、リアルタイムに新たな屋内施設の3次元形状と、この3次元形状の3次元座標系におけるビーコン発信機101の座標値と、この座標値のビーコン発信機101の固有識別情報との対応関係を一括して容易に求めることができる。
【0074】
また、上述した実施形態において、点滅装置102の所定の点滅周期内における点灯及び消灯の2値として説明したが、点灯の際の輝度を経時的に変化させても良い。本実施形態において、共通の点滅装置102を用いるため、点滅装置102の各々は、点滅周期の時間幅及び点滅パターンが同様とされている。
図8は、本実施形態における点滅装置102の点滅周期における輝度値の変化パターンを示す図である。図8(a)は、本実施形態で説明したように、点滅周期Tにおいて、点灯と消灯との2値による点滅装置102の点滅パターンを示している。
【0075】
一方、図8(b)は、点滅周期Tにおいて、サイン波の形状の輝度値変化による点滅装置102の点滅パターンを示している。また、図8(c)は、点滅周期Tにおいて、三角波の形状の輝度値変化による点滅装置102の点滅パターンを示している。
上述した輝度値の時間的に変化する点滅パターンを用いることにより、充電器などの他の点滅する光源と、点滅パターンにより区別することにより、点滅装置102の位置座標の検出における他の機器の点滅を除去することができ、ビーコン発信機101の座標値と、ビーコン発信機101の固有識別情報とを対応させる処理の精度を向上させることができる。
【0076】
また、時間変化(すなわち、時刻変化)する輝度値の点滅パターンを用いるのではなく、点滅装置102としては、点滅周期Tにおける点灯色を変更する構成としても良い。例えば、転送周期において赤色の点灯時間と青色の点灯時間とを設けることにより、他の機器の点滅と区別することもできる。
これにより、点滅パターンにより区別する場合と同様に、点滅装置102の位置座標の検出における他の機器の点滅を除去することができ、ビーコン発信機101の座標値と、ビーコン発信機101の固有識別情報とを対応させる処理の精度を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態における携帯端末11の画像撮像部111は、白飛びや黒つぶれを防止する際における撮像するフレーム画像毎の明るさの調整を、画素値のゲイン補正により行う構成とする。すなわち、フレーム画像の明るさの調整に対しては、絞りやHDR(High Dynamic Range)を用いない構成として(設定として)、画像撮像部111の撮像を行う。
画像撮像部111は、フレーム画像をビーコン発信機位置抽出サーバ12に出力する際、タイムスタンプ及びフレーム画像とともに、このフレーム画像を撮像した際のゲイン補正値を出力する。また、画像撮像部111は、ゲイン補正値が取得できない撮像装置の場合、3次元形状生成部122で計算した画像特徴点の対応から画素値における輝度変化を求め、ゲイン補正値を推定して出力する。
【0078】
そして、データ入出力部121は、携帯端末11から供給される、動画像におけるフレーム画像とタイムスタンプとゲイン補正値を対応させて、記憶部129に対して書き込んで記憶させる。
【0079】
図9は、記憶部129に記憶されている動画像データテーブルの他の構成例を示す図である。図9の動画像データテーブルにおいて、レコード毎に、タイムスタンプ、フレーム画像インデックス及びゲイン補正値の各々の欄が設けられている。
ここで、タイムスタンプは、動画像におけるフレーム画像の各々が撮像された時刻を示している。フレーム画像インデックスは、記憶部129の画像記憶領域における、タイムスタンプに対応するフレーム画像の各々が書き込まれているアドレスを示している。ゲイン補正値は、フレーム画像を撮像した際のゲイン補正値を示している。
【0080】
点滅装置検出部123は、点滅装置102の位置座標の検出の際、動画像データテーブルのフレーム画像インデックスに対応して、類似度を算出する時刻範囲のフレーム画像のデータを読み出すとともに、それぞれのフレーム画像のゲイン補正値を読み出す。
そして、点滅装置検出部123は、いずれかのフレーム画像のゲイン補正値を基準とし、他のフレーム画像のゲイン補正値を基準のフレーム画像のゲイン補正となるように、フレーム画像の各画素の画素値を補正する。
【0081】
点滅装置検出部123は、基準のフレーム画像の現補正値に補正後の動画像のフレーム画像を用いて、点滅装置102の3次元座標系における座標値を抽出する。
これにより、点滅装置102の点滅の輝度を統一したゲイン補正値により観察することができるため、図8に示す点滅周期Tの時間幅、サイン波あるいは三角波の形状を精度良く判定することができ、他の機器の点滅と容易に区別することができる。
【0082】
また、本実施形態においては、動画像から屋内施設500の3次元形状を求めていたが、レーザーなどを用いた3次元形状計測器を用いて、屋内施設500の3次元点群を求めても良い。そして、3次元形状計測器で求めた3次元点群と、画像撮像部111の撮像した動画像におけるフレーム画像の特徴点とを対応付けて、3次元マップとしての3次元形状を復元する構成としても良い。
この場合には、画像撮像部111と3次元形状計測器との相対位置関係が固定されて、3次元点群と特徴点と対応が校正済みとする必要がある。これにより、画像撮像部111の撮像した動画像により求めた3次元形状を、3次元形状計測器により取得した3次元点群で校正することで、高い精度により屋内施設500の3次元形状を復元することができる。
【0083】
また、上述した実施形態においては、ビーコン発信機101のビーコン信号の測位電波強度の時間変化を用いて、携帯端末11及びビーコン発信機101間の電波対応距離を求めていた。
しかしながら、他の実施形態として、電波対応距離算出部125がビーコン信号の到来時間(TOA(time of arrival))に対して、電波の到来速度を乗じることにより電波対応距離を求める構成としても良い。この場合、全てのビーコン発信機101のビーコン信号の発信の時刻は同期が取れている必要が有る。また、ビーコン発信機101がビーコン信号を発信してから電波受信部112が受信するまでの電波の到来時間を、高い精度により計測する必要があるため、携帯端末11の電波受信部112が用いる時計も、ビーコン発信機101の時計と同期が取れている必要がある。
【0084】
また、ビーコン信号の到来角度(AOA(anble of arrival))から、ビーコン発信機101の座標値を検出する構成としても良い。
この構成の場合、画像撮像部111の撮像方向と、電波受信部112のアレイアンテナの形成されたアレイアンテナ形成面の法線方向とは同一方向に固定されている必要がある。
3次元座標系におけるビーコン信号の到来角度を、3次元形状の復元の際に算出される画像撮像部111の撮像位置と撮像方向とに対応させ、電波受信部112のアレイアンテナにより求めたビーコン信号の到来角度を、3次元座標系における到来角度に変更する。
【0085】
次に、発信機位置抽出部127は、到来角度からビーコン信号の到来方向に直線を伸ばし、固有識別情報毎のビーコン発信機101からのビーコン信号の到来方向を示す直線の交点に対し、最も近い点滅装置102の座標値を抽出する。
そして、発信機位置抽出部127は、交点と最も近いとして抽出した点滅装置102の座標値と、この交点を形成する到来方向に対応するビーコン信号を発信するビーコン発信機101の固有識別情報とを対応付ける。
【0086】
なお、本発明における図1の携帯端末11及びビーコン発信機位置抽出サーバ12の各々機能を実現するためのそれぞれのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたそれぞれのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、屋内施設内の3次元形状を取得する処理、及びビーコン発信機の固有識別情報とビーコン発信機の屋内施設内の3次元座標系における座標値との対応関係と特定する処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0087】
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0088】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0089】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1…ビーコン発信機位置抽出システム
11…携帯端末
12…ビーコン発信機位置抽出サーバ
101,101_1,101_2,101_3…ビーコン発信機
102,102_1,102_2,102_3…点滅装置
111…画像撮像部
112…電波受信部
121…データ入出力部
122…3次元形状生成部
123…点滅装置検出部
124…形状対応距離算出部
125…電波対応距離算出部
126…類似度算出部
127…発信機位置抽出部
128…対応テーブル生成部
129…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9