(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】テーブル装置
(51)【国際特許分類】
G12B 5/00 20060101AFI20220726BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220726BHJP
B23Q 1/62 20060101ALI20220726BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G12B5/00 T
H01L21/68 K
B23Q1/62 C
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2018151796
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】倉持 尚史
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸明
(72)【発明者】
【氏名】杉田 澄雄
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-223021(JP,A)
【文献】国際公開第2009/142258(WO,A1)
【文献】特開2011-40740(JP,A)
【文献】特開2018-56485(JP,A)
【文献】特開2002-254949(JP,A)
【文献】特開2011-105168(JP,A)
【文献】国際公開第2008/075616(WO,A1)
【文献】特開2012-63613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G12B 5/00
H01L 21/68
B23Q 1/00 - 1/76
G03F 7/20 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面側の第1空間と、前記第2面側の第2空間とを区切る板状部材と、
前記板状部材と対向する第1基板と、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に設けられた、第1磁石及び少なくとも1つ以上の第2磁石を含む複数の一組の磁石と、
前記板状部材を介して前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第2基板の、前記板状部材と対向する面に設けられ、前記板状部材を介して複数の前記一組の磁石とそれぞれ対向する複数の第3磁石と、を有し、
前記第1磁石は、前記第3磁石と対向し、前記第3磁石との間に引力を発生させ、
前記第2磁石は、前記第1磁石と隣り合って配置され、前記第3磁石との間に斥力を発生させて、前記第1磁石と前記第3磁石との間に発生する引力を減少させる
テーブル装置。
【請求項2】
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に垂直な方向から見たときの平面視で、前記第2磁石の少なくとも一部は、前記第3磁石と重ならない位置に設けられる
請求項1に記載のテーブル装置。
【請求項3】
前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第1方向の一方に設けられ、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられて、
前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、L字状に配置される
請求項1又は請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項4】
前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第1方向の一方に設けられ、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられ、
前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられた前記第2磁石の前記第1方向の長さは、前記第1磁石の前記第1方向の長さよりも長い
請求項1又は請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項5】
前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第1磁石は、2つの前記第2磁石の間に設けられ、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第1磁石は、2つの前記第2磁石の間に設けられて、
前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、十字状に配置される
請求項1又は請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項6】
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向を第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向としたときに、
前記第2方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられ、
前記第2磁石の前記第1方向の長さは、前記第1磁石の前記第1方向の長さよりも長く、
前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、T字状に配置される
請求項1又は請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項7】
前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向を第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向としたときに、
前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方及び他方に設けられ、
前記第2方向の一方及び他方に設けられた前記第2磁石の、それぞれの前記第1方向の長さは、前記第1磁石の前記第1方向の長さよりも長く、
前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、H字状に配置される
請求項1又は請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項8】
前記一組の磁石は、さらに第4磁石を有し、
前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第1磁石は、前記第2磁石と前記第4磁石との間に設けられ、
前記第2磁石と、前記第4磁石とは、前記板状部材と対向する面に垂直な方向から見たときの平面視で、異なる形状を有する
請求項1又は請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項9】
前記第1基板は、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向に対向する第1辺及び第2辺と、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向に対向する第3辺及び第4辺とを有し、
前記第1基板の前記第1辺側及び前記第2辺側には、それぞれ前記一組の磁石が設けられ、
前記第1方向において、前記第1辺側に配置された前記第1磁石と、前記第2辺側に配置された前記第1磁石との間に、前記第1辺側に配置された前記第2磁石と、前記第2辺側に配置された前記第2磁石が配置され、
又は、前記第1方向において、前記第1辺側に配置された前記第2磁石と、前記第2辺側に配置された前記第2磁石との間に、前記第1辺側に配置された前記第1磁石と、前記第2辺側に配置された前記第1磁石が配置される
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【請求項10】
前記第1基板の前記第3辺側及び前記第4辺側には、それぞれ前記一組の磁石が設けられ、
前記第2方向において、前記第3辺側に配置された前記第1磁石と、前記第4辺側に配置された前記第1磁石との間に、前記第3辺側に配置された前記第2磁石と、前記第4辺側に配置された前記第2磁石が配置され、
又は、前記第2方向において、前記第3辺側に配置された前記第2磁石と、前記第4辺側に配置された前記第2磁石との間に、前記第3辺側に配置された前記第1磁石と、前記第4辺側に配置された前記第1磁石が配置される
請求項9に記載のテーブル装置。
【請求項11】
前記第1基板は、前記板状部材の前記第1面と対向して設けられ、
前記第2基板は、前記板状部材の前記第2面と対向して設けられ、
前記第1空間に設けられ、前記第1基板を移動させる移動機構と、
前記第2基板と前記第2面との間に設けられ、前記第2基板を移動可能に支持する転がり案内装置と、を有する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【請求項12】
前記第1基板は、前記板状部材の前記第2面と対向して設けられ、
前記第2基板は、前記板状部材の前記第1面と対向して設けられ、
前記第1空間に設けられ、前記第2基板を移動させる移動機構と、
前記第1基板と前記第2面との間に設けられ、前記第1基板を移動可能に支持する転がり案内装置と、を有する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置、工作機械又は半導体製造装置には、真空雰囲気や特殊ガス雰囲気のプロセス室内で、テーブルをスライド移動させて位置決めするテーブル装置が用いられる。特許文献1に記載されているステージ装置は、ステージと、ステージの両サイドに設けられた固定子移動ユニットと、ステージと連結された移動型固定子と、を有する。
【0003】
特許文献1では、固定子移動ユニットにコイルが配置され、移動型固定子に磁石が配置される。コイルと磁石との間に発生する引力により、固定子移動ユニットの移動に伴って移動型固定子及びステージが移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような磁気カップリングによりステージを移動させるステージ装置では、磁石の磁力を大きくすることで、駆動側の磁石と従動側の磁石との間の引力が大きくなり、ステージの追従性が向上する。しかし、磁石の磁力を大きくした場合、磁石の引力によりステージを取り外すことが困難になる等、ステージ装置の組み立てが困難になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、磁石の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能なテーブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るテーブル装置は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面側の第1空間と、前記第2面側の第2空間とを区切る板状部材と、前記板状部材と対向する第1基板と、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に設けられた、第1磁石及び少なくとも1つ以上の第2磁石を含む複数の一組の磁石と、前記板状部材を介して前記第1基板と対向する第2基板と、前記第2基板の、前記板状部材と対向する面に設けられ、前記板状部材を介して複数の前記一組の磁石とそれぞれ対向する複数の第3磁石と、を有し、前記第1磁石は、前記第3磁石と対向し、前記第3磁石との間に引力を発生させ、前記第2磁石は、前記第1磁石と隣り合って配置され、前記第3磁石との間に斥力を発生させて、前記第1磁石と前記第3磁石との間に発生する引力を減少させる。
【0008】
これにより、移動機構等が設けられた第1空間と、第2基板等が設けられた第2空間とは、板状部材によって区切られる。そして、第1磁石と第3磁石との間の引力により、第2基板は、第1基板に向かう方向に引力が作用する。これにより、第1基板と第2基板との相対的な位置関係が規定される。例えば第1基板が移動すると、第1磁石と第3磁石との間の引力により、第1基板に追従して第2空間に設けられた第2基板が移動する。このとき、第1基板及び第2基板には、第1磁石と第3磁石との間の引力の他に、第2磁石と第3磁石との間の斥力が作用する。これにより、第1基板が移動したときの、第1基板と第2基板との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。すなわち、第1磁石と第3磁石との相対的な位置がずれて、第2磁石と第3磁石とが対向しようとしても、互いの斥力により押し戻され、第1磁石と第3磁石との相対的な位置は維持される。したがって、テーブル装置は、磁石の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【0009】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に垂直な方向から見たときの平面視で、前記第2磁石の少なくとも一部は、前記第3磁石と重ならない位置に設けられる。
【0010】
これによれば、第2磁石は、第1磁石と第3磁石との間に発生する引力を減少させることができる。このため、テーブル装置は、第2基板を取り外す等の組み立てが容易になる。また、第1基板が移動した場合に、第2磁石と第3磁石との間の斥力により、第2磁石と第3磁石とが重ならないように、つまり、第3磁石と第1磁石とが対向するように、一組の磁石と第3磁石との相対的な位置関係が保持される。これにより、第1基板が移動したときに、第1基板と第2基板との相対的な位置を保持しつつ、第2基板は第1基板に追従する。
【0011】
テーブル装置の望ましい態様として、前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第1方向の一方に設けられ、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられて、前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、L字状に配置される。
【0012】
これによれば、第2磁石と第3磁石との間に発生する斥力により、第1方向の一方及び第2方向の一方において、第1基板と第2基板との相対的な位置ずれが抑制される。また、第1磁石の第1方向の他方及び第2方向の他方には第2磁石が設けられていないため、テーブル装置の組み立てにおいて、第1磁石と第3磁石とが対向するように第1基板と第2基板とを位置決めすることが容易である。
【0013】
テーブル装置の望ましい態様として、前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第1方向の一方に設けられ、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられ、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられた前記第2磁石の前記第1方向の長さは、前記第1磁石の前記第1方向の長さよりも長い。
【0014】
これによれば、第2方向の一方に設けられた第2磁石と第3磁石との間に発生する斥力により、第2方向の一方において、一組の磁石と第3磁石との相対的な位置関係がより良好に保持される。したがって、第2方向の一方において、第1基板と第2基板との相対的な位置ずれが抑制される。
【0015】
テーブル装置の望ましい態様として、前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第1磁石は、2つの前記第2磁石の間に設けられ、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第1磁石は、2つの前記第2磁石の間に設けられて、前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、十字状に配置される。
【0016】
これによれば、第1磁石と第3磁石との間に発生する引力がより小さくなる。また、一組の磁石のそれぞれにおいて、第1磁石と第3磁石との間の引力の他に、第2磁石と第3磁石との間に生じる斥力が、第1方向及び第2方向に作用する。このため、第1基板が第1方向及び第2方向に移動した場合での、第1基板と第2基板との相対的な位置が精度よく保持される。
【0017】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向を第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向としたときに、前記第2方向において、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方に設けられ、前記第2磁石の前記第1方向の長さは、前記第1磁石の前記第1方向の長さよりも長く、前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、T字状に配置される。
【0018】
これによれば、第2方向の一方において、第1基板と第2基板との相対的な位置ずれが抑制される。また、一組の磁石のそれぞれにおいて、第1磁石の一方にのみ第2磁石が設けられ、三方には第2磁石が設けられていない。このため、テーブル装置の組み立てにおいて、第1磁石と第3磁石とが対向するように第1基板と第2基板との位置決めすることが容易である。
【0019】
テーブル装置の望ましい態様として、前記一組の磁石は、複数の前記第2磁石を有し、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な方向を第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向としたときに、前記第2磁石は、前記第1磁石の、前記第2方向の一方及び他方に設けられ、前記第2方向の一方及び他方に設けられた前記第2磁石の、それぞれの前記第1方向の長さは、前記第1磁石の前記第1方向の長さよりも長く、前記第1磁石及び複数の前記第2磁石は、H字状に配置される。
【0020】
これによれば、一組の磁石のそれぞれにおいて、第1磁石と第3磁石との間の引力の他に、第2磁石と第3磁石との間に生じる斥力が、第2方向の一方及び他方に作用する。このため、第1基板が第2方向の一方及び他方に移動した場合での、第1基板と第2基板との相対的な位置が精度よく保持される。
【0021】
テーブル装置の望ましい態様として、前記一組の磁石は、さらに第4磁石を有し、前記第1基板の、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向において、前記第1磁石は、前記第2磁石と前記第4磁石との間に設けられ、前記第2磁石と、前記第4磁石とは、前記板状部材と対向する面に垂直な方向から見たときの平面視で、異なる形状を有する。
【0022】
これによれば、一組の磁石において、異なる形状を有する磁石を組み合わせることができる。
【0023】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板は、前記板状部材と対向する面に平行な第1方向に対向する第1辺及び第2辺と、前記板状部材と対向する面に平行な方向であって、前記第1方向と交差する第2方向に対向する第3辺及び第4辺とを有し、前記第1基板の前記第1辺側及び前記第2辺側には、それぞれ前記一組の磁石が設けられ、前記第1方向において、前記第1辺側に配置された前記第1磁石と、前記第2辺側に配置された前記第1磁石との間に、前記第1辺側に配置された前記第2磁石と、前記第2辺側に配置された前記第2磁石が配置され、又は、前記第1方向において、前記第1辺側に配置された前記第2磁石と、前記第2辺側に配置された前記第2磁石との間に、前記第1辺側に配置された前記第1磁石と、前記第2辺側に配置された前記第1磁石が配置される。
【0024】
これによれば、第1方向において、第1基板と第2基板との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。したがって、テーブル装置は、磁石の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【0025】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板の前記第3辺側及び前記第4辺側には、それぞれ前記一組の磁石が設けられ、前記第2方向において、前記第3辺側に配置された前記第1磁石と、前記第4辺側に配置された前記第1磁石との間に、前記第3辺側に配置された前記第2磁石と、前記第4辺側に配置された前記第2磁石が配置され、又は、前記第2方向において、前記第3辺側に配置された前記第2磁石と、前記第4辺側に配置された前記第2磁石との間に、前記第3辺側に配置された前記第1磁石と、前記第4辺側に配置された前記第1磁石が配置される。
【0026】
これによれば、第2方向において、第1基板と第2基板との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。
【0027】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板は、前記板状部材の前記第1面と対向して設けられ、前記第2基板は、前記板状部材の前記第2面と対向して設けられ、前記第1空間に設けられ、前記第1基板を移動させる移動機構と、前記第2基板と前記第2面との間に設けられ、前記第2基板を移動可能に支持する転がり案内装置と、を有する。
【0028】
これによれば、第1基板、一組の磁石及び移動機構は、第1空間に設けられ、第2基板及び第3磁石は、ワークを操作する第2空間に設けられる。つまり、第1基板及び一組の磁石は駆動側であり、第2基板及び第3磁石は従動側である。第2基板に設けられた磁石の数は、第1基板に設けられた磁石の数よりも少なく、第2基板の構成は第1基板よりも簡易である。このため、第2空間でのクリーン度を保つことができる。
【0029】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板は、前記板状部材の前記第2面と対向して設けられ、前記第2基板は、前記板状部材の前記第1面と対向して設けられ、前記第1空間に設けられ、前記第2基板を移動させる移動機構と、前記第1基板と前記第2面との間に設けられ、前記第1基板を移動可能に支持する転がり案内装置と、を有する。
【0030】
これによれば、第1基板及び一組の磁石は、ワークを操作する第2空間に設けられ、第2基板、第3磁石及び移動機構は、第1空間に設けられる。つまり、第1基板及び一組の磁石は従動側であり、第2基板及び第3磁石は駆動側である。このような構成であっても、テーブル装置は、磁石の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、磁石の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るテーブル装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、第2移動機構の一例を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第1変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図9】
図9は、第3変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図10】
図10は、第4変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図11】
図11は、第5変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図12】
図12は、第6変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図13】
図13は、第7変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図14】
図14は、第8変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図15】
図15は、第9変形例に係る第1基板の平面図である。
【
図16】
図16は、第10変形例に係る第1基板の斜視図である。
【
図17】
図17は、第11変形例に係る第1基板の斜視図である。
【
図18】
図18は、第12変形例に係る板状部材の平面図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係るテーブル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係るテーブル装置の斜視図である。
図2は、
図1におけるA-A断面図である。
図3は、第1基板の平面図である。
図4は、第2基板の平面図である。
図5は、
図3におけるV-V’断面図である。
図6は、第2移動機構の一例を示す側面図である。
【0035】
図1に示すように、テーブル装置1は、筐体2と、第1テーブル3と、第2テーブル4と、第1移動機構6と、第2移動機構7とを含む。第1テーブル3、第1移動機構6及び第2移動機構7は、筐体2の内側の第1空間Pに設けられる。第2テーブル4は、筐体2の外側の第2空間Rに設けられる。第2空間Rは、特定の環境を維持し、操作対象物の位置決めや、加工、検査等を行うための空間である。第2空間Rは、作業に適した特定の環境を維持できる空間であればよい。第2空間Rは、真空、減圧、ガス置換(減圧又は陽圧)、温度の異なる空間、クリーン環境、異物環境等の様々な環境に適用可能である。例えば、テーブル装置1は、細胞等のサンプルの採取や各種検査等を行うバイオ用途に用いられる。この場合、第2空間Rはクリーン環境であり、第2空間R内の第2テーブル4は、高温蒸気滅菌や乾熱滅菌などにより滅菌処理が施される。
【0036】
筐体2は、板状部材21を含む。板状部材21は、筐体2の側面に対して垂直な方向に延出する板状の部材であり、筐体2と一体に設けられる。第1空間Pと第2空間Rとは板状部材21によって区切られている。本実施形態では、板状部材21は非磁性体であり、非磁性ステンレス等が用いられる。非磁性ステンレスとして、合金オーステナイト系ステンレス(例えばSUS316等)が挙げられる。
【0037】
なお、本実施形態において、水平面内の一方向をX方向とし、水平面内においてX方向と交差する方向をY方向とし、X方向及びY方向のそれぞれと交差する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。板状部材21は、X方向とY方向とが成す平面と平行となっている。
【0038】
図2に示すように、板状部材21は、第1面21aと、第1面21aと反対側の第2面21bとを有する。第1空間Pは、第1面21a側の空間である。第2空間Rは、第2面21b側の空間である。板状部材21によって、第1空間Pと第2空間Rとが分離されている。板状部材21は、第1空間Pと第2空間Rとを連通する孔部等が設けられていない連続した板状の部材である。板状部材21には、少なくとも第1テーブル3及び第2テーブル4の可動範囲と重なる領域で連続しており、孔部等が設けられていない。これにより、第1移動機構6及び第2移動機構7の動作により発生する異物を含む気体が、第1空間Pから第2空間Rに流入することを抑制できる。したがって、テーブル装置1は、第2空間Rの環境を維持することができる。
【0039】
第1テーブル3は、第1基板31と、複数の第1転がり案内装置34と、複数の一組の磁石35と、を含む。第1基板31は、第1主面31aと、第1主面31aと反対側の第2主面31bとを有する板状の部材である。第1基板31の第1主面31aは、板状部材21の第1面21aと離隔して対向する。第1基板31の第2主面31bは、第2移動機構7の連結部77と連結される。第1基板31は、第1移動機構6及び第2移動機構7の動作により、板状部材21の第1面21aと平行な面内を移動する。
【0040】
複数の一組の磁石35及び複数の第1転がり案内装置34は、第1基板31の第1主面31aに設けられる。言い換えると、複数の一組の磁石35及び複数の第1転がり案内装置34は、第1基板31と板状部材21との間に設けられる。本実施形態において、一組の磁石35は、第1磁石36と、少なくとも1つ以上の第2磁石37とを有する。第2磁石37は第1磁石36と隣り合って設けられる。
【0041】
第1転がり案内装置34は、ハウジング341と、ボール342とを含む。ハウジング341は第1基板31に固定される。ボール342は、ハウジング341の凹部内に回転可能に設けられている。ボール342は、板状部材21の第1面21aと接している。第1転がり案内装置34は、例えば、ボールローラであり、ボール342の回転により、第1基板31は、板状部材21の第1面21aに沿って自由に移動可能になっている。第1転がり案内装置34が設けられているため、複数の一組の磁石35が板状部材21に接触することを抑制でき、第1基板31がスムーズに移動できる。なお、一組の磁石35と第3磁石との間の引力と、板状部材21の剛性が適切に設定されていれば、第1転がり案内装置34は必ずしも必要ではない。
【0042】
第2テーブル4は、第2基板41と、複数の第2転がり案内装置44と、複数の第3磁石45と、を含む。第2基板41は、第3主面41aと、第3主面41aと反対側の第4主面41bとを有する板状の部材である。第2基板41の第4主面41bは、板状部材21の第2面21bと離隔して対向する。つまり、第2基板41は、板状部材21を介して第1基板31と対向する。第2基板41の第3主面41aは、操作対象物が載置される面である。
【0043】
第2転がり案内装置44及び第3磁石45は、第2基板41の第4主面41bに設けられる。言い換えると、第2転がり案内装置44及び第3磁石45は、第2基板41と板状部材21との間に設けられる。
【0044】
第2転がり案内装置44は、ハウジング441と、ボール442とを含む。第2転がり案内装置44は、第1転がり案内装置34と同様の構成であり、例えば、ボールローラである。第2転がり案内装置44は、第2基板41を、板状部材21の第1面21aに沿って自由に移動可能に支持する。また、第2転がり案内装置44が設けられているため、第3磁石45が板状部材21に接触することを抑制できる。このため、第2基板41は、第1基板31の移動に追従してスムーズに移動できる。
【0045】
一組の磁石35において、第1磁石36と第2磁石37とは、それぞれ異なる極が第2基板41に対向している。第1磁石36は、Z方向から見たときに第2基板41に設けられた第3磁石45と重なる位置に設けられ、第1磁石36と第3磁石45とは互いに異なる極が対向するように配置される。また、第2磁石37は、Z方向から見たときに第3磁石45と重ならない位置に設けられる。これにより、第1磁石36は、第3磁石45との間に引力を発生させる。また第2磁石37は、第3磁石45との間に斥力を発生させて、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力を減少させる。
【0046】
これにより、一組の磁石35と第3磁石45との間には、引力F1が発生する。第2基板41には、第1基板31に向かう方向の引力F1が作用する。これにより、第2基板41は、第1基板31の移動に追従して、板状部材21の第2面21bに沿って移動可能となっている。
【0047】
第1磁石36、第2磁石37及び第3磁石45は、例えば耐熱ネオジム磁石やコバルト磁石を用いることができる。耐熱ネオジム磁石の耐熱温度は、150℃程度である。コバルト磁石の耐熱温度は200℃程度である。
【0048】
図3に示すように、第1基板31は、平面視で矩形状である。なお、
図3は、第1基板31の第1主面31a側から見たときの平面図である。第1基板31は、第1辺31c、第2辺31d、第3辺31e及び第4辺31fを有する。第1辺31c及び第2辺31dは、Y方向に延出する。X方向において、第1辺31cは、第2辺31dと対向する。第3辺31e及び第4辺31fは、X方向に延出する。Y方向において、第3辺31eは、第4辺31fと対向する。
【0049】
ここで、第3辺31eのX方向の中点と、第4辺31fのX方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B1とする。第1辺31cのY方向の中点と、第2辺31dのY方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B2とする。また、X方向において、第2辺31dから第1辺31cに向かう方向を+X方向とし、+X方向と反対方向を-X方向とする。Y方向において、第3辺31eから第4辺31fに向かう方向を+Y方向とし、+Y方向と反対方向を-Y方向とする。
【0050】
第1転がり案内装置34は、第1基板31の第1主面31aの4隅にそれぞれ設けられる。第1基板31の第1主面31aには、8つの一組の磁石35-1、35-2、35-3、35-4、35-5、35-6、35-7、35-8が設けられる。なお、以下の説明において一組の磁石35-1、35-2、35-3、35-4、35-5、35-6、35-7、35-8を区別して説明する必要がない場合には、一組の磁石35と表す。また、
図3では、第2基板41と対向してN極が設けられた第1磁石36及び第2磁石37について斜線を付して示す。第2基板41と対向してS極が設けられた第1磁石36及び第2磁石37について斜線を付していない。
【0051】
一組の磁石35-1、35-2、35-3は、第3辺31eに沿って、第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35-2は、仮想線B1と重なる位置に設けられ、X方向において、一組の磁石35-1と一組の磁石35-3との間に配置される。一組の磁石35-4は、仮想線B2と重なる位置で、第1辺31c側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35-5、35-6、35-7は、第4辺31fに沿って、第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35-8は、仮想線B2と重なる位置で、第2辺31d側の第1主面31aの外縁に設けられる。
【0052】
一組の磁石35-1は、1つの第1磁石36と、4つの第2磁石37とを有する。一組の磁石35-1において、第1磁石36は第2基板41と対向してS極が設けられ、第2磁石37は第2基板41と対向してN極が設けられる。4つの第2磁石37はL字状に配置されている。すなわち、一組の磁石35-1において、第2磁石37は、第1磁石36と-X方向に隣り合って設けられる。また、第2磁石37は、第1磁石36と-Y方向にも隣り合って設けられる。第1磁石36の-Y方向側で、複数の第2磁石37はX方向に並んで配置される。すなわち、複数の第2磁石37のX方向の長さは、第1磁石36のX方向の長さよりも長い。また、第1磁石36の-X方向側で、2つの第2磁石37はY方向に並んで配置される。なお、3つの第2磁石37がX方向に並んで配置されているが、これに限定されず、X方向に並ぶ3つの第2磁石37を、一つの磁石で構成してもよい。
【0053】
一組の磁石35-2は、一組の磁石35-1の配置関係を、第1磁石36を中心に180°回転させた構成である。一組の磁石35-3は、一組の磁石35-1と同様の配置関係であるが、第1磁石36は第2基板41と対向してN極が設けられ、第2磁石37は第2基板41と対向してS極が設けられる。つまり、一組の磁石35-3は、一組の磁石35-1と逆極となっている。一組の磁石35-4は、一組の磁石35-1の配置関係を、第1磁石36を中心に時計回りに90°回転させた構成である。一組の磁石35-5、35-6、35-7は、仮想線B1と仮想線B2との交点C1を対称軸として、一組の磁石35-1、35-2、35-3と点対称となる配置関係となっている。ただし、一組の磁石35-6は、一組の磁石35-2の第1磁石36及び第2磁石37と逆極となっている。一組の磁石35-8は、交点C1を対称軸として、一組の磁石35-4と点対称となる配置関係となっている。ただし、一組の磁石35-8は、一組の磁石35-4の第1磁石36及び第2磁石37と逆極となっている。
【0054】
図4に示すように、第2基板41は、平面視で矩形状である。なお、
図4は、第2基板41の第4主面41b側から見たときの平面図である。第2基板41は、第5辺41c、第6辺41d、第7辺41e及び第8辺41fを有する。X方向において、第5辺41cは、第6辺41dと対向する。Y方向において、第7辺41eは、第8辺41fと対向する。
【0055】
ここで、第7辺41eのX方向の中点と、第8辺41fのX方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B3とする。第5辺41cのY方向の中点と、第6辺41dのY方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B4とする。
【0056】
第2転がり案内装置44の配置は、
図3に示す第1転がり案内装置34の配置と同様である。すなわち、第2転がり案内装置44は、第2基板41の第4主面41bの4隅にそれぞれ設けられる。4つの第2転がり案内装置44は、第1転がり案内装置34と重なる位置に設けられる。
【0057】
第2基板41の第4主面41bには、8つの第3磁石45-1、45-2、45-3、45-4、45-5、45-6、45-7、45-8が設けられる。第3磁石45-1、45-2、45-3、45-4、45-5、45-6、45-7、45-8は、それぞれ、一組の磁石35-1、35-2、35-3、35-4、35-5、35-6、35-7、35-8に対応して設けられる。なお、以下の説明において第3磁石45-1、45-2、45-3、45-4、45-5、45-6、45-7、45-8を区別して説明する必要がない場合には、第3磁石45と表す。
【0058】
第3磁石45-1、45-2、45-3は、第8辺41fに沿って、第1主面31aの外縁に設けられる。第3磁石45-2は、仮想線B3と重なる位置であって、第4主面41bの外縁に設けられる。また、第3磁石45-2は、X方向において、第3磁石45-1と、第3磁石45-3との間に配置される。第3磁石45-4は、仮想線B4と重なる位置で、第5辺41c側の第1主面31aの外縁に設けられる。第3磁石45-5、45-6、45-7は、第7辺41eに沿って、第4主面41bの外縁に設けられる。第3磁石45-8は、仮想線B4と重なる位置で、第6辺41d側の第4主面41bの外縁に設けられる。
【0059】
第3磁石45-1、45-2、45-3、45-4、45-5、45-6、45-7、45-8は、それぞれ、一組の磁石35-1、35-2、35-3、35-4、35-5、35-6、35-7、35-8の第1磁石36と逆極であり、第2磁石37と同極である。第3磁石45-1、45-2、45-4、45-5は、第1基板31と対向してN極が設けられ、第3磁石45-3、45-6、45-7、45-8は、第1基板31と対向してS極が設けられる。
【0060】
図5では、一組の磁石35-2と、第3磁石45-2との間に発生する磁束Mの一部を模式的に示している。
図5に示すように、第1磁石36のS極と、第3磁石45-2のN極とが対向しており、第1磁石36と第3磁石45-2とを結ぶ磁束Mが発生する。また、第2磁石37のN極が第1磁石36のS極と隣り合って配置されている。このため、第2磁石37が設けられていない場合に比べて、第1磁石36と第3磁石45-2との間の磁束Mが減少する。このように、第1磁石36は、第3磁石45との間に引力を発生させる。また、第2磁石37は、第3磁石45との間に斥力を発生させて、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力を減少させる。第2磁石37と第3磁石45との間の斥力は、第1磁石36と第3磁石45との間の引力よりも小さい。このため、一組の磁石35-2と、第3磁石45-2との間に引力F1(
図2参照)が生じる。
【0061】
本実施形態において、一組の磁石35と第3磁石45との間に発生する引力及び斥力により、第1基板31と第2基板41との相対的な位置関係が規定される。第1基板31が移動すると、第1磁石36と第3磁石45との間の引力により、第1基板31に追従して第2空間Rに設けられた第2基板41が移動する。このとき、第1基板31及び第2基板41には、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。第2磁石37と第3磁石45との間の斥力により、第3磁石45が第2磁石37と重ならないように、つまり、第3磁石45と第1磁石36とが対向するように、一組の磁石35と第3磁石45との相対的な位置が保持される。これにより、第2磁石37を設けない場合に比べて、第1基板31が移動したときの、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。
【0062】
具体的には、
図3に示す一組の磁石35-2において、第1基板31が-Y方向に移動した場合に、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第1磁石36の+Y方向側に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。また、一組の磁石35-6において、第1基板31が+Y方向に移動した場合に、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第1磁石36の-Y方向側に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。このように、+Y方向及び-Y方向に第1基板31が移動した場合に、第1基板31と第2基板41とのY方向での相対的な位置が保持される。
【0063】
すなわち、本実施形態では、Y方向において、一組の磁石35-2の第1磁石36と、一組の磁石35-6の第1磁石36との間に、一組の磁石35-2の第2磁石37と、一組の磁石35-6の第2磁石37とが配置される。ただし、これに限定されず、Y方向において、一組の磁石35-2の第2磁石37と、一組の磁石35-6の第2磁石37との間に、一組の磁石35-2の第1磁石36と、一組の磁石35-6の第1磁石36とが配置されていてもよい。この場合であっても、+Y方向及び-Y方向に第1基板31が移動した場合に、第1基板31と第2基板41とのX方向での相対的な位置が保持される。
【0064】
また、第1基板31が+X方向に移動した場合に、一組の磁石35-4において、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第1磁石36の-X方向側に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間に斥力が作用する。また、第1基板31が-X方向に移動した場合に、一組の磁石35-8において、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第1磁石36の+X方向側に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。このように、+X方向及び-X方向に第1基板31が移動した場合に、第1基板31と第2基板41とのX方向での相対的な位置が保持される。
【0065】
すなわち、本実施形態では、X方向において、一組の磁石35-4の第1磁石36と、一組の磁石35-8の第1磁石36との間に、一組の磁石35-4の第2磁石37と、一組の磁石35-8の第2磁石37とが配置される。ただし、これに限定されず、X方向において、一組の磁石35-4の第2磁石37と、一組の磁石35-8の第2磁石37との間に、一組の磁石35-4の第1磁石36と、一組の磁石35-8の第1磁石36とが配置されていてもよい。この場合であっても、+X方向及び-X方向に第1基板31が移動した場合に、第1基板31と第2基板41とのX方向での相対的な位置が保持される。
【0066】
以上のように、テーブル装置1は、磁石の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。また、第2磁石37により一組の磁石35と第3磁石45との間の引力が小さくなるため、第2テーブル4(
図2参照)を取り外すことが容易である。また、第2磁石37により一組の磁石35と第3磁石45との間の引力が小さくなるため、第2転がり案内装置44と板状部材21との間に生じる摩擦を抑制することができる。このため、テーブル装置1は、第2空間Rのクリーン度を保つことができる。
【0067】
一組の磁石35において、第1磁石36と第2磁石37との配置は適宜変更できる。例えば、第1磁石36の周囲を囲むように第2磁石37を配置してもよい。この場合、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を、より精度よく保持することができる。ただし、この場合、第2基板41を板状部材21の上に組み込む際に、第2磁石37と第3磁石45との間に斥力が発生するため、第1磁石36と第3磁石45とが対向するように位置決めしつつ第2基板41を配置する必要がある。
【0068】
図3に示すように、本実施形態では、例えば一組の磁石35-1において、第1磁石36の+X方向及び+Y方向には第2磁石37が設けられていない。このため、テーブル装置1の組み立てにおいて、第1基板31と第2基板41の位置決めが容易である。例えば一組の磁石35-1において、第1磁石36の+X方向側又は+Y方向側に第3磁石45が配置されるように、第2基板41を板状部材21の上に配置する。その後、第1磁石36と第3磁石45とが対向するように、つまり、第1基板31と第2基板41との間に作用する引力が最大となるように、第2基板41の位置を微調整することで、第2基板41を位置決めすることができる。
【0069】
本実施形態では、一組の磁石35の第1磁石36及び第2磁石37は第1基板31に設けられ、第3磁石45は第2基板41に設けられる。すなわち、第2空間Rに設けられた第2基板41の構成を第1基板31よりも簡便にすることができる。また、第2基板41と、第2転がり案内装置44と、第3磁石45とに耐熱性に優れた材料が用いられる。このため、テーブル装置1を、例えば、バイオ用途などのクリーン環境で使用する場合、第2基板41、第2転がり案内装置44及び第3磁石45を含む第2テーブル4を高温蒸気滅菌や乾熱滅菌などにより容易に滅菌処理を施すことができる。
【0070】
また、筐体2のうち、少なくとも板状部材21は、耐熱性及び耐食性に優れた材料が用いられる。これにより、板状部材21も容易に滅菌処理を施すことができる。このため、第2テーブル4及び筐体2を、テーブル装置1から取り外して高温蒸気滅菌装置や乾熱滅菌装置に入れることで滅菌を行うことができる。この場合、板状部材21を含む筐体2の全体に耐熱性に優れた材料が用いられる。また、第1空間Pと第2空間Rとが筐体2によって分離されているため、例えばガスを注入して第2空間Rのみ滅菌することができる。
【0071】
図1に示す第1移動機構6及び第2移動機構7は、XYステージである。第1移動機構6と第2移動機構7とは、同様の構成を有する。以下の説明については、第2移動機構7を例に挙げる。第2移動機構7の説明は、第1移動機構6の説明にも適用できる。
図6に示すように、第2移動機構7は、モータ71と、ボールねじ73と、ナット76と、筐体74とを含むボールねじ機構である。第2移動機構7は、モータ71から伝達された回転駆動力を、ボールねじ73の軸方向に沿った方向の運動に変換して第1基板31に伝達する駆動伝達部である。
【0072】
ボールねじ73と、ナット76とは、筐体74の内部に組み込まれる。ボールねじ73は、ナット76を貫通する。ボールねじ73は、筐体74に回転可能に支持されており、ボールねじ73の一端側は、シャフト72を介してモータ71と連結される。これにより、モータ71の出力が、ボールねじ73に伝達され、ボールねじ73が回転可能になっている。
【0073】
ナット76は、ガイドレール75に沿った方向に移動可能に設けられる。また、ナット76は、ガイドレール75に組み込まれることにより、回転が規制される。これにより、ナット76は、ボールねじ73の回転により軸方向に移動する。ナット76は、ボールねじ73の回転方向に応じて移動方向が切り換えられる。
【0074】
連結部77は、ナット76と第1基板31とを連結する部材であり、ナット76の移動とともに軸方向に移動可能となっている。連結部77の厚さや平面形状を適宜変更することで、第1基板31の平面形状や高さ位置を変更する場合であっても、第1基板31とナット76とを良好に連結できる。
【0075】
以上のような構成により、第2移動機構7は、モータ71の回転駆動がボールねじ73に伝達されると、ナット76とともに第1基板31が軸方向に移動する。
図1に示すように、第1移動機構6には第2移動機構7が移動可能に固定されている。第1移動機構6の動作により、第2移動機構7及び第1テーブル3はX方向に移動可能となっている。第2移動機構7の動作により、第1テーブル3はY方向に移動可能となっている。このようにして、第1テーブル3は、板状部材21と平行な平面を移動できる。
【0076】
第1移動機構6及び第2移動機構7の構成はあくまで一例であり、
図1及び
図6に示す構成に限定されない。第1移動機構6及び第2移動機構7は、第1基板31を含む第1テーブル3を移動させることができる構成であればよい。第1移動機構6及び第2移動機構7としては、この他、種々の移動機構を用いることができ、例えば、リニアモータを用いる移動機構等も用いることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態のテーブル装置1は、板状部材21と、第1基板31と、一組の磁石35と、第2基板41と、第3磁石45と、を有する。板状部材21は、第1面21aと、第1面21aと反対側の第2面21bとを有し、第1面21a側の第1空間Pと、第2面21b側の第2空間Rとを区切る。第1基板31は、板状部材21の第1面21aと対向する。一組の磁石35は、第1基板31の、第1面21aと対向する面(第1主面31a)に設けられ、第1磁石36及び少なくとも1つ以上の第2磁石37とを含む。第2基板41は、板状部材21を介して第1基板31と対向する。第3磁石45は、第2基板41の、第2面21bと対向する面(第4主面41b)に設けられ、板状部材21を介して第1磁石36と対向する。第1磁石36は、第3磁石45と対向し、第3磁石45との間に引力を発生させ、第2磁石37は、第1磁石36と隣り合って配置され、第3磁石45との間に斥力を発生させて、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力を減少させる。
【0078】
このような構成により、移動機構(第1移動機構6及び第2移動機構7)等が設けられた第1空間Pと、第2基板41等が設けられた第2空間Rとは、板状部材21によって区切られる。そして、第1磁石36と第3磁石45との間の引力により、第2基板41は、第1基板31に向かう方向に引力が作用する。これにより、第1基板31と第2基板41との相対的な位置関係が規定される。例えば第1基板31が移動すると、第1磁石36と第3磁石45との間の引力により、第1基板31に追従して第2空間Rに設けられた第2基板41が移動する。このとき、第1基板31及び第2基板41には、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。これにより、第1基板31が移動したときの、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。したがって、テーブル装置1は、第1磁石36の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【0079】
また、テーブル装置1において、第1基板31の、板状部材21と対向する面(第1主面31a)に垂直な方向から見たときの平面視で、第2磁石37の少なくとも一部は、第3磁石45と重ならない位置に設けられる。
【0080】
これによれば、第2磁石37は、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力を減少させることができる。このため、テーブル装置1は、第2基板41を取り外す等の組み立てが容易になる。また、第1基板31が移動した場合に、第2磁石37と第3磁石45との間の斥力により、第2磁石37と第3磁石45とが重ならないように、つまり、第3磁石45と第1磁石36とが対向するように、一組の磁石35と第3磁石45との相対的な位置関係が保持される。これにより、第1基板31が移動したときに、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を保持しつつ、第2基板41は第1基板31に追従する。
【0081】
また、テーブル装置1において、一組の磁石35は、複数の第2磁石37を有する。第1基板31の、第1主面31aに平行な第1方向(例えば、X方向)において、第2磁石37は、第1磁石36の、第1方向の一方(例えば、-X方向)に設けられる。第1基板31の、第1主面31aに平行な方向であって、第1方向と交差する第2方向(例えば、Y方向)において、第2磁石37は、第1磁石36の、第2方向の一方(例えば、-Y方向)に設けられる。
【0082】
これによれば、第2磁石37と第3磁石45との間に発生する斥力により、第1方向の一方及び第2方向の一方において、第2磁石37と第3磁石45とが重ならないように、つまり、第3磁石45と第1磁石36とが対向するように、一組の磁石35と第3磁石45との相対的な位置関係が保持される。この結果、第1基板31と第2基板41との相対的な位置ずれが抑制される。また、第1磁石36の第1方向の他方及び第2方向の他方には第2磁石37が設けられていないため、テーブル装置1の組み立てにおいて、第1磁石36と第3磁石45とが対向するように第1基板31と第2基板41とを位置決めすることが容易である。
【0083】
また、テーブル装置1において、第1磁石36の、第2方向の一方に設けられた第2磁石37の第1方向の長さは、第1磁石36の第1方向の長さよりも長い。
【0084】
これによれば、第2方向の一方に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間に発生する斥力により、第2方向の一方において、一組の磁石35と第3磁石45との相対的な位置関係がより良好に保持される。つまり、第2方向の一方において、第1基板31と第2基板41との相対的な位置ずれが抑制される。
【0085】
また、テーブル装置1において、第1基板31は、第1主面31aに平行な第1方向(X方向)に対向する第1辺31c及び第2辺31dと、第1主面31aに平行な方向であって、第1方向と交差する第2方向(Y方向)に対向する第3辺31e及び第4辺31fとを有する。第1基板31の第1辺31c側及び第2辺31d側には、それぞれ一組の磁石35が設けられる。第1方向において、第1辺31c側に配置された第1磁石36と、第2辺31d側に配置された第1磁石36との間に、第1辺31c側に配置された第2磁石37と、第2辺31d側に配置された第2磁石37が配置される。又は、第1方向において、第1辺31c側に配置された第2磁石37と、第2辺31d側に配置された第2磁石37との間に、第1辺31c側に配置された第1磁石36と、第2辺31d側に配置された第1磁石36が配置される。
【0086】
これによれば、第1方向において、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。したがって、テーブル装置1は、第1磁石36の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【0087】
また、テーブル装置1において、第1基板31の第3辺31e側及び第4辺31f側には、それぞれ一組の磁石35が設けられる。第2方向(Y方向)において、第3辺31e側に配置された第1磁石36と、第4辺31f側に配置された第1磁石36との間に、第3辺31e側に配置された第2磁石37と、第4辺31f側に配置された第2磁石37が配置され、又は、第2方向において、第3辺31e側に配置された第2磁石37と、第4辺31f側に配置された第2磁石37との間に、第3辺31e側に配置された第1磁石36と、第4辺31f側に配置された第1磁石36が配置される。
【0088】
これによれば、これによれば、第2方向において、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。
【0089】
また、テーブル装置1において、第1基板31は、板状部材21の第1面21aと対向して設けられ、第2基板41は、板状部材21の第2面21bと対向して設けられる。また、テーブル装置1は、移動機構(第1移動機構6及び第2移動機構7)と転がり案内装置(第2転がり案内装置44)を有する。移動機構(第1移動機構6及び第2移動機構7)は、第1空間Pに設けられ、第1基板31を移動させる。第2転がり案内装置44は、第2基板41と第2面21bとの間に設けられ、第2基板41を移動可能に支持する。
【0090】
これによれば、第1基板31、一組の磁石35及び移動機構は、第1空間Pに設けられ、第2基板41及び第3磁石45は、ワークを操作する第2空間Rに設けられる。つまり、第1基板31及び一組の磁石35は駆動側であり、第2基板41及び第3磁石45は従動側である。第2基板41に設けられた第3磁石の数は、第1基板31に設けられた磁石(第1磁石36及び第2磁石37)の数よりも少なく、第2基板41の構成は第1基板31よりも簡易である。このため、第2空間Rでのクリーン度を保つことができる。
【0091】
なお、第1転がり案内装置34及び一組の磁石35の数や配置は、
図3に示す例に限定されない。一組の磁石35は、7つ以下又は9つ以上であってもよい。一組の磁石35は、仮想線B1、B2を対称軸として非対称に配置されていてもよい。第1磁石36及び第2磁石37は、Z方向から見たときに四角形状であるが、円形状、多角形状等、他の形状でもよい。第1磁石36及び第2磁石37は、異なる形状、異なる高さであってもよい。又、第1転がり案内装置34又は一組の磁石35を、仮想線B1と仮想線B2との交点C1の位置に設けてもよい。また、第2転がり案内装置44、第3磁石45の数や配置も、第1転がり案内装置34及び一組の磁石35と同様に、第2基板41の追従性能に応じて適宜変更できる。例えば、第2転がり案内装置44又は第3磁石45を、
図4に示す交点C2の位置に設けてもよい。また、第1磁石36、第2磁石37及び第3磁石45のS極及びN極の組み合わせは、
図3及び
図4に限定されず、第1磁石36と第3磁石45との間に引力を発生させ、第2磁石37と第3磁石45との間に斥力を発生させるものであればよい。例えば、
図3及び
図4において、第1磁石36、第2磁石37及び第3磁石45のS極及びN極を全て逆にしてもよい。
【0092】
図3及び
図4に示すように、第1基板31及び第2基板41は、それぞれ矩形状であるが、これに限定されない。第1基板31及び第2基板41は、正方形状、多角形状、円形状等、他の形状であってもよい。また、第1基板31と第2基板41とは、異なる形状、大きさを有していてもよい。
【0093】
(第1変形例)
図7は、第1変形例に係る第1基板の平面図である。第1変形例では、上述した第1実施形態と比較して、複数の一組の磁石35Aの第1磁石36と第2磁石37とが十字状に配置されている構成が異なる。
【0094】
図7に示すように、第1テーブル3は、4つの一組の磁石35A-1、35A-2、35A-3、35A-4を有する。一組の磁石35A-1、35A-2は、第3辺31eに沿って並んで配置される。一組の磁石35A-1と、一組の磁石35A-2は、仮想線B1を対照線として線対称となる位置に配置される。一組の磁石35A-3、35A-4は、仮想線B2を対称軸として一組の磁石35A-1、35A-2と線対称となる位置に配置され、第4辺31fに沿って並んで配置される。一組の磁石35A-1の第1磁石36及び第2磁石37は、一組の磁石35A-3の第1磁石36及び第2磁石37と同極となる。また、一組の磁石35A-2及び一組の磁石35A-4の第1磁石36及び第2磁石37は、一組の磁石35A-1の第1磁石36及び第2磁石37と逆極となる。
【0095】
一組の磁石35Aは、それぞれ、1つの第1磁石36と、4つの第2磁石37とを有する。4つの第2磁石37は、それぞれ第1磁石36の+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向に隣り合って配置される。言い換えると、第1磁石36は、X方向において2つの第2磁石37の間に配置され、かつ、Y方向において2つの第2磁石37の間に配置される。
【0096】
なお、図示は省略するが、第3磁石45(
図4参照)は、一組の磁石35Aに対応して4つ設けられ、一組の磁石35Aのそれぞれの第1磁石36に対向して設けられる。
【0097】
このような構成により、第1実施形態に比べて、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力が小さくなる。この場合であっても、第1基板31がX方向及びY方向に移動した場合に、一組の磁石35Aのそれぞれにおいて、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第2磁石37と第3磁石45との間に生じる斥力が、X方向及びY方向に作用する。このため、本変形例では、第1実施形態に比べて、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力を抑制しつつ、第1基板31が移動した場合での、第1基板31と第2基板41との相対的な位置が精度よく保持される。
【0098】
一組の磁石35Aでは、第1基板31の第1主面31aに平行な方向であって、X方向及びY方向に交差する斜め方向には、第1磁石36と隣り合って第2磁石37が設けられていない。このため、テーブル装置1の組み立てにおいて、第1基板31と第2基板41の位置決めが可能である。
【0099】
(第2変形例)
図8は、第2変形例に係る第1基板の平面図である。第2変形例では、上述した第1変形例と比較して、一組の磁石35Aが6つ設けられている構成が異なる。具体的には、
図8に示すように、一組の磁石35A-1、35A-2、35A-3、35A-4に加え、一組の磁石35A-5、35A-6が設けられている。それぞれの一組の磁石35Aの構成は、第1変形例と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0100】
一組の磁石35A-5は、仮想線B2と重なる位置で、第1辺31c側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35A-6は、仮想線B2と重なる位置で、第2辺31d側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35A-5と一組の磁石35A-6とは、逆極になっている。本変形例では、上述した第1変形例に比べて一組の磁石35Aの数が多いため、全体として第1基板31と第2基板41との間の引力を大きくすることができる。このため、第2基板41は、第1基板31に良好に追従して移動することが可能である。
【0101】
(第3変形例)
図9は、第3変形例に係る第1基板の平面図である。第3変形例では、上述した第1変形例及び第2変形例と比較して、一組の磁石35Aが8つ設けられている構成が異なる。具体的には、
図9に示すように、一組の磁石35A-1、35A-2、35A-3、35A-4、35A-5、35A-6に加え、一組の磁石35A-7、35A-8が設けられている。
【0102】
一組の磁石35A-7は、仮想線B1と重なる位置で、第3辺31e側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35A-7は、一組の磁石35A-1、35A-2の間に設けられる。一組の磁石35A-8は、仮想線B1と重なる位置で、第4辺31f側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35A-8は、一組の磁石35A-3、35A-4の間に設けられる。一組の磁石35A-7と一組の磁石35A-8とは、逆極になっている。本変形例では、上述した第1変形例及び第2変形例に比べて一組の磁石35Aの数が多いため、全体として第1基板31と第2基板41との間の引力を大きくすることができる。このため、第2基板41は、第1基板31に良好に追従して移動することが可能である。
【0103】
(第4変形例)
図10は、第4変形例に係る第1基板の平面図である。第4変形例では、上述した第1実施形態及び第1変形例から第3変形例と比較して、複数の一組の磁石35Bの第1磁石36と第2磁石37とがT字状に配置されている構成が異なる。
【0104】
図10に示すように、第1テーブル3は、6つの一組の磁石35B-1、35B-2、35B-3、35B-4、35B-5、35B-6を有する。第1主面31aでの、6つの一組の磁石35B-1、35B-2、35B-3、35B-4、35B-5、35B-6の配置は、上述した
図8に示す第2変形例の一組の磁石35A-1、35A-2、35A-3、35A-4、35A-5、35A-6と同様である。
【0105】
一組の磁石35Bは、それぞれ、1つの第1磁石36と、3つの第2磁石37とを有する。一組の磁石35B-1において、第2磁石37は、第1磁石36の+Y方向側に隣り合って配置される。より具体的には、3つの第2磁石37は、X方向に並んで配置される。X方向に並ぶ3つの第2磁石37のうち、中央に位置する第2磁石37は、第1磁石36と+Y方向に隣り合って配置される。X方向に並ぶ第2磁石37のX方向の長さは、第1磁石36のX方向の長さよりも長い。一組の磁石35B-1において、第1磁石36の+X方向、-X方向及び-Y方向には第2磁石37は設けられていない。なお、3つの第2磁石37は、一つの磁石で構成されていてもよい。
【0106】
一組の磁石35B-2は、一組の磁石35B-1の第1磁石36及び第2磁石37と同様の配置である。ただし、一組の磁石35B-2は、一組の磁石35B-1と逆極になっている。一組の磁石35B-3、35B-4は、交点C1を対称軸として一組の磁石35B-1、35B-2と点対称となる。言い換えると、一組の磁石35B-3、35B-4は、仮想線B2を対称軸として一組の磁石35B-1、35B-2と線対称となる。一組の磁石35B-5は、一組の磁石35B-1の第1磁石36を中心として、時計回りに90°回転させた配置である。一組の磁石35B-6は、仮想線B1を対称軸として一組の磁石35B-5と線対称となる。
【0107】
なお、図示は省略するが、第3磁石45(
図4参照)は、一組の磁石35Aに対応して4つ設けられ、一組の磁石35Aのそれぞれの第1磁石36に対向して設けられる。
【0108】
このような構成により、例えば、第1基板31が-Y方向に移動した場合に、一組の磁石35B-1、35B-2のそれぞれにおいて、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第1磁石36の+Y方向側に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。また、第1基板31が+Y方向に移動した場合に、一組の磁石35B-3、35B-4のそれぞれにおいて、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第1磁石36の-Y方向側に設けられた第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。このように、+Y方向及び-Y方向に第1基板31が移動した場合に、第1基板31と第2基板41とのY方向での相対的な位置が保持される。
【0109】
同様に、第1基板31が+X方向及び-X方向に第1基板31が移動した場合に、一組の磁石35B-5、35B-6において、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第2磁石37と第3磁石45との間に斥力が作用する。これにより、+X方向及び-X方向に第1基板31が移動した場合に、第1基板31と第2基板41とのX方向での相対的な位置が保持される。
【0110】
本変形例では、一組の磁石35Bのそれぞれにおいて、第1磁石36の一方にのみ第2磁石37が設けられ、三方には第2磁石37が設けられていない。このため、テーブル装置1の組み立てにおいて、第1磁石36と第3磁石45とが対向するように第1基板31と第2基板41とを位置決めすることが容易である。
【0111】
(第5変形例)
図11は、第5変形例に係る第1基板の平面図である。第5変形例では、上述した第4変形例と比較して、一組の磁石35Bが8つ設けられている構成が異なる。具体的には、
図11に示すように、一組の磁石35B-1、35B-2、35B-3、35B-4、35B-5、35B-6に加え、一組の磁石35B-7、35B-8が設けられている。
【0112】
一組の磁石35B-7は、仮想線B1と重なる位置で、第3辺31e側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35B-7は、一組の磁石35B-1、35B-2の間に設けられる。一組の磁石35B-7の第1磁石36及び第2磁石37は、一組の磁石35B-1と同様の配置である。
【0113】
一組の磁石35B-8は、仮想線B1と重なる位置で、第4辺31f側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35B-8は、一組の磁石35B-3、35B-4の間に設けられる。一組の磁石35B-8の第1磁石36及び第2磁石37は、一組の磁石35B-4と同様の配置である。本変形例では、上述した第4変形例に比べて一組の磁石35Bの数が多いため、全体として第1基板31と第2基板41との間の引力を大きくすることができる。このため、第4変形例に比べ第2基板41は、第1基板31に良好に追従して移動することが可能である。
【0114】
(第6変形例)
図12は、第6変形例に係る第1基板の平面図である。第6変形例では、上述した第1実施形態及び第1変形例から第5変形例と比較して、複数の一組の磁石35Cの第1磁石36と第2磁石37とがH字状に配置されている構成が異なる。
【0115】
図12に示すように、第1テーブル3は、8つの一組の磁石35C-1、35C-2、35C-3、35C-4、35C-5、35C-6、35C-7、35C-8を有する。第1主面31aでの、8つの一組の磁石35C-1、35C-2、35C-3、35C-4、35C-5、35C-6、35C-7、35C-8の配置は、上述した
図3に示す第1実施形態の一組の磁石35と同様である。
【0116】
一組の磁石35Cは、それぞれ、1つの第1磁石36と、6つの第2磁石37とを有する。一組の磁石35C-1において、第2磁石37は、第1磁石36の+Y方向側及び-Y方向側に隣り合って配置される。第1磁石36の+Y方向側及び-Y方向側に設けられた第2磁石37の、それぞれのX方向の長さは、第1磁石36のX方向の長さよりも長い。より具体的には、第1磁石36の+Y方向側において、3つの第2磁石37はX方向に並んで配置され、第1磁石36の-Y方向側において、3つの第2磁石37はX方向に並んで配置される。第1磁石36は、X方向に並ぶ3つの第2磁石37のうち、中央に位置する第2磁石37と隣り合って配置される。一組の磁石35C-1において、第1磁石36の+X方向及び-X方向には第2磁石37は設けられていない。なお、X方向に並ぶ3つの第2磁石37は、それぞれ一つの磁石で構成されていてもよい。
【0117】
一組の磁石35C-2、35C-3は、一組の磁石35C-1の第1磁石36及び第2磁石37と同様の配置である。ただし、一組の磁石35C-3は、一組の磁石35C-1と逆極になっている。一組の磁石35C-5、35C-6、35C-7は、交点C1を対称軸として一組の磁石35C-1、35C-2、35C-3と点対称となる。言い換えると、一組の磁石35C-5、35C-6、35C-7は、仮想線B2を対称軸として一組の磁石35C-1、35C-2、35C-3と線対称となる。一組の磁石35C-5、35C-6、35C-7は、それぞれ一組の磁石35C-3、35C-2、35C-1と逆極となっている。一組の磁石35C-4は、一組の磁石35C-1の第1磁石36を中心として、時計回りに90°回転させた配置である。一組の磁石35C-8は、仮想線B1を対称軸として一組の磁石35C-4と線対称となる。
【0118】
このような構成により、一組の磁石35C-1、35C-2、35C-3及び一組の磁石35C-5、35C-6、35C-7は、それぞれ第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第2磁石37と第3磁石45との間に生じる斥力が、+Y方向及び-Y方向に作用する。また、一組の磁石35C-4、35C-5では、それぞれ、第2磁石37と第3磁石45との間に生じる斥力が、+X方向及び-X方向に作用する。このため、本変形例では、第1磁石36と第3磁石45との間に発生する引力を抑制しつつ、第1基板31が移動した場合での、第1基板31と第2基板41との相対的な位置が精度よく保持される。
【0119】
(第7変形例)
図13は、第7変形例に係る第1基板の平面図である。上述した第1実施形態及び第1変形例から第6変形例に示した一組の磁石35、35A、35B、35Cは適宜組み合わせることができる。本変形例では、上述した第1実施形態及び第1変形例から第6変形例と比較して、複数の一組の磁石35B及び複数の一組の磁石35Cを有する構成が異なる。
【0120】
図13に示すように、第1テーブル3は、4つの一組の磁石35B-1、35B-2、35B-3、35B-4及び4つの一組の磁石35C-1、35C-2、35C-3、35C-4を有する。4つの一組の磁石35B-1、35B-2、35B-3、35B-4の配置は、上述した
図10に示す第4変形例の一組の磁石35B-1、35B-2、35B-3、35B-4と同様である。
【0121】
一組の磁石35C-1は、一組の磁石35B-1、35B-2の間に配置される。一組の磁石35C-2は、仮想線B2と重なる位置で、第1辺31c側の第1主面31aの外縁に設けられる。一組の磁石35C-3は、一組の磁石35B-3、35B-4の間に配置される。一組の磁石35C-4は、仮想線B2と重なる位置で、第2辺31d側の第1主面31aの外縁に設けられる。
【0122】
一組の磁石35Bと一組の磁石35Cとの組み合わせ及び配置を調整することにより、第1基板31の移動に対する第2基板41の追従性と、テーブル装置1の組み立てにおける第1基板31と第2基板41との位置決めの容易さとを適切に調整することができる。
【0123】
なお、
図13に示す一組の磁石35B及び一組の磁石35Cの組み合わせ及び配置は、あくまで一例であり、一組の磁石35Bの数と一組の磁石35Cの数は異なっていてもよく、あるいは、一組の磁石35、35Aの少なくとも1つと、一組の磁石35Cとを組み合わせてもよい。
【0124】
(第8変形例)
図14は、第8変形例に係る第1基板の平面図である。第8変形例では、上述した第1実施形態及び第1変形例から第7変形例と比較して、複数の一組の磁石35Dの第1磁石36と第2磁石37とがL字状に配置されている構成が異なる。
【0125】
図14に示すように、第1テーブル3は、8つの一組の磁石35D-1、35D-2、35D-3、35D-4、35D-5、35D-6、35D-7、35D-8を有する。第1主面31aでの、8つの一組の磁石35D-1、35D-2、35D-3、35D-4、35D-5、35D-6、35D-7、35D-8の配置は、上述した
図3に示す第1実施形態の一組の磁石35と同様である。
【0126】
一組の磁石35Dは、それぞれ、1つの第1磁石36と、2つの第2磁石37とを有する。一組の磁石35D-1において、第2磁石37は、第1磁石36の-X方向側及び-Y方向側にそれぞれ隣り合って配置される。一組の磁石35D-1において、第1磁石36の+X方向及び+Y方向には第2磁石37は設けられていない。また、一組の磁石35D-1において、第1磁石36の、X方向及びY方向に交差する斜め方向にも第2磁石37は設けられていない。
【0127】
一組の磁石35D-2は、一組の磁石35D-1の第1磁石36を中心として180°回転させた配置である。一組の磁石35D-3は、一組の磁石35C-1の第1磁石36及び第2磁石37と同様の配置である。ただし、一組の磁石35D-3は、一組の磁石35D-1と逆極になっている。一組の磁石35D-5、35D-6、35D-7は、交点C1を対称軸として一組の磁石35D-1、35D-2、35D-3と点対称となる。ただし、一組の磁石35D-6は、一組の磁石35D-2と逆極になっている。一組の磁石35D-4は、一組の磁石35D-1の第1磁石36を中心として、時計回りに90°回転させた配置である。一組の磁石35D-8は、仮想線B1を対称軸として一組の磁石35D-4と線対称となる。
【0128】
第8変形例では、上述した第1実施形態及び第1変形例から第7変形例に比べて、一組の磁石35Dのそれぞれが有する第2磁石37の数が少ない。このため、テーブル装置1の組み立てにおける、第1基板31と第2基板41との位置決めが容易であるという利点を有する。
【0129】
(第9変形例)
図15は、第9変形例に係る第1基板の平面図である。第9変形例では、上述した第8変形例と比較して、4つの一組の磁石35Dと、4つの一組の磁石35Eとを有する構成が異なる。
【0130】
図15に示すように、4つの一組の磁石35D-1、35D-2、35D-3、35D-4の構成及び配置は、それぞれ、
図14に示す第8変形例における4つの一組の磁石35D-1、35D-3、35D-5、35D-7と同様である。一組の磁石35E-1は、仮想線B1と重なる位置で、一組の磁石35D-1と、一組の磁石35D-2との間に配置される。一組の磁石35E-2は、仮想線B2と重なる位置で、第1辺31c側の第1主面31aの外縁に配置される。一組の磁石35E-3は、仮想線B1と重なる位置で、一組の磁石35D-3と、一組の磁石35D-4との間に配置される。一組の磁石35E-4は、仮想線B2と重なる位置で、第2辺31d側の第1主面31aの外縁に配置される。
【0131】
一組の磁石35Eは、1つの第1磁石36と、2つの第2磁石37に加え、1つの第4磁石38を有する。Z方向から見たときに第4磁石38は、円形状であり、第1磁石36及び第2磁石37と異なる形状を有する。例えば一組の磁石35E-1において、第1磁石36の+X方向側に第2磁石37が隣り合って設けられ、第1磁石36の+Y方向側に第2磁石37が隣り合って設けられ、第1磁石36の-X方向側に第4磁石38が隣り合って設けられる。X方向において、第1磁石36は、第2磁石37と第4磁石38との間に設けられる。
【0132】
一組の磁石35E-2の第1磁石36、第2磁石37及び第4磁石38は、仮想線B1を対称軸として、一組の磁石35E-1の第1磁石36、第2磁石37及び第4磁石38の配置を線対称とした配置関係を有する。一組の磁石35E-3、35E-4は、交点C1を対称軸として、それぞれ一組の磁石35E-1、35E-2と点対称となる。
【0133】
第9変形例では、第1磁石36及び第2磁石37と異なる形状の第4磁石38を設けることで、第4磁石38と第3磁石45との間にも斥力が発生する。これにより、第8変形例に比べて、第1磁石36と第3磁石45との間の引力を抑制できる。また、第8変形例に比べて、第1基板31と第2基板41との相対的な位置を保持する効果がより大きくなる。
【0134】
なお、
図15に示す一組の磁石35D及び一組の磁石35Eの組み合わせ及び配置は、あくまで一例である。例えば、上述した一組の磁石35、35A、35B、35Cのいずれか1つ以上と、一組の磁石35D又は一組の磁石35Eと、を組み合わせてもよい。あるいは、一組の磁石35、35A、35B、35Cの一部の第2磁石37を第4磁石38に置き換えてもよい。あるいは、一組の磁石35、35A、35B、35Cに第4磁石38を追加してもよい。第4磁石38は、円形状に限定されず、多角形状、あるいは、第1磁石36及び第2磁石37と異なる大きさ(平面積)を有する四角形状であってもよい。
【0135】
(第10変形例)
図16は、第10変形例に係る第1基板の斜視図である。
図16に示すように、第10変形例に係る第1テーブル3Aにおいて、第1基板31の第1主面31aには、複数の第1凹部31g及び複数の第2凹部31hが設けられている。複数の第1凹部31gは、それぞれ、
図3に示す一組の磁石35に対応する形状を有しており、各第1凹部31gの内部に一組の磁石35が固定される。これにより、本変形例では、一組の磁石35を容易に位置決めして第1基板31に取り付けることができる。
【0136】
一組の磁石35は、接着剤等により直接第1凹部31gに固定されていてもよいし、一組の磁石35がケース等に収容され、ケースが接着剤やねじによる固定等により第1凹部31gに固定されていてもよい。
【0137】
また、複数の第2凹部31hは、第1主面31aの隅部に設けられており、それぞれの第2凹部31hに第1転がり案内装置34が設けられる。第2凹部31hには、第1転がり案内装置34をねじ止めするためのねじ孔31iが設けられる。また、第1主面31aの中央部には、第2移動機構7と連結するための複数のねじ孔31jが設けられる。
【0138】
(第11変形例)
図17は、第11変形例に係る第1基板の斜視図である。第11変形例では、上述した第10変形例と比較して、複数の第1凹部31gが、第1溝部31gaと第2溝部31gbとを有する構成が異なる。
図17に示すように、第11変形例に係る第1テーブル3Bにおいて、第1溝部31gaは、第1主面31aの外縁に沿って延びる。第2溝部31gbは、第1溝部31gaと交差しており、1つの第1溝部31gaに対して複数設けられている。
【0139】
第1溝部31gaと第2溝部31gbとの交差部には、
図7から
図9(第2変形例から第4変形例)に示す一組の磁石35Aが固定される。又は、第1溝部31gaと第2溝部31gbとの交差部には、
図10及び
図11(第5変形例及び第6変形例)に示す一組の磁石35Bが固定されてもよい。又は、第1溝部31gaと第2溝部31gbとの交差部には、
図14及び
図15(第8変形例及び第9変形例)に示す一組の磁石35D、35Eが固定されてもよい。
【0140】
第2溝部31gbの数、つまり、第1溝部31gaと第2溝部31gbとの交差部の数は、一組の磁石35Aの数に対応して適宜変更できる。また、全ての交差部に一組の磁石35Aを設ける必要はなく、一部の交差部に一組の磁石35Aが設けられていなくてもよい。
【0141】
(第12変形例)
図18は、第12変形例に係る板状部材の平面図である。
図18に示すように、板状部材21の第2面21bには、複数のアライメントマーク21dが設けられている。複数のアライメントマーク21dは、例えばレーザ装置により形成することができる。複数のアライメントマーク21dは、第1基板31の初期位置、つまり、移動機構(第1移動機構6及び第2移動機構7)の原点位置に対応して設けられる。複数のアライメントマーク21dに合わせて、第2基板41を板状部材21上に設けることで、第1磁石36と第3磁石45とが対向するように、第2基板41を位置決めすることができる。例えば、
図7に示した第1変形例では、第1磁石36の四方に隣り合って第2磁石37が配置されているため、
図3に示した一組の磁石35に比べてテーブル装置1の組み立てが困難になる可能性がある。この場合であっても、アライメントマーク21dを設けることにより、テーブル装置1の組み立てを良好に行うことができる。
【0142】
図18では、複数のアライメントマーク21dは、第2基板41の隅部と位置合わせするように、L字状に設けられている。ただし、これに限定されず、複数のアライメントマーク21dの数や形状は、第2基板41の形状や大きさに応じて変更してもよい。
【0143】
板状部材21の外縁には、複数のねじ孔21cが設けられる。板状部材21は、複数のねじ孔21cを介して、筐体2(
図1参照)にねじ止めされる。なお、板状部材21が筐体2と一体に形成される場合には、複数のねじ孔21cは設けられなくてもよい。
【0144】
(第2実施形態)
図19は、第2実施形態に係るテーブル装置の断面図である。
図19に示すように、本変形例のテーブル装置1Aは、筐体2Aと、第1テーブル3と、第2テーブル4と、移動機構(第1移動機構6及び第2移動機構7(
図1参照))とを有する。筐体2Aの外側の空間が第1空間Pであり、筐体2Aの内側の空間が第2空間Rである。第2空間Rは、例えば真空、減圧、クリーン環境等、様々な環境に対応可能である。筐体2Aの底板が、板状部材21Aである。筐体2Aは、例えば床面などに固定されている。つまり、第1移動機構6及び第2移動機構7により第1テーブル3が移動した場合であっても、筐体2Aは移動しない。
【0145】
第1テーブル3は、板状部材21Aの第2面21Ab側、すなわち第2空間Rに配置される。つまり、第1基板31は、板状部材21Aの第2面21Abと対向する。複数の一組の磁石35は、第1基板31の板状部材21Aと対向する面(第1主面31a)に設けられる。第1転がり案内装置34は、第1基板31と第2面21Abとの間に設けられ、第1基板31を移動可能に支持する。
【0146】
また、第2テーブル4は、板状部材21Aの第1面21Aa側、すなわち第1空間Pに配置される。つまり、第2基板41は、板状部材21Aの第1面21Aaと対向する。移動機構(第1移動機構6及び第2移動機構7(
図19では図示を省略する))は、第1空間Pに設けられ、第2基板41を移動させる。本実施形態において、第2基板41が駆動側であり、第1基板31は、第2基板41に追従して移動する。
【0147】
第1テーブル3及び第2テーブル4の構成は、上述した第1実施形態及び各変形例で説明したものを適用できる。すなわち、本実施形態においても、複数の一組の磁石35は、各変形例で説明した一組の磁石35A、35B、35C、35D、35Eの構成を適用できる。
【0148】
移動機構等が設けられた第1空間Pと、第1基板31等が設けられた第2空間Rとは、板状部材21Aによって区切られる。これにより、テーブル装置1Aは、移動機構等が設けられる第1空間Pから、操作対象物の位置決めや検査を行う第2空間Rへの気体の流入を抑制するとともに、第2空間Rで第1基板31の移動が可能である。第1基板31及び第2基板41には、第1磁石36と第3磁石45との間の引力の他に、第2磁石37と第3磁石45との間の斥力が作用する。これにより、本実施形態のテーブル装置1Aは、上述した第1実施形態のテーブル装置1と同様に、第1磁石36の磁力の増大を抑制しつつ、良好な追従性を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0149】
1、1A テーブル装置
2、2A 筐体
21、21A 板状部材
21a、21Aa 第1面
21b、21Ab 第2面
21c ねじ孔
21d アライメントマーク
3、3A、3B 第1テーブル
31 第1基板
31a 第1主面
31b 第2主面
31c 第1辺、 31d 第2辺、 31e 第3辺、 31f 第4辺
34 第1転がり案内装置
35、35A、35B、35C、35D 一組の磁石
36 第1磁石
37 第2磁石
38 第4磁石
4 第2テーブル
41 第2基板
41a 第3主面
41b 第4主面
44 第2転がり案内装置
45 第3磁石
6 第1移動機構
7 第2移動機構
77 連結部
P 第1空間
R 第2空間