(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 207
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2018154279
(22)【出願日】2018-08-20
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【氏名又は名称】丸山 英一
(72)【発明者】
【氏名】山本 良一
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-207355(JP,A)
【文献】特開2007-261204(JP,A)
【文献】特開2019-188779(JP,A)
【文献】特開2012-016862(JP,A)
【文献】国際公開第2010/084606(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0334195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットと、
前記キャリッジユニットを、印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段と
、
前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、
前記キャリッジユニットには、直交するxy2軸方向の加速度を計測できる加速度計が搭載されて
おり、
前記制御手段は、前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記キャリッジユニットの加速度を小さくする
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【請求項2】
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットと、
前記キャリッジユニットを、印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段と
、
前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、
前記キャリッジユニットには、直交するxyz3軸方向の加速度を計測できる加速度計が搭載されて
おり、
前記制御手段は、前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたz軸方向の加速度とz軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記キャリッジユニットの加速度を小さくする
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【請求項3】
前記流路内に、前記インクの圧力変動を抑制する緩衝部材を備えており、
前記制御手段は、前記加速度計により検出された加速度を周波数解析し、前記緩衝部材によって圧力変動が抑制される周波数帯域の加速度成分を除いて、残余の加速度成分によって前記合算値の算出を行う
ことを特徴とする請求項
1又は2記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動手段のうち前記キャリッジユニットを記録媒体に接近させるものが前記キャリッジユニットの両端側に配置されており、
前記キャリッジユニットが前記所定の印刷位置に移動して停止するタイミングが該キャリッジユニットの両端で一定時間以上異なる場合には、先に停止する側の駆動手段による加速度を小さくする
ことを特徴とする請求項
1、2又は3記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項5】
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットに搭載された直交するxy2軸方向の加速度を計測できる加速度計から加速度検出結果が入力され、
記録媒体に形成された画像の不良個所を検出するセンサから、不良個所発生の有無が入力され、
前記キャリッジユニットを印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段を制御する制御装置であって、
前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記駆動手段を制御して前記キャリッジユニットの加速度を小さくし、前記インク射出部のノズル内に空気が入った状態を回復させてからテストチャートを印刷し、前記不良個所が発生していなければ、印刷を実行させる
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置の制御装置。
【請求項6】
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットに搭載された直交するxyz3軸方向の加速度を計測できる加速度計から加速度検出結果が入力され、
記録媒体に形成された画像の不良個所を検出するセンサから、不良個所発生の有無が入力され、
前記キャリッジユニットを印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段を制御する制御装置であって、
前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたz軸方向の加速度とz軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記駆動手段を制御して前記キャリッジユニットの加速度を小さくし、前記インク射出部のノズル内に空気が入った状態を回復させてからテストチャートを印刷し、前記不良個所が発生していなければ、印刷を実行させる
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置の制御装置。
【請求項7】
前記合算値が前記閾値を超えたことが所定の回数を越えたときには、前記キャリッジユニットの加速度を下げた後に算出した前記合算値を新たな閾値として更新する
ことを特徴とする請求項
5又は6記載のインクジェット画像形成装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成装置の制御装置に関し、より詳しくは、インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジユニットの加速度の計測によって、ノズルに至る流路内のインクの圧力変動を正確に把握することができるインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子による電気機械変換作用を利用してインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット画像形成装置が提案されている。インクジェット画像形成装置においては、ノズルが下方に向けてインクを吐出する場合において、ノズル内のインクに負圧をかけ、インクの表面張力と相俟って、インクが重力に抗してノズル内に留まるようにしている。
【0003】
インクジェットヘッドは、画像形成を行うときには、記録媒体に近接する位置に移動操作される。このとき、インクジェットヘッドに加わる振動や衝撃によりノズル内及びノズルにインクを供給する流路内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動が大きい場合には、ノズル内のインクがノズル内方に後退してノズル内に空気が入ってしまうことがある。このようにノズル内に空気が入ってしまうと、インクの吐出ができなくなるので、印画不良(ドット抜け)となってしまう。
【0004】
特許文献1には、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジユニットに加速度計を設けた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置においては、加速度計によりインクの吐出方向の加速度を計測し、計測された加速度が閾値を超え、かつドット抜けが発生したときには、インクの吐出を回復させるようにしている。
【0005】
特許文献2にも、キャリッジユニットに加速度計を設けた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置においては、加速度計により加速度を計測し、計測された加速度が閾値を超えたときには、キャリッジユニットの動作異常の原因を特定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-001160号公報
【文献】特開2017-056604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インクジェットヘッドにおいてインクタンクからノズルに至る流路は、インクの吐出方向にもキャリッジユニットの移動方向にも平行であるとは限らないし、また、直線状であるとは限らない。高密度の画像形成と装置の小型化との両立を図ると、直線状の流路を設けられない場合が多いからである。
【0008】
ノズルに至る流路の形状が複雑である場合には、インクの吐出方向の加速度を計測しただけでは、流路内のインクの圧力変動を正確には把握できない。インクの圧力変動を正確に把握できないと、キャリッジユニットに加わる振動や衝撃を十分に小さくすることができず、吐出不良を防止することができなかったり、逆に、キャリッジユニットの加速度を必要以上に小さくしてしまい、画像形成に要する時間を必要以上に長くしてしまうという問題がある。
【0009】
そこで本発明の課題は、インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジユニットの加速度の計測によって、ノズルに至る流路内のインクの圧力変動を正確に把握することができるインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成装置の制御装置を提供することにある。
【0010】
さらに本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0012】
1.
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットと、
前記キャリッジユニットを、印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段とを備え、
前記キャリッジユニットには、直交するxy2軸方向の加速度を計測できる加速度計が搭載されている
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
2.
前記駆動手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記キャリッジユニットの加速度を小さくする
ことを特徴とする前記1記載のインクジェット画像形成装置。
3.
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットと、
前記キャリッジユニットを、印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段とを備え、
前記キャリッジユニットには、直交するxyz3軸方向の加速度を計測できる加速度計が搭載されている
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
4.
前記駆動手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたz軸方向の加速度とz軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記キャリッジユニットの加速度を小さくする
ことを特徴とする前記3記載のインクジェット画像形成装置。
5.
前記流路内に、前記インクの圧力変動を抑制する緩衝部材を備えており、
前記制御手段は、前記加速度計により検出された加速度を周波数解析し、前記緩衝部材によって圧力変動が抑制される周波数帯域の加速度成分を除いて、残余の加速度成分によって前記合算値の算出を行う
ことを特徴とする前記2又は4記載のインクジェット画像形成装置。
6.
前記駆動手段のうち前記キャリッジユニットを記録媒体に接近させるものが前記キャリッジユニットの両端側に配置されており、
前記キャリッジユニットが前記所定の印刷位置に移動して停止するタイミングが該キャリッジユニットの両端で一定時間以上異なる場合には、先に停止する側の駆動手段による加速度を小さくする
ことを特徴とする前記2、4又は5記載のインクジェット画像形成装置。
7.
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットに搭載された直交するxy2軸方向の加速度を計測できる加速度計から加速度検出結果が入力され、
記録媒体に形成された画像の不良個所を検出するセンサから、不良個所発生の有無が入力され、
前記キャリッジユニットを印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段を制御する制御装置であって、
前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記駆動手段を制御して前記キャリッジユニットの加速度を小さくし、前記インク射出部のノズル内に空気が入った状態を回復させてからテストチャートを印刷し、前記不良個所が発生していなければ、印刷を実行させる
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置の制御装置。
8.
インク射出部及び前記インク射出部にインクを供給する流路を構成する流路部材が搭載されたキャリッジユニットに搭載された直交するxyz3軸方向の加速度を計測できる加速度計から加速度検出結果が入力され、
記録媒体に形成された画像の不良個所を検出するセンサから、不良個所発生の有無が入力され、
前記キャリッジユニットを印刷時に所定の印刷位置に移動させる駆動手段を制御する制御装置であって、
前記加速度計により検出されたx軸方向の加速度とx軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたy軸方向の加速度とy軸方向の流路差との積と、前記加速度計により検出されたz軸方向の加速度とz軸方向の流路差との積とを合算し、この合算値が予め定めた閾値を超えた場合には、前記駆動手段を制御して前記キャリッジユニットの加速度を小さくし、前記インク射出部のノズル内に空気が入った状態を回復させてからテストチャートを印刷し、前記不良個所が発生していなければ、印刷を実行させる
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置の制御装置。
9.
前記合算値が前記閾値を超えたことが所定の回数を越えたときには、前記キャリッジユニットの加速度を下げた後に算出した前記合算値を新たな閾値として更新する
ことを特徴とする前記7又は8記載のインクジェット画像形成装置の制御装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジユニットの加速度の計測によって、ノズルに至る流路内のインクの圧力変動を正確に把握することができるインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成装置の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係るインクジェット画像形成装置の全体構成を示す模式図
【
図2】
図1に示したインクジェット画像形成装置を示すブロック図
【
図3】
図1に示したインクジェット画像形成装置のキャリッジユニットを示す斜視図
【
図4】
図1に示したインクジェット画像形成装置のインク流路を示す模式図
【
図5】
図1に示したインクジェット画像形成装置のインク流路を示す断面図
【
図6】
図1に示したインクジェット画像形成装置の動作を示すフローチャート
【
図7】
図1に示したインクジェット画像形成装置の動作の他の例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成装置の制御装置について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0016】
図1は、実施の形態に係るインクジェット画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
図2は、
図1に示したインクジェット画像形成装置を示すブロック図である。
図1及び後述する各図において、キャリッジユニット24の下降及びクランプ方向(インクの吐出方向)をx軸、キャリッジユニット24の水平移動方向をy、軸記録媒体Pの搬送方向をz軸として示している。これらxyz3軸は、互いに直交している。これらxyz3軸は、インクジェット画像形成装置に対してどのような方向に設定してもよい。
【0017】
インクジェット画像形成装置1は、
図1及び
図2に示すように、給紙部10と、画像形成部20と、排紙部30と、制御部40とを備えている。インクジェット画像形成装置1では、制御部40が各部を制御することにより、給紙部10から画像形成部20に搬送された記録媒体Pに対して、画像形成部20で画像を形成した後、その記録媒体Pを排紙部30に排出する。
【0018】
給紙部10は、
図1に示すように、画像形成が行われる記録媒体Pを保持し、この記録媒体Pを画像形成部20に供給する。給紙部10は、給紙トレー11と、搬送部12とを有する。
【0019】
給紙トレー11は、一又は複数の記録媒体Pを重ねて載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するように設けられており、記録媒体Pが搬送部12により搬送される位置で保持される。
【0020】
搬送部12は、輪状のベルト123を複数のローラー121,122により回転駆動してベルト123上の記録媒体Pを搬送する搬送機構、及び、給紙トレー11に載置された記録媒体Pをベルト123に受け渡す供給部を有する。搬送部12は、供給部によりベルト123に受け渡された記録媒体Pをベルト123の回転動作によって搬送する。
【0021】
画像形成部20は、搬入された記録媒体P上にインクを吐出させて画像を形成する。画像形成部20は、受け渡しユニット22と、用紙加熱部23と、画像形成ドラム21と、キャリッジユニット24と、照射部25と、デリバリー部26とを有している。
【0022】
受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送部12と画像形成ドラム21との間の位置に設けられ、搬送部12により搬送された記録媒体Pを画像形成ドラム21に受け渡す。
【0023】
用紙加熱部23は、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pを加熱する。用紙加熱部23は、例えば、赤外線ヒータ(カーボンヒータ、遠赤外線シーズヒータ、セラミックヒータ、ハロゲンランプヒータ、石英管ヒータ等)等を有し、通電に応じて発熱する。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向についてキャリッジユニット24の上流側に設けられる。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21に担持されて用紙加熱部23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるように、
図2に示すように、その発熱を制御部40により制御される。
【0024】
画像形成ドラム21は、
図1に示すように、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持し、回転されることにより記録媒体Pを搬送する。画像形成ドラム21の搬送面は、用紙加熱部23、キャリッジユニット24及び照射部25に対向し、搬送する記録媒体Pに対して画像形成に係る処理が順次行われるようにする。
【0025】
制御部40は、
図2に示すように、LCD等の表示装置41に表示信号を出力し、所定の表示を行う。また、制御部40には、メモリ42が接続されており、必要な情報を記憶する。さらに、制御部40には、インラインセンサ245が接続されており、記録媒体Pに形成された画像の不良個所が検出できるようになっている。
【0026】
図3は、
図1に示したインクジェット画像形成装置のキャリッジユニットを示す斜視図である。
【0027】
キャリッジユニット24は、
図3に示すように、移動操作可能なキャリッジ241にインクジェットヘッド242が搭載されて構成されている。インクジェットヘッド242は、インク射出部となる図示しないノズルを有している。ノズルは、インクジェットヘッド242の下面であるノズル面に複数形成されている。インクジェットヘッド242は、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pに対してノズルからインクを吐出し、画像を形成する。ノズルからのインク吐出方向は、
図1に示すように、画像形成ドラム21の中心に向かう方向となっており、鉛直下方には限られず、斜め下方となっているキャリッジユニット24もある。キャリッジユニット24には、インクジェットヘッド242のノズルにインクを供給するインク流路を構成する流路部材が搭載されている。インク流路は、流路部材であるチューブや流路が穿設されたブロック等を経て、xyz3軸のあらゆる方向に屈曲しながらはりめぐらされている。
【0028】
キャリッジユニット24は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について個別に設けられている。
図1では、画像形成ドラム21の回転により搬送される記録媒体Pの搬送方向に対して上流からY、M、C、Kの各色に対応したキャリッジユニット24が順次設けられている。
【0029】
インクジェットヘッド242は、記録媒体Pの搬送方向に垂直な方向(幅方向)について記録媒体Pの全幅をカバーする長さ(幅)で設けられている。すなわち、この実施形態におけるインクジェット画像形成装置1は、ワンパス方式のインクジェット画像形成装置である。キャリッジユニット24は、複数のインクジェットヘッド242を配列してラインヘッドとして構成することができる。インクジェット242は、あらゆる駆動方式の何れを採用したヘッドであってもよい。
【0030】
キャリッジユニット24には、キャリッジユニット24を印刷時に所定の印刷位置に向けて水平移動させる図示しない駆動手段及び下降又は斜め下降させる駆動手段となるキャリッジ駆動部243が設けられている。キャリッジ駆動部243は、エアシリンダやモータ等である。所定の印刷位置とは、画像形成ドラム21に対向して近接する位置であり、この実施形態においては、待機位置から水平移動され、次に下降又は斜め下降されることによって到達する。キャリッジ駆動部243は、この実施形態においては、キャリッジユニット24の両端側に配置されている。ただし、キャリッジ駆動部243は、1台のキャリッジユニット24について1台のみを設けてもよい。キャリッジ駆動部243は、
図2に示すように、キャリッジユニット24の加速度が所望の値となるように、制御部40により制御される。
【0031】
キャリッジユニット24には、この実施形態では、直交するxyz3軸方向の加速度を計測できる加速度計244が搭載されている。加速度計244は、従来公知のどのような方式、どのような構成のものであってもよい。この加速度計244によれば、インク流路に平行な方向も含めて、あらゆる方向の加速度を計測することができる。ただし、後述するように、キャリッジユニット24の移動方向が直交する2軸方向である場合には、この移動方向にxy2軸方向を一致させれば、加速度計244は、直交するxy2軸方向のみの加速度が計測できるものであってもよい。加速度計244により計測された加速度検出結果(加速度値)は、
図2に示すように、制御部40に入力される。
【0032】
照射部25は、
図1に示すように、キャリッジユニット24により記録媒体P上にインクが吐出された後に、そのインクを硬化させるためのエネルギー線を記録装置Pに照射する。照射部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、蛍光管を発光させて紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向についてキャリッジユニット24の下流側に設けられる。照射部25は、画像形成ドラム21に担持されてインクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射し、エネルギー線の作用により記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させる。照射部25は、
図2に示すように、制御部40により制御される。
【0033】
本実施の形態のインクジェット画像形成装置1で用いられるインクは、特に限られないが、例えば、紫外線(UV)硬化型のインクである。紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa~1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザ光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば、発光ダイオード等)が望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線の波長などに応じて選択できる。
【0034】
デリバリー部26は、
図1に示すように、照射部25によりエネルギー線が照射された記録媒体Pを画像形成ドラム21から排紙部30に搬送する。デリバリー部26は、輪状のベルト263を複数のローラー261,262により回転駆動してベルト263上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、記録媒体Pを画像形成ドラム21から搬送機構に受け渡す円筒状の受け渡しドラム264等を有する。デリバリー部26は、受け渡しドラム264によりベルト263に受け渡された記録媒体Pをベルト263により搬送して排紙部30に送り出す。
【0035】
排紙部30は、デリバリー部26により画像形成部20から送り出された記録媒体Pを格納する。排紙部30は、板状の排紙トレー31等を有し、この排紙トレー31上に画像形成後の記録媒体Pを重ねて載置させる。
【0036】
図4は、
図1に示したインクジェット画像形成装置のインク流路を示す模式図である。
図5は、
図1に示したインクジェット画像形成装置のインク流路を示す断面図である。
【0037】
本実施形態のインクジェット画像形成装置1では、
図4及び
図5に示すように、メインインクタンク51から供給ポンプ52によって汲み出されたインクは、各キャリッジユニット24のインク流路53上の第1サブタンク54に供給される。
【0038】
インク流路53は、各キャリッジユニット24で吐出されなかったインクを必要に応じて第1サブタンク54に戻すことができるように、循環経路となっている。第1サブタンク54中のインクは、送液ポンプ55及び逆止弁56を経て、第2サブタンク57に送られる。第2サブタンク57に送られたインクは、インクジェットヘッド242のインレット242aに供給される。
【0039】
インクジェットヘッド242においては、インレット242aに供給されたインクは、
図5に示すように、中空のマニホールド246内に溜められる。このマニホールド246内は、インク流路53の一部である。マニホールド246の底面は、複数のノズルが形成されたノズルプレート247によって閉蓋されている。ノズルプレート247の下面がノズル面である。マニホールド246内には、各ノズルに対応して、図示しない複数の圧力室が設けられている。マニホールド246内から圧力室内に注入されたインクは、圧力室を構成する圧電素子による電気機械変換作用により、ノズルから吐出される。なお、ノズル内のインクには負圧がかかっており、インクの表面張力と相俟って、インクが重力に抗してノズル内に留まるようになっている。
【0040】
マニホールド246内は、フィルタ248によって、上室及び下室に分離されている。フィルタ248は、インク中の塵挨や気泡を取り除いて、上室から下室にインクを透す。また、マニホールド246内には、各圧力室上に位置して、インクの圧力変動を抑制する緩衝部材となるダンパ249が設けられている。
【0041】
第2サブタンク57からインクを供給されたインクジェットヘッド242のマニホールド246の上室を経たインクは、アウトレット242bから他のインクジェットヘッド242のインレット242aに供給される。他のインクジェットヘッド242でも上室を経たインクは、アウトレット242bから第1サブタンク54に戻される。また、第2サブタンク57からインクを供給されたインクジェットヘッド242のマニホールド246の下室を経て吐出されなかったインクは、第2アウトレット242cから第1サブタンク54に戻される。他のインクジェットヘッド242においても、下室を経て吐出されなかったインクは、第2アウトレット242cから第1サブタンク54に戻される。
【0042】
この画像形成装置1において、キャリッジユニット24は、画像形成中は移動せず、画像形成前に待機位置から所定の印刷位置に、駆動手段により移動操作される。この移動は、
図3~
図5中矢印yで表される水平移動と、矢印xで表される下降移動(画像形成ドラム21に接近する移動)及び位置固定動作(クランプ)で構成されている。キャリッジユニット24は、矢印zで表される記録媒体Pの搬送方向には移動されない。
【0043】
キャリッジユニット24が移動操作されると、インク流路53に振動や衝撃が生じ、運動エネルギが圧力変動に変換され、インク流路53中のインクに圧力変動が生ずる。インクの圧力変動は、キャリッジユニット24の加速度に連動して生じる。この力Fは、運動方程式より、〔F=ma〕(∵m:インクの重量、a:インクの加速度)で示される。
【0044】
インクに加わる力Fが所定の値よりも大きいと、つまり、インクの圧力変動が所定の値よりも大きいと、メニスカスブレークが生じ、ノズル内のインクがノズル内方に後退してノズル内に空気が入ってしまう。このようにしてノズル内に空気が入ると、インクの吐出ができず、印画不良(ドット抜け)となる。
【0045】
キャリッジユニット24においては、インク流路53は、流路部材であるチューブや流路が穿設されたブロック等を経て、xyz3軸のあらゆる方向に屈曲しながらはりめぐらされている。このようなインク流路53中のインクに加わる力Fは、以下のように示される。
【0046】
F=Σma=mx・ax+my・ay+mz・az
(∵ax:加速度aのx軸成分、ay:加速度aのy軸成分、az:加速度aのz軸成分、mx:インクの質量mのx軸方向への動圧寄与分、my:インクの質量mのy軸方向への動圧寄与分、mz:インクの質量mのz軸方向への動圧寄与分)
【0047】
インクの重量mは、〔m=LSρ〕で表される(∵L:インク流路の長さ、S:インク流路の断面積、ρ:インクの比重)
なお、インク流路の長さLは、インク流路53の始点から終点までのインク流路53に沿った距離であり、第2サブタンク57にインク界面(液面)がある場合には、この界面からノズル面までを指し、界面がない場合には、送液ポンプ(負圧ポンプ)55からノズル面までを指す。
【0048】
力Fは、以下のように示される。
F=Sρ(Lx・ax+Ly・ay+Lz・az)
(∵Lx:Lのx軸成分、Ly:Lのy軸成分、Lz:Lのz軸成分)
ここで、圧力変動をΔPとすると、Lx、Ly、Lzのそれぞれにおいて方向が反対の成分による力Fが相殺されるので、ΔPは、以下のように示される。
ΔP=ρ(ΔLx・ax+ΔLy・ay+ΔLz・az)
(∵ΔLx:x軸方向流路差、ΔLy:y軸方向流路差、ΔLz:z軸方向流路差)
x軸方向流路差とは、インク流路53の始点と終点とのx軸方向の距離(直線距離のx軸成分)、y軸方向流路差とは、インク流路53の始点と終点とのy軸方向の距離(直線距離のy軸成分)、z軸方向流路差とは、インク流路53の始点と終点とのz軸方向の距離(直線距離のz軸成分)である。
つまり、圧力変動ΔPは、加速度aの関数で表される。
【0049】
なお、
図5に示すように、実施形態においては、x軸方向流路差ΔLxは、第2サブタンク57内のインクの界面からノズル面までの鉛直方向距離(高低差)であり、y軸方向流路差ΔLyは、第2サブタンク57からのインク流路の中心位置からノズル面の最も遠い位置までの水平方向距離であり、z軸方向流路差ΔLzは、第2サブタンク57からのインク流路の中心位置からノズル面の最も遠い位置までの水平方向距離である。
【0050】
制御手段40は、x軸方向の加速度axとx軸方向流路差ΔLxとの積(ΔLx・ax)と、y軸方向の加速度ayとy軸方向流路差ΔLyとの積(ΔLy・ay)と、z軸方向の加速度azとz軸方向流路差ΔLzとの積(ΔLz・az)とを合算し、この合算値(ρ(ΔLx・ax+ΔLy・ay+ΔLz・az)=ΔP)が予め定めた閾値を超えた場合には、キャリッジユニット24の加速度aを小さくする。
【0051】
なお、加速度計244が直交するxy2軸方向のみの加速度を計測するものである場合には、制御部40は、x軸方向の加速度axとx軸方向流路差ΔLxとの積(ΔLx・ax)と、y軸方向の加速度ayとy軸方向流路差ΔLyとの積(ΔLy・ay)とを合算し、この合算値(ρ(ΔLx・ax+ΔLy・ay)=ΔP)が予め定めた閾値を超えた場合には、キャリッジユニット24の加速度aを小さくする。
【0052】
キャリッジユニット24の加速度aを小さくすることは、具体的には、制御手段40により、駆動手段(水平移動)及びキャリッジ駆動部243(下降)の出力を下げ、キャリッジユニット24の移動速度を遅くすることにより行うことができる。
【0053】
図6は、
図1に示したインクジェット画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0054】
制御部40は、
図6に示すように、処理を開始すると、ステップst1において、印刷指示を行う。次のステップst2では、キャリッジユニット24を印刷位置に移動操作する。次のステップst3では、キャリッジユニット24の移動操作時のインク流路53内のインクに生ずる圧力変動ΔP(=ρ(ΔLx・ax+ΔLy・ay+ΔLz・az))を算出する。
【0055】
次のステップst4では、圧力変動ΔPが閾値を超えているかを判別し、超えていなければステップst5に進み、超えていればステップst6に進む。ステップst5では、印刷を実行し、処理を終了する。
【0056】
ステップst6では、キャリッジユニット24の加速度を1段階下げる。次のステップst7では、大量欠(ノズル内に空気が入った状態)を回復させてから、テストチャートを印刷する。次のステップst8では、インラインセンサ245により、大量欠(ノズル内に空気が入ったことによる吐出不良)発生の有無を判別し、発生していればステップst6に戻り、発生していなければステップst5に進む。
【0057】
このインクジェット画像形成装置1においては、キャリッジユニット24の加速度aの各軸成分(ax、ay、az)及びインク流路53の各方向流路差(ΔLx、ΔLy、ΔLz)ごとの積を合算し、この合算値(ρ(ΔLx・ax+ΔLy・ay+ΔLz・az)=ΔP)を予め定めた閾値と比較するので、実際の現象により近い、精度の高い判別を行うことができる、また、吐出不良(ドット抜け)が発生しなかった場合には、キャリッジユニット24の加速度を必要以上に小さくすることがないので、印刷までの待ち時間を短くすることができる。
【0058】
なお、インクジェット画像形成装置1を使用しているうちに圧力変動ΔP(計算値)が閾値を超えるようになってしまうのは、キャリッジ駆動部243の機構部の摩耗等が原因である。
【0059】
図7は、
図1に示したインクジェット画像形成装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【0060】
制御部40は、
図6に示したフローチャートにおいて、
図7に示すように、前述したステップst8で、インラインセンサ245により、大量欠(ノズル内に空気が入ったことによる吐出不良)発生の有無を判別し、発生していればステップst6に戻り、発生していなければステップst9に進むようにしてもよい。
【0061】
ステップst9では、ステップst4において圧力変動ΔP(計算値)が閾値を超えた回数が所定の回数(n回)を越えたかを判別し、越えていればステップst10に進み、越えていなければステップst5に進む。
【0062】
ステップst10では、キャリッジユニット24の加速度を下げた後に算出された圧力変動ΔPを新たな閾値として更新して記憶し、ステップst5に進む。
【0063】
このように閾値を更新することにより、キャリッジユニット24の加速度は、大量欠が発生しない状態により確実に維持される。このような閾値の更新が必要となるのは、インクジェット画像形成装置1の使用当初にはインク流路53内のインク中に気泡が存在し、この気泡が緩衝物になるために、加速度に対して実際の圧力変動ΔPが計算値よりも小さく、閾値が高めに設定されているためである。インクジェット画像形成装置1の使用に伴ってインク中の気泡は脱気され、加速度に対して実際の圧力変動ΔPが大きくなってゆくので、閾値を低くしていかないと、実際の圧力変動ΔPを所定値以内の抑えることができなくなるのである。
【0064】
そして、このインクジェット画像形成装置1においては、インク流路53中において圧力変動の特定の周波数帯域成分を吸収し圧力変動を抑制する粘弾性要素、例えば、マニホールド246内において隣接するノズル間の振動干渉を軽減するためのダンパ249などの緩衝部材があり、この緩衝部材が吸収する周波数帯域が加速度計244が検出する加速度の周波数帯域に重なる場合には、検出された加速度aの周波数弁別を行うことが好ましい。
【0065】
この実施形態のインクジェット画像形成装置1においては、インク流路53内(マニホールド246内)には、インクの圧力変動を抑制する緩衝部材となるダンパ249が設けられている。
【0066】
マニホールド246内にダンパ249を設けた場合には、このダンパ249は、インクの圧力変動の高周波帯域成分(例えば、30Hz以上)を吸収する。キャリッジユニット24の水平移動時及び下降時(ほぼ等速移動時)には、インクの圧力変動は、低周波成分が主であるため、ダンパ249による抑制はほとんどなされない。キャリッジユニット24の移動終了時及び位置固定動作(クランプ)時には、インクの圧力変動には、高周波帯域成分(例えば、30Hz以上)が含まれ、この高周波帯域成分は、ダンパ249により抑制される。
【0067】
したがって、キャリッジユニット24の加速度aを小さくする動作は、ダンパ249により抑制されない周波数帯域(この実施形態においては低周波帯域)の圧力変動に基づいて実行することが好ましい。つまり、制御手段40は、加速度計244により検出された加速度を周波数解析(例えば、フーリエ解析)し、ダンパ249によって圧力変動が抑制される周波数帯域の加速度成分を除いて、残余の加速度成分によって合算値の算出を行うことが好ましい。これにより、ダンパ249によって圧力変動が抑制される周波数帯域の加速度成分に起因して必要以上にキャリッジユニット24の加速度を小さくすることが防止される。
【0068】
そして、このインクジェット画像形成装置1においては、キャリッジユニット24が所定の印刷位置に移動されて停止するタイミングがキャリッジユニット24の両端で一定時間以上異なる場合には、先に停止する側のキャリッジ駆動部243による加速度を小さくすることが好ましい。
【0069】
前述したように、キャリッジ駆動部243がキャリッジユニット24の両端側に設けられている場合において、印刷位置に移動されて停止するタイミングがキャリッジユニット24の両端で一定時間以上異なる場合には、先に停止する側のキャリッジ駆動部243による加速度が、後に停止する側のキャリッジ駆動部243による加速度よりも一定値以上に大きいということである。したがって、この場合には、先に停止する側のキャリッジ駆動部243による加速度を小さくすることによって、キャリッジユニット24の両端における加速度の不均衡(アンバランス)を解消することができる。
【0070】
なお、キャリッジユニット24の両端において、印刷位置に移動されて停止するタイミングの差が一定時間未満である場合には、キャリッジ駆動部243による加速度を小さくする場合には、キャリッジユニット24の両端側のキャリッジ駆動部243、243による加速度を同時に小さくする。
【0071】
以上の実施形態の説明における具体的な構成、形状、材質、動作及び数値等は、本発明を説明するための例示に過ぎず、これらによって本発明が限定的に解釈されることがあってはならない。
【0072】
以上説明したインクジェット画像形成装置では、キャリッジユニット24は、C、M、Y、Kの各色に対応して4個が設けられているが、キャリッジユニット24の個数は特に限定されず、より多くの色に対応させてより多くの個数のインクジェットヘッドを設けてもよい。
【0073】
また、以上説明したインクジェット画像形成装置では、画像形成ドラム21の回転により記録装置Pを搬送しているが、ベルトやローラ等を用いて、記録装置Pを平面状態に維持したままで搬送してもよい。
【0074】
以上説明したインクジェット画像形成装置は、ワンパス方式であるが、インクジェットヘッドを走査させるスキャン方式としてもよい。
【0075】
さらに、以上説明したインクジェット画像形成装置では、紫外線硬化型インクを用いているが、インクは特に限定されず、顔料インクや、その他種々のインクを用いてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 インクジェット画像形成装置
10 給紙部
11 給紙トレー
12 搬送部
121 ローラー
122 ローラー
123 ベルト
20 画像形成部
21 画像形成ドラム
22 受け渡しユニット
23 用紙加熱部
24 キャリッジユニット
241 キャリッジ
242 インクジェットヘッド
242a インレット
242b アウトレット
242c アウトレット
243 キャリッジ駆動部
244 加速度計
245 インラインセンサ
246 マニホールド
247 ノズルプレート
248 フィルタ
249 ダンパ
25 照射部
26 デリバリー部
261 ローラー
262 ローラー
263 ベルト
264 受け渡しドラム
30 排紙部
31 排紙トレー
40 制御部
41 表示装置
42 メモリ
51 メインインクタンク
52 供給ポンプ
53 インク流路
54 第1サブタンク
55 送液ポンプ
56 逆止弁
57 第2サブタンク