(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/30 20060101AFI20220726BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20220726BHJP
H01M 4/04 20060101ALN20220726BHJP
H01M 4/139 20100101ALN20220726BHJP
H01G 13/00 20130101ALN20220726BHJP
【FI】
B65G47/30 D
B65G47/91 Z
H01M4/04 Z
H01M4/139
H01G13/00 381
H01G13/00 331C
H01G13/00 331D
(21)【出願番号】P 2018155634
(22)【出願日】2018-08-22
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213412(JP,A)
【文献】特開平03-095022(JP,A)
【文献】特開平04-101366(JP,A)
【文献】特開平08-053108(JP,A)
【文献】特開2001-239484(JP,A)
【文献】特開2002-326177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/32
B65G 47/91
H01M 4/04
H01M 4/139
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート部材を第1の搬送部から第2の搬送部へ移載する移載装置であって、
前記シート部材を吸着して保持する複数の保持部と、
第1の方向に並べられた複数の前記保持部を前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間で移動させる移動部と、
前記第1の方向において隣り合う一対の前記保持部間の間隔の大きさを調整する調整部と、
前記保持部によって保持された前記シート部材を検出する検出部と、を備え
、
前記調整部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記間隔の大きさを調整する、移載装置。
【請求項2】
前記調整部は、三つ以上の前記保持部を前記第1の方向に等間隔に配置する、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記保持部は、吸着面と平行で前記第1の方向と直交する第2の方向へ位置調整可能である、請求項1
又は2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記保持部は、吸着面と直交する方向へ延びる軸線を基準とする回転方向への位置調整が可能である、
請求項1~3の何れか一項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ搬送物品を移載する装置が記載されている。この装置は、上流側のコンベアにおいて搬送物品の間隔にバラツキがある場合、上流側のコンベアと下流側のコンベアとの間の搬送速度に差を設けている。これにより、この装置は、下流側のコンベアでの搬送物品のピッチを同じとするように揃えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送物品を第1の搬送部から第2の搬送部へ移載する移載装置として、搬送物品の間隔を意図的に変更するものもある。例えば、搬送物品が製造ラインで加工・処理されるワークとすると、加工時に隣接するワークに干渉しないようにピッチを広げる、または、検査などで精度を上げる為に搬送速度を落としピッチは狭まる、といった場合が存在する。このような移載装置に対して、上述の特許文献1の技術を採用した場合、移載装置は、上流側のコンベアと下流側のコンベアとの間の搬送速度に差を設け、コンベア間を乗り継ぐことで、ピッチの調整を行う構成となる。しかしながら、搬送物品がシート部材である場合、搬送速度の異なるコンベア間の乗り継ぎでは、精度良くピッチの調整を行うことが難しい。これは、シート部材では、形状に起因し、上流側のコンベアより下流側のコンベアに乗り移るタイミングで、シート部材が、下流側のコンベアの搬送面に接触するタイミングにバラツキが生じやすいことによる。この為、最終的には、下流側のコンベア上で、各シート部材のピッチにバラツキが生じる。従って、シート部材のピッチを精度良く調整できる移載装置が求められていた。
【0005】
本発明は、シート部材のピッチを精度良く調整できる移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る移載装置は、複数のシート部材を第1の搬送部から第2の搬送部へ移載する移載装置であって、シート部材を吸着して保持する複数の保持部と、第1の方向に並べられた複数の保持部を第1の搬送部と第2の搬送部との間で移動させる移動部と、第1の方向において隣り合う一対の保持部間の間隔の大きさを調整する調整部と、を備える。
【0007】
移載装置は、シート部材を吸着して保持する複数の保持部と、第1の方向に並べられた複数の保持部を第1の搬送部と第2の搬送部との間で移動させる移動部と、を備える。従って、保持部は、第1の方向に並んだ状態で第1の搬送部の複数のシート部材を保持し、第2の搬送部へ移動することができる。また、保持部は、第1の方向に並んだ状態で複数のシート部材を第2の搬送部へ載置することができる。ここで、移載装置は、第1の方向において隣り合う一対の保持部間の間隔の大きさを調整する調整部を備えている。従って、調整部が、一対の保持部間の間隔の大きさを調整することで、シート部材を第2の搬送部での所望のピッチに揃えることができる。このように、調整部が、シート部材を保持している保持部自体の間隔を調整する場合、搬送速度の異なるコンベア間の乗り継ぎに比して、精度良くシート部材のピッチを調整できる。以上により、シート部材のピッチを精度良く調整できる。
【0008】
調整部は、三つ以上の保持部を第1の方向に等間隔に配置してよい。これにより、調整部は、三つ以上のシート部材を第1の方向に等ピッチに配置することができる。
【0009】
移載装置は、保持部によって保持されたシート部材を検出する検出部を更に備え、調整部は、検出部の検出結果に基づいて間隔の大きさを調整してよい。これにより、調整部は、保持部で保持されているときのシート部材の状態に基づいて、保持部の間隔を適切な大きさに調整することができる。
【0010】
保持部は、吸着面と平行で第1の方向と直交する第2の方向へ位置調整可能であってよい。これにより、第2の方向へのシート部材の位置調整が可能となる。
【0011】
保持部は、吸着面と直交する方向へ延びる軸線を基準とする回転方向への位置調整が可能であってよい。これにより、回転方向へのシート部材の位置調整が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シート部材のピッチを精度良く調整できる移載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る移載装置が適用される電極製造装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。
【
図3】移載装置を備える電極製造装置を示す概略平面図である。
【
図4】移載装置及び第2の搬送部を示す概略側面図である。
【
図5】移載装置の本体部の詳細な構成を示す図である。
【
図6】変形例に係る移載装置の本体部の詳細な構成を示す図である。
【
図7】変形例に係る移載装置の本体部の詳細な構成を示す図である。
【
図8】変形例に係る移載装置の本体部の詳細な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る移載装置を有する電極製造装置によって製造される電極を用いた蓄電装置の内部を示す断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0016】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。また、電極組立体3の積層方向において、電極組立体3のガタツキを低減するために、電極組立体3とケース2との間の隙間に、数枚のスペーサが配置されている。スペーサの枚数は、電極組立体3の厚みに応じて適宜調整される。
【0017】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0018】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0019】
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0020】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0021】
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0022】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0023】
次に、
図3~
図5を参照して、本発明の実施形態に係る移載装置20について説明する。
図3は、移載装置20を備える電極製造装置100を示す概略平面図である。
図4は、移載装置20及び第2の搬送部120を示す概略側面図である。
図5は、移載装置20の本体部22の詳細な構成を示す図である。
【0024】
電極製造装置100は、前述で説明した電極のうち、セパレータ付き正極11を製造する装置である。従って、本実施形態では、正極8が移載装置20の対象物であるシート部材に該当する。
図3に示すように、電極製造装置100は、移載装置20と、第1の搬送部110と、第2の搬送部120と、を備える。
【0025】
第1の搬送部110は、正極8を形成すると共に、当該正極8を搬送する装置である。第1の搬送部110は、切断部111と、コンベア112と、を備える。切断部111は、帯状の電極部材113を正極8の形状に切断することによって、当該正極8を形成する。なお、電極部材113は、活物質が塗布された塗工部113aと、活物質が塗布されず金属箔が露出した未塗工部113bと、を備える。切断後は、塗工部113aが正極8の正極活物質層15となり、未塗工部が正極8のタブ14bとなる。切断部111は、例えば、ロータリダイカッタなどによって構成される。コンベア112は、切断部111で形成された正極8を搬送方向D1へ搬送する。
【0026】
第2の搬送部120は、正極8を搬送しながらセパレータで包むことによってセパレータ付き正極11(
図2参照)を形成する装置である。
図4に示すように、第2の搬送部120は、コンベア121と、供給ローラ122と、溶着部123と、を備える。コンベア121は、帯状のセパレータ部材124Aを介して正極8を搬送する。コンベア121は、搬送方向D1の上流側及び下流側の端部に設けられるローラ121a,121bと、ローラ121a,121bに架け渡されるベルト121cと、を備える。ベルト121cのローラ121a,121bの上端間に架け渡される上側部分の上面にセパレータ部材124Aが載せられ、当該上側部分が搬送方向D1へ移動する。また、ベルト121cの上側部分の下面側には吸引ボックス121dが設けられている。従って、ベルト121cの上面は、吸引ボックス121dの吸引により、吸着面として機能する。なお、コンベア121の搬送方向D1の下流側には、コンベア121に対して正極8及びセパレータ部材124Aを押し付ける、ローラ126が設けられる。
【0027】
供給ローラ122は、コンベア121に対してセパレータ部材124Aを供給する。供給ローラ122は、コンベア121の搬送方向D1の上流側に配置される。供給ローラ122には、セパレータ部材124Aがロール状に巻かれており、供給ローラ122は、セパレータ部材124Aを巻き出すことで、当該セパレータ部材124Aを供給する。溶着部123は、セパレータ部材124A,124Bで正極8を挟みながら、セパレータ部材124A,12B同士を接合する。これにより、セパレータ部材124A,124B同士は溶着箇所Wで接合される。溶着部123は、上下一対のローラを有しており、上側のローラに対してセパレータ部材124Bが供給される。溶着部123で溶着がなされた後、図示されない切断部が、溶着箇所Wを切断することで、セパレータ付き正極11(
図2参照)が形成される。
【0028】
移載装置20は、複数の正極8を第1の搬送部110から第2の搬送部120へ移載する装置である。
図3に示すように、移載装置20は、正極8を保持する本体部22と、本体部22を移動させる移動部23と、検出部25と、制御部40と、を備える。移載装置20は、第1の搬送部110と第2の搬送部120との間に配置されている。なお、
図3では本体部22は簡略化されて示されている。
【0029】
移動部23は、本体部22を第1の搬送部110と第2の搬送部120との間で移動させる部分である。移動部23は、第1の搬送部110で複数の正極8を保持した本体部22を第2の搬送部120へ移動させる。また、移動部23は、第2の搬送部120に正極8を載置した後、空の本体部22を第1の搬送部110へ移動させる。移動部23の基端部はベース部24に接続されており、移動部23の先端部は本体部22に接続されている。ベース部24は、第1の搬送部110と第2の搬送部120との間に配置される。移動部23は、アーム部26及びジョイント部27によって構成される。ジョイント部27は、アーム部26とベース部24との間、アーム部26同士の間、及びアーム部26と本体部22との間を回転可能に接続する。
【0030】
本体部22は、複数(ここでは3個)の正極8を保持、及び保持解除する部分である。本体部22は、第1の搬送部110で搬送される複数(ここでは3個)の正極8をコンベア112の上面で保持する。また、本体部22は、第2の搬送部120のコンベア121の上面で保持解除することで、正極8を第2の搬送部120に載置する。ここで、第2の搬送部120での正極8のピッチは、第1の搬送部110での正極8のピッチよりも大きい。従って、本体部22は、複数の正極8を保持したままの状態で、当該正極8のピッチを変更する機構を有する。
【0031】
次に
図5を参照して、本体部22の詳細な構成について説明する。本体部22は、複数の保持部31と、調整部32と、を備える。なお、以降の説明においては、便宜的にXY座標系を用いて説明する。X軸方向(第1の方向)は、複数の保持部31の配列方向である。Y軸方向(第2の方向)は、吸着面と平行でX軸と直交する方向である。ここでのXY座標系は、本体部22に対して設定された相対座標系である。正極8を保持するとき、及び正極8の保持を解除するとき、本体部22は、X軸方向が搬送部110,120の搬送方向D1と平行になる。また、構成の理解のために、
図5では、正極8間のピッチを
図3に示すものに比して大きく強調して表示している。
【0032】
保持部31は、正極8を吸着して保持する。保持部31は、下面側を吸着面31a(
図4参照)とする吸着パッドによって構成される。ここでは、保持部31は、上下方向から見て矩形状の形状を有している。複数(ここでは3個)の保持部31は、X軸方向に真っすぐに並べられている。複数の保持部31は、X軸方向に平行に延びるガイド部材33によって、X軸方向にスライド可能に支持されている。ガイド部材33は、保持部31の上側に配置されている(
図4参照)。ガイド部材33は、本体部22の図示されないフレームなどに固定されており、XY座標系内での位置が固定されている。
【0033】
調整部32は、X軸方向において隣り合う一対の保持部31間の間隔の大きさを調整する。調整部32は、第1の搬送部110で正極8を保持するときは、第1の搬送部110での正極8の小さいピッチに合わせ、保持部31間の間隔を小さい状態(
図5(a)の状態)にする。ここでは、調整部32は、保持部31同士が互いに接触する状態にする。このとき、保持部31のX軸方向の端部31bは、隣の保持部31の端部31bと接触する。調整部32は、第2の搬送部120に正極8を載置するときは、第2の搬送部120での正極8の大きいピッチに合わせて、保持部31間の間隔を大きい状態(
図5(b)の状態)にする。なお、調整部32が保持部31の間隔を大きくするタイミングは特に限定されず、保持部31が第1の搬送部110で正極8を保持した後であって、第2の搬送部120に正極8を載置するよりも前のタイミングであればいつでもよい。
【0034】
本実施形態では、調整部32は、保持部31間に隙間を形成する隙間形成部41と、復元力を発生させるばね部42と、を備える。本実施形態では、隙間形成部41は、保持部31に対してY軸方向の正側に設けられている。ただし、隙間形成部41は、保持部31に対してY軸方向の負側に設けられてもよく、その場合は、以降のY軸方向の負側と正側の説明が逆になる。
【0035】
隙間形成部41は、楔部材43と、ガイド部44と、アクチュエータ46と、を備える。楔部材43は、一対の保持部31の端部31b間に入り込む部材である。楔部材43は、Y軸方向の負側の端部に先細りとなる先端部43aを有している。先端部43aが、一対の端部31b間に進入するに従って、端部31b間の離間距離が大きくなる。これにより、一対の保持部31間の隙間が大きくなる。本実施形態では、保持部31間の隙間は2つ形成されるため、隙間形成部41は二つの楔部材43を有する。ガイド部44は、楔部材43をX軸方向にスライド可能に支持する。これにより、楔部材43がY軸方向の負側へ移動して保持部31間の隙間に入り込むとき、ガイド部44は、楔部材43のX軸方向への移動を許容する。
【0036】
アクチュエータ46は、ガイド部44を介して楔部材43をY軸方向へ移動させる。アクチュエータ46は、例えばエアシリンダによって構成される。アクチュエータ46は、ピストン46a及びロッド46bを備える。ピストン46aは、本体部22の図示されないフレームなどに固定され、XY座標系内での位置が固定されている。ロッド46bは、ピストン46aに対してY軸方向に伸縮する。ロッド46bの先端部にはガイド部44が接続されている。従って、ロッド46bがY軸方向の負側へ延びることで、ガイド部44及び楔部材43はY軸方向の負側へ移動する。ロッド46bがY軸方向の正側へ縮むことで、ガイド部44及び楔部材43はY軸方向の正側へ移動する。アクチュエータ46は、駆動力を発生するものであれば特に限定されず、例えば、電動スライダなどを採用してもよい。
【0037】
ばね部42は、保持部31の隙間が大きくなったときに、保持部31が元の状態(
図5(a)の状態)へ戻るための復元力を発生する。ばね部42の一方の端部は一の保持部31に固定され、ばね部42の他方の端部は、隣りの保持部31に固定される。楔部材43によって保持部31間の隙間が大きい状態(
図5(b)の状態)となった後に、楔部材43が元の位置(
図5(a)に示す位置)に戻った場合、ばね部42は、互いに隣り合う保持部31同士を近づくように移動させる。これにより、互いに隣り合う保持部31の端部31b同士が接触することで、保持部31間の隙間が無くなった状態(
図5(a)の状態)に戻る。
【0038】
図3に示すように、検出部25は、保持部31によって保持された正極8を検出する。検出部25は、例えばカメラなどによって構成される。本実施形態では、検出部25は、第1の搬送部110と第2の搬送部120との間に設けられる。検出部25は、本体部22の移動範囲内に配置される。検出部25は、調整部32が保持部31間の間隔を大きくする前の状態(
図5(a)の状態)の正極8を検出する。検出部25は、保持部31に保持された正極8の姿勢やピッチなどを検出できる。
【0039】
制御部40は、移載装置20全体を統括的に管理するECU[ElectronicControl Unit]を備えている。ECUは、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路等を有する電子制御ユニットである。ECUでは、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。制御部40は、移動部23、及び本体部22の調整部32を制御する。従って、制御部40は、移動部及び調整部の一部として機能する。また、制御部40は、検出部25の検出結果を取得する。
【0040】
制御部40は、検出部25の検出結果に基づいて、保持部31間の間隔の大きさを調整する。すなわち、調整部32が保持部31間の間隔を大きくする前の状態(
図5(a)の状態)において、制御部40が正極8のピッチを把握することができると、第2の搬送部120において必要とされるピッチとするために、保持部31間の間隔をどの程度の大きさとすればよいかを把握することができる。従って、制御部40は、保持部31間の必要な間隔を演算し、当該間隔となるように、アクチュエータ46を制御する。
【0041】
次に、本実施形態に係る移載装置20の作用・効果について説明する。
【0042】
移載装置20は、正極8を吸着して保持する複数の保持部31と、X軸方向に並べられた複数の保持部31を第1の搬送部110と第2の搬送部120との間で移動させる移動部23と、を備える。従って、保持部31は、X軸方向に並んだ状態で第1の搬送部110の複数の正極8を保持し、第2の搬送部120へ移動することができる。また、保持部31は、X軸方向に並んだ状態で複数の正極8を第2の搬送部120へ載置することができる。ここで、移載装置20は、X軸方向において隣り合う一対の保持部31間の間隔の大きさを調整する調整部32を備えている。従って、調整部32が、一対の保持部31間の間隔の大きさを調整することで、正極8を第2の搬送部120での所望のピッチに揃えることができる。
【0043】
例えば、比較例として、第1の搬送部110と第2の搬送部120を直列に並べ、第2の搬送部120の搬送速度を第1の搬送部110の搬送速度よりも大きくし、正極8が両搬送部110,120の間を乗り継ぐことで、第2の搬送部120での正極8のピッチを大きくする構成が挙げられる。しかしながら、例えば、正極8の前駆体である帯状の電極部材113は、製造工程において、一旦、ロール状に巻き取られる。この為、電極部材113には巻き癖が生じ、電極部材113より切断される正極8には、一定ではない反りが残る。前述の構成では、正極8の反りの程度により、正極8が、第2の搬送部の搬送面、前述の実施形態ではセパレータ部材124Aの上面、に接触するタイミングが異なる。具体的には、正極8の反りが一定でないと、正極8が第2の搬送部120上に乗り移る場合に、搬送方向の長さの2割が第2の搬送部上にかかったタイミングで第2の搬送部120の搬送面に接触する正極8もあれば、4割が第2の搬送部上にかかったタイミングで搬送面に接触する正極8もある、といったバラツキが生じる。この為、第2の搬送部120にて正極8のピッチを等ピッチにすることができない。すなわち、比較例に係る構成では、正極8のピッチを精度良く調整することが難しいという問題がある。
【0044】
これに対し、本実施形態に係る移載装置20では、調整部32が、正極8を保持している保持部31自体の間隔を調整することができる。このような構成は、搬送速度の異なるコンベア間の乗り継ぎに比して、精度良く正極8のピッチを調整できる。以上により、正極8のピッチを精度良く調整できる。
【0045】
調整部32は、三つの保持部31をX軸方向に等間隔に配置する。これにより、調整部32は、三つ以上の正極8をX軸方向に等ピッチに配置することができる。
【0046】
また、移載装置20では、保持部31の吸着面31aが各正極8を吸着し、反りの無い伸びた状態で保持する。この状態で、第2の搬送部120に移載される為、各正極8について、第2の搬送部120の搬送面(セパレータ部材124Aの上面)に接触するタイミングにバラツキが生じることが無く、精度良くピッチを揃えることができる。
【0047】
移載装置20は、保持部31によって保持された正極8を検出する検出部25を更に備え、調整部32は、検出部25の検出結果に基づいて間隔の大きさを調整する。これにより、調整部32は、保持部31で保持されているときの正極8の状態に基づいて、保持部31の間隔を適切な大きさに調整することができる。
【0048】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
例えば、調整部の構成は特に限定されるものではなく、保持部間の間隔を調整できる限り、あらゆる構成を採用してもよい。例えば、
図6に示すような調整部232を採用してもよい。調整部232は、一方の保持部31と他方の保持部31に対してアクチュエータ246が直接取り付けられている。アクチュエータ246のピストン246aは一方の保持部31に設けられている。シリンダ246bはピストン246aからX軸方向に延びるように配置されている。シリンダ246bの先端部の接続部246cが他方の保持部31に設けられている。このような構成により、ピストン246aに対するシリンダ246bの伸縮により、一対の保持部31間の間隔が調整される。
【0050】
また、
図7に示すような保持部330が採用されてもよい。保持部330は、吸着面331aと平行でX軸方向と直交するY軸方向へ位置調整可能である。これにより、第2の方向へのシート部材の位置調整が可能となる。また、保持部330は、吸着面331aと直交する方向(ここでは上下方向)へ延びる軸線CLを基準とする回転方向への位置調整が可能である。これにより、回転方向への正極8の位置調整が可能となる。
【0051】
具体的には、保持部330は、吸着部331と、Y軸方向へのガイド部332と、回転可能な回転部333と、X軸方向へ移動可能なスライド部334と、を備える。吸着部331は、正極8を吸着すると共に、ガイド部332に沿ってY軸方向へスライド可能である。ガイド部332は、回転部333に設けられており、Y軸方向へ延びている。回転部333は、スライド部334に設けられており、軸線CL周りに回転可能である。軸線CLは、上方から見たときの吸着部331の中央位置を通過するように設定される。スライド部334は、ガイド部332に沿ってX軸方向にスライド可能である。このような構成により、吸着部331は、ガイド部332に沿ってX軸方向への位置調整が可能であり、回転部333の回転により軸線CL周りの回転方向への位置合わせが可能であり、且つ、ガイド部332に沿ってY軸方向への位置調整が可能となる。
【0052】
また、調整部の駆動機構として、エアシリンダのようなピストンとロッドで構成されるアクチュエータが採用されたが、あらゆる駆動機構のアクチュエータが採用されてよい。例えば、
図8(a)に示すように、ラック・アンド・ピニオンによる駆動機構が採用されてよい。すなわち、一対の保持部31を接続するラック433A,433Bが、ピニオンギア432によってX軸方向へ移動させてよい。ピニオンギア432が中央の保持部31に回転可能に固定されている。従って、ラック433Aは、中央の保持部31と、X軸方向の負側の保持部31との間の間隔を広げる。ラック433Bは、中央の保持部31と、X軸方向の正側の保持部31との間の間隔を広げる。また、
図8(b)に示すようなリンク機構による駆動機構が採用されてよい。X字状にピン接続された一対のアーム524のうち、一方のアーム524の端部が一方の保持部31にピン接続され、他方のアーム524の端部が他方の保持部31にピン接続される。
図8(b)の本体部は三つの保持部31を備えているため、X字状の一対のアーム524は、合計二対設けられており、互いにピン接続されている。
【0053】
上述の実施形態では、検出部は第1の搬送部と第2の搬送部との間に設けられていたが、検出部の位置は特に限定されない。例えば、検出部は、本体部自体に設けられてもよく、第1の搬送部又は第2の搬送部自体に設けられてもよい。
【0054】
例えば、上述の実施形態及び変形例において、本体部は、三つの保持部を備えていたが、二つの保持部を備えてもよく、四つ以上の保持部を備えてもよい。
【0055】
集電体は、活物質合剤が塗布できるものであれば、金属箔に限定されるものではない。例えば、織物状や網状のシートを用いてもよい。電極製造装置によって製造される電極は負極であってもよい。
【0056】
蓄電装置は、例えばキャパシタなど、二次電池以外の蓄電装置にも適用可能である。二次電池は、リチウムイオン二次電池でもよいし、他の二次電池であってもよい。要は、正極用の活物質と負極用の活物質との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0057】
移載装置の対象物となるシート部材として電極が例示されていたが、例えば、樹脂フィルム、紙などのシート部材が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
8…正極(シート部材)、20…移載装置、25…検出部、31,330…保持部、32,232…調整部、40…制御部(移動部、調整部)、110…第1の搬送部、120…第2の搬送部、32,232…調整部。