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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
E03D9/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018163765
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033849
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】福本 治彦
(72)【発明者】
【氏名】峯 浩二
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-064755(JP,A)
【文献】特開2013-067942(JP,A)
【文献】特開2009-001984(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0083164(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に取り付けられるケースプレートと、
前記ケースプレートに直交するように前記ケースプレートに取り付けられる基板ケースと、
前記基板ケースに取り付けられる回路基板と、
前記回路基板に電気的に接続されるハーネスが配置され、前記ケースプレートに取り付けられるケースカバーと、
前記ハーネスが前記回路基板に電気的に接続された状態で、前記回路基板に直交する方向に対して交差する取付方向に沿って前記基板ケースに取り付けられる基板カバーと、
を備え、
前記基板カバーには、
前記取付方向の先端側に開口部
が形成され、
前記基板ケースは、
前記開口部に向けて突出する壁部
を備え、
前記基板カバー、前記基板ケース、および前記回路基板は、
閉空間を形成する
ことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記基板ケースは、
前記壁部に対向し、前記壁部よりも高さが低い対向壁部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記壁部の高さは、
前記回路基板の電子部品の高さよりも高い
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記基板カバーは、
前記基板ケースよりも下方に突出する突出部
を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記基板カバーは、
前記基板カバーに付着した液体を前記突出部まで導く樋部
を備えることを特徴とする請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記基板カバーは、
上方側の上壁部に形成され、前記回路基板側の端から下方に向けて傾斜する傾斜部
を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記傾斜部は、
便座、便蓋の少なくとも一方と共に回動する回動支持部の下方に形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板等の発火を防止する衛生洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-27862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衛生洗浄装置では、回路基板が発火した場合でも、延焼を防止するために、ケースプレートに取り付けられた基板ケースに、延焼防止用の基板カバーが取り付けられることが知られている。
【0005】
このような衛生洗浄装置では、ケースカバーに配置されたハーネスを回路基板に電気的に接続した後に、基板カバーが回路基板に垂直な方向から基板ケースに取り付けられる。
【0006】
ところで、衛生洗浄装置は、デザイン性の観点から基板カバーの前方に、脱臭ユニットなどを配置し、ケースカバーの高さを低くすることが望まれている。
【0007】
しかしながら、回路基板の前方に、例えば、脱臭ユニットが配置されると、基板カバーを回路基板に垂直な方向から基板ケースに取り付ける場合に、脱臭ユニットが邪魔になり、基板カバーを基板ケースに取り付けることが困難になる。
【0008】
実施形態の一態様は、デザイン性を向上すると共に、基板カバーの取り付けを容易にする衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置は、便器本体に取り付けられるケースプレートと、前記ケースプレートに直交するように前記ケースプレートに取り付けられる基板ケースと、前記基板ケースに取り付けられる回路基板と、前記回路基板に電気的に接続されるハーネスが配置され、前記ケースプレートに取り付けられるケースカバーと、前記ハーネスが前記回路基板に電気的に接続された状態で、前記回路基板に直交する方向に対して交差する取付方向に沿って前記基板ケースに取り付けられる基板カバーと、を備え、前記基板カバーには、前記取付方向の先端側に開口部が形成され、前記基板ケースは、前記開口部に向けて突出する側壁部を備え、前記基板カバー、前記基板ケース、および前記回路基板は、閉空間を形成することを特徴とする。
【0010】
取付方向の先端側の基板カバーに開口部が形成されることで、回路基板に直交する方向に対して交差する取付方向に沿って基板カバーを挿入して、基板カバーを基板ケースに取り付けることができる。そのため、例えば、回路基板の前方に脱臭ユニットが設けられている場合であっても、基板カバーを基板ケースに容易に取り付けることができる。従って、例えば、回路基板と脱臭ユニットとを前後方向に並べて配置することができ、衛生洗浄装置の上下方向における高さを低くすることができ、デザイン性を向上させることができる。また、開口部に向けて突出する側壁部が基板ケースに形成され、基板カバー、基板ケース、および回路基板によって閉空間が形成されることで、回路基板が発火した場合に、回路基板の延焼を防止することができる。すなわち、延焼防止機能を保持しつつ、デザイン性を向上し、かつ基板カバーの取り付けを容易にすることができる。
【0011】
また、前記基板ケースは、前記壁部に対向し、前記壁部よりも高さが低い対向壁部を備えることを特徴とする。
【0012】
基板ケースの壁部に対向し、壁部よりも高さが低い対向壁部を備えることで、基板カバーを取付方向に沿って容易に取り付けることができる。
【0013】
また、前記壁部の高さは、前記回路基板の電子部品の高さよりも高いことを特徴とする。
【0014】
壁部の高さを回路基板の電子部品の高さよりも高くすることで、開口部と壁部との隙間を小さくすることができ、閉空間への空気の流入を抑制することができる。そのため、回路基板が発火した場合に、回路基板の延焼を防止することができる。
【0015】
また、前記基板カバーは、前記基板ケースよりも下方に突出する突出部を備えることを特徴とする。
【0016】
基板カバーに、基板ケースよりも下方に突出する突出部を設けることで、液体、例えば、水が基板カバーに付着した場合に、水を基板ケースよりも下方側に導き、閉空間に水が浸入することを抑制することができる。
【0017】
また前記基板カバーは、前記基板カバーに付着した液体を前記突出部まで導く樋部を備えることを特徴とする。
【0018】
基板カバーに樋部を設けることで、液体、例えば、水が基板カバーに付着した場合に、樋部を介して水を突出部から排出することができる。そのため、水が閉空間に浸入することを抑制することができる。
【0019】
また、前記基板カバーは、上方側の上壁部に形成され、前記回路基板側の端から下方に向けて傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする。
【0020】
傾斜部を設けることで、液体、例えば、水が傾斜部に付着した場合に、水を傾斜部によって回路基板とは反対側に流すことができる。そのため、水が閉空間に浸入することを抑制することができる。
【0021】
また、前記傾斜部は、便座、便蓋の少なくとも一方と共に回動する回動支持部の下方に形成されることを特徴とする。
【0022】
傾斜部を回動支持部の下方に形成することで、回動支持部から浸入した液体、例えば、水を傾斜部によって回路基板とは反対側に流すことができる。そのため、水が閉空間に浸入することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
実施形態の一態様によれば、デザイン性を向上すると共に、基板カバーの取り付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えるトイレ装置およびトイレルームを示す概略斜視図である。
図2図2は、衛生洗浄装置の本体部を前方から見た正面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、コントロールユニットの斜視図である。
図5図5は、コントロールユニットの正面図である。
図6図6は、図5のVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<トイレ装置>
まず、図1を参照して実施形態に係る衛生洗浄装置10を備えるトイレ装置1について説明する。図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置10を備えるトイレ装置1およびトイレルーム100を示す概略斜視図である。図1には、説明の便宜上、3次元の直交座標系を図示し、かかる直交座標系において、「前方」、「後方」、「左側方」、「右側方」、「上方」および「下方」を規定している。なお、座標系は、他の図においても図示している場合がある。
【0026】
図1に示すように、トイレ装置1は、トイレルーム100内に設置される。トイレ装置1は、便器本体2と、衛生洗浄装置10とを備える。便器本体2は、例えば、陶器製である。便器本体2には、ボウル部2aが形成される。ボウル部2aは、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器本体2は、図示のような床置き式に限らず、壁掛け式でもよい。
【0027】
衛生洗浄装置10は、便器本体2の上面後部に取り付けられ、本体部11と、便座12と、便蓋13とを備える。なお、衛生洗浄装置10は、便器本体2と一体化するように取り付けられてもよいし、便器本体2に対して着脱可能に取り付けられてもよい。また、衛生洗浄装置10は、トイレルーム100の壁面に設置された操作部51が使用者により操作されると、例えば、便蓋13を開閉したり、使用者の局部を洗浄する洗浄水を吐出したりし、各種機能を動作させる。
【0028】
なお、トイレ装置1は、例えば、便器本体2の後部に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。また、トイレ装置1は、例えば、サイホン作用を利用してボウル部2a内の汚物を引き込んでトラップ管路から排出する、いわゆるサイホン式でもよいし、例えば、ボウル部2a内の洗浄水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる洗い落し式でもよい。
【0029】
<衛生洗浄装置の本体部>
次に、図2図3を参照して実施形態に係る衛生洗浄装置10の本体部11について説明する。図2は、衛生洗浄装置10の本体部11を前方から見た正面図である。図3は、図2のIII-III断面図である。
【0030】
衛生洗浄装置10の本体部11には、ケースプレート20と、ケースカバー21とによって形成される空間に、ノズルユニット22、温風ユニット(不図示)、脱臭ユニット23、ヒンジユニット24の一部、コントロールユニット25などが収容される。
【0031】
ケースプレート20は、便器本体2(図1参照)の上面に取り付けられる。ケースプレート20には、ノズルユニット22や、温風ユニットや、脱臭ユニット23や、コントロールユニット25などが取り付けられる。
【0032】
ケースカバー21は、上方に向けて突出するように形成される。ケースカバー21は、ケースプレート20に取り付けられる。ケースカバー21には、ヒンジユニット24が取り付けられる。また、ケースカバー21には、便座12に設けられた便座ヒータ(不図示)のハーネス(不図示)が取り付けられる。なお、ケースカバー21には、便座12への使用者の着座を検知する着座センサ(不図示)などが設けられる。
【0033】
ノズルユニット22は、電動モータ(不図示)などの駆動源の駆動により、洗浄ノズル(不図示)をケースプレート20に対して進退させて、使用者の局部に向けて洗浄水を吐出させて局部を洗浄する。なお、ノズルユニット22は、ヒータ(不図示)によって加熱された洗浄水を吐出できる。温風ユニットは、ヒータ(不図示)によって加熱した空気を使用者の局部に向けて吹き出す。
【0034】
脱臭ユニット23は、例えば、トイレルーム100(図1参照)内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気に含まれる悪臭成分などを捕集し、分解する。そして、脱臭ユニット23は、悪臭成分などを捕集し、分解した空気を吹き出す。
【0035】
ヒンジユニット24は、便座回動ユニット24aと、便蓋回動ユニット24bとを備える。各回動ユニット24a、24bは、電動モータ(不図示)などの駆動源の駆動により、各回動軸(回動支持部)24c、24dを回動させ、便座12、または便蓋13(図1参照)を回動させる。便蓋回動ユニット24bは、例えば、コントロールユニット25の基板カバー32の上方に配置される。便座回動ユニット24aは、便蓋回動ユニット24bよりも前方に配置される。
【0036】
<コントロールユニット>
次に、図3図6を参照して、実施形態に係るコントロールユニット25について説明する。図4は、コントロールユニット25の斜視図である。図5は、コントロールユニット25の正面図である。図6は、図5のVI-VI断面図である。なお、図4図6では、説明のため、構成の一部を省略している。また、図6では、説明のため、回路基板31を省略している。
【0037】
コントロールユニット25は、ノズルユニット22や、ヒンジユニット24や、便座ヒータ(不図示)などを制御する。コントロールユニット25は、ケースプレート20の後端に設けられ、ケースプレート20に対して直交するようにケースプレート20に取り付けられる。コントロールユニット25の前方には、脱臭ユニット23が設けられる。
【0038】
コントロールユニット25は、基板ケース30と、回路基板31と、基板カバー32とを備える。
【0039】
基板ケース30は、ケースプレート20に対して直交するようにケースプレート20に取り付けられる。基板ケース30は、基底部33と、上壁部(対向壁部)34と、左側壁部35と、下壁部(壁部)36と、右側壁部37とを備える。基底部33は、ケースプレート20に対して直交するように設けられ、回路基板31が取り付けられる。
【0040】
上壁部34、左側壁部35、下壁部36、および右側壁部37は、基底部33の周縁から前方に向けて突出するように形成される。上壁部34、左側壁部35、下壁部36、および右側壁部37は、回路基板31の周縁に沿って形成される。すなわち、上壁部34、左側壁部35、下壁部36、および右側壁部37は、回路基板31を囲むように形成される。
【0041】
上壁部34には、基板カバー32の係合部41bが係合する係合爪34aが形成される。上壁部34は、下壁部36に対向し、上壁部34の前方への突出量(以下、前方への突出量を「高さ」と称することがある。)は、下壁部36の高さよりも低い。
【0042】
下壁部36は、基板カバー32の下端側に形成される開口部45に向けて突出する。具体的には、下壁部36は、開口部45を塞ぐように前方に向けて突出する。下壁部36の高さは、回路基板31に設けられた電子部品61、例えば、抵抗や、コンデンサや、コネクタなどの高さよりも高い。下壁部36の前端、および左右端は、基板カバー32に当接する。
【0043】
回路基板31は、基板ケース30の基底部33に取り付けられる。すなわち、回路基板31は、ケースプレート20に対して直交するように配置される。
【0044】
回路基板31には、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)や、抵抗や、コンデンサなどが設けられ、各ユニットや、便座ヒータなどを制御するための回路が形成される。
【0045】
回路基板31には、高い電圧(例えば、100V)がかかる1次側回路31aと、1次側回路31aよりも低い電圧(例えば、24Vや、5V)がかかる2次側回路31bとが形成される。
【0046】
1次側回路31aには、例えば、ノズルユニット22に供給される洗浄水を加熱するヒータ(不図示)や、便座ヒータ(不図示)に電力を供給するための回路や、ノズルユニット22に供給される洗浄水を加熱するヒータ(不図示)や、便座ヒータなどのハーネス(不図示)が接続されるコネクタ(不図示)などが含まれる。なお、1次側回路31aは、防湿のためにポッティング材(不図示)で覆われている。
【0047】
また、1次側回路31aは、発火が生じた場合の延焼防止のために、ポッティング材の上から基板カバー32、および基板ケース30によって覆われている。
【0048】
2次側回路31bには、例えば、ノズルユニット22などの電動モータ(不図示)を駆動するための回路(不図示)や、着座センサ(不図示)などが接続されるコネクタ(不図示)などが含まれる。なお、2次側回路31bは、1次側回路31aと同様に、防湿のためにポッティング材で覆われている。
【0049】
このように、回路基板31には、ポッティング材が含まれる。ポッティング材は、回路基板31における高さが低い部品、たとえば、1次側回路31a、および2次側回路31bに含まれる高さが低い電子部品や、電子部品の金属リード部などを覆うように充填されている。
【0050】
基板カバー32は、延焼防止用のカバーであり、基板ケース30に取り付けられる。基板カバー32の取り付け方法については、後述する。
【0051】
基板カバー32は、基底部40と、上壁部41と、左側壁部42と、右側壁部43と、樋部44とを備える。基板カバー32は、下方端が開口している。すなわち、基板カバー32には、下方端に開口部45が形成される。開口部45は、例えば、基板ケース30の下壁部36によって塞がれる。
【0052】
基底部40は、ケースプレート20に対して直交するように設けられ、回路基板31と向かい合う。基底部40の前方側の面(表面)には、ハーネス(不図示)を保持するハーネス保持部40a、40bが形成される。また、基底部40の後方側の面(裏面)には、ストッパー40cが形成される。ストッパー40cは、後方に向けて突出し、基板ケース30の下壁部36に当接する。
【0053】
また、基底部40は、ストッパー40cよりも下方、具体的には基板ケース30の下壁部36よりも下方に突出する突出部40dを備える。
【0054】
上壁部41、左側壁部42、および右側壁部43は、基底部40の周縁から後方に向けて突出するように形成される。
【0055】
上壁部41には、上方に向けて突出する傾斜部41aが形成される。傾斜部41aは、便蓋回動ユニット24bの下方に設けられる。具体的には、傾斜部41aは、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dの下方に設けられる。傾斜部41aは、後方から前方となるにつれて下方に傾斜するように形成される。すなわち、傾斜部41aは、回路基板31側の端から下方に向けて傾斜するように形成される。また、傾斜部41aの後端には、基板ケース30の係合爪34aに係合する係合部41bが形成される。
【0056】
また、上壁部41には、1次側回路31aのハーネス(不図示)が挿入される孔41cが形成される。
【0057】
樋部44は、基板カバー32の上壁部41、および基板カバー32の基底部40に形成される。具体的には、樋部44は、上壁部41に形成される第1樋44aと、基底部40に形成される第2樋44bとによって形成される。
【0058】
第1樋44aは、上壁部41の傾斜部41aの周囲、具体的には、傾斜部41aの左側方、および傾斜部41aの前方に形成される。第2樋44bは、基底部40の前方側の面(表面)に形成される。第2樋44bは、上下方向に延設され、突出部40dの下端まで延設される。
【0059】
第1樋44aと第2樋44bとは、連続して形成される。第1樋44aと第2樋44bとは、連通しており、第1樋44aに流入した液体、例えば、水は、第2樋44bに流れ、突出部40dの下端から下方に排出される。すなわち、樋部44は、基板カバー32に付着した液体、例えば、水を突出部40dまで導き、突出部40dの下端から下方に排出する。
【0060】
コントロールユニット25では、基板カバー32の開口部45が、基板ケース30の下壁部36に覆われ、例えば、塞がれている。そのため、コントロールユニット25では、基板ケース30、基板カバー32、および回路基板31によって閉空間60が形成される。具体的には、閉空間は、基板ケース30、基板カバー32、および回路基板31のポッティング材によって形成される。
【0061】
閉空間60には、回路基板31、具体的には、1次側回路31aが収容される。閉空間60は、1次側回路31aが発火した場合に、延焼を防止する程度に閉塞された空間である。なお、閉空間60は、密閉された空間を含んでもよい。
【0062】
<組み立て手順>
次に、コントロールユニット25の組み立て手順について説明する。
【0063】
まず、回路基板31が取り付けられた基板ケース30が、ケースプレート20に取り付けられる。なお、回路基板31の1次側回路31a、および2次側回路31bは、ポッティング材によって覆われており、1次側回路31a、および2次側回路31bには防湿処理が行われている。
【0064】
具体的には、基板ケース30は、ケースプレート20に直交するようにケースプレート20の後方端に取り付けられる。なお、ケースプレート20では、基板ケース30の前方に、脱臭ユニット23が設けられる。すなわち、基板ケース30、および脱臭ユニット23は、前後方向に並んでケースプレート20に設けられる。
【0065】
次に、ケースカバー21に配置され、1次側回路31aに電気的に接続されるハーネス(不図示)、例えば、便座ヒータ(不図示)のハーネス(不図示)が1次側回路31aに取り付けられる。
【0066】
次に、基板カバー32が基板ケース30に取り付けられる。実施形態に係るコントロールユニット25では、基板ケース30の前方に脱臭ユニット23が設けられている。そのため、基板カバー32を前方から基板ケース30に取り付けようとした場合には、脱臭ユニット23が邪魔になり、基板カバー32を基板ケース30に取り付けることができない。
【0067】
そこで、実施形態に係るコントロールユニット25では、基板カバー32が上方側、具体的には、斜め上方から回路基板31と脱臭ユニット23との間に挿入され、基板カバー32が基板ケース30に取り付ける。すなわち、コントロールユニット25では、基板カバー32の取付方向は、回路基板31に垂直な方向に対して交差する方向であり、具体的には、斜め上方から斜め下方に向かう方向である。
【0068】
コントロールユニット25では、基板カバー32の下方端に開口部45が形成されている。すなわち、基板カバー32には、取付方向の先端側に開口部45が形成されている。そのため、取付方向に沿って斜め上方から基板カバー32を回路基板31と脱臭ユニット23との間に挿入し、基板カバー32を基板ケース30に取り付けることができる。
【0069】
なお、基板ケース30の下壁部36は、基板カバー32の開口部45を塞ぐように突出している。そのため、基板ケース30、基板カバー32、および回路基板31によって閉空間60が形成される。従って、1次側回路31aの電子部品61などが発火した場合でも、閉空間60に空気が流入することを抑制し、延焼を防止することができる。すなわち、基板カバー32は、1次側回路31aが発火した場合に、延焼を防止する延焼防止カバーとして機能する。
【0070】
<液体浸入防止>
コントロールユニット25では、基板カバー32に傾斜部41a、および樋部44が形成される。これにより、コントロールユニット25は、液体、例えば、水が、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dから浸入した場合に、水が閉空間60内に浸入することを抑制する。
【0071】
コントロールユニット25は、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dの下方に傾斜部41aを設けている。そのため、例えば、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dから水が浸入し、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dの下方に落下した場合には、基板カバー32は、傾斜部41aに沿って下方に水を流す。
【0072】
傾斜部41aに沿って下方に流れた水は、傾斜部41aから第1樋44aに流入する。そして、第1樋44aに導かれた水は、第1樋44aから第2樋44bに流入する。
【0073】
第2樋44bは、基板ケース30の下壁部36よりも下方に突出する突出部40dの下端まで形成されている。そのため、第2樋44bに流入した水は、突出部40dの下端から下方に向けて排出される。このように、傾斜部41a、および樋部44は、水が、閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0074】
<効果>
本実施形態を用いない比較例に係る衛生洗浄装置は、コントロールユニットの前方には、他のユニット、例えば、脱臭ユニットなどを設けずに、コントロールユニットと他のユニットとを上下方向に並んで配置している。これにより、比較例に係る衛生洗浄装置は、基板カバーを前方から基板ケースに取り付け可能とし、基板ケースへの基板カバーの取り付けを容易にしている。
【0075】
しかし、比較例に係る衛生洗浄装置は、上下方向の高さが高くなり、デザイン性の観点から改善の余地がある。
【0076】
これに対し、実施形態に係る衛生洗浄装置10は、基板カバー32の取付方向の先端側に開口部45が形成される。これにより、衛生洗浄装置10は、コントロールユニット25と、他のユニット、例えば、脱臭ユニット23とを前後方向に並べて配置し、脱臭ユニット23と回路基板31との間に基板カバー32を取付方向に沿って容易に挿入することができる。そのため、衛生洗浄装置10は、基板カバー32を基板ケース30に容易に取り付けることができる。従って、衛生洗浄装置10は、上下方向における高さを低くすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0077】
また、衛生洗浄装置10は、基板ケース30の下壁部36によって開口部45を塞ぐことができ、基板カバー32、基板ケース30、および回路基板31によって閉空間60を形成することができる。これにより、衛生洗浄装置10は、回路基板31、具体的には、1次側回路31aが発火した場合に、延焼を防止することができる。
【0078】
すなわち、衛生洗浄装置10は、延焼防止機能を保持しつつ、デザイン性を向上し、かつ基板カバー32の取り付けを容易にすることができる。
【0079】
また、衛生洗浄装置10は、基板ケース30に、下壁部36に対向し、下壁部36よりも高さが低い上壁部34を設ける。これにより、衛生洗浄装置10は、基板カバー32を取付方向に沿って容易に取り付けることができる。
【0080】
また、衛生洗浄装置10は、基板ケース30の下壁部36の高さを1次側回路31aに設けられる電子部品61の高さよりも高くする。これにより、衛生洗浄装置10は、開口部45と下壁部36との隙間を小さくし、閉空間60に空気が流入することを抑制することができる。そのため、衛生洗浄装置10は、回路基板31、具体的には、1次側回路31aが発火した場合に、延焼を防止することができる。
【0081】
また、衛生洗浄装置10は、基板ケース30よりも下方に突出する突出部40dを基板カバー32に設ける。これにより、衛生洗浄装置10は、液体、例えば、水が基板カバー32に付着した場合に、水を基板ケース30よりも下方に導き、突出部40dから排出することができ、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0082】
また、衛生洗浄装置10は、基板カバー32に付着した液体、例えば、水を突出部40dまで導く樋部44を備える。これにより、衛生洗浄装置10は、液体、例えば、水が基板カバー32に付着した場合に、樋部44を介して水を突出部40dから排出することができ、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0083】
また、衛生洗浄装置10は、基板カバー32の上壁部41に傾斜部41aを設ける。これにより、衛生洗浄装置10は、上壁部41に付着した液体、例えば、水を基板カバー32の基底部40側、すなわち、回路基板31とは反対側に流すことができる。そのため、衛生洗浄装置10は、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0084】
また、衛生洗浄装置10は、傾斜部41aをヒンジユニット24、例えば、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dの下方に設ける。これにより、衛生洗浄装置10は、便蓋回動ユニット24bの回動軸24dから液体、例えば、水が浸入し、水が滴下した場合に、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0085】
<変形例>
変形例に係る衛生洗浄装置10は、樋部44を、基板カバー32の左側壁部42、基底部40、および右側壁部43に形成してもよい。例えば、変形例に係る衛生洗浄装置10は、第1樋44aを左側壁部42、および基底部40に連続して形成し、また、第1樋44aを右側壁部43、および基底部40に連続して形成し、第1樋44aを、第2樋44bに連通させる。これにより、変形例に係る衛生洗浄装置10は、基板カバー32の左側壁部42、および右側壁部43に付着した液体、例えば、水を、樋部44を介して突出部40dから排出することができる。変形例に係る衛生洗浄装置10は、例えば、ケースカバー21内で結露した水を、樋部44を介して突出部40dから排出することができる。そのため、変形例に係る衛生洗浄装置10は、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0086】
変形例に係る衛生洗浄装置10は、第2樋44bが形成される箇所以外の基板カバー32に突出部40dを設けてもよい。変形例に係る衛生洗浄装置10は、例えば、基板カバー32の下方側の全体に突出部40dを設けてもよい。これにより、変形例に係る衛生洗浄装置10は、例えば、ケースカバー21内で結露した水を、樋部44を介して突出部40dから排出することができる。そのため、変形例に係る衛生洗浄装置10は、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。
【0087】
変形例に係る衛生洗浄装置10は、基板カバー32を斜め上方ではなく、例えば、右側方側から挿入してもよい。この場合、基板カバー32は、取付方向の先端側となる左側方端に開口部45が形成される。また、基板カバー32は、開口部45を複数箇所、例えば、下方端と左側方端に設けてもよい。
【0088】
変形例に係る衛生洗浄装置10は、便座回動ユニット24aの下方にコントロールユニット25が設けられている場合には、便座回動ユニット24aの下方に傾斜部41aを設ける。これにより、変形例に係る衛生洗浄装置10は、便座回動ユニット24aの回動軸24cから液体、例えば、水が浸入した場合に、水が閉空間60に浸入することを抑制することができる。すなわち、衛生洗浄装置10は、便座回動ユニット24a、便蓋回動ユニット24bの少なくとも一方の下方に傾斜部41aを設ければよい。
【0089】
変形例に係る衛生洗浄装置10は、基板カバー32によって2次側回路31bを覆ってもよい。すなわち、変形例に係る衛生洗浄装置10は、閉空間60に2次側回路31bを収容してもよい。
【0090】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 トイレ装置
2 便器本体
10 衛生洗浄装置
11 本体部
20 ケースプレート
21 ケースカバー
23 脱臭ユニット
25 コントロールユニット
24 ヒンジユニット
24a 便座回動ユニット
24b 便蓋回動ユニット
24c 回動軸(回動支持部)
24d 回動軸(回動支持部)
30 基板ケース
31 回路基板
31a 1次側回路
31b 2次側回路
32 基板カバー
34 上壁部(対向壁部)
36 下壁部(壁部)
40d 突出部
41 上壁部
41a 傾斜部
44 樋部
45 開口部
60 閉空間
61 電子部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6