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  • 特許-2プレート式射出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】2プレート式射出装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/50 20060101AFI20220726BHJP
   B29C 45/54 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B29C45/50
B29C45/54
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018165058
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020037213
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大串 拓也
(72)【発明者】
【氏名】有馬 祐一朗
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-014072(JP,A)
【文献】特開2003-200469(JP,A)
【文献】特開2007-030390(JP,A)
【文献】特開2007-118618(JP,A)
【文献】特開2004-243610(JP,A)
【文献】実開平05-053923(JP,U)
【文献】特開2002-166450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定プレートと、該固定プレートの前方に配置されるシリンダバレルと、該固定プレートの後方において、該固定プレートに対して進退可能に設けられた移動プレートと、該移動プレートを前記固定プレートに対して進退させる一対のボールねじ機構と、該一対のボールねじ機構を駆動する射出モータと、軸を中心として回転可能な状態で前記移動プレートに支持されたスクリュと、該スクリュを回転させる計量モータとを備え、前記移動プレートを前記固定プレートに対して進退させることで前記スクリュが前記シリンダバレル内を進退可能な2プレート式射出装置であって、
前記一対のボールねじ機構のボールねじ軸が、それぞれ、前記固定プレートに回転可能に支持され、
前記ボールねじ軸と組み合わされるボールねじナットが、それぞれ、前記移動プレートを前後に貫通するボールねじナット収納貫通孔に収納されると共に、
前記ボールねじナットの少なくとも一方の後方にリングタイプロードセルを備え、前記リングタイプロードセルの前面が、前記移動プレートの後面および前記ボールねじナットの後面の両方に固定されている
ことを特徴とする2プレート式射出装置。
【請求項2】
前記固定プレートの前記シリンダバレル側に貫通させた前記ボールねじ軸端部、及び、前記固定プレートに配置された少なくとも1つの前記射出モータの出力軸間にボールねじ軸回転伝達手段が配置され、前記ボールねじ軸が回転される
ことを特徴とする請求項1に記載の2プレート式射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形に用いられる2プレート式射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機のインラインスクリュ式射出装置は、固定プレートと、該固定プレートに対して進退可能に設けられた移動プレートと、軸を中心として回転可能な状態で移動プレートに支持されたスクリュと、該スクリュが回転可能に、且つ、軸方向に進退可能に収納されるシリンダバレルとを備え、移動プレートを固定プレートに対して進退させることで、スクリュがシリンダバレル内で回転可能、且つ、進退可能な射出装置である。
【0003】
上記のようなインラインスクリュ式射出装置は、固定プレートに対して移動プレートを進退可能にする構成により、大きく2つに分類される。1つは、特許文献1や特許文献2に開示されているような2プレート式射出装置である。この2プレート式射出装置は、固定プレートに対して移動プレートを進退させるための駆動手段(電動モータ等)と、スクリュを回転させる駆動手段(電動モータ等)と、を備え、固定プレート及び移動プレート間にボールねじ機構等の移動プレート進退機構を配置させる構成が主流である。
【0004】
もう1つは3プレート式射出装置である。この3プレート式射出装置は、固定プレート及びリアプレートがタイバー等、複数の連結部材で連結され、両プレート間に進退可能に配置された移動プレートが、固定プレート(又は移動プレート)及びリアプレート間に配置されるボールねじ機構等の移動プレート進退機構により、固定プレートに対して移動プレートを進退させる構成が主流である。
【0005】
前者の2プレート式射出装置は、リアプレートが不要で、移動プレート進退機構が固定プレート及び移動プレート間に配置されるため、後者の3プレート式射出装置に対して、射出装置全長が短く構成できる。そのため、小型の射出装置や、射出成形機の設置スペースに制約がある場合等に採用される。一方、特に射出装置の大きさの制約や、設置スペースに上記のような制約がない場合は3プレート式射出装置が採用されることが多い。
【0006】
そして、インラインスクリュ式射出装置では、2プレート式、3プレート式によらず、射出装置後方のホッパー等、樹脂材料供給部から供給された樹脂材料(ペレット状)を、スクリュを回転させてシリンダバレル先端(前方)の貯留部に流動させる間に溶融(可塑化)させ、1回の射出充填工程に必要な溶融樹脂を貯留部に貯留させる計量工程が行われる。この計量工程においては、貯留部の溶融樹脂に所定の圧力(背圧)を付与させる。
【0007】
計量工程完了後、貯留部に貯留させた溶融樹脂を、スクリュを前進させて一気に金型内に充填させる射出充填工程が行われる。これら計量工程における背圧や、射出充填工程における射出圧力を制御するために、スクリュの回転軸や移動プレート進退機構の構成部材に作用するスクリュの軸方向の力を、貯留部の溶融樹脂圧力として計測する樹脂圧力計測手段が配置される。
【0008】
固定プレートに対して移動プレートを進退させる駆動手段や、スクリュを回転させる駆動手段がサーボモータである場合、サーボモータが備えるトルク計測・制御機能を利用して、先の樹脂圧力計測手段の代替とすることも可能である。一方、スクリュの回転軸や移動プレート進退機構の構成部材に作用するスクリュの軸方向の力を直接計測する樹脂圧力計測手段の方が、より正確に貯留部の溶融樹脂圧力を計測することができるとされている。
【0009】
例えば、特許文献1及び特許文献2の射出装置は共に2プレート式射出装置であって、移動プレート進退機構としてボールねじ機構が採用されている。そして、特許文献1の射出装置には、該ボールねじ機構のボールねじナットが、樹脂圧力計測手段であるロードセルを介して固定プレートに支持される形態が開示されている(特許文献1/図1)。また、特許文献2の射出装置には、該ボールねじ機構のボールねじナットが、樹脂圧力計測手段であるロードセルを介して移動プレートに支持される形態が開示されている(特許文献2/図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2017-094681号公報
【文献】特開2012-196828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
圧力計測手段として採用されるロードセルは、ロードセル自体の受圧方向の弾性変形量を、内蔵した歪みゲージ等の歪み計測手段により計測する構成が一般的である。受圧方向として、圧縮型、引張型、両兼用型等があり、ロードセルが配置される個所で計測する圧力及びその作用方向により適宜選択される。一方、射出装置の樹脂圧力計測手段として採用されるロードセルは、特許文献1や特許文献2のような装着個所を鑑み、円盤状で且つ中央部分に厚み方向に貫通する開口を備える形状で、受圧方向が同円盤状の厚み方向となる形態のものが多い。これら形状をリングあるいはワッシャー等と呼称するが、本願においてはリングタイプロードセルと呼称するものとする。
【0012】
特許文献1の射出装置(特許文献1/図1)では、ボールねじ軸と組み合わされるボールねじナットが、固定プレートを前後に貫通する貫通孔に収納されると共に、ボールねじナットが、該貫通孔に収納された状態で、固定プレートの前方に固定されたリングタイプロードセルを介して、固定プレートに支持される。例えば、移動プレート側で射出モータによりボールねじ軸を回転させ移動プレート(スクリュ)を前進、あるいは後退させると、移動プレートの前進・後退に伴い、リングタイプロードセルの開口部を介してボールねじ軸も固定プレートに対して前進・後退する。計量工程や射出充填工程における貯留部の溶融樹脂圧力は、スクリュ、移動プレート、ボールねじ軸及びボールねじナットを介して、固定プレートに固定されたリングタイプロードセルに作用するため、これを計測する。
【0013】
また、特許文献2の射出装置(特許文献2/図2)では、ボールねじ軸と組み合わされるボールねじナットが、移動プレートの後方に固定されたリングタイプロードセルを介して、後方に突出するように移動プレートに支持される。例えば、固定プレート側で射出モータによりボールねじ軸を回転させ移動プレート(スクリュ)及びボールねじナットを前進、あるいは後退させると、ボールねじナットに螺合するボールネジ軸は、リングタイプロードセルの開口部を貫通した状態で回転するため、移動プレートの前進・後退の支障にはならない。計量工程や射出充填工程における貯留部の溶融樹脂圧力は、スクリュ、移動プレート及びボールねじナットを介して、移動プレートに固定されたリングタイプロードセルに作用するため、これを計測する。
【0014】
特許文献1の射出装置においては、上記のようなリングタイプロードセルの配置により、ボールねじ軸からボールねじナットを取り外すことなく、リングタイプロードセルの取外しが可能であるとしている(特許文献1の明細書の段落[0038]他)。しかしながら、この構成の場合、固定プレート側で、ボールねじナット及びボールねじ軸のいずれをも回転駆動させることが困難である。その結果、射出モータを移動プレートに取り付けざるを得ず、射出モータ及び、スクリュを回転駆動させる計量モータの両モータが移動プレートに配置される。そのため、特許文献2の射出装置のように、射出モータが固定プレートに、計量モータが移動プレートに配置される形態に対して、計量工程時及び射出充填工程時に、固定プレートに対して進退させる移動プレートを含む移動部材の重量や、該移動部材の慣性モーメントが大きくなるため、計量工程時におけるスクリュの後退動作時の背圧や、射出充填工程におけるスクリュの射出速度や射出圧力の制御性に影響を与える。
【0015】
一方、射出装置を基礎等に強固に固定・支持できる形態であれば、この影響や悪循環はある程度抑制することが可能である。しかしながら、メインの射出装置とは別のサブの射出装置を射出成形機の型締装置(固定盤や可動盤等)や金型に、垂直あるいは水平固定等様々な取付姿勢で固定させる形態の場合、射出装置の全重量に対する移動部材の重量や慣性モーメントの割合が、メインの射出装置の割合よりも大きくならざるを得ない。この傾向は射出装置が小型であればあるほど顕著になり、計量工程における背圧の制御や、射出充填工程における射出速度や射出圧力の制御性への影響は無視出来ないものとなる。また、射出装置の支持形態の制約により、これら移動部材の重量や慣性モーメントを、射出装置の制御性に影響を与えることなく支持する支持剛性の確保が難しい場合がある。
【0016】
一方、特許文献2の射出装置においては、上記のようなリングタイプロードセルの配置により、ボールねじ軸からボールねじナットを取り外すことなく、リングタイプロードセルを移動プレートの後方から取り外すことが出来ない。一般的に、ボールねじ軸からボールねじナットをそのまま取り外すと、ボールねじナット内のボールが脱落して使用出来なくなる。そのため、ボールねじ軸からボールねじナットを取り外す場合は、専用の取り外し治具(仮軸やスリーブ等)が必要とされている。すなわち、特許文献2の射出装置において、リングタイプロードセルを移動プレートの後方から取り外したり、新たに取り付けたりする場合、専用の取り外し治具を使用して、ボールねじ軸からボールねじナットを取り外すか、ボールねじ軸及びボールねじナットからなるボールねじ機構一式を射出装置から取り外す必要がある。その結果、メンテナンスや故障による交換のため、リングタイプロードセルを射出装置に対して脱着する場合に手間と時間を要するという問題がある。
【0017】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、移動プレートを含む移動部材の重量や慣性モーメントを大きくすることなく、リングタイプロードセルの脱着が容易な2プレート式射出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記目的は、固定プレートと、該固定プレートの前方に配置されるシリンダバレルと、該固定プレートの後方において、該固定プレートに対して進退可能に設けられた移動プレートと、該移動プレートを前記固定プレートに対して進退させる一対のボールねじ機構と、該一対のボールねじ機構を駆動する射出モータと、軸を中心として回転可能な状態で前記移動プレートに支持されたスクリュと、該スクリュを回転させる計量モータとを備え、前記移動プレートを前記固定プレートに対して進退させることで前記スクリュが前記シリンダバレル内を進退可能な2プレート式射出装置であって、
前記一対のボールねじ機構のボールねじ軸が、それぞれ、前記固定プレートに回転可能に支持され、
前記ボールねじ軸と組み合わされるボールねじナットが、それぞれ、前記移動プレートを前後に貫通するボールねじナット収納貫通孔に収納されると共に、
前記ボールねじナットの少なくとも一方が、前記ボールねじナット収納貫通孔に収納された状態で、前記移動プレートの後方に固定されたリングタイプロードセルを介して、前記移動プレートに支持されることを特徴とする2プレート式射出装置によって達成される。
【0019】
このような2プレート式射出装置は、前記固定プレートの前記シリンダバレル側に貫通させた前記ボールねじ軸端部、及び、前記固定プレートに配置された少なくとも1つの前記射出モータの出力軸間にボールねじ軸回転伝達手段が配置され、前記ボールねじ軸が回転されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る2プレート式射出装置は、固定プレートと、該固定プレートの前方に配置されるシリンダバレルと、該固定プレートの後方において、該固定プレートに対して進退可能に設けられた移動プレートと、該移動プレートを前記固定プレートに対して進退させる一対のボールねじ機構と、該一対のボールねじ機構を駆動する射出モータと、軸を中心として回転可能な状態で前記移動プレートに支持されたスクリュと、該スクリュを回転させる計量モータとを備え、前記移動プレートを前記固定プレートに対して進退させることで前記スクリュが前記シリンダバレル内を進退可能な2プレート式射出装置であって、
前記一対のボールねじ機構のボールねじ軸が、それぞれ、前記固定プレートに回転可能に支持され、
前記ボールねじ軸と組み合わされるボールねじナットが、それぞれ、前記移動プレートを前後に貫通するボールねじナット収納貫通孔に収納されると共に、
前記ボールねじナットの少なくとも一方が、前記ボールねじナット収納貫通孔に収納された状態で、前記移動プレートの後方に固定されたリングタイプロードセルを介して、前記移動プレートに支持されるため、移動プレートを含む移動部材の重量や慣性モーメントを大きくすることなく、リングタイプロードセルの脱着が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る2プレート式射出装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1を参照しながら本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置を説明する。図1は、第1実施形態に係る2プレート式射出装置の概略平面図(一部断面を含む)であり、後述するスクリュ4及び移動プレート3が後退限位置(計量完了位置)にある状態を示す。また、図1中に、2点鎖線にて、前進限位置(射出完了位置)にあるスクリュ4及び移動プレート3の一部を図示している。図1の左側を前方、右側を後方、図1の手前を上方とする。尚、図1は平面図と呼称しているが、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置の構成の説明に好適な図示を平面図と呼称したものであって、本発明に係る2プレート式射出装置の射出成形機への取付姿勢を基準に平面図と呼称するものではない。本発明に係る2プレート式射出装置は、スクリュが回転される軸方向を基準に、射出成形機に対して、垂直、水平あるいはそれ以外の様々な角度となる取付姿勢で取り付けられても良い。
【0024】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10は、固定プレート2と、固定プレート2の前方に配置されるシリンダバレル11と、固定プレート2の後方において、固定プレート2に対して進退可能に設けられた移動プレート3と、移動プレート3を固定プレート2に対して進退させる一対のボールねじ機構20、21と、一対のボールねじ機構20、21を駆動する射出モータ31、32と、スクリュ回転支持部4aにより、軸を中心として回転可能な状態で移動プレート3に支持されたスクリュ4と、軸を中心としてスクリュ4を回転させる計量モータ41と、を備えている。
【0025】
スクリュ回転支部部4aは、ラジアルベアリング及びスラストベアリング、あるいはそれぞれを複数個組み合わせた公知の回転支持形態が採用されれば良い。また、スクリュ4のメンテナンスや交換時のスクリュ脱着を鑑み、スクリュ回転支部部4aにより回転支持される回転軸部をスクリュ4の回転軸部と別体として、両回転軸部が脱着可能に構成されても良い。尚、移動プレート3を固定プレート2に対して進退させる際のガイド機構については、ベース部材に配置される直動ガイドや、固定プレートから後方に立設させるガイドロッド等、公知のガイド機構が採用されれば良い。図を簡単にするため、このようなベース部材やガイド機構の図視は省略している。
【0026】
そして、一対のボールねじ機構20、21のボールねじ軸20a、21aが、それぞれ、ボールねじ軸回転支持部24により固定プレート2に回転可能に支持され、ボールねじ軸20a、21aと組み合わされるボールねじナット20b、21bが、それぞれ、移動プレート3を前後に貫通するボールねじナット収納貫通孔3a、3bに収納されると共に、ボールねじナット20b、21bが、ボールねじナット収納貫通孔3a、3bに収納された状態で、移動プレート3の後方に固定されたリングタイプロードセル50、51を介して、移動プレート3に支持される。
【0027】
具体的には、リングタイプロードセル50、51は、外周側に加工されたボルト用穴を介して、予め固定位置対応して雌ねじ加工が成された移動プレート3の後方(後面)から、図示しないボルトにより固定される。一方、ボールねじナット20b、21bの後方(後面)には、予め、リングタイプロードセル50、51の内周側に加工されたボルト用穴に対応する雌ねじ加工がなされ、ボールねじナット20b、21bの後方(後面)が、リングタイプロードセル50、51の前方(前面)に、リングタイプロードセル50、51の後方(後面)から図示しないボルトにより固定される。その結果、ボールねじナット20b、21bは、ボールねじナット収納貫通孔3a、3bに収納された状態で、移動プレート3の後方に固定されたリングタイプロードセル50、51を介して、移動プレート3に支持される。
【0028】
また、固定プレート2のシリンダバレル11側に貫通させたボールねじ軸20a、21a端部、及び、固定プレート2に配置された射出モータ31、32の出力軸間にボールねじ軸回転伝達手段31a、32aが配置され、ボールねじ軸20a、21aが回転駆動される。第1実施形態においては、ボールねじ軸回転伝達手段31a、32aを、ボールねじ軸20a、21a端部、及び、射出モータ31、32の出力軸に配置させたプーリ及び両プーリ間を連結させるベルトの組み合わせとしたが、これに限定されず、公知の回転伝達手段が採用されても良い。さらに、図1において、図示される構成の重複を回避するため、射出モータ31、32が固定プレート2の上方の両端に配置されるように図示したが、射出モータ31、32は、固定プレート2の上方の中央に並べて配置されても良いし、固定プレート2の上方ではなく、固定プレート2に貫通させるように配置されても良い。
【0029】
ここで、スクリュ4の軸に回転運動を伝達させるスクリュ軸回転伝達手段4bが、移動プレート3の前方に配置される。第1実施形態においては、スクリュ軸回転伝達手段4bを、スクリュ4の軸及び図示しない計量モータ41の出力軸に配置させたプーリ及び両プーリ間を連結させるベルトの組み合わせとしたが、これに限定されず、公知の回転伝達手段が採用されても良い。計量モータ41は、スクリュ4を、スクリュ軸回転伝達手段4bを介して回転駆動させることが出来れば、移動プレート3のいずれの位置に配置されても良いが、特に制約が無ければ、スクリュ4の軸の直上が好ましい。図1においては、図示される構成の重複を回避するため、計量モータ41及び同モータの出力軸のプーリの図示を割愛し、スクリュ4の軸に配置させたプーリ及びベルトの一部のみ図示している。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10における、リングタイプロードセル50、51による、計量工程における背圧の制御や、射出充填工程における射出圧力の制御に必要な、貯留部の溶融樹脂圧力の計測について説明する。
【0031】
まず、計量工程においては、貯留部の溶融樹脂容積の増加に伴い、後方への溶融樹脂圧力が作用するスクリュを後退させて、貯留部の溶融樹脂に所定の圧力(背圧)を付与させた状態で、1回の射出充填工程に必要な溶融樹脂を貯留部に貯留させる。
【0032】
そして、射出充填工程においては、射出モータ31、32によりボールねじ軸20a、21aを回転駆動させ、ボールねじナット20b、21b及びリングタイプロードセル50、51を介して移動プレート3を固定プレート2側へ接近する方向に前進させる。この時、前進するスクリュは、シリンダバレル11の前方のノズル側から貯留部の溶融樹脂を前方(金型)へ押し出す(射出)と共に、その反力(射出圧力)を受ける。この反力は移動プレート3及びリングタイプロードセル50、51を介して、ボールねじナット20b、21bに前進抵抗力として作用する。すなわち、ボールねじナット20b、21bは、リングタイプロードセル50、51を前方(図1の左側)に引く引張力を作用させる。この引張力が、シリンダバレル11先端の貯留部に貯留される溶融樹脂圧力として計測される。尚、計量工程においても、シリンダバレル11先端の貯留部に貯留される溶融樹脂圧力(所定の背圧)が、ボールねじナット20b、21bを介して、リングタイプロードセル50、51により計測される。
【0033】
このように、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10においては、ボールねじナット20b、21bが、移動プレート3を前後に貫通するボールねじナット収納貫通孔3a、3bに収納された状態で、移動プレートの後方に固定されたリングタイプロードセル50、51を介して、移動プレート3に支持される。そのため、リングタイプロードセル50、51が2プレート式射出装置10の最後方に配置され、ボールねじ軸20a、21aからボールねじナット20b、21bを取り外すことなくリングタイプロードセル50、51が容易に脱着できる。
【0034】
一方、特許文献2の射出装置においても、リングタイプロードセルが移動プレートの後方に配置される。しかしながら、リングタイプロードセルが移動プレート及びボールねじナット間に配置されているため、ボールねじ軸からボールねじナットを取り外すことなく、リングタイプロードセルを移動プレートの後方から取り外すことが出来ない。
【0035】
また、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10においては、射出モータ31、32を移動プレート3ではなく固定プレート2に配置させることができるため、特許文献1の射出装置に対して、計量工程時及び射出充填工程時に、固定プレートに対して進退させる移動プレートを含む移動部材の重量や、該移動部材の慣性モーメントを小さくすることができる。この構成により、移動プレートを含む移動部材の重量や慣性モーメントを大きくする必要がなく、計量工程時におけるスクリュの後退動作時の背圧や、射出充填工程におけるスクリュの射出速度の制御性に優れると共に、射出モータに要求される出力も抑制することができる。
【0036】
ここで、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10においては、第1実施形態で説明したように、スクリュ4の軸に回転運動を伝達させるスクリュ軸回転伝達手段4bが、移動プレート3の前方に配置されることにより、リングタイプロードセル50、51が2プレート式射出装置10の最後方に配置される形態となり、リングタイプロードセル50、51の脱着を容易にしている。一方、図示はしていないが、スクリュ4の軸を移動プレート3の後方に貫通させ、該貫通部にスクリュ軸回転伝達手段4bが配置される形態、すなわち、スクリュ軸回転伝達手段4bが、移動プレート3の後方に配置される形態であっても、スクリュ軸回転伝達手段4b(プーリやベルト等)が、リングタイプロードセル50、51の後方への脱着の障害とならないように配置されることにより、リングタイプロードセル50、51の脱着の容易性は確保される。
【0037】
またさらに、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10においては、ボールねじナット20b、21bが、移動プレート3を前後に貫通するボールねじナット収納貫通孔3a、3bに収納された状態で、リングタイプロードセルを介して移動プレート3に支持される。そのため、リングタイプロードセルが移動プレートの後方(移動プレート及びボールねじナット間)に配置され、さらにその後方へ突出すようにボールねじナットが支持される特許文献2の射出装置に対して、スクリュ4(移動プレート3)の進退ストロークが同じ場合、少なくともボールねじナットの全長分、2プレート式射出装置の全長を短くすることができ、これに伴いボールねじ軸の全長も短くすることができる。これは、メインの射出装置とは別のサブの射出装置で、射出装置が小型であればあるほど、特許文献1の射出装置に対して、射出装置の全重量に対する移動部材の重量や慣性モーメントの割合の増加を抑制し、射出装置の支持剛性の確保に好適な形態であり、また、射出装置のコストダウンも期待できる。
【0038】
以上、発明を実施するための形態について、第1実施形態及び関連する別形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で、色々な形で実施できることは言うまでもない。
【0039】
例えば、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10においては、ボールねじ機構20、21のボールねじナット20b、21bの双方が、リングタイプロードセル50、51を介して移動プレート3に支持される形態を説明した。しかしながら、図示はしていないが、一方のボールねじナットのみがリングタイプロードセルを介して移動プレート3に支持される形態であっても良い。この場合、他方のボールねじナットは、リングタイプロードセルと同形状のダミーロードセルを介して移動プレート3に支持される。ボールねじ機構20、21は基本的に、スクリュ4の軸と平行に且つ同距離離間して配置されるため、それぞれのボールねじ機構に作用するスクリュ4の軸方向の力は均等と見なして良い。そのため、一方のボールねじナット側のリングタイプロードセルで計測される圧力を2倍して、貯留部の溶融樹脂圧力とすれば良い。
【0040】
あるいは、本発明の第1実施形態に係る2プレート式射出装置10においては、固定プレート2のシリンダバレル11側に貫通させたボールねじ軸20a、21a端部、及び、固定プレート2に配置された射出モータ31、32の出力軸間にボールねじ軸回転伝達手段31a、32aが配置され、ボールねじ軸20a、21aが回転駆動される形態を説明した。しかしながら、このように、必ずしも、2つのボールねじ軸それぞれが異なる射出モータにより回転駆動される必要はない。図示はしていないが、2つのボールねじ軸が1つの射出モータで回転駆動されるように、射出モータ及びボールねじ軸回転伝達手段が配置されても良いし、2つのボールねじ軸が2つ以上の射出モータを協働させて回転駆動されるように、射出モータ及び回転伝達手段1が配置されても良い。このように、固定プレートにおけるボールねじ軸の回転駆動形態は、2プレート式射出装置に要求される射出能力や、2プレート式射出装置のサイズに応じて、適宜、好適な形態が採用されれば良い。
【符号の説明】
【0041】
2 固定プレート、3 移動プレート、3a ボールねじナット収納貫通孔、3b ボールねじナット収納貫通孔、4 スクリュ、4a スクリュ回転支持部、4b スクリュ軸回転伝達手段、10 2プレート式射出装置、11 シリンダバレル、20 ボールねじ機構、20a ボールねじ軸、20b ボールねじナット、21 ボールねじ機構、21a ボールねじ軸、21b ボールねじナット、24 ボールねじ軸回転支持部、31 射出モータ、31a ボールねじ軸回転伝達手段、32 射出モータ、32a ボールねじ軸回転伝達手段、41 計量モータ、50 リングタイプロードセル、51 リングタイプロードセル
図1