(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】空気調和機用コントローラ
(51)【国際特許分類】
F24F 11/56 20180101AFI20220726BHJP
【FI】
F24F11/56
(21)【出願番号】P 2018183765
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡野 博英
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-151465(JP,A)
【文献】特開2014-070782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに表示される画像の第1領域に、空気調和機が備える複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方に対する第1制御の実行を指示する第1項目または第2制御の実行を指示する第2項目を表示させる第1表示制御部と、
前記第1領域に前記第1項目を表示したとき、第2領域に複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方を一括して選択できる第1選択形式で表示し、前記第1領域に前記第2項目を表示したとき、前記第2領域に、複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方のうちの一台のみしか選択できない第2選択形式で表示させる第2表示制御部と、を備えることを特徴とする空気調和機用コントローラ。
【請求項2】
前記第2選択形式は、複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方のうちの1台を選択可能なプルダウンリストであることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機用コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機用コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、複数の室外機に対し、一斉に運転の開始や停止等を行わせる空気調和機用コントローラが提案されている。また、複数の室内機に対し、1台ずつポンプダウン等を行わせる空気調和機用コントローラが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
ところで、これらの技術を1つの空気調和機用コントローラで実施可能とした場合、例えば、複数の室外機や室内機の一覧を表示させて、制御対象とする室外機や室内機を操作者に選択させると、操作者は、複数台を一斉に選択できるのか、1台ずつしか選択できないのかが直感的にわからないため、選択の方法をマニュアル等で確認しなければならず、室外機や室内機の選択に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-055023号公報
【文献】特開平5-149638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような課題に着目したもので、室外機や室内機を容易に選択可能な空気調和機用コントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)ディスプレイと、(b)ディスプレイに表示される画像の第1領域に、空気調和機が備える複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方に対する第1制御の実行を指示する第1項目または第2制御の実行を指示する第2項目を表示させる第1表示制御部と、(c)第1領域に第1項目を表示したとき、第2領域に複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方を一括して選択できる第1選択形式で表示し、第1領域に第2項目を表示したとき、第2領域に、複数の室外機及び複数の室内機の少なくとも一方のうちの一台のみしか選択できない第2選択形式で表示させる第2表示制御部と、を備える空気調和機用コントローラであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、室外機や室内機を容易に選択可能な空気調和機用コントローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る空調制御システムを示す構成図である。
【
図2】プロセッサが実行する制御指示用処理のフローチャートである。
【
図3】制御指示用ウィンドウの第1領域及び第2領域を示す図である。
【
図4】第1領域及び第2領域の動作を示す図である。
【
図5】第1領域及び第2領域の動作を示す図である。
【
図8】変形例に係る制御指示用ウィンドウを示す図である。
【
図9】変形例に係る制御指示用ウィンドウを示す図である。
【
図10】変形例に係る制御指示用ウィンドウを示す図である。
【
図11】変形例に係る制御指示用ウィンドウを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機用コントローラについて図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明に係る空気調和機のコントローラを、空気調和機が備える複数の室外機及び複数の室内機を制御するための、空調制御システムに適用したものである。
なお、以下に示す実施形態は、本発明に係る空気調和機用コントローラの技術的思想を具体化するための方法や装置を例示するものである。本発明の技術的思想は、構成部品の形状及び構造等を下記のものに特定されるものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内で種々の変更を加えることができる。
【0009】
(実施形態)
(構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る空調制御システム1は、複数台の室外機2と、複数台の室内機3と、空気調和機用コントローラ4とを備えている。複数台の室外機2と複数台の室内機3との対応は、一対一であってもよいし一対多であってもよい。また、複数台の室外機2のそれぞれと空気調和機用コントローラ4、複数台の室内機3のそれぞれと空気調和機用コントローラ4は、通信ケーブル5を介して通信可能となっている。
【0010】
空気調和機用コントローラ4は、ディスプレイ6と、入力装置7と、記憶装置8と、プロセッサ9とを備えている。例えば、空気調和機用コントローラ4にはパーソナルコンピュータを用いることができる。
ディスプレイ6は、プロセッサ9から出力される画像信号に従って、その画像信号が示す画像を表示画面に表示する。例えば、ディスプレイ6には液晶ディスプレイ等を用いることができる。
入力装置7は、空気調和機用コントローラ4の操作者によって操作され、操作結果をプロセッサ9に出力する。例えば、入力装置7にはタッチパネル、マウスを用いることができる。
【0011】
記憶装置8は、プロセッサ9で実行する各種プログラムを記憶している。さらに、記憶装置8は、プログラムの実行時にプロセッサ9で用いられる各種データを記憶する。
プロセッサ9は、空気調和機用コントローラ4の操作者が空気調和機用コントローラ4に対して室外機2や室内機3の制御を開始するための操作を行うと、記憶装置8が記憶するプログラムにより、第1表示制御部10、第2表示制御部11を実現する。第1表示制御部10、第2表示制御部11等は、室外機2や室内機3の制御を指示するための制御指示用処理を実行する。この処理については後述する。
【0012】
(制御指示用処理)
次に、空気調和機用コントローラ4の第1表示制御部10、第2表示制御部11が実行する制御指示用処理について説明する。
制御指示用処理が実行されると、
図2に示すように、まずそのステップS101で、第1表示制御部10は、
図3に示すように、制御指示用ウィンドウ13をディスプレイ6に表示させる。制御指示用ウィンドウ13は、第1領域14と、第1領域14の下側に設けられた第2領域15とを備えている。第1領域14には、空気調和機が備える複数の室外機2及び室内機3に対する第1制御の実行を指示する複数の第1項目、及び第2制御の実行を指示する複数の第2項目のうちの1つのみしか選択できない第3選択形式で表示させる。第3選択形式としては、例えば、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方を表す記号等が複数個縦方向にリスト状に並んだプルダウンリスト16を用いることができる(
図6参照)。ここで、第1制御としては、例えば、複数の室外機2及び室内機3の少なくとも一方の一部又は全部に対して、一斉に実行可能な制御を用いることができる。また、第2制御としては、例えば、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方に対して、一台ずつ実行可能な制御を用いることができる。
これにより、入力装置7は、第1領域14の第1項目及び第2項目の選択を受け付ける。そして、空気調和機用コントローラ4の操作者は、入力装置7を介して、第1項目又は第2項目の何れかを選択する。
【0013】
続いてステップS102に移行して、第2表示制御部11は、入力装置7で第1項目が選択されたか否かを判定する。例えば、プルダウンリスト16が操作され、プルダウンリスト16に第1項目が表示されたか否かを判定する。そして、プルダウンリスト16(第1領域)に第1項目が表示されたと判定した場合に(S102-Yes)、ステップS103に移行する。一方、プルダウンリスト16に第2項目が表示されたと判定した場合に(S102-No)、第2項目が選択されたと判定し、ステップS105に移行する。
【0014】
ステップS103では、第2表示制御部11は、
図4に示すように、第2領域15に、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方を一括して選択できる第1選択形式で表示させる。第1選択形式としては、例えば、第2領域15に対して、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方の一覧をその一覧に掲載されている複数の室外機2又は複数の室内機3の少なくとの一方の一部又は全部を選択可能な形式を用いることができる。
図4では、マウスポインタ等で反転表示させることで、1以上の室外機2や室内機3を選択可能な形式を例示している。また、
図4では、室外機2や室内機3は、「Ref.No.」及び「Unit.No.」で表されている。「Ref.No.」とは、冷媒系統(室外機2と室内機3とが冷媒配管でつながっており、冷媒が巡回している系統)を識別するための番号である。また、「Unit.No.」とは、冷媒系統内でのユニットを識別するための番号である。
【0015】
尚、ここでは「Unit.No.」のうち数字で表された部分が番号であり、数字と共に表示されている記号MはMasterを、S1、S2はSlaveの頭文字である。室外機2に親子関係があるためこのような表示がなされているが本発明と直接の関係はないため詳細は省略する。
これにより、入力装置7は、第2領域15の一覧に掲載した室外機2及び室内機3の少なくとも一方の選択を受け付ける。そして、空気調和機用コントローラ4の操作者は、入力装置7を介して、一覧を反転表示させて、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方の一部又は全部を選択する。
【0016】
続いてステップS104に移行して、第2表示制御部11は、第2領域15に表示した一覧に掲載された複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの、入力装置7を介して操作者によって選択された複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方に第1制御を実行させた後、この処理を終了する。第1制御としては、第1項目に対応付けられている制御を行う。
図4の例では、第1項目として「00:Cooling test run」が選択されたため、第1項目に対応付けられている制御として、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方に「Cooling test」を実行させる。尚、「Cooling test run」の前に付番されている「00:」は複数ある第1項目に順に付けた番号である。
【0017】
一方、ステップS105では、第2表示制御部11は、
図5に示すように、第2領域15に、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの一台のみしか選択できない第2選択形式で表示させる。第2選択形式としては、例えば、第2領域15に対して、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの一台を切替表示可能な形式を用いることができる。切替表示可能な形式としては、例えば複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの一台のみしか選択できない形式であるプルダウンリスト17、18を採用できる。
図5では、プルダウンリスト17は室外機2や室内機3の「Ref.No.」を表し、プルダウンリスト18は室外機2や室内機3の「Unit.No.」を表している。
これにより、入力装置7は、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの一台の選択を受け付ける。そして、空気調和機用コントローラ4の操作者は、入力装置7を介して、
図6、
図7に示すように、プルダウンリスト17、18を操作して、所望の室外機2等の「Ref.No.」及び「Unit.No.」を選択する。
【0018】
続いてステップS106に移行して、第2表示制御部11は、入力装置7を介して操作者によって切替表示された一台の複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方に第2制御を実行させた後、この処理を終了する。第2制御としては、第2項目に対応付けられている制御を行う。
図5の例では、第2項目として「11:Indoor unit automatic address」が選択されたため、第2項目に対応付けられている制御として、第2領域15の「Ref.No.」や「Unit No.」で特定される室内機3に「automatic address」のための制御を実行させる。
【0019】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る空気調和機用コントローラ4は、第1表示制御部10が、第1領域14に第1項目を表示したとき、第2表示制御部11は第2領域15に、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方を一括して選択できる第1選択形式で表示させる。また、第2表示制御部11が、第1領域14に第2項目を表示したとき、第2表示制御部11は第2領域15に、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの一台のみしか選択できない第2選択形式で表示させる。それゆえ、第1項目が選択されると、空気調和機の複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方を一括して選択可能な第1選択形式が表示される。また、第2項目が選択されると、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの一台のみを切替により選択可能な第2選択形式が表示される。それゆえ、室外機2や室内機3を容易に選択可能な空気調和機用コントローラ4を提供することができる。
【0020】
ちなみに、例えば、第1領域14に第1項目が表示されたときにも、第2項目が表示されたときにも、第2領域15に対して、第1選択形式を表示させて、制御対象とする室外機2や室内機3を操作者に選択させる方法では、一括選択できそうな表示にも関わらず、一台しか選択できない場合があるため、操作者に違和感を与えてしまう可能性がある。
これに対し、本発明の実施形態に係る空気調和機用コントローラ4は、一括選択できる場合にのみ第1選択形式で表示を行うため、操作者の違和感をなくすことができる。
また、本発明の実施形態に係る空気調和機用コントローラ4は、第2選択形式として、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方のうちの1台を選択可能なプルダウンリスト17、18を用いるため、室外機2や室内機3を容易に選択することができる。
【0021】
(変形例)
本発明の実施形態に係る空気調和機用コントローラ4では、第2選択形式として、プルダウンリスト17、18を用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図8、
図9に示すように、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方の一覧とともに、その一覧から1つしか選べないラジオボタン19やトグルボタン20を用いるようにしてもよい。
また、例えば、
図10、
図11に示すように、複数の室外機2及び複数の室内機3の少なくとも一方の一覧とともに、その一覧の一行しか選択できないUIを用いてもよい。具体的には、マウスのドラッグドロップやCtrlキー+マウスクリックによる複数行選択を禁止するUIを採用できる。
【符号の説明】
【0022】
1…空調制御システム、2…室外機、3…室内機、4…空気調和機用コントローラ、5…通信ケーブル、6…ディスプレイ、7…入力装置、8…記憶装置、9…プロセッサ、10…第1表示制御部、11…第2表示制御部、13…制御指示用ウィンドウ、14…第1領域、15…第2領域、16、17、18…プルダウンリスト、19…ラジオボタン、20…トグルボタン