(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】芳香剤容器
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20220726BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20220726BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220726BHJP
A45D 34/02 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D85/00 A
B65D83/00 F
A45D34/02 510Z
(21)【出願番号】P 2018217173
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三田 とも子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 良太郎
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-104141(JP,U)
【文献】国際公開第2018/019739(WO,A1)
【文献】実開平02-091548(JP,U)
【文献】特開2015-104593(JP,A)
【文献】特開2009-268882(JP,A)
【文献】特表2010-532170(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0001286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0003724(US,A1)
【文献】登録実用新案第3063183(JP,U)
【文献】特開2011-212538(JP,A)
【文献】特開2010-005196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B65D 85/00-85/28,85/575
B65D 83/00,83/08-83/76
A45D 33/00-34/06,37/00,40/00-40/30
A01M 1/00-99/00
F24F 8/00-8/99
F24F 13/08-13/32
F04D 1/00-13/16,17/00-19/02,21/00-25/16,29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視円形の容器本体と、容器本体に螺合するカバーと、カバーに嵌合して水平な回転軸を中心として回転可能な平面視円形の蓋体とを有し、蓋体には蓋体に垂直な回転軸を中心として回転可能な羽根車を備えたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】
前記蓋体は、いずれも円盤状の表面板と裏面板と、これらを連結する相対する2枚の連結板を有し、それぞれの連結板の中心に蓋体の回転軸を備え、表面板と裏面板のそれぞれ中心に羽根車の回転軸受けを備えたことを特徴とする請求項1に記載の芳香剤容器。
【請求項3】
前記羽根車は、中心に回転軸を有し、回転軸から放射状に配置された複数の羽根板と、これらの複数の羽根板を連結する1枚の底面板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤や消臭剤など揮発性の薬剤を収納する容器に関し、特に薬剤の揮散量を広範囲に亘って調節可能な芳香剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
居室内や自動車内に置いて使用する芳香剤や消臭剤は、揮散性の薬剤を窓孔のある容器に収納し、窓の面積を変えることによって揮散量の調節を行っていた。あるいは、容器中の薬液を含浸させた芯材を出し入れ可能に設置して、芯材が空気に接触する面積を変化させることで、揮散量の調節を行う方法も知られている。
【0003】
特許文献1に記載された揮散性薬剤の収容装置は、収容装置を反転させることで薬剤の揮散量が大きく変化する機構を備えた収容装置である。
【0004】
これら従来の方法は、いずれも空間内の空気の自然対流を利用して薬剤の拡散を図るものであるため、調節範囲には自ずから限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、空気の自然対流にのみ依存することなく、積極的に薬剤の揮散を促進することが可能な芳香剤容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、平面視円形の容器本体と、容器本体に螺合するカバーと、カバーに嵌合して水平な回転軸を中心として回転可能な平面視円形の蓋体とを有し、蓋体には蓋体に垂直な回転軸を中心として回転可能な羽根車を備えたことを特徴とする芳香剤容器である。
【0008】
本発明に係る芳香剤容器は、蓋体に回転可能な羽根車を備えたので、この羽根車を回転することにより芳香剤成分を急速に拡散させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記蓋体が、いずれも円盤状の表面板と裏面板と、これらを連結する相対する2枚の連結板を有し、それぞれの連結板の中心に蓋体の回転軸を備え、表面板と裏面板のそれぞれ中心に羽根車の回転軸受けを備えたことを特徴とする請求項1に記載の芳香剤容器である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記羽根車が、中心に回転軸を有し、回転軸から放射状に配置された複数の羽根板と、これらの複数の羽根板を連結する1枚の底面板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香剤容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る芳香剤容器は、蓋体が水平な回転軸を中心として回転するので、開口面積をほぼゼロから100%まで任意に設定することが可能である。またさらに蓋体に羽根車を回転可能に備えたことで、この羽根車を回転させることにより、芳香剤成分を急速に拡
散せしめることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、蓋体が、いずれも円盤状の表面板と裏面板と、これらを連結する相対する2枚の連結板を有し、それぞれの連結板の中心に蓋体の回転軸を備え、表面板と裏面板のそれぞれ中心に羽根車の回転軸受けを備えたことにより、すべての回転軸受けが片持ちでなく両受けの構造となり、蓋体の回転も羽根車の回転もいずれも円滑になる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、羽根車が、中心に回転軸を有し、回転軸から放射状に配置された複数の羽根板と、これらの複数の羽根板を連結する1枚の底面板を有するので、構造的に強固であると共に、射出成形法による作成が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)は、本発明に係る芳香剤容器の平面模式図であり、
図1(b)は正面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2の状態から、蓋体を約45°回転させた状態を示した斜視説明図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る芳香剤容器の蓋体を90°回転させた状態を示した正面模式図である。
【
図5】
図5は、
図4の状態の斜視説明図であり、羽根車を回転させる様子を示したものである。
【
図6】
図6は、本発明に係る芳香剤容器を構成する各部品の組み立てを示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照しながら、本発明に係る芳香剤容器について詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係る芳香剤容器の平面模式図であり、
図1(b)は正面模式図である。
図2は、
図1に示した芳香剤容器の斜視図である。
図6は、本発明に係る芳香剤容器を構成する各部品の組み立てを示した斜視説明図である。
【0016】
本発明に係る芳香剤容器は、平面視円形の容器本体10と、容器本体10に螺合するカバー20と、カバー20に嵌合して水平な回転軸を中心として回転可能な平面視円形の蓋体30とを有し、蓋体30には蓋体に垂直な回転軸を中心として回転可能な羽根車40を備えたことを特徴とする芳香剤容器である。
【0017】
図1に示した状態では、蓋体30は表面板31が水平な状態であり、容器本体10の開口部は閉じられている。蓋体30は、カバー20に設けられた蓋体回転軸受け22a、22bを中心として回転することができる。
図3は、
図2の状態から蓋体30を約45°回転させた状態を示した斜視説明図である。また
図4、
図5は、さらに蓋体30を回転させて、水平位置から90°回転させた状態を示している。この状態は、蓋体30が全開の状態である。このように、蓋体30を0~90°まで回転させることにより、全閉の状態から全開の状態まで任意の開口率を選択することができる。
【0018】
図3、
図5に示したように、蓋体30には、蓋体に垂直な回転軸を中心として回転可能
な羽根車40を備えたことを特徴とする。羽根車40は、
図6に示したように、羽根車回転軸43a、43bを蓋体30の表面板31と裏面板32のそれぞれ中心に設けた羽根車回転軸受け34a、34bに嵌合させることにより、蓋体30に回転可能に保持される。そこで、
図5に示したように、蓋体30を回転させて開口させた後に、羽根車40を回転させることにより、薬剤の揮散を急速に行うことができる。
【0019】
図6に示した例では、蓋体30は、円盤状の表面板31と裏面板32と、これらを連結する相対する2枚の連結板33a、33bを有する。それぞれの連結板の中心には、蓋体回転軸35a、35bを備えている。表面板31と裏面板32のそれぞれ中心には、羽根車回転軸受け34a、34bを備えている。
羽根車40は、蓋体30の側面に差し込んで回転軸43a、43bをそれぞれ蓋体30の羽根車回転軸受け34a、34bに嵌め込むことができる。
【0020】
このように、この例ではすべての軸受けが片持ちではなく、両受け構造であるため、蓋体30の回転も、羽根車40の回転も円滑にできる。但し必ずしも両受け構造とする必要はなく、片持ちでも円滑な回転が得られれば良い。
【0021】
蓋体30は、平面視円形であり、蓋体回転軸35a、35bを中心として回転するため、全体が一つの球に内接するような立体形状となる。従って連結板33a、33bもそれぞれ球面に近似した形状をしている。
【0022】
図6に示したように、この例では羽根車40は、中心に回転軸43a、43bを有し、回転軸から放射状に配置された複数の羽根板41と、これらの複数の羽根板41を連結する1枚の底面板42を有する。底面板42が存在することで、1枚1枚の羽根板41がばらばらにならず、全体の強度が向上する。底面板42の対向側に天面板を設けても良いが、その場合には射出成形に当たって非常に複雑な構造の金型が必要となり、あまり現実的でない。
【0023】
図6において、容器本体10の上部には、雄ねじ部11が設けられており、カバー20の下部に設けられた雌ねじ部21に螺合するようになっている。ねじ部は、雄雌逆でも良いし、図のような全ねじでなく部分ねじでも良い。
【0024】
本発明に係る芳香剤容器1に用いる材料としては、特に制約は無く、収納する内容物によって腐食されない材質であれば良い。一般的にはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、スチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等を用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1・・・芳香剤容器
10・・・容器本体
11・・・雄ねじ部
20・・・カバー
21・・・雌ねじ部
22a、22b・・・蓋体回転軸受け
30・・・蓋体
31・・・表面板
32・・・裏面板
33a、33b・・・連結板
34a、34b・・・羽根車回転軸受け
35a、35b・・・蓋体回転軸
40・・・羽根車
41・・・羽根板
42・・・底面板
43a、43b・・・羽根車回転軸