(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】表皮一体発泡成形型
(51)【国際特許分類】
B29C 44/58 20060101AFI20220726BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20220726BHJP
B29C 44/12 20060101ALI20220726BHJP
B29C 39/34 20060101ALI20220726BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20220726BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20220726BHJP
B29C 33/44 20060101ALI20220726BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
B29C44/58
B29C44/00 A
B29C44/12
B29C39/34
B29C39/10
B29C33/12
B29C33/44
B29K105:04
(21)【出願番号】P 2019035858
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 睦典
(72)【発明者】
【氏名】奥田 勝允
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】実公平07-051292(JP,Y2)
【文献】特許第5050877(JP,B2)
【文献】特開平04-173112(JP,A)
【文献】特開平04-270609(JP,A)
【文献】実開平05-072417(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60;67/20
B29C 33/00-33/76
B29C 39/00-39/44
B29K 105/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーの周縁を位置保持する枠治具がセットされるセット型と、該セット型に型締めされて前記カバーとの間でパッドを発泡成形するためのキャビティを形成する相手型と、を有する表皮一体発泡成形型であって、
前記セット型が、アンダカットを型抜き可能にするための外開き回転式の分割型を有し、
前記分割型が、前記枠治具を外周側からあてがえた状態にセットするセット面と、前記分割型の外開きに伴う前記枠治具の前記セット面上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面と、を有する表皮一体発泡成形型。
【請求項2】
カバーの周縁を位置保持する枠治具がセットされるセット型と、該セット型に型締めされて前記カバーとの間でパッドを発泡成形するためのキャビティを形成する相手型と、を有する表皮一体発泡成形型であって、
前記セット型が、アンダカットを型抜き可能にするための外開き回転式の分割型を有し、
前記分割型が、前記枠治具を内周側からあてがえた状態にセットするセット面と、前記分割型の外開きに伴う前記枠治具の前記セット面上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面と、を有し、
前記逃がし面が、前記セット面の前記枠治具を内周側から斜めにあてがえる斜め面から成る表皮一体発泡成形型。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の表皮一体発泡成形型であって、
前記セット型が下型とされ、前記枠治具が前記セット面に重力方向にセットされる表皮一体発泡成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮一体発泡成形型に関する。詳しくは、カバーの周縁を位置保持する枠治具がセットされるセット型と、セット型に型締めされてカバーとの間でパッドを発泡成形するためのキャビティを形成する相手型と、を有する表皮一体発泡成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートカバーをシートパッドの発泡成形型にセットして、シートパッドをシートカバーと一体に発泡成形させる表皮一体発泡成形型が知られている(特許文献1)。具体的には、上記表皮一体発泡成形型は、下型上にシートカバーをセットして発泡樹脂原料を流し込んだ後、上型を閉じて加熱発泡させることにより、シートパッドをシートカバーと一体に発泡成形させる構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、シートカバーのセットされる下型にアンダカットを型抜き可能にするための回転式の分割型が設定されている場合、シートカバーの周縁を下型上に位置決めするための枠治具が分割型の型開き時に引掛かるおそれがある。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、表皮一体発泡成形型の分割型を開く際にカバーの位置決め用の枠治具と引掛からせにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の表皮一体発泡成形型は次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明の表皮一体発泡成形型は、カバーの周縁を位置保持する枠治具がセットされるセット型と、セット型に型締めされてカバーとの間でパッドを発泡成形するためのキャビティを形成する相手型と、を有する表皮一体発泡成形型である。セット型が、アンダカットを型抜き可能にするための外開き回転式の分割型を有する。分割型が、枠治具を外周側からあてがえた状態にセットするセット面と、分割型の外開きに伴う枠治具のセット面上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、パッドの発泡成形後に分割型を開く際、分割型に形成された逃がし面により、分割型を枠治具と引掛けることなく外開きすることができる。
【0008】
また、本発明の表皮一体発泡成形型は、次のように構成されたものであってもよい。すなわち、カバーの周縁を位置保持する枠治具がセットされるセット型と、セット型に型締めされてカバーとの間でパッドを発泡成形するためのキャビティを形成する相手型と、を有する表皮一体発泡成形型である。セット型が、アンダカットを型抜き可能にするための外開き回転式の分割型を有する。分割型が、枠治具を内周側からあてがえた状態にセットするセット面と、分割型の外開きに伴う枠治具のセット面上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面と、を有する。逃がし面が、セット面の枠治具を内周側から斜めにあてがえる斜め面から成る。
【0009】
上記構成によれば、外開き式の分割型が枠治具を内周側から支える構成であっても、パッドの発泡成形後に分割型を開く際、分割型のセット面の斜め面から成る逃がし面により、分割型を枠治具と引掛けることなく外開きすることができる。
【0010】
また、本発明の表皮一体発泡成形型は、更に次のように構成されていてもよい。セット型が下型とされ、枠治具がセット面に重力方向にセットされる。
【0011】
上記構成によれば、枠治具を分割型のセット面上に簡便な構成によりセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る表皮一体発泡成形型の構成を表す斜視図である。
【
図2】シートカバーに枠治具をセットする方法を表す斜視図である。
【
図3】シートカバーを下型にセットした状態を表す要部断面図である。
【
図4】下型上に発泡樹脂原料を流し込んだ状態を表す要部断面図である。
【
図5】上型を閉じて発泡樹脂原料を加熱発泡させた状態を表す要部断面図である。
【
図6】成形後に上型を開いて成形品を取り出す状態を表す要部断面図である。
【
図7】成形品の離型後に枠治具をシートカバーから取り外した状態を表す要部断面図である。
【
図10】
図9から分割型が開かれる途中の状態を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
《第1の実施形態》
(表皮一体発泡成形型1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る表皮一体発泡成形型1の構成について、
図1~
図10を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る表皮一体発泡成形型1は、シートパッドSPをシートカバーSCと一体に発泡成形するための成形型として構成されている。具体的には、上記表皮一体発泡成形型1は、
図2~
図3に示すように、シートカバーSCが成形面10A上に被せられる形にセットされる下型10と、同下型10に型締めされてシートカバーSCとの間でシートパッドSPを発泡成形するためのキャビティ1Aを形成する上型20と、を有する。
【0016】
ここで、上記シートパッドSPが本発明の「パッド」に相当し、シートカバーSCが本発明の「カバー」に相当する。また、上記下型10が本発明の「セット型」に相当し、上型20が本発明の「相手型」に相当する。
【0017】
上記シートカバーSCは、詳しくは、上記成形時には、その全周縁に下側から枠治具30が装着されて、同枠治具30を介して下型10上の所定位置に合わされた形にセットされる。具体的には、上記枠治具30は、その所々の箇所に立設された各ピン31をシートカバーSCの対応する各周縁箇所に形成された各孔SC1内に差し込むことにより、シートカバーSCの周縁に位置保持された状態にセットされる。
【0018】
そして、上記シートカバーSCを下型10上にセットした後、
図4に示すように、同シートカバーSCの被せられた下型10の成形面10A上に発泡樹脂原料を流し込んだ後、、
図5に示すように、上型20を閉じて加熱発泡させることにより、シートパッドSPがシートカバーSCと一体に発泡成形される。そして、上記成形後に、
図6に示すように、上型20を開いて成形品を取り出すことで、上記一体発泡成形された製品を得ることができる。
【0019】
そして、上記成形品の離型後に、
図7に示すように、枠治具30をシートカバーSCから取り外す。その後、枠治具30を次の成形用のシートカバーSCに装着する。このように、枠治具30が下型10の外でシートカバーSCに対して着脱される構成とされることで、枠治具30の着脱作業と、成形後の表皮一体発泡成形型1の清掃及び離型剤の塗付作業とを並行して行うことができる。それにより、係るタクトタイムを短縮することができる。
【0020】
ところで、上記下型10は、
図5に示すように、上記シートカバーSCがシートパッドSPの周縁を表側から裏側へと包み込む巻き込み形状となっていることに伴い、成形面10Aの全周囲にアンダカット11Aを有する構成とされる。そのようなことから、下型10の周囲には、アンダカット11Aを型抜き可能とするための複数の外開き回転式の分割型11が形成されている。これら分割型11は、下型10の互いに前後方向に対向する周囲箇所と左右方向に対向する周囲箇所とに一対ずつ、それぞれ観音開き状に開閉することができるように向かい合わされた状態に設けられている。
【0021】
上記構成により、
図6に示すように、成形後の製品を下型10から取り出す際には、各分割型11を開くことで、下型10内の製品を各アンダカット11Aに引掛けることなくスムーズに取り出すことができる。その際、上記の枠治具30は、各分割型11の上面に形成された凹状のセット面11C間に跨る形にセットされている。しかし、上記枠治具30は、上記各分割型11を開く際には、各分割型11との引掛かりを生じることなく、各分割型11の開かれる動きを適切に逃がせるようになっている。
【0022】
(表皮一体発泡成形型1の各部の構成について)
以下、上記表皮一体発泡成形型1の各部の具体的な構成について、詳しく説明する。すなわち、
図3に示すように、下型10は、その前後一対の各分割型11と左右一対の各分割型11とが、それぞれ、下型10の本体部に対して、各々の外周側の下端部がヒンジ12により外開き回転可能なように連結されている。また、各分割型11と下型10の本体部との間には、それぞれ、各分割型11を下型10の本体部に閉じる回転方向へと付勢するバネ12Aが掛着されている。
【0023】
それにより、各分割型11は、それらの自由状態時には、各バネ12Aの付勢力によって、下型10の本体部に閉じられて弾性保持される構成とされる。各分割型11は、それぞれ、
図8に示すように、下型10の本体部に閉じられた状態において、下型10の成形面10Aの上方に覆い被さるように庇状に張り出すアンダカット11Aを有する。これらアンダカット11Aの庇状に張り出す各形状は、各々の上面(合わせ面11B)が張り出し方向(型の中心部方向)に斜め下がり状に延びる先細り形状とされる。
【0024】
上記各アンダカット11Aの斜め下がり状に延びる各合わせ面11Bは、それぞれ、
図9に示すように、上型20の型締め時に対応する上型20の各合わせ面20Bと面合わせされる部位とされる。また、
図8に示すように、各分割型11の上面には、それぞれ、前出の枠治具30を上方から落とし込むことで水平方向に位置決めした状態にセットすることのできる凹状のセット面11Cが形成されている。これらセット面11Cは、それぞれ、枠治具30のセットされた各部分を下側から面状に支える載置面11C1と、各載置面11C1の外周縁から外周側に傾斜状に立ち上がって上記枠治具30のセットされた各部分を外周側から面状に支える規制面11C2と、を有する。
【0025】
上記構成により、各分割型11は、それらのセット面11Cの載置面11C1上に跨ってセットされた枠治具30を、それらの規制面11C2により四方から囲い込む形に支持して、枠治具30を水平方向に位置決めした状態として保持する。したがって、シートカバーSCを下型10上にセットする際には、同シートカバーSCに装着された枠治具30を、各セット面11C上に跨らせるように上側から載置するのみの簡便な作業によって、シートカバーSCを下型10上の所定位置に位置決めした状態としてセットすることができる。
【0026】
詳しくは、各セット面11Cは、それらの規制面11C2が、各載置面11C1の外周縁から外周側に傾斜状に立ち上がる広がり形状とされている。したがって、枠治具30を各規制面11C2上に掛かるようにセットしても、各規制面11C2の傾斜によるガイドによって、枠治具30を各セット面11Cの載置面11C1上にセンタリングした状態にセットすることができる。なお、各載置面11C1も、実際には内周側に向かって僅かに傾斜状の立ち上がりの付いた傾斜面とされている。それにより、各載置面11C1の傾斜によるガイドによって、枠治具30を各載置面11C1上に掛かるようにセットしても、枠治具30を各載置面11C1上の周長が合致する所定位置に向けてセンタリングすることができる。
【0027】
上記各分割型11のセット面11Cは、それぞれ、それらの載置面11C1の内周縁から各アンダカット11Aの上面である合わせ面11Bが斜め下がり状に延びる形状とされる。それにより、各分割型11は、
図10に示すように、それらの載置面11C1上にセットされた枠治具30を、各分割型11が開かれる動きに伴って内周側へと摺動させていき、そこから各々の合わせ面11B上へと移行させてそのまま内周側へと抜けさせることで、枠治具30との引掛りを生じることなく開けられるようになっている。ここで、上記各分割型11の合わせ面11Bが、それぞれ、本発明の「逃がし面」に相当する。
【0028】
したがって、作業者が成形後の製品を下型10から取り出す際には、各側の分割型11をバネ12Aの付勢に抗して順に押し開けながら製品を引き上げることで、
図6に示すように、製品や枠治具30に過大な曲げ等の負荷を掛けることなく、製品と枠治具30とをまとめて下型10から簡便に取り出すことができる。そして、上記下型10から製品と枠治具30とを取り出した後には、
図7に示すように、枠治具30をシートカバーSCから取り外して次の成形用のシートカバーSCに装着したり、下型10及び上型20の各成形面10A,20Aを清掃したり、各成形面10A,20Aに離型剤を塗付したりする各作業が行われる。そして、上記各作業の後、再び、枠治具30の装着された次のシートカバーSCを下型10上にセットして、次の製品の成形が行われる。
【0029】
上型20は、
図3に示すように、その外周部から一体的に延び出るアーム21を介して、下型10の本体部の外周部にヒンジ21Aにより外開き回転可能なように連結されている。上記上型20は、
図5に示すように、上記下型10上に型締めされることにより、その合わせ面20Bが、上記下型10の本体部及び各分割型11に形成された対応する各合わせ面11B上に面合わせされる形にセットされる。それにより、上記上型20は、その合わせ面20Bと下型10の各合わせ面11Bとの間に、下型10の各合わせ面11B上に被せられたシートカバーSCを面状に挟み込んだ状態となる。
【0030】
そして、上記型締めにより、上型20は、その成形面20AとシートカバーSCの被せられた下型10の成形面10Aとの間に、シートパッドSPの成形空間となる閉じたキャビティ1Aを形成する。上記上型20は、その合わせ面20Bが、下型10の各合わせ面11Bと面合わせされるが、下型10のセット面11C上にセットされる枠治具30の上方には型締めされる形状を有さない。それにより、上型20は、枠治具30と干渉することなく、その合わせ面20Bと下型10と各合わせ面11Bとの間にシートカバーSCを面状に挟み込んだ状態に型締めされるようになっている。
【0031】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る表皮一体発泡成形型(1)は次のような構成となっている。すなわち、カバー(SC)の周縁を位置保持する枠治具(30)がセットされるセット型(10)と、セット型(10)に型締めされてカバー(SC)との間でパッド(SP)を発泡成形するためのキャビティ(1A)を形成する相手型(20)と、を有する表皮一体発泡成形型(1)である。
【0032】
セット型(10)が、アンダカット(11A)を型抜き可能にするための外開き回転式の分割型(11)を有する。分割型(11)が、枠治具(30)を外周側からあてがえた状態にセットするセット面(11C)と、分割型(11)の外開きに伴う枠治具(30)のセット面(11C)上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面(11B)と、を有する。
【0033】
上記構成によれば、パッド(SP)の発泡成形後に分割型(11)を開く際、分割型(11)に形成された逃がし面(11B)により、分割型(11)を枠治具(30)と引掛けることなく外開きすることができる。
【0034】
また、セット型(10)が下型(10)とされ、枠治具(30)がセット面(11C)に重力方向にセットされる。上記構成によれば、枠治具(30)を分割型(11)のセット面(11C)上に簡便な構成によりセットすることができる。
【0035】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0036】
1.本発明の表皮一体発泡成形型は、自動車や航空機等の乗物用に供されるシートパッドをシートカバーと一体に発泡成形するものの他、乗物内装用や乗物以外のシート又は内装用のパッドをカバーと一体に発泡成形する用途に使われるものであっても良い。セット型と相手型とは、下型と上型との組み合わせから成るものの他、水平方向に型締めされる型の組み合わせから成るものであっても良い。しかし、その場合には、枠治具のセット型へのセットは、マグネット貼着や分割型の付勢による閉まり方向の弾発力を用いるもの等、重力作用による自然落下を防止する落下防止構造を用いて行うことが好ましい。
【0037】
2.分割型は、セット型に1つのみ設定されたものであっても良い。分割型の外開きに伴う枠治具のセット面上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面は、セット面に対して落ち込み方向に傾斜する傾斜面の他、立ち上がり方向に傾斜する傾斜面であっても良い。また、上記逃がし面は、傾斜面の他、セット面と面一状に延びる平坦面や、湾曲状に傾く湾曲面から成るものであっても良い。また、逃がし面は、セット面の内周側の縁部から絶壁状に落ち込む面から成るものであっても良い。また、逃がし面は、相手型との合わせ面以外の面から成るものであっても良い。
【0038】
3.分割型は、枠治具を内周側からあてがえた状態にセットするセット面と、分割型の外開きに伴う枠治具のセット面上からの内周側へ向けた摺動を逃がす逃がし面と、を有し、逃がし面が、セット面の枠治具を内周側から斜めにあてがえる斜め面から成るものであっても良い。上記のように外開き式の分割型が枠治具を内周側から支える構成であっても、パッドの発泡成形後に分割型を開く際、分割型のセット面の斜め面から成る逃がし面により、分割型を枠治具と引掛けることなく外開きすることができる。
【0039】
詳しくは、上記逃がし面の斜め面により、各セット面が、各載置面の内周縁から内周側に傾斜状に立ち上がる広がり形状とされる。したがって、枠治具を各逃がし面上に掛かるようにセットしても、各逃がし面の傾斜によるガイドによって、枠治具を各セット面の載置面上にセンタリングした状態にセットすることができる。
【0040】
4.分割型をセット型に対して閉じる方向に付勢するバネは、あってもなくても良い。バネがあることで、成形後の製品をセット型から取り外す時や離型後の作業時に分割型が開かれても、その後に分割型を簡便に閉じた状態に戻すことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 表皮一体発泡成形型
1A キャビティ
10 下型(セット型)
10A 成形面
11 分割型
11A アンダカット
11B 合わせ面(逃がし面)
11C セット面
11C1 載置面
11C2 規制面
12 ヒンジ
12A バネ
20 上型(相手型)
20A 成形面
20B 合わせ面
21 アーム
21A ヒンジ
30 枠治具
31 ピン
SC シートカバー(カバー)
SC1 孔
SP シートパッド(パッド)