特許 7111036 注ぎ具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-07-25

(45)【発行日】2022-08-02

(54)【発明の名称】注ぎ具

(51)【国際特許分類】

   B65D 25/48 20060101AFI20220726BHJP

   B65D 25/28 20060101ALI20220726BHJP

【ＦＩ】

B65D25/48 A

B65D25/28 103A

B65D25/28 106B

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2019047606

(22)【出願日】2019-03-14

(65)【公開番号】P2020147335

(43)【公開日】2020-09-17

【審査請求日】2021-07-15

(73)【特許権者】

【識別番号】000122298

【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100092978

【弁理士】

【氏名又は名称】真田 有

(72)【発明者】

【氏名】田口 頼幸

(72)【発明者】

【氏名】亀倉 早苗

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 武郎

(72)【発明者】

【氏名】松井 健朗

(72)【発明者】

【氏名】野崎 幸一朗

【審査官】永石 哲也

(56)【参考文献】

【文献】実開昭４８－０８１５６４（ＪＰ，Ｕ）

【文献】米国特許第０３０８６６５１（ＵＳ，Ａ）

【文献】特開昭４７－０２２２８６（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許第０３７２９５５３（ＵＳ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１９／００１４８９４（ＵＳ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１８／１１２５５０（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２００３－５４６０３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－１４５４６３（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６５Ｄ ２５／４８

Ｂ６５Ｄ ２５／２８

Ｂ６５Ｄ ６７／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

可撓性のプレートからなり複数の飲料容器に装着して使用する注ぎ具であって、
前記プレートの縦方向の一端部に並設されて複数の前記飲料容器の上端の容器開口部の外周の周壁部にそれぞれ嵌合される嵌合孔と、
前記プレートの縦方向の他端部に並設されて複数の前記飲料容器の胴体部がそれぞれ挿通される挿通孔と、
前記プレートの縦方向の中間部に配置されて、それぞれの前記挿通孔に前記胴体部が挿通され、且つ、それぞれの前記嵌合孔が前記周壁部に嵌合されると、湾曲して形成されるハンドル部と、
前記プレートの前記一端部の前記嵌合孔の周囲から前記嵌合孔よりもさらに一端側のプレート端部にかけて形成されて、それぞれの前記飲料容器の前記容器開口部から流出した飲料を受けて集合させる合流案内部と、
前記プレートの前記プレート端部に形成されて、前記合流案内部で集合された前記飲料を注ぎ出すための注ぎ口部と、を有する
ことを特徴とする注ぎ具。

【請求項2】

前記合流案内部は、
前記プレートの前記一端部に前記注ぎ口部に向けて次第に幅を狭めるように形成され前記飲料が流通する流通面部と、
前記流通面部の幅方向の各端縁において前記流通面部に対して屈曲形成され前記飲料を前記注ぎ口部に向けて案内する案内壁部と、を有する
ことを特徴とする請求項１に記載の注ぎ具。

【請求項3】

前記プレートには、
前記飲料容器への装着時に、前記一端部と前記中間部との間を屈曲形成するための第１のミシン目と、
前記飲料容器への装着時に、前記他端部と前記中間部との間を屈曲形成するための第２のミシン目と、
前記飲料容器への装着時に、前記流通面部に対して前記案内壁部を屈曲形成するための第３のミシン目と、が形成されている
ことを特徴とする請求項２に記載の注ぎ具。

【請求項4】

前記中間部には、前記プレートの縦方向に延びる一対の孔部が形成され、
前記一対の孔部の相互間に、前記ハンドル部が形成される
ことを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の注ぎ具。

【請求項5】

前記飲料容器は、飲料缶であって、
前記嵌合孔は、前記飲料缶の前記容器開口部を有する缶蓋の直下のネック部の外周の前記周壁部に嵌合される
ことを特徴とする請求項１～４のいずれか１項に記載の注ぎ具。

【請求項6】

前記飲料は、ビールである
ことを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載の注ぎ具。

【請求項7】

前記プレートは樹脂製である
ことを特徴とする請求項１～６のいずれか１項に記載の注ぎ具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、飲料缶等の飲料容器からコップ等の飲用容器に飲料を注ぐために用いる注ぎ具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

飲料缶等から内部の飲料をコップ等の飲用容器に注ぐための注ぎ具が開発されている。
例えば特許文献１には、缶の内部の飲料が一気に流れ出すことを防止すること等を目的とし、飲料缶に装着して使用する注ぎ具が開示されている。また、特許文献２には、ビール缶等からビールをクリーム状に泡立てながらジョッキに注ぐことを目的とし、ジョッキの上に載置して使用する注ぎ具が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特表２００４－５１４６１４号公報

【文献】特開２００５－２１９７９６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のように、飲料缶等の飲料容器からコップ等の飲用容器に飲料を注ぐ際に、注ぎ具を用いることで様々な効果が期待できる。例えばビールの場合、特許文献２に記載のように、クリーム状に泡立てながらジョッキに注ぐことが期待でき、この飲料を注ぐ行為そのものを楽しむことも期待できる。

【0005】

ところで、色の薄いビールとスタウトや黒ビールなど色の濃いビールとを混ぜた状態（いわゆる、ハーフアンドハーフ）にしてビールを飲むことがある。通常は、濃淡２つのビールの一方のビールを飲用容器に注ぎ、その後他方のビールを飲用容器に注ぐことになり、２回の注ぐ行為が必要になる。ビールに限らず、異なる飲料を混ぜた混合飲料として飲む場合、同様に各飲料を順次引用容器に注ぐことになる。
このように異なる飲料を混ぜて飲む場合も、飲料を飲用容器に注ぐ行為を自身が楽しんだり周囲がそれを見て楽しんだりすることができる。

【0006】

本発明は、このような状況に着目して創案されたもので、簡便な操作で且つ楽しみながら、飲料容器から飲用容器に飲料を注ぎつつ混合飲料を作ることができるようにした、注ぎ具を提供できるようにすることを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本件の注ぎ具は、可撓性のプレートからなり複数の飲料容器に装着して使用する注ぎ具であって、前記プレートの縦方向の一端部に並設されて複数の前記飲料容器の上端の容器開口部の外周の周壁部にそれぞれ嵌合される嵌合孔と、前記プレートの縦方向の他端部に並設されて複数の前記飲料容器の胴体部がそれぞれ挿通される挿通孔と、前記プレートの縦方向の中間部に配置されて、それぞれの前記挿通孔に前記胴体部が挿通され、且つ、それぞれの前記嵌合孔が前記周壁部に嵌合されると、湾曲して形成されるハンドル部と、前記プレートの前記一端部の前記嵌合孔の周囲から前記嵌合孔よりもさらに一端側のプレート端部にかけて形成されて、それぞれの前記飲料容器の前記容器開口部から流出した飲料を受けて集合させる合流案内部と、前記プレートの前記プレート端部に形成されて、前記合流案内部で集合された前記飲料を注ぎ出すための注ぎ口部と、を有することを特徴としている。

【0008】

前記合流案内部は、前記プレートの前記一端部に前記注ぎ口部に向けて次第に幅を狭めるように形成され前記飲料が流通する流通面部と、前記流通面部の幅方向の各端縁において前記流通面部に対して屈曲形成され前記飲料を前記注ぎ口部に向けて案内する案内壁部と、を有することが好ましい。
前記プレートには、前記飲料容器への装着時に、前記一端部と前記中間部との間を屈曲形成するための第１のミシン目と、前記飲料容器への装着時に、前記他端部と前記中間部との間を屈曲形成するための第２のミシン目と、前記飲料容器への装着時に、前記流通面部に対して前記案内壁部を屈曲形成するための第３のミシン目と、が形成されていることが好ましい。
前記中間部には、前記プレートの縦方向に延びる一対の孔部が形成され、前記一対の孔部の相互間に、前記ハンドル部が形成されることが好ましい。
前記飲料容器は、飲料缶であって、前記嵌合孔は、前記飲料缶の前記容器開口部を有する缶蓋の直下のネック部の外周の前記周壁部に嵌合されることが好ましい。
前記飲料は、ビールであることが好ましい。
前記プレートは樹脂製であることが好ましい。

【発明の効果】

【0009】

本件の注ぎ具によれば、それぞれの挿通孔に各飲料容器の胴体部を挿通し、それぞれの嵌合孔を周壁部に嵌合することにより、ハンドル部が湾曲して形成されると共に、複数の飲料容器に対して注ぎ具が装着される。ハンドル部を把持して、注ぎ具と共に各飲料容器を持ち上げて、注ぎ口部から飲用容器に飲料を注ぐと、各飲料容器内の飲料が合流案内部で合流しながら飲用容器に注がれる。したがって、一回の操作で複数の飲料容器からそれぞれの飲料を混合させながら同時に飲用容器に注ぐことができる。複数の飲料が合流案内部で合流する状況を目で見て楽しむこともできる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】一実施形態にかかる注ぎ具の非装着状態を示す正面図である。

【図2】一実施形態にかかる注ぎ具を二本のビール缶（飲料容器）への装着状態を示す斜視図であり、（ａ）はビール缶と共に示し、（ｂ）はビール缶を除去して示している。

【図3】一実施形態にかかる注ぎ具の注ぎ口部の第１変形例を示す正面図である。

【図4】一実施形態にかかる注ぎ具の注ぎ口部の第２変形例を示す正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、図面を参照して、実施形態としての注ぎ具について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。

【0012】

〔１．構成〕
注ぎ具は、複数の飲料容器に装着して使用するものであり、本実施形態では、図２に示すように、２本のビール缶２に装着して使用する注ぎ具１を例示する。また、本実施形態に係る注ぎ具１は、図１に示すように、１枚の可撓性のプレート１０で構成されている。ここでいう「可撓性」とは、一定の面剛性を持ちながら面が湾曲しうる柔軟性を有する性質である。このような観点から、プレート１０の材料には、例えば樹脂（合成樹脂）材或いは樹脂コーティングした紙材等を適用することができる。

【0013】

図１中にプレート１０の縦方向ＬＤ及び幅方向ＣＤを示す。縦方向ＬＤは、注ぎ具１をビール缶２に装着した時に、後述するプレート１０の中間部１０Ｂがビール缶２の筒軸方向に沿う方向である。幅方向ＣＤはプレート１０の縦方向ＬＤと直交する方向（プレート１０を、厚みを無視した二次元状と考える）である。
プレート１０は、図１に示すように、幅方向中心を基準に線対称に形成され、略五角形状に形成され、各角部は滑らかな曲線状に形成される。

【0014】

プレート１０は、縦方向ＬＤの一端側（図２における上方）に位置する一端部１０Ａと、縦方向ＬＤの他端側（図２における下方）に位置する他端部１０Ｃと、縦方向ＬＤの中間に位置する中間部１０Ｂとに、区分される。一端部１０Ａの一端側（図一中、上方）が尖った略五角形状に、他端部１０Ｃは略長方形状に、中間部１０Ｂは長方形状に、それぞれ形成される。

【0015】

ここで、ビール缶２について説明する。ビール缶２は、図２に示すように、底部と一体形成された円筒状の胴体部２１と、胴体部２１の上端部に直径を次第に絞られるように縮径されて形成されたネック部２３と、ネック部２３の上縁の外周を包むように巻き締められて液密に嵌着された蓋部２２と、蓋部２２に形成され開口操作することで形成される開け口（容器開口部）２4とを有している。したがって、ネック部２３の外径は、直上の蓋部２２の外径よりも小さく、ネック部２３がビール缶２の最小外径部になっている。

【0016】

図１に示すように、プレート１０の一端部１０Ａには、注ぎ具１をビール缶２へ装着した時に（以下、単に「装着時」ともいう、図２参照）、各ビール缶２の上端のネック部（周壁部）２３に嵌合される円形の嵌合孔１１が幅方向ＣＤに２つ並んで形成されている。嵌合孔１１の内径寸法は、ネック部２３の外径寸法と同一或いはネック部２３の外径寸法よりも僅かに小さく設定されている。

【0017】

プレート１０の他端部１０Ｃには、装着時に、２本のビール缶２の胴体部２１が挿通される円形の挿通孔１２が幅方向ＣＤに２つ並んで形成されている。挿通孔１２の内径寸法は、胴体部２１の外径寸法と同一或いは胴体部２１の外径寸法よりも僅かに大きく設定されている。

【0018】

プレート１０の中間部１０Ｂには、縦方向ＬＤに延びる一対の孔部１３，１３が形成され、これらの一対の孔部１３，１３の相互間に、装着時に把持できるハンドル部１４が形成されている。孔部１３，１３の縁の形状は角のない形状となっており、特に、ハンドル部１４を形成する孔部１３，１３の隣接する縁部は曲線状に形成されている。

【0019】

また、プレート１０の一端部１０Ａにおいて、各嵌合孔１１の周囲から各嵌合孔１１よりもさらに一端側のプレート端部１０Ｅにかけて、注ぎ具１のビール缶２への装着時にそれぞれのビール缶２の開け口（容器開口部）２４から流出したビール（飲料）を受けて集合させる合流案内部１５が形成されている。
さらに、プレート１０のプレート端部１０Ｅには、注ぎ具１のビール缶２への装着時に合流案内部１５で集合されビールを合流案内部１５から注ぎ出すための注ぎ口部１６が形成されている。

【0020】

合流案内部１５は、注ぎ口部１６に向けて次第に幅を狭めるように形成され、ビールを注ぐ際にビールが流通する流通面部１５Ａと、この流通面部１５Ａの幅方向の各端縁において鉛直上方へ流通面部１５Ａに対して屈曲形成され、ビールを注ぎ口部１６に向けて案内する案内壁部１５Ｂと、を有している。
注ぎ口部１６は、案内壁部１５Ｂの先端（プレート端部１０Ｅ側）の流通面部１５Ａに近い側が曲線状に抉られることによって、正面視で（図１参照）シンプルな凹型曲線状に形成されている。

【0021】

また、プレート１０には、注ぎ具１のビール缶２への装着時に、プレート１０の要部を屈曲形成するための屈曲用ミシン目１７Ａ，１７Ｂ，１７Ｃが形成されている。
第１のミシン目１７Ａは、一端部１０Ａと中間部１０Ｂとの間に幅方向ＣＤに沿って形成され、注ぎ具１のビール缶２への装着時に、一端部１０Ａと中間部１０Ｂとの間を屈曲形成するために用いられる。
第２のミシン目１７Ｂは、他端部１０Ｃと中間部１０Ｂとの間に幅方向ＣＤに沿って形成され、注ぎ具１のビール缶２への装着時に、他端部１０Ｃと中間部１０Ｂとの間を屈曲形成するために用いられる。
第３のミシン目１７Ｃは、一端部１０Ａの傾斜した端縁に沿って形成され、注ぎ具１のビール缶２への装着時に、流通面部１５Ａに対して案内壁部１５Ｂを屈曲形成するために用いられる。

【0022】

第１のミシン目１７Ａは、その中間部（幅方向中間部）で二分されるように形成され、２つの第１のミシン目１７Ａの中間には、補強用ミシン目１７Ｄが形成されている。
この補強用ミシン目１７Ｄは菱形に形成されており、注ぎ具１をビール缶２へ装着した後に、ハンドル部１４を把持して注ぎ具１をビール缶２と共に持ち上げた時に、補強用ミシン目１７Ｄによって第１のミシン目１７Ａの相互間が三次元的に屈曲形成されて剛性が向上し、注ぎ具１の撓みを抑制する。

【0023】

〔２．作用及び効果〕
このように形成された注ぎ具１は、非使用時には、図１に示すように平面状のプレートとして保管することができ、使用時には、図２に示すようにビール缶２に装着して立体的に組み立てる。

【0024】

ここで、装着する際の手順の一例を説明する。
まず、プレート１０の一面側から、他端部１０Ｃの挿通孔１２に、それぞれビール缶２の胴体部２１を挿通する。
挿通孔１２の内径寸法は、胴体部２１の外径寸法と同一或いは胴体部２１の外径寸法よりも僅かに大きく設定されているので、かかる挿通は容易であり、かつ、挿通後に、胴体部２１が挿通孔１２から簡単に離脱することもない。

【0025】

次に、ミシン目１７Ａで折り目を付けて、一端部１０Ａと中間部１０Ｂとの間を屈曲させ、ミシン目１７Ｂで折り目を付けて、他端部１０Ｃと中間部１０Ｂとの間を屈曲させる。そして、プレート１０の中間部１０Ｂを湾曲させながら、一端部１０Ａの各嵌合孔１１を対応するビール缶２の上端のネック部（周壁部）２３に嵌合させる。
中間部１０Ｂには、縦方向ＬＤに延びる一対の孔部１３，１３が形成され、曲げ剛性が低減されているので、プレート１０の中間部１０Ｂを柔軟に湾曲させることができる。

【0026】

また、嵌合孔１１の内径寸法は、ネック部２３の外径寸法と同一或いはネック部２３の外径寸法よりも僅かに小さく設定され、ネック部２３の直上には、ネック部２３よりも僅かに外径の大きい蓋部２２があるので、嵌合孔１１をビール缶２のネック部２３に嵌合させる際には、嵌合孔１１の周囲を微小に弾性変形させて行うことになる。嵌合孔１１をネック部２３に嵌合させた後は、蓋部２２によって嵌合孔１１がネック部２３から外れることが防止される。

【0027】

さらに、ミシン目１７Ｃで折り目を付けて、各案内壁部１５Ｂを流通面部１５Ａに対して鉛直上方に屈曲形成する。
これにより、図２に示すように、注ぎ具１のビール缶２への装着が完了し、注ぎ具１は所定の立体的に組み立てられる。
また、注ぎ具１のビール缶２への装着に前後して、ビール缶２の蓋部２２に形成された開け口（容器開口部）２４を開口する。

【0028】

ビールをコップやジョッキ等の飲用容器に注ぐには、ハンドル部１４を把持して、注ぎ具１と共に各ビール缶２を持ち上げて飲用容器の上に注ぎ口部１６を配置させて注ぎ具１を傾けて、ビール缶２の開け口２４からビールを流出させる。ビールは合流案内部１５の流通面部１５Ａ及び案内壁部１５Ｂで案内されながら自重で注ぎ口部１６から飲用容器に注がれる。この時、ビール缶２内のビールが合流案内部１５で合流しながら飲用容器に注ぎ込まれる。

【0029】

したがって、２つのビール缶２の一方が色の薄いビールを内蔵し他方が色の濃いビールを内蔵したものであれば、一回の操作でこれらのビールを混合させながら同時に飲用容器に注ぎ、いわゆる、ハーフアンドハーフのビールとして飲むことができる。注ぐ操作が簡単になるのとともに、複数のビールが合流案内部１５で合流する状況を目で見て楽しむこともできる。
また、ハンドル部１４を把持してビールを注ぐ際に、補強用ミシン目１７Ｄによってハンドル部１４の上方の剛性が向上してこの部分の撓みを抑制するので、安定した状態で注ぐ操作を行うことができる。

【0030】

〔３．変形例〕
なお、本実施形態の注ぎ口部１６は、図１に示すように、シンプルな１つの凹型曲線状に形成されているが、注ぐ際にビールがクリーミーな泡状になるようにすることを考慮して、例えば図３，図４に示すような正面視形状に、注ぎ口部１６Ａ，１６Ｂを形成してもよく、適宜の形状に設定すればよい。図３，図４において、図１と同符号は同様のものを示し、説明を省略する。

【0031】

図３に示す変形例の注ぎ口部１６Ａは、３本の細い凹型曲線状の溝で形成され、各溝からビールが集合しながら注がれる。このビールの集合時にビールに空気が混ざり合ってクリーミーな泡が形成される。
図４に示す変形例の注ぎ口部１６Ｂは、２本の細い凹型曲線状の溝で形成され、各溝からビールが集合しながら注がれる。このビールの集合時にビールに空気が混ざり合ってクリーミーな泡が形成される。
また、変形例の補強用ミシン目１７Ｄ´には、四辺の角部に微小穴が形成されている。微小穴により、補強用ミシン目１７Ｄ´周りの剛性を調整できる。

【0032】

〔４．その他〕
以上、実施形態を説明したが、本発明は以下のように実施してもよい。
例えば、上記実施形態では、嵌合孔１１の内径寸法をネック部２３の外径寸法と同一或いはネック部２３の外径寸法よりも僅かに小さく設定しているが、これは嵌合孔１１の内周にネック部２３が隙間なく密着するようにして嵌合孔１１とネック部２３との間の隙間からビールが漏出しないように考慮したものである。実際には、嵌合孔１１の内周にネック部２３が密着しなくてもビールの漏出は発生しないか或いは発生しても僅かなものと考えられる。したがって、嵌合孔１１の内径寸法をネック部２３の外径寸法よりも僅かに大きく設定してもよい。

【0033】

また、上記実施形態では、飲料容器としてビール缶２を例示したが、注ぎ具は他の飲料に飲料用缶に適用してもよく、或いは、飲料用瓶に適用してもよい。種々の飲料等缶や飲料用瓶に適用する場合、各缶や瓶のサイズに合わせて嵌合孔１１，挿通孔１２，孔部１３，ハンドル部１４の大きさや配置を設定すればよく、プレートの剛性（材質や板厚）も各缶や瓶の重量に合わせて設定すればよい。
何れの場合も、簡便な操作で且つ楽しみながら、飲料容器から飲用容器に飲料を注ぎつつ混合飲料を作ることができるようになる。

【符号の説明】

【0034】

１ 注ぎ具
２ ビール缶（飲料容器）
１０ プレート
１０Ａ プレート１０の一端部
１０Ｂ プレート１０の中間部
１０Ｃ プレート１０の他端部
１０Ｅ プレート端部
１１ 嵌合孔
１２ 挿通孔
１３ 孔部
１４ ハンドル部
１５ 合流案内部
１５Ａ 流通面部
１５Ｂ 案内壁部
１６，１６Ａ，１６Ｂ 注ぎ口部
１７Ａ，１７Ｂ，１７Ｃ 屈曲用ミシン目
１７Ｄ，１７Ｄ´ 補強用ミシン目
２１ ビール缶２の胴体部
２２ ビール缶２の蓋部
２３ ビール缶２のネック部（周壁部）
２４ ビール缶２の開け口（容器開口部）
ＬＤ プレート１０の縦方向
ＣＤ プレート１０の幅方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】