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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20220726BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20220726BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220726BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01L23/12 301Z
H01L23/00 C
H01L23/28 F
H05K9/00 C
H05K9/00 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019563970
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2018047707
(87)【国際公開番号】W WO2019135376
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2018000442
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(72)【発明者】
【氏名】大坪 喜人
(72)【発明者】
【氏名】森本 裕太
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/047539(WO,A1)
【文献】特開2014-203881(JP,A)
【文献】特開2015-057803(JP,A)
【文献】特開2011-187677(JP,A)
【文献】国際公開第2016/195026(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/181954(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102054821(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104347533(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0231972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/00
H01L 23/28
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の主面に実装された第1部品および第2部品と、
前記第1部品と前記第2部品との間に配置されたシールド部材と、
前記配線基板の前記主面に形成され、前記第1部品および前記第2部品を封止する封止樹脂層とを備え、
前記シールド部材は、
前記封止樹脂層に形成された第1の溝に配設される第1シールド壁と、
前記第1の溝から離れて前記封止樹脂層に形成された第2の溝に配設される第2シールド壁と、
前記配線基板の前記主面に配置され、前記第1シールド壁と前記第2シールド壁の一端同士を接続する連結導体とを備え、
前記封止樹脂層は、前記シールド部材により前記第1部品を封止する第1領域と前記第2部品を封止する第2領域とに分けられ、前記連結導体の位置で前記第1領域と前記第2領域とが繋がっており、
前記連結導体は、一端が前記配線基板の前記主面に接続された状態で、前記主面に立設された一対の脚部と、前記一対の脚部の他端同士をつなぐ橋絡部とを有していることを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
前記連結導体の前記一対の脚部の間に、第3部品または配線電極が配置され、前記連結導体が前記第3部品または前記配線電極を跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記配線基板の前記主面に対して垂直な方向から見たときに、前記シールド部材が屈曲部を有し、前記連結導体が前記屈曲部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記配線基板の前記主面の端縁に配置され、前記第1シールド壁の他端に接続される第1端部導体と、
前記配線基板の前記主面の端縁に配置され、前記第2シールド壁の他端に接続される第2端部導体とをさらに備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に実装された複数の部品を被覆する封止樹脂層と、部品間のノイズの相互干渉を防止するためのシールド壁とを備える高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置などに搭載される高周波モジュールには、電磁波を遮蔽するためのシールド層が設けられる場合がある。この種の高周波モジュールとして、配線基板上に実装された部品がモールド樹脂で被覆され、該モールド樹脂の表面を被覆するようにシールド層が設けられるものがある。
【0003】
このようなシールド層は、外部からのノイズを遮蔽するために設けられているが、配線基板に複数の部品が実装される場合は、当該複数の部品間において、ある部品から発生するノイズが、他の部品に干渉するという問題がある。そこで、外部のみならず、実装部品間のノイズを相互に遮蔽するシールド壁が設けられる場合がある。シールド壁は、例えば、レーザ加工により樹脂層に溝が形成され、該溝に導電性ペースト等の導体を充填することにより形成される。この場合、溝を形成する際のレーザ光の影響で、配線基板にクラックが生じたり、配線が損傷したりするなどのおそれがある。このため、従来、部品間にシールドを形成しつつ、配線基板へのダメージを極力抑えるような高周波モジュールが提案されている。
【0004】
例えば、図17に示すように、特許文献1に記載の高周波モジュール100は、回路基板101の上面101aに複数の電子部品102a,102bが実装され、両電子部品102a,102bが樹脂部103で封止されている。樹脂部103には両電子部品102a,102bの間に溝104が形成され、溝104には金属片105の一部が樹脂部103より露出された露出部106が設けられている。そして、金属片105は、樹脂部103の表面に形成されたシールド導体107と露出部106が接続されることにより、両電子部品102a、102b間のシールド壁として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-187677号公報(段落0014~0021、図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の高周波モジュール100は、樹脂部103を分断するように溝104が形成されており、樹脂部103は、電子部品102a側と電子部品102b側とで完全に分断された構造となっている。そのため、機械的強度が低下して、製造工程において、あるいは熱応力によって、高周波モジュール100に反りが発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、封止樹脂層に溝を形成して部品間にシールドを設ける構成において、互いに離れて形成された2つの溝に配設されたシールド壁を連結部材により接続することで、連続したシールド壁を形成しつつ、封止樹脂層は完全には分断されずに、機械的強度を向上させ、反りの発生を低減することができる高周波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本発明の高周波モジュールは、配線基板と、前記配線基板の主面に実装された第1部品および第2部品と、前記第1部品と前記第2部品との間に配置されたシールド部材と、前記配線基板の前記主面に形成され、前記第1部品および前記第2部品を封止する封止樹脂層とを備え、前記シールド部材は、前記封止樹脂層に形成された第1の溝に配設される第1シールド壁と、前記第1の溝から離れて前記封止樹脂層に形成された第2の溝に配設される第2シールド壁と、前記配線基板の前記主面に配置され、前記第1シールド壁と前記第2シールド壁の一端同士を接続する連結導体とを備え、前記封止樹脂層は、前記シールド部材により前記第1部品を封止する第1領域と前記第2部品を封止する第2領域とに分けられ、前記連結導体の位置で前記第1領域と前記第2領域とが繋がっており、前記連結導体は、一端が前記配線基板の前記主面に接続された状態で、前記主面に立設された一対の脚部と、前記一対の脚部の他端同士をつなぐ橋絡部とを有していることを特徴としている。この構成によると、第1の溝と第2の溝が接触していないため、封止樹脂層の第1領域と第2領域とが完全に分断されない。このため、封止樹脂層が分断されることにより発生する機械的強度の低下を抑制し、また、反りの発生を低減することができる。また、金属ピンやワイヤーを連結部材として使用することができる。
【0011】
また、前記連結導体の前記一対の脚部の間に、第3部品または配線電極が配置され、前記連結導体が前記第3部品または前記配線電極を跨ぐように配置されていてもよい。この構成によると、部品や配線電極を跨いで部品間のシールド壁を形成することができる。
【0013】
また、前記配線基板の前記主面に対して垂直な方向から見たときに、前記シールド部材が屈曲部を有し、前記連結導体が前記屈曲部に配置されていてもよい。この構成によると、例えば、シールド壁が配設される溝をレーザ加工等で形成するときに、溝に屈曲部がある場合、レーザの走査が瞬間的に停止する事でレーザ照射時間が長くなる。したがって、屈曲部は他の箇所よりもレーザ光のエネルギーが強く作用して、同じレーザ条件の場合、配線基板の損傷が大きくなる。ここで、屈曲部に連結部材を配置して、溝が直線的に形成されるようにすることで、溝形成時のレーザ光が基板を損傷することを防止することができる。
【0014】
また、前記配線基板の前記主面の端縁に配置され、前記第1シールド壁の他端に接続される第1端部導体と、前記配線基板の前記主面の端縁に配置され、前記第2シールド壁の他端に接続される第2端部導体とをさらに備えていてもよい。
【0015】
例えば、シールド壁が配設される溝をレーザー加工により形成する場合、配線基板の端縁は特にクラックが発生しやすい。したがって、この構成によれば、配線基板の端縁に第1および第2端部導体を配置し、第1および第2の溝を配線基板の端縁に達しないように形成することで、配線基板の損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、部品間シールドとして機能するシールド壁が配設される溝が、封止樹脂層を分断しないように形成され、2つの溝に配設された2つのシールド壁を連結導体で接続することにより、封止樹脂層が完全に分断されなることなく部品間シールドを設けることができる。このため、部品間シールドの機能を低下させることなく、モジュールの機械的強度を向上させることができ、その結果、モジュールの反りを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態にかかる高周波モジュールの断面図であって、図2のA-A矢視断面図である。
図2図1の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図3図1のシールド壁の形状のパターンを示す図である。
図4図1の高周波モジュールの変形例を示す図であって、図5のB-B矢視断面図である。
図5図4の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図6図1の高周波モジュールの別の変形例を示す図であって、図7のC-C矢視断面図である。
図7図6の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図8】本発明の第2実施形態にかかる高周波モジュールの断面図であって、図9のD-D矢視断面図である。
図9図8の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図10図8の高周波モジュールの変形例を示す図であって、図11のE-E矢視断面図である。
図11図10の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図12】本発明の第3実施形態にかかる高周波モジュールの断面図であって、図13のF-F矢視断面図である。
図13図12の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図14】本発明の第4実施形態にかかる高周波モジュールの断面図であって、図15のG-G矢視断面図である。
図15図14の高周波モジュールのシールド膜の上面を除いた状態の平面図である。
図16図14の高周波モジュールの変形例を示す図である。
図17】従来の高周波モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態にかかる高周波モジュール1aについて、図1図3を参照して説明する。なお、図1は高周波モジュール1aの断面図、図2は高周波モジュール1aのシールド膜6の上面および封止樹脂層4を除いた状態の平面図、図3図1の高周波モジュール1aのシールド壁の形状のパターンを示す図である。
【0023】
この実施形態にかかる高周波モジュール1aは、図1および図2に示すように、多層配線基板2(本発明の「配線基板」に相当する)と、該多層配線基板2の上面20aに実装された第1部品3aと、第2部品3bと、多層配線基板2の上面20aに積層された封止樹脂層4と、封止樹脂層4の表面を被覆するシールド膜6と、封止樹脂層4内に設けられたシールド5(本発明の「シールド部材」に相当する)とを備える。これは例えば、高周波信号が用いられる電子機器のマザー基板等に搭載される。
【0024】
多層配線基板2は、例えば、低温同時焼成セラミックやガラスエポキシ樹脂などで形成された複数の絶縁層2a~2dが積層されて成る。多層配線基板2の上面20a(本発明の「配線基板の主面」に相当)には、各部品3a,3bの実装用の実装電極(図示省略)や、後述するように、シールド5を構成する2つのシールド壁5a、5bに接続される表層電極7が形成されるとともに、下面20bには、外部接続用の複数の外部電極8が形成される。また、この実施形態では、隣接する絶縁層2a~2d間それぞれに、各種の内部配線電極9が配置される。また、多層配線基板2の内部には、異なる絶縁層2a~2dに形成された内部配線電極9同士を接続するための複数のビア導体10が形成される。なお、表層電極7は、グランド電極として機能する内部配線電極9に接続されている。
【0025】
実装電極、表層電極7、外部電極8および内部配線電極9は、いずれもCuやAg、Al等の配線電極として一般的に採用される金属で形成されている。また、各ビア導体10は、AgやCu等の金属で形成されている。なお、各実装電極、表層電極7、各外部電極8には、Ni/Auめっきがそれぞれ施されていてもよい。
【0026】
第1部品3aは、SiやGaAs等の半導体で形成された半導体素子や、チップインダクタ、チップコンデンサ、チップ抵抗等のチップ部品で構成され、多層配線基板2の上面20aに対して垂直な方向から見たときに、封止樹脂層4の第1領域40aに相当する位置に実装されている。また、第2部品3bは、SiやGaAs等の半導体で形成された半導体素子や、チップインダクタ、チップコンデンサ、チップ抵抗等のチップ部品で構成され、多層配線基板2の上面20aに対して垂直な方向から見たときに、封止樹脂層4の第2領域40bに相当する位置に実装される。
【0027】
封止樹脂層4は、多層配線基板2の上面20aと各部品3a、3bとを被覆して多層配線基板2に積層される。封止樹脂層4は、エポキシ樹脂等の封止樹脂として一般的に採用される樹脂で形成することができる。
【0028】
シールド膜6は、多層配線基板2内の各種内部配線電極9や各部品3a,3bに対する外部からのノイズを遮蔽するためのものであり、封止樹脂層4の上面4aおよび側面4c、並びに多層配線基板2の側面20cを被覆する。また、シールド膜6は、封止樹脂層4の表面に積層された密着膜と、密着膜に積層された導電膜と、導電膜に積層された保護膜とを有する多層構造で形成することができる。
【0029】
密着膜は、導電膜と封止樹脂層4との密着強度を高めるために設けられたものであり、例えば、SUSなどの金属で形成することができる。導電膜は、シールド膜6の実質的なシールド機能を担う層であり、例えば、Cu、Ag、Alのうちのいずれかの金属で形成することができる。保護膜は、導電膜が腐食したり、傷が付いたりするのを防止するために設けられたものであり、例えば、SUSで形成することができる。
【0030】
シールド5は、封止樹脂層4内で第1部品3aと第2部品3bとの間に配置され、2つの第1シールド壁5aと、第2シールド壁5bと、両シールド壁5a、5bを接続する連結導体11とで構成される。具体的には、図2に示すように、多層配線基板2の上面20aに対して垂直な方向から見たときに、封止樹脂層4を第1領域40aと第2領域40bの2つの領域に区切るように第1の溝12と第2の溝13とが形成され、両溝12、13にCuやAgなどを主成分とする導電性ペーストを充填することにより両シールド壁5a、5bが形成される。両溝12、13は互いに接触しないように、離れて形成される。したがって、両シールド壁5a、5bも互いに接触しないように、離れて形成される。そして、両シールド壁5a、5bを接続するように、連結導体11が配置されることで、第1シールド壁5a、連結導体11、および第2シールド壁5bが連続したシールド5を構成し、封止樹脂層4を第1領域40aと第2領域40bとに分割する。また、連結導体11は、封止樹脂層4の高さよりも低いブロック状の金属で形成されており、連結導体11の上部で、封止樹脂層4の第1領域40aと第2領域40bとがつながっている。ここで、連結導体11を多層配線基板2の上面20aに形成されたランド電極に固定し、当該ランド電極からグランド端子に電気的につなぐことで、シールド5をグランドに接続できる。この場合、シールド5と多層配線基板2の側面20cに露出された内部電極とを接続させる必要はない。
【0031】
なお、この実施形態では、両溝12、13がレーザ加工で形成される。このとき、表層電極7は、多層配線基板2の上面20aをレーザによるダメージから保護する役割も果たす。また、図3(a)に示すように、両溝12、13が多層配線基板2の上面20aに到達しない深さで形成されていてもよいし、図3(b)に示すように、両溝12、13の一部が多層配線基板2の上面20aに到達する深さに形成され、他の部分は多層配線基板2の上面20aに到達しない深さで形成されていてもよい。ただし、図3(a)および図3(b)に示されるいずれの場合においても、第1シールド壁5aおよび第2シールド壁5bは、連結導体11により接続されている。また、連結導体11の上部で、封止樹脂層4の第1領域40aと第2領域40bとがつながっている。なお、図3(a)、(b)のように両溝12、13が多層配線基板2の上面20aに到達しない深さで形成されている場合は、表層電極7が形成されていなくてもよい。
【0032】
したがって、上記した実施形態によれば、両溝12、13が互いに接触しないため、両シールド壁5a、5bも互いに接触せず、封止樹脂層4は完全に分断されない。このため、封止樹脂層4の割れや、高周波モジュール1aの機械的強度の低下および反りの発生を低減することができる。なお、両シールド壁5a、5bは連結導体11により接続されているため、部品間に配置されるシールドとしては連続した1つのシールドとして機能する。また、両溝12、13の深さを、多層配線基板2の上面20aに到達しない深さとすることで、多層配線基板2の上面20aに対するダメージや、両溝12、13に隣接する部品に対するダメージを軽減することができる。また、高周波モジュールの天面に容易に印字エリアを確保することができる。
【0033】
(高周波モジュール1aの変形例)
上記した実施形態では、連結導体11は、ブロック状の金属により形成されていたが、例えば、図4および図5に示すモジュール1bのように、連結導体11aが一対の脚部14aと両脚部14aとをつなぐ橋絡部14bとを有するU字状に加工された金属ピンまたはワイヤーにより形成されていてもよい。両脚部14aは表層電極7に接続され、連結導体11aは多層配線基板2の上面20aに立設される。このようにすると、連結導体11aがU字状となっているため、連結導体11aの両脚部14aの間に配線電極を配置することができる。
【0034】
また、図6および図7に示すモジュール1cでは、連結導体11bは、一対の脚部(図示省略)と両脚部をつなぐ橋絡部14bとを有するU字状の金属ピンまたはワイヤーが複数結合されて形成されている。なお、図4および図5に示すモジュール1bでは、橋絡部もしくは橋絡部と脚部の一部がそれぞれ、第1シールド壁5aおよび第2シールド壁5bに接続されていたが、モジュール1cでは、両脚部は両シールド壁5a、5bとは接続せず、橋絡部が両シールド壁5a、5bと接続しており、多層配線基板2の上面20aに対して垂直な方向から見たときに、連結導体11bは、橋絡部14bが両シールド壁5a、5bにほぼ直交する位置に配置される。このようにすることで、連結導体11bの両脚部の間に第3部品3cを配置することができる。
【0035】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態にかかる高周波モジュール1dについて、図8および図9を参照して説明する。なお、図8は高周波モジュール1dの断面図、図9は高周波モジュール1dのシールド膜6の上面および封止樹脂層4を除いた状態の平面図である。
【0036】
この実施形態にかかる高周波モジュール1dが、図1図3を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図8および図9に示すように、シールド5が屈曲部を有している点である。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0037】
この実施形態では、シールド50は、3つのシールド壁50a、50b、50cと2つの連結導体11cとにより構成され、多層配線基板2の上面20aに対して垂直な方向から見たときに、屈曲部5a1、5b1を有する折れ線状に形成されている。各シールド壁50a~50cが配設される溝12a、13a、15は、それぞれ直線状に形成され、屈曲部5a1において、シールド壁50aと50cとが連結導体11cで接続され、屈曲部5b1において、シールド壁50bと50cとが連結導体11cで接続される。
【0038】
シールド壁を配設する溝をレーザー加工により形成する際、屈曲部5a1、5b1は他の箇所よりもレーザ光のエネルギーが強く作用するため、同じレーザ条件だと溝が深くなる。このため、屈曲部5a1、5b1では多層配線基板2の上面20aへのダメージが発生しやすい。しかしながら、この構成においては、屈曲部5a1、5b1に連結導体11cが設けられており、当該屈曲部でレーザ光が長時間作用することがない。このため、多層配線基板2の上面20aへのダメージが発生せず、部品の配置領域を狭くすることなくシールド50を形成することができる。
【0039】
(高周波モジュール1dの変形例)
上記した実施形態では、3つのシールド壁50a、50b、50cと2つの連結導体11cとによりシールド50が形成されていたが、図10および図11に示す高周波モジュール1eのように、2つの溝12a、13aと1つの連結導体11dとにより屈曲部5a1、5b1を有するシールド51が形成されていてもよい。図8および図9に示す高周波モジュール1dにおけるシールド壁50cの位置には、溝およびシールド壁を形成せず、代わりに連結導体11dを配置することで、屈曲部5a1、5b1を有するシールド51を形成することができる。
【0040】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態にかかる高周波モジュール1fについて、図12および図13を参照して説明する。なお、図12は高周波モジュール1fの断面図、図13は高周波モジュール1fのシールド膜6の上面および封止樹脂層4を除いた状態の平面図である。
【0041】
この実施形態にかかる高周波モジュール1fが、図1ないし図3を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図12および図13に示すように、第1部品3aを囲むようにシールド52が形成されている点である。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0042】
この実施形態では、シールド52は、4つのシールド壁52a~52dと、4つの連結導体11eとで矩形状に構成され、矩形状のシールド52の内側に第1部品3aが配置されている。封止樹脂層4に設けられた4つの溝16a~16dは、互いに接触しないように離れて矩形の各辺に沿って形成され、各溝16a~16dにそれぞれCuやAgなどを主成分とする導電性ペーストを充填することにより各シールド壁52a~52dが配設される。また、矩形の四隅部にはそれぞれ連結導体11eが配置されることにより、矩形状のシールド52が形成される。
【0043】
この構成によれば、複数のシールド壁と複数の連結導体とを組み合わせることで、さまざまな形状の部品間に配置されるシールドを形成することができる。
【0044】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態にかかる高周波モジュール1gについて、図14および図15を参照して説明する。なお、図14は高周波モジュール1gの断面図、図15は高周波モジュール1gのシールド膜6の上面および封止樹脂層4を除いた状態の平面図である。
【0045】
この実施形態にかかる高周波モジュール1gが、図1ないし図3を参照して説明した第1実施形態の高周波モジュール1aと異なるところは、図14および図15に示すように、シールド53が1つのシールド壁と、多層配線基板2の上面20aの端縁に形成された2つの端部導体17a、17bとで形成されている点である。その他の構成は、第1実施形態の高周波モジュール1aと同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0046】
この実施形態では、シールド53がシールド壁53aと、多層配線基板2の上面20aの端縁に形成された端部導体17a、17b(本発明の「第3端部導体」「第4端部導体」に相当する)とで構成される。シールド壁53aは、封止樹脂層4に形成された溝18にCuやAgなどを主成分とする導電性ペーストを充填することにより形成される。
【0047】
上記した実施形態によれば、シールド壁53aが1つの場合でも、多層配線基板2の上面20aの端縁に配置した2つの端部導体17a、17bと接続することで、封止樹脂層4を完全に分断することなく、第1部品3aと第2部品3bとの間のシールド53を構成することができる。
【0048】
(高周波モジュール1gの変形例)
図16に示す高周波モジュール1hのように、シールド54は、2つ以上のシールド壁と1つ以上の連結導体と、2つの端部導体とで構成されていてもよい。シールド54は、封止樹脂層4に形成された3つの溝12a、13a、15にCuやAgなどを主成分とする導電性ペーストを充填することにより配設された3つのシールド54a、54b、54cと2つの連結導体11cと2つの端部導体19a、19b(本発明の「第1端部導体」「第2端部導体」に相当する)とにより構成されている。
【0049】
このように構成することで、溝12a、13aを形成する際に、他の部分よりもレーザーによる損傷を受けやすい、多層配線基板2の上面20aの端縁に、端部導体19a、19bを配置することができるため、多層配線基板2へのダメージを防止することができる。
【0050】
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、上記した各実施形態や変形例の構成を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
また、本発明は、配線基板に実装された部品を被覆する封止樹脂層と、部品間のノイズの相互干渉を防止するシールド壁とを備える種々の高周波モジュールに適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1a~1h 高周波モジュール
2 多層配線基板(配線基板)
3a,3b 部品(第1部品、第2部品)
3c 第3部品
4 封止樹脂層
5、50~54 シールド(シールド部材)
5a、5b、50a~50c、52a~52d、53a、54a~54c シールド壁
5a1、5b1 屈曲部
11、11a~11e 連結導体
12、13、12a、13a、15、16a~16d、 溝
17a、17b 端部導体(第3端部導体、第4端部導体)
19a、19b 端部導体(第1端部導体、第2端部導体)
40a 第1領域
40b 第2領域
図1
図2
図3
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