(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20220726BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20220726BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20220726BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20220726BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20220726BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/0566
H01M50/342 101
H01M50/586
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2020137353
(22)【出願日】2020-08-17
(62)【分割の表示】P 2019504308の分割
【原出願日】2017-10-16
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2017041916
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】袖山 国雄
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-111105(JP,A)
【文献】特表2014-525666(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067510(WO,A1)
【文献】特開2010-061815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0587
H01M 10/0566
H01M 50/30
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、電解液と、該電極と該電解液とを収容する缶と、該電極と該缶との間に配されるインシュレーターとを備え、
該缶の缶底が、該缶の内部側に少なくとも1つの凹部を有し、
該インシュレーターが、
複数の穴部を有し、絶縁板とフィルタ部材とを備え、
該複数の穴部は、該少なくとも1つの凹部と部分的に対向している第1穴部及び/又は該少なくとも1つの凹部と重ならない第2穴部を含み、
該複数の穴部のピッチが該少なくとも1つの凹部の幅よりも大きい、二次電池。
【請求項2】
前記少なくとも1つの凹部と前記
第2穴部とが全く重ならない、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記複数の穴部は、前記第1穴部を含み、
前記少なくとも1つの凹部と前記
第1穴部との重なり率が13%以下である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記
複数の穴部の開口率が5%以上40%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記フィルタ部材が不織布である、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
円筒型である、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池と、
該二次電池の使用状態を制御する制御部と、
該制御部の指示に応じて該二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パック。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池と、
該二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する駆動力変換装置と、
該駆動力に応じて駆動する駆動部と
車両制御装置と、を備える、車両。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池を有する蓄電装置と、
該二次電池から電力が供給される電力消費装置と、
該二次電池からの該電力消費装置に対する電力供給を制御する制御装置と、
該二次電池を充電する発電装置と、を備える、蓄電システム。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池と、
該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池を備え、
該二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池に関し、より詳しくは、二次電池、電池パック、車両、蓄電システム、電動工具及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯通信端末などの電子機器、電気自動車などの自動車、風力発電などの新エネルギーシステム等の技術分野では、電池、特には二次電池の需要が急速に拡大している。
【0003】
例えば、電極組立体、前記電極組立体を受容する缶、前記缶の上段開口部を封入するキャップ組立体、前記電極組立体の下部と前記缶との間に位置する下絶縁板を含んでなるリチウム二次電池であって、前記下絶縁板には複数個のホールが5~80%の開口率で形成されることを特徴とするリチウム二次電池が提案されている(特許文献1を参照)。さらに電池缶の底の内面に溝を形成して内圧解放弁とし、電池缶に収納された巻回電極体の端面に絶縁板を備えた円筒型非水二次電池が提案されている。(特許文献2を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-27109号公報
【文献】国際公開2016/203708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2で提案された技術による二次電池では更なる電池特性の向上や信頼性の向上が図れないおそれがある。したがって、更なる、電池特性の向上や信頼性の向上をさせた二次電池が望まれているのが現状である。
【0006】
そこで、本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、優れた電池特性や優れた信頼性を有する二次電池、その二次電池を備える電池パック、車両、蓄電システム、電動工具及び電子機器を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述の目的を解決するために鋭意研究を行った結果、優れた電池特性や優れた信頼性を有する二次電池を開発することに成功し、本技術を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本技術では、電極と、電解液と、該電極と該電解液とを収容する缶と、該電極と該缶との間に配されるインシュレーターとを備え、該缶の缶底が少なくとも1つの凹部を有し、該インシュレーターが複数の穴部を有し、該複数の穴部は、該少なくとも1つの凹部と部分的に対向している第1穴部及び/又は該少なくとも1つの凹部と重ならない第2穴部を含み、該複数の穴部のピッチが該少なくとも1つの凹部の幅よりも大きい、二次電池を提供する。
【0009】
本技術において、前記少なくとも1つの凹部と前記第2穴部とが全く重ならない、二次電池でもよい。
本技術において、前記複数の穴部は、前記第1穴部を含み、前記少なくとも1つの凹部と前記第1穴部との重なり率が13%以下である、二次電池でもよい。
本技術において、前記複数の穴部の開口率が5%以上40%以下である、二次電池でもよい。
本技術において、電池容量が2.5Ah以上である、二次電池でもよい。
本技術において、前記インシュレーターが絶縁板とフィルタ部材とを備える、二次電池でもよい。
本技術において、前記フィルタ部材が不織布である、二次電池でもよい。
本技術において、前記インシュレーターが絶縁板を備える、二次電池でもよい。
本技術において、円筒型である、二次電池でもよい。
【0010】
さらに、本技術では、
本技術に係る二次電池と、該二次電池の使用状態を制御する制御部と、該制御部の指示に応じて該二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パックを提供し、
本技術に係る二次電池と、該二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する駆動力変換装置と、該駆動力に応じて駆動する駆動部と、車両制御装置と、を備える、車両を提供し、
本技術に係る二次電池を有する蓄電装置と、該二次電池から電力が供給される電力消費装置と、該二次電池からの該電力消費装置に対する電力供給を制御する制御装置と、該二次電池を充電する発電装置と、を備える、蓄電システムを提供し、
本技術に係る二次電池と、該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具を提供し、
本技術に係る二次電池を備え、該二次電池から電力の供給を受ける電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、電池特性や信頼性を向上させることができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果、または、それらと異質な効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本技術に係る第1の実施形態の二次電池及び二次電池に備えられるインシュレーターの構成例を示す図である。
【
図2】本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられる缶底の凹部の機能を説明するための図である。
【
図3】本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーターの機能を説明するための図である。
【
図4】本技術に係る第1の実施形態の二次電池における過放電時の缶底溶解を説明するための図である。
【
図5】本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーターの構成例を示す図である。
【
図6】本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーターが有する穴部の開口率と、落下試験合格率又は電圧低下不良率との関係を示すグラフである。
【
図7】本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーターが有する穴部の開口率を説明するための図である。
【
図8】本技術に係る第2の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーターの構成例を示す図である。
【
図9】本技術に係る第2の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーターが有する穴部の開口率と、落下試験合格率又は充放電サイクル容量維持率との関係を示すグラフである。
【
図10】本技術に係る実施例1~4の二次電池に備えられたインシュレーターの構成例を示す図である。
【
図11】本技術に係る実施例1及び4~6の二次電池に備えられたインシュレーターの構成例、並びに穴部と缶底の凹部との重なり率及び過放電からの漏液開始期間の結果を示す図である。
【
図12】インシュレーターに備えられる穴部と、缶底の凹部との重なり率を説明するための図である。
【
図13】比較例1の二次電池に備えられたインシュレーターの構成例を示す図である。
【
図14】本技術に係る二次電池の適用例(電池パック)の構成を表すブロック図である。
【
図15】本技術に係る二次電池の適用例(車両)の構成を表すブロック図である。
【
図16】本技術に係る二次電池の適用例(蓄電システム)の構成を表すブロック図である。
【
図17】本技術に係る二次電池の適用例(電動工具)の構成を表すブロック図である。
【
図18】本技術に係る二次電池の適用例(電子機器)の構成を表すブロック図である。
【
図19】本技術に係る二次電池の応用例1(プリント回路基板)の構成を表す図である。
【
図20】本技術に係る二次電池の応用例2(ユニバーサルクレジットカード)の構成の一例を表す図である。
【
図21】本技術に係る二次電池の応用例3(リストバンド型活動量計)の構成の一例を表す図である。
【
図22】本技術に係る二次電池の応用例3(リストバンド型活動量計)の構成の一例を表す図である。
【
図23】本技術に係る二次電池の応用例3(リストバンド型電子機器)の構成を表す図である。
【
図24】本技術に係る二次電池の応用例4(スマートウオッチ)の構成を表す分解斜視図である。
【
図25】本技術に係る二次電池の応用例4(バンド型電子機器)の内部構成の一部を表す図である。
【
図26】本技術に係る二次電池の応用例4(バンド型電子機器)の回路構成を示すブロック図である。
【
図27】本技術に係る二次電池の応用例5(眼鏡型端末)の構成の具体例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、図面については、同一又は同等の要素又は部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本技術の概要
2.第1の実施形態(二次電池の例1)
3.第2の実施形態(二次電池の例2)
4.二次電池の用途
4-1.二次電池の用途の概要
4-2.第3の実施形態(電池パックの例)
4-3.第4の実施形態(車両の例)
4-4.第5の実施形態(蓄電システムの例)
4-5.第6の実施形態(電動工具の例)
4-6.第7の実施形態(電子機器の例)
【0015】
<1.本技術の概要>
まず、本技術の概要について説明をする。
【0016】
本技術に係る二次電池は、電極と電解液とを収容する缶と、電極と缶との間に配されるインシュレーターとを備える。缶の底には、ガスを開放するガス開放機構を有する少なくとも1つの凹部が設置されて、インシュレーターには少なくとも1つの穴部が設置される。本技術に係る二次電池は、少なくとも1つの凹部の少なくとも一部と、少なくとも1つの穴部の少なくとも一部とが重ならない構造を有する。少なくとも1つの凹部の少なくとも一部と、少なくとも1つの穴部の少なくとも一部とが重ならない構造を有することで、過放電領域での缶の溶解を防止することができる。
【0017】
本技術に係る二次電池において、少なくとも1つの凹部と少なくとも1つの穴部との重なり率は、随意的な重なり率でよいが、13%以下であることが好ましい。この好ましい重なり率によって、過放電領域での缶の溶解を更に防止することができる。
【0018】
インシュレーターの少なくとも1つの穴部の開口率(穴部の合計面積/仮想円面積)は随意的な開口率でよいが、5%~40%であることが好ましい。この随意的な開口率によって、金属コンタミ侵入による電圧低下を防止することができ、部品強度低下による落下絶縁性低下を防止することができる。また、開口率を5~40%にすることで、金属コンタミ侵入による電圧低下を更に防止することができ、部品強度低下による落下絶縁性低下を更に防止することができ、そして、金属コンタミ侵入による電圧低下防止と部品強度低下による落下絶縁性低下防止とを両立することができる。なお、メッシュ構造を有した開口率が5~80%の範囲である絶縁板に関する技術(特許文献1)があるが、その技術は、絶縁板の形状、構成等を具体的に明らかにしていない。
【0019】
本技術を適用するうえで、二次電池の電池容量は任意でよいが、コンタミ(例えば、金属コンタミ)の耐久性及び捕集機能性の観点から、二次電池の電池容量が2.5Ah以上であることが好適な場合がある。
【0020】
本技術は以上の状況に基づくものであり、本技術によれば、二次電池の電池特性や信頼性の向上・維持を図ることができる。本技術に係る二次電池は、例えば円筒型のリチウムイオン二次電池であり、電池パック、車両、蓄電システム、電動工具、電子機器等に適用される。
【0021】
<2.第1の実施形態(二次電池の例1)>
図1~
図7を用いて、本技術に係る第1の実施形態(二次電池の例1)の二次電池について説明する。
【0022】
図1(A)は、円筒型非水二次電池500の一部破断の分解斜視図である。
図1(B)は、
図1(A)に示される部分Bを拡大した拡大断面図である。
【0023】
図1(A)及び(B)に示されるように、円筒型非水二次電池500において、円筒型非水二次電池500の下部(
図1(A)中の下方向)の第1電極2(
図1中では正極2)及び第2電極3(
図1中では負極3)と缶11(
図1中では負極缶11)の缶底11aとの間に、不織布12と絶縁板13とを合わせ込んで積層したインシュレーター1が配されている。
図1(B)に示されるように、インシュレーター1が有する穴部21の少なくとも一部と、凹部14の少なくとも一部とは重なっていない。すなわち、穴部21と凹部14とは完全に重なっておらず、
図1(B)中の左右方向で、穴部21の位置と凹部14の位置とは完全に一致していない。凹部14及びインシュレーター1の機能(役割)としては、不織布12で、電解液注液時に製造工程で混入するコンタミ(例えば、金属コンタミ)を捕集することができる。このことは、
図3を用いて詳細に後述する。また、インシュレーター1のもう一つの機能(役割)としては、絶縁板13によって、第1電極2及び第2電極と、缶11とを絶縁することができる。絶縁板13は、電解液注液時に製造工程で混入するコンタミ(例えば金属コンタミ)を不織布12で捕集するために、絶縁板13は、複数の穴部21を有する。
【0024】
絶縁板13は、絶縁性機能を有すれば任意の材料でよいが、PP、PET、PPS等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。絶縁板13が熱可塑性樹脂であると、同じ熱可塑性樹脂である不織布12と溶着することができる。
【0025】
不織布12は、ポリエステル、PPS、PBT等の繊維からなり、最大孔径が20~120μm、目付量が25~150g/m2であることが好ましい。なお、不織布12は、第1電極2及び第2電極3の巻回電極体の端面の凹凸に密着して支持できるように、柔軟性のあるものが好ましい。コンタミを捕集する機能を有すれば、不織布12以外のフィルタ部材を用いてもよい。
【0026】
円筒型非水二次電池500は、第2電極3(負極3)の容量が、電極反応物質であるリチウム(Li)又はリチウムイオン(Li+)の吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。円筒型非水二次電池500は、ほぼ中空円柱状の缶11の内部に、一対の帯状の第1電極2と帯状の第2電極3とがセパレーター4を介して積層し巻回された巻回電極体を有している。缶11は、ニッケル(Ni)のめっき15がされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。缶11の内部には、電解液が注入され、セパレーター4に含浸されている。また、巻回電極体を挟むように巻回周面に対して垂直に、上記のインシュレーター1と絶縁体10とが配置されている。
【0027】
缶11の開放端部には、第1電極トップカバー8と、この第1電極トップカバー8の内側に設けられた安全弁6等が、ガスケット9を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、缶11の内部は密閉されている。第1電極トップカバー8は、例えば、缶11と同様の材料により構成されている。安全弁6は、第1電極トップカバー8と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板が反転して第1電極トップカバー8と巻回電極体との電気的接続を切断するようになっている。ガスケット9は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0028】
第1電極2には第1電極タブ7(
図1中では正極タブ7)が電気的に接続され、第2電極3には、第2電極タブ5(
図1中では負極タブ5)が電気的に接続されている。第1電極2(正極2)は、第1電極集電体19(
図1中では正極集電体19)と、第1電極集電体19の両面に設けられた第1電極活物質層18(
図1中では正極活物質層18)とから構成されている。一方、第2電極3(負極3)は、第2電極集電体16(
図1中では負極集電体16)と、第2電極集電体16の片面又は両面に設けられた第2電極活物質層17(
図1中では負極活物質層17)とから構成されている。
【0029】
第1電極集電体19は、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。第1電極活物質層18は、例えば、第1電極活物質(正極活物質)として、リチウム(Li)又はリチウムイオン(Li+)を吸蔵および放出することが可能な第1電極材料(正極材料)の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。第1電極材料(正極材料)としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が挙げられる。
【0030】
第2電極集電体16は、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。第2電極活物質層17は、例えば、第2電極活物質(負極活物質)として、リチウム(Li)又はリチウムイオン(Li+)を吸蔵および放出することが可能な第2電極材料(負極材料)の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。第2電極材料(負極材料)としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。
【0031】
図1中では、本技術に係る第1の実施形態の二次電池は円筒型非水二次電池500であるが、必要に応じて、本技術に係る第1の実施形態の二次電池は、巻回電極体をフィルム状の外装部材の内部に収容した電池、いわゆるラミネートフィルム型の二次電池でもよく、例えば、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池が挙げられる。
【0032】
図2は、缶底11aの凹部14の機能を説明するための図である。
図2(A)は、Bottom部(缶底)に凹部を有さない円筒型非水二次電池600の断面図であり、
図2(B)は、Bottom部(缶底)に凹部を有する円筒型非水二次電池501の断面図である。
図2(C)は、凹部14が開裂した後の缶底11aを示す側面図である。
図2(D)は、凹部14が開裂する前の缶底11aを示す上面図であり、缶底11aと凹部14との配置関係の一例を示す図である。凹部14は、プレスして作製された場合は、刻印と称される場合がある。
【0033】
図2に示されるように、近年、高容量、高出力に伴い燃焼試験時の電極からのガス発生量が増加し(電池600の内部のガスの流れは矢印R、電池501の内部のガスの流れは矢印W)、さらに、電極中心穴を小径化することで電池600又は電池501のTOP部へのガス逃げが減少し(電池600では、G~Iの矢印方向のガス逃げ、電池501ではS~Uの矢印方向のガス逃げ)、Bottom部(缶底)のガス圧力が高まる。電池600では、矢印O及びP方向にガスが逃げて電池破裂を引き起こす。対策として、ガスを開放するガス開放機構を有する凹部14(缶底刻印でもよい。)を、電池501の金属ケースの缶のBottom部(缶底)に設置する。
図2(C)に示されるように、凹部14は開裂して、矢印V方向にガスが放出される。凹部14は、缶底を開くために、例えば、円形状、又は円形状に類似した形で、缶底の板厚よりも薄い板厚で構成されてよい。
図1に示されるように、缶底11aの厚みがQ1のときに、凹部14の厚みはQ1より薄い厚みのQ2となる。凹部14は、開裂することができれば、分割されずに1つで構成されてもよいし、2分割以上されて、2つの以上の凹部から構成されてもよい。
【0034】
しかしながら、缶底11aに凹部14を有して、凹部14と、インシュレーター1が備える絶縁板13の穴部21とが完全に重なった場合に、電池過放電時に缶11が溶解することがある。そこで、本技術に係る二次電池は、インシュレーターの機能である金属コンタミ捕集性と絶縁性との優れた性能を維持しつつ、上記で説明をしたように、過放電時に缶11又は缶底11a、特には、凹部14が溶解しない機能を有するインシュレーターを備える。
【0035】
図3は、インシュレーター1の機能を説明するための図である。電解液注液は、W1~W2の方向に流れて絶縁板13の穴部21を通過して、さらに、不織布12を通過して、W3~W4の方向に流れる。不織布12は、コンタミ(金属コンタミ)を捕集することができる。
【0036】
図4(A)は、電池過放電時の正極電位、負極電位及びセル電圧を示すグラフであり、
図4(B)は、缶底11aの溶解を説明するための図である。
【0037】
図4(A)に示されるように、電池が過放電状態になると、負極電位が鉄の溶解電位に達する。そのため、
図4(B)に示されるように、絶縁体131と不織布121とを備えるインシュレーター111が有する穴部21と凹部14とは完全に重なっており、電解液X1~X5の流れにしたがって、缶11(
図4(B)中では負極缶)は主成分が鉄であるために電池内部から溶解し始める。絶縁体131は材料的には絶縁体13と同様であり、不織布121は材料的には不織布12と同様である。上述したように、ガスを開放するガス開放機構を有する凹部14(缶底刻印)は、円形状、又は円形状に類似した形で、缶底11aの板厚よりも薄い板厚で構成されている。この薄肉部に、高温環境で電解液が供給され続けると鉄溶解が促進されて、凹部14(缶底刻印)の薄肉部に穴空きが発生し、最悪の場合、電解液が漏液することがある。
【0038】
電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、鎖状の炭酸エステルを混合して用いてもよい。更にまた、溶媒に、2,4-ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含んでもよい。
【0039】
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、ジフルオロ[オキソラト-O,O']ホウ酸リチウム、リチウムビスオキサレートボレート、あるいはLiBrなどが挙げられる。
【0040】
図5(A)及び(B)は、本技術に係る第1の実施形態の二次電池に備えられるインシュレーター1A及び1Bを示す上面図である。
図5(A)及び(B)には中心穴20と穴部21とが示されている。穴部21は、中心穴20以外の全ての穴部がいう。そして穴部21は中心穴20と対応させて、周辺穴と称する場合がある。
【0041】
図5(A)及び(B)に示されるように、凹部14(缶底刻印)と、インシュレーター1A又は1Bがそれぞれ有する絶縁板13A又は13Bの穴部21とは完全に重なることはない。より詳しくは、
図5(A)に示されるインシュレーター1Aにおいては、凹部14(缶底刻印)の少なくとも一部と、インシュレーター1Aが有する絶縁板13Aの穴部21の少なくとも一部とは重ならない。
図5(B)に示されるインシュレーター1Bにおいては、凹部14(缶底刻印)と、インシュレーター1Bが有する絶縁板13Bの穴部21とは完全に重ならない。インシュレーター1A及び1Bによれば、電池過放電時に発生していた凹部14(缶底刻印)の電解液による溶解を防止することができる。
【0042】
図6は、本技術に係る第1の実施形態の二次電池500に備えられるインシュレーター1が有する穴部21の開口率と、落下試験合格率又は電圧低下不良率との関係を示すグラフである。電池の落下試験は、開回路電圧が4.4±0.05Vの電池を、10mの高さから、30回自由落下させた時に、電池電圧が、3.0V以上であることを合格条件とする。試験数は100ケとした。電圧低下の試験は、いわゆるいじわる試験のひとつであり、電池の組立工程であらかじめ電池缶の底に微小金属粉を入れた状態で電池を組立て完成させた後、開回路電圧4.2±0.05Vに充電し60℃雰囲気で10日経過後の電圧降下が0.2Vを超えたものを不合格とした。試験数100本とした。なお、これはインシュレーター1の金属コンタミの捕集性能を疑似的に評価する試験である。
【0043】
インシュレーター1の機能の一つは金属コンタミの捕集で、絶縁板13の穴部21の開口率を小さくすると、電解液の注液時における、金属コンタミの捕集性がやや低下する場合がある。金属コンタミの捕集性がやや低下すると、金属コンタミが電極内部に侵入し、完成電池で電圧低下不良が発生するおそれがある。
図6に示されるように、開口率5%未満になると金属コンタミの捕集性がやや低下し、電圧低下不良率がやや増加する。
【0044】
また、インシュレーター1の別の機能として、缶11と、第1電極2及び第2電極3との絶縁をする機能(役割)がある。穴部21の開口率が大きくなると部品強度がやや低下し絶縁効果がやや低下する場合がある。
図6に示される、電池の落下試験の結果においては、開口率が40%以上になると電池の落下試験の合格率がやや低下する。
【0045】
したがって、インシュレーター1の絶縁板13の穴部の開口率は、随意的な開口率でよいが、5~40%にすることが好適である。この好適な態様により、金属コンタミの捕集性と絶縁耐久性の低下防止とを両立することができる。
【0046】
図7を用いて、インシュレーター1の開口率を説明する。
図7(A)には、絶縁板13Cと、仮想円22と、穴部21と、中心穴20とが示され、
図7(B)には、絶縁板13Dと、仮想円22と、穴部21と、中心穴20とが示されている。開口率は以下の式1により求められる。
式1:開口率=穴部21の合計面積/仮想円22の面積;
なお、絶縁板13C及び13Dは、少なくとも1つの穴部21を有するが、金属コンタミを捕集する不織布(
図7中では不図示)は穴部を有さない。また、中心穴20の面積は、穴部21の合計面積からは除かれる。
図7(A)に示されるように、仮想円22は絶縁板13Cの外周形状と一致している場合もあるし、
図7(B)に示されるように、絶縁板13Dの外周の一部に切り欠きがある形状となった場合には仮想円は絶縁板13Dに対し外接する円が仮想円22となる。
【0047】
上記で述べたように、本技術に係る第1の実施形態の二次電池500の放電容量は随意の容量でよいが、2.5Ah以上であることが好適な場合がある。
【0048】
放電容量が2.5Ah以上の電池では、電極のセパレーターの厚みが薄くなるため、金属コンタミの電極内部への侵入に対する耐性が低い場合がある。
【0049】
電池の容量が2.5Ah未満である電池では、インシュレーター1での金属コンタミの捕集機能がやや低くても完成電池での電圧降下不良率が低い場合がある。したがって、放電容量が2.5Ah以上の場合には上記インシュレーター1に更にフィルタ部材を備えることが望ましい場合がある。
【0050】
<3.第2の実施形態(二次電池の例2)>
図8~
図9を用いて、本技術に係る第2の実施形態(二次電池の例2)の二次電池について説明する。なお、本技術に係る第2の実施形態の二次電池について下記に述べること以外は、上記で述べた本技術に係る第1の実施形態の二次電池の内容が、本技術に係る第2の実施形態の二次電池にもそのまま適用され得る。
【0051】
図8は、本技術に係る第2の実施形態の二次電池の一部の拡大断面図である。
図8に示されるように、本技術に係る第2の実施形態の二次電池は、絶縁板23からなるインシュレーター24を備える。本技術に係る第2の実施形態の二次電池は、コンタミ発生を極力抑えた仕様を有するか、及び/又は、セパレーターの厚みが厚くコンタミ耐性(例えば金属コンタミ耐性)が強い仕様を有する。
【0052】
図9は、インシュレーター24が備える穴部21の開口率と、落下試験合格率又は充放電サイクル容量維持率との関係を示すグラフである。電池の落下試験は、開回路電圧4.4±0.05Vの電池を、高さ10mから、30回自由落下させた後に、開回路電圧が、3.0V以上であることを合格条件とする。合格した本数/試験数×100を合格率(%)とした。試験数は100ケとした。サイクル特性を調べる場合には、電池状態を安定化させるために常温環境中(23℃)で二次電池を1サイクル充放電させたのち、同環境中で二次電池をさらに1サイクル充放電させて放電容量を測定した。続いて、同環境中でサイクル数の合計が1000サイクルに到達するまで充放電を繰り返して放電容量を測定した。この結果から、充放電サイクル容量維持率(%)=(1000サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。充電時には、0.2Cの電流で上限電圧4.2Vまで定電流定電圧充電し、さらに定電圧で電流が0.05Cに到達するまで充電した。放電時には、0.2Cの電流で終止電圧2.5Vに到達するまで定電流放電した。なお、「0.2C」および「0.05C」とは、それぞれ電池容量(理論容量)を5時間および20時間で放電しきる電流値である。例えば2.5Ahの電池容量の電池の場合には1Cの電流値は2.5A、0.2Cの電流値は0.5Aである。
【0053】
インシュレーター24は、不織布等のフィルタ部材がないので、電解液の注液性が向上し、さらに、インシュレーター24の穴部21の開口率が大きいと、第1電極2及び第2電極3への電解液含浸性が向上し、充放電サイクル特性が向上する。
図9に示されるように、インシュレーター24の穴部21の開口率は随意的な開口率でよいが、開口率が15%以上であれば、充放電を1000サイクル実施したときの容量維持率を90%以上とすることができる。
【0054】
<4.二次電池の用途>
二次電池の用途について下記に詳細に説明する。
【0055】
<4-1.二次電池の用途の概要>
【0056】
二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能な機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として使用される二次電池は、主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。二次電池を補助電源として利用する場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
【0057】
二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話(例えばスマートフォンなど)、携帯情報端末(PersonalDigital Assistants:PDA)、撮像装置(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなど)、オーディオ機器(例えばポータブルオーディオプレイヤー)、ゲーム機器、コードレスフォン子機、電子書籍、電子辞書、ラジオ、ヘッドホン、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、照明機器、玩具、医療機器、ロボットなどの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに用いられる電池パックである。ペースメーカーおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などに用いられる車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの蓄電システムである。勿論、上記以外の用途でもよい。
【0058】
なかでも、二次電池は、電池パック、車両、蓄電システム、電動工具、及び電子機器に適用されることが有効である。優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることで、有効に性能向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源であり、いわゆる組電池などである。車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。蓄電システムは、例えば、住宅用の蓄電システムが挙げられ、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。蓄電システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して電力消費装置、例えば、家庭用の電気製品が使用可能になる。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
【0059】
ここで、二次電池のいくつかの適用例について具体的に説明する。なお、以下で説明する各適用例の構成はあくまで一例であるため、適宜変更可能である。
【0060】
<4-2.第3の実施形態(電池パックの例)>
本技術に係る第3の実施形態の電池パックは、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池と、二次電池の使用状態を制御する制御部と、制御部の指示に応じて、二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パックである。本技術に係る第3の実施形態の電池パックは、優れた電池特性や優れた信頼性を有する本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池を備えているので、電池パックの性能や信頼性の向上につながる。
【0061】
以下に、本技術に係る第3の実施形態の電池パックについて、図面を参照しながら説明する。
【0062】
図14は、電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、プラスチック材料などにより形成された筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。
【0063】
制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。電源62は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源62は、例えば、2以上の二次電池を含む組電池であり、それらの二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6つの二次電池を含んでいる。
【0064】
スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオード(いずれも図示せず)などを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
【0065】
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものである。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力するようになっている。この温度測定結果は、例えば、異常発熱時において制御部61が充放電制御を行う場合や、制御部61が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定して、その測定電圧をアナログ-デジタル変換して制御部61に供給するものである。
【0066】
スイッチ制御部67は、電流測定部64および電圧検出部66から入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御するものである。
【0067】
このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(充電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に充電電流が流れないように制御する。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れた場合に、充電電流を遮断するようになっている。
【0068】
また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(放電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に放電電流が流れないようにする。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れた場合に、放電電流を遮断するようになっている。
【0069】
なお、二次電池では、例えば、過充電検出電圧は4.2V±0.05Vであり、過放電検出電圧は2.4V±0.1Vである。
【0070】
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどである。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値や、製造工程段階において測定された二次電池の情報(例えば初期状態の内部抵抗)などが記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量を記憶させておけば、制御部61が残容量などの情報を把握可能になる。
【0071】
温度検出素子69は、電源62の温度を測定すると共にその測定結果を制御部61に出力するものであり、例えば、サーミスタなどである。
【0072】
正極端子71および負極端子72は、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えばノート型のパーソナルコンピュータなど)や、電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)などに接続される端子である。電源62の充放電は、正極端子71および負極端子72を介して行われる。
【0073】
<4-3.第4の実施形態(車両の例)>
本技術に係る第4の実施形態の車両は、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池と、二次電池から供給された電力を駆動力に変換する駆動力変換装置と、駆動力に応じて駆動する駆動部と、車両制御装置と、を備える、車両である。本技術に係る第4の実施形態の車両は、優れた電池特性や優れた信頼性を有する本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池を備えているので、車両の性能や信頼性の向上につながる。
【0074】
以下に、本技術に係る第4の実施形態の車両について、
図15を参照しながら説明する。
【0075】
図15に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッドの車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0076】
このハイブリッド車両7200には、エンジン7201、発電機7202、電力駆動力変換装置7203、駆動輪7204a、駆動輪7204b、車輪7205a、車輪7205b、バッテリー7208、車両制御装置7209、各種センサ7210、充電口7211が搭載されている。バッテリー7208に対して、蓄電装置(不図示)が適用される。
【0077】
ハイブリッド車両7200は、電力駆動力変換装置7203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置7203の一例は、モータである。バッテリー7208の電力によって電力駆動力変換装置7203が作動し、この電力駆動力変換装置7203の回転力が駆動輪7204a、7204bに伝達される。なお、必要な個所に直流-交流(DC-AC)あるいは逆変換(AC-DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置7203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ7210は、車両制御装置7209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ7210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0078】
エンジン7201の回転力は発電機7202に伝えられ、その回転力によって発電機7202により生成された電力をバッテリー7208に蓄積することが可能である。
【0079】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置7203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置7203により生成された回生電力がバッテリー7208に蓄積される。
【0080】
バッテリー7208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口7211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0081】
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0082】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
【0083】
<4-4.第5の実施形態(蓄電システムの例)>
本技術に係る第5の実施形態の蓄電システムは、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池を有する蓄電装置と、二次電池から電力が供給される電力消費装置と、二次電池からの該電力消費装置に対する電力供給を制御する制御装置と、二次電池を充電する発電装置と、を備える、蓄電システムである。本技術に係る第5の実施形態の蓄電システムは、優れた電池特性や優れた信頼性を有する本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池を備えているので、蓄電システムの性能や信頼性の向上につながる。
【0084】
以下に、本技術に係る第5の実施形態の蓄電システムの1例である住宅用の蓄電システムについて、
図16を参照しながら説明する。
【0085】
例えば、住宅9001用の蓄電システム9100においては、火力発電9002a、原子力発電9002b、水力発電9002c等の集中型電力系統9002から電力網9009、情報網9012、スマートメータ9007、パワーハブ9008等を介し、電力が蓄電装置9003に供給される。これと共に、家庭内発電装置9004等の独立電源から電力が蓄電装置9003に供給される。蓄電装置9003に供給された電力が蓄電される。蓄電装置9003を使用して、住宅9001で使用する電力が給電される。住宅9001に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0086】
住宅9001には、発電装置9004、電力消費装置9005、蓄電装置9003、各装置を制御する制御装置9010、スマートメータ9007、各種情報を取得するセンサ9011が設けられている。各装置は、電力網9009および情報網9012によって接続されている。発電装置9004として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置9005および/または蓄電装置9003に供給される。電力消費装置9005は、冷蔵庫9005a、空調装置9005b、テレビジョン受信機9005c、風呂9005d等である。さらに、電力消費装置9005には、電動車両9006が含まれる。電動車両9006は、電気自動車9006a、ハイブリッドカー9006b、電気バイク9006cである。
【0087】
蓄電装置9003に対して、上述した本開示のバッテリユニットが適用される。蓄電装置9003は、二次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン電池によって構成されている。リチウムイオン電池は、定置型であっても、電動車両9006で使用されるものでも良い。スマートメータ9007は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網9009は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせてもよい。
【0088】
各種のセンサ9011は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ9011により取得された情報は、制御装置9010に送信される。センサ9011からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置9005を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置9010は、住宅9001に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0089】
パワーハブ9008によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置9010と接続される情報網9012の通信方式としては、UART(Univer
sal AsynchronousReceiver-Transmitter:非同期シ
リアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth(登録商標)方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Insti
tute ofElectrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal AreaNetwork) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0090】
制御装置9010は、外部のサーバ9013と接続されている。このサーバ9013は、住宅9001、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていてもよい。サーバ9013が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)等に、表示されてもよい。
【0091】
各部を制御する制御装置9010は、CPU、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置9003に格納されている。制御装置9010は、蓄電装置9003、家庭内発電装置9004、電力消費装置9005、各種センサ9011、サーバ9013と情報網9012により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていてもよい。
【0092】
以上のように、電力が火力9002a、原子力9002b、水力9002c等の集中型電力系統9002のみならず、家庭内発電装置9004(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置9003に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置9004の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置9003に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置9003に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置9003によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0093】
なお、この例では、制御装置9010が蓄電装置9003内に格納される例を説明したが、スマートメータ9007内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム9100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0094】
<4-5.第6の実施形態(電動工具の例)>
本技術に係る第6の実施形態の電動工具は、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池と、二次電池から電力が供給される可動部とを備える、電動工具である。本技術に係る第6の実施形態の電動工具は、優れた電池特性や優れた信頼性を有する本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は第2の実施形態の二次電池を備えているので、電動工具の性能や信頼性の向上につながる。
【0095】
以下に、本技術に係る第6の実施形態の電動工具について、
図17を参照しながら説明する。
【0096】
図17は、電動工具のブロック構成を表している。この電動工具は、例えば、電動ドリルであり、プラスチック材料などにより形成された工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
【0097】
制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この制御部99は、図示しない動作スイッチの操作に応じて、電源100からドリル部101に電力を供給するようになっている。
【0098】
<4-6.第7の実施形態(電子機器の例)>
本技術に係る第7の実施形態の電子機器は、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池を備え、二次電池から電力の供給を受ける、電子機器である。上述したように、本技術に係る第7の実施形態の電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。本技術に係る第7の実施形態の電子機器は、優れた電池特性や優れた信頼性を有する本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池を備えているので、電子機器の性能や信頼性の向上につながる。
【0099】
以下に、本技術に係る第7の実施形態の電子機器について、
図18を参照しながら説明する。
【0100】
本技術の第7の実施形態に係る電子機器400の構成の一例について説明する。電子機器400は、電子機器本体の電子回路401と、電池パック300とを備える。電池パック300は、正極端子331aおよび負極端子331bを介して電子回路401に対して電気的に接続されている。電子機器400は、例えば、ユーザにより電池パック300を着脱自在な構成を有している。なお、電子機器400の構成はこれに限定されるものではなく、ユーザにより電池パック300を電子機器400から取り外しできないように、電池パック300が電子機器400内に内蔵されている構成を有していてもよい。
【0101】
電池パック300の充電時には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、充電器(図示せず)の正極端子、負極端子に接続される。一方、電池パック300の放電時(電子機器400の使用時)には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、電子回路401の正極端子、負極端子に接続される。
【0102】
電子機器400としては、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話(例えばスマートフォンなど)、携帯情報端末(PDA)、撮像装置(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなど)、オーディオ機器(例えばポータブルオーディオプレイヤー)、ゲーム機器、コードレスフォン子機、電子書籍、電子辞書、ラジオ、ヘッドホン、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、照明機器、玩具、医療機器、ロボットなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体例として、頭部装着型ディスプレイ及びバンド型電子機器を説明すると、頭部装着型ディスプレイは、画像表示装置、画像表示装置を観察者の頭部に装着するための装着装置、及び画像表示装置を装着装置に取り付けるための取付け部材を備え、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池を駆動用の電源とした電子機器であり、バンド型電子機器は、バンド状に連結される複数のセグメントと、複数のセグメント内に配置される複数の電子部品と、複数のセグメント内の複数の電子部品を接続し、少なくとも1つのセグメント内に蛇行形状で配置されるフレキシブル回路基板と、を備え、上記電子部品として、例えば、本技術に係る第1の実施形態の二次電池又は本技術に係る第2の実施形態の二次電池が、上記セグメントに配される電子機器である。
【0103】
電子回路401は、例えば、CPU、周辺ロジック部、インターフェース部および記憶部などを備え、電子機器400の全体を制御する。
【0104】
電池パック300は、組電池301と、充放電回路302とを備える。組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続して構成されている。複数の二次電池301aは、例えばn並列m直列(n、mは正の整数)に接続される。なお、
図6では、6つの二次電池301aが2並列3直列(2P3S)に接続された例が示されている。二次電池301aとしては、第1の実施形態または第2の実施形態に係る二次電池が用いられる。
【0105】
充電時には、充放電回路302は、組電池301に対する充電を制御する。一方、放電時(すなわち電子機器400の使用時)には、充放電回路302は、電子機器400に対する放電を制御する。
【実施例】
【0106】
以下に、実施例を挙げて、本技術の効果について具体的に説明をする。なお、本技術の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0107】
図10は、本技術に係る実施例1~4の二次電池に備えられたインシュレーター1a~1dの上面図であり、電池内での前記インシュレーターの穴部21と凹部14(缶底刻印)との位置関係を示した図である。説明の便宜上、凹部14(缶底刻印)を実線で示しているが、実際には、凹部14(缶底刻印)は穴部21以外のところでは隠れて見えない状態である。
【0108】
<実施例1>
図10(A-1)に示されるように、実施例1の二次電池はインシュレーター1aを備える。インシュレーター1aは、絶縁板13aと不織布(不図示)とを備え、絶縁板13aは、穴部21と中心穴20とを有する。絶縁板13aの穴部21の開口率は、15.5%であった。なお、実施例1の二次電池に備えられたインシュレーター1aは不織布等のフィルタ部材を備えない形態でもよい。
【0109】
図10(A-2)に示されるように、インシュレーター1a(絶縁板13a)の12個の穴部21と凹部14(缶底刻印)とは重なる部分が無かった。
【0110】
<実施例2>
図10(B-1)に示されるように、実施例2の二次電池はインシュレーター1bを備える。インシュレーター1bは、絶縁板13bと不織布(不図示)とを備え、絶縁板13bは、穴部21と中心穴20とを有する。絶縁板13bの穴部21の開口率は、7.7%であった。なお、実施例2の二次電池に備えられたインシュレーター1bは不織布等のフィルタ部材を備えない形態であってもよい。
【0111】
図10(B-2)に示されるように、インシュレーター1b(絶縁板13b)の24個の穴部21と凹部14(缶底刻印)とは重なる部分が無かった。実施例2の二次電池は、穴部21の径を小さくした。コンタミ(例えば、金属コンタミ)は数十μmであるため、穴部21を小さくしてもコンタミを捕集することができた。
【0112】
<実施例3>
図10(C-1)に示されるように、実施例3の二次電池はインシュレーター1cを備える。インシュレーター1cは、絶縁板13cと不織布(不図示)とを備え、絶縁板13cは、穴部21と中心穴20とを有する。絶縁板13cの穴部21の開口率は、34.8%であった。なお、実施例3の二次電池に備えられたインシュレーター1cは不織布等のフィルタ部材を備えない形態であってもよい。
【0113】
図10(C-2)に示されるように、インシュレーター1c(絶縁板13c)の6個の穴部21と凹部14(缶底刻印)とは重なる部分が無かった。実施例3の二次電池は、セパレーターが薄い、高容量に適した仕様に適したものである。絶縁板13cの開口率を大きくして、コンタミ(例えば、金属コンタミ)の捕集能力を高めることによって、セパレーターが薄く、高出力及び高容量の電池であっても電圧低下不良率を悪化させなかった。
【0114】
<実施例4>
図10(D-1)に示されるように、実施例4の二次電池はインシュレーター1dを備える。インシュレーター1dは、絶縁板13dと不織布(不図示)とを備え、絶縁板13dは、穴部21と中心穴20とを有する。絶縁板13dの穴部21の開口率は、15.5%であった。なお、実施例4の二次電池に備えられたインシュレーター1dは不織布等のフィルタ部材を備えない形態でもよい。
【0115】
図10(D-2)に示されるように、インシュレーター1d(絶縁板13d)の11個の穴部21のそれぞれの穴部の少なくとも一部と凹部14(缶底刻印)の少なくとも一部とが重なった。
【0116】
(穴部と凹部との重なり率及び漏液開始期間の評価)
本技術に係る実施例1及び4の二次電池、更に、本技術に係る実施例5及び6の二次電池を加えて、穴部と凹部との重なり率及び漏液開始期間の評価を実施した。
【0117】
図11に、実施例1及び4~6の二次電池に備えられたインシュレーター1a及び1d~1fの上面図、および、電池内での前記インシュレーター穴部21と凹部14(缶底刻印)との位置関係を示した図、穴部21と凹部14との重なり率の評価結果及び過放電からの漏液開始期間の評価結果を示す。説明の便宜上、凹部14(缶底刻印)を実線で示しているが、実際には、凹部14(缶底刻印)が穴部21以外では隠れて見えない状態である。
【0118】
<実施例5>
図11に示されるように、実施例5の二次電池はインシュレーター1eを備える。インシュレーター1eは、絶縁板13eと不織布(不図示)とを備え、絶縁板13eは、穴部21と中心穴20とを有する。絶縁板13eの穴部21の開口率は15.5%であった。なお、実施例5の二次電池に備えられたインシュレーター1eは不織布等のフィルタ部材を備えない形態でもよい。
【0119】
<実施例6>
図11に示されるように、実施例6の二次電池はインシュレーター1fを備える。インシュレーター1fは、絶縁板13fと不織布(不図示)とを備え、絶縁板13fは、穴部21と中心穴20とを有する。絶縁板13fの穴部21の開口率は15.5%であった。なお、実施例6の二次電池に備えられたインシュレーター1fは不織布等のフィルタ部材を備えない形態でもよい。
【0120】
(穴部と凹部との重なり率の評価方法及び結果)
【0121】
図12に示されるように、凹部14を、分割されていない略円形状の刻印とし、刻印全体の角度を349度とした。
図12に示されるように、1周分の360度から349度を引いた11度が、刻印されていない部分141である。なお、凹部14の刻印角度は349度に限定されるものではなく例えば270度や360度にしても良いし、凹部14を例えば2分割した形態にしても良い。内圧解放弁としての機能を十分に発揮できるように適宜設計を変えることも可能である。
【0122】
実施例1及び4~6のインシュレーター1a及び1d~1fのそれぞれが有する12個の穴部21のうち、それぞれの穴部が刻印と重なっている部分の刻印角度を求めて、それぞれの穴部の刻印角度を合算して、349度で除して、穴部と凹部(刻印)との重なり率を求めた。なお、ここでは非接触式3D形状測定器(キーエンス製VR-3000)を用いることで上記の角度を求めた。
【0123】
・実施例1のインシュレーター1aでは、12個の穴部21は凹部14(刻印)と重なる部分が無かったので、穴部と凹部との重なり率は0%であった。
・実施例4のインシュレーター1dでは、12個の穴部21のうち、5個の穴部21が凹部14(刻印)と重なっている部分の刻印角度が9度、6個の穴部21が凹部14(刻印)と重なっている部分の刻印角度が21度であったため、
(9度×5ケ+21度×6ケ)/349度×100=49.0と計算されて、穴部と凹部との重なり率は49.0%であった。
・実施例5のインシュレーター1eでは、12個の穴部21のうち、5個の穴部21が凹部14(刻印)と重なっている部分の刻印角度が9度、6個の穴部21が凹部14(刻印)と重なっている部分の刻印角度が11度であったため、
(9度×5ケ+11度×6ケ)/349度×100=31.8と計算されて、穴部と凹部との重なり率は31.8%であった。
・実施例6のインシュレーター1fでは、12個の穴部21のうち、5個の穴部21が凹部14(刻印)と重なっている部分の刻印角度が9度であったため、
(9度×5ケ)/349度×100=12.9と計算されて、穴部と凹部との重なり率は12.9%であった。
【0124】
(漏液開始期間の評価方法及び結果)
電池が過放電状態になった後の漏液開始までの期間を調べる方法は以下のとおりである。まずサイクル特性と調べた場合と同様の手順により1サイクルの充放電をさせた。その後に、1kΩのセメント抵抗器を正極と負極に接続して強制的に放電させた状態で環境温度45度の恒温槽の中で800時間保存した。その後、前記抵抗器を電池から取り外して開回路電圧を測定し0.2V以下になったことを確認した。次に、所定の温度条件の恒温槽の中に電池の缶底が下向きになる状態にホルダーで支えて保存した。保存開始してから定期的に電池の缶底の状態を観察し、赤茶色の錆が目視確認できた時点迄の時間を計測した。これは過放電状態で缶底の溶解が進行して穴が開き、内部の電解液が漏れて赤錆となる為である。ここでの温度条件は、35℃、45℃、60℃の3水準であった。各水準の電池本数は5本とした。これらの保存試験の結果を用いて、アレニウスの式から常温(23℃)での漏液開始期間を推測することができた。
【0125】
・実施例1の二次電池の過放電からの漏液開始期間(室温25℃)は3年であった。
・実施例4の二次電池の過放電からの漏液開始期間(室温25℃)は0.4年であった。
・実施例5の二次電池の過放電からの漏液開始期間(室温25℃)は1年であった。
・実施例6の二次電池の過放電からの漏液開始期間(室温25℃)は2年であった。
【0126】
(考察)
一般的には、一旦過放電状態になると正常な充放電ができず、製品として電池が使用できなくなる。さらにその状態が続くと缶底刻印の溶解が進んで電池の電解液などが漏れ出てしまう場合がある。しかし、使用できなくなった日(過放電状態)から、2年以内は過放電状態になってしまった後においても電池の電解液などが電池の外に漏れ出ないことが電子機器の安全上は望ましい。
図11の実施例1及び6に示されるように、穴部21と凹部14(刻印)との重なり率が13%以下であれば、漏液開始期間は2年以上となることが分かった。穴部21の少なくとも一部と凹部14(刻印)の少なくとも一部とが重ならなければさらに漏液開始期間は長くなり3年となることが分かった。重なり率は随意的な重なり率でよいが、13%以下であることが好適であることが確認された。
【0127】
<比較例1>
図13に、比較例1の二次電池に備えられたインシュレーター111aの上面図、及び電池内での前記インシュレーター穴部21と凹部14(缶底刻印)との位置関係を示す。説明の便宜上、凹部14(缶底刻印)を実線で示しているが、実際には、凹部14(缶底刻印)が穴部21以外では隠れて見えない状態である。
【0128】
比較例1の二次電池はインシュレーター111aを備えた。インシュレーター111aは、絶縁板131aと不織布(不図示)とを備え、絶縁板131aは、穴部21と中心穴20とを有した。絶縁板131aの穴部21の開口率は、15.5%であった。
【0129】
図13に示されるように、インシュレーター111a(絶縁板131a)の12個の穴部21のそれぞれの穴部と凹部14(缶底刻印)とは重なった状態である。
【0130】
比較例1のインシュレーター111aにおける重なり率は、12個の穴部21のうち、11個の穴部21が凹部14(刻印)と重なっている部分の刻印角度は22度であり、1個の穴部21が凹部14(刻印)と一部重なっている2箇所の刻印角度は2箇所とも5度であったため(5度×2箇所)、
(22度×11ケ+5度×2箇所)/349度×100=72.2と計算されて、穴部と凹部との重なり率は72.2%であった。
【0131】
(インシュレーターの製造方法)
上記の実施例1~6及び比較例1の二次電池に備えられたインシュレーター1a~1f及びインシュレーター111aの製造方法について説明をする。
【0132】
まず、テープ状に加工されたPETからなる絶縁板13a~13f及び絶縁板131aのそれぞれに対して穴部21をプレスにより打ち抜き加工した。穴部21を形成した後、絶縁板13a~13f及び絶縁板131aのそれぞれの下面に、テープ状に加工された不織布を積層させ、絶縁板13a~13f及び絶縁板131aのそれぞれ及び不織布の一部同士を超音波溶着により相互に固定して、絶縁板及び不織布からなる積層品を完成させ、それぞれの積層品をそれぞれのロールに巻き取った。その後、それぞれのロールを掛け替えてから、それぞれのロールを巻き出しして、それぞれの積層品に対して中心穴20を打ち抜いた後、インシュレーター1a~1f及びインシュレーター111aを製造した。
【0133】
(二次電池の製造方法)
上記の実施例1~6及び比較例1の二次電池の製造方法について説明をする。
【0134】
上記の実施例1~6及び比較例1の二次電池は円筒型リチウムイオン二次電池である。まず、リチウム(Li)又はリチウムイオン(Li+)を吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んだ正極を作製し、続いて、リチウム(Li)又はリチウムイオン(Li+)を吸蔵および放出することが可能な負極材料を含んだ負極を作製した。次に、正極と負極とをセパレーターを介して巻回した。次に、正極リードの先端部を安全弁に溶接すると共に、負極リードの先端部を負極缶に溶接して、巻回した正極及び負極を、インシュレーター1a~1f及びインシュレーター111aと、絶縁体とで挟み負極缶の内部に収納した。次に、正極および負極を負極缶の内部に収納したのち、リン化合物を含む電解液を負極缶の内部に注入し、セパレーターに含浸させた。次に、負極缶の開口端部に電池蓋、安全弁および熱感抵抗素子を、ガスケットを介してかしめることにより固定して、実施例1~6及び比較例1の二次電池(円筒型リチウムイオン二次電池)を作製した。
【0135】
以下に、応用例1~5を挙げて、本技術について更に具体的に説明をする。
【0136】
<応用例1:プリント回路基板>
上述した二次電池は、
図19に示すように、プリント回路基板1202(Print circuit board、以下「PCB」と称する。)上に充電回路等と共に実装することができる。例えば、PCB1202上に二次電池1203及び充電回路等の電子回路をリフロー工程でもって実装することができる。PCB1202上に二次電池1203及び充電回路等の電子回路が実装されたものを電池モジュール1201と称する。電池モジュール1201は、必要に応じてカード型の構成とされ、携帯可能なカード型モバイルバッテリとして構成することができる。
【0137】
PCB1202上には、また、充電制御IC(Integrated Circuit)1204、電池保護IC1205及び電池残量監視IC1206が形成されている。電池保護IC1205は、充放電時に充電電圧が過大となったり、負荷短絡によって過電流が流れたり、過放電が生じることがないように充放電動作を制御する。
【0138】
PCB1202に対してUSB(Universal Serial Bus)インターフェース1207が取り付けられている。USBインターフェース1207を通じて供給される電力によって二次電池1203が充電される。この場合、充電制御IC1204によって充電動作が制御される。さらに、PCB1202に取り付けられている負荷接続端子1208a及び1208bから負荷1209に対して所定の電力(例えば電圧が4.2V)が供給される。二次電池1203の電池残量が電池残量監視IC1206によって監視され、電池残量を表す表示(図示しない)が外部から分かるようになされる。なお、負荷接続のためにUSBインターフェース1207を使用してもよい。
【0139】
上述した負荷1209の具体例は以下のようなものである。
A.ウェアラブル機器(スポーツウオッチ、時計、補聴器等)、
B.IoT端末(センサネットワーク端末等)、
C.アミューズメント機器(ポータブルゲーム端末、ゲームコントローラ)、
D.IC基板埋め込み電池(リアルタイムクロックIC)、
E.環境発電機器(太陽光発電、熱電発電、振動発電等の発電素子用の蓄電素子)。
【0140】
<応用例2:ユニバーサルクレジットカード>
現在、複数枚のクレジットカードを持ち歩いている人が多い。しかしながら、クレジットカードの枚数が多くなるほど、紛失、盗難等の危険性が増す問題がある。そこで、複数枚のクレジットカードやポイントカードなどの機能を1枚のカードに集約した、ユニバーサルクレジットカードと呼ばれるカードが実用化されている。このカードの中には、例えば、様々なクレジットカードやポイントカードの番号や有効期限等の情報を取り込むことができるので、そのカード1枚を財布等の中の入れておけば、好きな時に好きなカードを選択して利用することができる。
【0141】
図20はユニバーサルクレジットカード1301の構成の一例を示す。カード型形状を有し、ICチップ及び本技術に係る二次電池(不図示)が内蔵されている。さらに、小電力消費のディスプレイ1302及び操作部例えば方向キー1303a及び1303bが設けられている。さらに、充電用端子1304がユニバーサルクレジットカード1301の表面に設けられている。
【0142】
例えば、ユーザはディスプレイ1302を見ながら方向キー1303a及び1303bを操作して予めユニバーサルクレジットカード1301にロードされているクレジットカード等を特定することができる。複数のクレジットカードが予めロードされている場合には、ディスプレイ1302に各クレジットカードを示す情報が表示され、ユーザが方向キー1303a及び1303bを操作して所望のクレジットカードを指定することができる。その後は、従来のクレジットカードと同様に使用することができる。なお、上記は一例であって、本技術による二次電池は、ユニバーサルクレジットカード1301以外のあらゆる電子カードに適用可能であることは言うまでもない。
【0143】
<応用例3:リストバンド型電子機器>
ウェアラブル端末の一例として、リストバンド型電子機器がある。その中でも、リストバンド型活動量計は、スマートバンドとも呼ばれ、腕に巻き付けておくのみで、歩数、移動距離、消費カロリー、睡眠量、心拍数などの人の活動に関するデータを取得することができるものである。さらに、取得されたデータをスマートフォンで管理することもできる。さらに、メールの送受信機能を備えることもでき、例えば、メールの着信をLED(Light Emitting Diode)ランプ及び/又はバイブレーションでユーザに知らせる通知機能を有するものが使用されている。
【0144】
図21及び
図22は、例えば脈拍を計測するリストバンド型活動量計の一例を示す。
図21は、リストバンド型活動量計1501の外観の構成例を示している。
図22は、リストバンド型活動量計1501の本体部1502の構成例を示している。
【0145】
リストバンド型活動量計1501は、光学方式により被験者の例えば脈拍を計測するリストバンド型の計測装置である。
図21に示されるように、リストバンド型活動量計1501は、本体部1502とバンド1503により構成され、腕時計のようにバンド1503が被験者の腕(手首)1504に装着される。そして、本体部1502が、所定の波長の計測光を被験者の腕1504の脈を含む部分に照射し、戻ってきた光の強度に基づいて、被験者の脈拍の計測を行う。
【0146】
本体部1502は、基板1521、LED1522、受光IC1523、遮光体1524、操作部1525、演算処理部1526、表示部1527、及び無線装置1528を含むように構成される。LED1522、受光IC1523、及び、遮光体1524は、基板1521上に設けられている。LED1522は、受光IC1523の制御の下に、所定の波長の計測光を被験者の腕1504の脈を含む部分に照射する。
【0147】
受光IC1523は、計測光が腕1504に照射された後に戻ってきた光を受光する。受光IC1523は、戻ってきた光の強度を示すデジタルの計測信号を生成し、生成した計測信号を演算処理部1526に供給する。
【0148】
遮光体1524は、基板1521上においてLED1522と受光IC1523の間に設けられている。遮光体1524は、LED1522からの計測光が、受光IC1523に直接入射されることを防止する。
【0149】
操作部1525は、例えば、ボタン、スイッチ等の各種の操作部材により構成され、本体部1502の表面等に設けられる。操作部1525は、リストバンド型活動量計1501の操作に用いられ、操作内容を示す信号を演算処理部1526に供給する。
【0150】
演算処理部1526は、受光IC1523から供給される計測信号に基づいて、被験者の脈拍を計測するための演算処理を行う。演算処理部1526は、脈拍の計測結果を表示部1527及び無線装置1528に供給する。
【0151】
表示部1527は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置により構成され、本体部1502の表面に設けられる。表示部1527は、被験者の脈拍の計測結果等を表示する。
【0152】
無線装置1528は、所定の方式の無線通信により、被験者の脈拍の計測結果を外部の装置に送信する。例えば、
図22に示されるように、無線装置1528は、被験者の脈拍の計測結果をスマートフォン1505に送信し、スマートフォン1505の画面1506に計測結果を表示させる。さらに、計測結果のデータがスマートフォン1505によって管理され、計測結果をスマートフォン1505によって閲覧したり、ネットワーク上のサーバに保存することが可能とされている。なお、無線装置1528の通信方式には、任意の方式を採用することができる。なお、受光IC1523は、被験者の腕1504以外の部位(例えば、指、耳たぶ等)において脈拍の計測を行う場合にも用いることができる。
【0153】
上述したリストバンド型活動量計1501は、受光IC1523における信号処理によって、体動の影響を除去して、正確に被験者の脈波及び脈拍を計測することができる。例えば、被験者がランニング等の激しい運動を行っても、正確に被験者の脈波及び脈拍を計測することができる。また、例えば、被験者がリストバンド型活動量計1501を長時間装着して計測を行う場合にも、被験者の体動の影響を除去して、正確に脈波及び脈拍を計測し続けることができる。
【0154】
また、演算量を削減することにより、リストバンド型活動量計1501の消費電力を下げることができる。その結果、例えば、充電や電池の交換を行わずに、リストバンド型活動量計1501を被験者に長時間装着して、計測を行うことが可能になる。
【0155】
なお、電源として例えば薄型の電池がバンド1503内に収納されている。リストバンド型活動量計1501は、本体の電子回路と、電池パックを備える。例えばユーザにより電池パックが着脱自在な構成を有している。電子回路は、上述した本体部1502に含まれる回路である。電池として二次電池を使用する場合に本技術を適用することができる。
【0156】
図23にリストバンド型電子機器1601(以下、単に「電子機器1601」と称する。)の外観の構成例を示す。
【0157】
電子機器1601は、例えば、人体に着脱自在とされる時計型のいわゆるウェアラブル機器である。電子機器1601は、例えば、腕に装着されるバンド部1611と、数字や文字、図柄等を表示する表示装置1612と、操作ボタン1613とを備えている。バンド部1611には、複数の孔部1611aと、内周面(電子機器1601の装着時に腕に接触する側の面)側に形成される突起1611bとが形成されている。
【0158】
電子機器1601は、使用状態においては、
図23に示すようにバンド部1611が略円形となるように折り曲げられ、孔部1611aに突起1611bが挿入されて腕に装着される。突起1611bを挿入する孔部1611aの位置を調整することにより、腕の太さに対応して径の大きさを調整することができる。電子機器1601は、使用されない状態では、孔部1611aから突起1611bが取り外され、バンド部1611が略平坦な状態で保管される。本技術の一実施形態に係るセンサは、例えば、バンド部1611の全体にわたって設けられている。
【0159】
<応用例4:スマートウオッチ>
スマートウオッチは、既存の腕時計のデザインと同様ないし類似の外観を有し、腕時計と同様にユーザの腕に装着して使用するものであり、ディスプレイに表示される情報で、電話や電子メールの着信などの各種メッセージをユーザに通知する機能を有する。さらに、電子マネー機能、活動量計等の機能を有するスマートウオッチも提案されている。スマートウオッチは、電子機器の本体部分の表面にディスプレイが組み込まれ、ディスプレイに様々な情報が表示される。また、スマートウオッチは、例えば、通信端末(スマートフォン等)とBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うことによって、通信端末
等の機能やコンテンツ等と連携することも可能である。
【0160】
スマートウオッチの一つとして、バンド状に連結される複数のセグメントと、複数のセグメント内に配置される複数の電子部品と、複数のセグメント内の複数の電子部品を接続し少なくとも1つのセグメント内に蛇行形状で配置されるフレキシブル回路基板とを備えるものが提案されている。このような蛇行形状を有することで、フレキシブル回路基板は、バンドが屈曲しても、ストレスが加わらず、回路の切断が防止される。また、ウオッチ本体を構成する筐体ではなく、そのウオッチ本体に取り付けられるバンド側のセグメントに、電子回路部品を内蔵させることが可能になり、ウオッチ本体側には変更を加える必要がなくなり、従来の時計のデザインと同様のデザインのスマートウオッチを構成することが可能となる。また、本応用例のスマートウオッチは、電子メールや着信などの通知、ユーザの行動履歴などのログの記録、通話などを行うことができる。また、スマートウオッチは、非接触式ICカードとしての機能を備え、非接触で決済や認証等を行うことができる。
【0161】
本応用例のスマートウオッチは、金属製のバンド内に、通信処理や通知処理を行う回路部品を内蔵している。金属製のバンドを薄型化しながら、電子機器として機能するようにするために、バンドが複数のセグメントを連結した構成とされ、各セグメントに回路基板,振動モータ、電池,加速度センサが収納される。各セグメントの回路基板,振動モータ,電池,加速度センサなどの部品は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)で接続されている。
【0162】
図24にスマートウオッチの全体構成(分解斜視図)を示す。バンド型電子機器2000は、時計本体3000に取り付けられる金属製のバンドであり、ユーザの腕に装着される。時計本体3000は、時刻を表示する文字盤3100を備える。時計本体3000は、文字盤3100の代わりに、液晶ディスプレイなどで電子的に時刻を表示してもよい。
【0163】
バンド型電子機器2000は、複数のセグメント2110~2230を連結した構成である。時計本体3000の一方のバンド取付け孔にセグメント2110が取り付けられ、時計本体3000の他方のバンド取付け孔にセグメント2230が取り付けられる。本例では、それぞれのセグメント2110~2230は金属で構成される。
【0164】
(セグメントの内部の概要)
図25は、バンド型電子機器2000の内部構成の一部を示す。例えば3個のセグメント2170,2180,2190、2200、2210の内部を示す。バンド型電子機器2000では、連続した5個のセグメント2170~2210の内部にフレキシブル回路基板2400が配置される。セグメント2170内には、種々の電子部品が配置され、セグメント2190,2210には本技術に係るバッテリー2411,2421が配置され、これらの部品がフレキシブル回路基板2400で電気的に接続される。セグメント2170とセグメント2190との間のセグメント2180は、比較的小さなサイズであり、蛇行状態のフレキシブル回路基板2400が配置される。セグメント2180の内部では、防水部材に挟まれた状態でフレキシブル回路基板2400が配置される。なお、セグメント2170~2210の内部は、防水構造とされている。
【0165】
(スマートウオッチの回路構成)
図26は、バンド型電子機器2000の回路構成を示すブロック図である。バンド型電子機器2000の内部の回路は、時計本体3000とは独立した構成である。時計本体3000は、文字盤3100に配置された針を回転させるムーブメント部3200を備える。ムーブメント部3200には、バッテリー3300が接続されている。これらのムーブメント部3200やバッテリー3300は、時計本体3000の筐体内に内蔵されている。
【0166】
時計本体3000に接続されたバンド型電子機器2000は、3つのセグメント2170,2190,2210に、電子部品が配置される。セグメント2170には、データ処理部4101と無線通信部4102とNFC通信部4104とGPS部4106とが配置される。無線通信部4102,NFC通信部4104,GPS部4106には、それぞれアンテナ4103,4105,4107が接続されている。それぞれのアンテナ4103,4105,4107は、セグメント2170の後述するスリット2173の近傍に配置される。
【0167】
無線通信部4102は、例えば、Bluetooth(登録商標)の規格で他の端末と近距離無線通信を行う。NFC通信部4104は、NFCの規格で、近接したリーダー/ライタと無線通信を行う。GPS部4106は、GPS(Global Positioning System)と称されるシステムの衛星からの電波を受信して、現在位置の測位を行う測位部である。これらの無線通信部4102,NFC通信部4104,GPS部4106で得たデータは、データ処理部4101に供給される。
【0168】
また、セグメント2170には、ディスプレイ4108とバイブレータ4109とモーションセンサ4110と音声処理部4111とが配置されている。ディスプレイ4108とバイブレータ4109は、バンド型電子機器2000の装着者に通知する通知部として機能するものである。ディスプレイ4108は、複数個の発光ダイオードで構成され、発光ダイオードの点灯や点滅でユーザに通知を行う。複数個の発光ダイオードは、例えばセグメント2170の後述するスリット2173の内部に配置され、電話の着信や電子メールの受信などが点灯又は点滅で通知される。ディスプレイ4108としては、文字や数字などを表示するタイプのものが使用されてもよい。バイブレータ4109は、セグメント2170を振動させる部材である。バンド型電子機器2000は、バイブレータ4109によるセグメント2170の振動で、電話の着信や電子メールの受信などを通知する。
【0169】
モーションセンサ4110は、バンド型電子機器2000を装着したユーザの動きを検出する。モーションセンサ4110としては、加速度センサ、ジャイロセンサ、電子コンパス、気圧センサなどが使用される。また、セグメント2170は、モーションセンサ4110以外のセンサを内蔵してもよい。例えば、バンド型電子機器2000を装着したユーザの脈拍などを検出するバイオセンサが内蔵されてもよい。音声処理部4111には、マイクロホン4112とスピーカ4113とが接続され、音声処理部4111が、無線通信部4102での無線通信で接続された相手と通話の処理を行う。また、音声処理部4111は、音声入力操作のための処理を行うこともできる。
【0170】
そして、セグメント2190にはバッテリー2411が内蔵され、セグメント2210にはバッテリー2421が内蔵される。バッテリー2411,2421は、本技術に係る二次電池によって構成することができ、セグメント2170内の回路に駆動用の電源を供給する。セグメント2170内の回路とバッテリー2411,2421は、フレキシブル回路基板2400(
図25)により接続されている。なお、
図26には示さないが、セグメント2170は、バッテリー2411,2421を充電するための端子を備える。また、セグメント2190,2210には、バッテリー2411,2421以外の電子部品が配置されてもよい。例えば、セグメント2190,2210は、バッテリー2411,2421の充放電を制御する回路を備えるようにしてもよい。
【0171】
<応用例5:眼鏡型端末>
以下に説明するメガネ型端末は、目の前の風景にテキスト、シンボル、画像等の情報を重畳して表示することができるものである。すなわち、透過式メガネ型端末専用の軽量且つ薄型の画像表示装置ディスプレイモジュールを搭載している。代表的なものとして、頭部装着型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ(HMD))がある。
【0172】
この画像表示装置は、光学エンジンとホログラム導光板からなる。光学エンジンは、マイクロディスプレイレンズを使用して画像、テキスト等の映像光を出射する。この映像光がホログラム導光板に入射される。ホログラム導光板は、透明板の両端部にホログラム光学素子が組み込まれたもので、光学エンジンからの映像光を厚さ1mmのような非常に薄い透明板の中を伝搬させて観察者の目に届ける。このような構成によって、透過率が例えば85%という厚さ3mm(導光板前後の保護プレートを含む)レンズを実現している。かかるメガネ型端末によって、スポーツ観戦中にプレーヤ、チームの成績等をリアルタイムで見ることができたり、旅先での観光ガイドを表示したりできる。
【0173】
メガネ型端末の具体例は、
図27に示すように、画像表示部が眼鏡型の構成とされている。すなわち、通常の眼鏡と同様に、眼前に右画像表示部5001及び左画像表示部5002を保持するためのフレーム5003を有する。フレーム5003は、観察者の正面に配置されるフロント部5004と、フロント部5004の両端に蝶番を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部5005,5006から成る。フレーム5003は、金属や合金、プラスチック、これらの組合せといった、通常の眼鏡を構成する材料と同じ材料から作製されている。なお、ヘッドホン部を設けるようにしてもよい。
【0174】
右画像表示部5001および左画像表示部5002は、利用者の右の眼前と、左の眼前とにそれぞれ位置するように配置されている。テンプル部5005,5006が利用者の頭部に画像表示部5001および5002を保持する。フロント部5004とテンプル部5005の接続箇所において、テンプル部5005の内側に右表示駆動部5007が配置されている。フロント部5004とテンプル部5006の接続箇所において、テンプル部5006の内側に左表示駆動部5008が配置されている。
【0175】
図27では省略されているが、フレーム5003には、本技術に係る二次電池、加速度センサ、ジャイロ、電子コンパス、マイクロホン/スピーカ等が搭載されている。さらに、撮像装置が取り付けられ、静止画/動画の撮影が可能とされている。さらに、メガネ部と例えば無線又は有線のインターフェースでもって接続されたコントローラを備えている。コントローラには、タッチセンサ、各種ボタン、スピーカ、マイクロホン等が設けられている。さらに、スマートフォンとの連携機能を有している。例えばスマートフォンのGPS機能を活用してユーザの状況に応じた情報を提供することが可能とされている。
【0176】
本技術は、上記各実施形態、各実施例、及び各応用例に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において変更することが可能である。
【0177】
なお、本技術の効果は、二次電池に用いられる電極反応物質であれば電極反応物質の種類に依存せずに得られるはずであるため、その電極反応物質の種類を変更しても同様の効果を得ることができる。また、化合物等の化学式は代表的なものであって、同じ化合物の一般名称であれば、記載された価数等に限定されない。
【0178】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]
電極と、電解液と、該電極と該電解液とを収容する缶と、該電極と該缶との間に配されるインシュレーターとを備え、
該缶の缶底が少なくとも1つの凹部を有し、
該インシュレーターが少なくとも1つの穴部を有し、
該少なくとも1つの凹部の少なくとも一部と、該少なくとも1つの穴部の少なくとも一部とが重ならない、
二次電池。
[2]
前記少なくとも1つの凹部と前記少なくとも1つの穴部とが重ならない、[1]に記載の二次電池。
[3]
前記少なくとも1つの凹部と前記少なくとも1つの穴部との重なり率が13%以下である、[1]又は[2]に記載の二次電池。
[4]
前記少なくとも1つの穴部の開口率が5%以上40%以下である、[1]から[3]のいずれか1つに記載の二次電池。
[5]
電池容量が2.5Ah以上である、[1]から[4]のいずれか1つに記載の二次電池。
[6]
前記インシュレーターが絶縁板とフィルタ部材とを備える、[1]から[5]のいずれか1つに記載の二次電池。
[7]
前記フィルタ部材が不織布である、[6]に記載の二次電池
[8]
前記インシュレーターが絶縁板を備える、[1]から[5]のいずれか1つに記載の二次電池。
[9]
円筒型である、[1]から[8]のいずれか1つに記載の二次電池。
[10]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池の使用状態を制御する制御部と、
該制御部の指示に応じて該二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と、を備える、電池パック。
[11]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する駆動力変換装置と、
該駆動力に応じて駆動する駆動部と
車両制御装置と、を備える、車両。
[12]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池を有する蓄電装置と、
該二次電池から電力が供給される電力消費装置と、
該二次電池からの該電力消費装置に対する電力供給を制御する制御装置と、
該二次電池を充電する発電装置と、を備える、蓄電システム。
[13]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池と、
該二次電池から電力が供給される可動部と、を備える、電動工具。
[14]
[1]から[9]のいずれか1つに記載の二次電池を備え、
該二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
【符号の説明】
【0179】
1・・・インシュレーター
2・・・第1電極
3・・・第2電極
11・・・缶
11a・・・缶底
14・・・凹部
21・・・穴部
500・・・二次電池(円筒型非水二次電池)