(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】洗米装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20220726BHJP
A47J 43/24 20060101ALI20220726BHJP
B02B 1/04 20060101ALI20220726BHJP
B02B 1/06 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A47J27/14 G
A47J43/24
A47J27/14 N
B02B1/04 101
B02B1/06 D
(21)【出願番号】P 2020212554
(22)【出願日】2020-12-22
(62)【分割の表示】P 2017166976の分割
【原出願日】2017-08-31
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-259975(JP,A)
【文献】特開2006-068111(JP,A)
【文献】特開2012-030141(JP,A)
【文献】特開2000-126034(JP,A)
【文献】特開2015-003305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
A47J 43/24
B02B 1/04
B02B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米が収容される貯米
タンク(2)と、
洗浄水で米を洗米する洗米タンク(3)と、
前記貯米
タンク(2)の米を計量して、前記洗米タンク(3)に繰り出す計量器(12)と、
前記洗米タンク(3)内の水と米を排出する排出弁(22)と、を備え、
貯米タンク(2)は、その上面に米投入口(18)を開口し、この米投入口(18)を投入蓋(19)で開閉し、外装正面には操作パネル(11)を備え、貯米タンク(2)の下半分はホッパ状に構成されていて、このホッパ下端部に計量器(12)が取り付けられ、計量器(12)はモータ(12a)駆動の繰出弁によって構成され、貯米タンク(2)から一定量ずつ流下した米が充填された計量器(12)を必要な回転数だけ回転させることで、炊飯計画量の米を貯米タンク(2)から洗米タンク(3)に供給する構成とし、
計量器(12)は、回転軸(12b)を中心として回転する計量ドラム(12c)を有し、計量ドラム(12c)の側方は、囲い板(60)で覆われ、囲い板(60)は、貯米タンク(2)の下端部に支持されると共に、洗米タンク(3)の上面(3a)よりも上方に突出し、
計量器(12)は、軸方向の端部に端部プレート(71)が支持され、端部プレート(71)は、貯米タンク(2)の下部のホッパ部(2a)に、蝶ボルト(73)で固定され、蝶ボルト(73)を緩めることで、計量器(12)は、貯米タンク(2)の下部のホッパ部(2a)に対して、軸方向に引き出して着脱可能に構成し、
計量器(12)に送風作用をなす送風体(62)を設けたことを特徴とする洗米装置。
【請求項2】
洗米タンク(3)の下部から水を給水する下部給水管(27)を設け、洗米タンク(29)の上部から水を給水する上部給水管(29)を設け、
洗米タンク(3)の中心部に鉛直方向の中空軸による回転軸(16)を設け、その中空部に排米軸(16a)を貫通配置し、回転軸(16)には攪拌体である複数の攪拌棒(17)を取り付け、
洗米タンク(3)内で洗浄水を供給しつつ撹拌棒(17)を回転させて洗米する洗米工程後に、撹拌棒(17)を停止して上部給水管(29)から水を供給して散水する浸漬工程を行い、浸漬工程後に撹拌棒(17)を停止した状態で下部給水管(27)から水加減水を供給する水加減工程を行うものであって、
浸漬工程時に送風体による送風が行われることを特徴とする請求項1記載の洗米装置。
【請求項3】
洗米時に前記洗米タンク(3)内に空気を注入して米を気泡状態で洗米する気泡供給体(27a)と、
前記送風体(62)と前記気泡供給体(27a)とに空気を供給する共通のポンプ(61)と、
前記ポンプ(61)からの空気を、前記送風体(62)および前記気泡供給体(27a)のいずれか一方または両方に供給するように切り替える切り替え手段(66,67)と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動的に洗米して炊飯をする自動洗米炊飯器に対して、貯米庫からの米を計量して洗米タンクに繰り出して、洗米タンクで空気を供給して気泡状態で洗米する技術が知られてい
る(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献1には、水で湿った米粒が計量ドラム内に進入することを防止しつつ、洗米タンク(3)内の乾燥によってカビが発生することを抑制するために、洗米炊飯器の運転中、または、電源「入」の状態で一定の時間間隔で、送風機(62)を作動させて、洗米タンク(3)に臨む計量ドラムの下面に風を当てる技術も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-3305号公報(「0046」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、送風機を常時、または、一定間隔で作動させているので、計量器で計量された米が洗米タンクに落下する際に、風で飛ばされたり、舞い上げられたりしやすい。したがって、洗米タンクの下部に落下せず、壁面に付着等して、洗米され炊飯器に投下される米の量が目的の量とは異なる、すなわち、計量の精度が低下したり、十分に洗米がされない米が炊飯器に投下されたりする恐れがある。
【0006】
また、洗米用の水の給水時や排水時には上方に配置された計量器に水が付着することや湿った米が跳ねて付着することはほとんどなく、無駄な送風になっている問題がある。
【0007】
本発明の課題は、計量器からの繰り出される米量の精度低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、
米が収容される貯米タンク(2)と、
洗浄水で米を洗米する洗米タンク(3)と、
前記貯米タンク(2)の米を計量して、前記洗米タンク(3)に繰り出す計量器(12)と、
前記洗米タンク(3)内の水と米を排出する排出弁(22)と、を備え、
貯米タンク(2)は、その上面に米投入口(18)を開口し、この米投入口(18)を投入蓋(19)で開閉し、外装正面には操作パネル(11)を備え、貯米タンク(2)の下半分はホッパ状に構成されていて、このホッパ下端部に計量器(12)が取り付けられ、計量器(12)はモータ(12a)駆動の繰出弁によって構成され、貯米タンク(2)から一定量ずつ流下した米が充填された計量器(12)を必要な回転数だけ回転させることで、炊飯計画量の米を貯米タンク(2)から洗米タンク(3)に供給する構成とし、
計量器(12)は、回転軸(12b)を中心として回転する計量ドラム(12c)を有し、計量ドラム(12c)の側方は、囲い板(60)で覆われ、囲い板(60)は、貯米タンク(2)の下端部に支持されると共に、洗米タンク(3)の上面(3a)よりも上方に突出し、
計量器(12)は、軸方向の端部に端部プレート(71)が支持され、端部プレート(71)は、貯米タンク(2)の下部のホッパ部(2a)に、蝶ボルト(73)で固定され、蝶ボルト(73)を緩めることで、計量器(12)は、貯米タンク(2)の下部のホッパ部(2a)に対して、軸方向に引き出して着脱可能に構成し、
計量器(12)に送風作用をなす送風体(62)を設けたことを特徴とする洗米装置とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
洗米タンク(3)の下部から水を給水する下部給水管(27)を設け、洗米タンク(29)の上部から水を給水する上部給水管(29)を設け、
洗米タンク(3)の中心部に鉛直方向の中空軸による回転軸(16)を設け、その中空部に排米軸(16a)を貫通配置し、回転軸(16)には攪拌体である複数の攪拌棒(17)を取り付け、
洗米タンク(3)内で洗浄水を供給しつつ撹拌棒(17)を回転させて洗米する洗米工程後に、撹拌棒(17)を停止して上部給水管(29)から水を供給して散水する浸漬工程を行い、浸漬工程後に撹拌棒(17)を停止した状態で下部給水管(27)から水加減水を供給する水加減工程を行うものであって、
浸漬工程時に送風体による送風が行われることを特徴とする請求項1記載の洗米装置とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、
洗米時に前記洗米タンク(3)内に空気を注入して米を気泡状態で洗米する気泡供給体(27a)と、
前記送風体(62)と前記気泡供給体(27a)とに空気を供給する共通のポンプ(61)と、
前記ポンプ(61)からの空気を、前記送風体(62)および前記気泡供給体(27a)のいずれか一方または両方に供給するように切り替える切り替え手段(66,67)と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗米装置とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1載の発明によれば、送風体(62)で送風を行うことで、排出までの間で計量器(12)の下部に水が付着することを抑制でき、計量器(12)に米が付着したり米の固まりができることが抑制され、計量器からの繰り出される米量の精度低下を抑制することができる。
【0013】
また、計量器12の計量ドラム12cの隙間に米を噛み込んで計量ドラム12cが動かなくなった場合でも、蝶ボルト73を緩めて、ハンドル部72を持って揺らすことで、米の噛み込みを解消することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ざる上げ浸漬時の散水で、米で跳ねた水が計量器12の下面に付着すると、次回の計量器12で米を繰り出すときに、計量器12に米が付着したり、水で米どうしが付着した米の固まりができたりしやすくなり、計量の精度が低下する問題があるのを、ざる上げ浸漬時に送風して、付着した水を乾燥させることで、計量の精度が低下することを抑制することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、共通のポンプ(61)を使用することで、部品点数を削減でき、製造コストやランニングコスト、メンテナンスコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】洗米機を有する炊飯機の全体正面図(a)、全体側面図(b)である。
【
図5】本実施形態の計量器の部分の説明図であり、(A)は要部断面図、(B)は送風ノズルの説明図である。
【
図7】本実施形態の制御システムのブロック図である。
【
図8】本実施例の一例のタイムチャートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、洗米機を有する炊飯機の全体正面図(a)、全体側面図(b)である。
【0019】
この洗米炊飯機1は、貯米庫の一例としての貯米タンク2と、洗米タンク3を備える洗米機Sを上部に支持し、その下方に炊飯装置5を配置して構成される。洗米機Sは支持機枠の上方に貯米タンク2を設け、この貯米タンク2の下部に給排水部を付帯した洗米タンク3を一体に接続して構成する。
【0020】
炊飯装置5は、洗米タンク3の下方に間隔をおいて配置され、炊飯釜6、釜加熱用バーナ7と引出式の架台10等から構成する。洗米炊飯機1は、炊飯設定に従い貯米タンク2による計量処理から、洗米タンク3による洗米、浸漬、水加減、投下の各処理を経て、炊飯装置5による炊飯処理までを一連に行う。
【0021】
【0022】
図2において、貯米タンク2は、その上面に米投入口18を開口し、この米投入口18を投入蓋19で開閉し、外装正面には操作パネル11を備える。貯米タンク2の下半分はホッパ状に構成されていて、このホッパ下端部に計量器12が取り付けられている。計量器12はモータ12a駆動の定量繰出弁によって構成され、貯米タンク2から一定量ずつ流下した米が充填された計量器12を炊飯計画量に必要な回転数だけ回転させることで、炊飯計画量の米を貯米タンク2から洗米タンク3に供給する。
【0023】
洗米タンク3は、
図2に示すように、天井部に前記計量器12から供給される米を受ける漏斗状の受け部13を備え、中間部に円筒状の胴部3bと、下部にホッパ状部3cを持つ構成である。洗米タンク3のホッパ状部3cの下方にジャケット部31を接続し、ホッパ状部3cとジャケット部31との境界部に米粒を漏下させない程度の開口を持つフィルタ15を設けている。
【0024】
洗米タンク3の中心部に鉛直方向の中空軸による回転軸16を設け、その中空部に排米軸16aを貫通配置する。回転軸16には攪拌体である複数の攪拌棒17・・・を取り付け、そのうちの少なくとも一本は洗米タンク3の内壁に沿う形状を採用する。回転軸16は支持機枠に取り付けた洗米モータ20によりベベルギヤ21等の伝動系を介して正逆方向及び回転速度を制御可能に回転される。
【0025】
【0026】
図3において、攪拌棒17は、左回り動作で洗米中の米を持ち上げるように屈曲して形成することにより、洗米時間の短縮と使用水量の削減を可能とし、また、加減した米を投下するときには下に押さえるように右回り動作に制御することにより、洗米タンク3の側壁に付着した残米をできるだけ少なくして投下することができる。
【0027】
排米軸16aは、外側の回転軸16の内部に上下摺動自在に遊嵌されていて、軸の下端に着脱自在の排出弁22を設け、軸の上端を排出弁駆動用モータ23で駆動するカム24により上下動させて、排出弁22の開閉制御がなされる構成である。排出弁22が開くと、洗米タンク3内の米は下方の炊飯装置5の中へ落下する。
【0028】
(給水系)
図4は洗米タンクの給水系の説明図である。
【0029】
図2、
図4において、洗米タンク3には、下端のジャケット部31に下部給水管27と気泡供給体の一例としての送気管27aとを近接して配置して、水と空気を供給可能に構成されている。また、
図4において、洗米タンク3の上部に配水管26が配置されている。配水管26から下降して下給水手段の一例としての下部給水管27が設けられるとともに、配水管26から上給水手段の一例としての上部給水管29を分岐して複数のシャワーノズル29a,29bから上部給水可能に設けられている。
【0030】
配水管26には、流量を計測する流量センサ25を設け、この流量センサ25の計測値に応じて動作する電磁弁(下給水バルブ)28を下部給水管27に、同様の電磁弁(上給水バルブ)35を上部給水管29に設ける。
【0031】
上記構成の下部給水管27は、洗米時に洗米タンク3の下部のジャケット部31に給水し、また、洗米タンク3の上部高さ位置の配水管26から洗米タンク3下部まで下部給水管27が下降連通することから、下部給水管27内の全水量が残留なしに排水される。
【0032】
したがって、洗米処理した米に水加減の給水を行う際に、流量センサ25に基づいて計量対応制御される電磁弁28によって供給された水の全量が下部給水管27を下降して洗米タンク3下部に供給されるので、高精度の水量管理が可能な水加減によって所要の炊飯条件を確保することができる。
【0033】
上記構成の送気管27aは、そのエア注入口を下部のジャケット部31に設け、後述の洗米工程時は常時または間欠的にエアを供給して、気泡状態で洗米を行う。また、送気管27aは、後述の水加減工程後の米・水投下工程時には一時的に短時間エアを供給することで、洗米タンク3内の米と水の排出を促進する。
【0034】
上記構成の上部給水管29は、洗米タンク3の上部高さ位置で配水管26から分岐し、かつ、流量センサ25の計測値に応じて動作する電磁弁35を備えることから、洗米処理した米に、水切り状態で間欠散水するざる上げ浸漬処理時の水量管理が可能となる。
【0035】
洗米タンク3の排水部について説明する。洗米タンク3の下部側方には排水箱39が設けられ、排水口40を有した排水箱39は、上部が洗米タンク3の上部側面に開口するオーバーフロー管41と連結管36で接続され、内側部が前記ジャケット部31に連通するジャケット排水管42と接続されている。ジャケット排水管42からの排水は排水弁44(
図2では便宜上、水位弁54と一体的に図示している)の開閉で行われ、水位弁54で洗米タンク3内の水位を調整する。
【0036】
排水箱39は、排水弁44及び水位弁54で常時閉鎖されているが、洗米タンク3内の水を排水する場合には、ジャケット部31のフィルタ15から、ジャケット配水管42、排水弁44及び/または水位弁54、排水箱39及び排水口40を経て排水される。
【0037】
排水弁44及び水位弁54は洗米タンク3の天井部に固定して設けたそれぞれのソレノイド(不図示)と連結して設けたコントロールワイヤ45,55によって開閉する。また、洗米タンク3内上部には洗米タンク3内の水量を検出する電気接点付きフロートセンサ32を備えている。
【0038】
図5は本実施形態の計量器の部分の説明図であり、(A)は要部断面図、(B)は送風ノズルの説明図である。
【0039】
図5Aにおいて、計量器12は、回転軸12bを中心として回転する計量ドラム12cを有する。計量ドラム12cの側方は、囲い部材の一例としての囲い板60で覆われている。囲い板60は、貯米タンク2の下端部に支持されている。本実施形態の囲い板60は、洗米タンク3の上面3aよりも上方に突出している。
【0040】
計量器12の上方には、ポンプ61が支持されている。ポンプ61からは、計量器12の下部に向けて、送風体の一例としての計量送風管62が延びている。計量送風管62の下端には、送風案内体の一例としての送風ノズル63が連結されている。
【0041】
図5Bにおいて、本実施例の送風ノズル63は、計量送風管62に接続される接続口63aと、接続口63aから回転軸12bに沿って水平方向に延びる案内部63bと、案内部63bの端に形成された複数の吹付口63cとを有する。
【0042】
案内部63bの長手方向の両端部には、装着部の一例としてのフランジ部63dが支持されている。したがって、本実施例の送風ノズル63は、案内部63bの吹付口63c側の端部が囲い板60に形成された開口を貫通した状態で、フランジ部63dで、締結部材の一例としての蝶ボルト(蝶ねじ)64で、囲い板60に着脱可能に支持される。
【0043】
なお、吹付口63cは、計量ドラム12cの下部に送風可能な位置に配置されている。
【0044】
また、本実施例のポンプ61には、気泡供給体の一例としての前記送気管27aが接続されている。したがって、送気管27aと計量送風管62とは、ポンプ61が共通化されている。
【0045】
計量送風管62および送気管27aには、それぞれ、切り替え手段の一例としての電磁弁66,67が接続されている。電磁弁66,67は、計量送風管62および送気管27aで送風が必要な場合に「開」となり、不要な場合に「閉」となる。したがって、電磁弁66,67の作動に伴って、共通のポンプ61からの送風が制御される。
【0046】
【0047】
図6において、実施例1の計量器12は、軸方向の端部に端部プレート71が支持されている。端部プレート71には、ハンドル部72が支持されている。そして、端部プレート71は、貯米タンク2の下部のホッパ部2aに、締結部材の一例としての蝶ボルト73で固定されている。したがって、蝶ボルト73を緩めることで、計量器12は、貯米タンク2の下部のホッパ部2aに対して、ハンドル部72を持って軸方向に引き出して着脱可能に構成されている。したがって、計量器12の計量ドラム12cの隙間に米を噛み込んで計量ドラム12cが動かなくなった場合でも、蝶ボルト73を緩めて、ハンドル部72を持って揺らすことで、米の噛み込みを解消することができる。
【0048】
図7は本実施形態の制御システムのブロック図である。
【0049】
本実施形態に係る洗米炊飯機の制御システムは、制御部Cを有する。制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0050】
制御部Cには、操作パネル11の各種操作スイッチのほかに、流量センサ25、フロートセンサ32等の信号出力要素から信号が入力される。
【0051】
制御部Cは、炊飯米量を計量する計量器12のモータ12aや米や水を投下する排出弁22の駆動モータ23、攪拌棒17を駆動する洗米モータ20、洗米タンク3に連通する電磁弁35や電磁弁28、洗米タンク3の排水弁44及び水位弁54のソレノイド、炊飯装置5の蓋の開閉、ポンプ61、ポンプ61の電磁弁66,67、炊飯装置5のバーナ7、設定内容と運転状況を表示する操作パネル11の表示画面等の制御要素へ制御信号を出力する。
【0052】
図8は本実施例の一例のタイムチャートの説明図である。
【0053】
本実施形態の制御部Cは、信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能(プログラムモジュール)を有している。
【0054】
図7、
図8において、計量制御手段C1は、計量器12のモータ12aを制御して、貯米タンク2の米を計量して洗米タンク3に供給する。
【0055】
洗米モータ制御手段C2は、洗米工程において洗米モータ20を制御して、洗米を制御する。また、本実施例の洗米モータ制御手段C2は、洗米後の米を洗米タンク3から炊飯装置5へ投下する際に、洗米タンク3に米が残りにくくするために、所定時間回転させる。
【0056】
下給水制御手段C3は、電磁弁(下給水バルブ)35を制御して、洗米タンク3への下部給水管27を通じた給水を制御する。本実施例の下給水制御手段C3は、洗米前の流量の確認(水の流れのチェック)の際に、下部給水管27を通じて、所定量の給水を行う。また、本実施例の下給水制御手段C3は、洗米工程の研米時や荒ゆすぎ時、ゆすぎ時に必要に応じた量の給水を行う。さらに、本実施例の下給水制御手段C3は、水加減工程において米量に応じた炊飯に必要な水量を給水する。また、本実施例の下給水制御手段C3は、洗米タンク3から炊飯装置5へ米を投下した後に洗米タンク3の内部洗浄を行う際に、所定量の給水を行う。
【0057】
上給水制御手段C4は、電磁弁(上給水バルブ)28を制御して、洗米タンク3への上部給水管29を通じた給水を制御する。本実施例の上給水制御手段C4は、洗米工程において、糠抜き時や研米時、荒ゆすぎ時に必要な水量を給水する。また、本実施例の上給水制御手段C4は、ざる上げ浸漬時に散水のための給水を行う。さらに、本実施例の上給水制御手段C4は、洗米タンク3の内部洗浄時に、最初に所定量の給水を行う。
【0058】
排水弁制御手段C5は、排水弁44を制御して、洗米タンク3からの排水を制御する。本実施例の排水弁制御手段C5は、洗米工程において、研米時や荒ゆすぎ時、ゆすぎ時に水をためる際には排水弁44を閉じ、研米等が終了すると排水弁44を開けて排水を行う。また、本実施例の排水弁制御手段C5は、ざる上げ浸漬時は、排水弁44を開けた状態で保持する。さらに、本実施例の排水弁制御手段C5は、水加減工程では、必要な水をためる際に排水弁44を閉じる。また、洗米タンク3から炊飯装置5への米および計量された水の投下時には、排水弁44を閉じた状態で保持する。さらに、洗米タンク3の洗浄時は、最初に上部給水管29からの水が供給される間は排水弁44を閉じる。
【0059】
排出弁制御手段C6は、排出弁22を制御して、洗米タンク3から炊飯装置5への米及び計量された水の排出を制御する。実施例1の排水弁制御手段C6は、洗米時やざる上げ浸漬時、水加減時には、排出弁22を閉じておき、炊飯に必要な水の給水後に排出弁22を開けて、洗米タンク3から米および水を投下させる。
【0060】
蓋開閉制御手段C7は、炊飯装置5の蓋の開閉を制御する。すなわち、洗米タンク3から炊飯装置5に米および水を投下する際に蓋を開け、それ以外は蓋を閉めるように制御する。
【0061】
送風制御手段C8は、ポンプ61や電磁弁66,67を制御して、洗米タンク3や計量器12への送風を制御する。本実施形態の送風制御手段C8は、
図8の期間T1に示すように、計量器12で洗米タンク3に米を繰り出す前の流量の確認の工程において、計量送風管62を通じて計量器12の下面に向けて送風を行う。
【0062】
また、本実施形態の送風制御手段C8は、
図8の期間T2に示すように、洗米工程において、糠抜きや研米、荒ゆすぎ、ゆすぎの際に、送気管27aを通じて洗米タンク3に送風を行って、気泡状態で研米等を行う。
【0063】
さらに、本実施形態の送風制御手段C8は、
図8の期間T3に示すように、ざる上げ浸漬時において、上部給水管29を通じて給水(散水)を行う際に、計量送風管62を通じて送風を行う。
【0064】
また、本実施形態の送風制御手段C8は、
図8の期間T4に示すように、米と計量された水の炊飯装置5への投下時に、送気管27aを通じて送風を行って、洗米タンク3に残米が付きにくくする。
【0065】
さらに、本実施形態の送風制御手段C8は、
図8の期間T5に示すように、洗米タンク3から米と水が排出された後に、洗浄工程において、計量送風管62を通じて送風を行う。なお、炊飯装置5で続けて炊飯を行いたい場合に、炊飯装置5で炊飯中に、洗米タンク3で洗米や浸漬といった比較的時間のかかる工程を済ませておきたい場合には、米と水を炊飯装置5に投下した後、洗浄工程を行わず、すぐに計量工程に戻ることがある。この場合には、計量送風管62を通じた送風も行われない。
【0066】
また、本実施形態の送風制御手段C8は、
図8の期間T6に示すように、洗米タンク3から米と水が排出された後であって、洗浄工程の終了後の停止中に、計量送風管62を通じて送風を所定の期間行う。
【0067】
なお、本実施形態の送風制御手段C8は、各期間T1~T6において、送風する時間は、予め設定された所定の時間とすることも可能であるが、洗米タンク3に供給された米の量に応じて、米の量が多いほど長い時間送風することが好ましい。米の量が多いと、洗米タンク3内で洗米時の水の水位が高くなって計量器12に水が付着しやすく、また、ざる上げ浸漬時には米の最上面の高さ(嵩)が高くなり、散水時にはねた水が計量器12に付着しやすくなる。したがって、米量が多いほど送風時間を長くすることが望ましい。
【0068】
また、送風する時間の長さを、利用者が操作パネル11で入力可能にすることも可能である。このように構成することで、使用条件、使用状況に応じて、利用者が設定することも可能である。よって、送風時間が無駄に長い場合は、利用者が送風時間を短縮する操作を行うことで、電気代の節約にも貢献する。
【0069】
炊飯制御手段C9は、炊飯装置5のバーナ7を制御して、炊飯を行う。
【0070】
【0071】
本実施形態における洗米タンク3における基本的な処理工程を、
図9のフローチャートに示す。計量工程の第1ステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により貯米タンク2から設定量の米を洗米タンク3に供給し、これを受けた洗米タンク3において、洗米工程(S2)、浸漬工程(S3)、水加減工程(S4)の各処理ステップによって炊飯準備した上で米・水投下工程(S5)により炊飯装置5に米を供給し、洗米タンク3の洗浄工程(S6)を行う。なお、連続して洗米を行う場合は、米・水投下工程(S5)の後、計量工程(S1)に戻り、工程S1~S5を繰り返すこととなる。
【0072】
洗米工程(S2)は、上部給水管29および下部給水管27から洗浄水を供給しつつ、この洗浄水に送気管27aからエアを供給し、攪拌棒17を回転して洗米する。洗米タンク内に気泡が発生することで、米と攪拌棒17の衝突時の衝撃を軽減することができ、米が割れることを防止できる。
【0073】
浸漬工程(S3)は、攪拌棒17を停止して洗浄水を排水した上でざる上げ浸漬を行う。すなわち、水切状態で上部給水管29から水を供給しシャワー状に散水する。流量センサ25により所定量(例えば160cc)の水を掛けるように制御することにより、所定時間の給水制御の場合より、散水量を安定化することができる。
【0074】
浸漬工程(S3)時に、撹拌棒17を設定時間毎(例えば、10分毎)に設定時間(例えば、10秒)作動させるようにしてもよい。これにより、洗米タンク3の内壁に米が付着するのを防止することができる。
【0075】
浸漬工程(S3)における浸漬時間は、洗米炊飯機を用いる店舗により異なる。例えば、定食を提供する店舗においては白ご飯をそのまま提供するため浸漬時間を2時間程度取り、ふっくら炊き上げるのに対し、おにぎりや寿司、どんぶりを提供する店舗においては、浸漬時間を短くし粒がしっかりして弾力のある炊き方にする。
【0076】
水加減工程(S4)は、攪拌棒17を停止し、下部給水管27から水加減のための所要水量を供給し貯水する。貯水量の制御は、下部給水管27へ供給される水量を流量センサ25で検出して電磁弁28を開閉する制御を行う流量センサ25による流量センサ制御方式と、洗米タンク3を満水にした後、所定時間だけ排水する静水制御方式がある。洗米タンク3が満水になったかはフロートセンサ32からの信号により判断する。
【0077】
米・水投下工程(S5)は、排出弁22を開き、水加減処理した米を洗米タンク3から炊飯装置5に投下する。この際攪拌棒17を短時間回転しつつ、送気管27aからエアを短時間噴出し、洗米タンク3内の米が残らないように排出する。なお、炊飯装置5では、この後炊飯工程が実行される。
【0078】
洗浄工程(S6)は、上部給水管29から給水しながら水をためながら、送気管27aから気泡を送ることで、洗米タンク3の壁面や撹拌棒17に付着した残米を洗い流して洗浄する。
【0079】
前記構成を備えた本実施形態の洗米炊飯機1では、ざる上げ浸漬時の期間T3に計量器12の下部に計量送風管62を通じて送風が行われる。ここで、ざる上げ浸漬時の散水で、米で跳ねた水が計量器12の下面に付着すると、次回の計量器12で米を繰り出すときに、計量器12に米が付着したり、水で米どうしが付着した米の固まりができたりしやすくなる。計量器12に米が付着等すると、洗米タンク3に繰り出される米量が変動し、計量の精度が低下する問題がある。本実施形態では、ざる上げ浸漬時に計量送風管62で送風して、付着した水を乾燥させて、次回の計量時に水が残っていることを抑制している。したがって、計量の精度が低下することが抑制される。
【0080】
また、特許文献1に記載の構成のように常時送風しておらず、特に計量工程や洗米工程では送風が行われていない。したがって、無駄な送風も停止されているとともに、計量した米の洗米タンク3への投下時に風で米が舞い上げられたりしないので、計量の精度低下の問題も抑制されている。
【0081】
また、実施形態の洗米炊飯機1では、排出弁22で洗米タンク3の米が炊飯装置5に排出された後に、洗浄工程の期間T5において計量送風管62で送風が行われる。したがって、洗浄工程において、上部給水管29から給水された水が跳ねて計量器12の下面に付着しても、送風で乾燥される。したがって、次回の計量時に計量器12に水が付着していることが防止され、計量の精度が低下することが抑制される。
【0082】
特に、本実施形態では、米及び水の投下後であって、洗浄工程の終了した後(期間T6)にも計量送風管62から送風が行われる。また、洗浄工程の終了後であるので、炊飯工程の邪魔にもならない。
【0083】
なお、洗浄工程の終了後の送風は、利用者の操作パネル11への入力に応じて、実行/非実行を切り替えられるように構成することも可能である。例えば、洗米炊飯機1が通気性の良い場所に設置されているような場合には、非実行に設定する等にすれば、送風が行われないので電気代の節約にもつながる。
【0084】
さらに、本実施形態では、計量工程の前の期間T1において、計量器12に計量送風管62に送風が行われる。したがって、前回の各工程における送風で計量器12の底が乾燥しきれなかった場合でも、計量前の送風で乾燥させることが可能である。したがって、計量器12の下面が乾燥した状態で計量工程が開始されやすく、計量の精度が低下することがさらに抑制される。
【0085】
また、本実施形態では、計量送風管62と送気管27aとが、共通のポンプ61から空気が供給されている。したがって、個別に送風機を設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、製造コストやランニングコスト、メンテナンスコストを再現できる。
【0086】
また、本実施形態では、計量器12の下面に対して、軸方向に延びる横長の送風ノズル63で空気が吹き付けられている。したがって、計量器12の下面の全域に対して風を吹き付けることが可能である。よって、軸方向に延びる送風ノズル63を有しない場合に比べて、計量器12の下面の一部に風が吹き付けられなかったり、軸方向で風量にムラが発生することが低減され、下面が部分的に濡れている状態となることを低減できる。
【0087】
さらに、本実施形態では、送風の期間T1~T6を例示したが、これに限定されない。例えば、計量器12の乾燥のための送風は、洗米タンク3の高さが十分に高かったり、一度に洗米する米の量が洗米タンク3の容量に比べて十分に少なく設定されて水や米の最上面と計量器12までが十分に離れている場合や、乾燥した地域に洗米炊飯機1が設定されていたりする場合には、期間T1,T3、T5,T6のすべてで送風を行わず、いずれか1つとしたり、いずれか2つか3つにしたり等の変更が可能である。また、これらを操作パネル11からの入力で変更可能な構成とすることも可能である。逆に、送風する期間を増やすことも可能である。例えば、特定の時間に炊き上がるように予約する機能がある場合には、予約した時間の所定時間前に送風を行って乾燥させるという構成とすることも可能である。予約時間の前に送風を行う構成では、送風を作業者がいない期間に行うことも可能であり、送風時の音が作業者に気にならない状況にすることも可能である。
【符号の説明】
【0088】
2…貯米庫、
3…洗米タンク、
12…計量器、
12b…回転軸、
12c…計量ドラム、
22…排出弁、
27a…気泡供給体、
29…上給水手段、
44…排水弁、
60…囲い部材、
61…ポンプ、
62…送風体、
63…送風案内体、
66,67…切り替え手段。