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  • 特許-空気入りタイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20220726BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 5/548 20060101ALI20220726BHJP
   C08L 25/10 20060101ALI20220726BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 5/5398 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 5/372 20060101ALI20220726BHJP
   B60C 9/18 20060101ALI20220726BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220726BHJP
   B60C 3/04 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B60C11/00 D
C08K3/36
C08K5/548
C08L25/10
C08L9/00
C08K3/04
C08K5/5398
C08K5/372
B60C9/18 K
B60C1/00 A
B60C3/04 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022011319
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2021542551の分割
【原出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022062125
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2019189446
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 健宏
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-145142(JP,A)
【文献】特開2019-104772(JP,A)
【文献】特開2019-044154(JP,A)
【文献】特開2019-093860(JP,A)
【文献】特開2018-127199(JP,A)
【文献】特開2017-075227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00
C08K 3/36
C08K 5/548
C08L 25/10
C08L 9/00
C08K 3/04
C08K 5/5398
C08K 5/372
B60C 9/18
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平率が35~70%であり、
正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、扁平率に応じてYの値の範囲が変化する空気入りタイヤであって;
前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下であり、
前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下であり、
前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下であり、
前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下であり、
前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下であり、
前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下であり、
前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下であり、
前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下であり、
前記トレッドを構成するゴム組成物がゴム成分を含有し、前記トレッドを構成するゴム組成物の、下記試験条件で測定した破断伸びが225%以上である、空気入りタイヤ(ただし、更生タイヤを除く)。
(試験条件)
引張速度:14.0m/秒
温度:100℃
試験片:ダンベル状7号形
【請求項2】
前記トレッドを構成するゴム組成物がシリカを含有し、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量をC(質量部)、シリカの平均一次粒子径をD(nm)とした場合に、C/Dが3.8以上である請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記トレッドを構成するゴム組成物が、窒素吸着比表面積(N2SA)が180m2/g以上のシリカを含有する請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記トレッドを構成するゴム組成物がメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含有する、請求項1~4いずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ゴム成分中の総スチレン含有量が25質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記ゴム成分中のスチレンブタジエンゴムの含有量が60質量%以上95質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記ゴム成分がブタジエンゴムを含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記Cが50質量部以上150質量部以下である、請求項2~8のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記トレッドを構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記トレッドを構成するゴム組成物が変性スチレンブタジエンゴムを含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記トレッドを構成するゴム組成物がジチオリン酸亜鉛を含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記トレッドを構成するゴム組成物がチウラム系加硫促進剤を含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記トレッドを構成するゴム組成物が粘着付与樹脂を含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項15】
前記トレッドを構成するゴム組成物が加工助剤を含有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項16】
前記空気入りタイヤが、乗用車用タイヤである、請求項1~15のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速走行時の耐偏摩耗性能が改善された空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車用タイヤの性能として、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および高速走行時の操縦安定性等を高い次元で両立することが望まれている。
【0003】
特許文献1には、低燃費性能等の改善を目的として、シリカと共に反応性の高いメルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト系シランカップリング剤)の使用が検討されている。しかしながら、メルカプト系シランカップリング剤は、良好な低燃費性能、ウェットグリップ性能、および耐摩耗性能が得られる一方で、加工性が悪化する傾向があり、シリカの分散性には改善の余地がある。
【0004】
また、低燃費性能を指向した乗用車用タイヤは、ショルダーヘッド部のトレッド表面温度上昇に起因する偏摩耗が生じやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-120819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高速走行時の耐偏摩耗性能が改善された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、タイヤの総幅およびタイヤのブレーカー幅が所定の要件を満たすタイヤ(好ましくは、乗用車用タイヤ)において、トレッドを構成するゴム組成物の破断伸びおよび/または配合を特定の条件とすることにより、高速走行時の耐偏摩耗性能を改善できることを見出した。さらに、好ましい態様においては、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および高速走行時の操縦安定性をもバランスよく改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕扁平率が35~70%であり、正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、扁平率に応じてYの値の範囲が変化する空気入りタイヤであって;前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下であり、前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下であり、前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下であり、前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下であり、前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下であり、前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下であり、前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下であり、前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下であり、前記トレッドを構成するゴム組成物の、下記試験条件で測定した破断伸びが180%以上である空気入りタイヤ、
(試験条件)
引張速度:14.0m/秒
温度:100℃
試験片:ダンベル状7号形
〔2〕前記トレッドを構成するゴム組成物がスチレンブタジエンゴムを含有する、上記〔1〕記載の空気入りタイヤ、
〔3〕前記トレッドを構成するゴム組成物がシリカおよびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有する、上記〔1〕または〔2〕記載の空気入りタイヤ、
〔4〕扁平率が35~70%であり、正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、扁平率に応じてYの値の範囲が変化する空気入りタイヤであって;前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下であり、前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下であり、前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下であり、前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下であり、前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下であり、前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下であり、前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下であり、前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下であり、前記トレッドを構成するゴム組成物が、スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、シリカ、およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有し、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴム中の総スチレン含有量が25質量%以上であり、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量をC(質量部)、シリカの平均一次粒子径をD(nm)とした場合に、C/Dが3.8以上である空気入りタイヤ、
〔5〕前記トレッドを構成するゴム組成物の、下記試験条件で測定した破断伸びが180%以上である、上記〔4〕記載の空気入りタイヤ、
(試験条件)
引張速度:14.0m/秒
温度:100℃
試験片:ダンベル状7号形
〔6〕前記スチレンブタジエンゴムが変性スチレンブタジエンゴムを含む、上記〔2〕~〔5〕のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
〔7〕前記トレッドを構成するゴム組成物がジチオリン酸亜鉛を含有する、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の空気入りタイヤ、
〔8〕前記トレッドを構成するゴム組成物がチウラム系加硫促進剤を含有する、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の空気入りタイヤ、に関する。
【発明の効果】
【0009】
タイヤの総幅およびタイヤのブレーカー幅が所定の要件を満たし、かつトレッドを構成するゴム組成物の破断伸びおよび/または配合を特定の条件とした本発明の空気入りタイヤは、高速走行時の耐偏摩耗性能に優れる。また、好ましい態様においては、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および高速走行時の操縦安定性がバランスよく改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】トレッドを平面に押し付けたときのタイヤ切断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の第一の実施形態は、扁平率が35~70%であり、正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、扁平率に応じてYの値の範囲が変化する空気入りタイヤであって;前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下(好ましくは0.79以下、より好ましくは0.78以下)であり、前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下(好ましくは0.78以下、より好ましくは0.77以下)であり、前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下(好ましくは0.77以下、より好ましくは0.76以下)であり、前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下(好ましくは0.76以下、より好ましくは0.75以下)であり、前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下(好ましくは0.74以下、より好ましくは0.73以下)であり、前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下(好ましくは0.71以下、より好ましくは0.70以下)であり、前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下(好ましくは0.68以下、より好ましくは0.67以下)であり、前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下(好ましくは0.66以下、より好ましくは0.65以下)であり、前記トレッドを構成するゴム組成物の、下記試験条件で測定した破断伸びが180%以上である空気入りタイヤである。
(試験条件)
引張速度:14.0m/秒
温度:100℃
試験片:ダンベル状7号形
【0012】
JIS規格において、破断伸び(切断時伸び)を測定する際の引張速度は、ダンベル状1号形、ダンベル状2号形、ダンベル状3号形、ダンベル状5号形およびダンベル状6号形の試験片では500±50mm/分、ダンベル状7号形およびダンベル状8号形の試験片では200±20mm/分と定められている。この引張速度について鋭意検討の結果、100℃雰囲気下において、14.0m/秒という極めて速い引張速度で測定した破断伸び(以下、高速高温EBともいう)が、高速走行時の耐偏摩耗性能と強く相関しており、高速高温EBが特定の範囲内であれば、良好な耐偏摩耗性能が確保されることを見出した。
【0013】
本開示の第二の実施形態は、扁平率が35~70%であり、正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、扁平率に応じてYの値の範囲が変化する空気入りタイヤであって;前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下(好ましくは0.79以下、より好ましくは0.78以下)であり、前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下(好ましくは0.78以下、より好ましくは0.77以下)であり、前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下(好ましくは0.77以下、より好ましくは0.76以下)であり、前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下(好ましくは0.76以下、より好ましくは0.75以下)であり、前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下(好ましくは0.74以下、より好ましくは0.73以下)であり、前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下(好ましくは0.71以下、より好ましくは0.70以下)であり、前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下(好ましくは0.68以下、より好ましくは0.67以下)であり、前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下(好ましくは0.66以下、より好ましくは0.65以下)であり、前記トレッドを構成するゴム組成物が、スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、シリカ、およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有し、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴム中の総スチレン含有量が25質量%以上であり、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量をC(質量部)、シリカの平均一次粒子径をD(nm)とした場合に、C/Dが3.8以上である空気入りタイヤである。
【0014】
トレッドを構成するゴム組成物(トレッド用ゴム組成物)の製造において、スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、および所定の要件を満たすシリカとシランカップリング剤とを併用することにより、混練り時の加工性悪化を克服し、ゴム成分へのシリカ分散性を確保し、高速高温EBを向上させることができる。また、かかる配合を採用することにより、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および耐偏摩耗性能のバランスも改善することができる。
【0015】
本開示の第三の実施形態は、扁平率が35~70%であり、正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、扁平率に応じてYの値の範囲が変化する空気入りタイヤであって;前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下(好ましくは0.79以下、より好ましくは0.78以下)であり、前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下(好ましくは0.78以下、より好ましくは0.77以下)であり、前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下(好ましくは0.77以下、より好ましくは0.76以下)であり、前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下(好ましくは0.76以下、より好ましくは0.75以下)であり、前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下(好ましくは0.74以下、より好ましくは0.73以下)であり、前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下(好ましくは0.71以下、より好ましくは0.70以下)であり、前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下(好ましくは0.68以下、より好ましくは0.67以下)であり、前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下(好ましくは0.66以下、より好ましくは0.65以下)であり、
前記トレッドを構成するゴム組成物が、スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、シリカ、およびメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有し、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴム中の総スチレン含有量が25質量%以上であり、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量をC(質量部)、シリカの平均一次粒子径をD(nm)とした場合に、C/Dが3.8以上であるか、または
前記トレッドを構成するゴム組成物の、下記試験条件で測定した破断伸びが180%以上である空気入りタイヤである。
(試験条件)
引張速度:14.0m/秒
温度:100℃
試験片:ダンベル状7号形
【0016】
本開示の一実施形態であるトレッド用ゴム組成物の作製を含む空気入りタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本開示を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
【0017】
<ゴム成分>
本開示において、トレッド用ゴム組成物の製造に使用されるゴム成分としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)が好適に用いられる。ゴム成分としては、SBRおよびBRからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、SBRを含有することがより好ましい。ゴム成分は、SBRおよびBRを含むゴム成分としてもよく、SBRおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
【0018】
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましく、変性S-SBRがより好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。これらSBRは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
本開示で使用できるS-SBRとしては、JSR(株)、住友化学(株)、宇部興産(株)、旭化成(株)、ZSエラストマー(株)等によって製造販売されるS-SBRが挙げられる。
【0020】
SBRのスチレン含有量は、グリップ性能の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。一方、SBRのスチレン含有量は、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。SBRのスチレン含有量が55質量%を超えると、スチレン基が隣接し、ポリマーが硬くなりすぎ、架橋が不均一となりやすく、高温走行時のブロー性が悪化するおそれがあり、また、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまい、走行中および後期の安定したグリップ性能が良好に得られない傾向がある。なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、1H-NMR測定により算出される。
【0021】
SBRのビニル結合量は、シリカとの反応性の担保、ゴム強度や耐摩耗性能の観点から10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル結合量は、温度依存性の増大防止、ウェットグリップ性能、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
【0022】
SBRの重量平均分子量(Mw)は、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から20万以上が好ましく、30万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましく、50万以上が特に好ましい。また、Mwは、架橋均一性等の観点から、200万以下が好ましく、150万以下がより好ましく、100万以下がさらに好ましい。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0023】
SBRのゴム成分中の含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス1,4結合含有率が50%未満のBR(ローシスBR)、シス1,4結合含有率が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。
【0025】
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR150L、JSR(株)製のBR730等が挙げられる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)製のBUNA-CB25等が挙げられる。
【0026】
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)製のVCR-303、VCR-412、VCR-617等が挙げられる。
【0027】
変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)や、ブタジエンゴムの活性末端に縮合アルコキシシラン化合物を有するブタジエンゴム(シリカ用変性BR)等が挙げられる。このような変性BRとしては、例えば、ZSエラストマー(株)製のBR1250H(スズ変性)、S変性ポリマー(シリカ用変性)等が挙げられる。
【0028】
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能およびグリップ性能等の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性等の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0029】
BRのゴム成分中の含有量は、耐摩耗性能の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。また、ウェットグリップ性能の観点からは、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
【0030】
SBRおよびBRのゴム成分中の合計含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
【0031】
(その他のゴム成分)
本開示に係るゴム成分として、前記のSBRおよびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、ゴム工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、イソプレン系ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これらその他のゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
【0034】
本明細書において「スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴム中の総スチレン含有量」とは、SBRのスチレン含有量に、SBRおよびBRの総含有量に対するSBRの含有量(SBR/(SBR+BR))を乗じた値を意味する。本開示に係るゴム成分において、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴム中の総スチレン含有量を25質量%以上とすることにより、ウェットグリップ性能を向上させることができる。好ましくは26.5質量%以上、より好ましくは28質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは32質量%以上である。一方、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴム中の総スチレン含有量は、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。
【0035】
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、具体的にはN110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を好適に用いることができ、これ以外にも自社合成品等も好適に用いることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐候性や補強性の観点から、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。また、分散性、低燃費性能、破壊特性および耐久性の観点からは、250m2/g以下が好ましく、220m2/g以下がより好ましい。なお、本明細書におけるカーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217-2:2017「ゴム用カーボンブラック基本特性-第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」のA法に準じて測定される値である。
【0037】
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐候性や補強性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能の観点からは、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
【0038】
(シリカ)
本開示に係るトレッド用ゴム組成物にシリカを配合することにより、低燃費性能、耐摩耗性能、ウェットグリップ性能を向上させることができる。シリカとしては、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、破断伸びの観点から、150m2/g以上が好ましく、180m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。なお、本明細書におけるシリカのBET比表面積は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
【0040】
シリカの平均一次粒子径は、20nm以下が好ましく、14nm以下がより好ましく、12nm以下がさらに好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。シリカの平均一次粒子径が前記の範囲であることによって、シリカの分散性をより改善でき、補強性、破壊特性、耐摩耗性能をさらに改善することができる。なお、シリカの平均一次粒子径は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
【0041】
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量をC(質量部)、シリカの平均一次粒子径をD(nm)とした場合に、C/Dは3.8以上であることが好ましい。C/Dを3.8以上とすることにより、耐偏摩耗性能を向上させることができる。より好ましくは4.0以上、さらに好ましくは4.5以上、特に好ましくは4.8以上である。一方、C/Dの上限値は特に制限されないが、例えば、20以下、15以下、12以下、10以下、8.0以下とすることができる。
【0042】
シリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、低燃費性能、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、50質量部以上が好ましく、55質量部以上が好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。また、シリカのゴムへの分散性の悪化により、低燃費性能および耐摩耗性能が低下することを抑制する観点からは、150質量部以下が好ましく、120質量部以下が好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
【0043】
(その他の補強用充填剤)
カーボンブラックおよびシリカ以外の補強用充填剤としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等、従来ゴム工業において一般的に用いられているものを配合することができる。
【0044】
(シランカップリング剤)
【0045】
メルカプト基を有するシランカップリング剤は、下記式(3)で表される化合物、および/または下記式(4)で表される結合単位Aと下記式(5)で表される結合単位Bとを含む化合物であることが好ましい。
【化1】
(式中、R101、R102、およびR103は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル、炭素数1~12のアルコキシ、または-O-(R111-O)z-R112(z個のR111は、それぞれ独立して、炭素数1~30の2価の炭化水素基を表し;R112は、炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、炭素数6~30のアリール、または炭素数7~30のアラルキルを表し;zは、1~30の整数を表す)で表される基を表し;R104は、炭素数1~6のアルキレンを表す)
【化2】
【化3】
(式中、xは0以上の整数を表し;yは1以上の整数を表し;R201は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシルもしくはカルボキシルで置換されていてもよい炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、または炭素数2~30のアルキニルを表し;R202は、炭素数1~30のアルキレン、炭素数2~30のアルケニレン、または炭素数2~30のアルキニレンを表し;ここにおいて、R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
【0046】
式(3)で表される化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式(6)で表される化合物(エボニックデグサ社製のSi363)等が挙げられ、下記式(6)で表される化合物を好適に使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【化4】
【0047】
式(4)で表される結合単位Aと上記式(5)で表される結合単位Bとを含む化合物は、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤に比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。そのため、シリカの分散性がより良好となり、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および破断伸びがより向上する傾向がある。これは結合単位Aのスルフィド部分がC-S-C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
【0048】
結合単位Aの含有量は、加工中の粘度上昇を抑制する観点から、30~99モル%が好ましく、50~90モル%がより好ましい。また、結合単位Bの含有量は、1~70モル%が好ましく、5~65モル%がより好ましく、10~55モル%がさらに好ましい。また、結合単位AおよびBの合計含有量は、95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(4)および式(5)と対応するユニットを形成していればよい。
【0049】
式(4)で示される結合単位Aと式(5)で示される結合単位Bとを含む化合物において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3~300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの-C715が覆うため、スコーチ時間が短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
【0050】
式(4)で示される結合単位Aと式(5)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社製のNXT-Z30、NXT-Z45、NXT-Z60、NXT-Z100等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、低燃費性能の観点から、シリカ100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上がさらに好ましく、4質量部以上特に好ましい。また、ゴム強度や耐摩耗性能の観点からは、20質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、9質量部以下が特に好ましい。
【0052】
本開示においては、ゴム組成物は、上記メルカプト基を有するシランカップリング剤に加えてさらにその他のシランカップリング剤を含有していてもよい。その他のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するシランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系のシランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系のシランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系のシランカップリング剤;等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
本開示に係るトレッド用ゴム組成物は、下記式(7):
【化5】
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、炭素数1~18のアルキル、または炭素数5~12のシクロアルキルを表す)で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好ましい。
【0054】
メルカプト基を有するシランカップリング剤のメルカプト基は、混合時に容易にラジカル化してポリマーと結合し、ゲル化する。前記のジチオリン酸亜鉛を配合することにより、該シランカップリング剤のラジカル化したメルカプト基がゴム成分と反応する前に、ジチオリン酸亜鉛の-S-Zn-構造部分と反応してジスルフィド結合を形成する。すなわちジチオリン酸亜鉛によりメルカプト基由来のラジカルを捕捉する。このことから、シランカップリング剤とゴム成分との反応性が低下し、ゲル化を抑制することができる。さらには、加硫中に高温になると、このジスルフィド結合は切断され、ゴム成分と反応し、シランカップリング剤としての機能を果たすことができる。
【0055】
ジチオリン酸亜鉛の具体例としては、例えば、ラインケミー社製のTP-50、ZBOP-S、ZBOP-50や、これらに類似する化合物(例えば、式(7)において、R1、R2、R3、およびR4がn-プロピル、iso-プロピル、またはn-オクチルのいずれかである化合物)等を使用することができる。
【0056】
ジチオリン酸亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量を0.1質量部以上とすることにより、加工性が改善され、シリカの分散性がより良好となり、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および破断伸びがより向上する傾向がある。また、破壊強度や耐摩耗性能の観点からは、5質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
【0057】
ジチオリン酸亜鉛を含有する場合のメルカプト基を有するシランカップリング剤100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量を1質量部以上とすることにより、加工性が改善され、シリカの分散性がより良好となり、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および破断伸びがより向上する傾向がある。また、破壊強度や耐摩耗性能の観点からは、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
【0058】
本開示に係るトレッド用ゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、オイル、粘着付与樹脂、ワックス、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
【0059】
オイルとしては、例えば、アロマチックオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油等が挙げられる。なかでも、環境への負荷低減という理由からプロセスオイルを使用することが好ましい。
【0060】
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
【0061】
粘着付与樹脂としては、シクロペンタジエン系樹脂、クマロン樹脂、石油系樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂等)、フェノール系樹脂、ロジン誘導体等が挙げられ、芳香族系石油樹脂が好ましい。
【0062】
芳香族系石油樹脂としては、例えば、下記の芳香族ビニル系樹脂および芳香族ビニル系樹脂以外のC9系石油樹脂等が挙げられ、芳香族ビニル系樹脂が好ましい。
【0063】
芳香族ビニル系樹脂では、芳香族ビニル単量体(単位)として、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン等が使用され、それぞれの単量体の単独重合体、2種以上の単量体の共重合体のいずれであってもよい。また、これらを変性させたものであってもよい。
【0064】
芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、ウェットグリップ性能に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社製のSYLVARES SA85、SA100、SA120、SA140、イーストマンケミカル社製のR2336等の市販品が好適に用いられる。α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体としては、例えば、クレイトン社製のSYLVATRAXX4401等が好適に用いられる。
【0065】
粘着付与樹脂の軟化点は、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。軟化点を40℃以上とすることにより、十分なグリップ性能が得られる傾向がある。また、該軟化点は120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。軟化点を120℃以下とすることにより、十分なグリップ性能が得られる傾向がある。なお、本明細書における樹脂の軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0066】
粘着付与樹脂、特に芳香族ビニル系樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、4質量部以上が特に好ましい。また、低燃費性能および耐摩耗性能の観点からは、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
【0067】
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、脂肪酸金属塩、アミドエステル、脂肪酸金属塩とアミドエステル若しくは脂肪酸アミドとの混合物が好ましく、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物が特に好ましい。具体的には、例えば、Schill+Seilacher社製のEF44、WB16等の脂肪酸石鹸系加工助剤が挙げられる。
【0068】
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
【0069】
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-4-メチル-2-ペンチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジアリール-p-フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。なかでも、耐熱性の観点から、キノリン系老化防止剤がより好適に用いられる。これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0071】
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0072】
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0073】
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0074】
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
【0075】
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保し、良好なグリップ性能および耐摩耗性能を得るという観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、劣化の観点からは、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
【0076】
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等の硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0077】
加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系もしくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤が挙げられ、なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤および/またはチウラム系加硫促進剤が好ましく、これら2種を併用することがより好ましい。
【0078】
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、CBS(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、TBBS(N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、CBSおよびTBzTDの組み合わせが特に好ましい。
【0079】
ゴム成分100質量部に対する加硫促進剤の合計含有量は、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましい。また、ゴム成分100質量部に対する加硫促進剤の合計含有量は、8.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましく、5.0質量部以下が特に好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
【0080】
チウラム系加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、低燃費性能および操縦安定性の観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。また、操縦安定性の観点から、2.0質量部以下が好ましく、1.5質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がさらに好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
【0081】
本開示に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で、前記各成分のうち、加硫剤および加硫促進剤以外の成分を混練りした後、これに、加硫剤および加硫促進剤を加えてさらに混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
【0082】
高速走行時にショルダーヘッド部のトレッド表面温度は80~120℃に達するため、偏摩耗抑制のために高温時のトレッドゴムの引張特性を向上させる必要がある。本開示に係るゴム組成物の、100℃雰囲気下にて、引張速度14.0m/秒の条件で測定した破断伸びEBは、180%以上が好ましく、190%以上がより好ましく、200%以上がさらに好ましく、210%以上がさらに好ましく、220%以上がさらに好ましく、225%以上がさらに好ましく、230%以上がさらに好ましく、240%以上が特に好ましい。破断伸びを前記の範囲とすることにより、ショルダーヘッド部のトレッド表面温度上昇に起因する偏摩耗を抑制することができる。なお、本開示における破断伸びは、加硫後のゴム組成物からなるダンベル状7号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張試験特性の求め方」に準じて引張試験を実施することにより測定される。
【0083】
<タイヤ>
本開示に係る空気入りタイヤは、上記トレッド用ゴム組成物により構成されるトレッドを備えるものであり、乗用車用タイヤ、乗用車用高性能タイヤ等に好適に用いられる。
【0084】
上記トレッド用ゴム組成物から構成されるトレッドを備えたタイヤは、上記トレッド用ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、トレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。
【0085】
図1に、トレッドを平面に押し付けたときの切断面の模式図を示す。本開示に係る空気入りタイヤは、扁平率が35~70%であり、正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのタイヤの総幅をA(mm)、タイヤのブレーカー幅をB(mm)として、
Y=(B-16)/A
と定義するとき、前記扁平率が35%以上40%未満である場合は、Yが0.80以下(好ましくは0.79以下、より好ましくは0.78以下)であり、前記扁平率が40%以上45%未満である場合は、Yが0.79以下(好ましくは0.78以下、より好ましくは0.77以下)であり、前記扁平率が45%以上50%未満である場合は、Yが0.78以下(好ましくは0.77以下、より好ましくは0.76以下)であり、前記扁平率が50%以上55%未満である場合は、Yが0.77以下(好ましくは0.76以下、より好ましくは0.75以下)であり、前記扁平率が55%以上60%未満である場合は、Yが0.75以下(好ましくは0.74以下、より好ましくは0.73以下)であり、前記扁平率が60%以上65%未満である場合は、Yが0.72以下(好ましくは0.71以下、より好ましくは0.70以下)であり、前記扁平率が65%以上70%未満である場合は、Yが0.69以下(好ましくは0.68以下、より好ましくは0.67以下)であり、前記扁平率が70%である場合は、Yが0.67以下(好ましくは0.66以下、より好ましくは0.65以下)である。このようにタイヤの総幅およびタイヤのブレーカー幅を調整することにより、偏摩耗を抑制することができ、偏摩耗発生によるタイヤの早期取り外しを回避することができるため、トレッド用ゴム組成物が本来有している耐摩耗性能を充分に発揮することができる。
【0086】
本開示に係る空気入りタイヤにおいて、Yを上記所定の数値以下とすることにより、耐摩耗性能および低燃費性能が向上する。一方、Yが上記所定の数値を超えると、特に低燃費性能が低下する傾向がある。一方、Yの下限値は特に制限されないが、通常0.50以上であり、0.55以上が好ましく、0.58以上がより好ましく、0.60以上がさらに好ましい。また、前記の各扁平率に応じたYの下限値は、前記の各扁平率に応じたYの上限値より0.20小さいことが好ましく、0.15小さいことがより好ましく、0.10小さいことがさらに好ましい。例えば、扁平率が35%以上40%未満である場合、Yは、0.60~0.80、0.65~0.80、0.70~0.80、0.59~0.79、0.64~0.79、0.69~0.79、0.58~0.78、0.63~0.78、0.68~0.78の範囲とすることができる。
【0087】
本開示に係る空気入りタイヤの扁平率は、35~70%の範囲であれば特に制限されず例えば、35~65%、35~60%、35~55%、40~70%、45~70%、50~70%とすることができる。
【0088】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”とする。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤにリム組可能であり、リム/タイヤの間でエア漏れを発生させない最小径のリムのうち、最も幅の狭いものを指すものとする。
【0089】
「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”とする。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、正規内圧を250kPaとする。
【0090】
「正規状態」は、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤが前記の最小リムにリム組みされかつ250kPaが充填され、しかも、無負荷の状態をいうものとする。
【0091】
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”とする。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合、正規荷重WL(kg)は、正規状態で測定されたタイヤ断面幅をWt(mm)、タイヤ断面高さをHt(mm)、タイヤ外径をDt(mm)としたとき、下記式(1)および(2)により見積もることが可能である。前記のタイヤ断面幅Wtは、前記の状態において、タイヤ側面に模様または文字などがある場合にはそれらを除いたものとしてのサイドウォール外面間の最大幅である。前記のタイヤ断面高さHtは、ビード部底面からトレッド最表面までの距離であり、タイヤの外径とリム径の呼びとの差の1/2である。
V={(Dt/2)2-(Dt/2-Ht)2}×π×Wt ・・・(1)
L=0.000011×V+175 ・・・(2)
【0092】
Yの値は、金型プロファイル、ゲージ分布、構造等の手法を適宜調整することにより得ることができるが、調整方法は特に限定されない。例えば、ブレーカーの幅や金型の幅を調整することにより、所望のAおよびBの値とすることができる。具体的には、ブレーカーの幅を大きくするか金型の幅を小さくすることによってYを大きい値に調整でき、ブレーカーの幅を小さくするか金型の幅を大きくすることによってYを小さい値に調整できる。
【0093】
本開示のトレッドは、少なくとも1層のゴム層を有している。本開示のトレッドは、単一のゴム層により形成されていてもよく、外面がトレッド面を構成するゴム層(キャップゴム層)のタイヤ半径方向内側に、さらに1以上のゴム層を有していてもよい。本開示のトレッドが2層以上のゴム層によって構成されている場合、2層以上のゴム層のうち少なくとも1つが上述した所定のゴム組成物によって構成されていればよく、キャップゴム層が上述した所定のゴム組成物によって構成されていることが好ましい。
【実施例
【0094】
以下、本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0095】
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
SBR1:後述の製造例1で合成した変性溶液重合SBR(スチレン含有量:35質量%、ビニル結合量:34モル%、Mw:85万、Tg:-30℃、ゴム成分100重量部に対しオイル分37.5質量部を含む油展品)
SBR2:後述の製造例2で製造した変性溶液重合SBR(スチレン含有量:38質量%、ビニル結合量:39モル%、Mw:80万、Tg:-25℃、ゴム成分100重量部に対しオイル分25質量部を含む油展品)
SBR3:後述の製造例3で製造した変性溶液重合SBR(スチレン含有量:42質量%、ビニル結合量:36モル%、Mw:80万、Tg:-21℃、ゴム成分100重量部に対しオイル分10質量部を含む油展品)
SBR4:後述の製造例4で製造した変性溶液重合SBR(スチレン含有量:30質量%、ビニル結合量:52モル%、Mw:25万、Tg:-23℃、非油展品)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(ビニル結合量:1.5モル%、シス1,4結合含有率:97%、Mw:44万)
NR:TSR20
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックN220(N2SA:115m2/g)
シリカ1:ソルベイ社製のZeosil Premium 200 MP(N2SA:220m2/g、平均一次粒子径:15nm)
シリカ2:エボニックデグサ社製のULTRASIL(登録商標)9100GR(N2SA:230m2/g、平均一次粒子径:15nm)
シリカ3:エボニックデグサ社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:18nm)
シランカップリング剤1:モメンティブ社製のNXT-Z45(メルカプト基を有するシランカップリング剤、結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
シランカップリング剤2:エボニックデグサ社製のSi69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:H&R社製のVivaTec400(TDAEオイル)
粘着付与樹脂:クレイトン社製のSylvatraxx(登録商標)4401(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックFR(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)
加工助剤:Schill+Seilacher社製のストラクトールEF44(脂肪酸亜鉛)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ジチオリン酸亜鉛:ラインケミー社製のTP-50(式(7)で表される化合物、R1~R4:n-ブチル基、有効成分の含有量:50質量%)
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
加硫促進剤2:三新化学工業(株)製のサンセラーTBZTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD))
【0096】
製造例1:SBR1の合成
攪拌機およびジャケットの付いたオートクレーブ反応器(内容積20L)を窒素置換し、温度を70℃でコントロールしつつ、スチレンを10.5g/分の速度で、1,2-ブタジエンを100ppm含む1,3-ブタジエンを19.5g/分の速度で、シクロヘキサンを150g/分の速度で、テトラヒドロフランを1.5g/分の速度で、n-ブチルリチウムを0.117mmol/分の速度で連続的にチャージした。1基目の反応容器の頂部出口にて、四塩化ケイ素を0.04mmol/分の速度で連続的に添加し、これを1基目の反応容器に連結した2基目の反応容器に導入して変性反応を行った。変性反応終了後の重合体溶液に、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、重合体100質量部に対し伸展油(H&R社製のVivaTec400)を37.5質量部加えた後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR1を得た。
【0097】
製造例2:SBR2の合成
底部に入口、頭部に出口を有し、攪拌機およびジャケットを付けたオートクレーブを反応器(内容積10L)として2基直列に連結し、窒素雰囲気下で、ブタジエン、スチレン、シクロヘキサンを各々所定の比率で混合した。この混合溶液を、活性アルミナを充填した脱水カラムを経由し、不純物を除去するためにn-ブチルリチウムをスタティックミキサー中で混合した後、1基目の反応器底部より連続的に供給し、さらに極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを所定の速度でそれぞれ1基目の反応器底部より連続的に供給し、反応器内温を95℃に保持した。反応器頭部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。2基目の反応器の温度を95℃に保ち、変性剤としてテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)とオリゴマー成分との混合物を、所定の速度でシクロヘキサン1000倍希釈液として連続的に加え、変性反応を行なった。この重合体溶液を反応器から連続的に抜き出し、スタティックミキサーで連続的に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、重合体100質量部に対し伸展油(JX日鉱日石エネルギー(株)製のNC-140)を25質量部加えた後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR2を得た。
【0098】
製造例3:SBR3の合成
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、および1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整した後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始した。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、さらに5分重合させた後、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを変性剤として加えて反応を行った。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、重合体100質量部に対し伸展油を10質量部加えた後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR3を得た。
【0099】
製造例4:SBR4の合成
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、および1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整した後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始した。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、さらに5分重合させた後、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを変性剤として加えて反応を行った。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR4を得た。
【0100】
(実施例および比較例)
表1~表3に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することで、試験用ゴム組成物を作製した。
【0101】
また、前記未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でタイヤトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ1(サイズ:205/55R16、リム:16×7.0、内圧:250kPa)、試験用タイヤ2(サイズ:185/70R14、リム:14×5.5、内圧:250kPa)、試験用タイヤ3(サイズ:255/35R18、リム:18×9.0、内圧:250kPa)をそれぞれ製造、準備した。
【0102】
得られた試験用ゴム組成物および試験用タイヤについて下記の評価を行った。試験用タイヤ1(扁平率:55%)の評価結果を表1、試験用タイヤ2(扁平率:70%)の評価結果を表2、試験用タイヤ3(扁平率:35%)の評価結果を表3にそれぞれ示す。
【0103】
<破断伸び>
各加硫ゴム組成物からなるダンベル状7号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張試験特性の求め方」に準じて、100℃雰囲気下にて、引張速度14.0m/秒の条件で引張試験を実施し、破断伸び(切断時伸び)EB(%)を測定した。
【0104】
<低燃費性能(ラボ)>
シート状の加硫ゴム組成物から幅4mm、長さ50mm、厚さ2mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で加硫ゴムシートの損失正接(tanδ)を測定し、tanδの逆数の値について、各表にて基準比較例(表1では比較例1、表2では比較例7、表3では比較例10。以下同じ)を100として指数表示した。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性能に優れる。
(低燃費性能指数(ラボ))
=(基準比較例のtanδ)/(各配合例のtanδ)×100
【0105】
<低燃費性能(タイヤ)>
各試験用タイヤに関して、JIS D 4234:2009(ISO28580)に準拠して転がり抵抗係数(RRC)を測定し、転がり抵抗係数の逆数の値について、各表にて基準比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性能に優れる。
(低燃費性能指数(タイヤ))
=(基準比較例の転がり抵抗係数)/(各試験用タイヤの転がり抵抗係数)×100
【0106】
<ウェットグリップ性能(ラボ)>
(株)上島製作所製フラットベルト式摩耗試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。各加硫ゴム組成物の幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片をサンプルとして用い、速度20km/時、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0~70%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど摩擦係数が大きく、ウェットグリップ性能に優れる。
(ウェットグリップ性能指数(ラボ))
=(各配合例の摩擦係数の最大値)/(基準比較例の摩擦係数の最大値)×100
【0107】
<ウェットグリップ性能(実車)>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求め、各表にて基準比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど制動距離が短く、ウェットグリップ性能に優れる。
(ウェットグリップ性能指数(実車))
=(基準比較例の制動距離)/(各試験用タイヤの制動距離)×100
【0108】
<高速走行時の操縦安定性>
各試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着した。乾燥アスファルト路面のテストコースを約120km/時で走行し、直進、車線変更、および加減速時のハンドリング特性をテストドライバーの官能評価により評価した。各表にて基準比較例のハンドリング特性を100とし、下記の基準により指数表示して、上記3つの場合における平均値を算出し、その指数値を表1~3の「操縦安定性」の欄に示した。指数値が大きいほど、ハンドリング特性が良好で、高速走行時の操縦安定性が優れることを示す。
(ハンドリング特性の基準)
120:これまでに見られなかったほど良好なレベルであったもの
110:明らかに性能が向上したとテストドライバーが判断したもの
105:テストドライバーがやや良好と感じたもの
100:基準
90:基準よりやや劣るとテストドライバーが感じたもの
80:明らかに性能が悪化したとテストドライバーが判断したもの
【0109】
<高速走行時の耐偏摩耗性能>
各試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着した。乾燥アスファルト路面のテストコースを平均時速120km/時で50km走行した後、後輪のセンターブロック、ミドルブロックおよびショルダーブロックのタイヤ周方向両側の摩耗量の差を測定した。測定は、各ブロックについて、タイヤ周方向に略等ピッチな8個のブロックが用い、全測定値の平均値を求めた。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど耐偏摩耗性能が良好であることを示す。耐偏摩耗性能は、108以上を性能目標値とする。
(耐偏摩耗性能指数)
=(基準比較例の摩耗量の差)/(各試験用タイヤの摩耗量の差)×100
【0110】
なお、低燃費性能(タイヤ)、ウェットグリップ性能(実車)、操縦安定性および耐偏摩耗性能の総合性能(低燃費性能(タイヤ)、ウェットグリップ性能(実車)、操縦安定性および耐偏摩耗性能の平均値)は、105以上を性能目標値とし、108以上が好ましく、110以上がより好ましい。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
表1~表3の結果より、タイヤの総幅およびタイヤのブレーカー幅が所定の要件を満たし、かつトレッドを構成するゴム組成物の破断伸びおよび/または配合を特定の条件とした本開示の空気入りタイヤは、高速走行時の耐偏摩耗性能に優れることがわかる。また、好ましい態様においては、低燃費性能、ウェットグリップ性能、および高速走行時の操縦安定性がバランスよく改善されることがわかる。
図1