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特許7111287フレキシブルディスプレイパネル、その剛性/可撓性の切り替え制御方法、及びフィルム状構造
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  • 特許-フレキシブルディスプレイパネル、その剛性/可撓性の切り替え制御方法、及びフィルム状構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】フレキシブルディスプレイパネル、その剛性/可撓性の切り替え制御方法、及びフィルム状構造
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220726BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220726BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G09F9/00 304C
H05K7/20 S
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018511701
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2017095825
(87)【国際公開番号】W WO2018137329
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】201720096939.1
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512282165
【氏名又は名称】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI XINSHENG OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xinzhan Industrial Park,Hefei,Anhui,230012,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】丁 遠 奎
(72)【発明者】
【氏名】袁 廣 才
(72)【発明者】
【氏名】趙 策
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210491(JP,A)
【文献】特開2015-131878(JP,A)
【文献】特開平09-063755(JP,A)
【文献】特開2007-242243(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105608999(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルディスプレイ構造と、
前記フレキシブルディスプレイ構造の少なくとも一側に設けられたフィルム状構造とを含み、
前記フィルム状構造は、
第1可撓性層と、
第2可撓性層と、
前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に封止された充填材と、
前記充填材を加熱するための加熱部材とを含み、
前記第1可撓性層の辺縁部と前記第2可撓性層の辺縁部とで閉じることによって充填材を封入し、
前記充填材の硬度は、前記充填材の温度の変化に伴って変化し、
前記充填材は、第1閾値範囲の温度で固体であり、第2閾値範囲の温度で液体である熱特性材料を含み、
前記加熱部材は、前記充填材を固体にさせる第1閾値範囲から、前記充填材を液体にさせる第2閾値範囲に上昇するように前記充填材の温度を制御するフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項2】
前記フィルム状構造は、前記フレキシブルディスプレイ構造の第1面に設けられている請求項1に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項3】
前記熱特性材料は、ワックス及び樹脂のうちの少なくとも1つを含む請求項に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項4】
前記充填材は、少なくとも1つの孔状構造を有する可撓性多孔質層をさらに含み、
前記熱特性材料は、前記孔状構造に充填されている請求項またはに記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項5】
前記加熱部材は、金属枠と、前記金属枠に接続された配線とを含む請求項1~のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項6】
前記金属枠と前記配線の一部は、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に設けられ、かつ、前記配線の別の部分は、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間から延び出る請求項に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項7】
前記配線に接続された電源と、前記配線と前記電源の導通/遮断を制御するスイッチをさらに含む請求項に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項8】
前記充填材は、複数の孔状構造を含む可撓性多孔質層を含み、
前記熱特性材料は、前記孔状構造に充填され、
前記加熱部材は、格子状構造の金属枠と、前記金属枠に接続された配線とを含み、
前記複数の孔状構造は、それぞれ前記格子状構造の格子に設けられている請求項またはに記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項9】
前記可撓性多孔質層は、スポンジである請求項に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項10】
前記フィルム状構造は、前記充填材を冷却するための冷却部材をさらに含む請求項1に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項11】
冷却部材は、間隔を空けて設けられている複数の圧電冷却ユニットを含み、
前記圧電冷却ユニットは、前記充填材を冷却するための冷面と、熱面とを有する請求項1に記載のフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項12】
フレキシブルディスプレイ構造と、
第1可撓性層と、第2可撓性層と、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に封止され硬度が温度の変化に伴って変化し、前記第1可撓性層の辺縁部と前記第2可撓性層の辺縁部とで閉じることによって封入される充填材と、前記充填材を加熱するための加熱部材とを含み、前記フレキシブルディスプレイ構造の少なくとも一側に設けられたフィルム状構造と、
前記充填材を冷却するための冷却部材と
を含むフレキシブルディスプレイパネルの剛性/可撓性の切り替え制御方法であって、
前記充填材を固体にさせる第1閾値範囲から、前記充填材を液体にさせる第2閾値範囲に上昇するように前記加熱部材によって前記充填材の温度を制御することと、
前記第2閾値範囲から前記第1閾値範囲に下がるように前記冷却部材によって前記充填材の温度を制御することとを含むフレキシブルディスプレイパネルの剛性/可撓性の切り替え制御方法。
【請求項13】
第1可撓性層と、
第2可撓性層と、
前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に封止された充填材と、
前記充填材を加熱するための加熱部材とを含み、
前記第1可撓性層の辺縁部と前記第2可撓性層の辺縁部とで閉じることによって充填材を封入し、
前記充填材の硬度は、前記充填材の温度の変化に伴って変化し、
前記充填材は、第1閾値範囲の温度で固体であり、第2閾値範囲の温度で液体である熱特性材料を含み、
前記加熱部材は、前記充填材を固体にさせる第1閾値範囲から、前記充填材を液体にさせる第2閾値範囲に上昇するように前記充填材の温度を制御するフィルム状構造。
【請求項14】
前記熱特性材料は、ワックス及び樹脂のうちの少なくとも1つを含む請求項13に記載のフィルム状構造。
【請求項15】
前記充填材は、少なくとも1つの孔状構造を有する可撓性多孔質層をさらに含み、
前記熱特性材料は、前記孔状構造に充填されている請求項14に記載のフィルム状構造。
【請求項16】
可撓性多孔質層は、スポンジである請求項14に記載のフィルム状構造。
【請求項17】
前記加熱部材は、金属枠と、前記金属枠に接続された配線とを含む請求項1316のいずれか一項に記載のフィルム状構造。
【請求項18】
前記充填材を冷却するための冷却部材をさらに含む請求項1316のいずれか一項に記載のフィルム状構造。
【請求項19】
前記冷却部材は、間隔を空けて設けられている複数の圧電冷却ユニットを含み、
前記圧電冷却ユニットは、前記充填材を冷却するための冷面と、熱面とを有する請求項18に記載のフィルム状構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年1月25日に中国特許庁に提出された中国特許出願第201720096939.1号の優先権を主張し、その全ての内容が援用により本願に取り込まれる。
本発明は、フレキシブルディスプレイ分野に係り、特にフレキシブルディスプレイパネルおよびフィルム状構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルディスプレイ技術の発達に伴って、フレキシブルディスプレイ製品は、ディスプレイ市場で徐々に普及するようになっている。現在のフレキシブルディスプレイ画面は、ユーザの使用ニーズに応じて巻き取られることができる。しかし、画面を特定の巻き取り状態または平面拡張状態に維持するには、外部による支持が必要となる。そのため、フレキシブルディスプレイ画面の形状を維持するには、特定の支持体が必要である。
【0003】
従来技術において、支持体の内部に充填材として電気粘性流体が用いられることが一般的であり、電気粘性流体の電流特性によって可撓性と剛性の切り替えが直接に実現され、さらにフレキシブルディスプレイ画面の形状が維持される。しかし、その構造が複雑であり、かつ再現性が電気粘性流体の安定性に制限され、支持体そのものの実際的な応用が理想的ではない。
【0004】
これに鑑みて、フレキシブルディスプレイ画面の可撓性/剛性の切り替え制御が可能な実用的な技術手段の提供が急務になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、フレキシブルディスプレイパネルの可撓性/剛性の切り替え制御が可能かつ実用性がより高い技術手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、一態様として、本発明の実施例は、フレキシブルディスプレイ構造と、前記フレキシブルディスプレイ構造の少なくとも一側に設けられたフィルム状構造とを含むフレキシブルディスプレイパネルを提供する。ここで、前記フィルム状構造は、第1可撓性層と、第2可撓性層と、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に封止された充填材と、前記充填材を加熱するための加熱部材とを含む。ここで、前記充填材の硬度は、前記充填材の温度の変化に伴って変化する。
【0007】
ここで、前記フィルム状構造は、前記フレキシブルディスプレイ構造の第1面に設けられている。
【0008】
ここで、前記充填材は、第1閾値範囲の温度で固体であり、第2閾値範囲の温度で液体である熱特性材料を含む。
【0009】
ここで、前記熱特性材料は、ワックス及び樹脂のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
ここで、前記充填材は、少なくとも1つの孔状構造を有する可撓性多孔質層をさらに含み、前記熱特性材料は、前記孔状構造に充填されている。
【0011】
ここで、前記加熱部材は、金属枠と、前記金属枠に接続された配線とを含む。
【0012】
ここで、前記金属枠と前記配線の一部は、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に設けられ、かつ、前記配線の別の部分は、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間から延び出る。
【0013】
ここで、前記フレキシブルディスプレイパネルは、前記配線に接続された電源と、前記配線と前記電源の導通/遮断を制御するスイッチをさらに含む。
【0014】
ここで、前記充填材は、複数の孔状構造を含む可撓性多孔質層を含み、前記熱特性材料は、前記孔状構造に充填され、前記加熱部材は、格子状構造の金属枠と、前記金属枠に接続された配線とを含み、前記複数の孔状構造は、それぞれ前記格子状構造の格子に設けられている。
【0015】
ここで、前記可撓性多孔質層は、スポンジである。
【0016】
ここで、前記フィルム状構造は、前記充填材を冷却するための冷却部材をさらに含む。
【0017】
ここで、前記冷却部材は、間隔を空けて設けられている複数の圧電冷却(Piezoelectric cooling)ユニットを含み、前記圧電冷却ユニットは、前記充填材を冷却するための冷面と、熱面とを有する。
【0018】
別の態様として、本発明の別の実施例は、フレキシブルディスプレイパネルの剛性/可撓性の切り替え制御方法を提供する。前記フレキシブルディスプレイパネルは、フレキシブルディスプレイ構造と、前記フレキシブルディスプレイ構造の少なくとも一側に設けられたフィルム状構造とを含む。ここで、前記フィルム状構造は、第1可撓性層と、第2可撓性層と、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に封止された充填材と、前記充填材を加熱するための加熱部材とを含む。ここで、前記充填材の硬度は、前記充填材の温度の変化に伴って変化する。前記フレキシブルディスプレイパネルは、前記充填材を冷却するための冷却部材をさらに含む。前記方法は、前記充填材を固体にさせる第1閾値範囲から、前記充填材を液体にさせる第2閾値範囲に上昇するように前記加熱部材によって前記充填材の温度を制御することと、前記第2閾値範囲から前記第1閾値範囲に下がるように前記冷却部材によって前記充填材の温度を制御することとを含む。
【0019】
別の態様として、本発明の別の実施例は、フィルム状構造を提供する。前記フィルム状構造は、第1可撓性層と、第2可撓性層と、前記第1可撓性層と前記第2可撓性層との間に封止された充填材と、前記充填材を加熱するための加熱部材とを含む。ここで、前記充填材の硬度は、前記充填材の温度の変化に伴って変化する。
【0020】
ここで、前記充填材は、第1閾値範囲の温度で固体であり、第2閾値範囲の温度で液体である熱特性材料を含む。
【0021】
ここで、前記熱特性材料は、ワックス及び樹脂のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
ここで、前記充填材は、少なくとも1つの孔状構造を有する可撓性多孔質層をさらに含み、前記熱特性材料は、前記孔状構造に充填されている。
【0023】
ここで、前記可撓性多孔質層は、スポンジである。
【0024】
ここで、前記加熱部材は、金属枠と、前記金属枠に接続された配線とを含む。
【0025】
ここで、前記フィルム状構造は、前記充填材を冷却するための冷却部材をさらに含む。
【0026】
ここで、前記冷却部材は、間隔を空けて設けられている複数の圧電冷却ユニットを含み、前記圧電冷却ユニットは、前記充填材を冷却するための冷面と、熱面とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例によるフィルム状構造の概略図である。
図2】本発明によるフィルム状構造の加熱部材と充填材の配置の概略図である。
図3】本発明の一実施例によるフレキシブルディスプレイパネルを適用した概略図である。
図4】本発明の一実施例によるフィルム状構造の概略図である。
図5】本発明の一実施例によるフィルム状構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の解決しようとする技術課題、技術手段および利点をより明確にするために、以下、図面および具体的な実施例と結び付けて詳細に記載する。
【0029】
本発明の実施例は、フィルム状構造を提供する。図1に示すように、フィルム状構造は、第1可撓性層1と、第2可撓性層2と、第1可撓性層1と第2可撓性層2の間に位置する充填材3と、充填材3を加熱するための加熱部材4を含む。ここで、図1は、例示的に説明するためのものであり、加熱部材4を必ずしも第1可撓性層1と第2可撓性層2の間に設けるとは限られない。
【0030】
ここで、第1可撓性層1の辺縁部と第2可撓性層2の辺縁部とで閉じることによって充填材3を封止する。充填材3の硬度は、環境温度の変化に伴って変化する。
【0031】
本実施例のフィルム状構造は、硬度が温度の変化に伴って変化することによって可撓性と剛性の切り替えが実現され、フレキシブルディスプレイパネルの形状の固定に用いられることが分かる。電気粘性流体による支持体を用いた従来技術の技術手段と比較して、本実施例は、構造がより簡単であり、かつ実際の適用において電気粘性流体の電気状態制御より加熱方式のほうが実施しやすいため、実用性がより高い、市場におけるフレキシブルディスプレイ製品の普及に有利である。
【0032】
ここで、「硬度」とは、材料の局部の、その表面への硬い物体の押し入りに対する抵抗力を指す。例えば、ワックスの場合、凝固中に硬度が徐々に上昇する。「剛性」とは、材料または構造の、外力を受けたときに抵抗して変形する能力を指す。
【0033】
以下、具体的な実施形態と結び付けて、本実施例のフィルム状構造を詳細に説明する。
【0034】
具体的に、本実施例の充填材は、少なくとも一部が熱特性材料からなる。当該熱特性材料は、環境温度(すなわち熱特性材料の温度)が第1閾値範囲に属するときに固体であり、環境温度が第2閾値範囲に属するときに液体である。ここで、前記第1閾値範囲と前記第2閾値範囲は、異なる温度範囲を指す。
【0035】
例として、本実施例の熱特性材料は、ワックスである。ワックスは、常温で固体であり、加熱されると液体になり、環境にやさしい材料であるので、充填材として適切である。
【0036】
ワックスが加熱されて液体になると、本実施例のフィルム状構造は、可撓性を呈し、フレキシブルディスプレイパネルとともに巻き取られることができる。ワックスが常温で固体であると、フィルム状構造が一定の構造強度を有することが保証され、フレキシブルディスプレイパネルは、剛性を呈し現在の形状が維持される。
【0037】
もちろん、ワックスが固体状態で比較的に脆いことを考慮し、充填材として用いられるとフィルム状構造の可撓性が低下する可能性がある。上記の問題を回避するための対策として、本実施例の充填材は、可撓性多孔質層をさらに含んでもよい。可撓性多孔質層は、1つ以上の孔状構造(例えばスポンジ)を有する。ここで、ワックスは、当該可撓性多孔質層の孔状構造に充填されている。
【0038】
可撓性多孔質層とワックスを組み合わせることによって、充填材が比較的に脆いという欠点を解決することができ、フィルム状構造全体の可撓性を向上させることによって、フィルム状構造でフレキシブルディスプレイパネルの形状をより安定に維持することができる。
【0039】
さらに、図2に示すように、本実施例の加熱部材は、金属枠41および前記金属枠に接続された配線42を含む。
【0040】
ここで、図1図4に示すように、金属枠41と配線42の一部は、第1可撓性層と第2可撓性層との間に設けられ、かつ、配線の別の部分は、第1可撓性層と第2可撓性層との間から延び出て、電源に接続されている。
【0041】
ここで、上記金属枠41は、1つの抵抗とすることができる。配線42が通電されると、金属枠41は、温度が上昇して熱特性材料を加熱する。
【0042】
実際の適用において、本実施例の金属枠41は、格子状構造であり、熱特性材料が充填された可撓性多孔質層43は、格子に設けられ、金属枠41から均一に加熱される。
【0043】
以上、本実施例のフィルム状構造を例示的に説明したが、上記の実現方式によって本発明の保護範囲を限定することはない。
【0044】
例えば、本実施例の第1可撓性層と第2可撓性層は、独立した2つの層に限られず、一体化されたものと見なしてもよい。または、フィルム状構造は、より多くの可撓性層を有する。
【0045】
さらに例えば、本実施例の加熱部材は、金属枠と配線によるものに限られない。抵抗として利用できる部材であれば、電流加熱に適用することができる。したがって、加熱部材は、金属配線のみを含んでもよく、すなわち金属配線の一部が電熱線として利用される。さらに、他の加熱方式の採用も可能である。
【0046】
さらに例えば、本実施例の熱特性材料は、ワックスに限られず、樹脂または特性が類似する高分子材料であってもよく、例えばワックスと樹脂の組み合わせである混合材料であってもよい。
【0047】
また、図5に示すように、前記フィルム状構造は、前記充填材を冷却するための冷却部材をさらに含む。前記冷却部材は、間隔を空けて設けられている複数の圧電冷却ユニット50を含む。複数の圧電冷却ユニット50を間隔を空けて設けたことによって、フィルム状構造の可撓性の要求を満たすことができる。前記圧電冷却ユニット50は、前記充填材を冷却するための冷面51と、熱面53とを有する。図5に示す実施例において、冷面51は、第1可撓性層1に貼り合わされ、前記熱面53は、第1可撓性層1から遠く離れる。
【0048】
本実施例の実現形態は、唯一ではないので、本明細書では枚挙して記載しない。
【0049】
別の態様として、本発明の実施例は、フレキシブルディスプレイ構造31と、フレキシブルディスプレイ構造31の少なくとも一側に設けられた貼り合せフィルムを含むフレキシブルディスプレイパネルをさらに提供する。当該貼り合せフィルムは、本発明による前記フィルム状構造が採用される。
【0050】
一実施例において、貼り合せフィルムは、フレキシブルディスプレイ構造31の第1面に設けられている。しかも、フレキシブルディスプレイ構造31の第1面は、フレキシブルディスプレイ構造31の非出射面であってもよい。
【0051】
本発明のフィルム状構造の設計に基づき、貼り合せフィルムに対し加熱、加熱停止または冷却することだけで、フレキシブルディスプレイパネルの可撓性/剛性の切り換えが実現される。簡単に実現されるため実用性が高く、市場におけるフレキシブルディスプレイパネルの普及に大きな意義を持つ。
【0052】
さらに、本実施例のフレキシブルディスプレイパネルの貼り合せフィルムの加熱部材に図2に示す金属枠41および金属枠に接続された配線42を含むのであれば、本実施例のフレキシブルディスプレイパネルは、配線に接続された電源と、配線と電源の導通/遮断を制御するスイッチをさらに含んでもよい。
【0053】
実際の適用において、図3に示すように、本実施例の貼り合せフィルム32は、配線33によってフレキシブルディスプレイパネルの電源に接続される。ユーザがフレキシブルディスプレイパネル31を希望の形状に巻き取りたい場合、貼り合せフィルム32の加熱部材に通電するようにフレキシブルディスプレイパネルの電源を制御することだけで、加熱方式で貼り合せフィルム32内の充填材の硬度を低下させる。
【0054】
充填材の硬度が一定程度まで低下すると、フレキシブルディスプレイパネルは、可撓性を呈する。このとき、ユーザは、フレキシブルディスプレイパネルを巻き取ることができる。フレキシブルディスプレイパネルが希望の形状に巻き取られると、ユーザは、電源をオフにして加熱部材による加熱を停止させる。充填材は、冷却中に硬度が徐々に上昇する。よって、貼り合せフィルム32は、フレキシブルディスプレイパネル31を支持することができる。このとき、フレキシブルディスプレイパネルは、剛性を呈し、現在の形状がそのまま維持される。
【0055】
上述した実際の適用によれば、本発明は、フィルム状構造によってフレキシブルディスプレイパネルの可撓性/剛性の切り換えを制御することができる。従来技術の支持体と比較して、本発明の貼り合せフィルムは、体積が小さく、ユーザにとって優れた使用性となる。
【0056】
また、本発明の一実施例は、前記フレキシブルディスプレイパネルの剛性/可撓性切り替え制御方法をさらに提供する。前記方法は、前記充填材を固体にさせる第1閾値範囲から、前記充填材を液体にさせる第2閾値範囲に上昇するように前記加熱部材によって前記充填材の温度を制御することと、前記第2閾値範囲から前記第1閾値範囲に下がるように前記冷却部材によって前記充填材の温度を制御することとを含む。
【0057】
以上の記載は、本発明の選択可能な実施形態である。なお、当業者にとって、本発明に記載される原理から逸脱することなく、若干の改良や修飾を行うことができる。これらの改良や修飾も、本発明の保護範囲とみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5