(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】衣料・建築物内外装材用漂白剤の高濃度安定化方法及び処理方法
(51)【国際特許分類】
D06L 4/23 20170101AFI20220726BHJP
【FI】
D06L4/23
(21)【出願番号】P 2019000456
(22)【出願日】2019-01-07
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】P 2018089276
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518159522
【氏名又は名称】石田 智洋
(73)【特許権者】
【識別番号】592178794
【氏名又は名称】株式会社メルス技研
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100174540
【氏名又は名称】阿部 廣美
(72)【発明者】
【氏名】石田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】関 秀行
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-022541(JP,A)
【文献】特表2013-502377(JP,A)
【文献】特開2004-155651(JP,A)
【文献】特開昭59-093799(JP,A)
【文献】特開2001-302425(JP,A)
【文献】特開2001-302423(JP,A)
【文献】特開2017-053054(JP,A)
【文献】特開2018-016550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06L 1/00-4/75
C02F 1/50
C02F 1/70/1/78
C11D 1/00-19/00
D21B 1/00-1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00-9/00
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00-7/00
D06M 11/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液に、有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシド、及び、有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素を加えてモノクロラミンを生成させ、pH=8.0~10.4に調節した一次漂白剤に被処理物を浸漬する又は該一次漂白剤を被処理物に向けて噴霧する、漂白処理方法。
【請求項2】
有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液、又は、前記一次漂白剤に前記各水溶液の少なくともいずれかを追加してなる二次漂白剤に、請求項1に記載の漂白処理後の被処理物を浸漬する又は該二次漂白剤を請求項1に記載の漂白処理後の被処理物に向けて噴霧する、漂白処理方法。
【請求項3】
有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液に、有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシド、及び、有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素を加え、pH=8.0~10.4に調節した、一次漂白剤の製造方法。
【請求項4】
請求項3にて製造された一次漂白剤に対し、有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液、又は、前記一次漂白剤に前記各水溶液の少なくともいずれかを追加した、二次漂白剤の製造方法。
【請求項5】
有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液と、
有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシドと、
有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素と、
を含有し、pH=8.0~10.4である、一次漂白剤。
【請求項6】
請求項5
に記載の一次漂白剤と、
有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリド水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液と、
を含有する、二次漂白剤。
【請求項7】
請求項5
に記載の一次漂白剤と、
有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液と、
からなる、漂白剤セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
漂白は、白物衣料だけでなく建築物内外装のカビ汚れ除去にも有効な作用であり、これまで数多の商品が市場に出回ってきた。「酸化漂白剤」と総称されるものには、一般に「塩素系」と「酸素系」とがある。
前者の「塩素系」は、次亜塩素酸(化学示性式HOCl)又は同イオン(同OCl-)が有する塩素化作用に併せ酸化・分解作用に期待するもので、染料や色素とは反応しても植物性繊維衣料(綿や麻等のセルロース)やポリエステルPET・ポリプロレンPP・ポリエチレンPE等の合成繊維とは反応し難い物質特性を利用している。
後者の「酸素系」は、次亜塩素酸等の塩素系製剤による塩素化(クロラミン生成)や分解を避けるために、塩素化反応を起こさない過酸化水素に代表される化学物質を含有する製剤であり、主に動物性繊維衣料(羊毛や絹)の漂白に使われている。
【0002】
合成化学物質によらなくても漂白することは可能で、古くは製紙用のコウゾやミツマタ等の外皮繊維、麻や綿等の天然繊維及び織物が、雪上に晒されることによって漂白されることが知られている。この伝統技術は、太陽光中の紫外線が雪の水分子を励起し活性酸素を生成すると共に素材中色素も紫外線吸収して光化学反応を起こし、最終的に色素が分解される機構で説明される。又、アナターゼ型二酸化チタンが酸化加速の光触媒として注目されている。
【0003】
本発明は、セルロース系天然繊維やポリエステル繊維を主体として成る下着やワイシャツ等白物衣料の織物繊維隙間に残り常在菌が餌とする脂質残渣由来の「黄ばみ汚れ」、及び、建築物内外装材の深部に食い込んだカビ菌糸由来の色素の何れも漂白する薬剤の高濃度安定化調製方法及び漂白処理方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ヒトの表皮には皮脂腺があり、皮脂で皮膚・毛髪などの整調を行っている。又、下着やワイシャツ等の白物衣料は「黄ばみ汚れ」を嫌う。そのため、家庭内やクリーング工場では、洗濯・洗浄及び染み抜きを頻繁に行なう。一方、建築物内外装材の深部に食い込んだカビ菌糸由来の色素を漂白することはきわめて難しかった。皮脂や脂溶性成分が白物衣料の繊維隙間に、或いは、内外装素材表層に残留したままになると、体表や内外装材表面の常在菌がこれを変質させ有色の汚れが付く。これが俗にいう「黄ばみ汚れ」や「カビの有色汚れ」である。尚、カビは真菌の一種である。
【0005】
漂白剤として知られる薬剤は総じて酸化剤であり、気体としてオゾン、液体として次亜塩素酸水、過酸化水素水及びオゾン水が知られ、今は汎用になっている。但し、還元系漂白剤として亜硫酸ナトリウム等が知られるが、用途は酸化系に比較して限定されている。
又、上述の塩素剤に属する次亜塩素酸ナトリウムは、水溶液中でイオン解離している。
実質的に100%次亜塩素酸イオン(OCl-)になっている塩素水で望む漂白力を得ようとすれば、0.5%(=5,000mg/L)以上の高濃度を必要とするのが実態である。流通時は3~12%の次亜塩素酸ナトリウム液を希釈しても、0.5%以上では気液平衡により次亜塩素酸水和物が気化し、強い塩素臭を発すると共に有効塩素濃度が自然低下即ち「失活」する。こうした不具合は、これまで未解決の懸案事項になっていた。
一方、酸素系の過酸化水素水やこれを吸着させた特許文献1等に記載の過炭酸水を選択すると、脱離した過酸化水素が早期分解し未反応の酸素気泡となって失活し易く、漂白等の効能は次亜塩素酸水に劣る。因って、洗濯作業では動物性繊維の漂白に向くとされてきた。
【0006】
上述塩素剤のpH=6以上における失活は、特許文献2記載の通り、次亜塩素酸(分子式はHOCl)との解離平衡反応で生成した次亜塩素酸イオン(OCl-)の3分子間で不均化反応が起き、本願発明者の永年の研究で、2分子中の酸素原子が離れて自らは塩化物イオンになり、残る1分子に該酸素原子が転位し塩素酸イオン(ClO3
-)に転化する機構が主因と判明している。又、pH=4以下における失活も「Cl2・8H2O」で概略提示される水和ガスの気相への拡散が主因である。即ち、毒ガスとしてトラウマ化している乾燥塩素ガス(Cl2)の揮散ではない。更に、強い刺激を与える塩素臭の正体も該水和塩素ガスであるが、該拡散速度がpH=4以下になると急上昇するのも周知事実である。
【0007】
他方、高濃度モノクロラミン(化学示性式NH2Cl)の濃度低下は、平衡関係にあるジクロラミン(NHCl2)への塩素化進行及び不可逆の自然分解によるものと考えられている。因って、次亜塩素酸イオン、次亜塩素酸及びモノクロラミンの高濃度安定化は、上述不均化反応を抑制することで可能となるはずである。即ち、溶液中における次亜塩素酸イオン(OCl-)3分子の近接を阻害する錯化合物を該イオン間に挟めば、高濃度安定化が図れることになる。但し、特許文献3記載の「有色カビの除去方法」に於いて高濃度モノクロラミン水を得るために現場調製を必要としたが、本願発明を実施すれば課題を克服でき、高濃度モノクロラミン水の事前調製及び長期保管が可能となる。
【0008】
本願発明者は、2-メルカプトピリジン-N-オキシド(互変異性体としてピリチオン)がヨウ素と比較的安定な錯体をつくること及び遊離ヨウ素による着色の解消策を発見、更なる成分と工夫を加えて特許文献4記載の抗真菌剤を発明した。但し、該抗真菌剤による処理では、カビの増殖阻止に用途が限定され、分生子柄が成熟して重なり真っ黒になるまで、即ち既に生えてしまったカビ汚れを早期に分解・漂白することは困難であった。
基材深くまで貫入した菌糸を根こそぎ不活性化するための前処理に最適な薬剤は特許文献5で示されるモノクロラミン水溶液であるが、漂白の面では、モノクロラミンの効能判定に約一カ月を要する程に速度が遅い難点があった。
上述の単一薬剤による前処理では漂白力の発揮は弱いが、生えたカビの除去に、併用して威力を発揮するのは特許文献2で示される弱酸性・次亜塩素酸水に他ならない。特許文献3の「有色カビの除去方法」は正に該併用効果に基づくものである。但し、特許文献3のpH緩衝性・弱酸性次亜塩素酸水の濃度上限は1,000mg/L=0.1%であるが、漂白目的では失活速度を見込んだ上で、より高濃度の次亜塩素酸水も実用に供せる。
【0009】
一方、10mg/Lを超える高濃度モノクロラミン水について、遮光だけの高濃度安定化及び保存には難点があり、商品としての流通もなかった。モノクロラミン水の高濃度安定化は、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン及びモノクロラミンと共有結合しないまでも、水素結合等の物理化学的結合を形成する「錯体と成り得る化学物質」を捜索することが基本となる。
錯体形成の根幹となる感応基は、「≡N→O」で示される窒素と酸素の配列構造である。又、該N-オキシドの錯体形成には最外殻のπ軌道電子が関与し、ヨウ素以外の相手が同族ハロゲン元素である塩素又は臭素であっても同様の錯結合が存在し得る。
【0010】
但し、活性酸素を収奪又は放出するような化学物質の添加では、次亜塩素酸イオンとの化学反応が進行し、錯結合形成による失活防止どころではなくなる。この種の漂白剤は、水溶液中に安定に溶存することが不可欠で、課題未解決によりこれまで登場してこなかった。
【0011】
一方、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンと錯結合より強固な共有結合を形成する化学物質として、塩素化イソシアヌル酸(イソシアヌル酸クロリド)が既に知られている。シアヌル酸構造は窒素原子(N)と炭素原子(C)とが交互に結合した六員環であり、塩素化物もモノ(1)、ジ(2)、トリ(3)の塩素置換体が3種存在する。
但し、粉末又は顆粒の該化学物質は、水中に添加すると、塩素置換数に関わらず容易に溶解し、加水分解して解離する。生成するのは次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン及びシアヌル酸であり、双方の間には、安定な錯体とは断定し難いが、ある程度の錯結合が存在する。但し、殺菌力に該錯体と遊離塩素とで大差がないことから、解離物質間の錯結合は極めて弱いことが判っている。そこで、残留塩素濃度測定のための試薬種、例えばロイコクリスタルバイオレット等を選択すれば、「結合が弱く実質的に遊離の残留塩素」を「結合残留塩素」として分別測定することも可能である。
【0012】
従って、塩素化イソシアヌル酸水溶液にアンモニア若しくはアンモニウム塩を添加しても、モノクロラミンはpH律速で生成する。上述のN-オキシド処方例程ではないが、シアヌル酸共存の高濃度モノクロラミン水も、濃度安定性が増して分解し難くなる。
【0013】
塩素系漂白剤の多くは、処理対象物がアンモニア、アミン、アミノ酸、尿素等カルバミドが構造内に有する「R-NH2」と塩素(Cl)とが一置換してモノクロラミン(R-NHCl)を塩基性側で速く生成する。二置換してジクロラミン(R-NCl2)を生成する速度が増すのは酸性側においてである。従来は、この一般原則をよく理解できないまま、試行錯誤で該反応の実用化を図ってきた。従って、遊離塩素及び結合塩素の特性を詳細に把握し、体系づけた失活防止策を講じることなく、塩素要求量が少ない界面活性剤等を闇雲に添加して商品化を図ってきた経緯がある。
【0014】
本願冒頭で述べた衣類の「黄ばみ汚れ」の多くは、身体から分泌される脂肪酸のグリセリンエステルが体表の微生物によって分解・変性した物質である。生乾き臭の元凶とされる4-メチル-3-ヘキセン酸も正に該微生物の産生物で構造内に二重結合を有している。又、上述脂肪酸も飽和物とは限らず不飽和脂肪酸も含まれており、微生物の分解によって種々の着色物質が生成する。即ち、界面活性剤に起因する石鹸滓を含めて、不飽和炭化水素の分子鎖が残っていると却って黄色に呈色しやすい。更に、分子鎖の二重結合がオキシドになったり、高分子化したりすることもある。該「黄ばみ汚れ」は、繊維に食い込んでおり落し難い。現実として、一旦乾燥し固化した黄ばみ汚れ落しに、従来の「界面活性剤分子で取り囲んで懸濁性を高めるミセル形成の洗濯理論」は通用しない。
【0015】
因って、これまで未解決課題となっていた「黄ばみ汚れ」の除去・漂白には、新たな洗浄概念の導入を必要とする。即ち、衣料の繊維と有色汚れとの付着力を弱めるために、静電気的反発を受け難く、且つ分子量が小さい薬剤を深部の該付着面まで先ず浸透させる概念が不可欠となった。この概念は期せずして、建築物内外装材の深部に食い込んだカビ菌糸由来の色素を漂白する場合に不可欠な概念と一致した。新たな発想で具体例の筆頭に挙げられる化学物質は、非解離分子で、「NH2Cl」の分子式で示されるモノクロラミンである。
【0016】
漂白処理中に液中で化学反応を起こさせ、漂白性化学物質を新たに生成させる、若しくは、再生させる発想は従来の漂白剤にはなかった。即ち、従来は一定濃度に処方された水溶液に処理対象物を浸漬するか、処理対象物に漂白剤を噴霧し、溶存成分の漂白力を発揮させようとするものであり、漂白力の効能は漸減し、作用途中で増大することはなかった。
しかし、非特許文献1及び非特許文献2に記載の通り、pH=5~9の条件でモノクロラミンの塩素化を進行させジクロラミン(NHCl2)を生成させれば、自然分解して次亜塩素酸(HOCl)を再生する。発明者はこの事実をスイミングプール水の処理で立証済みである。結論すれば、次亜塩素酸の再生を遊離残留塩素濃度の上昇で確認することは、再生速度と再反応に伴う消費速度との関係からpH=6.5~7.2及び水温15℃以下で比較的容易で、確認しにくい再生反応はより広いpH範囲で起きていることが判明している。
【0017】
又、微生物が分泌、主に多糖体からなるスライム(生物膜)の剥離にモノクロラミンが著効を示すことも非特許文献3に記載の通りであり、この知見はすでに情報公開済みである。
いずれの特性も、用水からの脱窒素、アメーバのシスト化および細菌叢の剥離に活用でき既に実用化されているが、「黄ばみ汚れ」の除去・漂白に活用しても威力を発揮すると確信し数多の実験を行って本願発明に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開昭49-119933号公報
【文献】特開2014-9227号公報
【文献】特開2018-16550号公報
【文献】特開2015-81233号公報
【文献】特開2008-264678号公報
【0019】
【文献】Bernard M.Saunier and Robert E.Selleck,The “Kinetics of Breakpoint Chlorination in continuous Flow Systems”Jour.AWWA,164-172(Mar.1979)
【文献】関秀行、李正雄;プール水質管理への提言/プール水におけるモノクロラミンの測定と遊離塩素再生の証明,用水と廃水Vol.33,ナンバー5(1991)
【文献】関秀行、中尾豊;レジオネラ対策としてのモノクロラミン/遊離塩素消毒併用法の実用事例報告,用水と廃水,Vol.53、ナンバー8(2011)
【文献】Caroline Nguyen,Carolyn Elfland,MarcEdwards,Impact of advanced water conservation and new copper pipe on rapid chloramine decay and microbial regrowth,Water Research 46(2012)611-621
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
先ず、セルロース系天然繊維やポリエステル繊維を主体として成る下着やワイシャツ等白物衣料の織物繊維隙間に残る常在菌が餌とする脂質残渣由来の「黄ばみ汚れ」、及び、建築物内外装材の深部に食い込んだカビ菌糸由来の「色素」、まで高濃度で浸透し、浸透途中で分解を起こし難い高濃度のモノクロラミンを調製する方法が課題となる。次の課題は、漂白処理対象物の深部において漂白力の強い化学物質即ち次亜塩素酸を如何に生成させるかである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
最初の課題解決には、高塩基性(高pH)において略全量が次亜塩素酸イオンとして解離している塩素剤水溶液に如何なる錯体形成物質を添加して失活原因になる不均化反応を抑えるかであり、種々の実験を行ってアルキルアミンオキシドを選択した。これにアンモニア(NH3)又はアンモニウム塩を加えると、高pH条件下であるので、次亜塩素酸イオンとアンモニアとが反応し高濃度のモノクロラミンを生成する。因って、これが「一次漂白剤」になる。尚、添加されている錯体形成物質はクロラミン生成反応を阻害することはなく、むしろ生成したモノクロラミンの構造安定化の役割も果たす。
【0022】
該一次漂白剤による処理に続き、モノクロラミンの塩素化を進行させ、且つ反応速度を加速するための中和の役割を果たすイソシアヌル酸クロリド(塩素化イソシアヌル酸)の水溶液を調製する。これが「二次漂白剤」になる。尚、モノクロラミンの塩素化進行は弱酸性にpH調節した次亜塩素酸水溶液でも遂行可能であり、使用時の現場で中和を行なう等の作業をして次亜塩素酸濃度を高く確保できれば汎用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を代用することも可能である。
モノクロラミンの塩素化が進行しジクロラミンを生成する反応の速度は、モノクロラミン生成とは逆に、低pHにおいて大になる。また、ジクロラミンの自然分解反応を含め、有効塩素の分解反応はすべて酸性化反応であり、分解の進行とともに漂白剤水溶液のpHは低下して分解はより加速する。よって、漂白処理対象物の深部で次亜塩素酸を再生させる開始剤として、該二次漂白剤は弱酸性であることが好ましい。
【0023】
つまり本発明ならば、高pHにて高濃度のモノクロラミンによる一次漂白剤として機能を奏するのみならず、低pHにてジクロラミンの生成及び分解と次亜塩素酸再生による二次漂白剤機能を奏させる、という二段構えでの顕著な漂白効果を奏する。
【0024】
上述の課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液に、有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシド、及び、有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素(NH3-N/Cl2=1~2[M/M]≒0.2~0.4[wt./wt.])を加えて高濃度のモノクロラミンを生成させ、pH=8.0~10.4に調節して薬剤の高濃度安定化を図ったことを特徴とする一次漂白剤及び該水溶液に被処理物を浸漬する又は該水溶液を被処理物に向けて噴霧する漂白処理方法。
(2)(1)の漂白処理の途中に加える為の、有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、使用の直前にpH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液を特徴とする二次漂白剤及び処理中の一次漂白液に該二次漂白剤を追加して上述(1)の漂白処理に引き続き被処理物を浸漬する、又は、(1)の漂白処理に続いて二次漂白剤を被処理物に向けて噴霧する漂白処理方法。
【0025】
上述(1)の手段によれば、天然繊維やポリエステル繊維等を主体として成る白物下着、ワイシャツ及び作業用靴下等の繊維隙間に残った「脂溶性物質」を酸化及び分解して漂白することが可能になった。併せて、水溶液中におけるアルキルアミンオキシドとモノクロラミンの錯結合により、反応時に発生し易い次亜塩素酸水和ガス及び三塩化窒素NCl3に代表される高度塩素化物ガスに付随する両臭気の低減効果も得られた。
【0026】
上述(1)の薬剤に関し、水溶液を調製する次亜塩素酸塩はナトリウム塩に限定されたものではなく、カルシウム塩やカリウム塩も使用できる。又、実用に供し易いアルキルアミンオキシドとして、界面活性剤として市販されているジメチルラウリル(C12)アミンオキシド、ジメチルミリスチル(C13)アミンオキシド及びジメチルステアリル(C18)アミンオキシドが挙げられ、いずれの選択も可となる。加えて、次亜塩素酸イオンが塩素酸イオンに転化するのを阻止できる他種のアルキルアミンオキシドも使用可能である。
実施例では、入手容易なジメチルミリスチル(C13)アミンオキシドを選択した。
【0027】
上述(1)の薬剤に関し、アンモニア性窒素とは、アンモニア及びアンモニウムイオンの少なくともいずれかである。アンモニアを選択する場合はアンモニア水を使用してもよい。アンモニウムイオンを選択する場合はアンモニウム塩を使用してもよい。例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、又はその他塩を使用してもよい。なお塩化アンモニウムは後述の実施例にて使用した。
また、有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素のことを、(NH3-N/Cl2=1~2[M/M]≒0.2~0.4[wt./wt.])と記載する。
【0028】
上述(2)の手段によれば、上述(1)の手段に追加された二次漂白剤の有効塩素が既に浸透している一次漂白剤の方向に濃度拡散することで、モノクロラミンの塩素化が進行する。
一方、イソシアヌル酸ジクロリドの粉末や顆粒を水に溶解しただけで、上述(2)の手段における二次漂白剤のpHは6.3~6.7になった。又、イソシアヌル酸トリクロリドの粉末や顆粒では、水溶液のpHは更に低下する。因って、一次漂白剤と二次漂白剤を混合することに伴い中和反応が起き、pH低下によってジクロラミンの生成及び分解と次亜塩素酸再生の反応は加速する。
更に、使用の直前にpH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度1,000~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液を二次漂白剤として用いても同じ現象が起きる。なお、両水溶液を混合しても構わない。
生成したジクロラミンは自然分解し、被処理物の深部に於いて次亜塩素酸を再生すると共に窒素ガス(N2)を放出する。再生した次亜塩素酸は、有色物質の構造内にある二重結合の一方である結合π軌道電子を奪うことで酸化(オキシド生成)、更に反応が進んで二重結合を切断し無色の物質に分解する。
即ち、再生遊離塩素により、脂溶性の「黄ばみ汚れ」及び内外装素材深部に食い込んだ真菌の菌糸由来の色素を徹底して分解・漂白することが可能になった。
【0029】
上述(2)の二次漂白剤においては、イソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドを水溶液にすることで、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンとシアヌル酸の3物質は解離平衡している。因って、塩素酸イオン生成に伴う失活を懸念しなくて構わない。
即ち、モノクロラミンの塩素化が進みジクロラミンを生成することで、自然分解に伴う次亜塩素酸の再生と窒素気泡の発生が起き、結果として漂白効果を高めることが可能になった。該反応式は「2NHCl2+H2O→N2+HOCl+3H++3Cl-」で示される。
更に、該分解は水素イオン(H+)を生成する酸性化反応であり、分解が進むほどpHが低下して未反応の次亜塩素酸生成へと解離平衡反応(H++OCl-→HOCl)は傾く。よって、有効塩素起因の酸化反応による漂白は更に加速することになる。
【0030】
一方、非解離のモノクロラミン(分子式:NH2Cl)と弱酸性・次亜塩素酸(同:HOCl)の2物質を高濃度で各安定化させ、漂白処理の過程で双方を反応させれば、強い殺菌・漂白力を発揮すると同時に、各種繊維の隙間への浸透性を期待できる。モノクロラミンと次亜塩素酸の分子径はともに水分子径と略同じであり、反応性が弱いモノクロラミンの方が繊維の隙間深くに浸透し易く、脂溶性汚れ剥離への寄与も期待できる。
本願発明の要点は、処理対象物の深部において漂白力の強い次亜塩素酸を再生させることにあり、処理対象物の表面で漂白力が強く分解もし易い薬剤を接触させる従来の技術とは発想が全く異なる。尚、該分解・漂白及び脱窒素に伴う微細気泡発生の現象は、本願発明者が初めて発見し実用化に応用したものである。
【0031】
上述(2)の二次漂白剤に関し、水溶液の解離平衡が異なればpHも異なってくる。実施例では、pH=8.0~9.0に調節する難易度及び発する臭気強度の兼ね合いで、イソシアヌル酸ジクロリド(別称:ジクロロイソシアヌル酸)を選択して二次漂白剤を調製した。イソシアヌル酸トリクロリド(別称:トリクロロイソシアヌル酸)の選択も無論できる。
【0032】
その他の態様は以下の通りである。
<1>有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液に、有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシド、及び、有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素を加えてモノクロラミンを生成させ、pH=8.0~10.4に調節した一次漂白剤に被処理物を浸漬する又は該一次漂白剤を被処理物に向けて噴霧する、漂白処理方法。
<2>有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液、又は、前記一次漂白剤に前記各水溶液の少なくともいずれかを追加してなる二次漂白剤に、請求項1に記載の漂白処理後の被処理物を浸漬する又は該二次漂白剤を<1>に記載の漂白処理後の被処理物に向けて噴霧する、漂白処理方法。
<3>有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液に、有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシド、及び、有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素を加え、pH=8.0~10.4に調節した、一次漂白剤の製造方法。
<4><3>にて製造された一次漂白剤に対し、有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液、又は、前記一次漂白剤に前記各水溶液の少なくともいずれかを追加した、二次漂白剤の製造方法。
<5>有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液と、
有効塩素1モルに対し1/4~1モル相当のアルキルアミンオキシドと、
有効塩素に対し同1~2モル相当のアンモニア性窒素と、
を含有し、pH=8.0~10.4である、一次漂白剤。
<6>有効塩素濃度2,001~20,000mg/Lのモノクロラミンを含有し、且つ、pH=8.0~10.4であり、且つ、モノクロラミンの有効塩素濃度の減少率が1%/日以下である、一次漂白剤。
<7>有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液である、二次漂白剤。
<8><5>又は<6>に記載の一次漂白剤と、
有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリド水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液と、
を含有する、二次漂白剤。
<9><5>又は<6>に記載の一次漂白剤と、
有効塩素濃度500~30,000mg/Lのイソシアヌル酸ジクロリド若しくはイソシアヌル酸トリクロリドの水溶液、又は、pH=5.0~7.0に調節した有効塩素濃度500~30,000mg/Lの次亜塩素酸塩水溶液と、
からなる、漂白剤セット。
【発明の効果】
【0033】
先ず、セルロース系天然繊維やポリエステル繊維を主体として成る下着やワイシャツ等白物衣料の織物繊維隙間に残る常在菌が餌とする脂質残渣由来の「黄ばみ汚れ」、及び、建築物内外装材の深部に食い込んだカビ菌糸由来の「色素」、まで高濃度で浸透し、浸透途中で分解を起こし難い高濃度のモノクロラミンを調製できる。次の効果は、漂白処理対象物の深部において漂白力の強い化学物質即ち次亜塩素酸を生成させられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係るアルキルアミンオキシドの構造の一例を説明するための図である。
【
図2】本発明に係る塩素化イソシアヌル酸の構造の一例を説明するための図である。
【
図3】本発明に係る一次漂白剤の塩素濃度が安定であることを説明するための図である。
【
図4】本発明に係る漂白処理結果の実施例1を説明するための写真である。
【
図5】本発明に係る漂白処理結果の実施例2を説明するための写真である。
【
図6】本発明に係るカビ汚れ漂白の実施例3を説明するための写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、
図1及至
図6を参照にしながら本発明の実施の形態にかかる漂白剤の調製並びに処理方法を説明する。
図1は、ジメチルラウリル-アミンオキシド及びジメチルミリスチル-アミンオキシドの示性式で、一次漂白剤には同族のアルキルアミンオキシドを添加、次亜塩素酸イオン及びモノクロラミンの構造安定化を図っている。
図2は、上述(2)の手段に用いたイソシアヌル酸ジクロリドの構造を示したものである。
【0036】
図3は、非特許文献4に載る一般的手法によって生成調製された低濃度モノクロラミン水溶液と上述(1)の薬剤(一次漂白剤)其々の有効塩素濃度変化を経時的に測定した結果である。有効塩素濃度はDPD法及びヨード法のデジタル表示式吸光光度計によって測定した。
Y軸は対数目盛にしてあるが、本願発明の薬剤調製後少なくも2ヶ月間は2,000mg/L前後の有効塩素濃度を維持でき、商品流通時の失活を心配しなくて済む。即ち、時間軸単位と勾配を比較すれば、従来と比較し約50倍の安定性が得られる。勿論、有効塩素濃度が半分の1,000mg/Lになった一次漂白剤を使用した場合、漂白速度は相応に低下するが全くの使用不可にはならず、これを承知した上で使用することに支障はない。本願発明の一次漂白剤においてモノクロラミンの有効塩素濃度の低下度合は非常に緩慢である。例えばモノクロラミンの有効塩素濃度の初期値(作製日)からの減少率は1%/日以下が好ましく、0.5%/日以下がより好ましく、0.25%/日以下が更に好ましい。
【0037】
なお、上述(1)の一次漂白剤と、上述(2)の二次漂白剤とからなる漂白剤セットにも本願発明の技術的思想が反映されている。例えば、実施例3のように食品販売店舗天井の汚れ落としを行う場合、一次漂白剤にて処理を行った後、別途持参していた二次漂白剤をその場で一次漂白剤と混合させて二次漂白剤を作製してもよい。また、別途持参していた二次漂白剤を取り出し、一次漂白剤にて処理を行った箇所に噴霧しても構わない。いずれにせよ本願発明の効果が発揮される。
【0038】
[実施例1]
実施例1にかかる白物衣料の漂白において、襟に黄ばみ汚れが残り着辛くなったワイシャツ一例を一次漂白剤に続いて二次漂白剤で汚れ落しを行った結果が
図4である。
尚、一次漂白剤及び二次漂白剤のpH及び成分は次の通りである。
<一次漂白剤>
≪1≫有効塩素濃度:総残留塩素として2,150mg/L
≪2≫添加したジメチルミリスチルアミンオキシド濃度:2,000mg/L
≪3≫添加したアンモニア性窒素(NH
3-N)の初期濃度:450mg/L
生成モノクロラミン濃度も、有効塩素濃度として2,150mg/L。
≪4≫pH≒10
<二次漂白剤>
≪1≫有効塩素濃度:約2,000mg/L
≪2≫内容成分:イソシアヌル酸ジクロリドの水溶液
≪3≫pH≒6.7
本発明の実施に於いて被処理物としたワイシャツは、クリーニング業者に何回も出して尚「黄ばみ汚れ」を落とし切れず、長期間着ることなく保管されていたものである。
図4の写真を比較すれば、ワイシャツの襟折返し部に残った「黄ばみ汚れ」が素地損傷しないで完全に漂白されたことを見て取れる。
【0039】
[実施例2]
実施例2にかかる白物衣料に於いて、実施例1同様に漂白できた結果を示すのが
図5である。該事例の衣料も実施例1の衣料と同じ経歴で保管されていたものである。
【0040】
[実施例3]
実施例3にかかる食品販売店舗天井に生えたカビの漂白に於いて、一次漂白剤に続いて二次漂白剤を噴霧して1時間後の天井漂白具合を処理前と比較した結果が
図6である。
図6の写真において、漂白処理前の写真に見られる黒色のカビ汚れは主にクラドスポリウム(学名Cladosporium)に属する「クロカビ」が繁殖したものである。一次漂白剤の浸透後に二次漂白剤を噴霧した結果、モノクロラミンの塩素化進行及びジクロラミンの自然分解に伴う次亜塩素酸再生によって、細菌検査で効果証明するまでもなく、頑固なカビ汚れも瞬く間に漂白された。そして、天井面は綺麗な状態に復旧したことを見て取れる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、セルロース系天然繊維やポリエステル繊維を主体として成る下着やワイシャツ等白物衣料の織物繊維隙間に残る脂質残渣由来の「黄ばみ汚れ」を、クリーニング工場のみならず一般家庭内においても漂白できる。加えて、衛生的外観や美観を損ねた建築物の内装及び外装、疎水性又は吸水性が弱い調度品・備品・装飾品に関して、漂白して支障をきたさない場合のカビ汚れ除去に活用できる。
更に、浴室の天井や洗濯機の脱水籠又は該洗濯機パンチメタル円筒の外側で手が届かない箇所のカビ取りにも応用でき、カビの付着力を弱めることで剥離を容易にして漂白することができる。勿論、本来の特性の一つである殺菌も同時になされる。加えて、使用する2種の薬剤(水溶液)は、水道及びスイミングプールの塩素消毒で安全性が証明されている次亜塩素酸、モノクロラミン(結合塩素)、シアヌル酸及び界面活性剤として汎用のアルキルアミンオキシドである為、美術・工芸品の修復作業においても活用の可能性が十分にある。人体の安全性確保にも支障は生じない。