(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】屑処理装置及びこれを用いた屑管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220726BHJP
B02C 18/06 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G06Q50/10
B02C18/06 A
(21)【出願番号】P 2017022103
(22)【出願日】2017-02-09
【審査請求日】2020-02-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】501315762
【氏名又は名称】株式会社サカエ
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】小野木 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】野口 善弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 康平
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘一
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】渡邊 聡
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-331384(JP,A)
【文献】特開2004-54627(JP,A)
【文献】特開2015-156214(JP,A)
【文献】特開2010-287089(JP,A)
【文献】特開平7-24348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q50/10
B02C18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄すべき屑を細断処理
する細断機構を有し、当該細断機構にて細断された細断屑を屑収容体に収容する細断屑処理器と、
廃棄すべき屑を非細断のまま処理して前記細断屑処理器の屑収容体とは異なる屑収容体に収容する非細断屑処理器と、
前記細断屑処理器を特定するための対象情報及び前記細断屑処理器の屑収容体に収容される細断屑量を認識する第1の認識手段と、
前記非細断屑処理器を特定するための対象情報及び前記非細断屑処理器の屑収容体に収容される非細断屑量を認識する第2の認識手段と、
前記第1の認識手段及び前記第2の認識手段にて認識される各情報を予め決められた管理拠点に対して通信可能とする通信手段と、
前記細断屑処理器及び前記非細断屑処理器の夫々の屑収容体に収容された屑の回収の要否を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする屑処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の屑処理装置において、
前記細断屑処理器と前記非細断屑処理器とは異なる筐体内に夫々の屑収容体を設置したことを特徴とする屑処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の屑処理装置において、
前記細断屑処理器と前記非細断屑処理器とは共通の筐体を有し、当該共通の筐体内を区分した夫々の区分領域に夫々の屑収容体を設置したことを特徴とする屑処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の屑処理装置において、
前記第1及び第2の認識手段の少なくともいずれかは、対応する前記屑収容体に収容された屑量を連続的に検出可能な検出器を含むことを特徴とする屑処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の屑処理装置において、
前記第1の認識手段は前記細断屑処理器内の細断機構の運転状況を更新可能に認識する運転状況認識手段を含み、当該運転状況認識手段にて前記細断屑量を認識することを特徴とする屑処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の屑処理装置において、
前記細断屑処理器は細断屑サイズが再現不可能な極小サイズである細断機構を有し、当該細断機構にて廃棄すべき屑のうち機密性の高いものを細断処理する一方、
前記非細断屑処理器は廃棄すべき屑のうち機密性の低いものを非細断のまま処理することを特徴とする屑処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の屑処理装置において、
前記細断屑処理器は細断屑サイズが再現不可能な極小サイズより粗いサイズの細断機構を有し、当該細断機構にて廃棄すべき屑のうち機密性の低いものを細断処理する一方、
前記非細断屑処理器は厳重に開閉管理された屑収容体を有し、廃棄すべき屑のうち機密性の高いものを非細断のまま処理することを特徴とする屑処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれかに記載の屑処理装置と、
前記管理拠点に設けられ、前記屑処理装置の前記細断屑処理器及び前記非細断屑処理器の各屑収容体に収容された屑量を管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、前記屑処理装置との間で通信可能とする通信手段と、
前記屑処理装置から送信された対象情報及び屑量情報に基づいて前記屑処理装置の各処理器の屑収容体に収容された屑情報を収集する収集手段と、
前記収集手段にて収集された
前記屑情報に基づいて各処理器の屑収容体に収容された屑の回収の要否を判別する判別手段と、
前記判別手段にて前記屑処理装置が屑を回収する必要があると判別された条件では当該屑の回収作業を指示する指示手段と、を有することを特徴とする屑管理システム。
【請求項9】
請求項
8に記載の屑管理システムにおいて、
前記判別手段は、前記各処理器の屑収容体に収容された屑の回収の要否を判別するときに、各屑収容体に収容された屑量変化から回収予定日を予測することを特徴とする屑管理システム。
【請求項10】
請求項
8に記載の屑管理システムにおいて、
前記指示手段は、前記屑処理装置に適した回収拠点を選定し、当該回収拠点に対して屑の回収作業を指示することを特徴とする屑管理システム。
【請求項11】
請求項
8に記載の屑管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記判別手段が前記屑処理装置のうち前記細断屑処理器又は前記非細断屑処理器のいずれか一方の屑収容体に収容された屑を回収する必要があると判別したときに、当該屑の回収を必要とする処理器による処理を一時的に停止させる一時停止手段を備えていることを特徴とする屑管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄すべき屑を処理する屑処理装置に係り、特に、廃棄すべき屑を細断若しくは非細断のまま処理することが可能な屑処理装置及びこれを用いて廃棄すべき屑を効率良く回収することを企図した屑管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、廃棄すべき屑を処理する屑処理装置、あるいは、これを利用して廃棄すべき屑を管理する屑管理システムとしては、例えば特許文献1~5に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、互いに噛み合うように配置される対構成のカッタ要素を有し、当該対構成のカッタ要素の噛み合い領域に搬入されるシート状物を細断する細断機構と、対構成のカッタ要素の噛み合い領域で細断された細断片を各カッタ要素から取り除くように各カッタ要素を清掃する清掃機構と、を備え、清掃機構である第1の仕切り部材はカッタ要素のスペーサ部の周囲を覆い、かつ、スペーサ部の周面内から細断片を取り除くものであり、第2の仕切り部材はカッタ要素のカッタ部の周囲を覆い、かつ、細断片が第1の仕切り部材間に入り込む隙間を塞ぐものであるシュレッダが開示されている。
特許文献2には、車輪のついた大きなボックスを機密文書の回収機器として、錠前を着けることにより、鍵を持った管理者以外の不特定の人には開けられない為、中に投入した機密文書が処理されるまでの間安全に保たれ、オフィス内で日々発生する人に見られては困る、外部に漏れては困る等の文書類を資源保護の観点からリサイクルするにあたり、処理するまでの間の安全を確保するための機器が開示されている。
特許文献3には、書類IDに関連付けて印刷物の出力状態および廃棄状態を管理する文書管理サーバと、書類IDが付された印刷物を出力するプリンタ、電子黒板、MFPと、印刷物を廃棄処理するネットワークシュレッダであって、書類IDを読み取る読取手段と、この読取手段により読み取った書類IDが付された印刷物が廃棄されたことを文書管理サーバに通知する廃棄通知手段とを備えたネットワークシュレッダとを有するシステムが開示されている。
特許文献4には、シュレッダー管理システムは、シュレッダーと、このシュレッダーとネットワークを介して接続されている端末とを有し、シュレッダーは、個人情報読取部と、書類投入口と、コントローラとを有し、プログラムROMに格納された各部などへ送信するための各種制御指令(コマンド)等がプログラム(認証プログラム、利用許可プログラム、履歴情報生成プログラム、利用不可履歴情報生成プログラム等)を実行できるものであり、端末では、操作入力部の操作により、プログラムROMに格納された履歴情報確認プログラム、利用不可履歴情報確認プログラムを実行できるようになっている。
特許文献5には以下のような文書廃棄管理システムが開示されている。つまり、シュレッダは、文書を裁断する前に、文書をスキャンして文書の画像データを生成し、記録する。そして、文書を裁断する。また、画像データに含まれる文書の識別情報を抽出し、抽出した識別情報を解析し、文書の有効期限を得る。その後、文書の有効期限が経過すると、シュレッダは、記録している文書の画像データを削除する。文書の作成者は、文書の画像データがシュレッダに記録されている間は、PCを利用して、当該画像データにアクセスすることを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5919324号公報(発明を実施するための形態,
図1)
【文献】実用新案登録第3017842号公報(実用新案登録請求の範囲,
図1)
【文献】特開2007-004431号公報(実施の形態,
図1)
【文献】特開2009-098708号公報(発明を実施するための最良の形態,
図3)
【文献】特開2011-097157号公報(発明を実施するための形態,
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、細断屑及び非細断屑の両方につき、廃棄すべき屑の処理を適切に管理可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、廃棄すべき屑を細断処理する細断機構を有し、当該細断機構にて細断された細断屑を屑収容体に収容する細断屑処理器と、廃棄すべき屑を非細断のまま処理して前記細断屑処理器の屑収容体とは異なる屑収容体に収容する非細断屑処理器と、前記細断屑処理器を特定するための対象情報及び前記細断屑処理器の屑収容体に収容される細断屑量を認識する第1の認識手段と、前記非細断屑処理器を特定するための対象情報及び前記非細断屑処理器の屑収容体に収容される非細断屑量を認識する第2の認識手段と、前記第1の認識手段及び前記第2の認識手段にて認識される各情報を予め決められた管理拠点に対して通信可能とする通信手段と、前記細断屑処理器及び前記非細断屑処理器の夫々の屑収容体に収容された屑の回収の要否を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする屑処理装置である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた屑処理装置において、前記細断屑処理器と前記非細断屑処理器とは異なる筐体内に夫々の屑収容体を設置したことを特徴とする屑処理装置である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた屑処理装置において、前記細断屑処理器と前記非細断屑処理器とは共通の筐体を有し、当該共通の筐体内を区分した夫々の区分領域に夫々の屑収容体を設置したことを特徴とする屑処理装置である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた屑処理装置において、前記第1及び第2の認識手段の少なくともいずれかは、対応する前記屑収容体に収容された屑量を連続的に検出可能な検出器を含むことを特徴とする屑処理装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた屑処理装置において、前記第1の認識手段は前記細断屑処理器内の細断機構の運転状況を更新可能に認識する運転状況認識手段を含み、当該運転状況認識手段にて前記細断屑量を認識することを特徴とする屑処理装置である。
本発明の第6の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた屑処理装置において、前記細断屑処理器は細断屑サイズが再現不可能な極小サイズである細断機構を有し、当該細断機構にて廃棄すべき屑のうち機密性の高いものを細断処理する一方、前記非細断屑処理器は廃棄すべき屑のうち機密性の低いものを非細断のまま処理することを特徴とする屑処理装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた屑処理装置において、前記細断屑処理器は細断屑サイズが再現不可能な極小サイズより粗いサイズの細断機構を有し、当該細断機構にて廃棄すべき屑のうち機密性の低いものを細断処理する一方、前記非細断屑処理器は厳重に開閉管理された屑収容体を有し、廃棄すべき屑のうち機密性の高いものを非細断のまま処理することを特徴とする屑処理装置である。
【0007】
本発明の第8の技術的特徴は、第1乃至第7の技術的特徴のいずれかを備えた屑処理装置と、前記管理拠点に設けられ、前記屑処理装置の前記細断屑処理器及び前記非細断屑処理器の各屑収容体に収容された屑量を管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記屑処理装置との間で通信可能とする通信手段と、前記屑処理装置から送信された対象情報及び屑量情報に基づいて前記屑処理装置の各処理器の屑収容体に収容された屑情報を収集する収集手段と、前記収集手段にて収集された前記屑情報に基づいて各処理器の屑収容体に収容された屑の回収の要否を判別する判別手段と、前記判別手段にて前記屑処理装置が屑を回収する必要があると判別された条件では当該屑の回収作業を指示する指示手段と、を有することを特徴とする屑管理システムである。
【0008】
本発明の第9の技術的特徴は、第8の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記判別手段は、前記各処理器の屑収容体に収容された屑の回収の要否を判別するときに、各屑収容体に収容された屑量変化から回収予定日を予測することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第10の技術的特徴は、第8の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記指示手段は、前記屑処理装置に適した回収拠点を選定し、当該回収拠点に対して屑の回収作業を指示することを特徴とする屑管理システムである。
本発明の第11の技術的特徴は、第8の技術的特徴を備えた屑管理システムにおいて、前記管理装置は、前記判別手段が前記屑処理装置のうち前記細断屑処理器又は前記非細断屑処理器のいずれか一方の屑収容体に収容された屑を回収する必要があると判別したときに、当該屑の回収を必要とする処理器による処理を一時的に停止させる一時停止手段を備えていることを特徴とする屑管理システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る屑処理装置によれば、細断屑及び非細断屑の両方につき、廃棄すべき屑の処理を適切に管理することができる。特に、廃棄すべき屑の回収の要否をユーザに告知することができる。
本発明に係る屑管理システムによれば、細断屑及び非細断屑の両方につき、廃棄すべき屑の処理を適切に管理すること、特に、廃棄すべき屑の回収の要否をユーザに告知することが可能な屑処理装置を含む屑管理システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明が適用された屑処理装置及びこれを用いた屑管理システムの実施の形態の概要を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る屑処理装置の屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図3】(a)は実施の形態1で用いられる屑処理装置の一要素としてのシュレッダの構成を示す説明図、(b)は(a)に示すシュレッダの駆動伝達系を示す説明図である。
【
図4】実施の形態1で用いられるシュレッダの制御系を示す説明図である。
【
図5】(a)は実施の形態1に係るシュレッダの細断枚数と駆動電流との関係を示す説明図、(b)は同シュレッダの累積細断量と駆動電流との関係を示す説明図である。
【
図6】(a)は実施の形態1で用いられる屑処理装置の一要素としての回収ボックスの構成を示す説明図、(b)は回収ボックスに廃棄すべき屑の容量を検出する原理を示す説明図、(c)は回収ボックスに廃棄すべき屑の重量を検出する原理を示す説明図である。
【
図7】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑回収システムにおける管理者側の管理装置の一例を示す説明図である。
【
図8】(a)は実施の形態1で用いられるシュレッダ送信情報の一例を示す説明図、(b)は管理用サーバに保存されている顧客データベースの一例を示す説明図である。
【
図9】実施の形態1で用いられる屑管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1で用いられるシュレッダの通信制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態1で用いられる管理装置のシュレッダ管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムにおけるシュレッダの累積細断量とシュレッダ管理処理との関係を示す説明図である。
【
図13】実施の形態1に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける細断屑の回収処理例を模式的に示す説明図である。
【
図14】実施の形態2に係るシュレッダの細断屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図15】実施の形態2で用いられるシュレッダに追加した構成を示す説明図である。
【
図16】実施の形態2に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける廃棄情報記録処理を示すフローチャートである。
【
図17】(a)は重要書類を細断廃棄する場合の
図16に示す廃棄情報記録処理を示す説明図、(b)は重要書類以外の被細断物を細断廃棄する場合の
図16に示す廃棄情報記録処理を示す説明図である。
【
図18】実施の形態3に係るシュレッダの細断屑管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図19】(a)は実施の形態3で用いられる屑量通信装置の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す屑量通信装置の構成例を示す説明図である。
【
図20】(a)は光学式センサによる屑量の検出原理を示す説明図、(b)は光学式センサの出力変化を示す模式図、(c)は光学式センサ出力に基づく屑量サンプリング例を示す説明図である。
【
図21】(a)は外部電源の場合における屑量レベルの判定処理例を示すフローチャート、(b)は内部電源(バッテリー)の場合における屑量レベルの判定処理例を示すフローチャートである。
【
図22】実施の形態4に係るシュレッダの細断屑管理システムで採用される屑量検出装置の要部を示す説明図である。
【
図23】(a)は実施の形態4で用いられる屑量検出装置の用紙が1枚の場合における動作原理を示す説明図、(b)は同屑量検出装置の用紙が複数枚の場合における動作原理を示す説明図である。
【
図24】(a)は実施の形態5に係るシュレッダの細断屑管理システムで採用される屑量検出装置の要部を示す説明図、(b)は同屑量検出装置の動作原理を示す説明図である。
【
図25】実施の形態6に係る屑管理システムで採用される屑処理装置の要部を示す説明図である。
【
図26】実施例1に係るシュレッダの細断屑管理システムで採用される管理装置の管理画面表示例を示す説明図である。
【
図27】
図26に示す管理画面表示例の「細断量状況ボタン」を押圧操作したときの画面表示例を示す説明図である。
【
図28】
図26に示す管理画面表示例の「機密書類堆積状況ボタン」を押圧操作したときの画面表示例を示す説明図である。
【
図29】
図26に示す管理画面表示例の「過去の履歴を見るボタン」を押圧操作したときの画面表示例を示す説明図である。
【
図30】(a)は実施例2に係るシュレッダの細断屑管理システムで採用される屑量検出手法の駆動モータの駆動電流を測定するための負荷電流測定回路の一例を示す説明図、(b)は(a)に示す負荷電流測定回路による負荷電流サンプリング例を示す説明図である。
【
図31】(a)は実施例2の細断枚数と負荷電流との関係を示す測定データ例、(b)は実施例2の細断枚数と細断速度、細断時間との関係を示す測定データ例である。
【
図32】(a)は実施例3に係るシュレッダの細断屑管理システムで採用される屑量検出手法の細断枚数と負荷電流との関係を示す測定データ例、(b)は同実施例3の細断枚数と細断速度、細断時間との関係を示す測定データ例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された屑処理装置及びこれを用いた屑管理システムの実施の形態の概要を示す。
同図において、屑処理装置1は、廃棄すべき屑Sを細断処理
する細断機構を有し、当該細断機構にて細断された細断屑を屑収容体2bに収容する細断屑処理器2と、廃棄すべき屑S’を非細断のまま処理して細断屑処理器2の屑収容体2bとは異なる屑収容体3bに収容する非細断屑処理器3と、細断屑処理器2を特定するための対象情報及び細断屑処理器2の屑収容体2bに収容される細断屑量を認識する第1の認識手段4と、非細断屑処理器3を特定するための対象情報及び非細断屑処理器3の屑収容体3bに収容される非細断屑量を認識する第2の認識手段5と、第1の認識手段4及び第2の認識手段5にて認識される各情報を予め決められた管理拠点に対して通信可能とする通信手段6と、を備えている。
【0012】
このような技術的手段において、細断屑処理器2は筐体2a内に組み込まれた細断機構2cにて廃棄すべき屑Sを細断処理し、細断屑を筐体2a内から出し入れ可能な屑収容体2bに細断屑を収容するものである。ここで、細断機構2cとしては、機密性の高いものを主な細断対象とする場合には、細断サイズが再現不能な程度に極小サイズになるものを選定し、逆に、機密性の低いものを主な細断対象とする場合には、細断サイズが極小サイズよりも大きいサイズになるものを選定するようにすればよい。
一方、非細断処理器3は筐体3a内に屑収容体3bを設置し、廃棄すべき屑S’を非細断のまま処理して屑収容体3bに収容するものである。ここで、非細断処理器3の筐体3aとしては、機密性の高いものを主な廃棄対象とする場合には、機密性の低いものを主な廃棄対象とする場合に比べて、筐体3aを開閉する扉には厳重なロック機構を付すなどしてセキュリティレベルを高くすることが好ましい。
【0013】
また、第1の認識手段4は、対象情報及び細断屑量を認識することで、管理対象となる細断屑処理器2を特定し、当該細断屑処理器2での細断処理の程度が管理拠点において把握できるようにすればよい。また、第2の認識手段5は、対象情報及び非細断屑量を認識することで、管理対象となる非細断屑処理器3を特定し、当該非細断屑処理器3での廃棄処理の程度が管理拠点において把握できるようにすればよい。
更に、通信手段6は第1の認識手段4、第2の認識手段5にて認識された各情報を管理拠点との間で通信する機能を備えていればよく、認識手段4,5毎に個別に設けてもよいし、あるいは、両者に対して共用するようにしてもよい。
本例では、廃棄すべき屑S,S’の機密性の程度に応じて2系統の屑処理器(細断屑処理器2,非細断屑処理器3)を使い分けて廃棄処理し、各屑収容体2b,2cに収容された屑量を管理可能とすることが可能である。
【0014】
次に、本実施の形態に係る屑処理装置の代表的態様について説明する。
先ず、屑処理装置1の代表的態様としては、細断屑処理器2と非細断屑処理器3とは異なる筐体2a,3a内に夫々の屑収容体2b,3bを設置したものが挙げられる。本例は、既存の細断屑処理器2、非細断処理器3を利用し、夫々の屑量を管理可能とする態様である。
また、屑処理装置1の別の代表的態様としては、細断屑処理器2と非細断屑処理器3とは共通の筐体2a(又は3a)を有し、当該共通の筐体2a(又は3a)内を区分した夫々の区分領域に夫々の屑収容体2b,3bを設置したものが挙げられる。本例は、各処理器2,3が共通の筐体2a(又は3a)に組み込まれている態様である。
更に、第1、第2の認識手段4,5の代表的態様としては、少なくともいずれかは、対応する屑収容体2b(又は3b)に収容された屑量を連続的に検出可能な検出器(図示せず)を含む態様が挙げられる。本例は、屑収容体2b(又は3b)に収容された屑量を連続的に検出する検出器を含む態様で、検出器としては屑量を連続的に検出可能であれば、光学的に検出する方式を始め、重量を検出する方式など適宜選定して差し支えない。
【0015】
また、第1の認識手段4の代表的態様としては、細断屑処理器2内の細断機構2cの運転状況を更新可能に認識する運転状況認識手段を含み、当該運転状況認識手段にて細断屑量を認識するものが挙げられる。本例は、細断屑処理器2の細断機構2cの運転状況から屑収容体2bに収容される屑量を間接的に認識する態様である。
更に、2系統の処理器2,3の代表的な使用態様としては、細断屑処理器2は細断屑サイズが再現不可能な極小サイズである細断機構2cを有し、当該細断機構2cにて廃棄すべき屑Sのうち機密性の高いものを細断処理する一方、非細断屑処理器3は廃棄すべき屑S’のうち機密性の低いものを非細断のまま処理する態様が挙げられる。本例は、廃棄すべき屑S,S’のうち細断屑処理器2で機密性の高いものSを処理し、非細断処理器3で機密性の低いものS’を処理する態様である。
また、2系統の処理器2,3の別の代表的な使用態様としては、細断屑処理器2は細断屑サイズが再現不可能な極小サイズより粗いサイズの細断機構2を有し、当該細断機構2cにて廃棄すべき屑Sのうち機密性の低いものを細断処理する一方、非細断屑処理器3は厳重に開閉管理された屑収容体3bを有し、廃棄すべき屑S‘のうち機密性の高いものを非細断のまま処理する態様が挙げられる。本例は、廃棄すべき屑S,S’のうち細断屑処理器2で機密性の低いものSを処理し、非細断処理器3で機密性の高いものS’を処理する態様である。
【0016】
また、前述した屑処理装置1を用いて屑管理システムを構築することが可能である。
本例において、屑管理システムは、
図1に示すように、前述した屑処理装置1と、前述した管理拠点に設けられ、屑処理装置1の細断屑処理器2及び非細断屑処理器3の各屑収容体2b,3bに収容された屑量を管理する管理装置10と、を備え、管理装置10は、屑処理装置1との間で通信可能とする通信手段11と、屑処理装置1から送信された対象情報及び屑量情報に基づいて屑処理装置1の各処理器2,3の屑収容体2b,3bに収容された屑情報を収集する収集手段12と、収集手段12にて収集された屑情報に基づいて各処理器2,3の屑収容体2b,3bに収容された屑の回収の要否を判別する判別手段13と、判別手段13にて屑処理装置1が屑を回収する必要があると判別された条件では当該屑の回収作業を指示する指示手段14と、を有するものである。尚、
図1中、Xはネットワークである。
【0017】
このような技術的手段において、管理装置10は、通信手段11,収集手段12、判別手段13及び指示手段14を含むものであればよいが、それぞれの機能を具現化するに当たって、マイクロコンピュータ(表示ディスプレイ付き)を通信可能に使用することが好ましい。
また、判別手段13の代表的態様としては、各処理器2,3の屑収容体2b,3bに収容された屑の回収の要否を判別するときに、各屑収容体2b,3bに収容された屑量変化から回収予定日を予測する態様が挙げられる。本例は、判別手段13にて屑の回収の要否を判別するにあたり、屑量変化から回収予定日を予測するものであるが、回収予定日に加えて、回収予定日よりも前の回収準備日(例えば回収予定日の累積屑量のy%<例えば60%~80%等の割合>から適宜選定される日)を予測するようにしてもよい。
更に、指示手段14の代表的態様としては、屑処理装置1に適した回収拠点を選定し、当該回収拠点に対して屑の回収作業を指示するようにすればよい。本例は、屑処理装置1が設置された場所を踏まえ、屑の回収作業を行う上で適した回収拠点を選定し、当該回収拠点に対して屑の回収作業を指示する。ここで、回収拠点では、例えば回収作業者Wに個別端末15を具備させるようにしておけば、管理装置10の指示手段14からの指示情報がネットワークXを経由して個別端末15に送信されると、回収作業者Wは指示情報(回収すべき対象、回収すべき屑量、回収した屑の搬入先などの回収作業情報)を取得でき、屑の回収作業を実施することが可能である。
また、個別端末15は回収拠点毎に設けられるものであって、管理拠点との間で直接的に通信してもよいし、中間サーバを介して間接的に通信するものでもよい。本例では回収拠点は移動型、固定型のいずれもあり、移動型回収拠点は例えば回収作業者Wが携帯型の個別端末15を持つ場合を想定し、また、固定型回収拠点は据え置き型の個別端末15を想定し、当該回収拠点に所属する回収作業者Wに対して指示するようにしたものである。
【0018】
また、管理装置10の好ましい態様としては、判別手段13が屑処理装置1のうち細断屑処理器2又は前記非細断屑処理器3のいずれか一方の屑収容体2b又は3bに収容された屑を回収する必要があると判別したときに、当該屑の回収を必要とする処理器2又は3による処理を一時的に停止させる一時停止手段(図示せず)を備えている態様が挙げられる。本例は、各処理器2又は3のいずれか一方が例えば満杯になり、屑収容体2b又は3bに収容された屑を回収する必要が生じたとき、当該処理器2b又は3bを継続的に処理可能にすると、屑収容体2b又は3bから屑が溢れる懸念がある。そこで、本例では、屑回収を必要とする処理器2又は3による処理を一時停止させることで、他方の処理器3又は2の使用を促すようにしたものである。
ここで、例えば細断屑処理器2が屑回収を必要とする場合には、例えば満杯表示と細断機構2cの駆動禁止とを行い、一方、非細断屑処理器3が屑回収を必要とする場合には、例えば満杯表示と屑の投入口をシャッタ等で塞ぐようにすればよい。
【0019】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
-屑管理システムの全体構成-
図2は実施の形態1に係る屑管理システムの全体構成を示す。
同図において、屑管理システムは、一若しくは複数の顧客Uに対して設置される通信可能な管理対象の一要素である細断屑処理器としての複数のシュレッダ30(例えば30a~30c…)と、同じく一若しくは複数の顧客Uに対して設置される通信可能な管理対象の一要素である非細断屑処理器としての複数の回収ボックス500(例えば500a~500c…)と、管理者M/管理センタ側に設けられ、各シュレッダ30、各回収ボックス500とネットワークXを介して通信可能に設置され、各シュレッダ30、各回収ボックス500から送信された情報に基づいて各シュレッダ30で細断された細断屑や、各回収ボックス500にそのまま廃棄された屑を管理する管理装置100と、を備えている。
また、本例では、細断屑や廃棄屑を回収する回収作業者W(本例ではWa,Wb)は、例えば個別端末としての携帯端末200を所持しており、ネットワークXを介して管理装置100と通信可能になっている。尚、
図2中、符号75,110は通信用モデムを示す。
【0020】
-シュレッダの基本構成-
図3(a)は実施の形態1に係るシュレッダの全体構成を示す。
同図において、シュレッダ30は、略直方体形状のシュレッダ筐体31を有し、このシュレッダ筐体31の上面には細断する被細断物としての用紙Sが投入される投入口32を開設し、この投入口32には一対のガイドシュートで区画された搬入経路33を設け、この搬入経路33の途中に細断ユニット34を配設し、シュレッダ筐体31内の細断ユニット34の下方には用紙Sの細断屑Saが収容される屑容器37を出し入れ可能に配設したものである。
ここで、細断ユニット34は、用紙Sを細断する細断機構35と、この細断機構35を清掃する清掃機構36とを備えている。
本例では、細断機構35は、
図3に示すように、カッタ要素として例えば対構成の刃付ドラム41,42が用いられるクロスカット方式を採用したもので、対構成の刃付ドラム41,42の噛み合い領域に用紙Sを挿通させることで、用紙Sの搬入方向に沿う方向(縦方向)及びこれに略直交する交差方向(横方向)について縦横同時に細断するようにしたものである。
尚、
図3中、符号50は細断機構35を駆動する駆動装置、符号60はシュレッダ30を操作するための操作パネルである。また、細断機構35のカッタ要素としては、クロスカット方式に限られるものではなく、例えば用紙Sを短冊状に細断するストレートカッタと、短冊状の細断物を所定のピッチ間隔で切断するスパイラルカッタ及びフラットカッタとを組み合わせて用いてもよいことは勿論である。
【0021】
-駆動装置-
本実施の形態において、駆動装置50は、
図3(a)(b)に示すように、駆動源としての駆動モータ51と、この駆動モータ51からの駆動力を細断機構35の対構成の刃付ドラム41,42に伝達する駆動伝達機構59とを有している。
本例において、駆動伝達機構59としては、例えば駆動モータ51の駆動軸及び第1の刃付ドラム41の回転軸に夫々プーリ59a,59bを固着すると共に、これらプーリ59a,59b間に伝達ベルト59cを掛け渡し、更に、対構成の刃付ドラム41,42の各回転軸には伝達ギア59d,59eを互いに噛合させた状態で固着するようにしたものである。
【0022】
-制御装置-
更に、本実施の形態では、各シュレッダ30は制御装置70によって制御されるようになっている。
本例において、制御装置70は、
図4に示すように、CPU71、ROM72、RAM73及び図示外の入出力ポートを含むマイクロコンピュータシステムからなるものであるが、本例では、CPU71は、主として細断機構35が駆動される駆動装置50を制御対象とする細断用CPU71aと、管理者M側の管理装置100と管理対象であるシュレッダ30との間で必要な情報を通信するための通信用CPU71bと、を有している。
ここで、通信用CPU71bは、図示外の入出力ポート及び通信用モデム75(専用のモデムでもよいし、LAN環境の構成部品であるモデムを利用してもよい)を経由してネットワークX環境に接続可能になっており、ネットワークXを介して管理者Mの管理装置100と通信可能に接続されるものである。尚、ネットワークXは例えばWiFi等の無線網であってもよく、また、シュレッダ30に例えばPLCアダプタ(図示せず)を搭載するようにすれば、電源コンセントから通信環境を得ることも可能である。
そして、制御装置70は、後述する各入力信号を入出力ポートを介して受け取り、CPU71・RAM73によってROM72内に予めインストールされている細断制御プログラムを実行し、細断機構35の駆動装置50に対し所定の制御信号を送出して細断処理を実施したり、あるいは、CPU71・RAM73によってROM72内に予めインストールされている通信制御プログラム(
図10参照)を実行し、管理者M側へ送信すべき情報を読み出して通信処理を実施する。
【0023】
<制御装置への入力信号>
ここで、制御装置70に入力される入力信号Inとしては例えば以下のものが挙げられる。
(In-1)操作パネル60からの操作信号
(In-2)搬入経路33の途中に設けられて投入口32に用紙Sが搬入されたか否かを検知する投入口センサ81からの信号
(In-3)屑容器37に収容される細断屑Saが満杯に至ったか否かを検知する屑満杯センサ82からの信号
(In-4)シュレッダ筐体31の扉31a(
図3参照)の開閉を検知する扉開閉センサ83からの信号
(In-5)細断機構35の駆動装置50の駆動源である駆動モータ51の駆動電流を計測する電流計80からの計測信号
(In-6)駆動モータ51が連続稼働によって予め決められたレベルを超える高温状態に至ったときに、当該駆動モータ51の稼働を停止させる過熱防止器(図示せず)からの動作信号
尚、本例では、操作パネル60は、
図4に示すように、シュレッダ30に電源を投入するためのスタートスイッチ61(図中STと表記)と、管理者Mに送信すべき送信条件を顧客U側で指定するときに操作する指定スイッチ62(図中MSと表記)と、シュレッダ30の動作状態を表示する表示器63と、を有している。また、投入口センサ81は用紙Sが通過したことを検知可能な構成であれば、機械的、光学式センサなど適宜選定して差し支えない。
【0024】
<送信すべき情報>
本例では、RAM73の送信情報格納領域には管理装置100に送信すべき情報が読出し可能に格納されている。
本例で用いられる送信すべき情報としては、
図8(a)に示すような機体情報や運転状況情報が挙げられる。
(J-1)機種名
管理対象シュレッダ30の製品名である。
(J-2)製造番号
管理対象シュレッダ30の製造に関して付された番号(製造工場、製造時期その他)である。
(J-3)通常運転時間
細断機構35による細断処理が実施されている運転時間を示すもので、例えば駆動モータ51の駆動電流値の無負荷時に対する負荷時の時間を累計することで得られる。
(J-4)通常運転回数
細断機構35による細断処理が実施されている運転回数を示すもので、例えば投入口センサ81の検知回数を累計することで得られる。
(J-5)過負荷運転時間
細断機構35による細断処理が実施されている運転中、投入した用紙量が多すぎることにより、駆動モータ51の駆動電流値の負荷が予め決められた閾値以上である過負荷時の時間を累計したものである。
(J-6)過負荷運転回数
細断機構35による細断処理が実施されている運転中、投入した用紙量が多すぎることにより、駆動モータ51の駆動電流値の負荷が予め決められた閾値以上の過負荷状態に至った回数を累計したものである。
【0025】
(J-7)オートリバース回数
オートリバース処理は、細断機構35に対し細断処理能力以上の高負荷の用紙Sが投入されたときに、細断機構35での紙詰まりを未然に防止するために、駆動モータ51を逆転させることで投入された用紙Sを戻して投入口32から排出するものであり、例えば細断機構35の運転中における駆動モータ51の逆転回数を計数することで得られる。
(J-8)放熱回数
駆動モータ51には過熱防止器(図示せず)が付設されており、この過熱防止器の作動回数を計数することで得られる。
(J-9)屑満杯センサ検知回数
屑満杯センサ82は、屑容器37内の細断屑Saの容積がある満杯レベルに至ると検知するものであり、例えば図示外の屑均し機構により屑容器37内の細断屑Saが均されると、一旦屑満杯センサ82の検知信号はオフになることから、通常屑満杯センサ82の検知信号が複数回検知されたときに屑容器37内の細断屑Saが実質的に満杯であることを把握することが可能である。
(J-10)投入口センサ検知回数
投入口32に投入される用紙枚数である。
(J-11)扉開閉センサ検知回数
シュレッダ筐体31の扉31aの開閉数に相当し、扉31aの開閉は屑容器37の細断屑処理の回数に略対応する。
:
:
【0026】
(J-SR)使用履歴情報
本例では、細断機構35による細断処理が繰り返し実施されたときの用紙Sの累積細断量が用いられる。この累積細断量は以下の計算式で算出される細断量を累積することで得られる。
累積細断量=Σ(運転時間×細断負荷)
ここで、‘運転時間’は細断機構35による各細断処理における通常運転時間を指し、‘細断負荷’は細断機構35による細断処理時の負荷、具体的には駆動モータ51の駆動電流比に相当する同時に細断される用紙枚数に相当する。つまり、駆動電流Iは、
図5(a)に示すように、細断機構35による細断処理が同時に複数枚の用紙Sを細断可能であると仮定すると、同時に細断される用紙枚数(細断枚数)の増加に伴って比例的に増加する。このとき、細断枚数が1枚のときの駆動電流I(1)から無負荷時の駆動電流I(0)の差分をΔI(1)とし、また、細断枚数がn(n:2以上の整数)枚のときの駆動電流I(n)から無負荷時の駆動電流I(0)の差分をΔI(n)とすると、ΔI(n)/ΔI(1)≒nという関係を満たすことから、細断機構35による細断処理において、同時に細断する用紙枚数を考慮した細断量が算出されることになり、これを累計すれば、累積細断量が算出される。
【0027】
また、駆動モータ51の駆動電流Iは、シュレッダ30の初期状態(新品)のときに無負荷運転すると、
図5(b)に示すように、Ifを示すが、ある一定期間経過すると、累積細断量の増加(例えば1t~3t)に伴って、Ia,Ib,Ic(If<Ia<Ib<Ic)と増加する傾向を示す。
これは、細断機構35が経時的に使用されると、細断機構35のカッタ要素に紙粉や細断屑などの紙詰まりが生じたり、あるいは、カッタ要素の摩耗が起こり、これに伴って、無負荷運転時においても、細断機構35による細断負荷が増加してしまうものと推測される。
よって、このような駆動モータ51の無負荷運転時の駆動電流Iを定期的若しくは不定期的にモニタしておけば、このモニタ変化を見て、細断機構35のカッタ要素の劣化度合(紙詰まり、摩耗)を把握することが可能である。
更に、このような細断機構35の劣化に伴って、細断機構35による細断処理時の駆動電流Iも変化することからすれば、細断機構35の劣化度合を踏まえて計測された駆動電流Iを補正するようにすれば、各細断処理における細断負荷がより正確に算出されることから、その分、累積細断量がより正確に算出される点で好ましい。
【0028】
(J-ER)エラー履歴情報
例えば細断機構35による細断処理が用紙Sが詰まって停止した場合や、各種センサ(投入口センサ81、屑満杯センサ82など)の検知動作が不安定になった場合に、これらの誤動作に対して、エラーの種類として予め決められたエラーコード及びその発生時期を示すものである。
【0029】
-回収ボックスの基本構成-
本実施の形態では、
図2に示すように、顧客Uの管理対象はシュレッダ30以外に回収ボックス500(例えば500a)をも含んでおり、回収ボックス500には廃棄書類などの廃棄屑S’を細断などすることなくそのまま廃棄するようになっている。
本例では、回収ボックス500は、
図6(a)に示すように、ボックス本体501の一部、例えば上壁に廃棄屑S’が投入される投入口502を開設し、ボックス本体501の側方には鍵付きの開閉扉503を開閉可能に設けたものである。
そして、ボックス本体501内には廃棄屑S’が収容される屑容器510が収納されており、この屑容器510に投入口502から投入された廃棄屑S’が落下してそのまま収容されるようになっている。
そして、回収ボックス500(例えば500a)に、屑容器510に収容された廃棄屑S’の容量を検出する屑量センサ520が設けられており、回収ボックス500を特定する対象情報及び屑量センサ520による屑量情報が例えばモデム75を介してネットワークXに接続され、管理者M/管理センタの管理装置100と通信可能になっている。
【0030】
本例では、屑量センサ520は、
図6(a)(b)に示すように、例えばボックス本体501の内側壁の一部に後付け装着されるようになっており、屑量センサ520による検出処理や通信部(モデム75)による通信処理を制御する制御装置(図示せず)がボックス本体501内に装備されている。
ここで、屑量センサ520は例えば発光素子と受光素子とを含む光学式の距離センサにて構成され、例えば屑容器510に収容された廃棄屑S’の表面部に発光素子からの光を照射し、その反射光の出力レベルを受光素子で検出することで、廃棄屑S’の屑量レベルを割り出すものである。
そして、図示外の制御装置のメモリには回収ボックス500の機体情報などが書き込まれており、廃棄屑S’の屑量レベル情報と共に前述した機体情報等が管理者M/管理センタの管理装置100に適宜送信されるようになっている。
更に、本実施の形態でも一つの屑量センサ520が用いられているが、複数の屑量センサを設置し、これらの屑量センサの出力を平均することで屑量レベルを検出するようにしてもよい。
尚、本実施の形態では、屑量センサ520は光学式の距離センサにて構成されているが、これに限られるものではなく、例えば
図6(c)に示すように、廃棄屑S’が収容される屑容器510の重量を検出する屑量センサ530を採用してもよいことは勿論である。
【0031】
-管理装置-
本実施の形態において、管理装置100は、
図7に示すように、通信用モデム110を介してネットワークXに通信可能に接続され、回収作業者Wが携帯端末200を通じてアクセス可能な管理用サーバ120(本例では所謂ウェブサーバを使用)を有し、この管理用サーバ120には管理対象シュレッダ30の情報(主として運転状況情報)が更新可能に格納される顧客データベース130を設け、管理者Mが顧客データベース130を閲覧可能としたものである。
特に、本例では、管理装置100は、顧客データベース130に基づいて、管理対象シュレッダ30で細断廃棄された細断屑Saに対する回収作業の要否を診断し、回収作業が必要であるときに、回収作業者Wを選定し、選定された回収作業者Wに向けて細断屑の回収作業指示書141が作成可能な作業診断部140を有している。
そして、本例では、管理装置100は、例えば
図9に示すような屑管理処理を実行するようになっている。
そして、回収作業者Wは、管理装置100から携帯端末200に送信された回収作業指示書141を参照し、顧客Uのところに出向き、管理対象シュレッダ30から生成された細断屑Saの回収作業を実施するようになっている。
【0032】
<顧客データベース>
本例で用いられる顧客データベース130としては
図8(b)に示すものが挙げられる。
同図において、顧客データベース130は、ユーザ情報131、機体情報132、運転状況情報133、使用履歴/エラー履歴その他の情報134を含んでおり、管理対象シュレッダ30から情報を受信する毎に更新処理がなされるようになっている。
ここで、ユーザ情報131としては、例えば社名、住所、担当者、連絡先、納入日などが挙げられ、また、機体情報132としては機種名、製造番号等が挙げられ、更に、運転状況情報133としては通常運転時間、通常運転回数……各種センサ検知回数等が挙げられ、使用履歴/エラー履歴その他の情報134としては、累積細断量(例えば予め決められた規定値)や各種エラーコード及びその発生時期の表示、更に、管理者M側から管理対象シュレッダ30に対し定期的に送信要請するような場合の送信要請条件などが挙げられる。
尚、本例では、運転状況情報133の一つとして、細断機構35のカッタ要素の劣化度合を診断するため、駆動モータ51の無負荷運転時の駆動電流値を、初期運転時から定期的又は不定期的に計測して格納しており、これも顧客データベース130に格納されるようになっている。
【0033】
-屑管理システムの動作過程-
次に、本実施の形態に係る屑管理システムの動作過程について説明する。
管理装置100は、
図9に示すように、定期的又は不定期的に予め決められた時期(例えば屑量レベルが予め決められたレベルに到達した時期など)に管理対象の選択動作を実施する。
今、例えばシュレッダ30を選択する時期に到達していたと仮定すると、管理対象としてシュレッダ30が選択され、シュレッダ通信制御処理及びシュレッダ管理処理が夫々実施される。
一方、回収ボックス500を選択する時期に到達していたと仮定すると、管理対象として回収ボックス500が選択され、回収ボックス通信制御処理及び回収ボックス管理処理が夫々実施される。
ここでは、シュレッダ通信制御処理及びシュレッダ管理処理を例に挙げて説明する。
【0034】
-管理対象シュレッダ側での処理-
管理対象シュレッダ30の制御装置70は、例えば
図10に示すシュレッダ通信制御プログラムを実行する。
同図に示すように、制御装置70は、先ず、細断機構35による細断処理を実施したか否かを判断し、細断処理を実施した場合には、細断実施条件を確認する。例えば通常運転時間、通常運転回数、駆動モータ51の駆動電流等を確認すると共に、細断処理に付随する各種機体情報(過負荷運転時間、過負荷運転回数、オートリバース回数、放熱回数、各種センサ検知回数など)を収集する。
そして、前述した細断実施条件に基づいて細断機構35による細断量を算出し、今までの細断量に累積して累積細断量を算出する。
この後、制御装置70は、算出した累積細断量が予め決められた規定値に到達したか否かをチェックし、規定値に到達した条件にて管理者Mに対し情報の送信時期に達したと判断し、管理者Mに必要な情報(
図8(a)参照)を送信する。
尚、情報の送信処理に当たっては、通信先との間でセキュリティ確保のための前処理(パスワード確認など)を実施することが好ましい。
更に、制御装置70が累積細断量に基づいて送信時期に達していないと判断した場合には、警告通知があるか否か、あるいは、管理者Mからの送信要請があるか否かをチェックした後、いずれの要請もなければ情報の送信処理を実行せず、いずれかの要請があれば、その要請に従って必要な情報について管理者Mに対し送信処理を実施する。
ここで、‘警告通知’とは、管理対象シュレッダ30が通常運転を継続する上で支障をきたす事態に至る蓋然性が高いという警告を通知するものであり、例えば屑満杯センサ82(
図4参照)の検知回数が予め決められた閾値k回に到達したときに、細断屑Saが満杯で細断機構35による細断処理を継続することが困難になるような場合に警告として通知するものである。
【0035】
-管理装置側での処理-
管理装置100は、例えば
図11に示すシュレッダ管理プログラムを実行するようになっている。
同図において、管理装置100は、管理対象シュレッダ30に送信要請するか否かを判断する。このとき、例えば顧客データベース130の使用履歴/エラー履歴その他の情報134に付記された送信時期情報に合致するか否かをチェックする。
そして、管理者M側からの送信要請がある場合には、管理対象シュレッダ30に対し送信要請する。
一方、前述した管理者M側からの送信要請がない場合には、回収作業者Wからの直接的な要請があるか否かを判断し、回収作業者Wからの要請があれば、管理対象シュレッダ30に送信要請し、回収作業者Wからの要請がない場合には、管理対象シュレッダ30からの受信か否かを常時監視し、管理対象シュレッダ30からの受信である場合には当該受信を許可する。
この後、管理装置100は、
図7に示すように、管理対象シュレッダ30から送信されてきた情報を読込み、管理用サーバ120の顧客データベース130を更新する。
そして、作業診断部140によって送信されてきた情報から管理対象シュレッダ30を診断し、細断屑の回収作業が必要と診断された場合には回収作業者Wに送信すべき回収作業指示書141を作成する。
【0036】
ここで、作業診断部140による処理内容を詳述すると、以下のようである。
(1)回収の要否についての判別工程
これは、顧客データベース130の管理対象シュレッダ30の細断屑情報に基づいて当該管理対象シュレッダ30から生成される細断屑Saの回収の要否を判別するものであり、本例では、例えば
図12に示すように、累積細断量をT、細断屑Saの回収作業を必要とする規定値(例えば顧客Uの要請により屑容器37が満杯になった量の整数倍で予め選定可能な規定値)をT1とすれば、T=T1に至った条件で、細断屑Saの回収が必要であると判別されることになる。
そして、本例では、細断屑情報としての累積細断量T1の情報が細断屑Saの回収作業情報として利用されると、顧客データベース130での累積細断量T1がリセットされ、累積細断量T1の累積計算が再スタートされる。
(2)回収作業者Wの選定工程
管理対象シュレッダ30に対して判別工程にて細断屑Saの回収が必要であると判別された条件では、当該管理対象シュレッダ30に適した回収作業者Wが選定される。
このとき、回収作業者Wの好ましい選定法は、例えば携帯端末200がGPS機能を具備する態様にあっては、当該GPS機能を利用し、携帯端末200の位置から回収拠点としての回収作業者Wの現在位置を把握することが可能であるため、回収先である管理対象シュレッダ30に近い一若しくは複数の回収拠点を選定候補として最終的に担当する回収作業者Wを選定するようにすればよい。
(3)回収作業指示書の作成工程
管理対象シュレッダ30に対する回収作業者Wが選定されると、選定された回収作業者Wに送信すべき回収作業指示書141が作成される。
ここで、回収作業指示書141の記載内容としては、回収作業者Wが管理対象シュレッダ30の顧客Uの所在他に出向き、細断屑Saの回収作業を実施する上で必要な情報を記載するようにすればよい。
例えば以下のようである。
・顧客Uの所在地
・管理対象シュレッダ30の機体情報
・細断屑Saの回収量
・回収した細断屑Saの搬入先
このとき、管理対象シュレッダ30の機種等の機体情報から、細断屑Saの細断サイズが把握されることから、例えば搬入先としては、細断屑Saを再利用して再生するものを考慮し、細断サイズ及び細断屑Saの回収量から管理者Mが決定する。
【0037】
-回収作業者W側での処理-
回収作業者Wは管理者Mから携帯端末200宛に送信された回収作業指示書141を取得すると、当該ジョブを受任する場合には、携帯端末200から管理装置100宛に受任通知を送信する。
この後、回収作業者Wは、管理対象シュレッダ30の顧客Uに対して訪問の都合を確認した後、顧客Uの元に出向き、管理対象シュレッダ30に対する細断屑Saの回収作業を実施する。
このとき、
図7に示すように、管理対象シュレッダ30から生成された細断屑Saは例えば屑入れ袋90に収容されているため、回収作業者Wは当該屑入れ袋90に、回収元情報、細断屑情報(例えば細断サイズ、細断屑の回収量など)、搬入先情報が記載された廃棄回収ラベル91を貼付して当該屑入れ袋90を回収し、顧客Uに対しては細断屑Saの回収作業完了書面を手渡す。
尚、廃棄回収ラベル91は例えば回収作業指示書141と共に予め貼付可能に作成しておくことが好ましい。
この状態において、回収作業者Wは、携帯端末200から管理者M(管理装置100)宛に細断屑Saの回収完了通知を送信する。これにより、管理者Mは回収作業者Wによる作業状況の進捗を把握することができる。そして、回収作業者Wは、直接若しくは別の担当者を経由して回収した細断屑Saを搬入先に搬入する。
【0038】
-実施の形態1での細断屑管理の概要-
図13に本実施の形態に係るシュレッダの細断屑管理システムにおける顧客U、管理者M/管理センタ及び回収作業者Wの相互の関係を模式的に示す。
同図によれば、以下のようである。
(1)管理者Mは、顧客Uが所有する管理対象シュレッダ30から情報収集(機体情報・運転状況情報)する。
(2)管理者Mは、細断屑Saの回収作業条件が整った段階で、回収作業者Wに回収作業指示を出す。
(3)回収作業者Wは顧客Uの管理対象シュレッダ30から生成された細断屑Saの回収作業を実施する。
(4)回収作業者Wは回収した細断屑Saを搬入先(処理業者Q)に搬入する。
【0039】
-実施の形態1での保守・修理管理の概要-
本実施の形態では、管理装置100は管理対象シュレッダ30の機体情報、運転状況情報を収集しているため、前述した細断屑管理以外に、管理対象シュレッダ30の保守・修理管理をも実施することが可能である。
1.シュレッダの保守管理
今、
図12に示すように、累積細断量T=T2(例えば1t)のとき、保守点検時期として予め選定しておけば、例えば
図5(b)に示すように、管理対象シュレッダ30の無負荷運転時における駆動モータ51の駆動電流Iの値をチェックすることで、細断機構35のカッタ要素の劣化度合(紙詰まり、摩耗)を推測することが可能であることから、このデータチェックに基づいて、例えば保守・修理作業指示書142が作成される。尚、前述した駆動モータ51の駆動電流Iの値が予測される範囲を超えて増加しているような場合には、細断機構35の劣化度合がより進行していると診断し、その旨の追記事項が付されるようになっている。
この結果、管理者Mは、
図13に(5)で示すように、保守・修理作業指示書142を保守・修理要員Pに送信し、保守・修理要員Pは、前述した保守・修理作業指示書142を参照することで管理対象シュレッダ30の運転状況を把握し、必要に応じて保守部品等を事前に用意し、現場に出向いて管理対象シュレッダ30の保守作業(メンテナンス)を実施する。
【0040】
2.シュレッダの修理管理
今、
図12に示すように、累積細断量T=T3(例えば3t)のとき、細断機構35の保障寿命に到達した時期と仮定すると、例えば
図5(b)に示すように、管理対象シュレッダ30の無負荷運転時における駆動モータ51の駆動電流Iの値をチェックすることで、細断機構35のカッタ要素の劣化度合(紙詰まり、摩耗)が寿命に到達していることの判断が可能である。このようなデータチェックに基づいて、細断機構35が寿命時期に到達したことが確認された場合には、その旨の保守・修理作業指示書142が作成される。
この結果、管理者Mは、
図13に(6)で示すように、保守・修理作業指示書142を保守・修理要員Pに送信し、保守・修理要員Pは、前述した保守・修理作業指示書142を参照することで管理対象シュレッダ30の運転状況を把握し、細断機構35が寿命であると判断されるときには細断機構35の交換部品を用意し、現場に出向いて管理対象シュレッダ30のオーバーホールを実施する。
【0041】
-回収作業指示後のシュレッダの動作例-
本実施の形態では、管理対象シュレッダ30に回収作業指示が出されると、
図9に示すように、シュレッダ30の表示器63には「屑回収要」と表示されると共に、シュレッダ60の駆動が一時停止されるようになっている。
この状況においては、シュレッダ30の屑容器37内に収容される細断屑Saが満杯レベルであり、シュレッダ30を継続的に使用可能にすると、屑容器37内の細断屑Saが溢れる懸念があるので、シュレッダ30での細断処理を一時的に禁止するようにしたものである。この間、ユーザは、シュレッダ30ではなく、一時的には回収ボックス500への廃棄を行うようにすればよい。
そして、回収作業者Wによる細断屑の回収作業が完了すると、シュレッダ30の一時停止処理は解除されるようになっている。
尚、シュレッダ30の一時停止処理については、必要に応じてユーザ側で解除することを可能にしてもよい。
【0042】
-実施の形態1での非細断屑管理の概要-
本実施の形態では、管理装置100が屑量センサ520からの情報に基づいて屑容器510内の屑量が予め決められた満杯レベルに到達したと判断した場合には、回収ボックス500の開閉扉503を開放した後、廃棄屑S’が収容された屑容器510を引出し、例えば屑容器510を予め梱包可能な構成にしておけば、廃棄屑S’はそのまま屑容器510に梱包され、回収作業者Wによる廃棄屑回収作業が行われるようになっている。
従って、本実施の形態によれば、屑量センサ520が屑容器510内に収容される廃棄屑S’の容量を計測し、管理対象回収ボックス500の機体情報等と共に屑量レベル情報を管理装置100へと送信する。
これにより、管理者M/管理センタは、回収ボックス500の屑容器510に収容された廃棄屑S’の屑量変化を把握し、屑量レベルが満杯レベルに至った際に、回収作業者Wによる廃棄屑回収作業を指示し、また、屑量センサ520にメンテナンス作業、例えばバッテリー交換などが必要になる場合には、保守・修理要員Pによるメンテナンス作業を指示し、夫々の作業を迅速に実施させることが可能である。
【0043】
-回収専用箱についての適用例-
また、本実施の形態では、回収ボックス500内の屑容器510に廃棄屑S’を廃棄するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば管理対象を回収専用箱(図示せず)そのものとし、回収専用箱に廃棄書類等の廃棄屑(図示せず)を満杯レベル又はその近傍に至るまで収容した後に梱包する。
そして、梱包された回収専用箱の表面には図示外の屑量通信タグを貼り付ける。ここで、屑量通信タグには、回収専用箱を特定するための情報(管理番号、ユーザ名、箱サイズ、廃棄屑の種類など)と、回収専用箱内に収容されている廃棄屑が満杯レベル(又はその近傍レベル)にあり、回収準備が完了していることを示す情報が書き込まれている。
このため、本例では、屑量通信タグが回収専用箱内に廃棄屑が満杯レベル又はその近傍レベルにあることを、回収専用箱を特定する情報と共に、管理装置100へと送信する。
これにより、管理者M/管理センタは、管理対象回収専用箱に収容される廃棄屑の屑量レベルが満杯レベル又はその近傍に至った際に、回収作業者Wによる廃棄屑回収作業を指示し、廃棄屑回収作業を迅速に実施させることが可能である。
【0044】
-回収作業指示後の回収ボックスの動作例-
本実施の形態では、管理対象回収ボックス500に回収作業指示が出されると、
図9に示すように、回収ボックス500の図示外の表示器には「屑回収要」と表示されると共に、回収ボックスの使用が一時停止されるようになっている。
この状況においては、回収ボックス500の屑容器510内に収容される廃棄屑S’が満杯レベルであり、回収ボックス500を継続的に使用可能にすると、屑容器510内の廃棄屑S’が溢れる懸念があるので、回収ボックス500の使用を一時的に禁止するようにしたものである。
ここで、回収ボックス500の使用を一時的に禁止する手法としては、回収ボックス500の投入口502に図示外のシャッタを設けておき、シャッタで投入口502を閉じるようにする手法が挙げられる。
この間、ユーザは、回収ボックス500ではなく、一時的にはシュレッダ30への廃棄を行うようにすればよい。
そして、回収作業者Wによる廃棄屑S’の回収作業が完了すると、回収ボックス500の一時停止処理は解除されるようになっている。
尚、回収ボックス500の一時停止処理については、必要に応じてユーザ側で解除することを可能にしてもよい。
【0045】
◎実施の形態2
図14は実施の形態2に係るシュレッダの細断屑管理システムの要部を示す。
同図において、シュレッダの細断屑管理システムの基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、重要書類を作成するプリンタ、コピー機等の書類作成元300(例えば300a~300c)を有し、これらも、管理対象シュレッダ30(例えば30a~30c)と共に、ネットワークXを介して管理者M/管理センタの管理装置100と通信可能に接続され、重要書類の廃棄に適したシステムとして構成されている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、顧客U1~Unは、
図15に示すように、管理対象シュレッダ30(例えば30(1)~30(n))と書類作成元300(例えば300(1)~300(n))とを有しており、管理対象シュレッダ30(例えば30(1)~30(n))は、シュレッダ筐体31の投入口32の縁部に投入前の被細断物である用紙Sが案内保持される案内トレイ38を有しており、この案内トレイ38に対向した部位に情報読取デバイス(例えばイメージセンサ)160を配設し、案内トレイ38に沿って置かれた用紙Sを読み取るようになっている。更に、管理対象シュレッダ30(例えば30(1)~30(n))は、夫々IDリーダ170を搭載しており、使用する担当者を特定するためのIDカード171について認証可能になっている。
本例では、情報読取デバイス160で読み取ったデータ及びIDリーダ170で読み取ったデータはいずれもRAM73に記録されるようになっている。
【0046】
また、本実施の形態では、プリンタやコピー機等からなる書類作成元300(例えば300(1)~300(n))は、重要書類にはメタデータ(タイトル、枚数等の書類の素性要約)が予め、あるいは、事後的に書き込まれるようになっている。
この種のメタデータは、書類上に目視可能に作成されていてもよいし、あるいは、目視し難い形式(例えばイエロで作成)で作成されていてもよく、書類作成元300であるプリンタやコピー機等で印刷やコピーする際に他の情報と一緒に印刷、コピーされるようになっている。
そして、本例では、情報読取デバイス160はメタデータが目視し難い形式で作成されていたとしても、読み取り可能になっている。
本実施の形態では、管理対象シュレッダ30及び管理装置100は、管理対象シュレッダ30にて廃棄する用紙Sが重要書類である場合には、
図16に示すような廃棄情報記録処理を行うようになっている。
【0047】
本実施の形態では、シュレッダの細断屑管理システムは、実施の形態1と略同様な作用を奏するほか、以下に示すような廃棄情報記録処理を行う。
この種の廃棄情報記録処理は、
図16に示すように、管理対象シュレッダ30にて被細断物としての用紙Sを細断廃棄する際に、情報読取デバイス160にて用紙S上の情報に対して読取処理を行い、メタデータのある重要書類か否かを判別する。
このとき、用紙Sにメタデータが存在する場合には、
図17(a)に示すように、用紙Sを細断廃棄するほか、廃棄情報記録を実施する。つまり、メタデータがある場合には、ID情報(IDリーダ170によるIDカード171情報に相当)を認証し、管理対象シュレッダ30のRAM73にメタデータ、ID情報、機体情報を廃棄情報として記録する。
本例では、更に、管理装置100に廃棄情報を送信して記録すると共に、重要書類の書類作成元300に対し廃棄情報を送信して記録する。
このように、本実施の形態では、重要書類を細断廃棄した場合には、管理対象シュレッダ30、管理装置100及び書類作成元300に対して廃棄情報記録を残すようにしたので、重要書類を廃棄した場合の事実関係が証拠として記録保管される点で好ましい。
一方、メタデータのない用紙Sについては重要書類でないと判断し、管理対象シュレッダ30にて用紙Sを細断廃棄し、廃棄情報記録については実施しない。
【0048】
◎実施の形態3
図18は実施の形態3に係るシュレッダの細断屑管理システムの要部を示す。
同図において、シュレッダの細断屑管理システムの基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、顧客Uの管理対象シュレッダ30(例えば30a)に、屑容器37に収容された細断屑Saの容量(以下屑量という)に関する情報を通信するための屑量通信装置400が設けられており、例えば顧客Uの敷地内で有効なゲートウェイ80(無線LAN、Bluetoothなど)を経てネットワークXに接続され、管理者M/管理センタの管理装置100と通信可能になっている。そして、管理装置100が屑量通信装置400からの情報に基づいて屑容器37内の屑量が予め決められた満杯レベルに到達したと判断した場合には、屑容器37の細断屑Saは例えば屑入れ袋90に収容された後、回収作業者Wによる細断屑回収作業が行われるようになっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施の形態では、屑量通信装置400は、
図18に示すように、例えば屑容器37の開口縁部に後付け装着されるものであって、
図19(a)(b)に示すように、通信装置筐体401の一部に屑量センサ410を組み込み、通信装置筐体401内には少なくとも送信モデム機能を具備した通信部421と、屑量センサ410による検出処理や通信部421による通信処理を制御する制御装置420とを備えている。
そして、屑量通信装置400には内部電源(バッテリー)430又は外部電源431が切替スイッチ432を介して切替選択可能に接続されるようになっている。
また、本例では、屑量センサ410は、
図19(a)(b)に示すように、例えばLEDなどの発光素子411とフォトダイオードなどの受光素子412とを有する光学式の距離センサにて構成されており、屑容器37の開口縁部位置から屑容器37の底部に向かって斜め下方向に発光素子411からの照射光Bmを照射し、屑容器37に収容された細断屑Saの表面部からの反射光Bm’を受光素子412にて受光するようにしたものである。
ここで、
図19(b)中、符号413は発光素子410への通電量を調整する抵抗であり、符号414は受光素子412の通電に伴う出力電圧を取り出すための抵抗である。
【0050】
次に、屑量センサ410の動作原理について説明する。
今、
図20(a)に示すように、屑容器37内に収容される細断屑Saの容量が次第に増加していくと、細断屑Saの表面位置が図中d
6→d
5→d
4→d
3→d
2→d
1と順次上昇することになる。このとき、屑量センサ410の設置位置をd
0とすれば、屑量センサ410から細断屑Saまでの距離dはd
6>d
5>d
4>d
3>d
2>d
1のようである。尚、本例では、細断屑Saの表面位置d
1が細断屑Saの満杯レベルと仮定する。
この状態において、発光素子411からの照射光Bmが細断屑Saの表面部で反射した後、受光素子412に至る反射光Bmの出力レベルは、
図20(b)に示すように、屑量センサ410の発光素子411から受光素子412に戻るまでの光路長が長いほど低く、光路長が短くなるにつれて次第に増加する傾向になり、d
1の位置でVmaxを示す。
また、本例では、屑量センサ410は、
図20(c)に示すように、所定の検出周期で予め決められたサンプリング時間ts(例えば1秒)だけLED等の発光素子411をONし、受光素子412の出力(
図19(b)中のA点)を検出し、これを所定のサンプリング間隔でサンプリングし、例えば平均化処理することで屑量センサ410の出力値とすればよい。このように平均化処理するのは、シュレッダの細断処理時には受光素子412の出力がばらつくことによる。尚、サンプリング方法については、必ずしも平均化処理することに限定されるものではなく、最大値、最小値を除いて平均化するなど適宜選定して差し支えない。
【0051】
また、本例では、制御装置420は、屑量センサ410の出力(受光素子412の出力)の特性グラフ(
図20(b))を図示外のメモリに格納しており、所定の検出周期毎に屑量センサ410の出力を検出し、これに対応する屑量センサ410から細断屑Saまでの距離dに関する情報(例えば16レベルの屑量レベル)を演算し、通信部421を介して送信する。
また、制御装置420のメモリには、管理対象シュレッダ30の機体情報及び屑量通信装置400の電源に関する情報として例えば以下の情報が書き込まれており、前述した屑量レベルと共に送信されるようになっている。
(1)機種名
(2)製造番号
(3)製造ロット番号
(4)設置年月日
(5)修理履歴
(6)電源(内部/外部)
(7)バッテリー交換/否
(8)バッテリー交換日
(9)ユーザ名
【0052】
次に、本実施の形態で用いられる屑量通信装置の作動について説明する。
本実施の形態では、屑量通信装置400は、外部電源431を使用する場合と、内部電源(バッテリー)430を使用する場合とで作動が相違するので、以下場合を分けて説明する。
-外部電源の場合-
図21(a)に示すように、外部電源431から電力が供給されている間屑量センサ410による検出動作を連続で行い、屑量センサ410による屑量レベルを制御装置420にて判定し、レベル変動があると、短時間の一定時間t
1(例えば10秒)毎に屑量レベル情報を送信する。一方、予め決められた時間(例えば30秒)にレベル変動がない場合には予め決められた時間t
2(例えば1時間)毎に屑量レベル情報を送信する。
【0053】
-内部電源-
図21(b)に示すように、内部電源(バッテリー)430を使用する場合には、内部電源430の消耗を抑えるための制御が必要である。尚、
図21(b)中、Bで示す箇所は
図21(a)のBで囲んだ領域を示す。
先ず、内部電源430が低電圧であるか否かをチェックし、低電圧であることを検出した場合には、予め決められた時間t
3(例えば1時間)毎にバッテリーの交換情報を送信する。
一方、内部電源430が低電圧でない場合には、屑量レベル判定を行い、屑容器37内に収容される細断屑Saの屑量が予め決められたレベル(例えば細断屑Saの表面位置がd
6のときの屑量センサ410の出力レベルVth)以上か否かをチェックする。
このとき、屑量センサ410の出力レベルがVth未満の場合には、屑量レベルの判定間隔をt
4(例えば1分)、送信間隔をt
5(本例ではt
5=t
4)として屑量レベル情報を送信する。この判定間隔t
4のうち1秒間を10回サンプリングし、屑量のレベル変動を均一化するために平均化処理する。尚、平均化処理以外の処理、例えば最小値又は最大値を使用する等にすることも可能である。
また、屑量センサ410の出力レベルがVth以上の場合には、細断屑Saの表面位置がd
6以上に位置することになるが、この場合には、屑量レベルの判定間隔をt
6(例えば10秒)、送信間隔をt
7本例ではt
7=t
6)として屑量レベル情報を送信する。
尚、屑量センサ410による屑量レベルに30秒間変動がない場合には予め決められた時間t
2(例えば1時間)毎に屑量レベル情報を送信する。但し、屑量レベルの判定間隔がt
4(例えば1分)の場合には、屑量レベルに3分間変動がない場合には予め決められた時間t
2(例えば1時間)毎に屑量レベル情報を送信する。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、屑量通信装置400が屑容器37内に収容される屑量を計測し、管理対象シュレッダ30の機体情報や屑量通信装置400の電源情報と共に屑量レベル情報を管理装置100へと送信する。
これにより、管理者M/管理センタは、管理対象シュレッダ30の屑容器37に収容された細断屑Saの屑量変化を把握し、屑量レベルが満杯レベルに至った際に、回収作業者Wによる細断屑回収作業を指示し、また、屑量通信装置400にメンテナンス作業、例えばバッテリー交換などが必要になる場合には、保守・修理要員Pによるメンテナンス作業を指示し、夫々の作業を迅速に実施させることが可能である。
【0055】
また、本実施の形態では、屑量通信装置400は屑容器37の開口縁部に後付け装着されているが、これに限られるものでなく、シュレッダ筐体31の内壁に後付け装着されるようにしてもよい。また、本実施の形態では、屑量センサは一つ通信装置筐体に組み込まれているが、これに限られるものではなく、複数箇所に設置されるようにしてもよい。この態様では、屑容器37に収容される細断屑Saの分布に片寄りが生じたとしても、複数の屑量センサの出力を平均することで、一つの屑量センサの場合に比べて、より正確な屑量レベルを検出することが可能である。
【0056】
尚、本実施の形態では、屑量センサ410として光学式の距離センサを用いたが、これに限られるものではなく、例えば細断屑が収容される屑容器37の重量を検出する屑量センサ(図示せず)を用いるようにしてもよい。
本例の場合には、屑容器37の重量を測定してその重量に応じた量をその都度記録し、所定の期間で累積細断量を把握するようにすればよい。
より具体的な処理例としては、
(1)一定期間例えば毎日行った定の時刻に記録する。また、管理センタにその日の重量を通知し管理する。
(2)所定の重量になったときに記録する。また、管理センタにその日の重量を通知し管理する。
(3)上記の(1)と(2)の組み合わせで管理する。
(4)一度満杯になり、屑袋交換した場合でもその重量情報が記録されるので交換したことを把握できる。また、満杯になる前に屑袋交換しても交換前と交換後の重量が記録されるので交換したことが把握される。
(5)管理センタへの通知の場合には、その通知情報内容により満杯になる前に屑回収の行動を起こすことが可能になり、ユーザの業務を裂くことなく業務に専念することが可能になる。
【0057】
◎実施の形態4
図22は実施の形態4に係るシュレッダの細断屑管理システムの要部を示す。
-騒音低減機構の構成-
本実施の形態では、
図22に示すように、シュレッダ筐体31の斜め下方に向かって傾斜する搬入経路33の途中に騒音低減機構600が設けられており、この騒音低減機構600の規制ロール601が投入される用紙Sの厚みに応じて移動することに着目し、規制ロール601の移動量から投入される用紙Sの厚さ(枚数)を割り出し、シュレッダの30の細断屑量の累積値を算出することを企図したものである。
本例において、騒音低減機構600は、
図22及び
図23(a)(b)に示すように、搬入経路33の上側を区画する上側区画シュート33aの一部には用紙Sの搬入方向に交差する幅方向に沿って延びる長尺矩形状の取付孔602を開設すると共に、この取付孔602に面した部位には下側区画シュート23bに対向して規制ロール601を設置したものである。
本例では、下側区画シュート33bは、平板状のシュート本体の幅方向両側には規制ロール601の軸方向(長手方向)両端に向かって張り出す張出部として段差を持って幅方向外方に突出する段差部603を設けたものであり、規制ロール601は、その軸方向両端部の周面が下側区画シュート33bの段差部603上に接触配置され、下側区画シュート33bのシュート本体との間には隙間gの開口部を確保するようになっている。尚、隙間gは例えば坪量が60~100g程度の1枚の用紙Sが通過可能な寸法を想定し、0.1mm程度(0.08~0.12mm)が選定されている。
更に、上側区画シュート33aの取付孔602の長手方向一側縁に沿って規制ロール601の移動軌跡を案内するための案内板605が水平方向に対して所定角度(例えば20~50°)傾斜して設置され、この案内板605上に規制ロール601を載せることで取付孔602に面して規制ロール601が配置され、下側区画シュート33bの段差部603にて規制ロール601の軸方向両端部が支持されるようになっている。
【0058】
-騒音低減機構の動作-
次に、本実施の形態で用いられる騒音低減機構600の動作について説明する。
先ず、
図23(a)に示すように、被細断物が予め決められた厚さt
1(t
1<g)の1枚の用紙S(具体的にはS
1)である場合には、用紙S
1が投入口32から搬入経路33に搬入されると、規制ロール601は搬入経路33の下側区画シュート33bを対向部材として隙間gを確保して配置される。この隙間gは搬入経路33の用紙S
1の厚さ方向の開口幅よりも狭い開口幅であるが、1枚の用紙S
1の厚さt
1に比べて大きく設定されているため、用紙S
1は規制ロール601と下側区画シュート33bのシュート本体との間の隙間gの開口部を通過し、細断機構34に至る。このとき、規制ロール601と下側区画シュート33bのシュート本体との隙間gの開口部は用紙S
1の存在により|g-t
1|の微小な隙間を残すに過ぎず、細断機構34による細断音は微小な隙間部分で大きく減衰する。
また、
図23(b)に示すように、被細断物が隙間g以上の厚さt
2を有する複数枚の用紙S(具体的にはS
2)である場合には、用紙S
2は規制ロール601の隙間gの開口部を通過するときに規制ロール601を退避移動させながら、搬入経路33の下側区画シュート33bに沿って細断機構34に向かって搬入される。
本例では、規制ロール601が面剛性の強い用紙S
2の通過に伴って退避方向に移動するため、規制ロール601と下側区画シュート33bとの間の開口幅は、用紙S
2の厚さt
2に伴って規制ロール601が初期位置に位置する場合の隙間g寸法より拡がり、用紙S
2は退避移動した規制ロール601と下側区画シュート23bとの間の開口部を塞いだ状態で配置される。このため、規制ロール601と下側区画シュート33bとの間の開口部は用紙S
2で封止されることから、細断機構34による細断音の多くは搬入経路23の規制ロール601部分にて遮断されることになり、搬入経路33の投入口22から外部に漏出する懸念は小さい。
【0059】
-細断屑量の算出-
また、規制ロール601の退避移動量は位置検出器610によって検出可能であるから、位置検出器610の検出結果から、用紙S2の厚さ(枚数)を割り出すことができる。このため、騒音低減機構600の規制ロール601の移動軌跡から用紙S2の厚さが算出されることになり、また、規制ロール601が用紙S2の厚さを検出している間の用紙S2の通過時間が計測可能である。
用紙S2の厚さ及び通過時間から用紙S2の同時細断枚数を算出することが可能になる。
管理センタには、管理対象シュレッダ30の例えばある1日の細断枚数(例えば標準のA4版サイズに換算)を通知するようにすれば、管理センタは一定の期間の細断枚数を累積して総枚数を算出することができる。
このため、管理対象シュレッダ30の累積細断量を演算することが可能になり、これにより、細断屑の回収作業の要否を判別することができる。
【0060】
◎実施の形態5
図24(a)(b)は実施の形態5に係るシュレッダの細断屑管理システムの要部を示す。
同図において、シュレッダ30は、シュレッダ筐体31の投入口32付近に用紙束分離具620を搭載し、投入口32から細断機構34に搬入される用紙束を所定枚数以下に調整するものである。
本実施の形態において、用紙束分離具620は、シュレッダ筐体31の案内用凹所31bに沿って細断用用紙束Sを投入口32に向かって移動させるもので、案内用凹所31bの案内面と略平行に分離プレート625を設置したものである。
本例の分離プレート625は例えばシュレッダ筐体31と同様な素材からなる板材であって、案内用凹所31bの案内面の入口に対して細断用用紙束Sの移動方向下流側に偏位配置され、移動する用紙束Sに当接する端部には当該用紙束Sに入り込んで用紙束が分離可能に形成された爪部626を有している。
そして、本例では、爪部626は、細断用用紙束Sの移動方向に交差する幅方向の略中央に一つ設けられており、細断用用紙束Sの厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成され、かつ、細断用用紙束Sの幅方向寸法が先端に向かって窄まるように形成された薄刃状幅狭部126aを有している。尚、当該薄刃状には針状も含まれる。
更に、分離プレート625は、爪部126を挟んで幅方向の両側に細断用用紙束Sの移動方向に向かって徐々に切り欠かれる切欠部127を有している。
【0061】
更にまた、分離プレート625は、案内用凹所31bの案内面との間に投入口32に至るまで分離された用紙束Saを通過させる所定の間隙gの空間部を確保するようになっている。
また、分離プレート625の爪部626とは反対側の端部には投入口32に至る用紙束Sa以外の残用紙Sbが収容される収容受け630が一体的に設けられている。本例では、収容受け630はシュレッダ筐体31の頂部において案内用凹所31bに隣接した部位に凹所として設けられており、この収容受け630には収容された残用紙Sbが落下しないようにせき止めるストッパ(図示せず)やあるいは落下した残用紙Sbを受け止め回収する回収容器(図示せず)が必要に応じて設けられる。
尚、分離プレート625の上方に間隙を介して少なくとも爪部126(薄刃状幅狭部126aを具備)を覆うようにガードプレート640を付加し、ユーザが分離プレート625の爪部626に直接触れないようにしてもよい。ここで、ガードプレート630と分離プレート625との間隙は分離された用紙束Sa以外の残用紙Sbが入り込む程度に設定されていればよい。
【0062】
次に、本実施の形態に係るシュレッダでの細断用用紙束の分離動作について説明する。
今、
図24(a)(b)に示すように、任意枚数の厚さt
sの細断用用紙束Sを案内用凹所31bの案内面に沿って投入口32に向けて移動させると、用紙束Sの先端が分離プレート625の爪部626に突き当たる。
この状態において、分離プレート625の爪部626は用紙束Sの端部の分離位置に入り込む。特に、本例では、爪部626の先端が薄刃状幅狭部626aとして構成されているため、用紙束Sの端部の分離位置に入り込み易い。
この後、更に、用紙束Sを移動させると、
図24(b)に示すように、分離プレート625の爪部626は先端に向かって窄まるような形状を有しているため、用紙束Sの端部の分離位置から用紙束S間に入り込み、用紙束Sを二分する。この後、爪部626の両側に形成された切欠部627は爪部626による用紙束Sの分離領域を用紙束Sの幅方向に徐々に広げていき、用紙束Sの分離を完成させる。つまり、用紙束Sのうち、分離プレート625と案内用凹所31bの案内面との間の間隙gの空間部に入り込んだ用紙束Sa(本例では厚さt
a)は案内面に沿って投入口32へと導かれる。一方、分離プレート625の爪部626上に乗り上げた用紙束Sが残用紙Sb(本例では厚さt
b)として収容受け630に収容される。
この状態において、投入口32に到達した用紙束Saは搬入経路33を経て細断機構34へ至り、細断処理に供される。このとき、細断機構34に至る用紙束Saはシュレッダ30の細断性能(同時細断最大枚数)を考慮した所定の厚さt
aに調整されているため、細断機構34による細断負荷が過剰になることは有効に回避される。
また、収容受け630に収容された残用紙Sbについては、再び用紙束分離具620にて用紙束Sの分離動作を経て所定厚の用紙束Saは細断機構34へと供されるようにすればよい。
尚、本実施の形態では、用紙束分離具620はシュレッダ30の案内用凹所31b付近に予め設けられているが、これに限られるものではなく、シュレッダ30の投入口32付近に用紙束分離具620を着脱可能に設けるようにしてもよい。
【0063】
-細断屑量の算出-
本実施の形態では、用紙束分離具620は、任意枚数の用紙束Sであっても、予め決められた規定枚数以下の用紙束Saに分離して投入口32から細断機構34へと投入することが可能になる。
このとき、各用紙束Saの投入回数と当該用紙束を投入したときの細断機構34の動作時間とを計測することは可能である。
これらの情報から、管理対象シュレッダ30による用紙の細断枚数を算出することは可能になる。管理センタには、管理対象シュレッダ30の例えばある1日の細断枚数(例えば標準のA4版サイズに換算)を通知するようにすれば、管理センタは一定の期間の細断枚数を累積して総枚数を算出することができる。
このため、管理対象シュレッダ30の累積細断量を演算することが可能になり、これにより、細断屑の回収作業の要否を判別することができる。
尚、本例の場合には、用紙束Saが常に規定枚数であるとは言えないので、累積細断量を演算するときには、規定枚数の用紙束が投入された見掛け上の累積細断量に対して重み付け係数を乗算する等の補正をすることが好ましい。
【0064】
◎実施の形態6
図25は実施の形態6に係る屑管理システムに用いられる屑処理装置の要部を示す。
同図において、屑処理装置700は、細断屑処理器としてのシュレッダ710と、非細断屑処理器としての回収ボックス720とを一体化した態様である。
本例において、屑処理装置700はシュレッダ筐体711と回収ボックス筐体721とを共通の仕切り壁716で内部を区画するように一体化し、シュレッダ筐体711の頂部に投入口712を開設すると共に搬入経路713を設け、搬入経路713の途中に細断機構714を設置し、その下方に屑容器715を出入可能に設置する一方、回収ボックス筐体721の頂部には投入口722を開設すると共に、その内部には屑容器723を設置したものである。尚、回収ボックス筐体721には鍵付きの厳重な扉(図示せず)が設けられている。
更に、シュレッダ筐体711内には屑容器715内の細断屑量を検出する屑量センサ731が設けられ、一方、回収ボックス筐体721内にも屑容器723内の廃棄屑量を検出する屑量センサ732が設けられ、これらの屑量センサ731,732の検出出力は両者共通の制御装置733に取り込まれ、両者共通の通信部734を介してネットワークに接続され、管理拠点との間で通信可能になっている。
それゆえ、実施の形態1と略同様に、シュレッダ710、回収ボックス720の各屑量が管理拠点に送信され、管理拠点では、屑の回収作業の要否が判別されるようになっている。
【実施例】
【0065】
◎実施例1
本実施例は、例えば実施の形態1に係る屑管理システムのうち、シュレッダの細断屑管理システムにおいて用いられる管理装置100の管理画面表示例を示す。
図26は株式会社Aの管理対象シュレッダを管理する管理画面表示例を示す。
同図において、管理画面の上側領域には管理対象シュレッダ30の機体情報が表示されている。また、管理画面の下側領域には細断屑の堆積量モニタが満杯レベルを100%とした場合に、満杯レベル側から20%ずつ色分け(例えば赤色、橙色、黄色、緑色、黄緑色)されている。
また、行動判断レベルとして、細断屑の堆積量が85%で即日回収要、同70%で回収準備A、同55%で回収準備Bが示されている。
そして、その右欄には、現段階での状況から見た回収予定日が算出されて表記されている。尚、回収予定日の下方には、「過去の履歴を見る」ボタンが配置され、また、堆積量モニタの情報には、「機密書類堆積状況」ボタンと、「細断量状況」ボタンが配置されている。
【0066】
今、
図26の「細断量状況」ボタンを押圧操作すると、
図27に示すように、細断量状況として、現在の細断量、当月の累計がグラフと数値の両方で表示される。
また、
図26の「機密書類堆積状況」ボタンを押圧操作すると、
図28に示すように、当月の堆積量レベルの日々の変化が棒グラフで表示され、細断屑の堆積量が80%に到達する周期が8日であることが解析されている。
更に、
図26の「過去の履歴を見る」ボタンを押圧操作すると、
図29に示すように、過去1年の月ごとのソイ団枚数が棒グラフで表示され、かつ、各月のオートリリバース回数が表示されている。
このような表示例であれば、管理拠点において、管理対象シュレッダ30の細断屑の堆積量変化を予め決められた間隔(例えば1日)毎にリアルタイムで把握することが可能である。
【0067】
◎実施例2
本実施例は、実施の形態1に係る屑管理システムのうち、シュレッダの細断屑管理システムにおいて用いられる細断屑の屑量を判定する手法を示す。
本例は、複数の細断用紙を細断機構34に投入すると、細断用紙の枚数に応じて細断機構34の駆動モータの負荷電流が変動することは一般的に知られており、これを利用して細断しているときの負荷量に応じて表示色を変える等の表示をLEDなどのインジケータで行う手法が採用されている。例えば
図27に示す管理画面表示例では負荷の大きい順に、赤色、橙色、黄色、緑色、黄緑色として表示されている。
今、
図30(a)に示す測定回路において、駆動モータ(本例ではインダクションモータを使用)の負荷電流を整流ダイオード及びオペアンプによる取出回路にて取り出し、マイクロコンピュータ(図中マイコンで表記)のアナログポートから取り込むようにしたところ、
図30(b)に示す結果が得られた。
図30(b)では、投入口センサに用紙が投入されると、駆動モータの負荷電流が変動するこが理解される。このとき、負荷電流をサンプリングすることで均一化したのち、アナログレベルAを判定することが行われる。
【0068】
細断枚数毎の負荷電流の変化を
図31(a)(b)に示す。
同図において,
図31(a)は実施例2の細断枚数と負荷電流との関係を示す測定データ例、(b)は実施例2の細断枚数と細断速度、細断時間との関係を示す測定データ例である。
同図によれば、細断枚数が少ない時は負荷電流値が小さく、細断の状況により変動するため、正確な枚数は期待できないが、最低限の枚数を把握することは可能である。
また、細断枚数が少ない時には細断速度が速く、細断枚数が多くなると細断速度が遅くなる傾向があることが理解される。但し、変動幅は15%程度であるため、細断枚数への寄与度は小さいと考えられる。
従って、以下のような計算で細断枚数を算出することが可能である。
(1)50Hzの場合
・電流値3.1Aが約40秒経過時は1枚
・電流値9.0Aが約5.0秒経過時は20枚
・電流値9.0Aが約20.0秒経過時は80枚
のように、
図31(a)(b)の関係から算出することができる。
また、間欠投入時や細断枚数変化時は、電流値の変化があるので、その時点でリセットすることにより算出することができる。
(2)60Hzの場合も同様に、
図31(a)(b)から算出可能である。
(3)用紙の標準サイズであるA4版を横投入した場合は、A4版縦投入に比べて、負荷電流値が増える代わりに細断時間が少なくなるので、算出方法は問題ない。
(4)厚紙などの場合もここで算出している用紙(例えば上質紙)に換算するようにすればよい。
(5)細断の都度、上記データを記録し所定期間記録する。また、通信回線を通じて日々の細断枚数を管理センタに通知するようにすれば、管理することが可能である。
【0069】
◎実施例3
図32(a)(b)は、実施の形態1に係る屑管理システムのうち、シュレッダの細断屑管理システムにおいて用いられる細断屑の屑量を判定する手法を示す。
但し、実施例2と異なり、駆動モータとしてインバーターモータを使用した場合を示す。
図32(a)は細断枚数と負荷電流との関係(50Hz)を示す測定データ例であり、同図(b)は細断枚数と細断速度、細断時間との関係(50Hz)を示す測定データ例である。
同図によれば、駆動モータがインバーターモータであるとしても、実施例2と同様にして細断枚数を算出することが可能であることが確認された。
また、本実施例の方が実施例2に比べて多くの細断枚数まで細断処理が可能であることも理解される。
【符号の説明】
【0070】
1…屑処理装置,2…細断屑処理器,2a…筐体,2b…屑収容体,2c…細断機構,3…非細断屑処理器,3a…筐体,3b…屑収容体,4…第1の認識手段,5…第2の認識手段,6…通信手段,10…管理装置,11…通信手段,12…収集手段,13…判別手段,14…指示手段,15…個別端末,S,S’…廃棄すべき屑,W…回収作業者,X…ネットワーク