(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】歯科用診療装置
(51)【国際特許分類】
A61G 15/14 20060101AFI20220726BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20220726BHJP
A61G 15/04 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A61G15/14
A61C19/00 D
A61G15/04
(21)【出願番号】P 2018091145
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】豊田 盛隆
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-177131(JP,A)
【文献】特開2008-136604(JP,A)
【文献】特開2003-305090(JP,A)
【文献】特開2017-225622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/14
A61C 19/00
A61G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を下方から支持する支持台と、
前記支持台の周囲に配置され、患者の診療に用いる診療用器具を保持する保持手段と、
前記支持台を挟み、前記保持手段の設置箇所とは反対側に設けられ、上下動する可動体と、
前記支持台を挟み、前記保持手段の設置箇所とは反対側に設けられ、当該支持台により支持される患者の体の一部を検知する検知手段と、
を備え
、
前記検知手段は、患者の体のうちの、前記可動体の下方に位置する前記一部であって前記支持台よりも前記反対側に位置する当該一部を検知する歯科用診療装置。
【請求項2】
前記支持台は、患者の臀部を支持する支持面を有し、
前記検知手段は、患者の体のうちの、前記支持面よりも下方に位置する前記一部を検知する請求項1に記載の歯科用診療装置。
【請求項3】
前記検知手段は、患者の前記一部により押圧されると移動する移動体の移動を検知して、患者の当該一部を検知する請求項1
又は2に記載の歯科用診療装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記移動体のうちの前記支持台に近い側に位置する部分の移動を検知して、患者の前記一部を検知する請求項
3に記載の歯科用診療装置。
【請求項5】
患者を下方から支持する支持台と、
前記支持台の周囲に配置され、患者の診療に用いる診療用器具を保持する保持手段と、
前記支持台を挟み、前記保持手段の設置箇所とは反対側に設けられ、当該支持台により支持される患者の体の一部を検知する検知手段と、
を備え
、
前記検知手段は、患者の前記一部により押圧されると移動する移動体の移動を検知して、患者の当該一部を検知し、
前記支持台は、背もたれを有し、当該背もたれが倒れた状態では、当該支持台は、一方向に延びるように配置され、
前記検知手段は、前記一方向における位置が互いに異なる複数箇所に設けられ、複数箇所にて、前記移動体の移動を検知する歯科用診療装置。
【請求項6】
患者を下方から支持する支持台と、
前記支持台の周囲に配置され、患者の診療に用いる診療用器具を保持する保持手段と、
前記支持台を挟み、前記保持手段の設置箇所とは反対側に設けられ、当該支持台により支持される患者の体の一部を検知する検知手段と、
を備え
、
前記検知手段は、患者の前記一部により押圧されると移動する移動体の移動を検知して、患者の当該一部を検知し、
前記移動体は、前記支持台から離れた側を中心に回転し、当該支持台に近い側が上下動し、
前記検知手段は、前記移動体のうちの前記支持台に近い側に位置する部分の変位を検知して、患者の前記一部を検知する歯科用診療装置。
【請求項7】
前記検知手段は、前記支持台の周囲に配置された装置により支持されるとともに、当該装置のうちの当該支持台に近い側に配置されている請求項1に記載の歯科用診療装置。
【請求項8】
前記支持台は、背もたれを有し、当該背もたれが倒れた状態では、当該支持台は、一方向に延びるように配置され、
前記検知手段は、前記支持台の周囲に複数設けられ、
複数設けられた前記検知手段は、前記一方向における位置が互いにずらされた状態で配置されている請求項1に記載の歯科用診療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用診療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者を支持する診療シートと、診療シートに固定されるベースンポールとを備えた歯科診療装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯科用診療装置では、患者を下方から支持する支持台が設置されることが多く、この場合、この支持台の周囲に、歯科医師等からは見えにくくなる死角が生じやすい。
本発明の目的は、患者の体の一部等が、歯科医師等からは見えにくくなる箇所にあることを把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される歯科用診療装置は、患者を下方から支持する支持台と、前記支持台の周囲に配置され、患者の診療に用いる診療用器具を保持する保持手段と、前記支持台を挟み、前記保持手段の設置箇所とは反対側に設けられ、当該支持台により支持される患者の体の一部を検知する検知手段と、を備える歯科用診療装置である。
ここで、前記支持台は、患者の臀部を支持する支持面を有し、前記検知手段は、患者の体のうちの、前記支持面よりも下方に位置する前記一部を検知することを特徴とすることができる。
また、上下動する可動体を更に備え、前記検知手段は、患者の体のうちの、前記可動体の下方に位置する前記一部を検知することを特徴とすることができる。
また、前記検知手段は、患者の前記一部により押圧されると移動する移動体の移動を検知して、患者の当該一部を検知することを特徴とすることができる。
また、前記検知手段は、前記移動体のうちの前記支持台に近い側に位置する部分の移動を検知して、患者の前記一部を検知することを特徴とすることができる。
【0006】
また、前記支持台は、背もたれを有し、当該背もたれが倒れた状態では、当該支持台は、一方向に延びるように配置され、前記検知手段は、前記一方向における位置が互いに異なる複数箇所に設けられ、複数箇所にて、前記移動体の移動を検知することを特徴とすることができる。
また、前記移動体は、前記支持台から離れた側を中心に回転し、当該支持台に近い側が上下動し、前記検知手段は、前記移動体のうちの前記支持台に近い側に位置する部分の変位を検知して、患者の前記一部を検知することを特徴とすることができる。
また、前記検知手段は、前記支持台の周囲に配置された装置により支持されるとともに、当該装置のうちの当該支持台に近い側に配置されていることを特徴とすることができる。
また、前記支持台は、背もたれを有し、当該背もたれが倒れた状態では、当該支持台は、一方向に延びるように配置され、前記検知手段は、前記支持台の周囲に複数設けられ、複数設けられた前記検知手段は、前記一方向における位置が互いにずらされた状態で配置されていることを特徴とすることができる。
【0007】
他の観点から捉えると、本発明が適用される歯科用診療装置は、患者を下方から支持する支持台であって、当該患者の臀部を支持する支持面を有する支持台と、前記支持台の周囲に配置され、当該支持台により支持される患者の体の一部であって前記支持面よりも下方に位置する当該一部を検知する検知手段と、を備える歯科用診療装置である。
他の観点から捉えると、本発明が適用される歯科用診療装置は、患者を下方から支持する支持台と、前記支持台の周囲に配置され、上下動する可動体と、前記可動体の下方以外の箇所から、当該下方へ移動してきた物体を検知する検知手段と、を備える歯科用診療装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患者の体の一部等が、歯科医師等からは見えにくくなる箇所にあることを把握できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態にかかる歯科用診療装置の全体構成を示した斜視図である。
【
図2】
図1の矢印IIで示す方向から、供給装置を眺めた場合の図である。
【
図3】
図2の矢印III方向から下側ユニットを見た場合の斜視図である。
【
図4】歯科用診療装置を上方から眺めた場合における、検知センサ、支持台、インスツルメントホルダの関係を示した図である。
【
図5】第1検知センサの周辺の構成を説明する図である。
【
図6】第2検知センサの周辺の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる歯科用診療装置1の全体構成を示した斜視図である。
同図に示すように、本実施形態の歯科用診療装置1では、床面の上に、患者を下方から支持する支持台2が設けられている。
支持台2は、基台2a、基台2aにより昇降される座板2bを備える。さらに、支持台2は、背もたれ2cを有する。
【0011】
背もたれ2cは、一端が座板2bに取り付けられ、この一端を中心に回転する。
さらに、支持台2には、背もたれ2cに取り付けられ、患者の頭を支えるヘッドレスト2dが設けられている。
また、支持台2には、患者の脚部を支持する脚部支持部2eが設けられている。
【0012】
本実施形態では、座板2bの表面が、患者の臀部を支持する支持面2fとなっており、診療の際には、まず、座板2bの上に患者が座る。
なお、この際(患者が座る際)、背もたれ2cは、
図1にて示している状態とは異なり、立った状態(起きた状態)となっている。また、患者が座る際、脚部支持部2eは、
図1にて示している状態とは異なり、垂れ下がった状態となっている。
【0013】
その後、本実施形態では、座板2bが上昇し、さらに、背板2cが倒れるようになる。また、脚部支持部2eが、一端部2gを中心に回転し、脚部支持部2eの他端部2hが、上昇する。
ここで、本実施形態では、
図1に示すように、背もたれ2cが倒れた状態では、支持台2は、破線1Aで示すように、一方向に延びるように配置される。なお、以下、本明細書では、この一方向を、長手方向(支持台2の長手方向(延び方向))と称する。
【0014】
なお、本実施形態では、脚部支持部2eが、座板2bとは別に構成され、診療の際には、脚部支持部2eの他端部2hが上昇する場合を説明したが、これは一例であり、脚部支持部2eは、座板2bと一体で形成してもよい。この場合、脚部支持部2eは、座板2bの延長線上に位置する。
【0015】
また、歯科用診療装置1には、支持台2の脇に(支持台2の周囲に)、医師用のトレーテーブル3が設けられ、さらに、医師用のインスツルメントホルダ10が設けられている。
さらに、支持台2を挟みトレーテーブル3の反対側には、アシスタント用のインスツルメントホルダ4が設けられている。
【0016】
さらに、可動する支持腕13が設けられており、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、この支持腕13により支持されている。これにより、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、水平方向に移動可能となっている。
また、患者の口腔への光照射を行う歯科用照明装置100、歯科用照明装置100を支持するアーム6b、アーム6bを支持する支柱6cが設けられている。
【0017】
なお、ドクター用のインスツルメントホルダ10及びアシスタント用のインスツルメントホルダ4には、歯科用の診療用器具11(患者の診療に用いる診療用器具、インスツルメント)が抜差し自在に保持される(
図1では、アシスタント用の診療用器具11のみを図示)。
ここで、インスツルメントホルダ10及びインスツルメントホルダ4は、診療用器具を保持する保持手段として捉えることができる。
【0018】
ドクター用の診療用器具11としては、例えば、エアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピース、スケーラ、スリーウェーシリンジ、根管長測定器、根管拡大器、口腔内カメラを挙げることができる。
また、アシスタント用の診療用器具11としては、例えば、患者の口腔内の唾液、血液、切削屑など(以下、「廃液」と称することがある)を吸引する吸引用器具20を挙げることができる。
【0019】
なお、
図1では、インスツルメントホルダ4によって、吸引用器具20の一例としてのサクションシリンジ(バキュームシリンジ)21、サライバエジェクタ22が保持されている。
なお、吸引用器具20の各々は、真空ポンプやコンプレッサーなどの不図示の吸気源(後述)に接続されており、この吸気源にて吸気が行われることで、上記廃液の吸引を行う。
【0020】
また、支持台2の脇(周囲)には、患者がうがいに用いるコップに水を供給する供給装置(スピットン装置)5が設けられている。
供給装置5には、上側ユニット51、上側ユニット51の上に設置され患者の口腔内から排出された廃液を受ける廃液受け部(ベースン)52、コップに対し水を供給するコップ用給水部53、清掃用の水を廃液受け部52に供給する清掃用給水部54が設けられている。
【0021】
さらに、供給装置5には、上側ユニット51の内部に、廃液を収容する収容容器(サクションタンク)60が設けられている。
収容容器60には、上記吸引用器具20(サクションシリンジ21、サライバエジェクタ22等)によって吸引された廃液(患者の口腔内から吸引された廃液)が収容される。
【0022】
さらに、本実施形態では、上側ユニット51の内部に、歯科用診療装置1の各部の制御を行う制御部61が設けられている。この制御部61は、CPU、RAM、ROMを備えたコンピュータ装置により構成されている。
制御部61は、診療用器具11の動作制御を行ったり、支持台2の動作制御を行ったりする。
【0023】
図2は、
図1の矢印IIで示す方向から、供給装置5を眺めた場合の図である。
供給装置5には、上側ユニット51と、この上側ユニット51との間に間隙Gを有して配置された下側ユニット55とが設けられている。
可動体の一例としての上側ユニット51は、支持台2に設けられた座板2bの昇降に伴い昇降する。言い換えると、上側ユニット51は、座板2bに連動可能な状態で設けられており、座板2bが上下動すると、座板2bに付随して上下動する。
【0024】
下側ユニット55は、上側ユニット51の下方に配置されている。下側ユニット55は、座板2bに付随しての移動を行わず、座板2bが上昇しても、
図2にて示す位置に留まる。
下側ユニット55の内部には、診療に使用される水に含まれる異物を除去するフィルタカートリッジ(不図示)、診療に使用される空気に含まれる異物を除去するフィルタカートリッジが設置される。
さらに、下側ユニット55の内部には、支持台2により支持される患者の体の一部を検知する検知手段の一例としての検知センサ70が設けられている。
【0025】
検知センサ70は、支持面2fよりも下方に配置され、患者の体のうちの、支持面2fよりも下方に位置する一部を検知する。より具体的には、検知センサ70は、患者の足などを検知する。
なお、「支持面2fよりも下方に配置」とは、最も下がっている状態における支持面2fよりも下方に位置する状態を指す。また、「支持面2fよりも下方に位置する一部を検知する」とは、最も下がっている状態における支持面2fよりも下方に位置する一部を検知することを指す。
【0026】
また、検知センサ70は、患者の体の一部のうち、上側ユニット51の下方に位置する一部を検知する。より具体的には、検知センサ70は、患者の体のうちの、上側ユニット51と下側ユニット55との間の間隙Gに入り込んだ部分を検知する。
また、後述するように、検知センサ70は、複数設けられている。
【0027】
図3は、
図2の矢印III方向から下側ユニット55を見た場合の斜視図である。
下側ユニット55には、床面に設置される台座81が設けられている。さらに、下側ユニット55には、可動体の一例としてのカバー部材82が設けられている。カバー部材82は、台座81の上方に配置され、下側ユニット55内に収容される収容物を覆う。
【0028】
カバー部材82は、図中矢印3Aで示すように、支持台2(
図2参照)に近い側に位置する部分が移動するようになっている。言い換えると、カバー部材82は、支持台2に近い側に位置する部分が上下動するようになっている。
より具体的には、カバー部材82は、支持台2から離れた側に位置する2か所の被支持部83が、台座81に設けられた突起81Aにより支持され、支持台2から離れた側を中心に回転可能となっている。そして、本実施形態では、カバー部材82が被支持部83を中心として回転すると、支持台2に近い側に位置する部分が上下動する。
【0029】
また、
図3に示すように、本実施形態では、検知センサ70が複数設けられている。具体的には、第1検知センサ71、第2検知センサ72の2つの検知センサ70が設けられている。
第1検知センサ71、第2検知センサ72の各々は、下側ユニット55の内部に配置され、また、支持台2に近い側に配置されている。言い換えると、第1検知センサ71、第2検知センサ72の各々は、装置の一例としての下側ユニット55により支持されるとともに、この下側ユニット55のうちの支持台2に近い側に配置されている。
【0030】
本実施形態では、患者の足等が間隙G(
図2参照)内に入ると、この足等により、カバー部材82が押圧され、このカバー部材82が下降する(カバー部材82のうちの支持台2側の部分が下降する)。本実施形態では、第1検知センサ71、第2検知センサ72のうちの何れか一方又は両方が、移動するこのカバー部材82を検知することで、患者の上記足等を検知する。
付言すると、第1検知センサ71、第2検知センサ72は、カバー部材82のうちの、支持台2に近い側に位置する部分の移動(変位)を検知して、患者の体の一部を検知する。
【0031】
また、本実施形態の第1検知センサ71、第2検知センサ72は、支持台2の長手方向における位置(
図1の破線1Aが延びる方向における位置)が互いに異なるように配置され、この長手方向における複数箇所にて、カバー部材82の移動を検知する。
患者の各々は、体格が異なり、この場合、カバー部材82のうちの患者により押圧される箇所も異なる。本実施形態のように、支持台2の長手方向における位置をずらして複数の検知センサ70を設置すると、患者の体格が異なる場合であっても、患者の検知を行える。
【0032】
図3に示すように、カバー部材82は、支持台2側に位置する支持台側側壁821、支持台側側壁821とは反対側に位置する反対側側壁822を有する。
さらに、カバー部材82は、支持台側側壁821と反対側側壁822とを接続する第1接続側壁823、第2接続側壁824を備える。
また、カバー部材82は、水平方向に沿って延びる上壁825を備える。
支持台側側壁821、反対側側壁822、第1接続側壁823、および、第2接続側壁824は、上壁825の周縁825Aに接続され、周縁825Aとの接続部を始点とした場合に、下方に向かって延びるように配置されている。
さらに、本実施形態では、支持台側側壁821の内面821Aに、カバー部材82の内部側に向かって突出する、複数のリブ状の突起829が設けられている。
【0033】
本実施形態では、下側ユニット55の内部にアクセスする際には、カバー部材82を外して、下側ユニット55の内部にアクセスする。
カバー部材82は、支持台2側とは反対側に位置する2か所の被支持部83が、台座81に設けられた突起81Aにより支持されている。
さらに、カバー部材82は、支持台2側に位置する突起829の部分が、台座81側に設けられた移動板92(後述)、第2移動板96の上に載り、移動板92、第2移動板96により下方から支持されている。
【0034】
図4は、歯科用診療装置1を上方から眺めた場合における、検知センサ70、支持台2、インスツルメントホルダ10の関係を示した図である。
検知センサ70は、
図4に示すように、支持台2を挟み、インスツルメントホルダ10の設置箇所4Aとは反対側に設けられている。
【0035】
ここで、「検知センサ70が、支持台2を挟んで、インスツルメントホルダ10の設置箇所4Aとは反対側に設けられる」とは、歯科用診療装置1を上方から眺めた場合において、検知センサ70と、インスツルメントホルダ10(の重心位置)とを結ぶ線4B上に、支持台2がある状態をいう。
より具体的には、支持台2の背もたれ2c(
図1参照)を寝かした場合において(本実施形態のように脚部支持部2eがある場合には、背もたれ2cを寝かし且つ脚部支持部2eを起こした(他端部2hを上昇させた)状態において)、線4B上に、支持台2の一部がある状態をいう。
【0036】
なお、本実施形態のように、検知センサ70が複数設けられている場合には、何れか1つの検知センサ70と、インスツルメントホルダ10とを結ぶ線4B上に、支持台2の何れかがあれば、「検知センサ70が、支持台2を挟んで、インスツルメントホルダ10の設置箇所4Aとは反対側に設けられた」状態といえる。
【0037】
また、本実施形態のように、インスツルメントホルダ10が水平方向に移動できる場合には、インスツルメントホルダ10が移動可能な箇所の全てにおいて、線4B上に支持台2が位置している必要はない。
何れか1箇所にインスツルメントホルダ10が位置する状態において、線4B上に、支持台2が位置していれば、「検知センサ70が、支持台2を挟んで、インスツルメントホルダ10の設置箇所4Aとは反対側に設けられた」状態といえる。
【0038】
図5は、第1検知センサ71の周辺の構成を説明する図である。より具体的には、下側ユニット55の内部の構成であって、
図3の符号Vで示す部分の構成を示した図である。
下側ユニット55の内部には、台座81(
図3参照)側に固定された第1固定体91が設けられている。この第1固定体91は、水平方向に沿って延びる突出片91Aを有する。
【0039】
また、下側ユニット55の内部には、カバー部材82のうちの、支持台2側に位置する部分が載る移動板92が設けられている。
より具体的には、下側ユニット55の内部には、カバー部材82の内側に設けられた上記リブ状の突起829(
図3参照)が載る移動板92が設けられている。
移動板92は、カバー部材82の上下動に連動して上下動する。また、移動板92は、長尺状に形成され、さらに、支持台2の長手方向(
図1の破線1Aが延びる方向)に沿うように設けられている。
【0040】
さらに、本実施形態では、この移動板92に、第1検知センサ71が取り付けられている。また、移動板92を上方へ付勢する付勢手段の一例としてのコイルばね93と、上方へ付勢された移動板92が突き当たりこの移動板92の移動を規制する規制部94が設けられている。この規制部94は、螺子の頭部により構成されている。
本実施形態では、第1検知センサ71は、上方へ付勢され、突出片91Aに押し当てられている。
【0041】
本実施形態では、患者の足等により、カバー部材82(
図3参照)のうちの第1検知センサ71が設けられている側や、カバー部材82の中央部(
図1の破線1Aが延びる方向における中央部)が下方へ押圧されると、カバー部材82、移動板92が下方へ移動し、第1検知センサ71が、突出片91Aから離れる。
これにより、第1検知センサ71からの出力信号が変化する。付言すると、本実施形態の第1検知センサ71は、いわゆる検知スイッチにより構成され、第1検知センサ71が、突出片91Aから離れると、第1検知センサ71からの出力信号が変化する。
【0042】
この場合、制御部61(
図1参照)は、第1検知センサ71からの出力信号のこの変化に基づき、カバー部材82が押圧されたことを検知する。言い換えると、間隙G(
図2参照)内に、患者の足があることを検知する。
そして、この場合、制御部61は、上側ユニット51の移動を停止する。
具体的には、制御部61は、上側ユニット51の移動を行っている最中に、第1検知センサ71からの出力信号が変化した場合に、上側ユニット51の移動を停止する。
【0043】
付言すると、本実施形態では、第1検知センサ71が、移動体の一例であるカバー部材82の移動を検知して、患者の一部である、患者の足等を検知する。
そして、本実施形態では、第1検知センサ71が、患者の足等を検知すると、制御部61から制御信号が出力され、上側ユニット51の移動が停止される。
【0044】
図6は、第2検知センサ72の周辺の構成を説明する図である。より具体的には、下側ユニット55の内部の構成であって、
図3の符号VIで示す部分の構成を示した図である。
下側ユニット55の内部には、台座81(
図3参照)側に固定された第2固定体95が設けられている。この第2固定体95も、水平方向に沿って延びる突出片95Aを有する。
【0045】
また、下側ユニット55の内部には、カバー部材82のうちの支持台2側に位置する部分が載る第2移動板96が設けられている。
より具体的には、下側ユニット55の内部には、カバー部材82の内側に設けられた上記リブ状の突起829(
図3参照)が載る第2移動板96が設けられている。
第2移動板96は、カバー部材82の上下動に連動して上下動する。また、この第2移動板96は、上方から見た場合の形状がL字状となるように形成されている。
さらに、本実施形態では、この第2移動板96に、第2検知センサ72が取り付けられている。
【0046】
また、第2移動板96を上方へ付勢する付勢手段の一例としてのコイルばね97、上方へ付勢された第2移動板96が突き当たりこの第2移動板96の移動を規制する規制部98が設けられている。この規制部98は、螺子の頭部により構成されている。
本実施形態では、第2検知センサ72は、上方へ付勢され、突出片95Aに押し当てられている。
【0047】
本実施形態では、患者の足等により、カバー部材82のうちの第2検知センサ72が設けられている側や、カバー部材82の中央部が下方へ押圧されると、カバー部材82、第2移動板96が下方へ移動し、第2検知センサ72が、突出片95Aから離れる。
【0048】
これにより、この場合も、第2検知センサ72からの出力信号が変化し、制御部61が、この出力信号の変化を検知する(患者の体の一部を検知する)。
そして、この場合、制御部61は、上記と同様、上側ユニット51の移動を停止する。より具体的には、制御部61は、上側ユニット51の移動を行っている最中に、第2検知センサ72からの出力信号が変化した場合、上側ユニット51の移動を停止する。
【0049】
付言すると、本実施形態では、第2検知センサ72が、移動体の一例であるカバー部材82の移動を検知して、患者の一部である、患者の足等を検知する。
そして、本実施形態では、第2検知センサ72が、患者の足等を検知すると、制御部61から制御信号が出力され、上側ユニット51の移動が停止される。
なお、本実施形態では、検知センサ70(第1検知センサ71、第2検知センサ72)として、いわゆる検知スイッチを用いたが、検知センサ70は、これに限らず、透過型のセンサや赤外線センサなど、他の種類のセンサを用いてもよい。
【0050】
ここで、本実施形態では、可動体の一例としての上側ユニット51(上側ユニット51と下側ユニット55との間の間隙G)は、支持台2を挟み、インスツルメントホルダ10の設置箇所とは反対側に設けられている。
通常、歯科医師による診療時には、歯科医師は、インスツルメントホルダ10の近くにおり、インスツルメントホルダ10が設けられている側については、歯科医師の目が届きやすい。
【0051】
これに対し、支持台2を挟み、インスツルメントホルダ10の設置箇所とは反対側については、この反対側と、歯科医師との間に、支持台2および患者が位置する状態となり、歯科医師の目が届きにくい。
このような状況下において、本実施形態のように、支持台2を挟み、インスツルメントホルダ10の設置箇所とは反対側に検知センサ70を設けると、この反対側における状況の把握を行える。
【0052】
さらに、本実施形態の構成では、上記のとおり、患者の体のうちの、支持面2fよりも下方に位置する部分の検知を行えるようになっている。支持面2fよりも下方に位置する部分は、支持面2fよりも上方に位置する部分に比べ、歯科医師の視界に入りにくくなる。
本実施形態のように、支持面2fよりも下方に位置する部分を検知するようにすれば、歯科医師の視界に入りにくい箇所における状況の把握を行える。
【0053】
さらに、本実施形態では、下側ユニット55のうちの支持台2に近い側に、第1検知センサ71、第2検知センサ72が設けられた構成となっている。
これにより、本実施形態では、支持台2に近い側および支持台2から離れた側の両者に、検知センサ70を設ける場合に比べ、検知センサ70の設置に伴うコストの増加を抑えつつ、患者の足等の検知を行える。
【0054】
なお、上記では、検知センサ70により、患者の足等が検知された場合に、上側ユニット51の移動を停止させる場合を説明したが、これは一例である。
その他に、例えば、スピーカーなどの音出力装置やディスプレイなどの表示装置などを通じて、歯科医師等に対し、検知センサ70による検知が行われたことを通知するようにしてもよい。
【0055】
また、上記では、患者の体の一部を検知する場合を一例に説明したが、検知対象は、患者の一部に限られない。
上記にて説明した構成は、患者の体の一部の検知に限らず、他の物体の検知にも適用できる。付言すると、上記にて説明した構成は、上側ユニット51の下方以外の箇所から、この下方へ移動してきた物体の検知に適用できる。
【0056】
ここで、例えば、清掃時等に、床に置いてある物体が、下側ユニット55の上に一時的に置かれる場合が想定される。本実施形態の構成では、患者の足等に限らず、この置かれた物体についても検知できる。
具体的には、この場合、物体が置かれた状態で、上側ユニット51が下降すると、カバー部材82も下降するようになり、これにより、この物体の検知を行える。又は、物体が置かれると、この物体の重みによりカバー部材82が下降し、この物体の検知を行える。
【符号の説明】
【0057】
1…歯科用診療装置、2…支持台、2c…背もたれ、2f…支持面、10…インスツルメントホルダ、11…診療用器具、51…上側ユニット、70…検知センサ、71…第1検知センサ、72…第2検知センサ、82…カバー部材