(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】歯科用照明装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
A61C19/00 E
(21)【出願番号】P 2018091415
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】塩原 宏彰
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-255742(JP,A)
【文献】特開平07-031633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を備えた装置本体と、
前記装置本体に対し着脱可能に設けられ、当該装置本体に固定される第1部位と、当該装置本体に固定される第2部位とを備え、操作者により把持される取手と、
を備え、
前記装置本体と前記第1部位との固定部分である第1固定部分
、および、当該装置本体と前記第2部位との固定部分である第2固定部分
のうちの一方の固定部分には、
前記一方の固定部分における固定の解除の際に操作者による押圧操作が行われる被操作部と、
前記押圧操作が行われる際の押圧方向とは反対方向へ前記被操作部を付勢する被操作部付勢手段と、
前記取手の取り外し方向に向けて当該取手を付勢する取手付勢手段と、
が設けられている歯科用照明装置。
【請求項2】
前記被操作部に対する押圧操作が行われて、前記一方の固定部分における固定が解除されると、当該一方の固定部分では、前記取手付勢手段による付勢によって、前記取手が前記取り外し方向へ移動する請求項1に記載の歯科用照明装置。
【請求項3】
前記取手付勢手段による付勢によって前記取手が前記取り外し方向へ移動すると、当該取手のうちの前記一方の固定部分に位置する部分が当該取り外し方向へ移動し、当該取手のうちの他方の固定部分に位置する部分である他方部分については当該取り外し方向へ移動せず前記装置本体に対する固定が維持される請求項2に記載の歯科用照明装置。
【請求項4】
前記取手のうちの前記一方の固定部分に位置する前記部分が前記取り外し方向へ移動した後、操作者が、前記取手付勢手段による付勢方向に向けて当該取手を引っ張ることで、前記他方の固定部分に位置する前記他方部分が当該付勢方向へ移動し当該他方の固定部分における固定が解除される請求項3に記載の歯科用照明装置。
【請求項5】
前
記一方の固定部
分は、前記取手を引っ張っただけでは固定が解除されないように構成されている請求項1に記載の歯科用照明装置。
【請求項6】
他方の固定部
分は、前記取手を引っ張ることで固定が解除されるように構成されている請求項
5に記載の歯科用照明装置。
【請求項7】
前記第1固定部分および前記第2固定部分のうちの他方の固定部分には、前記取手の前記第1部位および前記第2部位のうちの何れか一方の部位が位置し、
前記一方の部位は、前記装置本体の被固定箇所に対して固定され、
前記被固定箇所および前記一方の部位のうちの一方には、突出部が設けられ、他方には、当該突出部が収容される収容部が設けられ、
前記被操作部に対する操作者の操作が行われておらず前記一方の固定部分における固定の解除が行われていない状態にて、前記一方の部位
が前記被固定箇所から離れる方向へ
移動するように前記取手が引っ張
られたとしても、前記突出部の少なくとも先端部が前記収容部内に留まる請求項
1に記載の歯科用照明装置。
【請求項8】
前記一方の固定部分における固定の解除には、前記取手の引っ張り方向とは交差する方向へ前記被操作部を
押圧する操作が必要である請求項
1に記載の歯科用照明装置。
【請求項9】
前記被操作部は、前記歯科用照明装置の背面側に設けられている請求項
1に記載の歯科用照明装置。
【請求項10】
前記歯科用照明装置は、前記取手の引っ張り方向と交差する方向における位置が互いに異なる一端部および他端部を有し、
前記被操作部は、前記一端部および前記他端部の何れか一方に寄せられて配置されている請求項
1に記載の歯科用照明装置。
【請求項11】
前記
取手付勢手段は、前記一方の固定部分に設けられ、他方の固定部分には設けられていない請求項
1に記載の歯科用照明装置。
【請求項12】
前記第1部位および前記第2部位のうちの、他方の固定部分に位置する部位を、前記取手の引っ張り方向と交差する方向へ付勢する付勢手段を更に備える請求項
1に記載の歯科用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者を支持する診療シートと、診療シートに固定されるベースンポールとを備えた歯科診療装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯科用照明装置に設けられた取手については、滅菌等を可能とするため、取り外しできるようにすることが好ましい。
ここで、取手を取り外しやすいと、取手を外す際の作業性が向上するが、その一方で、取手を把持して歯科用照明装置を移動させる際に、取手が外れやすくなる。逆に、取手が外れにくいと、歯科用照明装置を移動させる際の取手の外れを抑えられるが、この場合は、取手を取り外す際の作業性が悪化する。
本発明の目的は、歯科用照明装置に対する取手の固定を行えるようにしつつ、歯科用照明装置の取手を外す際の作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される歯科用照明装置は、光源を備えた装置本体と、前記装置本体に対し着脱可能に設けられ、当該装置本体に固定される第1部位と、当該装置本体に固定される第2部位とを備え、操作者により把持される取手と、を備え、前記装置本体と前記第1部位との固定部分である第1固定部分の構造と、当該装置本体と前記第2部位との固定部分である第2固定部分の構造とが異なる歯科用照明装置である。
ここで、前記第1固定部分および前記第2固定部分の一方の固定部分では、前記取手を引っ張っただけでは固定が解除されないように構成されていることを特徴とすることができる。
また、他方の固定部分では、前記取手を引っ張ることで固定が解除されるように構成されていることを特徴とすることができる。
また、前記一方の固定部分には、操作者により操作される被操作部が設けられ、前記一方の固定部分における固定の解除には、前記被操作部に対する操作者の操作が必要であることを特徴とすることができる。
また、前記第1固定部分および前記第2固定部分のうちの他方の固定部分には、前記取手の前記第1部位および前記第2部位のうちの何れか一方の部位が位置し、前記一方の部位は、前記装置本体の被固定箇所に対して固定され、前記被固定箇所および前記一方の部位のうちの一方には、突出部が設けられ、他方には、当該突出部が収容される収容部が設けられ、前記被操作部に対する操作者の操作が行われておらず前記一方の固定部分における固定の解除が行われていない状態にて、前記一方の部位を前記被固定箇所から離れる方向へ引っ張ったとしても、前記突出部の少なくとも先端部が前記収容部内に留まることを特徴とすることができる。
また、前記一方の固定部分における固定の解除には、前記取手の引っ張り方向とは交差する方向へ前記被操作部を移動させる操作が必要であることを特徴とすることができる。
【0006】
また、前記被操作部は、前記歯科用照明装置の背面側に設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記歯科用照明装置は、前記取手の引っ張り方向と交差する方向における位置が互いに異なる一端部および他端部を有し、前記被操作部は、前記一端部および前記他端部の何れか一方に寄せられて配置されていることを特徴とすることができる。
また、前記取手の引っ張り方向へ当該取手を付勢する付勢手段をさらに備え、前記付勢手段は、前記一方の固定部分に設けられ、他方の固定部分には設けられていないことを特徴とすることができる。
また、前記第1部位および前記第2部位のうちの、他方の固定部分に位置する部位を、前記取手の引っ張り方向と交差する方向へ付勢する付勢手段を更に備えることを特徴とすることができる。
【0007】
他の観点から捉えると、本発明が適用される歯科用照明装置は、光源を備えた装置本体と、前記装置本体に対し着脱可能に設けられ、当該装置本体に固定される第1部位と、当該装置本体に固定される第2部位とを備え、操作者により把持される取手と、を備え、前記装置本体と前記第1部位との固定部分における固定を解除するために要する操作と、当該装置本体と前記第2部位との固定部分における固定を解除するために要する操作とが異なる歯科用照明装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歯科用照明装置に対する取手の固定を行えるようにしつつ、歯科用照明装置の取手を外す際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】歯科用診療装置の全体構成を示した斜視図である。
【
図2】(A)、(B)は、歯科用照明装置の正面図である。
【
図3】(A)、(B)は、歯科用照明装置の背面側から歯科用照明装置を見た場合の図である。
【
図4】第1固定部分の構造を説明する斜視図である。
【
図5】
図4の矢印Vから第1固定部分を眺めた場合の図である。
【
図7】
図6の矢印VII方向から第2固定部分を眺めた場合の断面図である。
【
図8】
図6の矢印VIIIで示す方向から第2固定部分を眺めた場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる歯科用診療装置1の全体構成を示した斜視図である。
同図に示すように、本実施形態の歯科用診療装置1では、床面の上に、患者を下方から支持する診療台2が設けられている。
診療台2は、基台2a、基台2aにより支持され昇降可能に設けられた座板2bを備える。さらに、診療台2は、一端が座板2bに取り付けられこの一端を中心に回転する背板2c、背板2cに取り付けられ患者の頭を支えるヘッドレスト2dを備える。
【0011】
また、歯科用診療装置1には、診療台2の脇に、医師用のトレーテーブル3が設けられ、さらに、医師用のインスツルメントホルダ10が設けられている。
さらに、診療台2を挟みトレーテーブル3の反対側には、アシスタント用のインスツルメントホルダ4が設けられている。
また、患者の口腔への光照射を行う歯科用照明装置100、歯科用照明装置100を支持するアーム6b、アーム6bを支持する支柱6cが設けられている。
【0012】
なお、ドクター用のインスツルメントホルダ10及びアシスタント用のインスツルメントホルダ4には、歯科用の診療用器具(インスツルメント)11が抜差し自在に保持される(
図1では、アシスタント用の診療用器具11のみを図示)。
ドクター用の診療用器具11としては、例えば、エアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピース、スケーラ、スリーウェーシリンジ、根管長測定器、根管拡大器、口腔内カメラを挙げることができる。
【0013】
また、アシスタント用の診療用器具11としては、例えば、患者の口腔内の唾液、血液、切削屑など(以下、「廃液」と称することがある)を吸引する吸引用器具20を挙げることができる。
なお、
図1では、インスツルメントホルダ4によって、吸引用器具20の一例としてのサクションシリンジ(バキュームシリンジ)21、サライバエジェクタ22が保持されている。
吸引用器具20の各々は、真空ポンプやコンプレッサーなどの不図示の吸気源(後述)に接続されており、この吸気源にて吸気が行われることで、上記廃液の吸引を行う。
【0014】
また、本実施形態では、診療台2の脇に、患者がうがいに用いるコップに水を供給する供給装置(スピットン装置)5が設けられている。
供給装置5には、ベースユニット51、ベースユニット51の上に設置され患者の口腔内から排出された廃液を受ける廃液受け部(ベースン)52、コップに対し水を供給するコップ用給水部53、清掃用の水を廃液受け部52に供給する清掃用給水部54が設けられている。
【0015】
さらに、供給装置5には、ベースユニット51の内部に、廃液を収容する収容容器(サクションタンク)60が設けられている。
収容容器60には、上記吸引用器具20(サクションシリンジ21、サライバエジェクタ22等)によって吸引された廃液(患者の口腔内から吸引された廃液)が収容される。
【0016】
図2(A)、(B)は、歯科用照明装置100の正面図である。
図2(A)に示すように、歯科用照明装置100には、光源111を備えた装置本体110、装置本体110に対し着脱可能な取手200が設けられている。
装置本体110には、光源111が設けられるとともに、光源111の背後には、光源111から出射された光を反射する光反射部材112が設けられている。光源111から出射された光は、光反射部材112にて反射して、図中、紙面の手前側方向に向かって進行する。
【0017】
本実施形態では、取手200として、
図2(A)に示すように、右側取手210、左側取手250の2つの取手200が設けられている。
右側取手210は、歯科用照明装置100を正面から見た場合に右側に位置する。
図2(B)に示すように、右側取手210は、装置本体110のうちの図中右側の部分に対して着脱可能となっている。
また、左側取手250は、歯科用照明装置100を正面から見た場合に左側に位置する。
図2(B)に示すように、左側取手250は、装置本体110のうちの図中左側の部分に対して着脱可能となっている。
【0018】
図2(B)では、装置本体110から右側取手210、左側取手250が取り外された状態を示している。
本実施形態では、右側取手210および左側取手250の固定を解除するための操作を行ったうえで(詳細は後述)、装置本体110から離れる方向へ右側取手210、左側取手250を引っ張る。これにより、装置本体110から、右側取手210、左側取手250が外れる。
【0019】
図2(B)に示すように、右側取手210、左側取手250の各々は、装置本体110に固定される第1部位281、第2部位282を備える。本実施形態では、この第1部位281、第2部位282の両者が、装置本体110に固定される。
さらに、本実施形態では、
図2(B)に示すように、第1部位281と第2部位282との間に、把持部283が設けられ、右側取手210、左側取手250が操作者により把持される際には、この把持部283が把持される。
把持部283は、略矩形状の歯科用照明装置100の短手方向に延びるように配置される。第1部位281、第2部位282は、この把持部283の端部に接続され、さらに、把持部283の延び方向に対して直交(交差)する方向に沿うように配置される。
【0020】
本実施形態の歯科用照明装置100では、右側取手210、左側取手250の滅菌を行えるようになっており、この場合、まず、装置本体110から、右側取手210および左側取手250が取り外される。
そして、取り外された右側取手210、左側取手250は、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)にセットされる。これにより、右側取手210、左側取手250の滅菌が行われる。
なお、右側取手210、左側取手250は、同様に構成され、以下の説明では、右側取手210について説明する。
【0021】
図3(A)、(B)は、歯科用照明装置100の背面側から歯科用照明装置100を見た場合の図である。
図3(A)に示すように、歯科用照明装置100には、装置本体110と第1部位281との固定部分である第1固定部分291が設けられている。さらに、装置本体110と第2部位282との固定部分である第2固定部分292が設けられている。
【0022】
本実施形態では、第1固定部分291の構造と、第2固定部分292の構造とが異なっている。
これにより、本実施形態では、第1固定部分291における固定を解除するために要する操作と、第2固定部分292における固定を解除するために要する操作とが異なるようになる。
【0023】
具体的には、本実施形態では、第1固定部分291における固定の解除には、右側取手210を引っ張る操作以外の操作が必要となっている。付言すると、第1固定部分291は、右側取手210を引っ張っただけでは固定が解除されないように構成されている。
より具体的には、
図3(A)に示すように、第1固定部分291には、操作者により操作される被操作部211が設けられており、第1固定部分291における固定の解除には、被操作部211に対する操作者の操作が必要となる。
【0024】
より具体的には、本実施形態では、第1固定部分291における固定の解除には、右側取手210の引っ張り方向(図中矢印3Aで示す方向)とは交差する方向へ、被操作部211を移動させる操作が必要となっている。
より具体的には、第1固定部分291における固定の解除には、被操作部211を図中矢印3Bで示す方向へ押圧する操作が必要になっている。
【0025】
その一方で、他方の固定部分である第2固定部分292には、被操作部211が設けられておらず、第2固定部分292では、右側取手210を引っ張ることで固定が解除される。
付言すると、第1固定部分291における固定の解除には、被操作部211に対する操作、右側取手210の引っ張り操作が必要となっており、第2固定部分292における固定の解除には、右側取手210の引っ張り操作が必要となっている。
【0026】
また、本実施形態では、右側取手210の取り外しを、片手で行えるようになっている。
具体的には、本実施形態では、まず、
図3(A)に示すように、右手で、被操作部211に対する操作を行い、次いで、
図3(B)に示すように、右手で、右側取手210を引っ張ることで、右側取手210の取り外しを行える。
【0027】
本実施形態では、上記の通り、滅菌を可能とするため、右側取手210が取り外せるようなっている。ここで、第1固定部分291も、第2固定部分292と同様に構成すれば、右側取手210を引っ張るだけで右側取手210を取り外せるようになり、右側取手210の取り外しをより簡易に行える。
しかしながら、この場合、右側取手210を把持して歯科用照明装置100を移動させる際に、右側取手210が外れやすくなり、歯科用照明装置100を移動させる際の操作性が悪化する。
【0028】
また、第2固定部分292を、第1固定部分291と同様に構成し、第2固定部分292にも被操作部211を設置する態様が考えられる。
この場合は、歯科用照明装置100を移動させる際の右側取手210の外れは抑制できるが、その一方で、右側取手210の取り外し時の手間が増え、滅菌時の作業性が悪化する。
【0029】
より具体的には、第2固定部分292にも被操作部211を設けると(第2固定部分292を第1固定部分291と同様に構成すると)、例えば、第1固定部分291の被操作部211を右手で押圧し、第2固定部分292の被操作部211を左手で押圧する作業が必要になるなど、右側取手210の取り外し作業が複雑化する。そして、この場合、滅菌時の作業性が悪化する。
【0030】
これに対し、本実施形態のように、第1固定部分291の構造と第2固定部分292の構造とを異ならせると、上記のとおり、装置本体110と右側取手210との固定を確保しつつ、右側取手210の取り外しを片手で行えるようになる。
言い換えると、装置本体110と右側取手210との固定を確保しつつ、右側取手210を簡易に取り外せるようになる。
【0031】
さらに、本実施形態では、
図3(A)に示すように、被操作部211は、歯科用照明装置100の背面側に設けられている。
これにより、本実施形態では、歯科用照明装置100の正面側に(前面側に)、被操作部211が設けられる場合に比べ、歯科用照明装置100の外観が向上する。
【0032】
さらに、歯科用照明装置100は、
図2(A)に示すように、取手200の引っ張り方向と交差(直交)する方向における位置が互いに異なる一端部105(一側辺)および他端部106(他側辺)を有する。
言い換えると、歯科用照明装置100は、歯科用照明装置100の短手方向における位置が互いに異なる一端部105および他端部106を有する。
そして、本実施形態の歯科用照明装置100では、被操作部211(
図3(A)参照)は、この一端部105および他端部106のうちの何れか一方側に寄せられて配置されている。具体的には、本実施形態では、一端部105側に寄せられて配置されている。
【0033】
本実施形態では、
図3(A)の矢印3Dで示すように、被操作部211に対する操作時には、例えば、歯科用照明装置100の上部側から右手を差し出して被操作部211に対する操作を行うことが想定される。
この場合に、上記のように、被操作部211が、一端部105および他端部106のうちの何れか一方に寄せられて配置されていると、一端部105および他端部106との間の中間地点に、被操作部211が設けられる場合に比べ、被操作部211へアクセスしやすくなる。
【0034】
被操作部211の位置について更に説明すると、本実施形態では、診療台2(
図1参照)に座った患者に対して歯科用照明装置100を対向させた際に、被操作部211が、歯科用照明装置100の上部側に位置する構成となっている。
より具体的には、座った状態の患者に対して歯科用照明装置100を対向させる場合、
図1に示す歯科用照明装置100を、矢印1Bに示す方向へ回転させることになるが、この回転を行った後の状態において、被操作部211は、歯科用照明装置100の上部側に位置する。
付言すると、回転させた後の状態においては、歯科用照明装置100の光軸が水平方向に沿うようになるが、この状態では、被操作部211は、歯科用照明装置100の上部側に位置する。
【0035】
この状態では(光軸が水平方向に沿う状態では)、
図3(A)の矢印3Dで示すように、被操作部211に対する操作は、歯科用照明装置100の上部側から手を下方へ移動させることにより行う。
ここで、例えば、被操作部211を、歯科用照明装置100の下部側に設置する態様も考えられるが、この場合は、歯科用照明装置100の下方から上方へ手を移動させる形となってしまう。
これに対し、本実施形態のように、上部側に被操作部211が設けられていると、下部側に被操作部211が設けられている場合に比べ、手を動かしやすくなり作業性が向上する。
【0036】
図4は、第1固定部分291の構造を説明する斜視図である。
装置本体110側には、装置本体110の端部(装置本体110の幅方向(長手方向)における端部)から、装置本体110の幅方向に向かって突出した突出部131が設けられている。
突出部131は、四角柱状に形成されている。また、突出部131には、凹部131Aが設けられている。この凹部131Aは、突出部131の長手方向に沿って形成されている。言い換えると、凹部131Aは、突出部131の先端部131Bから根本131Cに向かって延びるように形成されている。さらに、突出部131の先端部131Bには、開口131Dが形成されている。
【0037】
また、突出部131の先端部131B且つ外周面に、歯科用照明装置100の背面側に向かって突出する突起132が設けられている。
さらに、この突起132に接続され、装置本体110の幅方向に沿って延びる弾性片133が設けられている。
弾性片133は、突起132との接続部を始点として、突出部131の根本131C側に向かうように形成され、さらに、突出部131との間に間隙を有した状態で配置されている。
【0038】
さらに、弾性片133が有する複数の面のうち、歯科用照明装置100の背面側を向く背面側面133Aには、上記にて説明した被操作部211が設けられている。
さらに、この被操作部211よりも突起132側には、右側取手210に引っ掛かる引っ掛かり突起212が設けられている。
【0039】
図5は、
図4の矢印Vから第1固定部分291を眺めた場合の断面図である。
図5に示すように、本実施形態では、突出部131の凹部131A内に、付勢手段として機能するコイルばね135が設けられている。
コイルばね135は、装置本体110へ右側取手210が取り付けられると、この右側取手210を付勢し、右側取手210の引っ張り方向へ右側取手210を付勢する。言い換えると、右側取手210の取り外し方向へ、右側取手210を付勢する。
なお、コイルばね135は、第1固定部分291に設けられ、第2固定部分292(
図3(A)参照)には設けられていない。
【0040】
右側取手210には、第1部位281の長手方向に沿って延びる突起214が設けられている。本実施形態では、装置本体110へ右側取手210が取り付けられると、凹部131Aに、この突起214が入り込み、コイルばね135がこの突起214により圧縮される。これにより、右側取手210の引っ張り方向へ、右側取手210が付勢される。
さらに、右側取手210には、突出部131、弾性片133が入り込む凹部215が設けられている。この凹部215の内周面215Aには、引っ掛かり突起212が入り込む凹部215Bが設けられている。
【0041】
装置本体110に右側取手210が取り付けられると、右側取手210の凹部215Bに、引っ掛かり突起212が入り込む。
これにより、引っ掛かり突起212への右側取手210の引っ掛かりが生じるようになり、装置本体110に対する右側取手210の移動が規制される(装置本体110へ右側取手210が固定される)。
【0042】
具体的には、右側取手210を引っ張ろうとしても、引っ掛かり突起212の側面212Aに、右側取手210に設けられた取手側突起217が突き当たるようになり、右側取手210の移動が規制される。
なお、引っ掛かり突起212が有する側面212Aの、引っ張り方向に対する角度は、概ね90°となっている。
【0043】
装置本体110からの右側取手210の取り外し時には、操作者が、被操作部211を、図中矢印5Aで示す方向に押圧する。
これにより、引っ掛かり突起212と取手側突起217との引っ掛かりが解除される。言い換えると、取手側突起217の移動経路上から、引っ掛かり突起212が退避する。
【0044】
引っ掛かり突起212と取手側突起217との引っ掛かりが解除されると、右側取手210の第1部位281が、引っ張り方向へ移動する。
具体的には、右側取手210の第1部位281は、コイルばね135により付勢されているため、引っ掛かり突起212と取手側突起217との引っ掛かりが解除されると、第1部位281は、右側取手210の引っ張り方向へ移動する。
【0045】
これにより、本実施形態では、操作者による被操作部211の押圧が解除されても、引っ掛かり突起212と取手側突起217との引っ掛かりが再び起きることが防止される。
言い換えると、凹部215B内に、引っ掛かり突起212が再び入り込むことが防止される。
その後、操作者は、把持部283(
図2(A)参照)まで右手を移動させて、把持部283を把持する。そして、操作者が、右側取手210を装置本体110から離れる方向へ引っ張ると(装置本体110の幅方向へ右側取手210を引っ張ると)、装置本体110から右側取手210が外れるようになる。
【0046】
図6は、第2固定部分292の構造を説明する図である。より具体的には、
図6は、
図3(A)の矢印VI方向から第2固定部分292を見た場合の図である。
第2固定部分292であって、装置本体110側には、装置本体110の端部から、装置本体110の幅方向へ突出する四角柱状の突出部181が設けられている。
突出部181は、上面181A、背面側側面181B、正面側側面181C、下面181Dを有する。
【0047】
正面側側面181Cの対向位置には、突出部181の突出方向に沿って延びる正面側弾性片183Cが設けられている。背面側側面181Bの対向位置には、突出部181の突出方向に沿って延びる背面側弾性片183B(
図6では不図示)が設けられている。
正面側弾性片183C、背面側弾性片183Bの各々は、突出部181の突出方向における先端部181E側に接続され、突出部181の根本181F側に向かって延びるように配置されている。
さらに、正面側弾性片183C、背面側弾性片183Bの各々は、突出部181との間に間隙を有した状態で配置され、突出部181側に押圧されると突出部181側へ移動する。
【0048】
さらに、上面181Aには、上側弾性片183Aが設けられ、下面181Dには、下側弾性片183Dが設けられている。
上側弾性片183A、下側弾性片183Dも、突出部181の先端部181E側に接続され、突出部181の根本181F側に向かって延びている。
【0049】
上側弾性片183A、下側弾性片183Dは、延び方向における先端に位置する端部183Aが、図中上下方向に移動するように変形する。
さらに、上面181Aに設けられた上側弾性片183Aには、上方に向かって突出する上方突起183Xが設けられ、下側弾性片183Dには、下方に向かって突出する下方突起183Yが設けられている。
【0050】
図7は、
図6の矢印VII方向から第2固定部分292を眺めた場合の断面図である。
右側取手210には、装置本体110に設けられた突出部181が入り込む凹部219が設けられている。
凹部219の内周面219Gには、上側弾性片183Aに設けられた上方突起183Xが入り込む上方凹部219Aと、下側弾性片183Dに設けられた下方突起183Yが入り込む下方凹部219Bとが設けられている。
【0051】
本実施形態では、上方凹部219Aに上方突起183Xが入り込み、下方凹部219Bに下方突起183Yが入り込むことで、第2固定部分292における、右側取手210の固定が行われる。
【0052】
下方突起183Yには、取手200の引っ張り方向に対して傾斜した傾斜面183Zが設けられている。
より具体的には、下方突起183Yの外面のうち、突出部181の根本181F(
図6参照)側に位置する部分には、取手200の引っ張り方向に対して傾斜した傾斜面183Zが設けられている。本実施形態では、引っ張り方向に対する傾斜面183Zの傾斜角度は、45°となっている。また、傾斜面183Zは、突出部181の先端部181E側に向かうに従い突出部181から離れるように形成されている。
【0053】
さらに、上方突起183Xにも、取手200の引っ張り方向に対して傾斜した傾斜面183Sが設けられている。
より具体的には、上方突起183Xの外面のうち、突出部181の根本181F側に位置する部分には、取手200の引っ張り方向に対して傾斜した傾斜面183Sが設けられている。この傾斜面183Sも、突出部181の先端部181E側に向かうに従い突出部181から離れるように形成されている。
【0054】
本実施形態では、右側取手210の引っ張りを行うと、上方突起183Xおよび下方突起183Yが、右側取手210により押圧され、右側取手210の内周面219Gから離れる方向へ退避する。
これにより、右側取手210の移動経路上から上方突起183Xおよび下方突起183Yが外れた状態となり、引っ張り方向へ右側取手210がさらに移動する。そして、右側取手210をさらに引っ張ると、装置本体110から右側取手210が外れるようになる。
【0055】
ここで、本実施形態では、引っ掛かり突起212(
図5参照)が有する側面212Aとは異なり、上方突起183Xが有する傾斜面183S、下方突起183Yが有する傾斜面183Zは、右側取手210の引っ張り方向に対して傾斜している。
付言すると、本実施形態では、引っ掛かり突起212が有する側面212Aの傾斜角度(右側取手210の引っ張り方向に対する傾斜角度)よりも、傾斜面183Sの傾斜角度、傾斜面183Zの傾斜角度の方が小さくなっている。
【0056】
このため、本実施形態では、第2固定部分292では、右側取手210を引っ張るだけで、第2固定部分292における固定が解除される。
第1固定部分291(
図5参照)では、引っ掛かり突起212が有する側面212Aが延びる方向と、右側取手210の引っ張り方向とが略直交する関係となっている。このため、第1固定部分291では、右側取手210を引っ張っただけでは固定が解除されず、上記のように、被操作部211に対する操作が必要となる。
これに対し、第2固定部分292では、右側取手210を引っ張るだけで、第2固定部分292における固定が解除される。
【0057】
さらに、
図7に示すように、本実施形態では、突出部181の上面181Aと、凹部219の内周面219Gとの間に、間隙Gが設けられている。より具体的には、上面181Aのうち、上方突起183Xよりも先端部181E側に位置する部分と、凹部219の内周面219Gとの間に、間隙Gが設けられている。
本実施形態では、この間隙Gが設けられることで、右側取手210の取り外しをより円滑に行えるようになる。
【0058】
より具体的に説明すると、本実施形態では、第1固定部分291(
図7では不図示)における固定の解除が先に行われ、この際、右側取手210の第1部位281が、装置本体110から離れる方向へ移動する(
図7の矢印7Xで示す方向へ移動する)。
このとき、上記のように間隙Gが形成されていると、右側取手210が円滑に回転するようになり、右側取手210の取り外しをより円滑に行える。
【0059】
より具体的には、本実施形態では、右側取手210の第1部位281が、装置本体110から離れる方向へ移動する際、右側取手210は、第2固定部分292を中心として回転しようとする。具体的には、第2固定部分292を中心として、右側取手210は、
図7の矢印7Aで示す方向へ回転しようとする。
このとき、上記のように間隙Gがあると、この回転がより円滑に行われるようになり、右側取手210の第1部位281が、装置本体110から離れる方向へより円滑に移動する。
【0060】
図8は、
図6の矢印VIIIで示す方向から第2固定部分292を眺めた場合の断面図である。
本実施形態では、装置本体110に右側取手210が取り付けられた状態にあると、右側取手210に設けられた凹部219の内周面219Gに対して、正面側弾性片183C、背面側弾性片183Bが押し付けられる。
これにより、本実施形態では、装置本体110に対する右側取手210のがたつきが起きにくくなる。より具体的には、歯科用照明装置100の正面側から背面側に向かう方向における、右側取手210のがたつきが起きにくくなる。
【0061】
正面側弾性片183C、背面側弾性片183Bは、右側取手210の第2部位282を、右側取手210の引っ張り方向と交差する方向へ付勢する付勢手段として機能する。この付勢により、装置本体110に対する第2部位282の位置決めが行われて、右側取手210のがたつきが起きにくくなる。
なお、上側弾性片183A(
図6参照)、下側弾性片183Dについても、付勢手段として捉えることができ、上側弾性片183A、下側弾性片183Dが設けられることで、上下方向における右側取手210のがたつきが抑制される。
【0062】
本実施形態では、
図5にて示した通り、右側取手210の引っ張り方向へ右側取手210を付勢するコイルばね135が設けられているが、このコイルばね135は、第1固定部分291に設けられ、第2固定部分292には設けられていない。
ここで、第2固定部分292(
図6参照)にコイルばね135を設けてしまうと、このコイルばね135により、右側取手210の第2部位282が押圧され、第2固定部分292における固定が解除されてしまうおそれがある。
【0063】
第2固定部分292には、被操作部211を備えた固定機構が設けられておらず、第2固定部分292にコイルばね135を設けてしまうと、第2部位282がこのコイルばね135により押圧されて、固定が解除されてしまうおそれがある。
このため、本実施形態では、第2固定部分292には、コイルばね135を設けず、第1固定部分291のみに、コイルばね135を設ける構成としている。
【0064】
また、本実施形態では、右側取手210(
図7参照)の第2部位282を、通常の操作荷重で、装置本体110から離れる方向(矢印7Yで示す方向)へ引っ張ったとしても、突出部181の少なくとも先端部181Eが、収容部である凹部219内に留まる構成となっている。
付言すると、本実施形態では、装置本体110のうち、
図7の符号7Wで示す箇所が、右側取手210の第2部位282の被固定箇所となっているが、この被固定箇所から離れる方向へ第2部位282を引っ張ったとしても、突出部181の少なくとも先端部181Eが、収容部である凹部219内に留まる構成となっている。
【0065】
より具体的には、本実施形態では、被操作部211(
図3(A)参照)に対する操作者の操作が行われておらず第1固定部分291における固定の解除が行われていない状態にて、第2部位282の部分を把持して、
図3(A)における左方向へ引っ張ったとしても、右側取手210は大きく変形せず、少なくとも先端部181E(
図7参照)が、凹部219内に留まるようになっている(凹部219内から出てこないようになっている)。
【0066】
付言すると、本実施形態では、右側取手210等の剛性が確保されており、第2部位282の部分を把持して引っ張ったとしても、右側取手210が大きく変形せず、突出部181の先端部181Eが、この突出部181を収容する凹部219内に留まる。
ここで、第2部位282を、装置本体110から離れる方向へ引っ張った際に、凹部219の外に、突出部181の全てが出てしまうと、凹部219内に突出部181が再び収納されなくなるおそれがある。
具体的には、凹部219の外に、突出部181の全てが出てしまうと、突出部181が凹部219内に戻ろうとしても、第2部位282の端部282X(
図7参照)などに、突出部181の先端部181Eが突き当たって、凹部219内に突出部181が再び収納されなくなるおそれがある。
【0067】
これに対し、本実施形態のように、突出部181の先端部181Eが、凹部219内に留まる構成であると、突出部181が凹部219内に戻らなくなるという不具合の発生が抑制される。
付言すると、本実施形態では、基本的に、上記のとおり、第1固定部分291における固定の解除、第2固定部分292における固定の解除の順で、固定の解除が行われるが、仮に、この順序とは逆の順序で固定の解除が行われたとしても、凹部219の外に、突出部181が出てしまうという不具合の発生が抑制される。
【0068】
(その他)
上記では、装置本体110側に、突出部181などの突出部を設け、右側取手210側に、この突出部を収容する凹部を設けたが、これとは逆に、右側取手210側に、突出部を設け、装置本体110側に、この突出部を収容する凹部を設けてもよい。
また、本発明は、上述の実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含む。上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。言い換えると、上述の実施形態は、一例であり、上述の実施形態に既知の構成を追加したり、実施形態の一部を削除したり、実施形態の一部を既知の構成で置換したりしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
100…歯科用照明装置、105…一端部、106…他端部、110…装置本体、111…光源、135…コイルばね、183A…上側弾性片、183B…背面側弾性片、183C…正面側弾性片、183D…下側弾性片、210…右側取手、211…被操作部、250…左側取手、281…第1部位、282…第2部位、291…第1固定部分、292…第2固定部分