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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】複合型電流測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20220726BHJP
   G01R 15/20 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G01R15/00 500
G01R15/20 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020540473
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2019015896
(87)【国際公開番号】W WO2020106044
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0143785
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジョン-タエ
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-210272(JP,A)
【文献】特表2012-531760(JP,A)
【文献】特開2005-127832(JP,A)
【文献】特開2011-064648(JP,A)
【文献】特開2014-085245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00
G01R 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールセンサー及びシャント抵抗体を複合的に用いて電流を測定する複合型電流測定装置であって、
他の部分よりも外側へ突出して形成され、突出方向と交差する方向に沿った横長が前記シャント抵抗体よりも短く設けられるセンサー装着部を有する印刷回路基板と、
予め決められた抵抗値を有する抵抗部及び前記抵抗部の両側へ各々延びる端子部を備え、前記印刷回路基板の下面に付着されるシャント抵抗体と、
前記印刷回路基板を挟んで前記シャント抵抗体と対向して前記印刷回路基板の上面に実装されるホールセンサーと、
前記ホールセンサー及び前記シャント抵抗体の一部を囲む壁体を形成するシールド部材と、
前記シャント抵抗体と前記シールド部材との絶縁を維持し、前記センサー装着部に前記シャント抵抗体と前記シールド部材とを一体で装着できるように設けられる組立てガイドユニットと、
を含み、
前記シャント抵抗体の端子部には、前記抵抗部を挟んで第1締結孔が一つずつ設けられ、
前記第1締結孔及び前記印刷回路基板に備えられる電圧測定ノードに一体で結合して前記シャント抵抗体を前記印刷回路基板の下面に固定するジョイント部材をさらに含み、
前記端子部と前記電圧測定ノードとが、前記ジョイント部材を介して電気的に接続され、
前記シャント抵抗体は、前記センサー装着部の下面に付着され、
前記センサー装着部は、
所定のギャップを置いて相互分離した第1装着部及び第2装着部を含み、
前記シールド部材は、
前記シャント抵抗体の幅方向へ離隔し、前記センサー装着部に対して垂直に配置される一対の垂直板と、前記シャント抵抗体の下で前記一対の垂直板を連結する水平板と、を含み、
前記組立てガイドユニットは、
前記センサー装着部の縁線に形合わされるような距離で離隔する二つの支持パーツであって、前記二つの支持パーツのそれぞれは、
前記シャント抵抗体の前記端子部が嵌合するための穴を有し、
前記シールド部材の前記一対の垂直板のいずれか一つが、前記センサー装着部の前記ギャップのうち、前記シャント抵抗体の幅方向に対して垂直に設けられた第2ギャップに挟みこまれる位置に固定されるように、前記水平板の周りを囲み、
前記印刷回路基板に取り付けられたとき、前記シャント抵抗体の前記端子部に設けられたそれぞれの前記第1締結孔と、前記第1装着部及び前記第2装着部のそれぞれの前記電圧測定ノードとが対応するような位置関係で前記端子部と嵌合する、
前記二つの支持パーツを含む、
複合型電流測定装置。
【請求項2】
前記第1装着部と前記第2装着部とのギャップが「L」字形に備えられ、前記一対の垂直板のいずれか一つは、前記ギャップを垂直に通過する、請求項に記載の複合型電流測定装置。
【請求項3】
前記二つの支持パーツを一体として連結し、前記シャント抵抗体の前記端子部および前記抵抗部と、前記シールド部材の水平板とが絶縁されるように、前記シャント抵抗体と前記シールド部材の水平板との間に配置される絶縁板膜をさらに含む、請求項1または2に記載の複合型電流測定装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の複合型電流測定装置を含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流測定装置に関し、相異なる電流測定原理を有した複数の電流測定用センサーを統合した複合型電流測定装置に関する。
【0002】
本出願は、2018年11月20日出願の韓国特許出願第10-2018-0143785号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池を用いるバッテリーパックの電力供給システムには、通常、電流を測定するための電流センサーが備えられる。電流センサーは、バッテリーパックの充放電経路に流れる電流を測定してバッテリーパックの状態をモニターし、 バッテリーパックに流れる過電流などを検知する。そして、電流センサーによって測定された電流は、SOCを計算する情報として活用されるか、または充放電過程が正常に行われているか否かなどを判断するのに活用することができる。
【0004】
ところが、このような電流センサーが故障などによって正常に動作しない場合、バッテリーパックに流れる電流をまともに検知できなくなる。そして、その結果、過電流が流れるなどの異常状況が発生しても、これを適切に遮断することができず、バッテリーパックの故障や爆発のような深刻な問題を惹起し得る。
【0005】
特に、最近、電気自動車のエネルギー貯蔵装置として脚光を浴びているリチウム二次電池バッテリーパックの場合、100A~300A程度で充放電電流の大きい場合が多いが、このような電気自動車用バッテリーパックにおいて電流センサーが充放電電流をまともに測定できれば、その危険性がさらに大きくなるはずである。
【0006】
現在、電流センサーには多様なタイプがあるが、図1に示したようなシャント抵抗(Shunt resistor)がバッテリーパックの電流測定に広く使用されている。図1に示したように、既存の一般的なシャント抵抗2は、抵抗部3及び抵抗部3の両端に各々接続した端子部4を備え、各端子部4には、電圧測定のためのリードピン5が備えられる。リードピンをPCBの上にはんだ付けして電圧を測定し、オームの法則を適用して電流値を求める。
【0007】
ところが、従来のシャント抵抗は、リードピン5が自動車の運行時に発生する振動や衝撃に弱くて破損の恐れが大きい。リードピンの破損は、電流センサー故障の主な原因である場合が多い。
【0008】
一方、電気自動車が広く商用化するにつれ、その安全基準(例えば、ISO 26262)が強化され、これを満たすためには、電流検知装置の誤作動に備えてこれを検知及び診断できる方案が要求されている。
【0009】
その方案の一つとして、二種以上の同種または異種の電流センサーを用いて、電流センサー同士の誤差発生を含む誤作動の検知及び診断方案が提示されているが、安全性と経済性とを共に図り得る複合型電流測定装置の設計が容易でなない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数の電流センサーでバッテリーパックの電流を測定することができる複合型電流測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、振動及び衝撃条件においても安定的に作動でき、電気自動車の機能安全性を満たすことができる複合型電流測定装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するため、本発明の一面によれば、ホールセンサー及びシャント抵抗体を複合的に用いて電流を測定する複合型電流測定装置であって、印刷回路基板と、予め決められた抵抗値を有する抵抗部及び抵抗部の両側へ各々延びる端子部を備え、印刷回路基板の下面に付着されるシャント抵抗体と、印刷回路基板を挟んでシャント抵抗体と対向して印刷回路基板の上面に実装されるホールセンサーと、を含む複合型電流測定装置を提供することができる。
【0013】
シャント抵抗体の端子部には、抵抗部を挟んで第1締結孔が一つずつ設けられ、第1締結孔及び印刷回路基板に備えられる電圧測定ノードに一体で結合してシャント抵抗体を印刷回路基板の下面に固定すると共に、端子部と電圧測定ノードとを電気的に接続するジョイント部材をさらに含み得る。
【0014】
印刷回路基板は、他の部分よりも外側へ突出して形成され、突出方向と交差する方向に沿った横長がシャント抵抗体よりも短く設けられるセンサー装着部を含み、シャント抵抗体は、センサー装着部の下面に付着され得る。
【0015】
センサー装着部は、所定のギャップを置いて相互分離した第1装着部及び第2装着部を含み得る。
【0016】
ホールセンサー及びシャント抵抗体の一部を囲む壁体を形成するシールド部材をさらに含み得る。
【0017】
シールド部材は、シャント抵抗体の幅方向へ離隔し、センサー装着部に対して垂直に配置される一対の垂直板と、シャント抵抗体の下で一対の垂直板を連結する水平板と、を含み得る。
【0018】
第1装着部と第2装着部とのギャップが「L」字形に備えられ、一対の垂直板のいずれか一つは、ギャップを垂直に通過し得る。
【0019】
シャント抵抗体とシールド部材との絶縁を維持し、センサー装着部にシャント抵抗体とシールド部材とを一体で装着できるように設けられる組立てガイドユニットをさらに含み得る。
【0020】
組立てガイドユニットは、所定の距離で離隔した位置でシャント抵抗体の周り及びシールド部材の水平板の周りを各々囲む二重構造で設けられる二つの支持パーツを含み得る。
【0021】
二つ支持パーツを一体として連結し、シャント抵抗体とシールド部材の水平板との間に配置される絶縁板膜をさらに含み得る。
【0022】
なお、本発明の他の様態によれば、前述した複合型電流測定装置を含むバッテリーパックを含み得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一面によれば、二種の電流センサーでバッテリーパックの電流を測定することができ、電流センサー同士の誤差発生を含む誤作動の有無を検知及び診断することができる。
【0024】
本発明の他面によれば、振動または衝撃条件においてもバッテリーパックの電流を安定的に測定することができ、電流センサーの組立構造が空間効率的な複合型電流測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術によるシャント抵抗体を示した図である。
図2】本発明の一実施例による複合型電流測定装置の構成を示した斜視図である。
図3】本発明の実施例による印刷回路基板の主要部分の平面図である。
図4図3の印刷回路基板にシャント抵抗体を設けた図である。
図5】シャント抵抗体の平面図である。
図6図2の複合型電流測定装置の線I-I'による断面図である。
図7】シールド部材の平面図である。
図8図2の複合型電流測定装置の下面図である。
図9】複合型電流測定装置の分解斜視図である。
図10】本発明の一実施例によるバッテリーパックを電気自動車に適用した例を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。したがって、各構成要素の大きさや割合は、実際の大きさや割合を完全に反映することではない。
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0028】
図2は、本発明の一実施例による複合型電流測定装置の構成を示した斜視図であり、図3は、本発明の実施例による印刷回路基板の主要部分の平面図であり、図4は、図3の印刷回路基板にシャント抵抗体を設けた図である。
【0029】
これらの図を参照すれば、本発明の一実施例による複合型電流測定装置1は、印刷回路基板10と、印刷回路基板10の下面に付着されるシャント抵抗体20と、印刷回路基板10の上面に実装されるホールセンサー30と、を含む。
【0030】
詳しくは後述するが、複合型電流測定装置1は、図2に示したように、シャント抵抗体20及びホールセンサー30をBMS印刷回路基板10に連結するに際し、データケーブルまたは電源ケーブルなどの手段を用いることなく構成できる。このような部品の簡素化で製造コストを節減することができる。また、シャント抵抗体20とホールセンサー30との相互補完的かつ空間集約的な配置構造から、装置の体積を最小化することができる。
【0031】
このような複合型電流測定装置1を構成する印刷回路基板10は、バッテリーパックのバッテリー充放電管理装置であるBMS(Battery Management System)の印刷回路基板10であり得る。
【0032】
印刷回路基板10は、図面の便宜上、図示していないが、シャント抵抗体20の両端の電圧差及びホールセンサー30の出力を電流値に変えるADC 回路の外に、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、増幅器、比較器、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。
【0033】
特に、本実施例による印刷回路基板10は、ほぼ直四角形の板状体の形状や、図3のように、一側端縁が他の部分よりも突出して形成されたセンサー装着部11を備える。センサー装着部11は、シャント抵抗体20及びホールセンサー30を組み立てるための場所であって、突出方向と交差する方向(X軸方向)に沿った横長がシャント抵抗体20よりも短く設けられる。
【0034】
この場合、シャント抵抗体20の両端部は、その上部が印刷回路基板10によって遮蔽されず、露出した状態になるので、シャント抵抗体20の両端部を他の部品に連結するのに容易である。例えば、電気自動車は、バッテリーパックの電力を負荷に供給するために高圧伝送ケーブル及び金属棒状のバスバー(図示せず)を電気配線材としてよく使用する。バッテリーパックと負荷との間に流れる電流を測定するためには、電気配線材の一つであるバスバーとシャント抵抗体20との接続が必要となる。この際、バスバー(図示せず)とシャント抵抗体20とは、両端部が相互にボルト結合方式で接続し得る。参考までに、シャント抵抗体の両端部に備えられているホールH2は、バスバーとのボルト結合のための用途で用いられ得る。
【0035】
また、センサー装着部11は、所定のギャップを置いて相互分離された第1装着部11a及び第2装着部11bを含み得る。
【0036】
第1装着部11a及び第2装着部11bの下面には、シャント抵抗体20が装着され、第2装着部11bの上面には、ホールセンサー30が装着され得る。
【0037】
センサー装着部11のギャップ12a、12bは、図3においてY軸方向に沿って形成されている第1ギャップ12aと、X軸方向に沿って形成されている第2ギャップ12bと、を含む。これらの第1ギャップ12a及び第2ギャップ12bは、平面視でほぼ「L」字形であり得る。
【0038】
シャント抵抗体20は金属素材からなり、広い動作温度下で収縮/膨張を繰り返し得る。このようなシャント抵抗体20の収縮/膨張によって印刷回路基板10にクラック(crack)が発生し得る。これに対し、本実施例は、シャント抵抗体20が付着される箇所であるセンサー装着部11に第1ギャップ12aを設けることでシャント抵抗体20が付着される部位の破損を防止できる。
【0039】
第1ギャップ12aは、シャント抵抗体20の端子部23、25をセンサー装着部11に付着するために、後述する二つのジョイント部材41、42がねじ結合するポイントの間に位置することが望ましい。
【0040】
ポイントは、第1装着部11a及び第2装着部11bに各々設けられ得る。このようなポイントは、電圧測定ノード13a、13bの位置と同一である。電圧測定ノード13a、13bは、シャント抵抗体20の抵抗部21による電圧差を検知するために、ジョイント部材41,42によってシャント抵抗体20の両端部23、25と接続する箇所である。
【0041】
第2ギャップ12bは、第1ギャップ12aのように印刷回路基板10のクラック防止の目的と共に、後述するシールド部材50の垂直板51を組み立てるための空間として活用できる。
【0042】
図5を参照すれば、本実施例のシャント抵抗体20は、予め決められた抵抗値を有する抵抗部21と、抵抗部21の両側へ各々延びる端子部23、25を含む。抵抗部21はマンガン(Mn)から形成され得、端子部23、25は銅(Cu)または銅合金から形成され得る。このようなシャント抵抗体20に電流が流れるようになれば、抵抗部21で電圧降下が発生するようになり、この際の電圧差を測定することで、オームの法則によって電流値を求めることができる。
【0043】
既存のシャント抵抗体20は、電圧測定用リードピンを印刷回路基板10にはんだ付けして端子部23、25の両端の電圧を測定したことに対し、本発明の場合、電圧測定用リードピンの役割をジョイント部材41,42が果たす。ジョイント部材41、42としては、ねじまたはボルトを採用し得る。
【0044】
このようなジョイント部材41、42は、シャント抵抗体20をセンサー装着部11の下面に固定する器具的な役割を果たすと共に、端子部23、25を印刷回路基板10の電圧測定ノード13a、13bに電気的に接続する役割を果たす。
【0045】
ジョイント部材41、42によるセンサー装着部11とシャント抵抗体20との締結及び電気的接続のために、通孔がセンサー装着部の電圧測定ノード13a、13bの中央に設けられ、ねじ山を備えた第1スクリュー孔H1がシャント抵抗体20の端子部23、25に一つずつ設けられ得る。
【0046】
図6に示したように、ジョイント部材41、42が、通孔及び第1スクリュー孔H1にスクリュー結合することで、シャント抵抗体20の端子部23、25と電圧測定ノード13a、13bとが相互に電気的に接続し得る。この際、電圧測定ノード13a、13bによって検知された電圧は、印刷回路基板10における増幅器及び比較器、ADC回路などを経て電流値として転換できる。
【0047】
このように印刷回路基板10及びシャント抵抗体20にスクリュー結合するねじのようなジョイント部材41、42を電圧検知の用途を兼ねる本実施例によれば、振動及び衝撃時にも、印刷回路基板10とシャント抵抗体20との電気的接続が安定的となるので、従来技術による電流センサーよりも破損ないし誤作動の危険を低めることができる。
【0048】
一方、ホールセンサー30とは、磁界が電流の流れる電線(導体)を鎖交するとき、その電線(導体)の両端に電位差が生じる物理現象であるホール効果(Hall effect)を用いて電流を測定するセンサーを指す。
【0049】
本実施例の場合、ホールセンサー30が印刷回路基板10を挟んでシャント抵抗体20と向い合うように印刷回路基板10の上面に実装され、その下に位置したシャント抵抗体20に流れる電流を測定するのに使用され得る。
【0050】
例えば、ホールセンサー30は、シャント抵抗体20において、センサー装着部11の下面に位置した中央部分に流れる電流による磁束変化に基づき、電圧値をホールセンサー30と接続した印刷回路基板10の上の回路(図示せず)に出力し、この値は、回路によって電流値に変換できる。
【0051】
参考までに、本実施例のホールセンサー30としては、通常、体積が大きい外部的な強磁性体コアを必要とせずに電流を正確に測定可能なIMC(integrated magnetic concentrator)技術が適用されたホールセンサー30を採用し得る。但し、本発明の権利範囲がIMC技術の適用されたホールセンサー30に限定されることではない。
【0052】
本実施例の複合型電流測定装置1は、図2図7及び図8を共に参照すれば、ホールセンサー30の性能がさらに向上できるようにシールド部材50をさらに含み得る。
【0053】
シールド部材50は、ホールセンサー30及びシャント抵抗体20の一部、即ち、ホールセンサー30の下に位置したシャント抵抗体20の中央部分を囲む壁体形状で設けられ得る。また、シールド部材50は、金属素材として、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル、鉄、銅合金から製作され得る。このようなシールド部材50は、磁束を集中させ、外部からホールセンサー30を保護してホールセンサー30の誤差を減らす役割を果たす。
【0054】
具体的に、シールド部材50は、壁体を形成する一対の垂直板51、53と、一対の垂直板51、53を連結する水平板55と、を含み得る。
【0055】
シールド部材50の水平板55は、横幅(X軸方向)が縦幅(Y軸方向)よりも長く、両側の垂直板51、53の間に延びた形態で設けられ、延びた部分は、シャント抵抗体20と並んで配置され得る。
【0056】
そして、水平板55は、ほぼ「H」字状に湾曲した部分55aを有する。湾曲した部分55aは、ジョイント部材41、42との接触を回避するためのものである。即ち、水平板55は、ジョイント部材41、42との接触を回避できる形状であれば、必ずしも「H」字状でなくてもよい。
【0057】
前述したシャント抵抗体20及びシールド部材50は、印刷回路基板10との組立てが容易になるように、組立てガイドユニット60を介して一つのアセンブリー形態で製作され得る。
【0058】
即ち、本発明の一実施例による複合型電流測定装置1は、図8及び図9に示したように、シャント抵抗体20とシールド部材50とを一つのアセンブリー形態にして一体で印刷回路基板10に装着するための組立てガイドユニット60をさらに含み得る。
【0059】
組立てガイドユニット60は、二つの支持パーツ61、63及び絶縁板膜65を含む。
【0060】
二つの支持パーツ61、63は、所定の距離で離隔した位置でシャント抵抗体20の周り及びシールド部材50の水平板55の周りを各々囲む二重構造で設けられ得る。
【0061】
また、二つの支持パーツ61、63は、その間隔を印刷回路基板10のセンサー装着部11の横長に対応させることで、印刷回路基板10に組み立てたとき、二つの支持パーツ61、63がセンサー装着部11の縁線と形合わせされ得る。
【0062】
そして、絶縁板膜65は、二つの支持パーツ61、63を一体として連結し、シャント抵抗体20とシールド部材50の水平板55との間に位置して、シャント抵抗体20とシールド部材50とが絶縁するように設けられ得る。
【0063】
シャント抵抗体20、シールド部材50及び組立てガイドユニット60からなるアセンブリーは、例えば、全部または一部がインサート成形(Insert molding)法によって一体で製作され得る。
【0064】
続いて、シャント抵抗体20、シールド部材50及び組立てガイドユニット60からなるアセンブリーと印刷回路基板10との組立て過程を簡略に説明すれば、次のようである。
【0065】
先ず、アセンブリーを、センサー装着部11の下面に密着させる。この際、シールド部材50の垂直板51、53のいずれか一つをセンサー装着部11の第2ギャップ12bに挟み込むことでアセンブリーとセンサー装着部11との組立て位置が自然に整列される。言い換えれば、電流センサーとして機能するためには、シャント抵抗体20の中央部分がホールセンサー30の直下に位置しなければならず、シールド部材50はホールセンサー30の部分を囲む組立て構図にすべきであるが、本発明は、このような組立て構図がアセンブリー及びセンサー装着部11の幾何学的な特徴によって容易に充足される。
【0066】
その後、ジョイント部材41、42を用いてセンサー装着部11とアセンブリーとをスクリュー結合する。この際、ジョイント部材41、42は、二つのねじであり、二つのねじは、第1装着部11a及び第2装着部11bに一つずつ挟まれ、シャント抵抗体20の端子部23、25と連結され得る。前述したように、ジョイント部材41、42は、シャント抵抗体20の抵抗部21の電圧差を測定するのに使用され得る。そして、ホールセンサー30は、シャント抵抗体20に流れる電流をホール効果に基づいて測定できる。
【0067】
以上のような本実施例による複合型電流測定装置1の構成及び作用によれば、バッテリーパックと負荷との間に流れる電流をシャント抵抗体20及びホールセンサー30によって、各々異なる原理で二重で測定することができる。即ち、二種の電流センサーでバッテリーパックの電流を測定することができ、電流センサー同士の誤差の発生を含む誤作動の有無を感知及び診断することができる。したがって、複合型電流測定装置1が備えられたバッテリーパック及び上記バッテリーパックから電力を受ける電気自動車または電気駆動装置は、安全性が向上する。
【0068】
一方、図10を参照すれば、本発明によるバッテリーパック100は、上述した複合型電流測定装置1を含み得る。バッテリーパックの電流は、複合型電流測定装置1を経由して負荷200に流れ得る。
【0069】
本発明によるバッテリーパック100は、複合型電流測定装置1に加え、 パウチ型二次電池または缶型二次電池の集合体からなる少なくとも一つのバッテリーモジュールと、バッテリーモジュールを収納するためのパックケース、バッテリーモジュールの充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS、リレー、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0070】
バッテリーパックは、ハイブリッド電気自動車(HEV)または電気自動車(EV)などのような電気自動車のモーターに電力を供給するエネルギー源として使用できる。また、バッテリーパックは、エネルギー貯蔵装置(ESS)などに使用することも可能である。
【0071】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0072】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
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図10