(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】複合素材の断熱材パネル用のロングホールソー
(51)【国際特許分類】
B23B 51/04 20060101AFI20220726BHJP
B26F 1/16 20060101ALI20220726BHJP
E04B 1/80 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
B23B51/04 S
B23B51/04 A
B23B51/04 E
B26F1/16
E04B1/80 100Z
(21)【出願番号】P 2020547124
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2019003019
(87)【国際公開番号】W WO2019194431
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0038639
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520339080
【氏名又は名称】コリア エフエイ インダストリアル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジョン キル
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ユン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,イン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヒョン
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-004509(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0042861(US,A1)
【文献】実開昭63-038970(JP,U)
【文献】米国特許第05004382(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0237590(US,A1)
【文献】実開昭57-023920(JP,U)
【文献】特開平08-197532(JP,A)
【文献】特開2004-122649(JP,A)
【文献】特開2009-148872(JP,A)
【文献】特開2010-179447(JP,A)
【文献】米国特許第07658576(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0191016(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301798(US,A1)
【文献】特開2002-192412(JP,A)
【文献】特開2007-021688(JP,A)
【文献】特開昭63-232905(JP,A)
【文献】実開昭57-122310(JP,U)
【文献】実開昭48-053685(JP,U)
【文献】登録実用新案第3182895(JP,U)
【文献】国際公開第97/015413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 45/00
B23B 51/00-51/14
B26D 3/00-3/30
B26F 1/00-3/16
B28D 1/14
E04B 1/62-1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空状であり、上端部の中央にねじ山からなる通孔(110)が形成された円筒状の胴体(11)と、前記円筒状の胴体(11)の下端部に円周方向に沿って等間隔に複数形成された第1の切削刃(12)と、前記第1の切削刃(12)の上側に所定の高さだけ離間され、下部が
前記円筒状の胴体(11)から逆転方向に向かって斜めに切り欠かれて
形成され、下部は前記円筒状の胴体(11)の内側に突出し、
上部は前記円筒状の胴体(11)と接続され、円周方向に沿って等間隔に複数形成された第2の切削刃(13)と、からなる切削体(10)と、
前記円筒状の胴体(11)の前記通孔に螺合されるように下側の外周縁にねじ山を有する結合棒(21)と、前記結合棒(21)の下側に一定の長さだけ延び、下端部に向かって円錐状に直径が縮径する加圧部(220)が形成された支持杆(22)と、前記加圧部(220)の下端部に所定の長さに形成されたドリル(23)と、からなるバランシング支持体(20)と、
を備え
、
前記切削体(10)と前記バランシング支持体(20)との強固な結合のために、前記バランシング支持体(20)は、前記円筒状の胴体(11)の下部から上部に向かって組立て結合され、前記結合棒(21)には、前記円筒状の胴体(11)の上側にナット(30)が螺合されることを特徴とする複合素材の断熱材パネル用のロングホールソー。
【請求項2】
前記円筒状の胴体(11)の外側の中央部には円周方向に沿って等間隔に複数の胴体孔(14)が形成され、前記胴体孔(14)は、前記円筒状の胴体(11)の全体の面積の1/10~9/10の面積に形成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材の断熱材パネル用のロングホールソー。
【請求項3】
前記支持杆(22)は、前記結合棒(21)よりも直径が拡径して形成され、かつ、前記結合棒(21)が前記円筒状の胴体(11)の内側において前記通孔(110)に螺合されるが、前記結合棒(21)に形成される前記ねじ山は、前記円筒状の胴体の回転方向とは反対の方向を有する螺旋走行方向を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材の断熱材パネル用のロングホールソー。
【請求項4】
前記第2の切削刃(13)は、前記円筒状の胴体(11)において前記第1の切削刃(12)に比べて3~6倍の等間隔に形成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材の断熱材パネル用のロングホールソー。
【請求項5】
前記円筒状の胴体(11)と前記支持杆(22)は、80~350mmの同じ長さに形成され、前記支持杆(22)の長さに比べて、前記支持杆(22)の直径は1:0.1~0.3に形成されることを特徴とする請求項1に記載の複合素材の断熱材パネル用のロングホールソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁体や屋根の施工に際して用いられる建築用の複合素材の断熱材パネルに配管、電線管などの設置のための孔の穿設作業を行うとき、硬質素材の鋼鉄板と軟質素材の発泡ポリスチレンやウレタンなどの断熱材を一方向から手軽に切削し、切削の際に生じる振れや振動を低減して手軽に且つ正確に、しかも、安定的に孔の穿設作業を行うことを可能にする複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の省エネルギーのための政府の施策に従い、建築物の設計、施工の際に建築物の内外壁の断熱工法を強化している。
【0003】
現在、建築外装用の断熱材としては、厚さが最小150mmから最大300mmまでの厚肉の複合素材の断熱材であるサンドイッチパネルが主として用いられている。
【0004】
サンドイッチパネルは、両面が鋼鉄板であり、これらの間に発泡ポリスチレン、またはウレタンが充填されて貼り合わせられた形状である。
【0005】
建築現場において用いられている厚肉の複合素材の断熱材パネルに設備配管用パイプ、換気口通路、電線管などを設置するためには、建設現場において厚肉の複合素材の断熱材パネルに穴を貫通させる作業が欠かせない。
【0006】
現在のところ、建築現場の複合素材の断熱材パネルに穴を貫通させる作業は、
図1に示すように、4つの工程からなる。
【0007】
1次工程として、内側鋼鉄板に穴を開ける作業を行い、2次工程として、軟質素材である発泡ポリスチレンやウレタンの断熱材を除去する作業を行った後、3次工程として、外側に場所を移し、4次工程として、外側鋼鉄板に穴を開ける作業まで合計で4つの工程により穴を貫通させる作業を完成することになるが、内側鋼鉄板に穴を開けた後には、場所を外側に移して2回に亘って外側鋼鉄板に穴を開ける作業を行うことを余儀なくされる。
【0008】
一方、上記の如き複合素材の断熱材パネルに穴を貫通させる作業を行うために、韓国登録特許第10-0421440号公報には、
図2に示すように、円形状の鉄板が絞り成形されて円筒状の中空容器をなし、前記中空容器の底面には、内壁が雌ねじである空洞が形成され、前記中空容器の周縁の終端部に沿って複数の切削ティップ載置溝が切り欠かれた切削体と、前記複数の切削ティップ載置溝内にそれぞれ載置されて貼り合わせられた切削ティップと、一方の端部はドリルチャックに結合されるシャンクから形成され、他方の端部の外周面には前記切削体の空洞と結合される雄ねじが形成されたドリルホルダーと、前記ドリルホルダーの他方の端部の中心に嵌着されるドリル刃と、終端が前記切削体の周縁の外周面に突出するように前記切削体の底面部に覆い被せられ、前記ドリルホルダーの他方の端部に嵌着される挿入防止キャップと、を備えてなるホールカッターが開示されている。
【0009】
前記ホールカッターは、鋼鉄板に孔を加工するとき、ホールカッターの回転力と切削の際に生じる摩擦力とにより振れや振動が生じてしまい、回転の際に振れや振動を極力抑えるためには、切削摩擦力よりも大きな力で回転中心軸であるドリル刃に垂直荷重加圧力を十分に且つ安定的に与えなければならないが、従来の特許のようなホールカッターは、回転中心軸であるドリル刃が上下部の直径が同じである一字状であるため、切削体の回転の際にドリル刃が垂直荷重加圧力を十分に受け止めることができない構造であるため、回転中心軸であるドリル刃に振れや振動が生じ、ドリル刃の振れや振動により鋼鉄板のセンター孔が拡張されてしまう。このようなセンター孔の拡張により回転中心軸であるドリル刃の振れや振動はさらに甚だしく生じ、結局のところ、ドリル刃の破損につながって孔の加工作業を行うことができなくなり、ドリル刃と鋼鉄板との頻繁な回転摩擦力によりドリル刃が摩耗され易く、しかも、損なわれてしまうという不都合が生じる。
【0010】
また、従来のホールカッターは、切削体の長さが短いため、孔を加工するときに、内外部に移動して2回に亘って鋼鉄板に穴を開けるため、鋼鉄板の内外側の穴の同心度が一致しない場合が頻繁に起こってしまい、その結果、設置すべき管などの設置工事を行うことができなくなり、それ故に、穴を拡張させるというさらなる作業を行うことを余儀なくされる場合が頻発する。
【0011】
一方、現在、建設現場において断熱材用の複合素材の断熱材の厚板パネルに穴を貫通させる作業には、上述したような不都合による困難さが多大に生じる状況であり、複合素材の断熱材の特性である2種類の正反対の材料の特性、すなわち、強い性質の鋼鉄板と熱に弱い軟質素材の発泡ポリスチレンである2種類の複合素材の断熱材の厚板パネルの切削条件を同時に満たして、単一の切削工具で片側方向からのみ孔の穿設作業を行うことのできる切削工具が切望されるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、複合素材の断熱材パネルをなす硬質素材の鋼鉄板と軟質素材の発泡ポリスチレンまたはウレタンの切削のために円筒状の胴体に硬質素材用の切削刃と軟質素材用の切削刃をそれぞれ異ならせて形成して、硬質素材の切削は高速にて且つ速やかに行い、軟質素材の切削は溶融現象が生じないようにする複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーを提供するところにその目的がある。
【0014】
本発明は、円筒状の胴体の回転中心軸であるバランシング支持体の下部面に円錐状の加圧部を形成して被切削物である鋼鉄板との面接触が大きく行われるようにすることで、センター孔が2次的に削らないので、センター孔の直径が拡径しないようにするとともに、加圧部がセンター孔と面接触されながらバランシング支持杆が回転中心軸線を保つことができて回転切削の際に強い振れや振動力にも拘わらず回転中心が強固に且つ安定的に保持されて孔の穿設作業が正確に且つ安定的に行われるようにする複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーは、内部が中空状であり、上端部の中央にねじ山からなる通孔110が形成された円筒状の胴体11と、円筒状の胴体11の下端部に円周方向に沿って等間隔に複数形成された第1の切削刃12と、前記第1の切削刃12の上側に所定の高さだけ離間され、下部が逆転方向に向かって斜めに切り欠かれて円筒状の胴体11の内側に突出し、円周方向に沿って等間隔に複数形成された第2の切削刃13と、からなる切削体10と、前記円筒状の胴体11の通孔に螺合されるように下側の外周縁にねじ山を有する結合棒21と、前記結合棒21の下側に一定の長さだけ延び、下端部に向かって円錐状に直径が縮径する加圧部220が形成された支持杆22と、加圧部220の下端部に所定の長さに形成されたドリル23と、からなるバランシング支持体20と、を備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0016】
本発明は、バランシング支持杆により曲げモーメント値が最小化されて回転切削の際に上下左右の振れや振動が抑えられ、振れや振動が抑えられることにより伴い、回転中心が強固に且つ安定的に保持されて安定的に且つ正確に孔の穿設作業を行うことができ、作業者が垂直下方に切削荷重圧力を十分に発揮することができて鋼鉄板の切削速度を高めるので、作業効率性を高めることができるという効果がある。
【0017】
また、バランシング支持杆の円錐状の加圧部により薄肉の鋼鉄板に円錐状のセンター孔が形成されることに伴い、鋼鉄板とバランシング支持杆との面接触がさらに大きくなって回転切削による強い振れや振動力にもよく耐えるようにし、センター孔が円錐状に歪まれて切削された鋼鉄板が円筒状の胴体の内側に挟み込まれることなく自然に脱離されて鋼鉄板をホールソーから引き離す作業が手軽に行われるという効果がある。
【0018】
さらに、従来のホールソーに比べて胴体の長さを長くし、複合素材の断熱材パネルをなす硬質素材と軟質素材用の切削刃をそれぞれ異ならせて形成して孔の穿設作業の際に150mm以上の厚肉のパネルもまた1分以内に一方向から手軽に切削する作業を行うことができるので、孔の穿設のための作業時間が大幅に短縮され、しかも、作業能率を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来の複合素材の断熱材パネルに穴を貫通させるための作業の工程手順図である。
【
図3】本発明に係るロングホールソーの分解斜視図である。
【
図4】本発明に係るロングホールソーの組み立て状態の斜視図である。
【
図5】本発明に係るロングホールソーの切削体の底面図である。
【
図6】本発明に係るロングホールソーの加圧部の作用効果を示す図である。
【
図7】本発明に係るロングホールソーのバランシング支持体によるモーメント発生比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーは、内部が中空状であり、上端部の中央にねじ山からなる通孔110が形成された円筒状の胴体11と、円筒状の胴体11の下端部に円周方向に沿って等間隔に複数形成された第1の切削刃12と、前記第1の切削刃12の上側に所定の高さだけ離間され、下部が逆転方向に向かって斜めに切り欠かれて円筒状の胴体11の内側に突出し、円周方向に沿って等間隔に複数形成された第2の切削刃13と、からなる切削体10と、前記円筒状の胴体11の通孔に螺合されるように下側の外周縁にねじ山を有する結合棒21と、前記結合棒21の下側に一定の長さだけ延び、下端部に向かって円錐状に直径が狭くなる加圧部220が形成された支持杆22と、加圧部220の下端部に所定の長さに形成されたドリル23と、からなるバランシング支持体20と、を備えることを特徴とする。
【0021】
また、前記円筒状の胴体11の外側の中央部には円周方向に沿って等間隔に複数の胴体孔14が形成され、胴体孔14は、円筒状の胴体11の全体の面積の1/10~9/10の面積に形成されることを特徴とする。
【0022】
さらに、前記支持杆22は、結合棒21よりも直径が拡径されて形成され、かつ、結合棒21が円筒状の胴体11の内側において通孔110に螺合されるが、結合棒21に形成されるねじ山は、円筒状の胴体の回転方向とは反対の方向を有する螺旋走行方向を有するように形成されることを特徴とする。
【0023】
さらにまた、前記第2の切削刃13は、円筒状の胴体11において第1の切削刃12に比べて3~6倍の等間隔に形成されることを特徴とする。
【0024】
さらにまた、前記円筒状の胴体11と支持杆22は、80~350mmの同じ長さに形成され、支持杆22の長さに比べて、支持杆22の直径は1:0.1~0.3に形成されることを特徴とする。
【0025】
さらにまた、前記切削体10とバランシング支持体20との強固な結合のために、バランシング支持体20は、円筒状の胴体11の下部から上部に向かって組立て結合され、結合棒21には、円筒状の胴体11の上側にナット30が螺合されることを特徴とする。
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーの好適な実施形状について詳しく説明する。
【0027】
図1は、従来の複合素材の断熱材パネルに穴を貫通させるための作業の工程手順図であり、
図2は、従来のホールカッターを示す図であり、
図3は、本発明に係るロングホールソーの分解斜視図であり、
図4は、本発明に係るロングホールソーの組み立て状態の斜視図であり、
図5は、本発明に係るロングホールソーの切削体の底面図であり、
図6は、本発明に係るロングホールソーの加圧部の作用効果を示す図であり、
図7は、本発明に係るロングホールソーのバランシング支持体によるモーメント発生比較図である。
【0028】
図3及び
図4に示すように、本発明のロングホールソーは、建築物の壁体や屋根の施工に際して組み立て式に用いられる建築物用の複合素材の断熱材パネル(サンドイッチパネルなど)に設備配管用パイプ、換気口通路、電線管などの設置のための孔の穿設作業を行うときに用いるものであり、パネルを円形状に切削する切削体10と、切削体の回転中心軸となって切削体を支持するバランシング支持体20との結合により構成される。
【0029】
前記切削体10は、下部面が開放されて内部が中空状である円筒状の胴体11と、円筒状の胴体11に形成されて硬質素材である鋼鉄板Pを切削する第1の切削刃12、及び軟質素材である発泡ポリスチレンやウレタンSなどを切削する第2の切削刃13から構成される。
【0030】
前記円筒状の胴体11は、下部面が開放された内部中空状であって、上端部の中央には、バランシング支持体20の結合のためにねじ山から形成された通孔110が形成され、外側の中央部には、円周方向に沿って等間隔に複数の胴体孔14が形成される。
【0031】
前記円筒状の胴体11は、通常の複合素材の断熱材パネルの厚さが、内壁用は80mmであり、外壁用は150mm以上であることに鑑みて、パネルへの孔の穿設のための切削作業が一方向から手軽に行えるように、前記円筒状の胴体11は80~350mmの長さに形成されることが好ましい。
【0032】
一方、
図5に示すように、前記円筒状の胴体11の上端部には、通孔110の周りに沿って複数の貫通孔111が形成されて、円筒状の胴体11の内側に収められる発泡ポリスチレンまたはウレタンなどの切削物の除去と微細な切削粒子の排出のための空間として用いられる。
【0033】
前記第1の切削刃12は、円筒状の胴体11の下端部に円周方向に沿って等間隔に複数形成されて複合素材の断熱材パネルにおける硬質素材である鋼鉄板を切削するためのものであり、円筒状の胴体の下端部に等間隔に複数の切削ティップ載置溝が刻設され、その切削ティップ載置溝にそれぞれ切削ティップが載置されて貼り合わせられる形状であってもよく、あるいは、複数の鋸の歯状を呈する形状であってもよいが、第1の切削刃の形状は本発明の核心技術ではないため、形状を特に限定しない。
【0034】
前記第2の切削刃13は、円筒状の胴体11において前記第1の切削刃12の上部に所定の高さだけ離間して形成され、かつ、複合素材の断熱材パネルにおける軟質素材である発泡ポリスチレンまたはウレタンを容易に切削するためのものであり、下部が円筒状の胴体11の逆転方向に向かって斜めに切り欠かれ、かつ、
図5に示すように、下部が円筒状の胴体11の内側に向かって突出し、複数が円周方向に沿って等間隔に形成されて発泡ポリスチレンまたはウレタンの切削の際に生じる切削くずが第2の切削刃13の切り欠き及び突出により形成された貫通孔に円滑に排出されるようにするとともに、発泡ポリスチレン製またはウレタン製の軟質素材に生じる摩擦熱を低減することを可能にする。
【0035】
一方、前記第1の切削刃12と第2の切削刃13は、円筒状の胴体11においてそれぞれ複数が等間隔に配置されて形成されるが、第2の切削刃13は、第1の切削刃12に比べて3~6倍の等間隔を有するように配置されることが好ましく、第1の切削刃12は、切削刃の数が多くなり、かつ、回転速度が速くなってはじめて、硬質素材である鋼鉄板の切削を行うことが可能であるが、軟質素材である発泡ポリスチレンまたはウレタンなどは石油化学製品から製造されて熱により容易に溶融されるという欠点がある。したがって、軟質素材である発泡ポリスチレンまたはウレタンを切削する際には、第2の切削刃13同士の間隔を第1の切削刃12同士の間隔よりも3~6倍以上に大きくして第2の切削刃13の数を減らし、回転数を減らして切削の際に生じる摩擦熱を最大限に低減することにより、摩擦熱による溶融現象を防ぐことを可能にする。
【0036】
前記胴体孔14は、円筒状の胴体11の外側の中央部側に多角形状、菱形状、円形状などの形状に穿設され、円筒状の胴体の全面積の1/10~9/10の面積に形成されて円筒状の胴体11の内側に切削された発泡ポリスチレンやウレタンなどの切削粒子が排出できるようにするための空間であり、円筒状の胴体11の内側に生じた微細な切削粒子が胴体孔14を介して外部に速やかに排出され、円筒状の胴体11と軟質素材との面接触を最小化させて摩擦抵抗と摩擦熱とを低減することにより、軟質素材の微細粒子の摩擦熱による溶融現象を防いで軟質素材の円滑な切削が行われることを可能にする。
【0037】
前記バランシング支持体20は、切削体10に結合されて回転中心軸の役割を果たすものであり、複合素材の断熱材パネルに孔の穿設のためのセンター孔を穿設し、切削体10を強固に支持し、回転中心軸の曲げモーメント値を最小化させ、切削過程における振れや振動を抑えて安定的に垂直荷重を加えられるように円筒状の胴体11に結合される結合棒21と結合棒の下端から一定の長さだけ延びて形成され、下端部に加圧部220が形成された支持杆22と、支持杆220の下端部に所定の長さに形成されてパネルにセンター孔を穿設するドリル23と、から構成される。
【0038】
前記結合棒21は、バランシング支持体20と円筒状の胴体11とを回転させるための回転動力を伝えるために電動回転機(図示せず)が接続される接続部であって、結合棒は、棒状に所定の長さだけ延び、下部側の外周縁には円筒状の胴体11の通孔110に強固に螺合できるように通孔110の内周縁と対応するねじ山が形成される。
【0039】
ここで、前記結合棒21に形成されるねじ山は、円筒状の胴体11の通孔110に螺合されるが、円筒状の胴体11の内側の下部から上部側である通孔110へと結合されるようにし、円筒状の胴体11の切削回転方向とは反対の方向を有する螺旋走行方向を有するようにすることで、切削体10が被切削物である複合素材の断熱材パネルを切削するとき、バランシング支持体20が容易に緩むことなく強固な結合が行われるようにし、本発明においては、切削体20の回転方向が右側であるため、円筒状の胴体11と結合棒21との締結は左ねじ方向に行われることが好ましい。
【0040】
前記支持杆22は、前記結合棒21の下端において結合棒よりも直径が拡径し、円筒状の胴体11の下端と同じ長さに延びるが、下端部には円錐状に直径が縮径する加圧部220を形成して鋼鉄板Pとの面接触が行われることを可能にする。
【0041】
前記加圧部220は、円錐状に直径が縮径する形状であるため、孔の穿設作業を行う際に、複合素材の断熱材パネルの薄肉の鋼鉄板にドリル23によりセンター孔が穿設された後、センター孔の周りの鋼鉄板と円錐状の加圧部220とが面接触されながら鋼鉄板が垂直荷重加圧力を最大限に安定的に受け止めることができて、回転切削の際に生じる上下左右への振れや振動を極力抑え、これにより安定的に且つ正確に回転切削作業を行うことができ、加圧部220の下端部に形成されたドリル23がパネルにセンター孔を穿設した後には、加圧部220によりドリルが鋼鉄板に触れないので、鋼鉄板とドリル23の摩擦力によるドリル23のダメージを防ぐことが可能になる。
【0042】
また、
図6に示すように、加圧部220に垂直荷重加圧力が加えられると、0.8mm以下の薄肉の鋼鉄板が加圧部220と同様に円錐状の形状に歪まれながら薄肉の鋼鉄板と加圧部との面接触が大きくなって鋼鉄板に十分かつ安定的な垂直荷重加圧力を与えることができるとともに、加圧部220の面接触により中央部のセンター孔が円錐状に歪まれた鋼鉄板Pは、切削後に切削体10が内側に挟み込まれるという現象が生じないので、切削された鋼鉄板の脱離作業もまた手軽に且つ安全に行うことができるというメリットがある。
【0043】
回転中心軸を力の原理の観点からみると、軸には、基本的に2種類の力が生じる。回転軸には、せん断力(shear force)と曲げモーメント(bending moment)とが生じる。
【0044】
ほとんど全ての回転軸は、軸の断面に働くせん断力よりも曲げモーメントの方に弱いため、軸の破砕現象が生じる。したがって、曲げモーメント量を最小化させることにより、回転軸の安定性を確保することが非常に肝要である。
【0045】
前記切削体10の回転中心軸であるバランシング支持体20は、力の原理上、片持ち梁(Cant-Built-In Beam)の原理を応用したものであり、
図7に示す曲げモーメントの発生図から明らかなように、既存のホールソーの回転中心軸であるセンタードリルは、胴体が上下部の直径が同じである一字状であるため、荷重の支点が被切削物である鋼鉄板からLの長さに見合う分だけ離れたホールソーの最上部面において形成されるため、回転中心軸の曲げモーメントの発生量は、ホールソーのLの長さに見合う分だけとなって、既存のホールソーの曲げモーメント量は、M=PLとなる。
【0046】
しかしながら、本発明のロングホールソーの荷重支点は、バランシング支持体20の下部に位置している加圧部220において形成されるため、バランシング支持体20のモーメントの発生量は、M=PL1となる。したがって、本発明のバランシング支持体20は、既存のホールソーの一字状のセンタードリルに比べてM=PL2の分だけの曲げモーメントを減衰するという効果があり、曲げモーメント量を最小化させることにより、回転中心軸の安定性を確保することができて、既存のホールソーの一字状のセンタードリルにおいて生じる穿設孔の拡張現象なしに安定的な回転中心軸線を保持することを可能にする。
【0047】
前記バランシング支持体20は、本発明のロングホールソーにおいて回転中心軸の役割と機能とが非常に重要な部分であり、曲げモーメントとせん断力の安全性を確保するために、支持杆22は、円筒状の胴体11と同じ長さに延びて形成されるが、支持杆22の直径は、支持杆の長さと比較して、0.1~0.3の割合で形成されて、厚さ150mm以上の複合素材の断熱材パネルに一方向から手軽に且つ速やかに孔を穿設することを可能にする。
【0048】
上記のように構成される切削体10とバランシング支持体20は、相互間のなお一層の強固な結合のために、バランシング支持体20の結合棒21には、円筒状の胴体11の上端側にナット30が螺合されて強固な結合が行われるようにする。
【0049】
以下、本発明の実施形態に係る複合素材の断熱材パネル用のロングホールソーを用いて複合素材の断熱材パネルに孔を穿設する手順について説明する。
【0050】
切削体10とバランシング支持体20とが結合されたロングホールソーに電動回転機を接続し、電動回転機を駆動して複合素材の断熱材パネルの硬質素材である内側鋼鉄板を切削する。
【0051】
ロングホールソーにより内側鋼鉄板に孔加工が行われると、電動回転機の作動を止めた後、切削された内側鋼鉄板を先に除去するが、このとき、内側鋼鉄板は、バランシング支持体20に形成された円錐状の加圧部220によりセンター孔が加圧されながら加圧部220との面接触により加圧部の形状と同じ形状である円錐状に歪まれるため、孔の加工により切削されて切削体10の内側に収められた鋼鉄板は、切削体10の内側から手軽に且つ自動的に脱離されて切削された内側鋼鉄板の除去が手軽に行われる。
【0052】
そして、内側鋼鉄板の切削及び除去後には、再び電動回転機を駆動して軟質素材である発泡ポリスチレンまたはウレタンを切削しながら連続して外側鋼鉄板まで一括で切削して一方向から複合素材の断熱材パネルの孔の穿設作業を手軽に且つ速やかに完了する。
【0053】
本発明は、図示の実施形態に基づいて説明されたが、これは単なる例示的なものにすぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形例及び均等な他の実施の形態が採用可能であるという点が理解できる筈である。
【0054】
よって、本発明の真の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によってのみ定められるべきである。