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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】微小気泡発生器具およびシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20220726BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/18 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022021392
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2022-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516263915
【氏名又は名称】株式会社アルベール・インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100143096
【弁理士】
【氏名又は名称】山岸 忠義
(72)【発明者】
【氏名】二谷 欣哉
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/017080(WO,A1)
【文献】特開2013-034953(JP,A)
【文献】特開2008-229516(JP,A)
【文献】特開2015-057271(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1390947(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
B05B 1/00-1/36
B01F 1/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッド本体および散水板を備えるシャワーヘッドの内部に配置可能な微小気泡発生器具であって、
複数の微小気泡発生体と、
前記複数の微小気泡発生体をそれぞれ個別に収容する筐体と
を備え、
前記複数の微小気泡発生体は、一方向に延びる軸と、前記軸の側面から突出する複数の角柱とを備え、
前記複数の微小気泡発生体は、前記一方向と交差する方向に配置されており、
前記複数の角柱は、前記軸から放射状に複数配置され、かつ、前記軸の軸方向に複数配置されており、
前記筐体は、複数の円筒を備え、
前記複数の円筒に、前記微小気泡発生体が個別に収容されていることを特徴とする、微小気泡発生器具。
【請求項2】
円周方向に沿うように前記微小気泡発生体が複数配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【請求項3】
前記円周方向に対して径方向中心に前記微小気泡発生体が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の微小気泡発生器具。
【請求項4】
前記複数の円筒は、互いに接触するように配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具。
【請求項5】
前記筐体は、水流の上流側に配置される天板を備え、
前記天板は、前記複数の円筒同士の間を塞ぐように前記筐体の上流端に配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具。
【請求項6】
前記筐体は、水流の下流側に配置される底板を備え、
前記底板は、前記複数の円筒同士の間を塞ぐように前記筐体の下流端に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具。
【請求項7】
前記筐体は、前記複数の円筒ごとに、前記微小気泡発生体が回転しないように抑止する突起部を前記円筒の内周面に備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具。
【請求項8】
前記筐体は、前記シャワーヘッドの散水板との間隔を空けるためのスペーサーを備えることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具。
【請求項9】
シャワーヘッド本体および散水板を備え、請求項1~のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を内蔵することを特徴とする、シャワーヘッド。
【請求項10】
前記微小気泡発生器具と前記散水板とが接触するように配置されることを特徴とする、請求項9に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小気泡発生器具およびシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1μm以下の微小気泡であるナノバブルを多量に含ませたナノバブル水が、洗浄能力や美容効果など種々の効果が検証されており、注目されている。ナノバブル水の発生装置は、小型化や簡便性、取付容易性などの改良がなされ、家庭用にも提供されている。例えば、シャワーヘッドに微小気泡発生体を内蔵したシャワーヘッド内蔵タイプなどが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、汎用のシャワーヘッドに、新たにナノバブル発生機能を取り付けたいという要求があり、その要求に応じて、ホース継ぎ手として、シャワーヘッドとホースとの間に取り付けるタイプのナノバブル発生装置なども提供されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-11034号公報
【文献】特許第6205099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2のタイプのナノバブル発生装置では、シャワーヘッドとホースとの間に取り付けることから、その装置の分だけシャワーヘッドが大きくなり、かさばるという不具合が発生する。この不具合を解消するためには、シャワーヘッドの内部にナノバブル発生装置を内蔵することが考えられる。しかしながら、特許文献1の内蔵タイプでは、シャワーヘッドの製造段階で組み込まれる形で設計されているため、汎用または市販のシャワーヘッドに対して、後付けで取り付けることは困難である。
【0006】
本発明は、従来のシャワーヘッドに簡単に内蔵できる微小気泡発生器具およびそれを内蔵するシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を含む。
【0008】
本発明[1]は、シャワーヘッドの内部に配置可能な微小気泡発生器具であって、複数の微小気泡発生体と、前記複数の微小気泡発生体をそれぞれ個別に収容する筐体とを備え、前記複数の微小気泡発生体は、一方向に延びる軸と、前記軸の側面から突出する複数のブレードとを備え、前記複数の微小気泡発生体は、前記一方向と交差する方向に配置されている、微小気泡発生器具を含む。
【0009】
このような発明によれば、複数のブレードを有する微小気泡発生体が水流方向と交差方向に複数配置されているため、シャワーヘッドに内蔵した際に、シャワーヘッド内に流れてくる水が、複数の微小気泡発生体のいずれかに接触しやすく、微小気泡を多量に発生させることができる。また、本発明は、複数の微小気泡発生体と筐体からなる小型の微小気泡発生器具であるため、シャワーヘッド内部の散水板付近の空洞を利用して、当該空洞に簡単に配置することができる。また、シャワーヘッドの内部に配置(内蔵)するため、シャワーヘッドの大型化を防止することができる。
【0010】
本発明[2]は、円周方向に沿うように前記微小気泡発生体が複数配置されている、項[1]に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0011】
このような発明によれば、微小気泡を多量に含む水を、円周方向に均等に発生させ、シャワーヘッド外へ放水することができる。
【0012】
本発明[3]は、前記円周方向に対して径方向中心に前記微小気泡発生体が少なくとも1つ配置されている、項[2]に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0013】
このような発明によれば、微小気泡を多量に含む水を中心部からも発生させ、シャワーヘッドの散水板全面から均等に当該水を放水することができる。
【0014】
本発明[4]は、前記筐体が、複数の円筒を備え、前記複数の円筒に、前記微小気泡発生体が個別に収容されている、項[1]~[3]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0015】
このような発明によれば、水が円筒内で微小気泡発生体とむらなく接触できるため、より確実に微小気泡を発生させることができる。
【0016】
本発明[5]は、前記複数の円筒が、互いに接触するように配置されている、項[4]に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0017】
このような発明によれば、シャワーヘッド内において、微小気泡を多量に含む水をより密に発生させることができ、微小気泡の濃度を向上させることができる。
【0018】
本発明[6]は、前記筐体が、水流の上流側に配置される天板を備え、前記天板は、前記複数の円筒同士の間を塞ぐように配置されている、項[4]または[5]に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0019】
このような発明によれば、複数の円筒を天板で固定できるため、筐体の強度を向上させることができる。加えて、シャワーヘッド内部に流れる水が円筒の外側の隙間に流れ込むことを防止して、全ての水を円筒内に誘導することができるため、より多くの微小気泡を発生させることができる。
【0020】
本発明[7]は、前記筐体が、水流の下流側に配置される底板を備え、前記底板は、前記複数の円筒同士の間を塞ぐように配置されている、項[4]~[6]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0021】
このような発明によれば、複数の円筒を底板で固定できるため、筐体の強度を向上させることができる。加えて、微小気泡発生器具を通過した水が、円筒9の外側の隙間に逆流することを防止して、水を散水板から放出することができる。
【0022】
本発明[8]は、前記筐体が、前記微小気泡発生体が回転しないように抑止する突起部を、前記円筒の内周面に備える、項[4]~[7]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0023】
このような発明によれば、微小気泡発生体が水流によって円周方向に回転してしまい、水と微小気泡発生体との衝突力が弱まることを抑止できるため、微小気泡を確実に発生させることができる。
【0024】
本発明[9]は、前記筐体が、前記シャワーヘッドの散水板との間隔を空けるためのスペーサーを備える、項[1]~[8]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0025】
このような発明によれば、筐体の底板と散水板との間に適度な空間を設けることができ、シャワーヘッドから水を均等に放出することができる。
【0026】
本発明[10]は、項[1]~[9]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を内蔵するシャワーヘッドを含む。
【0027】
このような発明によれば、従来のシャワーヘッドの大きさを維持しながら、多量の微小気泡を含む水を放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の第1実施形態の微小気泡発生器具を内蔵するシャワーヘッドの分解斜視図であり、図1Aは、全てを分解した状態、図1Bは、散水板を外した状態、図1Cは、全てを装着した状態を示す。
図2図2は、図1のシャワーヘッドの断面図を示す。
図3図3は、図1に示す微小気泡発生器具であり、図3Aは、平面図、図3Bは、底面図を示す。
図4図4は、図1に示す微小気泡発生器具であり、図4Aは、正面図、図4Bは、側面図(鎖線で示した図は、参考までに、筐体内部の一部(微小気泡発生体)を示したものである)を示す。
図5図5は、図4AのA-A断面図を示す。。
図6図6は、図3の微小気泡発生体の斜視図を示す。
図7図7は、図6の微小気泡発生体であり、図7Aは、側面図、図7Bは、平面図を示す。
図8図8は、図1の微小気泡発生器具の変形例の平面図であり、図8Aは、径方向向内側に複数の微小気泡発生体を備える形態、図8Bは、径方向外側にさらに複数の微小気泡発生体を備える形態を示す。
図9図9は、図1の微小気泡発生器具の変形例の平面図であり、図9Aは、一の円周方向に3個の微小気泡発生体を備える形態、図9Bは、一の円周方向に4個の微小気泡発生体を備える形態、図9Cは、一の円周方向に5個の微小気泡発生体を備える形態を示す。
図10図10は、図1の微小気泡発生器具の変形例の底面図であり、スペーサーが複数の凸部から構成される形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
図1図7を用いて、本発明の一例として、第1実施形態の微小気泡発生器具を説明する。
【0030】
第1実施形態の微小気泡発生器具1(以下、「発生器具」と略することもある。)は、図1図2に示すように、シャワーヘッド20の内部に内蔵して、微小気泡を発生させる器具であって、複数(7個)の微小気泡発生体2(以下、「発生体」と略することもある。)と、筐体3とを備える。
【0031】
複数の発生体2は、シャワーヘッド20の上流側から流れてくる水に対して微小気泡を多量に発生させるための部材であって、図6図7に示すように、円柱軸(軸の一例)4と、複数のブレード5と、頭頂部6とを備える。
【0032】
円柱軸4は、複数のブレード5を支持する部位であって、軸方向(上下方向:水流方向)に延びる円柱状を有する。
【0033】
複数のブレード5は、水に微小気泡を発生させる部位であって、円柱軸4の周側面から径方向(水流方向と直交する方向)に突出するように配置されている。複数のブレード5は、互いに同一形状であって、略平行六面体である。すなわち、ブレード5は、側面視略平行四辺形状を有する四角柱である。ブレード5が形成する平行四辺形では、軸方向長さ(平行四辺形の高さ)が、直交方向長さ(平行四辺形の上面または下面)よりも長い。また、軸方向に直交する断面視においては、径方向に長尺な長方形状を有し、軸方向他方側に向かうように従って長方形状が円柱軸4の円周方向(反時計回り)に回転するように形成されている。ブレード5の外周縁は、軸方向から目視したときに、円筒9(後述)の内周縁に沿うように湾曲している。すなわち、ブレード5の径方向外側面(平行四辺形状を形成する面)は、円弧状に形成されている。
【0034】
ブレード5は、円柱軸4の周側面に複数(30個)設けられ、円柱軸4の軸方向一端部から他端部にわたって規則正しく配置されている。具体的には、円柱軸4から放射状に突出する複数(5個)のブレードが、一組のプロペラ状ブレード群7を構成しており、プロペラ状ブレード群10が、軸方向に間隔を隔てて、複数(6組)配置されている。複数組(6組)のプロペラ状ブレード群10は、互いに平行となるように、軸方向に等間隔で配置されており、かつ、円周方向に回転するように(螺旋状に)、軸方向に等間隔で配置されている。
【0035】
また、複数のブレード5は、図7Aに示すように、円柱軸4の軸方向(特に、円柱軸4の中心を通過する軸方向の直線)を螺旋軸Xとした螺旋状の線Yに沿うように、円柱軸4の側面に配置されている。すなわち、複数のブレード5は、緩やかな螺旋角θ(例えば、45度以下、5度以上)を持つ螺旋状に配置されている。具体的には、図7Bに示すように、互いに軸方向に間隔を空けて隣接する2つのブレード5a、5bの位置関係において、一のブレード5aおよび他のブレード5bは、軸方向一方側(上側)から他方側(下側)に向かって目視したときに、互いに重複し、かつ、円周方向に僅かにずれるように位置する。すなわち、軸方向から目視したときに、軸方向他方側に配置される他のブレード5は、軸方向一方側に位置する一のブレード5に対して、反時計周りに僅かにずれている。このような螺旋状に配置されるブレード群は、複数組存在する。すなわち、径方向から目視したときに、軸方向に近接する複数(6個)のブレード5で、一列の螺旋状ブレード群8を構成しており、螺旋状ブレード群7は、円周方向に等間隔で、複数列(5列)配置されている。これにより、多数のブレード5を配置しながら、螺旋状ブレード群8の間に、複数(5個)の螺旋状の流路が形成されている。
【0036】
頭頂部6は、発生器具1に流入する水を、発生体2の円周方向外側に位置するブレード5やその間の流路にスムーズに誘導するための部位であって、円柱軸4の軸方向一方端(水流方向上流側の一端)に配置されている。頭頂部6は、軸方向一端部を頂点とし、軸方向他方側に向かうに従って拡径する円錐形状を有する。
【0037】
円柱軸4の軸方向長さL1(後述する円筒9の軸方向長さ)は、例えば、10mm以上、好ましくは、20mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、40mm以下である。円柱軸4の半径rは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、5mm以下、好ましくは、3mm以下である。
【0038】
各ブレード5の径方向長さ(角柱の高さ)L2は、円柱軸4の半径rよりも長く、例えば、半径rの1.5倍以上、好ましくは、2倍以上であり、また、例えば、4倍以下、好ましくは、3倍以下である。具体的には、ブレード5の径方向長さL2は、例えば、2mm以上、好ましくは、3mm以上であり、また、例えば、7mm以下、好ましくは、5mm以下である。各ブレード5の軸方向長さL3は、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上であり、また、例えば、7mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0039】
頭頂部6の軸方向長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0040】
発生体2の材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアセタール(POM)、シリコーンゴム、ABS樹脂などの樹脂、例えば、アルミニウム、ステンレス、真鍮などの金属などが挙げられ、好ましくは、樹脂が挙げられる。また、円柱軸4、複数のブレード5および頭頂部6は、これらの材料から一体成形されている。
【0041】
筐体3は、複数の発生体2を収容し、かつ、シャワーヘッド20内部に配置するための容器である。筐体3は、図3図5に示すように、複数の発生体2をそれぞれ個別に収容するように形成されている。すなわち、複数の発生体2は、それぞれ、筐体3によって区切られるように配置されている。具体的には、筐体3は、円柱軸4およびブレード5が内包され、頭頂部6がはみ出るように、複数の発生体2を収容する。筐体3は、複数(7個)の円筒9と、天板10と、底板11とを備える。
【0042】
複数の円筒9は、それぞれ、発生体2を1個ずつ収容しており、互いに略同一形状を有する。円筒9は、円柱軸4およびブレード5を収容するように形成されており、円筒9の内周面は、発生体2のブレード5の外周面とほぼ一致する。円筒軸9の軸方向長さは、円柱軸4の軸方向長さと略同一である。円筒9の内周面の下端部には、発生体2の回転防止のための小さい突起部12が設けられている。
【0043】
複数の円筒9は、その外周面が隣接するように、軸方向と直交(交差)する方向に、すなわち、径方向または円周方向に、配置されている。具体的には、円周方向に並ぶように複数(6個)の円筒9bが配置されており、その径方向中心に少なくとも1つ(1個)の円筒9aが配置されている。上下方向に目視した際において、各円筒9は、同一円の平面細密充填となるように配置されている。すなわち、1個の円筒9aは、5個の円筒9bの全てと接触しており、かつ、6個の円筒9は、円周方向に両隣の円筒9bと接触している。また、側方から目視した際において、複数の円筒9は、全て、これらの上端および下端の位置が互いに一致するように、配置されている。
【0044】
天板10は、略円板形状を有し、複数の円筒9全ての上端面に接触するように配置されている。天板10は、軸方向に目視した際に、複数の円筒9よりも僅かに大きい。天板10には、複数の円筒9に対応する複数の貫通孔13が形成されている。複数の貫通孔1の大きさは、円筒9の大きさと略同一であり、発生体2を円筒9内に挿通可能なように形成されている。天板10は、複数の円筒9同士の間に生じる隙間16の上流側を塞いでいる。
【0045】
底板11は、略円板形状を有し、複数の円筒9全ての下端面に接触するように配置されている。底板11は、軸方向に目視した際に、複数の円筒9よりも僅かに大きい。底板11には、複数の円筒9に対応する複数の貫通孔14が形成されている。複数の貫通孔1の大きさは円筒9の大きさよりも僅かに小さくなっており、発生体2が筐体3から下流側に脱落しないように形成されている。底板11は、複数の円筒9同士の間に生じる隙間16の下流側を塞いでいる。
【0046】
底板11の下面(下流側の面)には、下流側に僅かに突出するスペーサー15が設けられている。スペーサー15は、複数の貫通孔14の径方向外側に配置されており、散水板21の穴(貫通孔)の周囲を囲むように円枠状に形成されている。
【0047】
円筒9の内径(直径)は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、20mm以下である。
【0048】
天板10および底板11の直径(外径最大長さ)は、例えば、20mm以上、好ましくは、30mm以上であり、また、例えば、80mm以下、好ましくは、50mm以下である。スペーサー15の上下方向長さは、例えば、1mm以上3mm以下である。
【0049】
筐体3の材料としては、例えば、発生体2と同様の材料が挙げられ、好ましくは、樹脂が挙げられる。また、複数1の円筒9は、一体成形されているか、または、それぞれの円筒9を熱融着または接着剤などにより固定されている。複数の円筒9と、天板10および底板11とは、熱融着または接着剤などにより固定されている。
【0050】
発生器具1は、シャワーヘッド20の内部に取り付けられる。具体的には、筐体3のスペーサー1がシャワーヘッド20の散水板21の上面と接触するように、配置される。散水板21および発生器具1は、散水板固定具22とシャワーヘッド本体23との固定によって、シャワーヘッド20内に脱落しないように収容される。本発明のシャワーヘッドは、散水板を備えるものであればよく、浴室用、洗面台用、台所用のシャワーヘッドのほかに、散水ノズルなども含まれる。好ましくは、浴室用のシャワーヘッドが挙げられる。また、家庭用、業務用のシャワーヘッドの両方にも使用することができる。
【0051】
このような発生器具1を内蔵したシャワーヘッド20では、上流側から流れてくる水は、天板10の複数の貫通孔13から円筒9に流れ込み、底板11の複数の14を通過し、散水板21から放出される。このとき、水は、複数の角形状ブレード5と多段的に衝突しながら、円筒9内を進む。また、複数のブレード5の径方向長さが、円柱軸4の半径よりも大きく、複数のブレードは、螺旋状に配置されているため、ブレード間に水の流れる空間(流路)を十分に確保できるとともに、スムーズな螺旋状の水流とすることができる。よって、多量のスムーズな水流を複数のブレード5に連続して接触させることができ、その結果、多量のナノバブル(直径が1000nm以下である微小気泡)を発生させることができる。そのため、水中のナノバブル量が増加したナノバブル水を放出することができる。
【0052】
そして、発生体2が、水流と直交する面(すなわち、散水板21の面方向)に複数配置されているため、水が発生体2と衝突する面積が多くなり、ナノバブルを多量に継続して発生させることができる。
【0053】
また、発生器具1は、シャワーヘッド20内部の散水板21付近の空洞を利用して、その空洞内に取り付けられるカートリッジである。このため、従来の取手部(把持部)を有するシャワーヘッドでは、取手部に放水をオン/オフに切り替えたり、水量を調整するスイッチなどの装備が既に配置されているため、シャワーヘッド本体23の取手部に付加的な器具を取り付けられないシャワーヘッドに対しても、後付けで取り付けることができる。また、取手部を有しない小型の業務用シャワーヘッド(図1C参照)にも取り付けることができるため、汎用性が高い。
【0054】
また、シャワーヘッド内部に内蔵するため、シャワーヘッド自体の大きさを変更することなく、または、継ぎ手部が長くなるようなことはなく、従来のシャワーヘッドと同じ持ち手感で使用することができる。
【0055】
また、この発生器具1では、円筒9が円周方向に沿うように発生体2が複数配置されており、かつ、径方向中心に発生体2が少なくとも1つ配置されている。このため、ナノバブル水を散水板21全面から均等に放出することができる。
【0056】
また、筐体3は、上流側に配置される天板10を備え、天板10は、複数の円筒9同士の隙間16を塞ぐように配置されている。このため、複数1の円筒9を固定して、筐体3の強度を向上させることができる。加えて、シャワーヘッド内部に流れてくる水が円筒9の外側の隙間に流れ込むことを防止して、全ての水を円筒9内に誘導することができるため、ナノバブル水を多量に発生させることができる。
【0057】
また、筐体3は、下流側に配置される底板11を備え、底板11は、複数の円筒9同士の隙間16を塞ぐように配置されている。このまた、複数の円筒9を固定して、筐体3の強度を向上させることができる。加えて、発生器具1を通過した水が、散水板21から跳ね返って、円筒9の外側の隙間に逆流ないし滞留することを防止することができるため、ナノバブル水1をスムーズに放出することができる。
【0058】
また、筐体3は、シャワーヘッド20の散水板21との間隔を空けるためのスペーサー1が設けられている。このため、底板11の中央部分と散水板21の中央部分との間に適度な空間を設けることができるため、底板11の一部分(円筒9同士の隙間16に対応する部分)が散水板21の穴を詰まらせることを防止することができる。このため、散水板21全面からナノバブル水を均等に放出することができる。
【0059】
また、筐体3の円筒9の内周面には、発生体2が円周方向に回転しないように抑止する突起部1が設けられている。このため、水流によって発生体2が円筒9内で円周方向に回転することを防止することができる。したがって、発生体2と水との衝突力が弱まることを抑止して、ナノバブルを確実に発生させることができる。
【0060】
また、シャワーヘッド20は、このような発生器具1を内蔵する。このため、従来のシャワーヘッドの大きさを維持しながら、散水板21全面から均等に、ナノバブル水を多量に放出することができる。
【0061】
<変形例>
第1の実施形態では、発生体2およびそれを収容する円筒9は、それぞれ7個からなるが、これらは複数であればよく、例えば、2個以上、20個以下(好ましくは、3個以上、より好ましくは、6個以上)とすることもできる。具体的には、図8Aに示すように、12個の発生体2を有する形態(径方向中心に発生体2を配置する形態)でもよく、具体的には、円周方向に並ぶ複数(8個)の発生体2と、それらの径方向に内側において円周方向に並ぶ複数(3個)の発生体2とを備える。また、図8Bに示すように、19個の発生体2を有する形態(径方向中心に発生体2を配置し、平面細密充填である形態)でもよく、具体的には、第1の実施形態の複数(7個)の発生体2に加えて、さらにそれらの円周方向外側に配置される複数(12個)の発生体2を備える。また、図9A~Cに示すように、一の円周方向に並ぶ複数(図9Aでは、3個、図9Bでは、4個、図9Cでは、5個)の発生体2のみを備えていてもよい。好ましくは、円方向中心からもナノバブルを放水できる観点からは、径方向中心にも発生体2が配置される形態が好ましく、また、均等にナノバブルを放水できる観点からは、円周方向に発生体2が配置される形態が好ましい。さらには、円筒9の配置は、上記図8A図9Bおよび図9Cのように平面細密充填でなくてもよいが、より多くのナノバブルを密に発生できる観点から、第1実施形態のような平面細密充填が好ましい。
【0062】
また、発生体2のブレード5の個数も限定的でなく、図示しないが、軸方向に間隔をあけて配置されるブレード数は、例えば、3個以上、10個以下としてもよく、放射状に位置するブレード数(1個のプロペラ状ブレードが有するプレード数)は、例えば、3個以上、7個以下としてもよい。
【0063】
第1の実施形態では、スペーサー15は、散水板21の穴の周囲を囲むように配置される一の円枠形状であったが、例えば、図10に示すように、複数(2個以上、図10では、3個)の凸部15から構成されていてもよい。
【0064】
第1の実施形態では、軸方向に対するブレード5の螺旋状の螺旋角θが、45度以下としているが、図示しないが、45度以上であってもよい。より多くのナノバブルをスムーズに発生することができる観点から、45度以下が好ましい。
【0065】
第1の実施形態では、発生体2が頭頂部6を備えているが、例えば、図示しないが、発生体2は、頭頂部6を備えていなくてもよい。水をブレード5やその間の流路にスムーズに誘導でき、スムーズな放水が可能である観点から、頭頂部6を備えることが好ましい。
【0066】
第1の実施形態では、複数の発生体2が全て同じ形状であったが、例えば、図示しないが、複数の発生体2のうち1個または複数が、他の発生体2と大きさや形状が異なっていてもよい。例えば、円柱軸4の長さや頭頂部6の長さが異なっている発生体2を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 微小気泡発生器具 2 微小気泡発生体 3 筐体 4 円柱軸
5 ブレード 6 頭頂部 7 プロペラ状ブレード群 8 螺旋状ブレード群
9 円筒 10 天板 11 底板 12 突起部
13 貫通孔 14 貫通孔 15 スペーサー 16 隙間
20 シャワーヘッド 21 散水板 22 固定具 23 シャワーヘッド本体

【要約】
【課題】従来のシャワーヘッドに簡単に内蔵できる微小気泡発生器具およびそれを内蔵するシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】微小気泡発生器具1は、シャワーヘッド20の内部に配置可能な器具であって、 複数の微小気泡発生体2と、複数の微小気泡発生体2をそれぞれ個別に収容する筐体3とを備える。複数の微小気泡発生体2は、一方向に延びる円柱軸4と、円柱軸4の側面から突出する複数のブレード5とを備えており、複数の微小気泡発生体2は、交差方向に配置されている。
【選択図】図1

図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10