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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】重ね合わせ複合部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20220726BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220726BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B32B3/30
B32B27/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017196217
(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公開番号】P2019069667
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 研一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 長武
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/184903(WO,A1)
【文献】特開2014-125122(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018458(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063598(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/037144(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/098827(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/132677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B32B 3/30
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の合わせ面を有する第1部材と、
前記合わせ面との間に隙間を有するように当該合わせ面に沿って延びる対向面、及び前記隙間を形成するように前記対向面側から前記合わせ面に向かって突出する複数の突起を有し、前記複数の突起の少なくともいくつかが前記合わせ面に接触した状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、を備え、
前記第1部材の前記合わせ面と、前記第2部材の前記対向面との隙間が小さくなることに基づいて、前記複数の突起が前記合わせ面との接触を通じて撓むように弾性変形されることによって発生する反力によりクッション性が付与される重ね合わせ複合部品において、
前記複数の突起は、前記第2部材の前記対向面側に点在し、前記弾性変形する際の曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有し、当該軸まわりの一方向へ撓むように構成されるとともに、一単位格子を構成する多角形の各辺がそれぞれ隣接する前記多角形の辺と重なる格子模様を形成するように、前記一単位格子を構成する多角形の各辺を構成する位置に設けられるものであり、
前記複数の突起は、前記一単位格子内に、前記第1部材の前記合わせ面と前記第2部材の前記対向面との隙間の大きさの変化に対する反力の特性である反力特性の異なる突起を含むものであり、
前記反力特性の違いは、前記合わせ面と前記対向面との隙間の大きさが最も大きい状態において、前記複数の突起のうちの前記対向面に対する垂直方向の大きさが大きい前記突起である高突起を前記合わせ面に接触する大きさに設定するとともに、前記垂直方向の大きさが前記高突起よりも小さい前記突起である低突起を前記合わせ面に接触しない大きさに設定することによって、前記複数の突起について、前記垂直方向の大きさを異ならせることに起因して生じさせるものである
ことを特徴とする重ね合わせ複合部品。
【請求項2】
前記反力特性の違いは、前記複数の突起について、前記対向面に対して交差する交差角度を異ならせることに起因して生じさせるものである請求項1に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項3】
前記反力特性の違いは、前記複数の突起について、前記弾性変形する際の曲げ剛性を異ならせることに起因して生じさせるものである請求項1又は請求項2に記載の重ね合わせ複合部品。
【請求項4】
前記反力特性の異なる突起が規則的に配置されるなかで、前記反力特性が同一の突起が一単位格子の多角形の各辺を構成する場合、当該反力特性が同一の突起は、当該多角形の内方に向かって撓むように配置されるものである請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の重ね合わせ複合部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせ複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアトリムやラゲージサイドトリム、インストルメントパネル等の車両用内装部品に適用される、合成樹脂材料からなる複数の板状の部材が板厚方向に重ねられてなる重ね合わせ複合部品として、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の重ね合わせ複合部品は、板状の基材に対して、当該基材の板厚方向の一端面側の表面に沿って重ね合わされるように板状の表層部材が設けられたものである。表層部材の基材側の裏面には、基材の表面との間に隙間を形成するように当該基材の表面に向かって突出する複数の微小突起が設けられている。このような重ね合わせ複合部品では、表層部材が基材に向かって表面から指や手で押圧された際、複数の突起が基材の表面との接触を通じた撓み変形をする。これにより、重ね合わせ複合部品では、指や手で表層部材の表面を押圧した際の触感のばらつきを抑制して優れた触感が得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/132677号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記車両用内装部品では、ドアトリムやラゲージサイドトリム、インストルメントパネル等の用途に応じて、指や手で表層部材の表面を押圧した際の望まれる触感が異なることが考えられる。そのため、重ね合わせ複合部品においては、様々な触感の付与が望まれている。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な触感を付与できる重ね合わせ複合部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する重ね合わせ複合部品は、所定の合わせ面を有する第1部材と、前記合わせ面との間に隙間を有するように当該合わせ面に沿って延びる対向面、及び前記隙間を形成するように前記対向面側から前記合わせ面に向かって突出する複数の突起を有し、前記複数の突起の少なくともいくつかが前記合わせ面に接触した状態で前記第1部材に重ね合わされるように配置される弾性変形可能な樹脂材料製の第2部材と、を備え、前記第1部材の前記合わせ面と、前記第2部材の前記対向面との隙間が小さくなることに基づいて、前記複数の突起が前記合わせ面との接触を通じて撓むように弾性変形されることによって発生する反力によりクッション性が付与されるものである。そして、前記複数の突起は、前記第2部材の前記対向面側に点在し、前記弾性変形する際の曲げ剛性が軸まわりにおいて異方性を有し、当該軸まわりの一方向へ撓むように構成されるとともに、一単位格子を構成する多角形の各辺がそれぞれ隣接する前記多角形の辺と重なる格子模様を形成するように、前記一単位格子を構成する多角形の各辺を構成する位置に設けられるものであり、前記複数の突起は、前記一単位格子内に、前記第1部材の前記合わせ面と前記第2部材の前記対向面との隙間の大きさの変化に対する反力の特性である反力特性の異なる突起を含むようにしている。
【0008】
上記構成によれば、複数の突起は、一単位格子内に、反力特性の異なる突起を含んで構成されるので、一単位格子内には、反力特性の異なる突起の組み合わせが適宜調整された状態で複数の突起を配置することができる。このように、反力特性の異なる突起を組み合わせて配置する場合、第1部材の合わせ面と、第2部材の対向面との隙間の変化に対する反力の変化を様々調整することができ、重ね合わせ複合部品の全体の反力特性を様々調整することができる。したがって、反力特性の異なる突起の組み合わせを変更することで、指や手で第2部材を対向面の反対側の面を押圧した際の触感として様々な触感を付与することができる。
【0009】
具体的には、前記反力特性の違いは、前記複数の突起について、前記対向面に対する垂直方向の大きさを異ならせることに起因して生じさせるものであることが好ましい。
上記構成によれば、複数の突起について、第1部材の合わせ面と、第2部材の対向面との隙間が小さくなることに基づいて、複数の突起が合わせ面と接触するタイミング、すなわち反力を発生するタイミングを調整し、重ね合わせ複合部品の全体の反力特性を様々調整することができる。つまり、複数の突起の対向面に対する垂直方向の長さを異ならせるだけで、重ね合わせ複合部品の反力特性を調整することができる。
【0010】
また、前記反力特性の違いは、前記複数の突起について、前記対向面に対して交差する交差角度を異ならせることに起因して生じさせるものであることが好ましい。
上記構成によれば、複数の突起について、第1部材の合わせ面と、第2部材の対向面との隙間が小さくなることに基づいて、撓み始めに作用させる荷重(撓み始めに発生する反力)の大きさ、すなわち複数の突起毎に合わせ面と接触する際の抵抗感を調整し、重ね合わせ複合部品の全体の反力特性を様々調整することができる。つまり、複数の突起の対向面に対して交差する交差角度を異ならせるだけで、重ね合わせ複合部品の反力特性を調整することができる。
【0011】
また、前記反力特性の違いは、前記複数の突起について、前記弾性変形する際の曲げ剛性を異ならせることに起因して生じさせるものであることが好ましい。
上記構成によれば、複数の突起について、第1部材の合わせ面と、第2部材の対向面との隙間が小さくなることに基づいて、変形し難さ、すなわち撓ませるために作用させる荷重(撓むことで発生する反力)の大きさを調整し、重ね合わせ複合部品の全体の反力特性を様々調整することができる。つまり、複数の突起の弾性変形する際の曲げ剛性を異ならせるだけで、重ね合わせ複合部品の反力特性を調整することができる。
【0012】
そして、例えば、上記構成のうち、複数の突起の対向面に対する垂直方向の長さを異ならせる構成と、当該垂直方向の長さが小さいほど複数の突起の対向面に対して交差する交差角度を小さくする構成とを組み合わせる場合、複数の突起が合わせ面に接触する際の抵抗感を抑制することができる。これらと、上記垂直方向の長さが小さいほど複数の突起の弾性変形する際の曲げ剛性を小さくする構成とを組み合わせる場合、複数の突起が合わせ面に接触する際の抵抗感を抑制した状態で、合わせ面と、対向面との隙間が小さくなることに対する反力の立ち上がりを大きくすることができる。つまり、複数の突起について、上記垂直方向の長さを異ならせることと、上記交差角度を異ならせることと、上記曲げ剛性を異ならせることとを関連付けるように組み合わせることで、重ね合わせ複合部品の反力特性のより詳細な調整が可能になる。
【0013】
その他、前記反力特性の違いは、前記複数の突起が同一形状を有するなかで、材質を異ならせることに起因して生じさせるものであることが好ましい。
上記構成によれば、複数の突起の間で材質を異ならせて、重ね合わせ複合部品の全体の反力特性を様々調整することができる。この場合、重ね合わせ複合部品の全体の反力特性を様々調整することができるようにしたとしても、複数の突起については同一形状とすることができるので、複数の突起の構成の変更が及ぶ範囲を小さくすることができる。
【0014】
また、上記重ね合わせ複合部品において、前記反力特性の異なる突起が規則的に配置されるなかで、前記反力特性が同一の突起が一単位格子の多角形の各辺を構成する場合、当該反力特性が同一の突起は、当該多角形の内方に向かって撓むように配置されるものであることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、複数の突起が前記合わせ面との接触を通じて弾性変形されることによって発生する反力が、第2部材の一方向に向かって作用することを抑制することができるようになる。これにより、複数の突起が発生する反力によって、第1部材の合わせ面に沿う方向に第2部材の対向面がずれることを抑制することができる。したがって、指や手で第2部材を対向面の反対側の面を押圧した際の触感として違和感のない触感を付与することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、様々な触感を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の重ね合わせ複合部品を具体化した車両用ドアトリムの概略構成を示す正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】(a)は同重ね合わせ複合部品についてその第2部材を具体化した表層部材に設けられた複数の突起を示す正面図、(b)は(a)の範囲Xの拡大図。
図4図3(b)の範囲Xにおける反力特性の異なる3種類の突起を示す側面図。
図5】同3種類の突起についてそれぞれの特徴を説明するべく、(a)は図3(b)のVa-Va線断面図、(b)は図3(b)のVb-Vb線断面図、(c)は図3(b)のVc-Vc線断面図。
図6】同複数の突起についてその配列を模式的に示す図。
図7】(a)~(c)は、同重ね合わせ複合部品についてその反力特性の態様を説明する図。
図8】同複数の突起についてその撓んだ状態を模式的に示す図。
図9】第2実施形態の重ね合わせ複合部品の複数の突起について反力特性の異なる3種類の突起を示す側面図。
図10】(a)~(c)は、同3種類の突起についてそれぞれの特徴を説明する断面図。
図11】複数の突起についてその変形例の配列を模式的に示す図。
図12】複数の突起についてその変形例の配列を模式的に示す図。
図13】複数の突起についてその変形例の配列を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、重ね合わせ複合部品の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、重ね合わせ複合部品(以下「内装部品」という)10は、車両用内装部品としてのドアトリム11を構成するものである。具体的には、内装部品10は、ドアトリム11のうち、窓の下端部分の部位である。
【0019】
図1及び図2に示すように、内装部品10は、ABS等の比較的硬質の樹脂材料製の基材20と、当該基材20に対して車室内側(図2中、左側)から重ね合わされるように配置された軟質ポリ塩化ビニル等の比較的軟質の弾性変形可能な樹脂材料製の表層部材30とを備えている。なお、基材20は、その車室外側(図2中、右側)がドアトリム11の本体に固定されている。表層部材30は、車室内側に露出する部位であり、基材20の両端(図2中、上端及び下端)を車室内側から車室外側に巻き込むようにして当該基材20に固定されている。本実施形態において、基材20は第1部材の一例であり、表層部材30は第2部材の一例である。
【0020】
具体的には、基材20は、湾曲された板状の基材本体21を備えている。基材本体21の車室内側である表面側には、表層部材30と対向する面である合わせ面22が設けられている。表層部材30は、基材本体21と同様、湾曲された板状の板状部31を備えている。板状部31は、基材本体21に対して、板厚方向の合わせ面22側から重ね合わされている。板状部31の車室外側である裏面側には、合わせ面22との間に一定の隙間を有するように当該合わせ面22に沿って延びる対向面32が設けられている。対向面32は、合わせ面22との間に上記一定の隙間を維持するように、当該合わせ面22に対して略平行に延びている。なお、板状部31の対向面32の反対側である車室内側の表面側には、当該車室内側に露出する意匠面33が設けられている。
【0021】
板状部31の対向面32側には、合わせ面22との間に上記一定の隙間を形成するように、対向面32側から合わせ面22に向かって突出する複数の突起34が設けられている。本実施形態において、板状部31の対向面32側には、当該対向面32の大部分を占めるように多数の突起34が点在している。なお、各突起34は、板状部31に対して一体的に形成されている。
【0022】
内装部品10は、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、各突起34が合わせ面22との接触を通じて弾性変形されることによって発生する反力によりクッション性を付与するように構成されている。本実施形態において、複数の突起34は、合わせ面22と、対向面32との隙間の大きさの変化に対する反力の特性である反力特性の異なる3種類の突起34A,34B,34Cを含んでいる。これは、指や手で表層部材30の意匠面33を押圧した際に触感を付与するための構成である。以下、これについて説明する。
【0023】
図3(a)及び図3(b)に示すように、各突起34は、板状部31の対向面32側の部位である長辺及び短辺を有する基部34aから、対向面32に対して所定の交差角度で交差するように先端34bに向かって延びる斜四角錐体である。つまり、各突起34は、対向面32の垂直方向に対して所定の傾斜角度で傾斜するように延びている。なお、各突起34は、全ての角が丸められるように面取りされている。
【0024】
このため、図3(a)中、一点鎖線で示すように、各突起34は、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、合わせ面22との接触を通じて対向面32の垂直方向から荷重が作用する場合に、対向面32の垂直方向に対して傾斜する一方向へ撓むように弾性変形する。この場合、各突起34は、基部34aの短手方向において対向面32に対する交差角度が小さくなるように弾性変形する。このように、各突起34は、弾性変形する際の曲げ剛性が基部34aから先端34bに向かって延びる軸まわりにおいて異方性を有している。
【0025】
各突起34は、図3(a)中、二点鎖線で示す正六角形をなし且つ一単位格子を構成する多角形PGの各辺がそれぞれ隣接する多角形PGの辺と重なる格子模様LPを形成するように、多角形PGの各辺を構成する位置に設けられている。各突起34は、基部34aの長手方向が多角形PGの辺が延びる方向と一致する姿勢で設けられている。つまり、本実施形態において、格子模様LPは、正六角形を隙間なく並べたハニカム構造をなし、その正六角形の各辺を構成する線分の中央部位に各突起34が一つずつ設けられている。そして、各突起34は、格子模様LPを形成するように規則的に設けられるなかで、3つの多角形PGが隣接する部位(図3(a)及び図3(b)中、範囲X)には、反力特性の異なる3種類の高突起34A、中突起34B、及び低突起34Cが配置されている。
【0026】
具体的には、図3(b)の範囲Xを矢視Y方向から見た図4に示すように、各突起34A,34B,34Cは、対向面32に対する垂直方向の大きさである垂直高がそれぞれ異なるように構成されている。高突起34Aの垂直高Haが最大で、低突起34Cの垂直高Hcが最小で、中突起34Bの垂直高Hbが高突起34A(垂直高Ha)及び低突起34C(垂直高Hc)の中間の大きさに設定されている。なお、高突起34Aの垂直高Haは、合わせ面22と、対向面32との隙間の大きさが最も大きい状態、すなわち指や手で表層部材30の意匠面33が押圧されてない状態で、先端34bが合わせ面22に接触可能な大きさに設定されている。中突起34Bの垂直高Hb及び低突起34Cの垂直高Hcは、合わせ面22と、対向面32との隙間の大きさが最も大きい状態、すなわち指や手で表層部材30の意匠面33が押圧されてない状態で、各先端34bが合わせ面22に接触不能な大きさに設定されている。これにより、各突起34A,34B,34Cの間で、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、各突起34A,34B,34Cが合わせ面22と接触するタイミング、すなわち反力を発生するタイミングがそれぞれ異なる反力特性となるように構成されている。
【0027】
また、各突起34A,34B,34Cについて、基部34aの長手方向から見た場合の断面構造を図5(a)~(c)に示すように、各突起34A,34B,34Cは、対向面32に対して交差する角度である交差角度がそれぞれ異なるように構成されている。高突起34Aの交差角度θaが最大で、低突起34Cの交差角度θcが最小で、中突起34Bの交差角度θbが高突起34A(交差角度θa)及び低突起34C(交差角度θc)の中間の大きさに設定されている。これにより、各突起34A,34B,34Cの間で、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、各突起34A,34B,34C毎に合わせ面22と接触する際の抵抗感、すなわち撓み始めに作用させる荷重(撓み始めに発生する反力)の大きさがそれぞれ異なる反力特性となるように構成されている。
【0028】
また、同図に示すように、各突起34A,34B,34Cについてその基部34aの長手方向(長辺)の大きさである幅が全て同一に設定されているなかで、短手方向(短辺)の大きさである肉厚がそれぞれ異なるように構成されている。高突起34Aの肉厚Waが最大で、低突起34Cの肉厚Wbが最小で、中突起34Bの肉厚が高突起34A(肉厚Wa)及び低突起34C(肉厚Wc)の中間の大きさに設定されている。つまり、各突起34A,34B,34Cについて基部34aから先端34bに向かって延びる軸まわりに撓む際の撓み難さである断面二次モーメントがそれぞれ異なるように構成されている。基部34aの幅が全て同一であるなかで、最大の肉厚Waが設定された高突起34Aの断面二次モーメントが最大で、肉厚Wbが設定された中突起34B、肉厚Wcが設定された低突起34Cの順に、断面二次モーメントが小さくなるように設定されている。これは、断面二次モーメントに相関のある曲げ剛性について、高突起34Aの曲げ剛性が最大で、低突起34Cの曲げ剛性が最小で、中突起34Bの曲げ剛性が高突起34A及び低突起34Cの中間の大きさに設定されていることになる。これにより、各突起34A,34B,34Cの間で、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、変形し難さ、すなわち撓ませるために作用させる荷重(撓むことで発生する反力)がそれぞれ異なる反力特性となるように構成されている。
【0029】
次に、各突起34A,34B,34Cについてその配列を詳しく説明する。
図6に示すように、一の多角形PGの各辺には、3種類のうち、2種類の突起が3つずつ配列されている。例えば、図6中、多角形PG1の各辺には、高突起34A(図中、四角形)及び低突起34C(図中、丸形)が交互に3つずつ配置されている。また、多角形PG2の各辺には、中突起34B(図中、三角形)及び低突起34Cが交互に3つずつ配置されている。隣接する多角形PG1,PG2の間で重なる辺には、低突起34Cが配置されている。また、多角形PG3の各辺には、高突起34A及び中突起34Bが交互に3つずつ配置されている。隣接する多角形PG1,PG3の間で重なる辺には、高突起34Aが配置されているとともに、隣接する多角形PG2,PG3の間で重なる辺には、中突起34Bが配置されている。つまり、3つの多角形PG1,PG2,PG3が隣接する部位には、反力特性の異なる3種類の高突起34A、中突起34B、及び低突起34Cが一つずつ配置されている。
【0030】
そして、各突起34A,34B,34Cは、弾性変形して撓んだ際にそれぞれが重なったり接触したりしないで撓むように配置されている。具体的には、図6中、多角形PG1では、各辺に配置された3つの低突起34Cが当該多角形PG1の内方(中心)に向かって撓むとともに、それぞれの先端34bが接触せず向かい合って撓むように配置されている。
【0031】
また、多角形PG1では、各辺に配置された残り3つの高突起34Aがそれぞれ隣接する多角形PGの内方(中心)に向かって撓むように配置されている。この場合、多角形PG3では、各辺に配置された3つの高突起34Aが当該多角形PG3の内方(中心)に向かって撓むとともに、それぞれの先端34bが接触せず向かい合って撓むように配置されている。
【0032】
また、多角形PG3では、各辺に配置された残り3つの中突起34Bがそれぞれ隣接する多角形PGの内方(中心)に向かって撓むように配置されている。この場合、多角形PG2では、各辺に配置された3つの中突起34Bが当該多角形PG2の内方(中心)に向かって撓むとともに、それぞれの先端34bが接触せず向かい合って撓むように配置されている。
【0033】
なお、多角形PG2では、各辺に配置された残り3つの低突起34Cがそれぞれ隣接する多角形PGの内方(中心)に向かって撓むように配置されている。また、3つの多角形PG1,PG2,PG3が隣接する部位では、反力特性の異なる3種類の高突起34A、中突起34B、及び低突起34Cがそれぞれ異なる方向へ撓むように配置が考慮されている。
【0034】
このような本実施形態では、合わせ面22と、対向面32との隙間の大きさが最も大きい状態、すなわち指や手で表層部材30の意匠面33が押圧されていない状態で、高突起34Aの先端34bが合わせ面22と接触している。本実施形態において、高突起34Aは、指や手で表層部材30の意匠面33が押圧されているか否かに関係なく、先端34bが合わせ面22と常時接触している。
【0035】
図6に示すように、指や手で表層部材30の意匠面33が押圧されると、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなる。この場合、矢印方向に高突起34Aが互いの先端34bが向かい合うように撓み始め、合わせ面22と、対向面32との隙間の変化が垂直高Ha,Hbの差分Δab(図4図5(b)に示す)に達すると、中突起34Bの先端34bが合わせ面22と接触し始める。
【0036】
また、同図に示すように、指や手で表層部材30の意匠面33がさらに押圧されると、合わせ面22と、対向面32との隙間がさらに小さくなることに基づいて、矢印方向に高突起34Aの撓みが進む。この場合、矢印方向に中突起34Bが互いの先端34bが向かい合うように撓み始め、合わせ面22と、対向面32との隙間の変化が垂直高Ha,Hcの差分Δac(図4図5(c)に示す)に達すると、低突起34Cの先端34bが合わせ面22と接触し始める。
【0037】
また、同図に示すように、指や手で表層部材30の意匠面33がさらに押圧されると、合わせ面22と、対向面32との隙間がさらに小さくなることに基づいて、矢印方向に高突起34A及び中突起34Bの撓みが進む。この場合、矢印方向に低突起34Cが互いの先端34bが向かい合うように撓み始め、指や手で表層部材30の意匠面33がさらに押圧されると、合わせ面22と、対向面32との隙間がさらに小さくなることに基づいて、矢印方向に高突起34A、中突起34B、及び低突起34Cの撓みが進む。
【0038】
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、各突起34は、反力特性の異なる各突起34A,34B,34Cを含んで構成されるので、一単位格子である多角形PG内には、反力特性の異なる各突起34A,34B,34Cの組み合わせが適宜調整された状態で、これら各突起34を配置することができる。このように、反力特性の異なる各突起34A,34B,34Cを組み合わせて配置する場合、基材20の合わせ面22と、表層部材30の対向面32との隙間の変化に対する反力の変化を様々調整することができ、内装部品10の全体の反力特性を様々調整することができる。したがって、反力特性の異なる突起34(各突起34A,34B,34C)の組み合わせを変更することで、指や手で表層部材30の意匠面33を押圧した際の触感として様々な触感を付与することができる。
【0039】
(2)具体的には、反力特性の違いは、各突起34について、対向面32に対する垂直高を異ならせることに起因して生じさせるものとしている。これにより、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、各突起34が合わせ面22と接触するタイミングを調整し、内装部品10の全体の反力特性を様々調整することができる。つまり、各突起34の対向面に対する垂直高を異ならせるだけで、内装部品10の反力特性を調整することができる。
【0040】
(3)また、反力特性の違いは、各突起34について、対向面32に対する交差角度を異ならせることに起因して生じさせるものとしている。これにより、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、突起34毎に合わせ面22と接触する際の抵抗感、すなわち撓むための荷重(発生する反力)の大きさを調整し、内装部品10の全体の反力特性を様々調整することができる。つまり、各突起34の対向面32に対する交差角度を異ならせるだけで、内装部品10の反力特性を調整することができる。
【0041】
(4)また、反力特性の違いは、各突起34について、弾性変形する際の曲げ剛性を異ならせることに起因して生じさせるものとしている。これにより、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、変形し難さ、すなわち発生させる反力の大きさを調整し、内装部品10の全体の反力特性を様々調整することができる。つまり、各突起34の弾性変形する際の曲げ剛性を異ならせるだけで、内装部品10の反力特性を調整することができる。
【0042】
(5)例えば、図7(a)に示すように、各突起34について、対向面32に対する垂直高を異ならせることに起因して反力特性の違いを生じさせる場合、内装部品10の反力特性では、合わせ面22と、対向面32との隙間の変化が差分Δabの間、高突起34Aの反力のみが作用する。このため、内装部品10によれば、表層部材30が押圧された際の表層部材30の変形量であるストロークが差分Δabの間、特許文献1に記載された構成と比較して初期荷重を低減することができる。この場合、合わせ面22と、対向面32との隙間の変化が差分Δab及び差分Δacの間、高突起34A及び中突起34Bの反力が作用するため、これらの反力特性によって、上記隙間の変化中の荷重をコントロールすることができる。また、合わせ面22と、対向面32との隙間の変化が差分Δacに達すると、高突起34A、中突起34B、及び低突起34Cの全ての反力が作用するため、これらの反力特性によって、上記隙間が小さくなったとしても荷重を必要とし、所謂、指や手で表層部材30の意匠面33を押圧する際の底付き感を低減することができる。
【0043】
ただし、この場合、合わせ面22と、対向面32との隙間の変化が差分Δab,Δacにそれぞれ達する際に、反力の変化が大きくなる切替点P,Qを有する。これに対して、本実施形態では、各突起34について、各突起34の垂直高を異ならせる構成と、当該垂直高が小さいほど各突起34の交差角度を小さくする構成とを組み合わせるようにしている。
【0044】
この場合、図7(b)に示すように、内装部品10の反力特性では、破線で示す図7(a)の反力特性と比較して、各突起34が合わせ面22に接触する際の抵抗感、すなわち反力の変化が大きくなる切替点P,Qの発生を抑制することができる。また、本実施形態では、各突起34について、上記の構成と、垂直高が小さいほど各突起34の曲げ剛性を小さくする構成とを組み合わせるようにしている。
【0045】
この場合、図7(c)に示すように、内装部品10の反力特性では、破線で示す図7(b)の反力特性と比較して、各突起34が合わせ面22に接触する際の抵抗感、すなわち反力の変化が大きくなる切替点P,Qの発生を抑制した状態で、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに対する反力の立ち上がりを大きくすることができる。つまり、各突起34について、上記垂直高を異ならせることと、上記交差角度を異ならせることと、上記曲げ剛性を異ならせることとを関連付けるように組み合わせることで、内装部品10の反力特性のより詳細な調整が可能になる。
【0046】
(6)本実施形態において、反力特性の異なる各突起34A,34B,34Cが規則的に配置されるなかで、一の多角形PGにおいて、反力特性が同一の突起は、当該多角形PGの内方(中心)に向かうとともに、先端34bが向かい合って撓むように配置されるようにしている。
【0047】
例えば、図8に示すように、図6中、多角形PG3の各辺に配置された3つの高突起34Aについて、指や手で表層部材30の意匠面33が押圧された際、3つの高突起34Aの先端34bが向かい合って(図中、中央に向かって)撓むようになる。この場合、表層部材30には、板状部31の意匠面33側を広げるようにそれぞれ反対方向に向かって反力が作用する(図中、左右両側に向かう矢印)。これは、他の高突起34Aや、中突起34B及び低突起34Cについても同様である。
【0048】
つまり、本実施形態によれば、各突起34が合わせ面22との接触を通じて弾性変形されることによって発生する反力が、表層部材30の一方向に向かって作用することを抑制することができるようになる。これにより、各突起34が発生する反力によって、合わせ面22に沿う方向に対向面32、すなわち意匠面33がずれることを抑制することができる。したがって、指や手で表層部材30の意匠面33を押圧した際の触感として違和感のない触感を付与することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、重ね合わせ複合部品の第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成などは、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態において、複数の突起34は、合わせ面22と、対向面32との隙間の大きさの変化に対する反力の特性である反力特性の異なる3種類の軟質突起34D、中質突起34E、及び硬質突起34Fを含んでいる。
【0051】
具体的には、図9及び図10(a)~(c)に示すように、各突起34D,34E,34Fは、形状については同一形状を有するなかで、材質がそれぞれ異なるように構成されている。つまり、各突起34D,34E,34Fは、上記垂直高、上記交差角度、及び上記肉厚が同一に設定されており、合わせ面22と、対向面32との隙間の大きさが最も大きい状態、すなわち指や手で表層部材30の意匠面33が押圧されてない状態で、先端34bが合わせ面22に接触可能な大きさに設定されている。
【0052】
本実施形態において、軟質突起34Dの材質Maが板状部31と同一の材質である最も軟質で(図10(a))、硬質突起34Fの材質Mcが板状部31と異なる最も硬質で(図10(c))、中質突起34Eの材質Mbが板状部31と異なる軟質突起34D(材質Ma)及び硬質突起34F(材質Mc)の中間の硬さ(図10(b))に設定されている。つまり、各突起34D,34E,34Fについて、構成する材質の違いに起因する弾性率の違いにより基部34aから先端34bに向かって延びる軸まわりに撓む際の撓み難さがそれぞれ異なるように構成されている。形状については同一形状を有するなかで、最も硬質の材質Mcが設定された硬質突起34Fの弾性率が最大で、材質Mbが設定された中質突起34E、材質Maが設定された軟質突起34Dの順に、弾性率が小さくなるように設定されている。これは、弾性率に相関のある曲げ剛性について、硬質突起34Fの曲げ剛性が最大で、軟質突起34Dの曲げ剛性が最小で、中質突起34Eの曲げ剛性が軟質突起34D及び硬質突起34Fの中間の大きさに設定されていることになる。
【0053】
これら材質Ma,Mb,Mcとして、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、各突起34D,34E,34Fが発生する反力が支配的となる領域がそれぞれ異なる反力特性となる材質が選択されている。つまり、各突起34D,34E,34Fの間で、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、各突起34D,34E,34F毎に合わせ面22と接触する際の抵抗感、すなわち撓み始めに作用させる荷重(撓み始めに発生する反力)の大きさがそれぞれ異なる反力特性となるように材質が選択されている。また、各突起34D,34E,34Fの間で、合わせ面22と、対向面32との隙間が小さくなることに基づいて、変形し難さ、すなわち撓ませるために作用させる荷重(撓むことで発生する反力)がそれぞれ異なる反力特性となるように材質が選択されている。
【0054】
このような材質の異なる各突起34D,34E,34Fは、例えば、最初に板状部31と同一の材質である材質Maの軟質突起34Dを板状部31とともに射出成形(一次成形)した後、材質Mbの中質突起34E及び材質Mcの硬質突起34Fを射出成形(二次成形)、すなわち二色成形(異材質成形)等により製造することができる。
【0055】
以下、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(7)本実施形態によれば、各突起34の間で材質を異ならせて、内装部品10の全体の反力特性を様々調整することができる。この場合、内装部品10の全体の反力特性を様々調整することができるようにしたとしても、各突起34については同一形状とすることができるので、各突起34の構成の変更が及ぶ範囲を小さくすることができる。
【0056】
なお、上記各実施形態は、以下の形態(変形例)にて実施することもできる。
・上記第1実施形態では、一の多角形PGにおいて、反力特性が同一の突起34A,34B,34Cの間で、当該多角形PGの内方(中心)に向かって撓むように配置してもよく、例えば、図11に示すように、先端34bが隣接する反力特性が同一の突起34の基部34aに向かって撓むように配置してもよい。この場合であっても、上記第1実施形態の(6)と同様の効果を奏する。本変形例では、先端34bが隣接する反力特性が同一の突起34の基部34aに向かって撓む方向が、図中、反時計回り(左周り)となるように配置しているが、反力特性の種類に応じて撓む方向を時計回り(右周り)となるように配置してもよい。これは、上記第2実施形態においても同様に適用可能である。
【0057】
・上記第1実施形態では、一の多角形PGに対して、各突起34A,34B,34Cを配置するようにしてもよく、例えば、図12に示すように、各突起34A,34B,34Cを2つずつ交互に配置してもよい。これは、第2実施形態においても同様に適用可能である。
【0058】
・上記第1実施形態において、各突起34としては、反力特性の異なる2種類や4種類以上の突起を含むようにしてもよい。例えば、図13に示すように、高突起34A及び低突起34Cの2種類のみ配置してもよく、多角形PGの各辺には、高突起34Aを配置し、多角形PGの内方(中心)に低突起34Cを配置してもよい。この場合、各低突起34Cは、正方形SLPを隙間なく並べた正方(四角)格子模様を形成する。これは、反力特性の異なる2種類のみ配置する場合に適用可能であり、高突起34A及び中突起34Bや中突起34B及び低突起34Cの組み合わせとしてもよいし、第2実施形態に適用してもよい。
【0059】
なお、一単位格子とは多角形PGを指し、一単位格子内とは多角形PGを構成する各辺を含み且つ各辺の内側の範囲を指す。したがって、多角形PGの各辺に配置される高突起34A及び多角形PGの内方(中心)に配置される低突起34Cは、一単位格子内に配置される複数の突起の一つを構成するものである。
【0060】
また、正方形SLPも一単位格子に相当する。正方形SLPを構成する各辺上(頂点を含む)には、高突起34A及び低突起34Cが位置するように配置されている。
このように、一単位格子を構成する多角形とは、同形状の多角形と辺を共有する状態で規則的に並べられることで全体として格子模様を形成する最少の多角形である。
【0061】
・上記第1実施形態では、各突起34の形状について、垂直高、交差角度、及び肉厚の少なくとも一つの要素を異ならせることで反力特性に違いを持たせていればよい。この場合、何れか一つの要素のみを異ならせてもよいし、何れか2つの要素を異ならせてもよい。何れの場合であっても、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を奏する。
【0062】
・上記第2実施形態では、各突起34の形状について、上記第1実施形態と同様、垂直高、交差角度、及び肉厚の要素を異ならせたり、少なくとも一つの要素を異ならせたりするようにしてもよい。この場合、内装部品10の反力特性のより詳細な調整が可能になる。
【0063】
・上記第2実施形態では、各突起34の形状について、垂直高、交差角度、及び肉厚を適宜調整してもよい。
・上記各実施形態において、多角形PGとしては、格子模様LPを形成することができれば三角形や四角形や五角形等に適宜変更してもよいし、異なる種類の多角形を含むものであってもよい。
【0064】
・上記各実施形態において、各突起34は、多角形PGの頂点、すなわち正六角形の各辺を構成する線分の端点に設けられるようにしてもよい。
・上記各実施形態において、内装部品10は、車両用のドアトリムの一部を構成したが、他の部分に適用してもよい。例えば、ラゲージサイドトリム、インストルメントパネル、アームレスト等に適用してもよい。また、車両に限らず、車両用以外のパネル部品等に適用してもよい。
【0065】
・上記各実施形態において、基材20は、硬質ポリ塩化ビニルやポリプロピレン等の比較的硬質の樹脂材料製であればよい。表層部材30は、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の各種の熱可塑性樹脂製であってもよい。
【0066】
・上記各実施形態において、各突起34は、斜錐体であれば、基部34aの形状を、例えば、楕円等に適宜変更してもよいし、先端34bの角部は丸められていなくてもよい。
・各変形例は、技術的に矛盾が生じない範囲で互いに組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…内装部品(重ね合わせ複合部品)、11…ドアトリム、20…基材、21…基材本体、22…合わせ面、30…表層部材、31…板状部、32…対向面、33…意匠面、34…突起、34A…高突起、34B…中突起、34C…低突起、34a…基部、34b…先端、34D…軟質突起、34E…中質突起、34F…硬質突起、P,Q…切替点、θa,θb,θc…交差角度、Ha,Hb,Hc…垂直高、LP…格子模様、Ma,Mb,Mc…材質、PG,PG1,PG2,PG3…多角形、Wa,Wb,Wc…肉厚、Δab,Δac…差分、SLP…正方形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13