(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】粉体固形メークアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20220726BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220726BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q1/00
A61K8/34
(21)【出願番号】P 2017213111
(22)【出願日】2017-11-02
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2016216506
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 遼
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-207880(JP,A)
【文献】特表2011-505358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0044660(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)ステアロイル
オキシステアリン酸オクチルドデシルを15~30質量%、及び成分(B)板状粉体を40~60質量%含有する粉体固形メークアップ化粧料。
【請求項2】
融点が30℃以上の固形油、半固形油の含有量が3%未満である請求項1に記載の粉体固形メークアップ化粧料。
【請求項3】
平均粒子径が30~80μmである板状粉体が、成分(B)中に60質量%以上含有される請求項1又は2に記載の粉体固形メークアップ化粧料。
【請求項4】
更に成分(C)ステアリン酸オクチルドデシル、及び成分(D)オクチルドデカノールを含有する請求項1~3のいずれかの項に記載の粉体固形メークアップ化粧料。
【請求項5】
成分(A)ステアロイル
オキシステアリン酸オクチルドデシルを15~30質量%、及び成分(B)板状粉体を40~60質量%含有する化粧料基材と、溶媒とを混合する工程と、得られた組成物を皿状容器に充填した後、該溶媒を除去し、粉体固形メークアップ化粧料を得る工程とを含む粉体固形メークアップ化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体固形メークアップ化粧料に関し、さらに詳しくは、成形性に優れ、塗布時の伸びの軽さと、エモリエント感を感じる粉体固形メークアップ化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体固形メークアップ化粧料は、簡便な使用性と携帯に便利なため、メークアップ化粧料として広く用いられている製剤であり、着色顔料、光輝性顔料、体質粉体等の粉体を主成分とし、油剤や水溶性成分等を加え、固形に成形して得られる化粧料である。このような、粉体固形メークアップ化粧料の成形方法としては、粉体を主成分とし、これに油剤等を分散させた組成物を、皿等の容器に充填し圧縮する乾式成型法や、溶媒を用いる湿式成型法(いわゆる、スラリー充填法等)等がある。特に湿式成形法を用いた粉体固形メークアップ化粧料は、粉体特有のさらさらとした感触の点で近年は特に好まれている。
一般的に、メークアップ化粧料に用いられる、光輝性粉体等の板状粉体は肌上でのすべりがよく、使用感に優れることが知られている。しかしながら、粉体固形メークアップ化粧料は、粉体が主成分であることから、肌への密着感を感じにくく化粧もちに劣り、油性の化粧料と較べて乾燥を感じたり、外出先での落下の衝撃により割れたりすることも多く、使用感や、耐衝撃性に懸念がある。そこで、油剤を含有する粉体固形化粧料が、乾燥を改善したり、密着感を向上することから、さまざまな検討がなされており、例えば、粘度が5mPa・s以上、500mPa・s未満の極性油分と、500mPa・s以上、20000mPa・s以下の極性油分を含有する耐衝撃性に優れる固型粉末メーキャップ化粧料(特許文献1)や、分子中に水酸基を有する液状やペースト状の油剤を含有する、使用感に優れ、耐衝撃性を有する固型粉末化粧料(特許文献2)等が検討されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-089409号広報
【文献】特開2014-141483号広報
【0004】
しかし、特許文献1のように、液状油を用いた場合は、密着感や、しっとりとした使用感に欠ける傾向があり、また、特許文献2のように、ペースト状油を用いた場合は、密着感はあるが、肌上での伸びが重くなってしまい、粉末化粧料のすべりの良い使用感を損なう場合があった。また、油剤の含有量が多くなると、連続使用時に表面が硬くなり化粧料が取れにくくなるケーキングが起きる場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、耐衝撃性に優れ、肌上での伸びの軽さや、しっとりとしたエモリエント感に優れる粉体固形メークアップ化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者は、鋭意検討した結果、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルが低粘度液状油でありながら、板状粉体と組み合わせることで、密着感、エモリエント感があり、耐衝撃性に優れながら、板状粉体の持つすべり性のよさを生かした伸びの軽い使用感を持つ粉体固形メークアップ化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルを15~30質量%、及び(B)板状粉体を40~60質量%含有する粉体固形メークアップ化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の課題は、耐衝撃性に優れ、肌上での伸びの軽さや、しっとりとしたエモリエント感に優れる粉体固形メークアップ化粧料を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において粉体固形メークアップ化粧料とは、主成分を粉体とする化粧料基材に、油剤、水性成分、金属石鹸等の賦形剤、美容成分、感触調整剤等を含有し、固形に成形されたものをいう。
【0010】
本発明の成分(A)ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルは、ヒドロキシステアリン酸とステアリン酸のエステルにオクチルドデカノールをエステル結合した25℃で液状の油剤である。中でも、12-ヒドロキシステアリン酸とステアリン酸のエステルにオクチルドデカノールを結合した、12-ヒドロキシステアロイルステアリン酸オクチルドデシルが好ましく用いられる。これらの市販品としてはCERAPHYL 847(IPSジャパン社製)、リソカスタODSHS(高級アルコール工業社製)等が挙げられる。
【0011】
成分(A)の含有量は、粉体固形メークアップ化粧料中に15~30質量%(以下、%と略す)であるが、20~25%であると更に好ましい。15%未満であると肌への密着感や、しっとりとしたエモリエント感が得られにくく、30%を超えると伸びの軽さを損なう場合がある。
【0012】
本発明の粉体固形メークアップ化粧料は、更に成分(C)ステアリン酸オクチルドデシル、及び成分(D)オクチルドデカノールを含有することで、より耐衝撃性を高めることができる。成分(C)の含有量は、質量比で成分(A):成分(C)が1:0.4~0.6であると好ましく、成分(D)の含有量は、質量比で成分(A):成分(D)=1:0.01~0.1であると肌上での伸ばし始めと終わりの軽さが均一となる点で好ましい。
【0013】
本発明の成分(B)板状粉体は、アスペクト比が3以上のものをいい、面が平滑のものでも、微細な穴や凹凸があるものでもよく、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等のいずれも使用することができる。特に限定されないが、具体的には、マイカ、合成マイカ、タルク、窒化ホウ素や、雲母チタン、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレン積層末のラメ剤等が挙げられる。特に、平均粒子径が、5~130μm、好ましくは20~100μm、更に好ましくは30~80μmであると、成分(A)と組み合わせた場合の、肌上の伸びの軽さやの点でより効果を得ることができる。
【0014】
成分(B)の含有量は、粉体固形メークアップ化粧料中に40~60%である。40%未満であると、伸びの軽さが得られにくく、60%を超えるとエモリエント感や、耐衝撃性が得られにくくなる。成分(B)の含有量が45~55%であると、この点において、さらに優れた効果を得ることができる。また、平均粒子径が30~80μmの板状粉体が、成分(B)中に60%以上、好ましくは70%以上含有されると、伸びの軽さの点において好ましい。
【0015】
本発明における平均粒子径の測定方法は、走査型電子顕微鏡を用いて、任意の視野の粒子10個について、粒子径を観察した結果から算出する。また、同様にして粒子厚を求め、粒子径を厚さで除することでアスペクト比を算出する。
【0016】
本発明の粉体固形メークアップ化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の他に、化粧料に通常使用される成分として、成分(A)(C)(D)以外の油剤、成分(B)以外の粉体、水性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、糖類、防腐剤、香料等を含有することができる。
【0017】
油剤としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂等特に限定されずに用いることができる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン等の炭化水素類、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸イソトリデシル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル等の常温液状のエステル油類、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸類、デシルテトラデカノール等の高級アルコール類、フィトステロール脂肪酸エステル、水添ホホバ油、キャンデリラワックス、ミツロウ、ライスワックス、カルナウバワックス等の常温で固体から半固体状のエステル類、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニル変性メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いることができる。中でもエチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸イソトリデシル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリルが好ましく用いられる。
【0018】
本発明の粉体固形メークアップ化粧料においては、粉体化粧料特有のすべりのある伸びの軽さの効果を得る点において、融点30℃以上の、常温で固形、半固形の油剤の含有量は3%未満であるのが好ましく、より好ましくは1%未満である。
【0019】
水性成分としては、水及び水に可溶なものであれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、植物抽出液等、セルロース類、カラギーナン、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いることができる。
【0020】
界面活性剤は、通常化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えばグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等のノニオン界面活性剤や、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アミノ酸等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル等のケイ皮酸系、2,4-ビス-2,4,6-トリアニリノ-パラ-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系、p-アミノ安息香酸等のPABA系、サリチル酸系、ジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いることができる。
【0022】
保湿剤としては、例えば、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えば、ビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ヘキシレングリコール、オクタンジオール等が挙げられる。
【0023】
粉体としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類や、ナイロン末、シリコーン末、ポリメチルメタクリレート末、ウレタン末等の有機粉体類を用いることができ、これらの一種または二種以上、またはこれらを複合化したものを用いることができる。また、これらは表面処理を施したものを用いても良い。表面処理剤としては、フッ素化合物、シリコーン系化合物、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、金属石鹸、界面活性剤、水溶性高分子等の通常公知のものを使用できる。
【0024】
本発明の粉体固形メークアップ化粧料は、特に限定されず常法で製造することができる。例えば、成分(A)、(B)及びその他の成分を混合した化粧料基剤を容器に充填し、圧縮成型する方法、成分(A)、(B)及びその他の成分を含有する化粧料基材に溶媒を添加し、容器に充填した後、該溶媒を除去する湿式成形方法等が挙げられる。本発明においては、湿式成型法で得られた粉体固形メークアップ化粧料が、本発明の効果を発揮する点において有利である。
【0025】
湿式成形法に用いられる溶媒としては、常圧における沸点が260℃以下の揮発性化合物が好ましく、具体的には、水性成分として水、もしくはエチルアルコール、イソプロピルアルコールのような低沸点アルコール、油性成分としてイソドデカン、イソヘキサデカン、軽質流動イソパラフィン等の低沸点炭化水素油、低重合度のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の低沸点の鎖状もしくは環状シリコーン油、低沸点パーフルオロポリエーテル等の低沸点フッ素化合物等が挙げられ、これらは一種または二種以上を組み合わせて混合物として用いることができる。本発明においては、これらの溶媒の中でも、油性のものが好ましく用いられ、特にイソドデカン、軽質流動イソパラフィン等の揮発性炭化水素油が好ましく用いられる。これらの溶媒は、減圧吸引、加熱乾燥、加圧時に紙や不織布等の吸収体を用いた吸い取り、プレス型等に設けられた排出孔を通して除去する等の通常公知の方法を用いて除去することができる。
【0026】
本発明の粉体固形メークアップ化粧料は、ファンデーション、頬紅、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、等に用いることができ、特に板状粉体である光輝性粉体を多く含むアイシャドウに好適に用いることができる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0028】
実施例1~5及び比較例1~5:アイシャドウ
表1及び2に示すアイシャドウを調製し、イ.肌上での伸びの軽さ、ロ.肌への密着感、ハ.エモリエント感、ニ.連続使用性(ケーキングのなさ)、ホ.耐衝撃性を下記の評価方法にて評価した。その結果も併せて表1及び2に示す。
【0029】
【0030】
【0031】
*1:TLF-64(トピー工業社製)
*2:チミロンスーパーゴールド(メルク社製)
*3:クロイゾネコッパー(BASF社製)
*4:マイクログラス メタシャインMT1080RS(日本板硝子社製)
【0032】
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を均一に混合する。
B.成分(7)~(11)を均一に混合する。
C.AにBを加え化粧料基材とし、化粧料基材100質量部に対し、イソドデカン約20質量部を添加して混合混錬し、金皿容器に充填し、圧縮しながらイソドデカンを除去し、その後、70℃で8時間乾燥してアイシャドウ(固形)を得た。
【0033】
<評価方法>
イ.肌上での伸びの軽さ
ロ.肌への密着感
ハ.エモリエント感
ニ.連続使用性(ケーキングのなさ)
化粧品評価専門パネル20名に、実施例及び比較例のアイシャドウを使用してもらい、各々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。イ.肌上での伸びの軽さについては、塗布時に肌上ですべりよく伸び広がるかどうか、ロ.肌への密着感については、塗布膜が肌上に密着して化粧もちが良いかどうか、ハ.エモリエント感については試料を塗布した部位に乾燥感を感じず、しっとりとしたうるおいを感じるかどうか、ニ.連続使用性(ケーキングのなさ)については、各試料を指で往復60回なぞった後の試料表面状態が固化していないかどうかを評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.0以上
○ :3.5点以上4.0点未満
△ :2.0点以上3.5点未満
× :2.0点未満
【0034】
ホ.耐衝撃性
実施例及び比較例のアイシャドウを50cmの高さからコンクリート床に自由落下を行い、アイシャドウが破損するまでの回数を数え、以下の判定基準に従って耐衝撃性を判定した。ここで破損とは、固形状のアイシャドウが粉々になり樹脂皿容器から飛び出してしまうことと定義した。
(判定基準)
(判定):(破損までの落下回数)
◎ :5回で破損なし
○ :4回
△ :2~3回
× :1回
【0035】
表1及び2の結果から明らかなように、本発明の実施例1~5のアイシャドウは、比較例1~5のアイシャドウに比べて、肌上での伸びの軽さ、肌への密着感、エモリエント感、連続使用性(ケーキングのなさ)、耐衝撃性のすべてにおいて優れたものであった。
これに対して、成分(A)の含有量が少ない比較例1は、密着感やエモリエント感が満足のいくものが得られなかった。成分(A)の含有量が多い比較例2は、連続使用時にケーキングを起こし、満足のいくものが得られなかった。成分(B)の含有量が少ない比較例3は、板状粉体による伸びの軽さの点で満足のいくものが得られなかった。成分(B)の含有量が多い比較例4は、プレス成型時に十分な硬さが出ず耐衝撃性に満足のいくものが得られなかった。成分(A)を含有しない比較例5は、肌への密着感やエモリエント感が得られず満足のいくものが得られなかった。
【0036】
実施例6:アイシャドウ
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.合成金雲母(平均粒子径:約20μm)※5 15
3.雲母チタン(平均粒子径:約30μm)※2 20
4.ベンガラ被覆雲母チタン(平均粒子径:約30μm)※3 15
5.酸化鉄 8
6.酸化チタン 2
7.メチルパラベン 0.2
8.合成ワックス(融点85℃以上) 0.5
9.ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル 15
10.ジメチルポリシロキサン(25℃粘度20mPa・s) 5
※5:PDL-20L(トピー工業社製)
(製造方法)
A.成分(1)~(8)を均一に混合をする。
B.Aに成分(9)及び(10)を加え均一に混合する。
C.Bを粉砕する。
D.Cを金皿に充填し、圧縮成型し、固形アイシャドウを得た。
実施例6のアイシャドウは、肌上での伸びの軽さ、肌への密着感、エモリエント感、連続使用性(ケーキングのなさ)、耐衝撃性のすべてにおいて優れたものであった。
【0037】
実施例7:アイシャドウ
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.合成金雲母(平均粒子径:約20μm)※5 15
3.雲母チタン(平均粒子径:約30μm)※2 25
4.酸化チタン被覆ガラス末 (平均粒子径:約80μm) ※4 10
5.酸化鉄 8
6.酸化亜鉛 3
7.ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル 25
8.トリエチルヘキサノイン 5
9.リンゴ酸ジイソステアリル 5
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を均一に混合をする。
B.Aに成分(7)~(9)を均一に混合する。
C.AにBを加え化粧料基材とし、化粧料基材100質量部に対し、イソドデカン約20質量部を添加して混合混錬し、金皿容器に充填し、圧縮しながらイソドデカンを除去し、その後、70℃で8時間の乾燥してアイシャドウ(固形)を得た。
実施例7のアイシャドウは、肌上での伸びの軽さ、肌への密着感、エモリエント感、連続使用性(ケーキングのなさ)、耐衝撃性のすべてにおいて優れたものであった。