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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】隊列走行システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220726BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220726BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220726BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20220726BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220726BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/00 X
G08G1/09 F
G08G1/16 E
B60W30/16
B60W50/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018084288
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019191950
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】奥山 宏和
(72)【発明者】
【氏名】小島 信彦
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 直
(72)【発明者】
【氏名】安井 博文
(72)【発明者】
【氏名】武田 政義
(72)【発明者】
【氏名】米村 修一
(72)【発明者】
【氏名】板本 英則
(72)【発明者】
【氏名】山川 知也
(72)【発明者】
【氏名】川原 禎弘
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-102893(JP,A)
【文献】特開平11-328584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を利用して複数の車両を隊列を組んで走行させる隊列走行システムにおいて、
隊列の位置情報に基づき道路の合流地点に隊列が接近していることが認識されるとき、合流地点に隊列が接近していることを示す接近情報を生成し、この生成される接近情報を無線送信する第1の装置と、
前記接近情報が受信されるとき、当該受信される接近情報を前記合流地点へ向かう一般車両に報知する第2の装置と、
前記第1の装置との間、および前記第2の装置との間で無線通信を行う管理システムである第3の装置と、を有し、
前記第1の装置は、隊列を組む複数の車両の各々に搭載されて、先行車両との間の無線通信を通じて前記先行車両に自車両が追従するように自車両を制御する車両制御システムであって、
前記車両制御システムは、電子制御装置を有し、
隊列を構成する複数の車両のうちいずれか一つの前記電子制御装置が前記接近情報を生成し、生成される前記接近情報は、前記第3の装置を経由して前記第2の装置に受信される隊列走行システム。
【請求項2】
請求項1に記載の隊列走行システムにおいて、
前記第1の装置は、前記接近情報として、隊列の位置情報に基づき隊列の現在位置から前記合流地点までの距離および前記合流地点に隊列が到達するまでの時間の少なくとも一方を演算する隊列走行システム。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の隊列走行システムにおいて、
前記第2の装置は、前記一般車両に設けられる隊列走行システム。
【請求項4】
請求項1~請求項のうちいずれか一項に記載の隊列走行システムにおいて、
前記第2の装置は、路上に設置される路上機器に設けられる隊列走行システム。
【請求項5】
請求項1~請求項のうちいずれか一項に記載の隊列走行システムにおいて、
前記第2の装置は、前記接近情報を視覚に訴えて報知する隊列走行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隊列走行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば特許文献1に記載されるように、複数台の車両における車車間通信を利用した車間距離制御の実行を通じて、複数台の車両に隊列走行を行わせる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-30666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
隊列走行を行っている場合、一般車両が隊列内に割り込んでくることがある。たとえば複数台の車両が隊列走行している車線に合流路から一般車両が合流してくる状況などにおいて、隊列内への割り込みが発生しやすい。
【0005】
本発明の目的は、一般車両の隊列への割り込みに対して適切に対処することができる隊列走行システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成し得る隊列走行システムは、無線通信を利用して複数の車両を隊列を組んで走行させることを前提としている。隊列走行システムは、隊列の位置情報に基づき道路の合流地点に隊列が接近していることが認識されるとき、合流地点に隊列が接近していることを示す接近情報を生成し、この生成される接近情報を無線送信する第1の装置と、前記接近情報が受信されるとき、当該受信される接近情報を前記合流地点へ向かう一般車両に報知する第2の装置と、を有する。
【0007】
この構成によれば、合流地点に対する隊列の接近情報が、合流地点へ向かう一般車両に報知される。一般車両の運転者に隊列の接近情報を意識させることにより、隊列走行への協力が得られやすくなる。このため、合流地点における一般車両の隊列内への割り込みを抑制することが可能となる。したがって、一般車両に隊列の接近情報を報知することにより、一般車両の隊列への割り込みに対して適切に対処することができる。
【0008】
上記の隊列走行システムにおいて、前記第1の装置は、前記接近情報として、隊列の位置情報に基づき隊列の現在位置から前記合流地点までの距離および前記合流地点に隊列が到達するまでの時間の少なくとも一方を演算することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、一般車両の運転者は、隊列の接近情報として、より具体的な情報を得ることができる。
上記の隊列走行システムにおいて、前記第1の装置は、隊列を組む車両との間の無線通信を通じて隊列の位置情報を取得する管理システムであってもよい。
【0010】
上記の隊列走行システムにおいて、前記第1の装置は、隊列を組む複数の車両の各々に搭載されて、先行車両との間の無線通信を通じて前記先行車両に自車両が追従するように自車両を制御する車両制御システムであってもよい。
【0011】
上記の隊列走行システムにおいて、前記第2の装置は、前記一般車両に設けられてもよいし、路上に設置される路上機器に設けられてもよい。
上記の隊列走行システムにおいて、前記第2の装置は、前記接近情報を視覚に訴えて報知することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の隊列走行システムによれば、一般車両の隊列への割り込みに対して適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】隊列走行システムの一実施の形態の概略を示す構成図。
図2】一実施の形態における車両制御システムのブロック図。
図3】一実施の形態における管理システムのブロック図。
図4】一実施の形態における報知システムのブロック図。
図5】(a)は、一実施の形態における報知装置による第1の報知態様を示す正面図、(b)は、報知装置による第2の報知態様を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、隊列走行システムの一実施の形態を説明する。
図1に示すように、隊列走行システム10は、隊列を組む複数台(ここでは3台)の車両CS1,CS2,CS3にそれぞれ1つずつ搭載される車両制御システム11、および隊列運行管理センタなどに設けられる管理システム12を有している。また、隊列走行システム10は、隊列を構成しない一般車両COに設けられる第1の報知システム13、および路上機器14に設けられる第2の報知システム15を有している。ただし、隊列走行システム10は、第1の報知システム13および第2の報知システム15の少なくとも一を有していればよい。
【0015】
<車両制御システム>
図2に示すように、車両制御システム11は、ECU(電子制御装置)20、前方監視センサ21、後方監視センサ22、側方監視センサ23、車速センサ24、加速度センサ25、GPS受信機26および車車間通信装置27を有している。また、車両制御システム11は、スロットルアクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32、ステアリングアクチュエータ33、および外部通信装置34を有している。
【0016】
前方監視センサ21は、車両の前部に設けられて、自車両の前方を監視するとともに自車両の直前を走行する車両と自車両との車間距離を検出する。後方監視センサ22は、車両の後部に設けられて、自車両の後方を監視するとともに自車両の直後を走行する車両と自車両との車間距離を検出する。側方監視センサ23は、車両の側部に設けられて、自車両の側方を監視するとともに自車両の側方を走行する車両と自車両との車間距離を検出する。これら監視センサ(21,22,23)は、たとえばレーザーレーダまたはミリ波レーダ、およびカメラを含んでいる。
【0017】
車速センサ24は、自車両の走行速度を検出する。加速度センサ25は、自車両の前後方向の加速度を検出する。GPS受信機26は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの測位信号を受信し、当該受信される測位信号に基づき自車両の位置(緯度、経度)および方位を検出する。車車間通信装置27は、車両間において無線通信を行う。
【0018】
スロットルアクチュエータ31は、スロットル開度の調節を通じてエンジンへの燃料供給量を調節する。ブレーキアクチュエータ32は、ブレーキを通じて車両を減速させるための制動力を調節する。ステアリングアクチュエータ33は、ステアリングロッド(転舵軸)を軸方向に駆動させることにより左右の車輪を転舵する。外部通信装置34は、管理システム12との間において無線通信を行う。外部通信装置34は、携帯電話網およびETC通信網などの無線通信網を利用して無線信号の授受を行う。
【0019】
ECU20は、車両全体を統括して制御する。ECU20は、スロットルアクチュエータ31を通じてエンジンの出力を制御する。ECU20は、車両を加速させるときにはスロットルアクチュエータ31を通じてエンジンに対する燃料供給量を増大させる一方、車両を減速させるときにはスロットルアクチュエータ31を通じてエンジンに対する燃料供給量を減少させる。また、ECU20は、ブレーキアクチュエータ32を通じて車両の制動力を制御する。ECU20は、スロットルアクチュエータ31およびブレーキアクチュエータ32を通じて、車両の速度および車間距離を制御する。また、ECU20は、ステアリングアクチュエータ33を通じて車両の転舵角(タイヤの切れ角)を制御する。
【0020】
ECU20は、車車間通信装置27を通じて、車車間通信装置27が搭載された他の車両との間で車両の走行データおよび識別情報(ID)などの情報を授受する。走行データは、自車両の走行状態に関する情報であって、たとえば自車両の位置、速度、加速度および方位(進行方向)などの情報を含む。
【0021】
ECU20は、ACC(Adaptive Cruise Control)制御を実行する。ACC制御とは、前方監視センサ21を通じて直前の先行車両(一般車両を含む。)との距離を測定し、あらかじめ設定された車間距離と速度を維持しつつ前方車両の加減速および停止に追従して走行するための制御をいう。ACC制御では、前方監視センサ21(レーザーレーダ、カメラ)を通じて、先行車両と自車両との車幅方向のずれを検出し、その検出されるずれを無くすように自車両の操舵が制御される。
【0022】
ECU20は、たとえばACC制御の実行中に先行車両が検出されない場合、設定車速を維持して走行するように車両の走行制御を行う。また、ECU20は、設定車速よりも低速で走行する先行車両が検出される場合、その先行車両との車間距離をあらかじめ設定された車間距離に保つように追従制御を行う。ECU20は、先行車両との車間距離があらかじめ設定された車間距離よりも小さくならないように車両の加速度を制御する。すなわち、ECU20は、先行車両の車速が設定車速よりも低速である場合、自車の車速を低下させて車間距離を保つ。
【0023】
ECU20は、CACC(Cooperative Adaptive Cruise Control)制御を実行する。CACCとは、同一車線上の自車両前後の車両と無線通信を通じて連携して複数の車両が隊列走行するための制御をいう。隊列走行とは、車両制御システム11が搭載された複数の車両が、同一車線上において一般車両を間に挟むことなく、一定の車間距離および一定の速度を維持しながら隊列を組むように縦列走行することをいう。
【0024】
CACC制御では、車車間通信を通じて取得される隊列内の他の車両に関する情報に基づいて自車両の加速度が制御される。これにより、自車両は隊列内における直前の車両との車間距離を目標の車間距離に保つように追従する。隊列を組む車両CS1~CS3は、車車間通信装置27を通じて自車両のスペックおよび走行データなどの情報を相互に授受する。すなわち、隊列を組むすべての車両CS1~CS3の車両制御システム11は、隊列を組むすべての車両CS1~CS3のスペックおよび走行データなどの情報を共有する。
【0025】
たとえば、隊列の先頭車両においてブレーキが操作されたとき、隊列内のすべての車両にその情報が伝達される。隊列を組むすべての車両は、それぞれ車間距離を維持しながら適切なタイミングで自動的に減速する。先頭車両が加速したときには、先頭車両の加速の度合いが隊列内のすべての車両に伝達される。隊列を組むすべての車両は、それぞれ車間距離と速度とを隊列全体で維持するために自動的に加速する。
【0026】
<管理システム>
図3に示すように、管理システム12は、サーバ41および通信装置42を有している。通信装置42は、隊列を構成する車両CS1~CS3との間、一般車両COとの間、ならびに路上機器14との間でそれぞれ無線通信を行う。サーバ41は、通信装置42を通じて隊列走行する車両CS1~CS3の走行データを取得する。サーバ41は、通信装置42を通じて取得される車両CS1~CS3の走行データに基づき隊列の運行状況を把握し、この把握される隊列の運行状況を一般車両COに対して報知するための報知信号Scを生成する。サーバ41は、通信装置42を通じて報知信号Scを無線送信する。
【0027】
<報知システム>
図4に示すように、第1の報知システム13は、通信装置51、制御装置52、および報知装置53を有している。通信装置51は管理システム12のサーバ41との間で無線通信を行う。制御装置52は、通信装置51を通じて報知信号Scが受信されるとき、この受信される報知信号Scに基づき隊列の運行状況を一般車両COの運転者に報知する。報知装置53としては、たとえば車室内に設けられるディスプレイ(表示装置)が採用される。
【0028】
第2の報知システム15は、基本的には第1の報知システム13と同様の構成を有している。すなわち、図4に括弧書きの符号で示されるように、第2の報知システム15は、通信装置61、制御装置62、および報知装置63を有している。ただし、報知装置63としては、路上に設置されるディスプレイあるいは電光掲示板などの表示装置が採用される。
【0029】
<隊列走行システムの作用>
つぎに、隊列走行システムの作用を説明する。
図1に示すように、たとえば3台の車両CS1,CS2,CS3がCACC制御の実行を通じて隊列走行を行っている場合、先頭の車両CS1の走行状態に応じて、後続する2台の車両CS2,CS3の走行状態が制御される。先頭の車両CS1は、運転者により手動で運転されていてもよいし、ACC制御の実行を通じて設定車速を維持しながら走行していてもよい。後続する車両CS2,CS3のECU20は、先頭の車両CS1に追従するように車両CS2,CS3の走行状態を制御する。
【0030】
ちなみに、隊列の先頭の車両CS1以外の車両CS2,CS3は、自車両の1つ前を走行する車両の走行状態に基づいて、当該先行する車両に追従して走行するようにしてもよい。この場合、隊列の2番目の車両CS2は、先頭の車両CS1の走行状態に基づいて走行状態が制御される。隊列の3番目の車両CS3は、その直前の車両CS2の走行状態に基づいて走行状態が制御される。
【0031】
ここで、車両CS1~CS3が隊列走行を行っている場合、一般車両COが隊列内に割り込んでくることが懸念される。たとえば図1に示すように、車両CS1~CS3が隊列走行を行っている道路R1に、合流路R2から合流してくる一般車両COが隊列内に割り込んでくる状況が想定される。ちなみに、合流路R2は合流地点Pcにおいて道路R1に合流する。
【0032】
そこで、隊列走行システム10は、隊列内への一般車両COの割り込みに対して、つぎのようにして対処する。
図1に示すように、サーバ41は、隊列走行する車両CS1~CS3の走行データを、無線通信を通じて取得し、この取得される車両CS1~CS3の走行データに基づき隊列の運行状況を把握する。サーバ41は、隊列(CS1~CS3)が合流地点Pcに接近している場合、車両CS1~CS3の走行データに基づき、合流地点Pcに対する隊列の到達予想情報として、隊列(先頭車両)の現在位置から合流地点Pcまでの距離L、および隊列が合流地点Pcに到達するまでの時間tを演算する。この到達予想情報は、合流地点Pcに対する隊列の接近情報でもある。サーバ41は、到達予想情報(t,L)を含む報知信号Scを生成し、この生成される報知信号Scを無線送信する。
【0033】
サーバ41は、たとえば隊列(先頭車両)が合流地点Pcに対して設定距離だけ手前の位置に至ったとき、隊列が合流地点Pcに接近している旨判定する。設定距離は、たとえば一般車両COが合流地点Pcで隊列とかち合うことなく道路R1に合流できるかどうかの観点に基づき設定される。設定距離は、想定される一般車両COの速度、および隊列の運行速度などに基づき設定される。
【0034】
サーバ41は、走行データに含まれる車両CS1~CS3の位置情報に基づき隊列の現在位置を認識し、この認識される隊列の現在位置に基づき隊列が合流地点Pcに接近していることを判定する。サーバ41は、自身が記憶する道路地図データを使用して隊列の現在位置に基づき隊列が現在走行している道路R1を特定するとともに、当該道路R1および合流地点Pcなどについての情報を取得する。サーバ41は、道路地図データおよび隊列の現在位置に基づき、隊列(先頭車両)と合流地点Pcとの距離Lを演算する。また、サーバ41は、隊列と合流地点Pcとの距離Lおよび隊列の運行速度に基づき、隊列(先頭車両)が合流地点Pcに到達するまでの時間tを演算する。
【0035】
第1の報知システム13の制御装置52は、報知信号Scが受信されるとき、報知信号Scに含まれる到達予想情報を報知装置53に表示させる。報知装置53の表示形式としては、たとえば文字表示、あるいは簡易図形表示が採用される。
【0036】
図5(a)に示すように、報知装置53の表示形式として文字表示が採用された場合、報知装置53には、隊列が接近している旨示すメーッセージ(「隊列走行車接近中」など)、隊列が合流地点Pcに到達するまでの残りの時間t、および隊列の現在位置から合流地点Pcまでの距離Lが文字で表示される。このため、一般車両COの運転者は、自車両に設けられた報知装置53を目視することにより、合流地点Pcに対する隊列の接近状況を確認することができる。
【0037】
図5(b)に示すように、報知装置53の表示形式として簡易図形表示が採用された場合、報知装置53には、道路R1、合流路R2、隊列の位置および自車両の位置が簡易的な図形で表示される。このため、一般車両COの運転者は、隊列と自車両との位置関係を視覚的に認識することができる。ちなみに、簡易的な図形表示に加えて、到達予想情報を文字で表示するようにしてもよい。
【0038】
第2の報知システム15の制御装置62は、報知信号Scが受信されるとき、報知信号Scに含まれる到達予想情報を報知装置63に表示させる。報知装置63の表示形式としては、図5(a)に示される文字表示、および図5(b)に示される簡易図形表示のいずれでもよい。一般車両COの運転者は、路上に設けられた報知装置63を目視することにより、合流地点Pcに対する隊列の接近状況を確認することができる。
【0039】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
隊列走行システム10が第1の報知システム13を有している場合、合流路R2から道路R1に合流しようとする一般車両COの運転者は、自車両の報知装置53に表示される到達予想情報を目視することによって、合流地点Pcに隊列が接近していることを知ることができる。また、隊列走行システム10が第2の報知システム15を有している場合、合流路R2から道路R1に合流しようとする一般車両COの運転者は、路上に設けられる報知装置63に表示される到達予想情報を目視することによって、合流地点Pcに隊列が接近していることを知ることができる。
【0040】
このため、一般車両COの運転者は、隊列が合流地点Pcに到達するまでの残りの時間t、および隊列の現在位置から合流地点Pcまでの距離Lに基づき、自車両の速度などを調節することができる。たとえば、一般車両COの運転者は、隊列が合流地点Pcに到達する前に道路R1に合流したいときには加速したり、隊列が合流地点Pcを通過するのを待って道路R1に合流したいときには減速したりすることができる。このように、一般車両COの運転者に対して隊列の運行状況を意識させることにより、隊列内への割り込みを抑制することが可能である。したがって、一般車両COの隊列への割り込みに対して適切に対処することができる。
【0041】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・合流地点Pcに対する隊列の到達予想情報は、隊列を構成する複数台の車両CS1~CS3のうちいずれか一のECU20により演算してもよい。ECU20は、到達予想情報(t,L)を含む報知信号Scを生成し、この生成される報知信号Scを、外部通信装置34を通じて無線送信する。この報知信号Scは管理システム12のサーバ41を経由して第1の報知システム13および第2の報知システム15の少なくとも一に受信される。また、ECU20により生成される報知信号Scは、第1の報知システム13および第2の報知システム15の少なくとも一によって直接的に受信されるようにしてもよい。
【0042】
・第2の報知システム15の報知装置63として、一般車両COの室内に設けられるETC車載機を採用してもよい。この場合、合流地点Pcに対する隊列の到達予想情報は、ETC車載機の内蔵スピーカを通じて一般車両COの運転者の聴覚に訴えて報知される。また、ETC車載機の内蔵スピーカではなく、一般車両COに設けられている他のスピーカを通じて到達予想情報を報知するようにしてもよい。
【0043】
・第2の報知システム15の報知装置63として路上に設置されるランプを採用してもよい。この場合、たとえばランプの点灯色を変えることにより隊列の運行状況を一般車両COの運転者に伝えることができる。具体的には、ランプが赤色に点灯している場合、隊列が合流地点Pcを横断中であることを示す。ランプが黄色に点灯している場合、隊列が合流地点Pcに接近中であることを示す。ランプが黄色に点灯している場合、合流地点Pcに接近している隊列は存在しないことを示す。
【0044】
・隊列の到達予想情報として、隊列の現在位置から合流地点Pcまでの距離L、および隊列が合流地点Pcに到達するまでの時間tのいずれか一のみを演算してもよい。
・報知信号Scには、隊列の到達予想情報(L,t)を含ませず、隊列が合流地点Pcに接近中であることのみを示す純粋な接近情報を含ませるようにしてもよい。この場合、報知装置53,63には、隊列が接近している旨示すメーッセージのみが表示される(図5(a)を参照。)。
【符号の説明】
【0045】
10…隊列走行システム、11…車両制御システム(第1の装置)、12…管理システム(第1の装置)、13…第1の報知システム(第2の装置)、14…路上機器、15…第2の報知システム(第2の装置)、20…ECU(制御装置)、34…外部通信装置、41…サーバ(制御装置)、CS1,CS2,CS3…車両(隊列を構成する)、CO…一般車両(隊列を構成しない)、L…距離、Pc…合流地点、t…時間。
図1
図2
図3
図4
図5