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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】止水プレートおよび止水壁構造体
(51)【国際特許分類】
   E02D 19/04 20060101AFI20220726BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
E02D19/04
E02D27/32 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018106449
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019210664
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000140694
【氏名又は名称】株式会社加藤建設
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】濱田 良幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】内山 敬二
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩
(72)【発明者】
【氏名】鎌崎 祐治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌記
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-168890(JP,A)
【文献】特開2011-026802(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0189503(US,A1)
【文献】特開2008-297749(JP,A)
【文献】特開平10-147942(JP,A)
【文献】特開平09-221760(JP,A)
【文献】特開2008-297748(JP,A)
【文献】特開昭62-296061(JP,A)
【文献】特開2011-058172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 19/04
E02D 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面により内部空間が画成された中空セグメントを横方向および縦方向に連結して、少なくとも一部が水没した構造物との間に止水された空間を確保する止水壁構造体に取り付けられる止水プレートであって、
前記止水壁構造体の最下段に設けられている前記中空セグメントの下面に取り付けられ、前記止水壁構造体の自重により変形して前記止水壁構造体と該止水壁構造体が設置される設置面との間で水の通流を防ぐ止水体と、
前記下面に取り付けられるプレートと、
を備え
前記止水体の長手方向における両端面は、前記プレートに対して前記長手方向に傾斜している
ことを特徴とする止水プレート。
【請求項2】
記止水体は、前記プレートの長手方向における一端から他端にわたって延在していることを特徴とする請求項1に記載の止水プレート。
【請求項3】
前記両端面のうち一方の端面は、前記プレートに対して前記長手方向に突き出ており、他方の端面は、前記プレートに対して前記長手方向に引き込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の止水プレート。
【請求項4】
壁面により内部空間が画成された中空セグメントを横方向および縦方向に連結して、少なくとも一部が水没した構造物との間に止水された空間を確保する止水壁構造体であって、
最下段に設けられている前記中空セグメントの下面に取り付けられて、前記止水壁構造体の自重により変形して当該止水壁構造体が設置される設置面との間で前記横方向に並んで取り付けられて水の通流を防ぐ複数の止水プレートを備え
前記止水プレートは、前記下面に取り付けられるプレートと、
前記下面とは反対側の前記プレートの面に取り付けられて、前記プレートの長手方向における一端から他端にわたって延在する止水体と、
を有し、
前記止水体の長手方向における両端面は、前記プレートに対して長手方向に傾斜しており、
前記横方向に隣り合う前記止水プレートにおける止水体は、互いに前記端面同士が接触している
ことを特徴とする止水壁構造体。
【請求項5】
前記横方向に隣り合う前記止水プレートにおける前記止水体の互いに接触する端面は、互いに平行をなしていることを特徴とする請求項に記載の止水壁構造体。
【請求項6】
隣り合う前記止水プレート同士の連結箇所と、隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所とは、互いに前記横方向にずれていることを特徴とする請求項またはに記載の止水壁構造体。
【請求項7】
前記中空セグメントと前記止水プレートとの間で、かつ前記横方向に隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所にシール部材が設けられていることを特徴とする請求項からまでのいずれか一項に記載の止水壁構造体。
【請求項8】
前記縦方向に連結された前記中空セグメント同士の間で、かつ前記横方向に隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所にシール部材が設けられていることを特徴とする請求項からまでのいずれか一項に記載の止水壁構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空セグメントにより構築された止水壁構造体に取り付けられる止水プレート、および当該止水プレートを備えた止水壁構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川などの水中に構築された橋脚、河川、港湾および海岸沿いに構築された護岸等の構造体を補強・補修する場合、構造体の周りや、構造体の補強・補修する箇所付近にドライな作業空間を確保するために締切り工により止水壁を構築する必要がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-58172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、橋脚の周囲に止水壁cwを構築するためには、止水壁cwの壁部を構成する鋼板製のセグメントプレートspが用いられる。これらのセグメントプレートspは、台船に積載されており、図16に示すように、水上における橋脚blの部分に設置された吊り機械cmにより吊り上げられて、水中に吊り降ろされる。水中においたセグメントプレートspを水中において潜水作業者(以下、「潜水士」という。)が互いに連結したり固定したりすることにより、止水壁cwは組み立てられる。
このような止水壁cwの構築には、吊り機械cmのような大型の機械が必要になる上、構築作業の大部分が水中において潜水士により行われなければならない。潜水士による水中作業は、橋脚blの全周にわたって、かつ、高さ方向において止水壁cwが水面から出るまで続けなければならなかった。
また、止水壁cwが設置される設置面が凹凸を有する(不陸である)場合、橋脚blの補強・補修等の作業をするために橋脚と止水壁cwとの間にある水を排出してドライな作業空間wsを形成しても、最下位のセグメントプレートspと設置面との間の隙間から水が浸入してくる。したがって、セグメントプレートspと設置面との間の隙間を、コンクリート等を打設して止水部wcを形成して塞ぐ必要がある。止水部wcは、セグメントプレートspを設置面に対して固定しているため、止水壁cwの解体時には潜水士が止水部wcをはつる必要があった。
このように、従来の止水壁cwにおいては、構築・解体作業の際には潜水士による水中作業が必要となることが多く、潜水士への作業負担が大きく、また、作業コストが大きくなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、止水壁構造体を構成する中空セグメントに取り付けられて、止水壁構造体とその設置面との間で止水効果を発揮する止水プレート、および当該止水プレートを備えた止水壁構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、壁面により内部空間が画成された中空セグメントを横方向および縦方向に連結して、少なくとも一部が水没した構造物との間に止水された空間を確保する止水壁構造体に取り付けられる止水プレートであって、前記止水壁構造体の最下段に設けられている前記中空セグメントの下面に取り付けられ、前記止水壁構造体の自重により変形して前記止水壁構造体と該止水壁構造体が設置される設置面との間で水の通流を防ぐ止水体を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記下面に取り付けられるプレートを備え、前記止水体は、前記プレートの長手方向における一端から他端にわたって延在していることが好ましい。
【0008】
また、前記下面に取り付けられるプレートを備え、前記止水体の長手方向における両端面は、前記プレートに対して前記長手方向に傾斜していることが好ましい。
【0009】
また、前記両端面のうち一方の端面は、前記プレートに対して前記長手方向に突き出ており、他方の端面は、前記プレートに対して前記長手方向に引き込まれていることが好ましい。
【0010】
さらに、上記課題を解決するために、本発明は、壁面により内部空間が画成された中空セグメントを横方向および縦方向に連結して、少なくとも一部が水没した構造物との間に止水された空間を確保する止水壁構造体であって、最下段に設けられている前記中空セグメントの下面に取り付けられて、前記止水壁構造体の自重により変形して当該止水壁構造体が設置される設置面との間で水の通流を防ぐ止水プレートを備えることを特徴とする。
【0011】
また、最下段に設けられている前記中空セグメントの下面には複数の止水プレートが前記横方向に並んで取り付けられており、前記止水プレートは、前記下面に取り付けられるプレートと、前記下面とは反対側の前記プレートの面に取り付けられて、前記プレートの長手方向における一端から他端にわたって延在する止水体と、を備え、前記止水体の長手方向における両端面は、前記プレートに対して長手方向に傾斜しており、前記横方向に隣り合う前記止水プレートにおける止水体は、互いに前記端面同士が接触していることが好ましい。
【0012】
また、前記横方向に隣り合う前記止水プレートにおける前記止水体の互いに接触する端面は、互いに平行をなしていることが好ましい。
【0013】
また、隣り合う前記止水プレート同士の連結箇所と、隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所とは、互いに前記横方向にずれていることが好ましい。
【0014】
また、前記中空セグメントと前記止水プレートとの間で、かつ前記横方向に隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所にシール部材が設けられていることが好ましい。
【0015】
また、前記縦方向に連結された前記中空セグメント同士の間で、かつ前記横方向に隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所にシール部材が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、最下段の中空セグメントの下面に取り付けるだけで止水壁構造体と、当該止水壁構造体の設置面との間における止水を簡単に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る止水壁構造体の概略図である。
図2】止水壁構造体を構築する中空セグメントの直方セグメントの構成を説明するための図である。
図3】止水壁構造体を構築する中空セグメントの連結セグメントの構成を説明するための図である。
図4】止水壁構造体を構築する他の中空セグメントの直方セグメントの構成を説明するための図である。
図5】止水壁構造体を構築する他の中空セグメントの連結セグメントの構成を説明するための図である。
図6】止水壁構造体の最下段に設けられた環状構造体を下方からみた斜視図である。
図7】止水プレートの構成を説明するための図である。
図8】別の止水プレートの構成を説明するための図である。
図9】止水壁構造体の図2乃至図5の中空セグメントに管部材が取り付けられた状態を示す図である。
図10】止水壁構造体の平面概略図である。
図11】中空セグメントへの止水プレートの取付け方法を説明するための概略図である。
図12】止水壁構造体の構築方法を説明するための図である。
図13】止水壁構造体の構築方法を説明するための図である。
図14】止水壁構造体の構築方法を説明するための図である。
図15】止水プレートの止水効果を説明するための図である。
図16】従来の止水壁の構築方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施の形態をとりうる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る止水壁構造体の概略図である。図2は、中空セグメントの直方セグメントを内部が見える状態にして示す透視斜視図であり、(a)は直方セグメントを外側プレート側から見た斜視図であり、(b)は直方セグメントを内側プレート側から見た斜視図である。図3は、中空セグメントの連結セグメントを内部が見える状態にして示す透視斜視図であり、(a)は連結セグメントを外側プレート側から見た斜視図であり、(b)は連結セグメントを内側プレート側から見た斜視図である。図4は、他の中空セグメントの直方セグメントを内部が見える状態にして示す透視斜視図であり、(a)は直方セグメントを外側プレート側から見た斜視図であり、(b)は直方セグメントを内側プレート側から見た斜視図である。図5は、他の中空セグメントの連結セグメントを内部が見える状態にして示す透視斜視図であり、(a)は連結セグメントを外側プレート側から見た斜視図であり、(b)は連結セグメントを内側プレート側から見た斜視図である。図6は、止水壁構造体の最下段に設けられた環状構造体を下方からみた斜視図である。図7は、止水プレートの構成を説明するための図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。図8は、別の止水プレートの構成を説明するための図である。図9は、本発明の実施の形態に係る止水壁構造体の図2乃至図5に示す中空セグメントに管部材が取り付けられた状態を示す図である。
【0020】
<止水壁構造体>
止水壁構造体100は、例えば、図1に示すように、河川や海等の水中に立設された橋脚blの補強・補修を行う際に、橋脚blの周囲に作業空間wsを形成するために橋脚blを取り囲んで形成されている。止水壁構造体100は、複数の環状構造体(連結体)1を当該止水壁構造体100に対して高さ方向hに積み重ねて互いに連結して筒状に組み立てたものである。止水壁構造体100は、その高さ方向hにおいて最下段の環状構造体1の底面に止水プレート7を備える。
【0021】
[環状構造体]
環状構造体1は、高さ方向hにおいて止水壁構造体100の最下段に位置する環状構造体1Aと、当該環状構造体1Aに高さ方向hにおいて積み重ねて連結されていく環状構造体1Bとを有する。
環状構造体1Aは、中空セグメント10Aを横方向lに連結して平面視矩形状になるように構成されている。環状構造体1Bは、中空セグメント10Bを横方向lに連結して平面視矩形状になるように構成されている。
中空セグメント10Aには、略直方体状の直方セグメント2と、この直方セグメント2を互いに直角をなすようにコーナ部Cにおいて連結する連結セグメント4とがある。中空セグメント10Bには、略直方体状の直方セグメント6と、この直方セグメント6を互いに直角をなすようにコーナ部Cにおいて連結する連結セグメント8とがある。
なお、説明の便宜上、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8の長さ方向(横方向)を「l」、高さ方向(縦方向)を「h」、幅方向(厚さ方向)を「w」とする。
【0022】
図2に示すように、中空セグメント10Aの直方セグメント2は、壁面により内部空間S1が画成されている。直方セグメント2は、止水壁構造体100の外壁を形成する3枚の外側プレート21と、止水壁構造体100の内壁を形成する3枚の内側プレート22と、当該外側プレート21および当該内側プレート22の間の空間を覆う壁部とを有する。
壁部は、直方セグメント2をその高さ方向hにおいて上側から覆う上側プレート23と、下側から覆う下側プレート(下面)24と、直方セグメント2を長さ方向lにおいて側方から覆う2枚の側方プレート25とを有する。
直方セグメント2は、外側プレート21、内側プレート22、上側プレート23、下側プレート24、および側方プレート25により中空の内部空間S1が画成されて箱状に形成されている。直方セグメント2は、さらに、内部空間S1を高さ方向hに対して垂直に仕切る2枚の仕切プレート(仕切壁)26を有する。直方セグメント2は、3つの内部空間S1に等分に分割されつつも、各内部空間S1は、互いに繋がっている。
【0023】
外側プレート21は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って厚さ方向wに起伏して形成されている。
外側プレート21は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
【0024】
各内側プレート22は、各外側プレート21に対して平行に対向して配置されている。内側プレート22は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って厚さ方向wに起伏して形成されている。
高さ方向hにおいて上側に配置された内側プレート22には、直方セグメント2の外部と直方セグメント2の内部空間S1との間で空気等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、内側プレート22に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S1へ空気を供給するための、例えば、ホース等の管部材T1(図9参照。)が接続される接続部材V1と、を有する。接続部材V1は、給気・排気の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V1を開くと、外部と内部空間S1とは連通され、外部から内部空間S1への空気の供給が可能になると共に、内部空間S1から外部への空気の排出(排気)が可能になる。接続部材V1を閉じると、外部と内部空間S1との連通は遮断され、外部から内部空間S1への空気の供給は防がれる。
高さ方向hにおいて最下位に配置された内側プレート22には、直方セグメント2の外部と直方セグメント2の内部空間S1との間で水(液体)等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、内側プレート22に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S1へ水を供給するための、例えば、ホース等の管部材T2(図9参照。)が接続される接続部材V2と、を有する。接続部材V2は、給水・排水の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V2を開けば外部と内部空間S1とは連通され、外部から内部空間S1への水の注入が可能になると共に、内部空間S1から外部への水の排出(排水)が可能になる。接続部材V2を閉じれば外部と内部空間S1との連通は遮断され、外部から内部空間S1への水の流出入は防がれる。
【0025】
上側プレート23は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート21と内側プレート22との間の空間を高さ方向hにおいて上側から覆っている。上側プレート23は、長さ方向lにおいて外側プレート21および内側プレート22に沿って延在しており、幅方向wにおいて外側プレート21および内側プレート22から所定の長さだけ突出している。上側プレート23は、長さ方向lに沿って外側プレート21および内側プレート22と溶接されている。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート23の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔23aが等間隔に形成されている。貫通孔23aは、直方セグメント2と、当該直方セグメント2に重ねられる後述する直方セグメント6または連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔23aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔23aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
【0026】
下側プレート24は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート21と内側プレート22との間の空間を高さ方向hにおいて下側から覆っている。下側プレート24は、長さ方向lにおいて外側プレート21および内側プレート22に沿って延在しており、幅方向wに外側プレート21および内側プレート22から所定の長さだけ突出している。下側プレート24は、長さ方向lに沿って外側プレート21および内側プレート22と溶接されている。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート24の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔24aが等間隔に形成されている。貫通孔24aは、直方セグメント2に止水プレート7を連結するためのボルト(図11参照。)が挿通される。
突出部分の貫通孔24aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔24aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず)が形成されていてもよい。
【0027】
側方プレート25は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート21と内側プレート22との間の空間を側方(横方向l側)から覆っている。側方プレート25は、高さ方向hにおいて外側プレート21および内側プレート22に沿って延在しており、外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出している。側方プレート25は、高さ方向hに沿って外側プレート21および内側プレート22と溶接されている。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート25の部分には、高さ方向hに沿って複数の貫通孔25aが等間隔に形成されている。貫通孔25aは、直方セグメント2と、当該直方セグメント2に横方向lに隣接する直方セグメント2および連結セグメント4とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
【0028】
仕切プレート26は、平面視矩形の鋼板により形成されている。仕切プレート26は、高さ方向hにおいて隣接した、互いに対向する一対の外側プレート21および内側プレート22の間に設けられている。直方セグメント2は、2枚の仕切プレート26により、内部空間S1が三等分されている。
仕切プレート26は、長さ方向lにおいて外側プレート21および内側プレート22に沿って延在しており、外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した突出部分を有する。仕切プレート26は、長さ方向lに沿って外側プレート21および内側プレート22と溶接されており、かつ幅方向wに沿って側方プレート25と溶接されている。
仕切プレート26には、分割された内部空間S1同士を繋ぐ(連通させる)ための貫通孔26aが形成されている。なお、貫通孔26aが形成されている位置および数は、特に限定されない。
仕切プレート26の突出部分には、足場27を取り付けるために2つの取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
【0029】
図3に示すように、連結セグメント4は、互いに直交する位置関係にある直方セグメント2同士を連結する平面視L字状のものである。連結セグメント4は、壁面により内部空間S2が画成されている。連結セグメント4は、止水壁構造体100の外壁を形成する6枚の外側プレート41と、止水壁構造体100の内壁を形成する6枚の内側プレート42と、当該外側プレート41および当該内側プレート42の間の空間を覆う壁部とを有する。
壁部は、連結セグメント4をその高さ方向hにおいて上側から覆う平面視L字状の上側プレート43と、下側から覆う平面視L字状の下側プレート(下面)44と、連結セグメント4を側方から覆う2枚の側方プレート45とを有する。
連結セグメント4は、外側プレート41、内側プレート42、上側プレート43、下側プレート44および側方プレート45により中空の内部空間S2が画成されて平面視L字の箱状に形成されている。連結セグメント4は、さらに、内部空間S2を高さ方向hに対して垂直に仕切る2枚の仕切プレート(仕切壁)46を有する。連結セグメント4は、3つの内部空間S2に等分に分割されつつも、各内部空間S2は、互いに繋がっている。
【0030】
外側プレート41には3枚の第1プレート47と3枚の第2プレート48とがあり、第1プレート47および第2プレート48は、互いに連結部材を介して互いに直角をなすように連結されている。第1プレート47は、第2プレート48に対して長尺に構成されている。
各第1プレート47は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
各第1プレート47は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
【0031】
各第2プレート48は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
各第2プレート48は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
【0032】
各内側プレート42は、各外側プレート41に対して平行に対向して配置されている。内側プレート42には、3枚の第1プレート49と3枚の第2プレート50とがあり、第1プレート49および第2プレート50は、連結部材を介して互いに直角をなすように連結されている。第1プレート49は、第2プレート50に対して長尺に構成されている。
【0033】
各第1プレート49は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
各第1プレート49は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
各第2プレート50は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
各第2プレート50は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
高さ方向hにおいて上側に配置された第1プレート49には、連結セグメント4の外部と連結セグメント4の内部空間S2との間で空気等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、第1プレート49に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S2へ空気を供給するための、例えば、ホース等の管部材T1が接続される接続部材V1と、を有する。接続部材V1は、給気・排気の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V1を開くと、外部と内部空間S2とは連通され、外部から内部空間S2への空気の供給が可能になると共に、内部空間S2から外部への空気の排出(排気)が可能になる。接続部材V1を閉じると、外部と内部空間S2との連通は遮断され、外部から内部空間S2への空気の供給は防がれる。
なお、接続部材V1は、第1プレート49ではなく、第2プレート50に設けられていてもよい。
【0034】
高さ方向hにおいて最下位に配置された第1プレート49には、連結セグメント4の外部と連結セグメント4の内部空間S2との間で水(液体)等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、第1プレート49に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S2へ水を供給するための、例えば、ホース等の管部材T2が接続される接続部材V2と、を有する。接続部材V2は、給水・排水の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V2を開くと、外部と内部空間S2とは連通され、外部から内部空間S2への水の注入が可能になると共に、内部空間S2から外部への水の排出(排水)が可能になる。接続部材V2を閉じると、外部と内部空間S2との連通は遮断され、外部から内部空間S2への水の流出入は防がれる。
なお、接続部材V2は、第1プレート49ではなく、第2プレート50に設けられていてもよい。
【0035】
上側プレート43は、平面視L字状の鋼板により形成されており、外側プレート41と内側プレート42との間の空間を高さ方向hにおいて上側から覆っている。上側プレート43は、外側プレート41の第1プレート47および第2プレート48と、内側プレート42の第1プレート49および第2プレート50に沿って延在しており、外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出している。上側プレート43は、最上位に設けられた外側プレート41および内側プレート42と溶接されている。
外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート43の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔43aが等間隔に形成されている。貫通孔43aは、連結セグメント4と、当該連結セグメント4に重ねられる後述する直方セグメント6および連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔43aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔43aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
【0036】
下側プレート44は、平面視L字状の鋼板により形成されており、外側プレート41と内側プレート42との間の空間を高さ方向hにおいて下側から覆っている。下側プレート24は、外側プレート41の第1プレート47、第2プレート48、内側プレート42の第1プレート49および第2プレート50に沿って延在しており、外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出している。下側プレート24は、下側に設けられた外側プレート41および内側プレート42と溶接されている。
外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート44の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔44aが等間隔に形成されている。貫通孔44aには、止水プレート7を連結セグメント4に連結するためのボルト(図11参照。)が挿通される。
突出部分の貫通孔44aが形成されていな部分、例えば、隣り合う貫通孔44aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
【0037】
側方プレート45は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート41と内側プレート42との間の空間を側方から覆っている。側方プレート45は、高さ方向hにおいて外側プレート41および内側プレート42に沿って延在しており、外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出している。側方プレート45は、高さ方向hに沿って外側プレート41および内側プレート42と溶接されている。
【0038】
外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート45の突出部分には、高さ方向hに沿って複数の貫通孔45aが等間隔に形成されている。貫通孔45aは、長さ方向lに隣接して連結される直方セグメント2を連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
【0039】
仕切プレート46は、平面視L字形状の鋼板により形成されている。仕切プレート46は、高さ方向hにおいて隣接した、互いに対向する一対の外側プレート41および内側プレート42の間に設けられている。連結セグメント4は、2枚の仕切プレート46により、内部空間S2が三等分されている。
仕切プレート46は、長さ方向lに沿って外側プレート41の第1プレート47および第2プレート48、ならびに内側プレート42の第1プレート49および第2プレート50に沿って延在しており、外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した突出部分を有する。仕切プレート46は、長さ方向lに沿って外側プレート41および内側プレート42と溶接されており、かつ幅方向wに沿って側方プレート45と溶接されている。
仕切プレート46には、分割された内部空間S2同士を繋ぐ(連通させる)ための貫通孔46aが形成されている。なお、貫通孔46aが形成されている位置および数は、特に限定されない。
仕切プレート46の突出部分には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
【0040】
図4に示すように、中空セグメント10Bの直方セグメント6は、壁面により内部空間S3が画成されている。直方セグメント6は、止水壁構造体100の外壁を形成する2枚の外側プレート61と、止水壁構造体100の内壁を形成する2枚の内側プレート62と、当該外側プレート61および当該内側プレート62の間の空間を覆う壁部とを有する。
壁部は、直方セグメント6をその高さ方向hにおいて上側から覆う上側プレート63と、下側から覆う下側プレート64と、直方セグメント6を長さ方向lにおいて側方から覆う2枚の側方プレート65とを有する。
直方セグメント6は、外側プレート61、内側プレート62、上側プレート63、下側プレート64、および側方プレート65により中空の内部空間S3が画成されて箱状に形成されている。直方セグメント6は、さらに、内部空間S3を高さ方向hに対して垂直に仕切る1枚の仕切プレート(仕切壁)66を有する。直方セグメント6は、2つの内部空間S3に等分に分割されつつも、各内部空間S3は、互いに繋がっている。
【0041】
外側プレート61は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って厚さ方向wに起伏して形成されている。
外側プレート61は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
【0042】
各内側プレート62は、各外側プレート61に対して平行に対向して配置されている。内側プレート62は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って厚さ方向wに起伏して形成されている。
内側プレート62は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
高さ方向hにおいて最上位に配置された内側プレート62は、接続部材V1を有し、高さ方向hにおいて最下位に配置された内側プレート62は、接続部材V2を有する。各接続部材V1,V2は、直方セグメント2における接続部材V1,V2と同じ機能を有する。内側プレート62は、直方セグメント2の内側プレート22と同じ構成を有する。
【0043】
上側プレート63は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート61と内側プレート62との間の空間を高さ方向hにおいて上側から覆っている。
外側プレート61および内側プレート62から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート63の突出部分に形成された貫通孔63aには、直方セグメント6と、当該直方セグメント6に重ねられる直方セグメント6または連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
隣り合う貫通孔63aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されてもよい。上側プレート63は、直方セグメント2の上側プレート23と同じ構成を有する。
【0044】
下側プレート64は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート61と内側プレート62との間の空間を高さ方向hにおいて上側から覆っている。
外側プレート61および内側プレート62から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート64の突出部分に形成された貫通孔64aには、直方セグメント6と、当該直方セグメント6の下側の直方セグメント2,6または連結セグメント4,8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
隣り合う貫通孔64aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。下側プレート64は、直方セグメント2の下側プレート24と同じ構成を有する。
【0045】
側方プレート65は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート61と内側プレート62との間の空間を側方から覆っている。
外側プレート61および内側プレート62から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート65の突出部分に形成された貫通孔65aには、直方セグメント6と、当該直方セグメント6に横方向lに隣接する直方セグメント6および連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。側方プレート65は、直方セグメント2の側方プレート25と同じ構成を有する。
【0046】
仕切プレート66は、平面視矩形の鋼板により形成されている。仕切プレート66は、高さ方向hにおいて隣接した、互いに対向する一対の外側プレート61および内側プレート62の間に設けられている。直方セグメント6は、1枚の仕切プレート66により、内部空間S3が二等分されている。仕切プレート66には、分割された内部空間S3同士を繋ぐ(連通させる)ための貫通孔66aが形成されている。なお、貫通孔66aが形成されている位置および数は、特に限定されない。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した仕切プレート66の突出部分には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。仕切プレート66は、直方セグメント2の仕切プレート26と同じ構成を有する。
【0047】
図5に示すように、連結セグメント8は、互いに直交する位置関係にある直方セグメント6同士を連結する平面視L字状のものである。連結セグメント8は、壁面により内部空間S4が画成されている。連結セグメント8は、止水壁構造体100の外壁を形成する4枚の外側プレート81と、止水壁構造体100の内壁を形成する4枚の内側プレート82と、当該外側プレート81および当該内側プレート82の間の空間を覆う壁部とを有する。
壁部は、連結セグメント8をその高さ方向hにおいて上側から覆う平面視L字状の上側プレート83と、下側から覆う平面視L字状の下側プレート84と、連結セグメント8を側方から覆う2枚の側方プレート85とを有する。
連結セグメント8は、外側プレート81、内側プレート82、上側プレート83、下側プレート84および側方プレート85により中空の内部空間S4が画成されて箱状に形成されている。連結セグメント8は、さらに、内部空間S4を高さ方向hに対して垂直に仕切る1枚の仕切プレート(仕切壁)86を有する。連結セグメント8は、2つの内部空間S4に等分に分割されつつも、各内部空間S4は、互いに繋がっている。
【0048】
外側プレート81には2枚の第1プレート87と2枚の第2プレート88とがあり、第1プレート87および第2プレート88は、互いに連結部材を介し、互いに直角をなすように連結されている。第1プレート87は、第2プレート88に対して長尺に構成されている。
各第1プレート87および第2プレート88は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。外側プレート81は、連結セグメント4の外側プレート41と同じ構成を有する。外側プレート81は、連結セグメント4の外側プレート41と同じ構成を有する。
【0049】
内側プレート82は、2枚の第1プレート89と2枚の第2プレート90とがあり、第1プレート89および第2プレート90は、連結部材を介して互いに直角をなすように連結されている。第1プレート89は、第2プレート90に対して長尺に構成されている。
各第1プレート89および第2プレート90は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
【0050】
各内側プレート82は、各外側プレート81に対して平行に対向して配置されている。内側プレート82は、高さ方向hにおいて上側に配置された第1プレート89に接続部材V1を有し、高さ方向hにおいて下側に配置された第1プレート89は、接続部材V2を有する。各接続部材V1,V2は、連結セグメント4における接続部材V1,V2と同じ機能を有する。内側プレート82は、連結セグメント4の内側プレート42と同じ構成を有する。
なお、接続部材V1および接続部材V2は、第1プレート89ではなく、第2プレート90に設けられていてもよい。
【0051】
上側プレート83は、平面視L字形状の鋼板により形成されており、外側プレート81と内側プレート82との間の空間を高さ方向hにおいて上側から覆っている。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート83の突出部分に形成された貫通孔83aには、連結セグメント8と、当該連結セグメント8に重ねられる直方セグメント6または連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔83aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔83aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。上側プレート83は、連結セグメント4の上側プレート43と同じ構成を有する。
【0052】
下側プレート84は、平面視L字形状の鋼板により形成されており、外側プレート81と内側プレート82との間の空間を高さ方向hにおいて下側から覆っている。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート84の突出部分に形成された貫通孔84aには、連結セグメント8と、当該連結セグメント8の下側の直方セグメント2,6または連結セグメント4,8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔84aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔84aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。下側プレート84は、連結セグメント4の下側プレート44と同じ構成を有する。
【0053】
側方プレート85は、平面視矩形状の鋼板により形成されており、外側プレート81と内側プレート82との間の空間を側方から覆っている。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート85の突出部分に形成された貫通孔85aには、連結セグメント8と、当該連結セグメント8に横方向lに隣接する直方セグメント6とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。側方プレート85は、連結セグメント4の側方プレート45と同じ構成を有する。
【0054】
仕切プレート86は、平面視L字形状の鋼板により形成されている。仕切プレート86は、高さ方向hにおいて隣接した、互いに対向する一対の外側プレート81および内側プレート82の間に設けられている。連結セグメント8は、1枚の仕切プレート86により、内部空間S4が二等分されている。仕切プレート86には、分割された内部空間S4同士を繋ぐ(連通させる)ための貫通孔86aが形成されている。なお、貫通孔86aが形成されている位置および数は、特に限定されない。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した仕切プレート86の突出部分には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。仕切プレート86は、連結セグメント4の仕切プレート46と同じ構成を有する。
【0055】
図6に示すように、複数の止水プレート7が、高さ方向hにおいて止水壁構造体100の最下段に設けられる環状構造体1Aの底面、具体的には、下側プレート24,44に取り付けられている。
止水プレート7には、環状構造体1Aにおいて直線部に対応する平面視矩形状の止水プレート70と、コーナ部Cに対応する平面視L字形の止水プレート75とがある。横方向lにおいて隣り合う止水プレート70同士の連結箇所(位置)、および止水プレート70と止水プレート75との連結箇所(位置)は、直方セグメント2同士(側方プレート25同士)の連結箇所(位置)、および直方セグメント2(側方プレート25)と連結セグメント4(側方プレート45)との連結箇所(位置)とは整合していない。つまり、各止水プレート70,75同士の連結箇所と、直方セグメント2および連結セグメント4同士の連結箇所とは、横方向lにおいて互いにずらされている(千鳥状に配置されている。)。
【0056】
図7(a)に示すように、止水プレート70は、環状構造体1Aに取り付けられるプレート71と、当該プレート71に設けられた止水体73と、を備える。
プレート71は、平面視矩形の鋼板により形成されている。プレート71の幅方向wにおける両端部には長さ方向lに沿って複数の貫通孔71aが形成されている。プレート71の貫通孔71aは、最下段の環状構造体1Aにおける直方セグメント2および連結セグメント4の下側プレート24,44に形成された貫通孔24a,44aと整合して、プレート71を各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けるためのボルトB(図11参照。)が挿通される。
【0057】
止水体73は、プレート71の一方の面、具体的には、プレート71が各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けられた場合、当該直方セグメント2および連結セグメント4とは反対側を臨む面に設けられている。
止水体73は、平面視I字形状、横断面視略四角形状および縦断面視略平行四辺形状の、例えば、ゴムスポンジ等により形成されている。止水体73は、プレート71の幅方向wにおいて中央に設けられ、プレート71の長さ方向lに沿って当該取付けプレート71の一端から他端にわたって延在している。
図7(b)に示すように、長さ方向lにおける止水体73の端面73a,73bは、互いに略平行をなしてプレート71の面71bに対して長さ方向(長手方向)lに傾斜している。図において左側の端面73aは、プレート71の側に引き込んでおり、図において右側の端面73bは、プレート71から離れるように突き出ている。
【0058】
図8に示すように、止水プレート75は、環状構造体1Aに取り付けられるプレート76と、当該プレート76に設けられた止水体78とを備える。
プレート76は、平面視L字形の鋼板により形成されている。プレート76の幅方向wにおける両端部には長さ方向lに沿って複数の貫通孔76aが形成されている。プレート76の貫通孔76aは、最下段の環状構造体1Aにおける直方セグメント2および連結セグメント4の下側プレート24,44に形成された貫通孔24a,44aと整合して、プレート76を各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けるためのボルトB(図11参照。)が挿通される。
止水体78は、プレート76の一方の面、具体的には、各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けられた場合、当該直方セグメント2および連結セグメント4とは反対側を臨む面に設けられている。
【0059】
止水体78は、平面視L字形状、横断面視略四角形および縦断面視略平行四辺形状の、例えば、ゴムスポンジにより形成されている。止水体78は、プレート76の幅方向wにおいて中央に設けられ、プレート76の長さ方向lに沿って延在して、途中で直角に折れ曲がるようにして、当該プレート76の一端から他端にわたって延在している。
長さ方向lにおける止水体78の端面78a,78bは、プレート76に対して長さ方向lに傾斜している。図において左側の端面78aは、プレート76側に引っ込んでおり、図において右側の端面78bは、プレート76から離れるように突き出ている。
止水体73同士、又は止水体73と止水体78とが横方向lに隣り合う場合、止水体73,78それぞれの端面73a,73b,78a,78b同士は互いに略平行をなして接触するようになる。
【0060】
直方セグメント2,6および連結セグメント4,8と止水プレート70,75との間にシール部材Se(図11参照。)が設けられている。より具体的には、シール部材Seは、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8と止水プレート70,75との間であって、横方向lに隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所の下方に設けられている。
さらに、シール部材Seは、高さ方向hにおいて隣接する直方セグメント2,6と、連結セグメント4,8との間および連結セグメント4,8同士の間であって、横方向lに隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所の上方に設けられている。
シール部材Seは、横方向lに隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所の上方および下方に設けられている。
シール部材Seは、隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所への水の浸入を防ぐものであり、合成ゴムや合成樹脂等により形成された弾性部材である。シール部材Seは、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8の幅方向wに亘って延在している。
【0061】
図9に示すように、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8を互いに長さ方向lに連結させて環状構造体1A,1Bが形成された状態において、環状構造体1A,1Bの周方向に沿って2つの管部材T1,T2が設けられる。
管部材T1は、通流部のそれぞれに取り付けられた接続部材V1に着脱自在に連結される複数の連結部T1aと、外部に通じかつ吸排気を可能にする少なくとも1つの給排部T1bとを有している。
管部材T2は、通流部のそれぞれに取り付けられた接続部材V2に着脱自在に連結される複数の連結部T2aと、外部に通じかつ給排水を可能にする少なくとも1つの給排部T2bとを有している。
【0062】
高さ方向hにおいて隣り合って上下に重ねられる直方セグメント2,6の側方プレート25,65および連結セグメント4,8の側方プレート45,85は、環状構造体1A,1Bの周方向においてずれた位置にある。つまり、上下に隣接する直方セグメント2,6および連結セグメント4,8は、互いに千鳥状に配置されている。
【0063】
<止水壁構造体の構築方法>
次に、図10乃至図14を用いて、本発明の実施の形態に係る止水壁構造体100の構築・解体方法について説明する。図10は、止水壁構造体の平面概略図である。図11は、中空セグメントへの止水プレートの取付け方法を説明するための概略図である。図12乃至図14は、本発明の実施の形態に係る止水壁構造体の構築方法を説明するための図である。
例えば、河川や海等の水中に立設された橋脚blの補強・補修を行う際には、一時的に橋脚blの周囲にドライな作業空間wsを確保する必要がある。作業空間wsを確保する仮設工法を、一般的に水中締切または仮締切と呼び、本発明では特に締切工法と呼ばれている。止水壁構造体100は、締切工法において使用される。
一般に、締切工法により形成される止水壁構造体100は、河川や海等の設備環境によっても異なるが、周囲の水による静水圧、水の流れによる流水圧、波による波圧等に対する十分な強度および止水性能が必要とされている。
図10に示すように、止水壁構造体100の構築前に、橋脚blに対して所定の間隔をあけて橋脚blの周囲に鋼製の縦枠9を水底部に打ち込む。次いで、縦枠9と橋脚blとの間に切梁91を設置する。
【0064】
次いで、中空セグメント10A,10Bを積載した台船から、まず、直方セグメント2および連結セグメント4を水面wl上に降ろす前に、直方セグメント2および連結セグメント4に止水プレート70,75を取り付ける。
図11(a)に示すように、例えば、直方セグメント2の下側プレート24の端と、止水プレート70のプレート71の端とが一致しないように互いにずらして、下側プレート24の貫通孔24aと、プレート71の貫通孔71aを合わせ、ボルトBおよびナットNにより直方セグメント2に止水プレート70のプレート71を取り付ける。
直方セグメント2に取り付けられたプレート71の一部は、直方セグメント2から長さ方向lに突出した状態になっている。換言すると、直方セグメント2の下側プレート24の一部は、プレート71によって覆われていない状態になっている。直方セグメント2の一方の側方プレート25とプレート71とは、それぞれの面同士が互いに交差する位置関係にある。
直方セグメント2と止水プレート70とを連結する前に、直方セグメント2と止水プレート70と間にはシール部材Seを設置する。シール部材Seは、直方セグメント2から長さ方向に一部突出した状態になっている。つまり、シール部材Seは、直方セグメント2から突出していない部分においては、直方セグメント2と止水プレート70との間に挟まれて圧潰された状態にある。
【0065】
また、連結セグメント4の下側プレート44の端と、止水プレート75のプレート76の端とが一致しないように互いにずらして、下側プレート44の貫通孔44aと、プレート76の貫通孔76aとを合わせ、ボルトBおよびナットNにより連結セグメント4に止水プレート75のプレート76を取り付ける。なお、連結セグメント4にプレート76を取り付ける場合、連結セグメント4の直角の角部とプレート76の直角の角部とを合わせる。
【0066】
連結セグメント4と止水プレート75とを連結する前に、連結セグメント4と止水プレート75と間にも同様にシール部材Seを設置する。
【0067】
次に、図11(b)に示すように、プレート71を取り付けた直方セグメント2(およびプレート76を取り付けた連結セグメント4)を水面に浮かべ、互いに接近させる。
ここで、直方セグメント2および連結セグメント4の各内部空間S1,S2は、外部に対して密に構成されている。つまり、直方セグメント2および連結セグメント4を水面wl上に降ろしても、直方セグメント2および連結セグメント4は、完全に水没することなく浮かんだ状態を維持する。
水面wl上に降ろした直方セグメント2および連結セグメント4を、橋脚blを囲むようにして横方向lに互いに連結して環状構造体1Aを構築する。具体的には、作業者が水面wl上に浮かんでいる複数の直方セグメント2および連結セグメント4の側方プレート25,45同士を互いの貫通孔25a,45aが整合するように当接させ、貫通孔25a,45aにボルトを挿通しナットをボルトに締結することにより、横方向lにおいて互いに隣接する直方セグメント2および連結セグメント4を連結する。
【0068】
さらに、図11(c)に示すように、例えば、横方向lに互いに隣接する直方セグメント2および連結セグメント4を互いに連結する際には、例えば、一方の直方セグメント2から突出しているプレート71の部分およびシール部材Seに、他方の直方セグメント2においてプレート71によって覆われていない下側プレート24の部分を載せる。互いに隣接する直方セグメント2の下側プレート24の貫通孔24aに、止水プレート70のプレート71の貫通孔71aを整合させて、ボルトBおよびナットNにより直方セグメント2に止水プレート70のプレート71を取り付ける。当該作業は、潜水士により行われる。
直方セグメント2の止水プレート70と、連結セグメント4の止水プレート75との連結も同様に行う。
この作業を横方向lにおいて繰り返すことにより、止水壁構造体100の最下段に設けられる環状構造体1Aを構築する。なお、環状構造体1Aの周方向に隣り合う止水プレート70,75同士の連結箇所は、直方セグメント2および連結セグメント4同士の連結箇所に対して周方向(横方向l)にずらされている(千鳥状に配置されている。)。
【0069】
次いで、直方セグメント2および連結セグメント4の内側プレート22,42に設けられた各通流部の接続部材V1に管部材T1を接続し、各通流部の接続部材V2に管部材T2を接続する。なお、管部材T1,T2の図示は、図面を見やすくするために、図12乃至図14においては省略した。
【0070】
次いで、図12(a)に示すように、最初に水面wl上にて構築した環状構造体1Aに足場27を取り付ける。なお、環状構造体1Aは、それ自体の浮力により水面wlから一部浮き出た状態を維持するので、足場27は取り付けられていなくてもよい。
図12(b)に示すように、水面wl上に浮いた状態にある環状構造体1Aの上に、直方セグメント6および連結セグメント8を積み重ねて環状構造体1Aに連結しつつ、横方向lに連結して環状構造体1Bを構築する。
環状構造体1Aに対する直方セグメント6および連結セグメント8の連結は、直方セグメント2および連結セグメント4の上側プレート23,43における貫通孔23a,43aと、直方セグメント6および連結セグメント8の下側プレート64,84における貫通孔64a,84aとを整合させ、ボルトを挿通してナットを取り付けることにより行う。
ここで、環状構造体1A上への直方セグメント6および連結セグメント8は、直方セグメント6および連結セグメント8の重量により環状構造体1Aが傾かないように、環状構造体1A上で対向する位置に設置していくことが好ましい。
【0071】
環状構造体1Aに連結された直方セグメント6および連結セグメント8は、隣り合う直方セグメント6および連結セグメント8と、それぞれの側方プレート65,85の貫通孔65a,85aが整合している。互いに整合した貫通孔65a,85aにボルトを挿通しナットをボルトに締結することにより、横方向lに隣接する直方セグメント6および連結セグメント8は、互いに連結されて環状構造体1Bが構築される。これにより、環状構造体1Aに対して環状構造体1Bが連結される。
ここで、直方セグメント6および連結セグメント8の内側プレート62,82に設けられた各接続部材V1にも管部材T1を接続し、各接続部材V2にも管部材T2を接続する。
【0072】
上記工程を繰り返して、図13(a)に示すように、構築された環状構造体1Bの上に、別の環状構造体1Bを構築していく。環状構造体1Bを複数段にわたって積み重ねると、環状構造体1Bは、その内部空間S3,S4内に存在する空気により浮遊した状態になる。この状態において一部の環状構造体1Bは、水面wl上から所定の高さに達する。「所定の高さ」とは、例えば、積み重ねられた環状構造体1Bにより水面wl上に作業スペース(環状構造体1を積み重ねるスペース)が確保できない高さ、または構築作業が高所作業となる高さである。
【0073】
作業スペースを確保すべく、図13(b)に示すように、環状構造体1Aにおける直方セグメント2および連結セグメント4の接続部材V2に接続された管部材T2の給排部T2bを通じて、直方セグメント2および連結セグメント4内に外部から水waを注入する。
【0074】
直方セグメント2の仕切プレート26により分割された内部空間S1同士は、貫通孔26aにより互いに繋がれ、連結セグメント4の仕切プレート46により分割された内部空間S2同士は、貫通孔46aにより互いに繋がれているので、各直方セグメント2および連結セグメント4の内部空間S1,S2は水waにより満たされる。内部空間S1,S2にあった空気は、管部材T1の給排部T1bを通じて外部に排出される。
環状構造体1Aは、直方セグメント2および連結セグメント4の自重および水waの重量により水中に沈む。環状構造体1Aの沈降に伴い、重ねて連結された環状構造体1Bも沈降し、水面wl上にある環状構造体1Bが水中に沈む。かくして、水面wl上における作業スペースが新たに形成される。
【0075】
再度、作業スペースが確保できない高さまで環状構造体1Bが積み重ねられた場合には、図14(a)に示すように、下側に配置されている環状構造体1Bから順に注水して、作業スペースを再度形成する。この作業を、図14(b)に示すように、環状構造体1Aの下側プレート24,44に取り付けられた止水プレート70,75の止水体73,78が水底(設置面gf)または橋脚blのフーチング(設置面gf)に到達するまで繰り返す。
最終的に、内部空間S3,S4が水waで満たされていない全ての直方セグメント6および連結セグメント8に注水する。これにより、止水壁構造体100は、全体としてその内部が水waにより満たされている。
【0076】
止水壁構造体100の構築後、橋脚blの周囲に間隔を介して取り囲むように形成された止水壁構造体100の内側空間の水waをポンプ等で排水することにより、橋脚blの周囲に乾燥したドライ空間の作業空間wsを提供する。かくして、止水壁構造体100が構築される。
作業空間wsが確保された後、高さ方向hにおいて隣接する足場27間に、止水壁構造体100の周方向における所定の位置で階段27lを設置する。これにより、異なる高さ位置に設置されている足場27への移動が可能になる。
なお、管部材T1,T2は、ドライ空間の作業空間wsが確保された場合、止水壁構造体100に取り付けられたままであってもよく、また、作業空間wsを確保するため水waをポンプ等により排水する過程において、各接続部材V1,V2から適宜取り外してもよい。
【0077】
止水壁構造体100において内壁側には、構築時に取り付けた足場27が取り付けられたままになっているので、作業員は、当該足場27を使ってドライ空間として確保された作業空間wsを、上下左右に自由に移動しながら、橋脚blの補修作業を実施する。
【0078】
作業空間wsを活用して、橋脚blの補強・補修作業が終了した後、止水壁構造体100を解体する。作業空間wsに水waを入れた後、止水壁構造体100の上から順に環状構造体1Bに除去していく。管部材T1,T2が取り外されている場合には、各接続部材V1,V2に管部材T1,T2を取り付ける。
まず、環状構造体1Bの直方セグメント6および連結セグメント8の各内部空間S3,S4内に、管部材T1の給排部T1bを介して外部から空気を送り込み、内部空間S3,S4内の水waを管部材T2(または通流部)を介して外部に排水する。なお、各内部空間S3,S4が管部材T1の給排部T1bを介して外部と連通されていれば、管部材T2(または通流部)を介して内部空間S3,S4内の水waを吸引して外部に排水するようにしてもよい。
この作業を所定の回数、繰り返すことにより、互いに連結された環状構造体1Aおよび環状構造体1Bが浮上し始める。
【0079】
次いで、水面wl上に浮き上がってきた環状構造体1Bにおける直方セグメント6および連結セグメント8の連結状態を解除して、直方セグメント6および連結セグメント8をそれぞれ除去する。直方セグメント6および連結セグメント8を除去することにより、水中から別の環状構造体1Bが水面wl上に浮き上がってくる。この作業を繰り返し行い、環状構造体1Bが浮き上がってこなくなった場合には、再度、環状構造体1Bに空気を注入して、内部空間S3,S4内の水waを外部に排水する。
【0080】
最終的に、環状構造体1Aを形成する直方セグメント2および連結セグメント4の内部空間S1,S2から水waを排出して、環状構造体1Aを浮き上がらせ、水面wl上にて直方セグメント2および連結セグメント4を、互いの連結状態を解除した後、撤去することで止水壁構造体100の解体が終了する。
【0081】
以上のような止水プレート7(70,75)を備えた止水壁構造体100によれば、止水壁構造体100とその設置面gfとの間、および隣り合う止水プレート70,75間に高い止水効果を簡単に達成することができる。
最下段の環状構造体1Aが止水壁構造体100の設置面gfに到達することにより、止水プレート70,75の止水体73,78が設置面gfに接触する。図15(a)に示すように、例えば、横方向lに隣り合う止水プレート70の止水体73同士は、それぞれの端面73a,73bにおいて接触している。
図15(b)に示すように、止水プレート70が設置面gfに接触すると、止水プレート70には、積み重ねられた環状構造体1A,1Bおよび注水された水waの重みにより、設置面gfに対して垂直な力Fが働く。止水体73は、力Fにより(弾性)変形して設置面gfに対し密着する。設置面gfが不陸である場合、止水体73が変形して、凹凸のある設置面gfに密着することができる。
また、力Fにより、横方向lにおいて互いに接触する止水体73同士の端面73aと端面73bに対しては垂直な力F′が互いに向かって働く。互いに接触する端面73a,73b同士は略平行をなしているので、垂直な力F′と相俟って、端面73a,73b同士の密着度が高まることになる。止水体73および止水体78同士の接触においても、互いに接触する端面73a,73b,78a,78b同士は互いに略平行をなしているので、垂直な力F′と相俟って、端面73a,73b,78a,78b同士の密着度が高まることになる。
【0082】
また、シール部材Seが、直方セグメント2および連結セグメント4と止水プレート70,75との間で、直方セグメント2および連結セグメント4同士の連結箇所の下方に設けられて、少なくとも当該連結箇所への水の浸入を防いでいる。さらに、シール部材Seは、直方セグメント2および連結セグメント4同士の連結箇所の上方、ならびに直方セグメント6および連結セグメント8同士の連結箇所の上下にも設けられている。
これにより、止水プレート70,75による止水壁構造体100と設置面gfとの間の止水に加えて、直方セグメント2および連結セグメント4と止水プレート70,75との間における止水、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所における止水が達成される。かくして、止水壁構造体100は、全体として高い止水効果を奏することができる。
【0083】
また、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所は、上下に隣接する直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所に対して、長さ方向lにおいてずれている。つまり、上下に隣接する直方セグメント2,6および連結セグメント4,8は、互いに千鳥状に配置されて、横方向lにおける連結箇所も千鳥状になっているので、止水プレート70,75、シール部材Seの存在と相俟って、止水壁構造体100の止水効果はさらに高くなっている。
【0084】
また、止水プレート7(70,75)は、止水壁構造体100の重量による力Fにより、設置面gfに対して押し付けられるだけで、止水壁構造体100と設置面gfとの間における止水を達成している。したがって、止水壁構造体100は、図16に示した従来の止水壁cwのように、コンクリート等により形成された止水部wcにより設置面gfに固定されていないので、各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8に空気を供給し、内部の水waを外部に排出して、止水壁構造体100の重量が減少すれば、最下段の環状構造体1Aは設置面gfから浮き上がるようになる。かくして、止水壁構造体100を簡単に解体することができる。
【0085】
止水壁構造体100は、箱状の中空セグメント10A(直方セグメント2および連結セグメント4)および中空セグメント10B(直方セグメント6および連結セグメント8)を用いて構築されているので、例えば、ライナープレートにより構築された従来の止水壁と比べて、静水圧、流水圧、波圧等に対する強度が向上している。これにより、止水壁構造体100を内側から支える切梁91の数を減らすことができ、作業空間wsを広く確保することができる。
【0086】
また、止水壁構造体100は、平面視矩形の環状構造体1A,1Bを用いて構築されているので、平面視円形、楕円形等の円形の環状構造体に比べて橋脚blとの間の作業空間wsを大きく確保することができる。
【0087】
また、止水壁構造体100を構築する全ての環状構造体1A,1Bは、各中空セグメント10A,10Bの内部空間S1~S4が水waにより満たされているので、止水壁構造体100の強度および安定性を容易に増大させることができる。
【0088】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、上記の実施の形態においては、中空セグメント10A,10Bにおける内部空間S1~S4は、仕切プレート26,46,66,86により複数段に区切られて形成されているが、各中空セグメント10A,10Bの静水圧、流水圧、波圧等に対する強度が十分であれば、仕切プレート26,46,66,86を設けなくてもよい。
【0089】
また、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8における外側プレート21,41,61,81および内側プレート22,42,62,82は1枚であってもよく、この場合、仕切プレート26,46,66,86は設けられていない。中空セグメント10A,10Bの高さ方向hにおける寸法は、外側プレート21,41,61,81および内側プレート22,42,62,82の枚数により適宜変更される。
【0090】
また、上記の実施の形態において、通流部は、内側プレート22,42,62,82に形成されているが、外側プレート21,41,61,81に形成されていてもよい。
【0091】
また、上記の実施の形態においては、各環状構造体1A,1Bにそれぞれ管部材T1,T2が設けられていたが、各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8における各通流部(接続部材V1,V2)それぞれに直接、管部材T1,T2の給排部T1b,T2bを取り付けてもよい。
【0092】
また、上記の実施の形態においては、各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8における内部空間S1~S4は互いに独立していた。しかし、例えば、横方向lに連結された各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8の内部空間S1~S4同士を、側方プレート25,45,65,85に貫通孔を形成して互いに連通させ、また、高さ方向hに連結された各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8の内部空間S1~S4同士を、上側プレート23,43,63,83および下側プレート64,84に貫通孔を形成して互いに連通させてもよい。
この場合、通流部は、環状構造体1A,1Bの周方向において、例えば、互いに対向する位置の直方セグメント2,6および連結セグメント4,8に設けられていればよい。これにより、内部空間S1~S4への注水時に、環状構造体1A,1Bが一方の側に過度に傾くことを防ぐことができる。
【0093】
また、上記の実施の形態においては記載していないが、各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結部分には、止水を目的としてシール部材(図示せず。)が設けられている。つまり、各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8においては、上側プレート23,43,63,83、下側プレート24,44,64,84および側方プレート25,45,65,85の壁面にシール部材が取り付けられている。
【0094】
また、上記の実施の形態においては、管部材T2を介して各中空セグメント10A,10Bにおける内部空間S1~S4に水waを供給したが、水wa以外の液体であってもよい。具体的には、液体が注入された中空セグメント10A,10B全体としての見かけの比重が、止水壁構造体100が構築される水または海水等の比重よりも大きくなる液体であればよい。
【0095】
また、上記の実施の形態においては、止水壁構造体100は、平面視矩形状の環状構造体1A,1Bにより平面視矩形状に形成されていたが、止水壁構造体100の平面視形状は、これに限られず、例えば、三角形又は五角形以上の平面視多角形状であってもよい。この場合、各直方セグメント2,6および連結セグメント4,8を、止水壁構造体100の平面視形状に応じて適宜設計変更すればよい。
【0096】
また、上記の実施の形態においては、止水壁構造体100は、環状構造体1A,1Bにより形成されていたが、例えば、岸壁構造物において一部を補修等する場合、中空セグメント10A,10Bを岸壁構造物に対して平面視U字状、C字状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1A,1B 環状構造体(連結体)
2,6 直方セグメント
4,8 連結セグメント
7(70,75) 止水プレート
71,76 プレート
73,78 止水体
73a,78a 端面
73b,78b 端面
Se シール部材
10A,10B 中空セグメント
100 止水壁構造体
l 横方向(長手方向)
h 縦方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16