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特許7111530車両の遠隔操作システム、車両制御装置、車両及び遠隔操作の開始タイミングを報知する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】車両の遠隔操作システム、車両制御装置、車両及び遠隔操作の開始タイミングを報知する方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220726BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 311A
G08G1/09 V
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018122902
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020005123
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】香川 正和
(72)【発明者】
【氏名】平山 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 直輝
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-301963(JP,A)
【文献】国際公開第2017/215841(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/037945(WO,A1)
【文献】特開2004-171159(JP,A)
【文献】特開2002-197596(JP,A)
【文献】特開2008-262418(JP,A)
【文献】特開2018-001978(JP,A)
【文献】特開2016-028927(JP,A)
【文献】国際公開第2018/087879(WO,A1)
【文献】特開2017-182557(JP,A)
【文献】特開2018-077649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/192423(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107505944(CN,A)
【文献】特表2019-522283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置(12)を有し自動運転が可能な複数の車両(10、10a)と、複数の前記車両と通信可能であり前記車両から遠隔操作の要求を受けて前記遠隔操作を実行する管制センタ(90)と、を備える遠隔操作システム(100、100a)であって、
前記管制センタは、前記要求のタイミングを用いて前記車両に対する前記遠隔操作の開始タイミングを決定して前記車両に送信する決定部(63)を備え、
前記車両は、
前記管制センタに前記遠隔操作を要求する要求部(44)と、
前記車両内に向けて情報を報知する報知装置(24)と、
決定された前記開始タイミングを取得して、前記開始タイミングを含む遠隔操作待ち情報を前記報知装置に報知させる報知制御部(45、45a)と、を備える、
遠隔操作システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔操作システムであって、
前記車両は、更に、前記車両の外部状況を画像情報として取得する画像取得部(16)を備え、
前記決定部は、更に、前記遠隔操作の開始待ちである前記車両よりも前記開始タイミングが早い前記車両である先行操作車両において取得された前記画像情報を前記先行操作車両から取得して前記遠隔操作の開始待ちの前記車両に送信し、
前記報知制御部は、更に、前記先行操作車両において取得された前記画像情報を取得して、前記遠隔操作待ち情報として前記報知装置に報知させる、遠隔操作システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔操作システムであって、
前記車両は、更に、前記車両の自己位置を取得する位置センサ(22)を備え、
前記決定部は、更に、前記先行操作車両において取得された前記自己位置を前記先行操作車両から取得して、前記遠隔操作の開始待ちの前記車両に送信し、
前記報知制御部は、前記先行操作車両において取得された前記自己位置を取得して、前記遠隔操作待ち情報として前記報知装置に報知させる、遠隔操作システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の遠隔操作システムであって、
前記決定部は、
前記車両が予め定められた優先車両に対応する場合には、前記優先車両以外の前記遠隔操作待ちの前記車両における前記開始タイミングを繰下げ、前記優先車両の前記開始タイミングを前記要求のタイミングを用いて決定される前記開始タイミングよりも早く設定し、
前記開始タイミングが繰下げられた前記車両に、前記優先車両が存在することと繰下げられた前記開始タイミングとを送信し、
前記報知制御部は、更に、前記優先車両が存在することと前記開始タイミングが繰下げられたことを含む情報を取得して、前記遠隔操作待ち情報として前記報知装置に報知させる、遠隔操作システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項記載の遠隔操作システムであって、
前記車両は、更に、前記車両の外部状況を画像情報として取得する画像取得部と、前記車両の自己位置を取得する位置センサと、前記自動運転を実行する車両制御部(41、41a)と、を備え、
前記車両制御部は、取得された前記外部状況と前記自己位置とのうち少なくとも一方を用いて前記自動運転が困難であるか否かを判定し、前記自動運転が困難である場合に前記自動運転を停止し、
前記要求部は、前記自動運転が困難であると判定された場合に前記遠隔操作を要求し、
前記報知制御部は、更に、前記自動運転が停止された理由を、前記遠隔操作待ち情報として前記報知装置に報知させる、遠隔操作システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の遠隔操作システムであって、
前記決定部は、前記開始タイミングとして、前記遠隔操作が開始される順番と、前記遠隔操作が開始されるまでの時間と、のうち少なくとも一方を決定して前記車両に送信し、
前記報知制御部は、前記遠隔操作が開始される順番と前記遠隔操作が開始されるまでの時間とのうち少なくとも一方を取得して、前記遠隔操作待ち情報として前記報知装置に報知させる、遠隔操作システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の遠隔操作システムであって、
前記車両は、前記車両の搭乗者の状況である搭乗者状況を画像情報として取得する車内画像取得部(20)を備え、
前記報知装置は、前記車両内に向けて画像を表示する表示装置(26)と、前記車両内に向けて音声を出力するスピーカー(28)と、を含み、
前記報知制御部は、取得された前記搭乗者状況が予め定められた前記搭乗者状況に対応する場合に、前記表示装置に前記遠隔操作待ち情報を報知させ、前記スピーカーに前記遠隔操作待ち情報を報知させない、遠隔操作システム。
【請求項8】
通信装置(12)を有し自動運転が可能な車両(10、10a)に搭載される車両制御装置(40、40a)であって、
複数の前記車両と通信可能であり前記車両から遠隔操作の要求を受けた場合に前記遠隔操作を実行する管制センタ(90)へ前記遠隔操作を要求する要求部(44)と、
前記要求のタイミングを用いて決定された前記遠隔操作の開始タイミングを前記管制センタから取得して、前記開始タイミングを含む遠隔操作待ち情報を前記車両に設けられた報知装置(24)に前記車両内へ向けて報知させる報知制御部(45、45a)と、を備える、
車両制御装置。
【請求項9】
自動運転が可能な車両(10、10a)であって、
通信装置(12)と、
情報を前記車両内に向けて報知する報知装置(24)と、
複数の前記車両と通信可能であり前記車両から遠隔操作の要求を受けた場合に前記遠隔操作を実行する管制センタ(90)へ前記遠隔操作を要求し、前記要求のタイミングを用いて決定された前記遠隔操作の開始タイミングを前記管制センタから取得して、前記開始タイミングを含む遠隔操作待ち情報を前記報知装置(24)に前記車両内へ向けて報知させる車両制御装置(40、40a)と、を備える、
車両。
【請求項10】
自動運転が可能な複数の車両から遠隔操作の要求を受けた場合に、前記車両において前記遠隔操作の開始タイミングを報知する方法であって、
管制センタ(90)の決定部(63)が、前記要求のタイミングを用いて前記遠隔操作の開始タイミングを決定し(S220、S240)、
前記車両(10、10a)の報知制御部(45、45a)が、決定された前記開始タイミングを含む遠隔操作待ち情報を前記遠隔操作の開始待ちである前記車両に設けられた報知装置に前記車両内に向けて報知させる(S150)、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の遠隔操作システム、車両制御装置、車両及び遠隔操作の開始タイミングを報知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地にいるオペレータにより車両が一時的に操作される技術が提案されている。例えば、特許文献1には、遠隔操作される車両の挙動が、搭乗者が違和感や不安を覚えると推察される挙動である場合に、車両に対しオペレータを写した画像を送信してモニタに表示させることで遠隔操作される車両の搭乗者の不安を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-158149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自動運転車両において遠隔操作の対象となる地点に到達して自動運転が停止されても、オペレータの状況等によっては、遠隔操作が開始されるまでに時間がかかる場合がある。この場合に、オペレータを写した画像が表示されても、車両の搭乗者の不安は抑制されない可能性がある。そのため、車両を遠隔操作する技術において、搭乗者の不安をより抑制可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の第1の形態によれば、通信装置(12)を有し自動運転が可能な複数の車両(10、10a)と、複数の前記車両と通信可能であり前記車両から遠隔操作の要求を受けて前記遠隔操作を実行する管制センタ(90)と、を備える遠隔操作システム(100、100a)が提供される。このシステムにおいて、前記管制センタは、前記要求のタイミングを用いて前記車両に対する前記遠隔操作の開始タイミングを決定して車両に送信する決定部(63)を備え;前記車両は;前記管制センタに前記遠隔操作を要求する要求部(44)と;前記車両内に向けて情報を報知する報知装置(24)と;決定された前記開始タイミングを取得して、前記開始タイミングを含む遠隔操作待ち情報を前記報知装置に報知させる報知制御部(45、45a)と、を備える。
【0007】
この形態によれば、遠隔操作が開始されない車両の報知装置において、遠隔操作が開始されるタイミングが報知されるので、遠隔操作が開始されない車両の搭乗者の不安を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】遠隔操作システムのイメージを示す図。
図2】遠隔操作システムにおける車両の概略構成を示す図。
図3】遠隔操作システムにおける管制センタの概略構成を示す図。
図4】車両側の遠隔操作処理を示す図。
図5】新たな遠隔操作が要求された場合における管制センタ側の遠隔操作処理を示す図。
図6】遠隔操作が終了した場合における管制センタ側の遠隔操作処理を示す図。
図7】第1実施形態における遠隔操作待ち情報の例を示す図。
図8】第2実施形態における遠隔操作待ち情報の例を示す図。
図9】第3実施形態における遠隔操作待ち情報の例を示す図。
図10】第3実施形態における遠隔操作待ち情報の他の例を示す図。
図11】第4実施形態における新たな遠隔操作が要求された場合の管制センタ側の遠隔操作処理を示す図。
図12】第4実施形態における遠隔操作待ち情報の例を示す図。
図13】第5実施形態の遠隔操作システムにおける車両の概略構成を示す図。
図14】第6実施形態における新たな遠隔操作が要求された場合における管制センタ側の遠隔操作処理を示す図。
図15】第6実施形態における遠隔操作が終了した場合における管制センタ側の遠隔操作処理を示す図。
図16】他の実施形態1における遠隔操作待ち情報の例を示す図。
図17】他の実施形態2における遠隔操作待ち情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態
図1から図3に示すように、遠隔操作システム100は、複数の車両10と、管制センタ90とを備える。本実施形態の車両10は、レベル4以上の自動運転が可能な車両である。
【0010】
図1には、例として、複数の車両10のうち、遠隔操作を要求する3台の車両M1、M2、M3と、管制センタ90に設けられた表示部84及び操作部82と、1人のオペレータOPとが示されている。遠隔操作とは、車両10をオペレータOPが遠隔で操作あるいは監視することである。オペレータOPは、表示部84に表示された画像を参照して操作部82を操作することによって車両10を遠隔操作する。図1に示す例では、車両M1において、障害物Obとの衝突を避けて地点P1に達するように、オペレータOPにより遠隔操作が行われている。図1に示すように、遠隔操作を要求する車両10の数に対してオペレータOPの数が不足する場合、車両M2、M3においては、遠隔操作の要求後に直ちにオペレータOPにより遠隔操作が開始されない。図1に示す例では、車両M2、M3は、遠隔操作の開始待ち(遠隔操作待ち)となる。
【0011】
図2に示すように、車両10は、車両側通信装置12と、外部センサ14と、位置センサ22と、報知装置24と、運転装置30と、車両制御装置40と、を備える。これらの各部は、車載ネットワークを介して接続される。
【0012】
車両側通信装置12は、車両10と管制センタ90との間で無線による通信を行う。
【0013】
外部センサ14は、車両10の外部の状況である外部状況を取得する。外部センサ14は、外部カメラ16と周辺物体センサ18とを備える。
【0014】
外部カメラ16は、車両10の周囲に向けられており、車両10の少なくとも進行方向を撮影する。外部カメラ16は、外部状況を画像情報として取得する。外部カメラ16を「画像取得部」とも呼ぶ。
【0015】
周辺物体センサ18は、先行車、隣接レーン走行車、対向車、進入車、後続車など周辺の走行車両の他、停止車両、落下物、停止物及び歩行者といった様々な周辺物の存在、位置、大きさ、距離等を検出する。周辺物体センサ18として、例えば、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波センサ等の反射波を利用した物体センサが挙げられる。
【0016】
位置センサ22は、車両10の自己位置を検出する。自己位置は、車両10の緯度及び経度で表される。位置センサ22として、例えば、汎地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System(s)(GNSS))やジャイロセンサ等が挙げられる。自己位置は、車両10の高度を含んでもよい。
【0017】
報知装置24は、車両10の車室内に向けられた表示装置26とスピーカー28とを含む。表示装置26は、画像を表示する。表示装置26において表示される画像は、狭義の画像の他、文字、記号等を含む。スピーカー28は、音声を出力する。報知装置24は、後述する報知制御部45の制御により、車両10の搭乗者に向けて種々の情報を報知する。
【0018】
運転装置30は、いずれも図示しない駆動装置と、操舵装置と、ブレーキ装置とを含む。駆動装置は、内燃機関及びモータの少なくともいずれか1つを含み、走行用の駆動力を発生する。操舵装置は、電動ステアリング機構等を含み、車両10の操舵を実現する。ブレーキ装置は、ディスクブレーキ等を含み、車両10の制動を実現する。
【0019】
車両制御装置40は、CPU41とメモリ42と図示しないインターフェースとを搭載した1つ又は複数のECUとして構成されている。CPU41は、メモリ42に記憶されたプログラムを展開して実行することにより、運転制御部43、要求部44、報知制御部45として機能する。CPU41を「車両制御部」とも呼ぶ。
【0020】
運転制御部43は、外部センサ14から取得した外部状況と、位置センサ22から取得した自己位置とを用いて、走行計画に沿って運転装置30を制御することにより、レベル4以上の自動運転を実現する。走行計画は、例えば、車両10の現在の自己位置と、図示しないナビゲーション装置から取得した目的地とを用いて、CPU41により決定される。運転制御部43は、管制センタ90から車両10を遠隔操作するための遠隔操作信号を受信した場合には、遠隔操作信号に従って運転装置30を制御する。
【0021】
運転制御部43は、車両10の自動運転が困難か否かを判定する。自動運転が困難な場合とは、例えば、車両10が目的地へ向けて走行するために走行車線から反対車線へはみ出す必要がある場合や、車両10が予め定められた遠隔操作位置に達した場合等である。反対車線にはみ出す必要がある場合としては、例えば、車両10の進行方向に障害物Obが存在する場合や、車両10の走行車線において片側交互通行等の交通規制が行われている場合が挙げられる。運転制御部43は、外部状況から、車両10の進行方向に障害物Obが存在することや、片側交通規制が行われていることを判定する。また、運転制御部43は、位置センサ22の検出した自己位置を用いて、車両10が予め定められた遠隔操作位置に達したことを判定する。遠隔操作位置は、車両制御装置40のメモリ42に予め記憶されている。運転制御部43は、自動運転が困難と判定すると、車両10を停止させて、自動運転を停止する。前方に障害物Obが存在することや、片側交通規制が行われていることや、車両10が遠隔操作位置に達したことは、車両10において「自動運転が停止された理由」でもある。また、前方の障害物Obを撮像した撮像結果や、片側交通規制が行われていることを撮像した撮像結果も、「自動運転が停止された理由」に含まれる。
【0022】
運転制御部43は、車両10が遠隔操作されて反対車線から走行車線に戻った場合や、遠隔操作地点を脱した場合に、自動運転可能と判定する。自動運転可能となると、運転制御部43は、車両10の自動運転を再開する。
【0023】
要求部44は、運転制御部43により自動運転が困難と判定されると、車両側通信装置12を介して、管制センタ90へ遠隔操作を要求する。要求部44は、遠隔操作を要求する要求信号とともに、車両10の車両情報を送信する。車両情報は、メモリ42に予め記憶された車両10を識別するための車両IDと、車両10の自己位置と、車両10の外部状況と、車両10の目的地とを含む。
【0024】
報知制御部45は、遠隔操作待ち情報を報知装置24に車両10内の搭乗者に向けて報知させる。遠隔操作待ち情報は、遠隔操作の開始タイミングを含む情報である。報知制御部45は、車両側通信装置12を介して決定部63から開始タイミングを含む情報を取得する。開始タイミングは、管制センタ90における後述する決定部63によって決定され、遠隔操作待ちの車両10へ送信される。
【0025】
図3に示すように、管制センタ90は、遠隔操作装置50とオペレータ端末80とを備える。
【0026】
オペレータ端末80は、図1に示した操作部82と表示部84と図示しない通信装置とを備える。遠隔操作装置50は、センタ側通信装置52と、センタ制御装置60と、を備える。
【0027】
センタ側通信装置52は、遠隔操作装置50と複数の車両10との間で無線による通信を行う。また、センタ側通信装置52は、オペレータ端末80との間で有線又は無線による通信を行う。
【0028】
センタ制御装置60は、CPU61と記憶部62と図示しないインターフェースとを含む1つ又は複数のECUとして構成されている。記憶部62は、メモリ及びデータベースを含む。CPU61は、記憶部62に記憶されたプログラムを展開して実行することにより、決定部63、遠隔操作部65として機能する。
【0029】
記憶部62は、各車両10における遠隔操作の要求タイミングや、決定された開始タイミングを記憶する。
【0030】
決定部63は、各車両10における遠隔操作の要求のタイミングを用いて、各車両10の遠隔操作の開始タイミングを決定する。決定部63は、決定された開始タイミングを記憶部62に逐次記憶する。本実施形態において、開始タイミングは、遠隔操作が開始される順番である。
【0031】
決定部63は、センタ側通信装置52を介して、決定した開始タイミングを遠隔操作を要求した各車両10へ送信する。「開始タイミングを決定する」とは、開始タイミングを変更あるいは更新することを含む。決定部63は、遠隔操作待ちの車両10に対し、決定した開始タイミングを送信する。決定部63は、開始タイミングが最も早い車両10に対し、決定した開始タイミングを送信しなくともよい。
【0032】
遠隔操作部65は、決定された開始タイミングが早い車両10から遅い車両10の順に、遠隔操作を実行する。遠隔操作部65は、決定された開始タイミングが最も早い車両10の車両情報を繰り返し取得して、オペレータ端末80へ送信する。遠隔操作部65は、オペレータ端末80から遠隔操作信号を取得して車両10へ送信する。遠隔操作信号は、車両10を遠隔操作するために、オペレータOPによって操作部82を介して生成された信号である。遠隔操作部65は、開始タイミングが最も早い車両10から遠隔操作の終了を要求する終了信号を受信した場合には、当該車両10に対する遠隔操作を終了し、遠隔操作待ちの車両10のうち、開始タイミングが最も早い車両10に対する遠隔操作を開始する。
【0033】
以下、遠隔操作システム100において実行される遠隔操作処理について説明する。図4に示す車両10側における処理は、車両10の運行中に繰り返し実行される。まず、運転制御部43は、自動運転が困難か否かを判定する(ステップS100)。自動運転が困難である場合とは、車両10が目的地へ向けて走行するために走行車線から反対車線へはみ出す必要がある場合や、車両10が予め定められた遠隔操作位置に達した場合等である。自動運転が困難でない場合(ステップS100、NO)、CPU41は本処理を終了する。ステップS100が否定判定されると、車両10では、運転制御部43による自動運転が継続される。
【0034】
自動運転が困難である場合(ステップS100、YES)、運転制御部43は、車両10を停止させ、自動運転を停止する(ステップS110)。要求部44は、遠隔操作の要求信号と車両情報とを、車両側通信装置12を介して管制センタ90へ送信する(ステップS120)。
【0035】
次に、CPU41は、管制センタ90から遠隔操作信号を受信したか否かを判定する(ステップS130)。
【0036】
遠隔操作信号を受信していない場合(ステップS130、NO)、CPU41は、開始タイミングを受信したか否かを判定する(ステップS140)。開始タイミングを受信していない場合(ステップS140、NO)、CPU41は、処理をステップS130に戻す。
【0037】
開始タイミングを受信した場合(ステップS140、YES)、報知制御部45は、開始タイミングを含む情報を、遠隔操作待ち情報として報知装置24に報知させる(ステップS150)。遠隔操作待ち情報を報知すると、CPU41は、処理をステップS130に戻す。
【0038】
遠隔操作信号を受信した場合(ステップS130、YES)、運転制御部43は、遠隔操作信号を用いて運転装置30を制御する(ステップS160)。その結果、車両10における遠隔操作が実現される。
【0039】
次に、運転制御部43は、車両10における自動運転が可能となったか否かを判定する(ステップS170)。自動運転が可能となった場合とは、車両10が遠隔操作されて反対車線から走行車線に戻った場合や、遠隔操作地点を脱した場合である。自動運転が可能でない場合には(ステップS170、NO)、CPU41は、処理をステップS160に戻す。
【0040】
自動運転が可能となった場合(ステップS170、YES)、要求部44は、遠隔操作の終了を要求する終了信号を、車両側通信装置12を介して管制センタ90へ送信し(ステップS180)、運転制御部43は、自動運転を開始する(ステップS190)。終了信号の送信(ステップS180)と、自動運転の開始(ステップS190)とは、同時に行われてもよい。
【0041】
管制センタ90では、図5及び図6に示す遠隔操作処理が実行される。図5に示す遠隔操作処理は、管制センタ90が新たに遠隔操作の要求信号(図4のステップS120参照)を受信した場合に開始される。
【0042】
管制センタ90における決定部63は、車両10から新たに遠隔操作の要求信号を受信すると(ステップS200、YES)、要求元の車両10に対しオペレータOPを割当可能か否かを判定する(ステップS210)。オペレータOPを割当可能な場合とは、オペレータOPが他の車両10に対して遠隔操作を行っておらず、かつ、遠隔操作待ちの車両10が存在しない場合である。
【0043】
オペレータOPを割当可能な場合(ステップS210、YES)、決定部63は、新たに要求をした車両10の開始タイミングである遠隔操作順を1番に決定し、当該車両10に遠隔操作信号を送信する(ステップS220)。
【0044】
オペレータOPに空きがない場合(ステップS210、NO)、決定部63は、要求元の車両10における遠隔操作順を、遠隔操作順が最後の車両の次の順番に決定し、要求元の車両10に遠隔操作順を送信する(ステップS240)。
【0045】
図6に示す遠隔操作処理は、遠隔操作中の車両10における遠隔操作が終了した場合に開始される。決定部63は、遠隔操作中の車両10から遠隔操作の終了信号(図4のステップS180参照)を受信した場合には(ステップS300、YES)、遠隔操作待ちの車両10における遠隔操作順を1つずつ繰り上げて、遠隔操作待ちの車両10に対し遠隔操作順を送信する(ステップS310)。遠隔操作部65は、ステップS310の処理により遠隔操作順が1番となった車両10に遠隔操作信号を送信する(ステップS320)。
【0046】
以下、図4のステップS150において、車両10の報知制御部45が報知装置24に車両10内に向けて報知させる遠隔操作待ち情報の例を示す。図7に示す例では、遠隔操作待ちの車両10における表示装置26には、現在のシステム状態s1と、自動運転が停止された理由s2と、遠隔操作の開始タイミングs3と、地図情報s4とが表示される。報知制御部45は、要求部44により遠隔支援の要求が行われた場合、システム状態s1の表示を「遠隔操作待ち」にする。車両10の報知制御部45は、ステップS150において、運転制御部43により車両10の自動運転が停止された理由s2と、管制センタ90から受信した車両10の開始タイミングs3を表示する。地図情報s4は、地図上に車両10の出発地(Start)と自己位置(現在置)と目的地(Goal)とが示された情報である。報知制御部45は、地図情報s4をメモリ42に記憶された地図データと、位置センサ22から取得した自己位置と、図示しないナビゲーション装置から取得した出発地と目的地と、を用いて生成することができる。
【0047】
車両10におけるシステム状態s1の表示は「遠隔操作待ち」であり、自動運転が停止された理由s2は、「前方障害物のため」である。図7に示す表示装置26には、理由s2として、車両10の外部状況s21が表示されている。外部状況s21は、外部カメラ16の撮像結果である。車両10における遠隔操作の開始タイミングs3は「2番」である。報知制御部45は、例えば、自動運転が停止された理由s2や開始タイミングs3を、スピーカー28に報知させてもよい。
【0048】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10において、遠隔操作の開始タイミングs3が報知される。そのため、遠隔操作が開始されない車両10における搭乗者の不安を、抑制することができる。
【0049】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10において、自動運転が停止された理由s2が報知される。そのため、遠隔操作待ちの車両10における搭乗者に対し、遠隔操作の必要性に対する納得感を与えることができる。
【0050】
この形態によれば、自動運転が停止された理由s2として、車両10の外部状況s21が報知される。そのため、遠隔操作待ちの車両10の搭乗者に対し、遠隔操作の必要性に対する納得感をより与えることができる。
【0051】
B.第2実施形態
第2実施形態では、管制センタ90の決定部63が、遠隔操作処理におけるステップS240(図5)及びステップS310(図6)において、遠隔操作待ちの車両10に対し、開始タイミングと、遠隔操作待ちの車両10よりも開始タイミングの早い他の車両10から取得した外部状況とを送信する。遠隔操作待ちの車両10のうち、ある車両10に着目した場合、当該車両10よりも開始タイミングの早い他の車両10を「先行操作車両」とも呼ぶ。車両10の報知制御部45は、図8に示す例のように、表示装置26に、自動運転が停止された理由s2と、開始タイミングs3と、地図情報s4と、先行操作車両の外部状況s5と、を表示させる。本実施形態において、外部状況s5は、遠隔操作中の車両10における外部状況である。第2実施形態における他の構成については第1実施形態と同様である。
【0052】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10において、当該車両10よりも遠隔操作が早く開始される先行操作車両の外部状況s5が報知される。そのため、遠隔操作が開始されない車両10の搭乗者に、遠隔操作が開始されないことに対する納得感を与えることができる。
【0053】
また、先行操作車両の外部状況s5として、遠隔操作中の車両10の外部状況が報知されるので、遠隔操作待ちの車両10の搭乗者は、遠隔操作中の車両10における遠隔操作の進行状況を知ることができる。そのため、搭乗者に対し、遠隔操作が他車両において確かに遂行されており、自車両においても開始タイミングを待てば遠隔操作が開始されると推測させることができる。そのため、遠隔操作待ちの車両10における搭乗者の不安を、より抑制することができる。
【0054】
C.第3実施形態
第3実施形態では、遠隔操作装置50の決定部63は、遠隔操作処理におけるステップS240(図5)及びステップS310(図6)において、遠隔操作待ちの車両10に対し、開始タイミングと、先行操作車両から取得した外部状況及び自己位置とを送信する。車両10の報知制御部45は、図9に示す例のように、表示装置26に、地図上に車両10の自己位置(現在地)と先行操作車両の自己位置(他車位置)とが表示された地図情報s4aを生成して、報知装置24に報知させる。第3実施形態における他の構成については第2実施形態と同様である。
【0055】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10の報知装置24において、当該車両10よりも遠隔操作が早く開始される先行操作車両の自己位置が報知される。そのため、遠隔操作待ちの車両10の搭乗者に、遠隔操作が開始されないことに対する納得感を与えることができる。
【0056】
第2、第3実施形態において、決定部63は、開始タイミングである遠隔操作順とともに、遠隔操作待ちの車両10に対し、全ての先行操作車両から取得した外部状況を送信してもよいし、全ての先行操作車両から取得した自己位置を送信してもよい。報知制御部45は、全ての先行操作車両における外部状況を報知させてもよいし、外部状況及び自己位置を報知させてもよい。図10には、開始タイミングが3番である車両10における遠隔操作待ち情報の例が示されている。報知制御部45は、表示装置26に、当該車両10の開始タイミングs3と自動運転が停止された理由s2に加え、開始タイミングが1番、2番の車両10における外部状況s5a、s5bと、開始タイミングが1番、2番の車両10における自己位置とが示された地図情報s4bを表示させてもよい。
【0057】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10において、全ての先行操作車両における外部状況、あるいは全て先行操作車両における外部状況と自己位置が報知される。そのため、遠隔操作が開始されない車両の搭乗者に、遠隔操作が開始されないことに対する納得感をより与えることができる。
【0058】
D.第4実施形態
図11に示す遠隔操作処理は、第1実施形態における遠隔操作処理(図5)と同様に、管制センタ90が新たに遠隔操作の要求信号を受信した場合に開始される。図11において、第1実施形態における遠隔操作処理(図5)と同じ処理については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、決定部63は、要求元の車両10に対しオペレータOPを割当可能でない場合(ステップS210、NO)、要求元の車両10が優先車両であるか否かを判定する(ステップS230)。優先車両とは、遠隔操作待ちの他の車両10よりも、遠隔操作が優先される車両である。決定部63は、要求元の車両10における外部状況が記憶部62に記憶された予め定められた緊急性の高い外部状況に対応する場合に、要求元の車両10を優先車両であると判定する。緊急性の高い外部状況とは、例えば、交差点に障害物Obが存在している外部状況や、予め定められた範囲内の車両密度が、規定値よりも高い外部状況である。
【0060】
優先車両である場合には(ステップS230、YES)、決定部63は、優先車両の遠隔操作順を2番に決定し、遠隔操作待ち車両10に遠隔操作順を送信する(ステップS250)。ステップS250において、決定部63は、優先車両以外の遠隔操作待ちの車両10における遠隔操作順を繰下げて、遠隔操作順が繰下げられた遠隔操作待ち車両10に対し、優先車両の外部状況を送信する。
【0061】
例えば、図1に示す車両M1において遠隔操作が行われており、車両M2が遠隔操作待ちであり、優先車両である車両M3から遠隔操作の要求があった場合(ステップS230、YES)、決定部63は、ステップS250の処理として、車両M3の遠隔操作順を2番に設定し、車両M2の開始タイミングを2番から3番に繰下げる。決定部63は、車両M2、M3に決定された遠隔操作順を送信する。また、車両M2に対し、優先車両である車両M3の外部状況を送信する。
【0062】
図12に示す例では、遠隔操作待ちの車両10の表示装置26には、現在の車両10のシステム状態s1と、車両10の自動運転が停止された理由s2と、車両10の開始タイミングs31と、地図情報s4cと、優先車両の外部状況s5cとが表示される。開始タイミングs31は、決定部63によって変更された開始タイミングである。地図情報s4cは、地図上に車両10の自己位置(現在地)と優先車両の自己位置(他車位置)とが表示された情報である。図12に示す例では、遠隔操作待ちの車両10の開始タイミングs31が2番から3番に変更されたことが表示される。本実施形態では、スピーカー28からは、緊急性の高い車両10、すなわち、優先車両により開始タイミングs31が変更されたことが報知される。
【0063】
この形態によれば、遠隔操作の開始タイミングが繰下げられた車両10に対し、優先車両が存在することと開始タイミングが繰下げられたことが報知される。そのため、開始タイミングが繰下げられた車両10の搭乗者に、開始タイミングが繰下げられたことに対する納得感を与えることができる。
【0064】
この形態によれば、遠隔操作の開始タイミングが繰下げられた車両10に対し、優先車両が存在することと開始タイミングが繰下げられたことが、スピーカー28によって報知されるので、表示装置26を注視していない搭乗者に対しても、開始タイミングが繰下げられたことを知らせることができる。
【0065】
E.第5実施形態
図13に示す遠隔操作システム100aにおいて、車両10aは、車内カメラ20を備える。車両制御装置40aのCPU41aは、メモリ42aに記憶されたプログラムを展開して実行することで、運転制御部43、要求部44、報知制御部45aとして機能する。
【0066】
車内カメラ20は、車両10aの車室内に向けられたカメラである。車内カメラ20は、車両10a内の搭乗者状況を画像情報として取得する。本実施形態における車内カメラ20は、搭乗者の頭部を撮像する。車内カメラ20を「車内画像取得部」とも呼ぶ。
【0067】
報知制御部45aは、車内カメラ20により取得された搭乗者状況が、メモリ42aに記憶された予め定められた搭乗者状況に対応するか否かを判定する。予め定められた搭乗者状況は、搭乗者が睡眠中の状況や、搭乗者が携帯端末を操作していたり読書をしていたりして他の事柄に集中している状況である。このような状況では、遠隔操作待ち情報が音声で報知されると、搭乗者は煩わしさを覚える場合がある。
【0068】
報知制御部45aは、車内カメラ20から取得した搭乗者状況から搭乗者の目線の動きや、瞼の開度、頭の動きなどを監視することによって、現在の搭乗者状況が予め定められた搭乗者状況であるか否か判定することが可能である。報知制御部45aは、現在の搭乗者状況が予め定められた搭乗者状況に対応する場合に、表示装置26に遠隔操作待ち情報を報知させ、スピーカー28に遠隔操作待ち情報を報知させない。その他の構成については、上述の実施形態と同様である。
【0069】
この形態によれば、搭乗者状況が予め定められた搭乗者状況に対応する場合には、遠隔操作待ち情報がスピーカー28により報知されないので、車両10aの搭乗者が煩わしさを覚えることを抑制することができる。
【0070】
F.第6実施形態:
第6実施形態では、決定部63が、開始タイミングとして遠隔操作開始までの時間を決定する点において、第1実施形態と異なる。図14に示す遠隔操作処理は、第1実施形態における遠隔操作処理(図5)と同様に、管制センタ90が新たに遠隔操作の要求信号を受信した場合に開始される。図14において、第1実施形態における遠隔操作処理(図5)と同じ処理については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0071】
本実施形態では、オペレータOPが割当可能でない場合(ステップS210、NO)、決定部63は、要求元の車両10における遠隔操作順を決定するとともに、遠隔操作開始までの時間を算出する(ステップS240a)。ステップS240aにおいて、決定部63は、記憶部62に記憶された、過去に遠隔操作を要求した複数の車両10における遠隔操作所要時間の平均値を取得する。決定部63は、先行操作車両の数に、所要時間の平均値を乗じて、要求元の車両10における遠隔操作開始までの時間を算出する。例えば、決定部63は、所要時間の平均値が2分であり、要求元の車両10における遠隔操作順が3番である場合、要求元の車両10の遠隔操作開始までの時間を4分に決定して、決定した遠隔操作開始までの時間を要求元の車両10に送信する。
【0072】
図15に示す遠隔操作処理は、第1実施形態における遠隔操作処理(図6)と同様に、遠隔操作中の車両10における遠隔操作が終了した場合に開始される。図15において、第1実施形態における遠隔操作処理(図6)と同じ処理については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0073】
決定部63は、遠隔操作中の車両10から遠隔操作の終了信号(図4のステップS180参照)を受信した場合には(ステップS300、YES)、遠隔操作待ちの車両10における遠隔操作順を1つずつ繰り上げるとともに遠隔操作開始までの時間を算出し、遠隔操作待ちの車両10に送信する(ステップS310a)。
【0074】
なお、決定部63は、先行操作車両の数に所要時間の平均値を乗じた値から、遠隔操作中の車両10において遠隔操作が実際に行われた時間を引いて、遠隔操作開始までの時間を逐次更新してもよい。
【0075】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10において、遠隔操作の開始タイミングとして、遠隔操作開始までの時間が報知される。そのため、遠隔操作が開始されない車両10における搭乗者の不安を、抑制することができる。
【0076】
G.他の実施形態
G1.他の実施形態1
報知制御部45、45aは、車両10、10aの自動運転中に、車両10、10aの自己位置と、目的地と、車両10、10aの外部状況や速度等を用いて、車両10、10aの目的地と、目的地への経由地点における予想到着時刻を算出して報知装置24に報知させてもよい。車両10、10aがバスである場合、経由地点はバス停である。車両10、10aが遠隔操作待ちである場合、報知制御部45、45aは、受信した開始タイミングを用いて経由地点への予想到着時刻を変更し、図16に示すように、経由地点を含む地図情報s4dと、変更された予想到着時刻s6とを表示装置26に表示させてもよい。予想到着時刻は、図示しないサーバが、車両10、10aの自己位置、目的地、開始タイミング、外部状況や速度等を取得することによって算出してもよい。報知制御部45、45aは、サーバから算出された予想到着時刻を取得してもよい。
【0077】
この形態によれば、遠隔操作待ちの車両10、10aにおいて、目的地や経由地点における変更された予想到着時刻が報知される。そのため、搭乗者は、遠隔操作待ちによって、搭乗者における当初の予定に変更が生じるかを把握できる。したがって、遠隔操作が開始されない車両10、10aの搭乗者の不安を抑制することができる。
【0078】
G2.他の実施形態2
上記他の実施形態1において、報知制御部45、45aは、図17に示すように、予想到着時刻に対応する乗換案内s7を表示装置26に表示させてもよい。報知制御部45、45aは、乗換案内を、図示しないサーバから取得してもよい。この形態によれば、目的地や経由地点において搭乗している車両10、10a以外の交通手段への乗換を予定している搭乗者は、乗換案内s7から乗換手段や乗換の時刻を把握できる。
【0079】
G3.他の実施形態3
上記種々の実施形態において、オペレータOPの数は複数であってもよい。決定部63は、複数のオペレータOPのうち、割り当てられた車両10、10aの少ないオペレータOPの順に遠隔操作を要求する車両10、10aを割り当てて、車両10、10aの開始タイミングを決定してもよい。
【0080】
G4.他の実施形態4
上記種々の実施形態において、車両10、10aのCPU41、41aは、車両10、10aに備えられた図示しない入力装置を介して遠隔操作が要求された場合に、図4におけるステップS100を肯定判定して、管制センタ90へ遠隔操作を要求してもよい。
【0081】
G5.他の実施形態5
上記第4実施形態において、決定部63は、優先車両の遠隔操作順を2番に設定している(図11、ステップS250)。優先車両の遠隔操作順は2番に限らず、決定部63は、優先車両の遠隔操作順を、優先車両の要求のタイミングで決定される開始タイミングよりも早く設定すればよい。例えば、優先車両の要求のタイミングで決定される開始タイミングが5番である場合、決定部63は、優先車両の遠隔操作順を、3番に設定してもよい。また、上記第4実施形態において、優先車両は、遠隔操作を優先することが予め車両IDに紐付けられた車両10、10aであってもよい。決定部63は、車両IDを用いて優先車両であるか否かを判定してもよい。
【0082】
G6.他の実施形態6
上記第4実施形態のステップS230(図11)において、決定部63は、要求元の外部状況を、表示部84に表示してもよい。オペレータOPは、要求元の車両10における外部状況と、予め定められた緊急性の高い外部状況と、の類似度を判断し、緊急性の高い外部状況に類似する場合に、要求元の車両10を優先車両であると判定してもよい。決定部63は、オペレータOPによる判定の結果を取得して、オペレータOPによる判定結果を決定部63による判定結果と位置づけてもよい。
【0083】
G7.他の実施形態7
上記第6実施形態において、決定部63は、過去に遠隔操作を要求した車両10ごとの外部状況と、その際の所要時間との関係を学習し、その学習結果と遠隔操作を要求する車両10における現在の外部状況とから、当該車両10における所要時間を予測してもよい。学習は、車両10の外部状況に加え、更に、車両10の自己位置と、自己位置に対応する交通量との関係を用いて行われてもよい。決定部63は、遠隔操作中の車両10において予測される所要時間と、遠隔操作待ちの各車両10において予測される所要時間と、遠隔操作順と、を用いて、各車両10における遠隔操作開始までの時間を算出してもよい。例えば、決定部63は、遠隔操作中の車両10において予測される所要時間が2分であり、遠隔操作順が2番である車両10において予測される所要時間が1分である場合には、遠隔操作順が3番である車両10における遠隔操作開始までの時間を、3分に決定してもよい。
【0084】
また、決定部63は、過去に遠隔操作が行われた車両10における遠隔操作中の外部状況の変化と、遠隔操作の進行度合いと、の関係を学習し、遠隔操作中の車両10における外部状況から、遠隔操作の進行度合いを算出してもよい。決定部63は、進行度合いから、遠隔操作中の車両10における遠隔操作が予測される所要時間内に終了するか否かを判断してもよい。決定部63は、遠隔操作が予測される所要時間内に終了しないと判断した場合には、遠隔操作待ちの車両10における遠隔操作開始までの時間を、進行度合いに応じた時間だけ増加させてもよい。
【0085】
G8.他の実施形態8
上記種々の実施形態において、車両制御装置40、40aのCPU41、41aにおける各機能の少なくとも一部は、管制センタ90の遠隔操作装置50のCPU41によって実行されてもよい。例えば、遠隔操作装置50におけるCPU61が、車両10、10aの外部センサ14から外部状況を取得して、運転制御部43として機能してもよい。
【0086】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。例えば、本開示は、遠隔操作システム100、100a以外の種々の形態で実現することも可能である。遠隔操作処理を実行する車両制御装置40、40a、車両制御装置40、40aを搭載した車両10、10a、遠隔操作装置50、遠隔操作方法、かかる方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。また、上記実施形態において、ソフトウエアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ハードウエアによって実現されてもよい。また、ハードウエアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウエアによって実現されてもよい。ハードウエアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、又は、それらの回路を組み合わせた回路モジュールなど、各種回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10、10a 車両、12…車両側通信装置、24 報知装置、44 要求部、45、45a 報知制御部、50 遠隔操作装置、63 決定部、65 遠隔操作部、90 管制センタ、100、100a 遠隔操作システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17