(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】検知状態記録装置および自動ドア装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20220726BHJP
【FI】
E05F15/73
(21)【出願番号】P 2018135293
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼窪 倫弘
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西井 寅貴
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-061273(JP,A)
【文献】特開2011-215122(JP,A)
【文献】国際公開第2012/073821(WO,A1)
【文献】特開2017-014801(JP,A)
【文献】実開昭61-084581(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02484668(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第01243943(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02666946(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割エリアごとに自動ドアへ進入する人または物体を検知するセンサの当該分割エリアごとに当該人または物体を検知している検知期間を取得する期間情報取得部と、
前記期間情報取得部によって取得された検知期間を記憶する記憶処理部と、
を備え
、
前記記憶処理部は、前記センサが検知状態になってから非検知状態になるまでの期間における前記分割エリアごとの検知期間を特定検知状態情報とし、前記特定検知状態情報を複数記憶することを特徴とする検知状態記録装置。
【請求項2】
前記記憶処理部は、物体を検知した順番を前記分割エリアごとに記憶することを特徴とする請求項
1に記載の検知状態記録装置。
【請求項3】
前記記憶処理部は、前記物体を検知した順番が連続する複数の分割エリアにおける検知期間を積算して記憶することを特徴とする請求項
2に記載の検知状態記録装置。
【請求項4】
前記順番が連続する複数の分割エリアは、複数の前記センサによって前記自動ドアを挟んで内外にまたがって構成されていることを特徴とする請求項
3に記載の検知状態記録装置。
【請求項5】
最初に前記物体を検知した分割エリアとその後に前記物体を検知した分割エリアとの間の距離、および前記記憶処理部により積算して記憶された検知期間に基づいて、前記物体の移動速度を算出する速度算出部を備えることを特徴とする請求項
3に記載の検知状態記録装置。
【請求項6】
前記自動ドアの位置情報を取得するドア位置情報取得部を備え、
前記記憶処理部は、前記期間情報取得部により取得された期間と前記ドア位置情報取得部により取得された前記自動ドアの位置情報とを関連づけて記憶することを特徴とする請求項
1に記載の検知状態記録装置。
【請求項7】
前記速度算出部により算出した移動速度が所定値より速いか否かを判定する速度判定部を備えることを特徴とする請求項
5に記載の検知状態記録装置。
【請求項8】
前記期間情報取得部により取得した期間が所定値より長いか否かを判定する期間判定部を備えることを特徴とする請求項1または
4に記載の検知状態記録装置。
【請求項9】
センサの検知エリアを複数に分割した分割エリアごとに自動ドアへ進入する物体を検知している検知期間を取得する期間情報取得部と、
前記期間情報取得部によって取得された検知期間に基づいて、多段階で通行性を評価する通行性判定部と、
を備えることを特徴とする検知状態記録装置。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の検知状態記録装置と、
自動ドアへの物体の進入を検知する前記センサと、
を備えることを特徴とする自動ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知状態記録装置および自動ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドア装置は、建物の出入り口などの近傍を通行する人や物等の物体を赤外線方式、電波方式または画像方式等の自動ドアセンサで検知し、ドアを自動で開閉する。
【0003】
特許文献1には、自動ドアの動作制御に関する情報を送受信可能に構成されたコントローラと、コントローラと連携して作動する制御用機器と、前記情報を受信して蓄積可能に構成されたデータロガーとを備える自動ドア装置が開示されている。自動ドア装置は、物体を検知した検知スポットの情報や、ドア開閉制御の情報を記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物体が自動ドアの手前で自動ドアが開くまで滞留するような通行性が悪い場合、自動ドアセンサによる物体の検知状況のばらつきを分析して通行性が良くなるよう改善策を施すことで、自動ドアの利便性が向上する。特許文献1に記載の自動ドア装置は、物体を検知した検知スポットの情報は記録されるものの、物体が自動ドアを通行した際の検知状況のばらつきを把握して通行性の改善を図る上で、記録した情報を分析する作業に時間がかかるものとなっていた。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通行性を改善すべく検知状況のばらつきを把握することができる検知状態記録装置および自動ドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は検知状態記録装置である。検知状態記録装置は、複数の分割エリアごとに自動ドアへ進入する人または物体を検知するセンサの当該分割エリアごとに当該人または物体を検知している検知期間を取得する期間情報取得部と、前記期間情報取得部によって取得された検知期間を記憶する記憶処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知状態記録装置は、通行性を改善すべく検知状況のばらつきを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る検知状態記録装置を有する自動ドアセンサを含む自動ドア装置の構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る検知状態記録装置を含む自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】センサ部の床面における検知エリアを示す模式図である。
【
図5】記憶処理部による記憶処理方法を示す図表である。
【
図6】検知状態記録装置による検知期間の記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】記憶される分割エリアの例を説明するための模式図である。
【
図8】記憶部に記憶される検知期間の例を示す図表である。
【
図9】ドア位置情報取得部を有する場合の自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】検知状態記録装置による検知期間の記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2に係る検知状態記録装置を含む自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】実施形態3に係る分割エリアの例を示す模式図である。
【
図13】実施形態3における検知期間の記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態4に係る検知状態記録装置を含む自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図15】実施形態5に係る検知状態記録装置を含む自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】外部サーバ装置において通行性を判定する例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る検知状態記録装置を有する自動ドアセンサ20を含む自動ドア装置100の構成を示す模式図である。自動ドア装置100は、ドア10、自動ドアセンサ20、補助光電センサ30およびコントローラ40等を有する。
図1に示す自動ドア装置100は、両引分け戸タイプであり、2枚のドア10が左右に自動的に開閉する。ドア10は、左右一対であり、左右に間隔を開けて固定配置されたフィックス15に沿って往復移動可能としてあり、左右のフィックス15間の開口部11を開閉する。
【0013】
ドア10は、左右それぞれの戸先框10aが突き合わされるように接触して開口部11が閉ざされた全閉状態となる。ドア10は、戸先框10aが離間するように移動し、戸先框10aがフィックス15の方立15a付近まで移動して停止し、開口部11が開いた全開状態となる。尚、自動ドア装置100は、両引分け戸タイプのほか、片引き戸タイプおよび回転ドアタイプ等のものであってもよい。
【0014】
自動ドアセンサ20は、例えば開口部11の上方の無目16に配置されており、無目16における配置位置から斜め下方に向けて赤外光を投受光し、ドア10へ進入してくる人や物体を検知し、起動信号をコントローラ40へ出力する。また自動ドアセンサ20は、CCDカメラを内蔵する画像式等のセンサであれば、無目16における配置位置から斜め下方を撮像してドア10へ進入してくる人や物等の物体を検出し、起動信号をコントローラ40へ出力する。自動ドアセンサ20の詳細については後述する。
【0015】
補助光電センサ30は、光電方式による検知装置であり、フィックス15の方立15aに配置された投光器30aおよび受光器30bを有している。補助光電センサ30は、投光器30aと受光器30bの間に通った光線が遮られることを検知しており、ドア10の軌道上に物体が存在していることを示す検知情報をコントローラ40へ出力する。尚、補助光電センサ30は、光電方式の他、無目16に取り付けられる光線反射方式または超音波方式による検知装置等であってもよい。
【0016】
コントローラ40は、自動ドアセンサ20からの起動信号を受信するとドアモータ50を作動させてドア10が全開状態となるまで駆動する。コントローラ40は、ドア10が全開状態になった後、一定時間、全開状態を保持し、ドアモータ50を反転方向へ作動させてドア10が全閉状態となるまで駆動する。コントローラ40は、補助光電センサ30からの検知情報をドア10の閉駆動中に受信すると、ドアモータ50によるドア10の駆動方向を反転し、ドア10を全開状態とする。
【0017】
図2は、実施形態1に係る検知状態記録装置23を含む自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
自動ドアセンサ20、コントローラ40、記憶装置51および外部接続部52は、CAN(Controller Area Network)によって相互に通信接続している。自動ドアセンサ20、コントローラ40、記憶装置51および外部接続部52の通信接続は、CANに限られず、WiFi(登録商標)等の無線通信を用いてもよい。
【0019】
自動ドアセンサ20は、検知素子としてのセンサ部21、通信部22および検知状態記録装置23を備える。通信部22は、コントローラ40、記憶装置51、外部接続部52との間でデータを送受信する。センサ部21は、例えば赤外線反射式センサであり、赤外線を後述の検知エリアに投光する投光器、自動ドアを通行する人や物体(以下、単に「物体」という。)からの反射光を受光する受光器を備える。また、センサ部21は、画像式センサや、電波式センサ、超音波式センサ、レーザスキャン式センサ等であってもよく、各方式に基づいて後述の検知エリアにおける物体を検知する。
【0020】
図3は、センサ部21の床面における検知エリア60を示す模式図である。検知エリア60は、床面から自動ドアセンサ20が配置される無目16や天井に至る立体的な範囲を有する。検知エリア60は、ドア10の移動方向に平行な方向に12列並び、ドア10の移動方向に直交する方向に6列並ぶよう配列された複数の検知スポット61で構成される。各検知スポット61には、配列の位置に対応するアドレス1A、1B、・・・、6K、6Lが割り当てられている。割り当てられた各アドレスは、各検知スポット61の位置情報に相当している。尚、各検知スポット61の形状および検知エリア60全体の形状は、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形であってもよい。
【0021】
検知エリア60の各検知スポット61において物体を検知しているが、物体を検知したときにドア10を開閉するための起動信号を生成する起動スポット、および起動信号を生成しない無効スポットを設定するようにしてもよい。例えば、検知エリア60の周縁部に位置する検知スポット61(アドレス1A~5A、6A~6L、1L~5L)を無効スポットとして設定し、それ以外の検知スポット61は起動スポットに設定する。検知エリア60の形状が、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形である場合においても、検知エリア60の周縁部に位置する検知スポット61を無効スポットとして設定すればよい。
【0022】
検知エリア60内の1または複数の検知スポット61をグループ化することで、検知エリア60を複数に分割した分割エリア62を設定する。1つの検知スポット61を1つの分割エリア62として検知エリア60を分割すると、
図3に示す例では72の分割エリア62が設定されることになり、分割エリア62と検知スポット61とは等価である。分割エリア62のアドレスは、検知スポット61と同様に、配列の位置に対応してアドレス1A、1B、・・・、6K、6Lが割り当てられる。
【0023】
図4は分割エリア62の他の例を示す模式図である。
図4に示す例では、太い実線で区分けし、4つの検知スポット61を1つの分割エリア62としており、ドア10の移動方向に平行な方向に6列、ドア10の移動方向に直交する方向に3列の分割エリア62が設定される。この場合の分割エリア62のアドレスは、配列の位置に対応してアドレス1A、1B、・・・、3E、3Fが割り当てられる。
【0024】
検知エリア60の形状が、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形である場合においても、検知エリア60は複数の検知スポット61で構成され、個々の検知スポット61にアドレスを割り当てるようにする。また、検知エリア60内の1または複数の検知スポット61をグループ化することで、検知エリア60を複数に分割した分割エリア62を設定すればよい。
【0025】
図2に戻り、自動ドアセンサ20の検知状態記録装置23は、制御部24および記憶部25を有する。記憶部25は、例えばSSD(Solid State Drive)、ハードディスク、CD-ROM、DVD等によって構成される記憶装置である。制御部24は、開閉処理部24a、期間情報取得部24b、記憶処理部24cを有する。開閉処理部24aは、各検知スポット61の検知結果に応じてドア10を開放させるための起動信号を生成し、通信部22を介して、起動信号をコントローラ40へ出力する。
【0026】
開閉処理部24aは、センサ部21の各検知スポット61に対応する赤外光の検知レベルをモニタし、検知スポット61に移動体が存在しない場合の検知レベルより低い第1閾値、および該検知レベルより高い第2閾値と比較することで物体が存在するか否かを判定する。開閉処理部24aは、各検知スポット61における検知レベルをセンサ部21から順次取得し、検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となった場合に、物体が存在していると判定して起動信号を生成する。また、開閉処理部24aは、検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となり、物体が存在していると判定されている検知スポット61のアドレスを時々刻々と期間情報取得部24bへ出力する。
【0027】
また、開閉処理部24aは、上述のように無効スポットが設定されている場合には、無効スポットとして設定された検知スポット61において検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となっても起動信号を生成しないようにする。
【0028】
期間情報取得部24bは、開閉処理部24aからの入力に基づいて、物体が存在していると判定された検知スポット61が属する分割エリア62について、物体を検知している期間(以下、「検知期間」と表記する。)をタイマー(図示略)によって計測し取得する。期間情報取得部24bが取得する検知期間は、物体が存在していると判定された開始時点から物体が存在していないと判定される終了時点までの間の時間である。期間情報取得部24bは、分割エリア62ごとに物体の検知期間を取得し、記憶処理部24cへ出力する。
【0029】
期間情報取得部24bは、分割エリア62が1つの検知スポット61で構成される場合には、当該1つの検知スポット61における検知期間を、分割エリア62における検知期間とする。また、期間情報取得部24bは、分割エリア62が複数の検知スポット61で構成される場合には、当該複数の検知スポット61における1つの検知スポット61で物体を検知してから、当該複数の検知スポット61で物体が検知されなくなるまでの期間を、分割エリア62における検知期間とする。
【0030】
記憶処理部24cは、期間情報取得部24bから入力された各分割エリア62における検知期間の情報を記憶部25に記憶する。
図5は、記憶処理部24cによる記憶処理方法を示す図表である。記憶処理方法No.1は、分割エリア62ごとの検知期間を時系列的に記憶する方法である。記憶処理方法No.2は、センサ部21が検知状態になってから非検知状態になるまでの特定期間における分割エリア62ごとの検知期間を特定検知状態情報として記憶する方法である。また、記憶処理方法No.2を繰り返し、複数の特定状態情報を取得し記憶する。特定期間は、換言すれば検知エリア60で物体を検知してから検知しなくなるまでの期間であり、ドア10の1開閉の期間に相当している。いずれの記憶処理方法でも、分割エリア62における検知期間は、当該分割エリア62のアドレスとともに記憶される。
【0031】
記憶処理方法No.1によって記憶された検知期間の長短によって物体の通行性が悪くなるような検知状況のばらつきが把握できる。また、記憶処理方法No.2によって記憶された検知期間および対応する分割エリア62のアドレスから、特定期間内における物体の動きを抽出できる。また、記憶処理方法No.2を繰り返し、複数の特定状態情報を取得し記憶することで、複数の物体の動きが個別に抽出できる。
【0032】
記憶処理部24cは、記憶部25の代わりに着脱可能な記憶媒体51aに記憶するようにしてもよい。記憶媒体は、記憶装置51に接続される記憶媒体51aに限られず、自動ドアセンサ20やコントローラ40等の他の構成部品に接続されるものであってもよい。分割エリア62ごとの検知期間の情報等を記憶した記憶媒体を持ち運び可能となり、通行性の改善のための分析作業が容易になる。尚、記憶媒体は、例えばUSB接続されるメモリや、書き込み可能なCDおよびDVD等であればよい。
【0033】
また、記憶処理部24cは、外部接続部52を介して外部装置と通信し、分割エリア62ごとの検知期間の情報等を、該外部装置に記憶するようにしてもよい。外部装置としてのハンディーターミナルやネットワーク接続した運用PC等において、分割エリア62ごとの検知期間の情報等を表示することにより、不要開閉の原因究明作業が容易になる。
【0034】
次に実施形態1に係る自動ドア装置100の動作を、検知状態記録装置23による検知期間の記憶処理に基づいて説明する。
図6は、検知状態記録装置23による検知期間の記憶処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示す検知期間の記憶処理の手順は、
図5に示す記憶処理方法No.1に基づく。
【0035】
検知状態記録装置23の期間情報取得部24bは、開閉処理部24aからの入力により物体を検知している検知スポット61のアドレスを取得する(S1)。期間情報取得部24bは、検知スポット61のアドレスに対応する分割エリア62のアドレスを取得する(S2)。
【0036】
期間情報取得部24bは、タイマーをスタートさせ(S3)、ステップS2で取得したアドレスの分割エリア62に属する検知スポット61で非検知となったか否かを判定し(S4)、非検知となっていない場合には(S4:NO)、ステップS4の判定を繰り返す。期間情報取得部24bは、ステップS4において非検知と判定した場合(S4:YES)、タイマーをストップし(S5)、タイマーによる時間計測結果に基づいて分割エリアにおける検知期間を取得する(S6)。期間情報取得部24bは、ステップS6により取得した検知期間および対応する分割エリア62のアドレスを記憶処理部24cへ出力し、記憶処理部24cは、入力された検知期間および対応する分割エリア62のアドレスを記憶部25に記憶する処理を行う(S7)。
【0037】
複数の分割エリアに亘って同時に物体が検知される場合には、開閉処理部24aから複数の分割エリアにそれぞれ属する複数の検知スポット61のアドレスが期間情報取得部24bに入力される。この場合、期間情報取得部24bは、複数の分割エリアごとに検知期間の記憶処理を分岐させて上述の検知期間を取得し記憶する処理を行うようにすればよい。
【0038】
期間情報取得部24bおよび記憶処理部24cは、
図6に示す検知期間の記憶処理を繰り返すことによって、分割エリアごとの検知期間を時系列的に記憶していく。
図7は記憶される分割エリア62の例を説明するための模式図であり、
図8は記憶部25に記憶される検知期間の例を示す図表である。
図7および
図8では分割エリア62と検知スポット61とが等価であり、ある時点において1の物体がアドレス6Cからドア10へ進入した後、次の物体がアドレス3Lから進入してきた例を示している。
【0039】
図8に示すように、記憶部25には時系列的に分割エリア62のアドレスと検知期間とが記憶されていく。アドレス6Cから進入してきた物体は、アドレス1Eに到達してドア10を通過したことを示し、その間、各分割エリア62での検知期間は0.3~0.6秒程度となっている。一方、アドレス3Lから進入してきた次の物体は、アドレス1Hに到達してドア10を通過したことを示し、その間、各分割エリア62での検知期間は0.3~5秒程度となっており、とくにアドレス1Hにおいてほぼ停止状態となっている。
【0040】
検知状態記録装置23は、分割エリア62ごとの検知期間を記憶しており、検知期間の長短によって、物体の通行性の良悪に影響する検知状況のばらつきが把握できる。例えば、検知期間が比較的に長い分割エリア62がある場合、当該分割エリア62を通った進入経路における通行性を良好とするための改善策を立てることができる。尚、通行性を良好とするための改善策としては、例えば自動ドアセンサ20の検知エリア60を拡大することや、ドア10の開速度を速くすることなどが考えられる。
【0041】
記憶処理部24cは、分割エリア62ごとに検知期間を記憶部25に記憶させる際に、コントローラ40から取得したドア10の開閉位置の情報を、検知期間とともに記憶するようにしてもよい。
図9はドア位置情報取得部24hを有する場合の自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。ドア位置情報取得部24hは、コントローラ40が出力するドア10の開閉位置の情報(以下、「位置情報」と表記する。)を取得し、記憶処理部24cへ出力する。記憶処理部24cは、
図6に示すステップS7においてドア10の位置情報を記憶部25に記憶させる。検知状態記録装置23は、分割エリアごとの検知期間とともにドア10の位置情報を記憶しており、物体がドア10を通行する際にドア10が障害となっていたかどうかが判る。
【0042】
但し、ドア10が両引分け戸タイプであることから、開口部11における中央の位置と両端の位置とでは、ドア10の開閉位置に基づく通行性の評価は異なる。例えば開口部11の中央位置に対応する分割エリア62では、ドア10が開度50%程度の開閉位置にあれば通行性が良好であることに対し、開口部11の両端の位置に対応する分割エリア62では、ドア10が開度80%程度の開閉位置にあれば通行性が良好となる。このようにドア10の移動方向における分割エリア62の位置に応じて、ドア10の開閉位置に基づく通行性評価の尺度を変化させるようにするとよい。
【0043】
図10は、検知状態記録装置23による検知期間の記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。
図10に示す検知期間の記憶処理の手順は、
図5に示す記憶処理方法No.2に基づく。
【0044】
検知状態記録装置23の期間情報取得部24bは、開閉処理部24aからの入力情報に基づき全ての検知スポット61が非検知であることを確認する(S11)。期間情報取得部24bは、開閉処理部24aからの入力をモニタし、物体を検知した検知スポットのアドレスを取得する(S12)。このステップS12により、検知エリア60において物体が検知されてから検知しなくなるまでの特定期間が開始する。ステップS12から続くS18までの処理によって、対応する分割エリアの検知期間が記憶部25に記憶されるが、これらの処理は、
図6に示したステップS1からS7までの処理と同様であり、簡潔化のため説明を省略する。
【0045】
記憶処理部24cは、ステップS18において記憶したデータに、特定期間内に取得された特定検知状態情報の識別符号を付加し記憶する(S19)。期間情報取得部24bは、開閉処理部24aからの入力情報に基づいて、全ての検知スポット61が非検知であるか否かを判定する(S20)。期間情報取得部24bは、全ての検知スポット61が非検知である場合(S20:YES)、特定期間の終了と判断し、処理を終了する。
【0046】
複数の分割エリアに亘って同時に物体が検知される場合には、開閉処理部24aから複数の分割エリアにそれぞれ属する複数の検知スポット61のアドレスが期間情報取得部24bに入力される。この場合、期間情報取得部24bは、複数の分割エリアごとに検知期間の記憶処理を分岐させて上述の検知期間を取得し記憶する処理を行うようにすればよい。
【0047】
図8に示すように記憶部25には、分割エリア62のアドレス、検知期間および特定検知状態情報の識別符号が記憶されていく。検知状態記録装置23は、特定期間内に取得された検知期間および対応する分割エリアのアドレスを識別符号によって識別された一まとまりの特定検知状態情報として記憶しており、ドア10の1開閉期間中における物体の動きを抽出することができる。
図10に示す処理を繰り返し、特定検知状態情報ごとに異なる識別符号(例えば一連番号)を付加しておくことで、複数の物体の動きを個別に抽出することができる。
【0048】
図10に示すステップS13において、物体を検知した検知スポット61に対応する分割エリア62のアドレスを取得した際に、当該分割エリア62ごとに、物体を検知した順番を付与してもよい。記憶処理部24cは、新たに物体が検知された分割エリア62が取得されるごとに一連番号を次々に付与し、ステップS18において記憶する検知期間および対応する分割エリア62のアドレスに付加して記憶する。検知状態記録装置23は、分割エリア62に付与された順番を記憶することで、物体を検知した分割エリア間の時間的な関連性を把握することができる。また、ドア位置情報取得部24hによってドア10の位置情報を取得して記憶処理部24cへ出力し、
図10に示すステップS18において、記憶処理部24cによってドア10の位置情報を記憶部25に記憶させる。検知状態記録装置23は、分割エリアごとの検知期間とともにドア10の位置情報を記憶しており、物体がドア10を通行する際にドア10が障害となっていたかどうかが判る。
【0049】
また、記憶処理部24cは、物体を検知した順番が連続する複数の分割エリア62における検知期間を積算し記憶する処理を、
図10に示すステップS20の後に設けてもよい。記憶処理部24cは、例えば、特定期間において物体が検知された分割エリア62が8個あり、検知された順番に1から8の番号が各分割エリア62に付与された場合、順番1から8の全ての分割エリアについて検知期間を積算して記憶しても良い。また記憶処理部24cは、付与された順番のうちの一部、例えば前半、中途、後半などの連続する順番に対応する分割エリア62について検知期間を積算して記憶しても良い。検知状態記録装置23は、分割エリア62に付与された順番が連続する複数の分割エリアにおける検知期間を積算し記憶することで、物体がドア10を通過する時間のばらつきを把握することができる。
【0050】
(実施形態2)
図11は、実施形態2に係る検知状態記録装置23を含む自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。実施形態2に係る検知状態記録装置23は、制御部24において速度算出部24dを有する。記憶処理部24cは、上述のように、物体を検知した順番が連続する複数の分割エリア62における検知期間を積算して記憶する処理を行っているものとする。速度算出部24dは、最初に物体を検知した分割エリア62とその後に当該物体を検知した分割エリア62との間の距離、および記憶処理部24cにより積算して記憶された検知期間に基づいて、当該物体の移動速度を算出する。ここで、最初に物体を検知した分割エリア62と、その後に物体を検知した分割エリア62とは、隣接する分割エリアとしても良いし、連続して検知される一連の分割エリアにおいて、間隔が空いている分割エリアとしてもよい。
【0051】
速度算出部24dは、最初に物体を検知した分割エリア62とその後に当該物体を検知した分割エリア62との間の距離(例えば、分割エリアの中心点間の距離)を、記憶処理部部24cにより積算して記憶された検知期間で除して物体の移動速度を算出する。速度算出部24dは、算出した物体の移動速度を記憶処理部24cへ出力する。記憶処理部24cは、物体の移動速度を記憶部25に記憶する。記憶処理部24cは、例えば
図8に示す分割エリア62のアドレスおよび検知期間に加えて物体の移動速度を記憶する。
【0052】
検知状態記録装置23は、速度算出部24dによって移動速度を算出し、記憶部25に記憶することで、物体がドア10を通行する際の移動速度のばらつきを把握することができる。例えば、記憶部25に記憶された物体の移動速度が比較的に遅い分割エリア62がある場合、当該分割エリア62を通った進入経路における通行性を良好とするための改善策を立てることができる。
【0053】
(実施形態3)
実施形態3に係る自動ドア装置100の機能構成は、
図2に示すブロック図と同様に構成されるが、検知状態記録装置23における期間情報取得部24bは、ドア10の内外における分割エリアによって検知している期間を算出して取得する。
図12は実施形態3に係る分割エリアの例を示す模式図である。
図12に示すように、検知エリア60は、ドア10の室内外に形成されている。ドア10の室内側および室外側の検知エリア60は、複数のセンサ部21を設けることによって形成される。実施形態1において、物体を検知した順番が連続する複数の分割エリア62における検知期間を積算し記憶する処理について説明したが、物体を検知した順番が連続する複数の分割エリア62がドア10の室内外にまたがっていることで、物体がドア10を通過するためにかかった時間を知得することができる。
【0054】
ドア10を挟んで内外にまたがって構成される複数の分割エリアの例として、例えば
図12に一点鎖線で示すドア10の近傍にある特定の分割エリア62を想定する。ここでは、分割エリア62と検知スポット61とを等価として説明するが、分割エリア62が複数の検知スポット61で構成されている場合も同様に、ドア10の近傍の分割エリア62を特定の分割エリアとすればよい。尚、個々の分割エリア62自体は、ドア10の室内側または室外側に形成されており、複数の分割エリア62が全体としてドア10を挟んで内外にまたがって構成されている。
【0055】
図13は、実施形態3における検知期間の記憶処理の手順を示すフローチャートである。検知状態記録装置23の期間情報取得部24bは、開閉処理部24aからの入力により物体を検知している検知スポット61のアドレスを取得する(S21)。期間情報取得部24bは、検知スポット61のアドレスに対応する分割エリア62のアドレスを取得する(S22)。期間情報取得部24bは、取得した分割エリア62のアドレスがドア内外における特定の分割エリアのアドレスであるか否かを判定し(S23)、特定の分割エリアのアドレスでない場合(S23:NO)、ステップS21に戻って処理を繰り返す。
【0056】
期間情報取得部24bは、ステップS23において特定の分割エリアのアドレスであると判定した場合(S23:YES)、タイマーをスタートさせ(S24)、ドア10の反対側における特定の分割エリア62で物体が検知されたか否かを判定する(S25)。期間情報取得部24bは、ステップS25において否と判定した場合(S25:NO)、ステップS25による判定を繰り返す。期間情報取得部24bは、ステップS25において、ドア10の反対側における特定の分割エリア62で物体が検知されたと判定した場合(S25:YES)、タイマーをストップし(S26)、タイマーによる時間計測結果に基づいて分割エリアにおける検知期間を取得する(S27)。記憶処理部24cは、検知期間および対応するドア10内外における特定の分割エリアのアドレスを記憶部25に記憶する(S28)。期間情報取得部24bは、再びタイマーをスタートし(S29)、ステップS25で検知されたドア10の反対側における特定の分割エリア62で物体が検知されているか否かを判定する(S30)。ステップS26におけるタイマーのストップからステップS29におけるタイマーのスタートまでは、ほぼ瞬時であるか短時間であるが、ステップS29におけるタイマーとして別のタイマーを用意して、ステップS26の直後にスタートさせるようにしてもよい。期間情報取得部24bは、ステップS30において検知されていると判定した場合(S30:YES)、ステップS30による判定を繰り返す。期間情報取得部24bは、ステップS30において否と判定した場合(S30:NO)、タイマーをストップし(S31)、タイマーによる時間計測結果に基づいて分割エリアにおける検知期間を取得する(S32)。記憶処理部24cは、検知期間および対応するドア10内外における特定の分割エリアのアドレスを記憶部25に記憶する(S33)。また、記憶処理部24cは、ステップS27およびステップS32で取得した検知期間を積算して記憶部25に記憶し(S34)、処理を終了する。
【0057】
期間情報取得部24bおよび記憶処理部24cは、
図13に示す検知期間の記憶処理を繰り返すことによって、ドア10の内外における特定の分割エリア62での検知期間および積算した検知期間を時系列的に記憶していく。検知状態記録装置23は、ドア10近傍の特定の分割エリアにおける検知期間や積算した検知期間によって物体がドア10を通過するためにかかった時間を把握することができる。また検知状態記録装置23は、ドア10近傍の特定の分割エリアにおける検知期間や積算した検知期間の長短によって、物体の通行性の良悪を分析することができる。例えば、特定の分割エリアにおける検知期間や積算した検知期間が10秒未満である場合には、通行性が良いと評価し、10秒以上である場合には通行性が悪いと評価するような分析を行うことができる。
【0058】
(実施形態4)
図14は、実施形態4に係る検知状態記録装置23を含む自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。実施形態4に係る検知状態記録装置23は、実施形態2で説明した速度算出部24dに加えて、期間判定部24eおよび速度判定部24fを有する。期間判定部24eは、期間情報取得部24bにおいて取得された検知期間が所定値(例えば5秒)より長いか否かを判定する。
【0059】
検知状態記録装置23は、期間判定部24eによる判定結果に基づいて、音声や表示によって注意を喚起する報知情報を外部に向けて発信してもよい。また、検知状態記録装置23は、該判定結果を記憶部25に記憶させておき、判定結果に基づく通行性の改善策、例えばセンサエリアの拡大などの提案をするための情報として利用されるようにしてもよい。
【0060】
速度判定部24fは、速度算出部24dにおいて算出された移動速度が所定値(例えば、1.3m/秒)より速いか否かを判定する。検知状態記録装置23は、速度判定部24fによる判定結果に基づいて、音声や表示によって注意を喚起する報知情報を外部に向けて発信してもよい。また、検知状態記録装置23は、該判定結果を記憶部25に記憶させておき、判定結果に基づく通行性の改善策、例えばセンサエリアの拡大などの提案をするための情報として利用されるようにしてもよい。
【0061】
(実施形態5)
図15は、実施形態5に係る検知状態記録装置23を含む自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。実施形態5に係る検知状態記録装置23は、制御部24に通行性判定部24gを有する。通行性判定部24gは、上述の各実施形態において説明したドア10の開閉位置や、分割エリア62の検知期間、物体の移動速度、ドア10近傍の特定の検知エリアにおける検知期間などの計測または算出したデータを用いて、多段階の通行性ランクの判定を行う。
【0062】
通行性判定部24gは、各ランク間に閾値を設け、各データを閾値と比較判定することで、通行性ランクを定める。通行性判定部24gは、例えば通行性ランクを5段階評価とし、通行性が良い、やや良い、普通、やや悪い、悪いなどに判定する。検知状態記録装置23は、通行性判定部24gによる判定結果に基づいて、音声や表示によって注意を喚起する報知情報を外部に向けて発信してもよい。また、検知状態記録装置23は、該判定結果を記憶部25に記憶させておき、判定結果に基づく通行性の改善策、例えばセンサエリアの拡大などの提案をするための情報として利用されるようにしてもよい。
【0063】
図16は、外部サーバ装置101において通行性を判定する例を説明するための模式図である。自動ドア装置100は、上述の各実施形態において説明したドア10の開閉位置や、分割エリア62の検知期間、物体の移動速度、ドア10近傍の特定の検知エリアにおける検知期間などのデータを計測または算出しており、外部サーバ装置101へ送信する。外部サーバ装置101には、通行性を判定するための通行性判定部102が設けられており、上述のように多段階の通行性判定を行う。
【0064】
外部サーバ装置101での通行性の判定結果は、例えば自動ドア装置100の保守作業において確認され、通行性が悪いと判定されている自動ドア装置100に対する改善策が立てられる。
【0065】
次に、上述の各実施形態に係る検知状態記録装置23の特徴を説明する。
検知状態記録装置23は、複数の分割エリア62ごとにドア10へ進入する人または物体を検知するセンサ部21の当該分割エリアごとに当該人または物体を検知している検知期間を取得する期間情報取得部24bと、期間情報取得部24bによって取得された検知期間を記憶する記憶処理部24cと、を備える。これにより、検知状態記録装置23は、記憶された分割エリア62ごとの検知期間によって、通行性を改善すべく検知状況のばらつきを把握することができる。
【0066】
また記憶処理部24cは、センサ部21が検知状態になってから非検知状態になるまでの期間における分割エリア62ごとの検知期間を特定検知状態情報として記憶する。これにより、検知状態記録装置23は、記憶された特定検知状態情報に基づいて、ドア10の1開閉期間中における物体の動きを抽出することができる。
【0067】
また記憶処理部24cは、特定検知状態情報を複数記憶する。これにより、検知状態記録装置23は、記憶された複数の特定検知状態情報に基づいて、複数の物体の動きを個別に抽出することができる。
【0068】
また記憶処理部24cは、物体を検知した順番を分割エリア62ごとに記憶する。これにより、検知状態記録装置23は、分割エリア62間の検知した時間的な関連性を把握することができる。
【0069】
また記憶処理部24cは、物体を検知した順番が連続する複数の分割エリア62における検知期間を積算して記憶する。これにより、検知状態記録装置23は、物体がドア10を通過する際の通過時間のばらつきを把握することができる。
【0070】
また順番が連続する複数の分割エリア62は、複数のセンサ部21によってドア10を挟んで内外にまたがって構成されている。これにより、検知状態記録装置23は、内外にまたがって構成されている複数の分割エリア62における検知期間を積算し、積算された検知期間の長短によってドア10を通過するためにかかった時間を把握することができる。
【0071】
また、最初に物体を検知した分割エリア62とその後に当該物体を検知した分割エリアとの間の距離、および記憶処理部24cにより積算して記憶された検知期間に基づいて、当該物体の移動速度を算出する速度算出部24dを備える。これにより、検知状態記録装置23は、物体がドア10を通過する際における物体の移動速度のばらつきを把握することができる。
【0072】
またドア10の位置情報を取得するドア位置情報取得部24hを備え、記憶処理部24cは、期間情報取得部bにより取得された期間とドア位置情報取得部24hにより取得されたドア10の位置情報とを関連づけて記憶する。これにより、検知状態記録装置23は、物体の移動の際にドア10が障害となっていたかどうかが判る。
【0073】
また検知状態記録装置23は、速度算出部24dにより算出した物体の移動速度が所定値より速いか否かを判定する速度判定部24fを備える。これにより、検知状態記録装置23は、物体の移動速度に基づいて注意喚起の報知や、通行性の改善策を提案するための情報を提供することができる。
【0074】
また検知状態記録装置23は、期間情報取得部24bにより取得した期間が所定値より長いか否かを判定する期間判定部24eを備える。これにより、検知状態記録装置23は、分割エリア62ごとの検知期間に基づいて、注意喚起の報知や、通行性の改善策を提案するための情報を提供できる。
【0075】
また検知状態記録装置23は、センサ部21の検知エリア60を複数に分割した分割エリア62ごとにドア10へ進入する物体を検知している検知期間を取得する期間情報取得部24bと、期間情報取得部24bによって取得された検知期間に基づいて、多段階で通行性を評価する通行性判定部24gと、を備える。これにより、検知状態記録装置23は、通行性の判定に基づいて、注意喚起の報知や、通行性の改善策を提案するための情報を提供できる。
【0076】
自動ドア装置100は、上述の検知状態記録装置23と、ドア10への物体の進入を検知するセンサ部21と、を備える。これにより、自動ドア装置100は、記憶された検知期間に関する情報を端末等で読み出して通行性の改善策を検討することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0078】
10 ドア(自動ドア)、 21 センサ部(センサ)、
23 検知状態記録装置、 24b 期間情報取得部、 24c 記憶処理部、
24d 速度算出部、 24e 期間判定部、 24f 速度判定部、
24g 通行性判定部、 24h ドア位置情報取得部、 60 検知エリア、
62 分割エリア、 100 自動ドア装置。