(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】層厚さの決定のための共焦点顕微鏡および層厚さの決定のための顕微鏡法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20220726BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20220726BHJP
G01B 9/02 20220101ALI20220726BHJP
【FI】
G01B11/06 G
G02B21/00
G01B9/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018136879
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】10 2017 116 745.5
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ファウペル
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ラングホルツ
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-266084(JP,A)
【文献】特開2009-053157(JP,A)
【文献】特開2000-074622(JP,A)
【文献】特開2002-296018(JP,A)
【文献】特開2009-192721(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010016462(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 9/00- 9/10
G02B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層厚さの決定のための共焦点顕微鏡であって、
照明光(11)を標本(20)上に案内し集束させるための光学構成要素(17、18)と、
前記照明光(11)の焦点位置と標本位置との間の相対変位を前記共焦点顕微鏡の光学軸(16)に沿って調整するように構成された焦点調整装置(19)と、
前記標本(20)から来る照明光(11)の共焦点測定のために配置された光測定装置(30)であって、前記焦点調整装置(19)の種々の設定に属する測定信号を前記光測定装置(30)によって記録することができる、光測定装置と、
前記標本(20)の層厚さ(d)を決定するための評価装置(35)であって、この目的を達成するために前記評価装置(35)は:
前記光測定装置(30)によって記録された、測定された光強度を前記焦点位置に応じて示す測定グラフ(41、45)において、少なくとも2つの強度帯の強度帯位置(46、47)を決定し、
前記強度帯位置(46、47)間の位置相違(A)に基づいて層厚さ(d)を決定するように構成される、評価装置とを備える、共焦点顕微鏡において、
前記評価装置(35)が、重複する強度帯に関して、前記層における前記照明光(11)の干渉を考慮しながら、少なくとも1つの光波長および前記層厚さ(d)に対する前記強度帯位置(46、47)の依存を記述する数学的モデルを使用して、前記層厚さ(d)を決定するように構成されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の共焦点顕微鏡であって、
前記評価装置(35)が、測定された光強度を前記焦点位置に応じて描く記録された測定グラフ(45)から、複数の強度帯に対するそれぞれの強度帯位置(46、47)を、前記それぞれの強度帯の半値全幅内のすべてのデータから幾何学的重心を算出することによって決定するように構成されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項3】
請求項1または2に記載の共焦点顕微鏡であって、前記評価装置(35)が、検査される層(23)の材料の屈折率および隣接する材料の屈折率、特にベース基板(24)および空気の屈折率に依存するように前記強度帯位置(46、47)を前記数学的モデル内に設定するように構成されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡であって、
2つの強度帯位置(46、47)の前記位置相違(A)を層厚さ(d)に明確に割り当てるために、複数のグラフ(45)を前記光測定装置(30)によって記録するように対策がなされ、前記種々の測定グラフ(45)は、種々の波長の照明光(11)によって記録され、各測定グラフ(45)から、2つの強度帯位置(46、47)のそれぞれの位置相違(A)が決定されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項5】
請求項4に記載の共焦点顕微鏡であって、
種々の波長の前記照明光(11)が種々の高さの層に集束されることを回避するために、前記共焦点顕微鏡が、アクロマートまたはアポクロマートの対物レンズ(18)を備えることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項6】
請求項4または5に記載の共焦点顕微鏡であって、
前記評価装置(35)が、曲線当てはめを実行するように構成され、前記曲線当てはめにおいて、前記数学的モデルを使用することにより、2つの強度帯位置(46、47)の位置相違(A)を前記照明光(11)の前記波長(ラムダ)に応じて記述する当てはめ関数(A[ラムダ])が、前記種々の波長(ラムダ)に対して決定された位置相違(A)に当てはめられることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡であって、
2つの強度帯位置(46、47)の前記位置相違(A)を層厚さ(d)に明確に割り当てるために、
前記光測定装置(30)上への共焦点撮像のピン穴(15)の種々のピン穴設定値(AU)が設定され、
各ピン穴設定値(AU)に対して、それぞれの測定グラフ(45)が前記光測定装置(30)によって記録され、
前記数学的モデルが、2つの強度帯位置(46、47)の位置相違(A)がピン穴設定値(AU)にどのように依存するかを記述し、前記種々のピン穴設定値(AU)の知識を用いることにより、2つの強度帯位置(46、47)の位置相違(A)を層厚さ(d)に割り当てる上で曖昧さが排除されるように対策されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項8】
請求項7に記載の共焦点顕微鏡であって、
前記異なる測定グラフ(45)から、2つの強度帯位置(46、47)のそれぞれの位置相違(A)が決定され、
前記数学的モデルを用いることにより、2つの強度帯位置(46、47)の位置相違(A)を前記ピン穴設定値(AU)に応じて記述する当てはめ関数が、種々のピン穴設定値(AU)によって決定された前記位置相違(A)に当てはめられることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項9】
請求項7または8に記載の共焦点顕微鏡であって、
前記種々の測定グラフ(45)がそれによって記録される前記ピン穴(15)の前記種々の設定値(AU)が、
種々の測定グラフ(45)の測定間の前記ピン穴(15)のサイズ調整によって提供され、
種々の測定グラフ(45)の測定間の前記ピン穴(15)の横方向変位によって提供され、
前記標本(20)から来る前記光のビーム路を、種々のピン穴が中に配置される種々のビーム路に分割し、特にそれと同時に、前記ピン穴の各々の後方の照明光(11)を測定することによって提供され、前記照明光の測定のために、前記光測定装置(30)は、各ピン穴(15)の後方にそれぞれの光検出器を備えることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡であって、
撮像面または中間撮像面内でエアリ走査を実施するために、互いから横方向に分離された複数の測定路が形成され、
前記横方向に分離された測定路は、前記撮像面または中間撮像面内に、特に、
互いから横方向に離間された光ファイバであって、各々が前記測定装置(30)のそれぞれの光検出器に至る、光ファイバによって、または
互いから横方向に離間された複数のサブエアリ検出器要素によって形成され、
前記横方向に分離された測定路間の横方向距離は、標本層の点を前記測定路上に撮像することによって形成された回折ディスクより小さく、
前記種々の測定グラフ(45)がそれによって記録される前記ピン穴(15)の前記種々の設定値(AU)が、前記横方向に分離された測定路によって形成されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡であって、
前記共焦点顕微鏡の構成要素(15、17、18)に依存する前記数学的モデルのパラメータ、特に開口数が、基準測定によって最初に決定されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡であって、
1層系が存在するか、ゼロ層系が存在するかを確認するために、
前記測定グラフ(45)が2つの強度帯によって記述される1層曲線当てはめを実施し、
前記測定グラフ(45)が単一の強度帯によって記述されるゼロ層曲線当てはめを実施し、
前記1層曲線当てはめの曲線当てはめ結果が、前記ゼロ層曲線当てはめによる曲線当てはめ結果より良好な品質を有する場合に1層系が推定されることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡であって、
2つの強度帯位置(46、47)間の位置相違(A)を層厚さ(d)に明確に割り当てるために:
種々の開口数(NA)を設定し、
設定された開口数(NA)ごとにそれぞれの測定グラフ(45)を前記光測定装置(30)によって記録し、
前記数学的モデルは、2つの強度帯位置(46、47)の位置相違(A)が前記開口数(NA)にどのように依存するかを記述し、前記設定された開口数(NA)の知識は、2つの強度帯位置(46、47)の位置相違(A)を層厚さ(d)に割り当てる上で曖昧さを解消することを可能にすることを特徴とする、共焦点顕微鏡。
【請求項14】
共焦点顕微鏡(100)による層厚さの決定のための顕微鏡法であって、
照明光(11)を対物レンズ(17、18)を介して標本(20)に案内することと、
標本位置に対する前記照明光(11)の焦点位置を前記共焦点顕微鏡(100)の光学軸(16)に沿って焦点調整装置(19)によって調整することと、
前記標本(20)から来る照明光(11)を光測定装置(30)によって共焦点式に測定することであって、前記焦点調整装置(19)の種々の設定値に属する測定信号が、前記光測定装置(30)によって記録される、測定することと、
前記標本(20)の層厚さ(d)を評価装置(35)によって決定することであって、前記評価装置(35)は、前記光測定装置(30)によって記録された測定グラフ(41、45)から、少なくとも2つの強度帯の強度帯位置(46、47)を決定し、前記測定グラフ(41、45)は、測定された光強度を前記焦点位置に応じて示し、前記評価装置(35)は、前記強度帯位置(46、47)間の位置相違(A)に基づいて層厚さ(d)を決定する、決定することとを含む、方法において、
前記評価装置(35)が、重複する強度帯に関して、前記標本(20)の層(23)における前記照明光(11)の干渉を考慮しながら、少なくとも光波長(ラムダ)および前記層厚さ(d)に対する強度帯位置(46、47)の依存を記述する数学的モデルを使用して、層厚さ(d)を決定することを特徴とする、顕微鏡法。
【請求項15】
請求項14に記載の顕微鏡法であって、
複数の横方向に異なる標本点ごとにそれぞれの層厚さ(d)を決定し、
前記標本点に対して記録された前記測定グラフの強度を比較することによって前記標本点の消衰マップを決定することを特徴とする、顕微鏡法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様では、請求項1のプリアンブルによる層厚さの決定のための共焦点顕微鏡に関する。
【0002】
第2の態様では、本発明は、請求項14のプリアンブルによる層厚さの決定のための顕微鏡法に関する。
【背景技術】
【0003】
顕微鏡標本の層厚さの決定のために、種々の方法、特に白色光干渉顕微鏡法/白色光分光法、偏光解析法、および共焦点顕微鏡法が知られている。
【0004】
共焦点顕微鏡は、標本を照らし、標本から来る光を検出するためにダイアフラム(ピン穴)を使用する。ピン穴は、焦点と共役にされた平面(すなわち撮像面)内に配置することができ、それにより、実質的には、照らされた平面からの光だけがピン穴の後方に配置された光測定装置に到達し、他の高さの層からの光はほとんど到達しない。これにより、良好なz分解能、すなわち光学軸に沿った分解能が生じる。
【0005】
本発明が基づく、層厚さの決定のための汎用共焦点顕微鏡は、照明光を発するための光源を備えることができ、あるいは、光源と連結するための機械的アダプタが設けられてよい。汎用共焦点顕微鏡は、照明光を標本上に案内し、集束させるための光学構成要素を備える。汎用共焦点顕微鏡は、さらに、照明光の焦点位置と標本位置との間の相対変位を共焦点顕微鏡の光学軸に沿って調整するように構成された焦点調整装置を備える。これを達成するために、対物レンズ、または光学構成要素の別の構成要素を高さ方向に移動/変位させることができ、または光学構成要素の1つ、たとえばズーム光学系のズーム設定を調整することができる。共焦点顕微鏡は、さらに、標本から来る照明光の共焦点測定のために配置された光測定装置を備え、ここでは、焦点調整装置の種々の設定値に属する測定信号を光測定装置によって記録することができる。共焦点測定は、特に標本と光測定装置との間のビーム路内のピン穴を用いて実施され得る。焦点調整装置の種々の設定値に対する測定信号を記録することにより、光強度がz焦点位置に応じて記録される。
【0006】
測定された光強度は、z焦点位置が2つの層表面、すなわち層の上側または下側(たとえば界面基板-層および界面層-空気)の1つだけに位置する場合に最大値または極値を有する。これらの2つの測定されたピーク/帯間の距離は、層厚さの特徴である。したがって、汎用共焦点顕微鏡は、標本の層厚さを決定するための評価装置を備え、この目的のために評価装置は:
- 光測定装置によって記録された、測定された光強度を焦点位置に応じて示す測定グラフにおいて少なくとも2つの強度帯の強度帯位置を決定し、
- 強度帯位置間の位置相違に基づいて層厚さを導出するように構成される。
【0007】
同様に、共焦点顕微鏡によって層厚さを決定するための汎用顕微鏡法は、以下のステップ:
- 照明光を光学構成要素を介して標本に案内するステップと、
- 標本位置に対する照明光の焦点位置を共焦点顕微鏡の光学軸に沿って焦点調整装置によって調整するステップと、
- 標本から来る照明光を光測定装置によって共焦点式に測定するステップであって、光測定装置は、焦点調整装置の種々の設定値に対する測定信号を記録する、測定するステップと、
- 標本の層厚さ(d)を評価装置によって決定するステップであって、この目的のために、評価装置は、光測定装置によって記録された、測定された光強度を焦点位置に応じて示す測定グラフから、少なくとも2つの強度帯の強度帯位置を決定し、評価装置は、強度帯位置間の位置相違に基づいて層厚さを導出する、決定するステップとを含む。
【0008】
汎用共焦点顕微鏡によって記録されたそのような測定グラフは、「Use of Laser Scanning Confocal Microscopy for Characterizing Changes in Film Thickness and Local Surface Morphology of UV-Exposed Polymer Coatings」、リーピンソン(Li-Piin Sung)ら著、JCT Research、Vol.1、No.4、2004年10月の
図2に示されている。
【0009】
汎用共焦点顕微鏡では、数マイクロメートルまたはそれ以上の層厚さを非常に正確に測定することができる。リーピンソン(Li-Piin Sung)らによる上記で言及した記事では、層厚さは、4μmより大きく、この場合、2つの強度帯は、互いから明確に分離している。しかし、2μmを下回る層厚さを有する最も薄い層/薄い膜は、知られている共焦点顕微鏡法では正確かつ容易に測定することはできない。1つの理由は、2つの測定された強度帯は互いに強く重複し、重複する強度帯の位置の知られている評価方法は、不正確な結果をもたらすためである。
【0010】
層厚さの決定のための知られている共焦点顕微鏡の共通の変形形態は、種々の高さの層(z位置)を分析するために、使用される対物レンズの縦色収差を利用する。この方法では、対物レンズは、光を光波長に応じて種々のz位置上に集束する。
【0011】
現在まで、単なる共焦点顕微鏡法以外の他の測定技術、たとえば白色光干渉法が、薄い層の厚さ測定に使用されている。薄い層を測定するための白色光干渉計が、たとえば、「Application of white-light scanning interferometer on transparent thin-film measurement」、メンチーリー(Meng-Chi Li)ら著、APPLIED OPTICS、2012年12月20日/Vol.51、No.36に記載されている。
【0012】
さらに、白色光干渉計の原理を使用する共焦点顕微鏡の変形形態が、使用される。そのようなシステムは、「Chromatic confocal spectral interferometry」、エバンゲロス、パパスタソポウロス(Evangelos Papastathopoulos)ら著、APPLIED OPTICS /Vol.45、No.32/2006年11月10日に記載されるような色共焦点分光干渉計として設計され得る。この場合、白色光または異なる波長の光が、標本上に案内され、縦色収差を有する光学構成要素が使用され、次いで、波長に依存する測定された光強度のダイアフラムが分析されて層厚さを決定する。共焦点顕微鏡と干渉計の類似の組み合わせが、「Separation of measurement of the refractive index and the geometrical thickness by use of a wavelength-scanning interferometer with a confocal microscope」、T.フカノ(T.Fukano)ら著、1999年7月1日/Vol.38、No.19/APPLIED OPTICSおよび独国特許第10 2010 016 462 B4号からも知られている。独国特許第10 2010 016 462 B4号では、光強度最大値が、使用される波長に応じて決定される(参照された特許文献の
図6)。次いで、光強度最大値は、波長に対して描かれる(
図7の曲線203)。曲線203の最大値の波長を決定することにより、検査された薄い層の距離/形状を推測することができ、一方で曲線203の2つの最大値間の波長相違212は層厚さを生み出す。
【0013】
さらに、AFM(原子間力顕微鏡)およびSTM(走査型トンネル顕微鏡)の組み合わせなどの組み合わせ方法が、薄い膜を検査するために知られており、これは、「Atomic Structure of Graphene on SiO2」、マサイシガミ(Masa Ishigami)ら著、Nano Letters 7、1643 (2007)に記載されている。また、偏光解析法も広く知られており、たとえば、「Ellipsometry on thin organic layers of biological interest:characterization and applications」、ハンスアーウィン(Hans Arwin)著、Thin Solid Films 377-378(2000)48-56を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
薄い層を特に正確に簡単な方法で検査することができる共焦点顕微鏡を提供することが、本発明の目的としてみなされ得る。さらに、層厚さの決定のための対応する顕微鏡法が提供されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、請求項1の特徴を有する共焦点顕微鏡および請求項14の特徴を含む顕微鏡法によって達成される。
【0016】
本発明の共焦点顕微鏡および本発明の顕微鏡法の有利な変形形態は、従属請求項の主題であり、以下の説明においても明らかにされる。
【0017】
本発明は、光強度をz焦点位置に応じて示す測定グラフにおいて、2つの重複する強度帯が、層の2つの縁/表面によって引き起こされる個々の2つの強度帯の単なる合計ではないという知見に基づく。これは、重複しない強度帯の場合のみに当てはまる。重複する強度帯に関して、干渉が重要な役割を果たす。反射測定では、層上側縁において反射された光は、層を通過し層下側縁において反射された光を干渉する。
【0018】
透過測定では、反射されずに層を通過する光は、下側縁において反射され、次いで層の上側縁において反射される光を干渉する。さらに、複数の反射も、干渉に寄与し得る。干渉は、2つの重複する強度帯の位置に影響を与えることが、認識された。2つの強度帯最大値間の位置相違は、したがって、重複する強度帯に関して正しい層厚さを示さない。したがって、本発明により、強度帯位置が干渉によってどのようにシフトされるかが、考慮に入れられる。
【0019】
本発明による、上記で参照した種類の共焦点顕微鏡では、評価装置は、重複する強度帯に関して、層における照明光の干渉を考慮しながら、少なくとも光波長および層厚さに対する強度帯位置の依存を決定する数学的モデルを使用して、層厚さを決定するように構成される。
【0020】
同様に、本発明によれば、汎用顕微鏡法は、数学的モデルを使用して評価装置によって層厚さを決定するステップを含む。このモデルは、重複する強度帯に関して、層における照明光の干渉の考慮の下、少なくとも光波長および層厚さに対する強度帯位置の依存を記述する。
【0021】
層厚さは、屈折率が掛けられた幾何学的厚さに対応する、検査される層の光学厚さとすることができる。
【0022】
反射測定では、数学的モデルは、測定された光強度が、層の上側縁において反射された光ならびに層の下側縁において反射された光からどのように発するかを考慮することができる。また、これら2つの反射された光部分間の干渉が考慮に入れられる。さらに、光内の複数の反射を考慮に入れることもできる。干渉の数学的記述の場合、光波長および層厚さはモデルの一部とすることができる。層と基板間の境界面/界面の強度帯位置を決定することにより、層厚さを推測することができる。重複する強度帯の場合、強度帯位置を決定し、層厚さを導出する上で課題が存在する。たとえば、膜(すなわち層)の強度帯が基板の強度帯から0.7μmだけ離れている場合、0.7μmは層厚さとして出力されず、数学的モデルは、2つの強度帯位置間の距離が、存在する光波長において層厚さにどのように依存するかを考慮し、特に開口数などの因子を考慮することができる。さらに、たとえば可能な層厚さの予想される範囲などの予備知識を数学的モデルにおいて使用して可能性のある曖昧さを排除することができる。その結果、層の重複する強度帯と基板の位置との間に0.7μmの距離がある場合、実際の層厚さは0.5μmであると決定され得る。
【0023】
強度帯位置を決定することは、種々の方法で実施され得る。これをどのように決定するかは、強度帯位置間の距離が実際の層厚さからどれだけ変動するかにも影響を及ぼし、これは、数学的モデルにおいて考慮され得る。評価装置は、測定された光強度を焦点位置に応じて描く記録された測定グラフから、いくつかの強度帯の各々に対するそれぞれの強度帯位置を決定するように構成することができ、これを達成するために、幾何学的重心が、それぞれの強度帯の半値全幅内のすべてのデータから算出される。すなわち、この場合、強度帯の最大値が最初に決定される。次いで、半値全幅、すなわちこの強度帯の最大値の半分に対応する高さにおける帯域幅が決定される。半値全幅内のすべての値から、平均、たとえば中間値または幾何学的重心/算術的平均が算出され、ここでは、場所位置は、対応する強度値によって重み付けされる。このようにして決定された位置は、強度帯位置として使用される。あるいは、強度帯が最大値を有するところの位置値を強度帯位置として使用するだけでもよい。重複する強度帯に関して、強度帯位置は、これらの位置がどのようにして決定されるかに依存し、特に、帯域の位置として使用されるのが、強度帯の最大値であるか、または強度帯の幾何学的重心であるかに応じて異なる。
【0024】
数学的モデルでは、強度帯位置は、(特にすでに知られている)検査される層の材料の屈折率および隣接する材料の屈折率、特にベース基板および空気の屈折率に依存し得る。たとえば、モデルは、これらの屈折率に依存する反射係数を含むことができる。干渉は、検査される層の上側縁および下側縁における光反射によって引き起こされ、測定された強度に影響を与え、この影響は、反射係数によってモデル内で考慮される。
【0025】
1つ以上の変数が測定データに当てはめられる曲線当てはめのための当てはめ関数として、数学的モデルは、特に、強度帯位置または一連の強度帯を実際の層厚さの関数として当てはめる関数を含むことができ、この関数は、こうして層厚さを決定し、適用可能な場合は層の別のパラメータを決定する。
【0026】
時折、同じ距離、すなわち2つの強度帯位置間の同じ位置相違が、異なる層厚さから結果として生じ得る。そのような曖昧さは、いくつかの異なる測定を実施することによって、または層についてすでに知られている情報を数学的モデルにおいて使用することによって排除され得る。すでに知られている情報を使用することにより、たとえば可能性のある/許容される層厚さ範囲を知ることができる。数学的モデルの解は、決定された層厚さがこの層厚さ範囲外になる場合に排除される。曖昧さを排除するためにいくつかの測定を行う場合、たとえば種々の光波長を使用することができ、2つの強度帯位置の位置相違を明確に層厚さに割り当てるために、いくつかの測定グラフを光測定装置によって記録するように対策されてよく、ここでは種々の測定グラフは種々の波長の照明光によって記録され、各測定グラフから、2つの強度帯位置のそれぞれの位置相違が決定される。数学的モデルはまた、2つの強度帯位置の位置相違がどのように光波長に依存するかも考慮し、このようにして、数学的モデルの可能性のある解の数を低減することもできる。
【0027】
種々の波長による測定が実施される場合、これは、同じ高さの層に関する測定情報の量を増大させるものであり、たとえば、色共焦点顕微鏡法とは対照的に、縦色収差を有する光学構成要素/対物レンズを使用することは意図されず、この場合では、種々の波長が種々の高さの層に集束され、したがって種々の高さの層が検査される。種々の波長の照明光が種々の高さの層上に集束されることを回避するために、共焦点顕微鏡は、アクロマート(収色性)またはアポクロマート(高度色消性)の対物レンズを備えることができる。したがって、これは、色収差を有する1つ以上の光学構成要素を備えることができ、この光学要素は、特に照明光の、2色色消しの場合は2つの別個の波長に対して、高度色消性の場合は波長領域に対して、対物レンズの残りの光学構成要素の色収差を補正するか、または部分的に補正する。
【0028】
当てはめ関数は、2つの強度帯位置の位置相違を照明光の波長に応じて記述することができる。数学的モデルを用いることにより、この当てはめ関数を種々の波長において決定された位置相違に当てはめることができる。当てはめられる、当てはめ関数の変数は、層厚さまたは層の別のパラメータとすることができる。この当てはめ関数は、特に波形を有することができる。
【0029】
本発明の説明される態様の変形形態では、層の別の光学パラメータも、数学的モデルの1つ以上の変数を測定データに当てはめることによって、層厚さに追加して、または層厚さの代わりに決定されてもよい。たとえば、特に幾何学的層厚さがすでに知られている場合、層の材料の屈折率が決定されてよい。
【0030】
種々の光波長によって記録された測定グラフの代わりに、または追加して、重複する強度帯の位置間の距離に影響を与える別のパラメータが異なる、複数の測定グラフを記録することができる。2つの強度帯位置の位置相違を層厚さに明確に割り当てるために、種々のピン穴設定値が、光測定装置上への共焦点撮像のピン穴に対して設定される。各ピン穴設定値に対して、それぞれの測定グラフが光測定装置によって記録される。数学的モデルは、ピン穴設定値に対する2つの強度帯位置の位置相違の依存を考慮し、ここでは種々のピン穴設定の知識は、2つの強度帯位置の位置相違から層厚さを推定する上で曖昧さを解消する。ピン穴設定は、種々の横方向ピン穴位置および/または種々のピン穴サイズを含むことができる。
【0031】
ピン穴設定値が異なる、種々の測定グラフから、2つの強度帯位置間のそれぞれの位置相違を決定することが可能である。数学的モデルを用いて、(2つの強度帯位置間の位置相違をピン穴設定値に応じて記述する)当てはめ関数を、種々のピン穴設定値に合わせて決定された位置相違に当てはめることが可能である。
【0032】
種々の測定グラフがそれによって記録されるピン穴の種々の設定値は、種々の方法、特に:
- 連続する測定間のピン穴のサイズ調整によって提供されてよく、
- 連続する測定間のピン穴の横方向変位によって提供されてよく、
- 標本から来る光のビーム路を、種々のピン穴が中に配置される種々のビーム路に分割し、特にそれと同時に、各ピン穴の後方の照明光を測定することによって提供されてよく、照明光の測定のために、光測定装置は、ピン穴の各々の後方にそれぞれの光検出器を備える。
【0033】
種々のピン穴設定が使用される本発明の変形形態はまた、種々のピン穴を設定するための計測要求事項がすでに提供されているか、または種々のピン穴によっていくつかの測定を実行することが必要である、測定方法と組み合わせられてもよい。そのような方法は、いわゆるエアリ走査/サブエアリ走査である。この方法では、システムの光分解能限界より良好になり得る特に高い横方向分解能が、標本点が空間分解能検出器上にどのように撮像されるかを決定する点広がり関数(PSD)を測定することによって達成され得る。エアリ走査を実行するために、互いから横方向に分離されたいくつかの測定路が、中間撮像面または撮像面、すなわち標本から来る照明光のビーム路内に形成され得る。中間画像面または画像面内の横方向に分離された測定路は、特に、互いに横方向にずらされた光ファイバによって形成され得る。各々の光ファイバは、光測定装置のそれぞれの光検出器に至る。横方向に分離された測定路は、特に互いに横方向にずらされたいくつかのサブエアリ検出器要素によって形成されてもよい。横方向にずらされた測定路間の横方向距離は、測定路に撮像される標本面の点の画像である回折ディスクより小さい。このようにして、標本点は、常にいくつかの測定路上に(同時にまたは連続的に)撮像され、これらの測定路の情報を算出の考慮に入れることにより、特に高い分解能がもたらされる。この文脈において、サブエアリ検出器要素は、いくつかの検出器要素が互いに十分な近さで隣接し、それにより、隣り合う検出器要素の中心点間の距離が、共焦点顕微鏡によって検出器要素の平面上に標本点が撮像されるときの回折ディスクより小さくなると理解されるものとする。これらの測定路における別個の信号記録は、種々のピン穴設定値、すなわち互いに横方向にずらされた/変位されたピン穴に対応する。種々の測定グラフがそれによって記録されるピン穴の種々の設定値は、横方向に分離した測定路によって形成され得る。換言すれば、種々のピン穴による測定はエアリ走査のために実施され、これらの種々の測定は、層厚さ決定にも使用することができる。
【0034】
共焦点顕微鏡の構成要素に依存するか、またはこれによって規定される数学的モデルのパラメータは、基準測定によって最初に決定され得る。この方法では、測定データへの曲線当てはめのコンテクスト(背景)で決定されるものである未知のパラメータの数を低減することができる。あるいは、所定のパラメータの精度を強化することができる。
【0035】
そのようなパラメータは、たとえば、特に照明対物レンズ、検出対物レンズ、または照明および検出の両方に使用される対物レンズの開口数とすることができる。
【0036】
このまたは一基準測定は、特に、知られている層厚さを有する層を有する基準標本において測定グラフを記録するステップを含むことができる。測定グラフのために、焦点面は、測定グラフが測定強度を集束された高さの層に応じて表すように、基準標本に対して高さ調整される。測定グラフでは、2つの(特に重複する)強度帯位置間の距離は、数学的モデルを使用して決定され得る。この方法では、2つの強度帯位置間の相違が基準標本の実際の、すでに知られている層厚さにどのように依存するかを記述する数学的モデルのパラメータを決定することが可能である。
【0037】
未知の標本の自動検査のために、評価装置が、記録された測定データを層厚さに関して分析するだけでなく、層厚さを決定することができるための層/薄い層が存在するか否かを確認するようにも構成される場合、有用である。たとえば、被覆されたウエハの場合、欠陥セクションは被覆されていないことになり得る。被覆されていない層は、ゼロ層系とも称され、一方でベース/基板上の層は1層系と称される。1層系が存在し、ゼロ層系層が存在しないかを確認するために、評価装置は:
- 測定グラフが2つの強度帯によって記述される1層曲線当てはめを実施し、
- 測定グラフが単一の強度帯によって記述されるゼロ層曲線当てはめを実施し、
- 1層曲線当てはめの曲線当てはめ結果がゼロ層曲線当てはめによる曲線当てはめ結果より良好な品質(偏差がより小さい)である場合に1層系と推定するように構成され得る。
【0038】
曲線当てはめ/関数当てはめは、数学的モデルから生じる関数(当てはめ関数)の1つ以上のパラメータが測定データに反復的に当てはめられるように理解され得る。当てはめ関数と測定データとの間の偏差が小さいほど、曲線当てはめの結果の品質は良好になる。層厚さの決定された値は、ゼロ層系ではなく1層系が推定されている場合にのみ、評価装置によって出力される。
【0039】
本発明の説明する変形形態は、1層系に限定されず、複数層系を検査し、説明するために使用されてもよい。この場合、2つの強度帯位置が各測定グラフから決定されるのではなく、通常は少なくとも2つを上回る。層の数が知られている場合、n+1強度帯位置を各測定グラフにおいて決定することができ、ここでnは層の数である。
【0040】
上記で示した変形形態の代わりに、または追加して、2つの強度帯位置の位置相違を層厚さに明確に割り当てるために、以下の方法ステップが提供され得る。評価装置および/または制御装置は、これらの方法ステップ:
- 種々の開口数、特に共焦点顕微鏡の対物レンズの種々の開口数、または照明光を標本に案内するため、または標本から来る照明光を案内するための開口数を設定するステップと、
- 設定された開口数ごとにそれぞれの測定グラフを光測定装置によって記録するステップとを実施するように構成されてよく、
- 数学的モデルは、開口数に対する2つの強度帯位置の位置相違の依存を記述し、特に設定された開口数が知られている場合、2つの強度帯位置の位置相違を層厚さに割り当てる際の曖昧さが解消される。
【0041】
この変形形態は、重複する強度帯の強度帯位置間の決定された距離が開口数にも依存することを利用する。開口数が変動する場合、強度帯位置間の距離も変動する。2つの強度帯位置間の距離に関して複数の測定グラフを分析することにより、層厚さをこれらのいくつかの距離からより正確に決定することができる。
【0042】
層厚さ以外に、標本または層の他の特性もまた数学的モデルを使用して決定され得る。特に、互いに横方向にずらされた/変位されたいくつかの標本領域/標本点を検査することにより、層厚さに加えて表面形態を決定することができる。特に、測定グラフからのそれぞれの正面(第1の)強度帯の位置が、互いに比較されて表面形態を決定することができる。同様に、測定グラフからのそれぞれの後方/後部強度帯の位置を比較することにより、基板表面の形態が生み出される。複数の層が積み重ねられている場合、複数の形態を強度帯位置の数に対応して算出することができる。
【0043】
それぞれの層厚さが、互いに横方向にずらされたいくつかの標本点の各々に対して決定される場合、標本点に関して記録された測定グラフの強度比較は、その標本点の消衰マップを決定することを可能にする。消衰マップは、各標本点について、消衰指数または他の標本点に対する相対消衰量を示す。標本点における層材料の消衰は、こうして、後部(第2の)強度帯が低くなるほど高くなるように推定することができ、一方で後部(第2の)強度帯より照明光の対物レンズに近い正面強度帯は、消衰とはほとんど無関係である高さを有する。共焦点顕微鏡の光学構成要素は、特に、標本を照明する役割を果たし、標本から来る光を光測定装置に案内する役割も果たす対物レンズを備えることができる。あるいは光学構成要素は、少なくとも2つの対物レンズを備えることもでき、その一方は照明のために配置され、他方は標本から来る光を案内するために配置される。
【0044】
焦点調整装置は、原理上、任意の調整/作動装置とすることができ、この装置によって、照明光の焦点と標本位置との間の相対位置を光学軸に沿って、すなわち照明光の伝播方向に調整することができる。これを達成するために、焦点調整装置は、標本ホルダ/標本表の高さ調整のための調整装置、または光学構成要素を移動させるか、もしくはシフトさせる、特に対物レンズをシフトさせることによって焦点位置をz方向に変動させる、対物レンズ内で特定のレンズをシフトさせる、もしくはズーム光学系を調整するための調整装置を備えることができる。上記で参照した測定グラフが記録される高さ走査を実行するために、焦点面は、光測定装置が対応する光強度を測定する間、焦点調整装置によってz測定範囲にわたって変更される。
【0045】
光測定装置は、特に可視性、赤外および/または紫外のスペクトル範囲内の光の光強度を測定するように設計される。光測定装置は、一次元または二次元カメラを備えることができ、またはたとえば光電子増倍管などの1つ以上の別個の検出器要素を備えるだけでもよい。
【0046】
評価装置は、評価装置に関して言及されたステップを実施するように(保存されたソフトウェアと共に)構成された電子構成要素を備えることができる。この点に関して、評価装置はまた、評価および制御ユニットを構成することもできる。これは、コンピュータ、たとえばパーソナルコンピュータ、ラップトップまたはスマートフォンによって形成されてよく、ここでは光測定装置は、測定データをコンピュータに送信し、コンピュータは、好ましくは、共焦点顕微鏡の他の電子構成要素または制御ユニットに機能的に接続される。コンピュータまたは評価装置はまた、共焦点顕微鏡の他の構成要素から分散(空間的に分離)されてもよく、たとえば、ケーブル、インターネット、または無線接続を介して共焦点顕微鏡の他の構成要素と通信することができる。
【0047】
色共焦点距離測定とは対照的に、本発明の撮像システムは、好ましくは、縦色収差を有さない。分光測光法との相違として、各測定グラフは、白色ではない単色で記録され得る。
【0048】
いくつかの測定グラフが種々の照明光波長によって記録される特に高速の標本検査の場合、白色でまたは同時に異なる波長で標本を照明することも可能であり、色ビームスプリッタを使用することにより、標本から来る光は、いくつかの異なる検出チャネル内に案内され、または色分解能を有する検出器/カメラによって測定される。これにより、照明波長が異なるいくつかの測定グラフを同時に記録することが可能になる。
【0049】
測定および曲線当てはめもまた、偏光に応じて実施され得る。
【0050】
任意選択の特徴として説明する共焦点顕微鏡の特徴の意図された使用の結果、本発明の方法の変形形態がもたらされる。共焦点顕微鏡の評価装置および/または制御装置は、本発明の方法の説明する変形形態の方法ステップを実施するように構成され得る。
【0051】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付された概略図を参照して本明細書の以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明による例示的な共焦点顕微鏡の概略図である。
【
図2】検査される標本層を通る光ビーム路の概略図である。
【
図3】厚い層の場合の、光強度を焦点高さに応じて示す測定グラフである。
【
図4】薄い層の場合の、光強度を焦点高さに応じて示す測定グラフである。
【
図5】
図4の測定グラフの2つの強度帯位置の距離と実際の層厚さとの間の関係を示す図である。
【
図6】照明光の波長に応じた、
図4の測定グラフの2つの強度帯位置の距離のグラフである。
【
図7】小さいピン穴直径を使用する、照明波長に応じた2つの強度帯位置の距離のグラフである。
【
図8】
図7に使用されるピン穴直径より大きいピン穴直径を使用する、照明波長に応じた2つの強度帯位置の距離のグラフである。
【
図9】
図8に使用されるピン穴直径より大きいピン穴直径を使用する、照明波長に応じた2つの強度帯位置の距離のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
類似の構成要素および類似の効果を有する構成要素は、概して、複数の図を通して同じ参照記号で示される。
【0054】
図1は、標本20の層厚さが決定される、本発明による共焦点顕微鏡100の例示的な実施形態の概略図を示す。
【0055】
共焦点顕微鏡100は、光源10、たとえば1つ以上のレーザ、ダイオード、または白色源を備える。特定の照明波長を選択するためのフィルタ(図示せず)が、設けられ得る。共焦点顕微鏡100は、特に、レーザ走査顕微鏡として形成され得る。
【0056】
光源10の照明光は、光学構成要素17、18を介して、特に対物レンズ18を介して標本20に案内される。以下で標本光と称される、標本20から来る光は、光測定装置30によって検出される。標本光は、示す例では、これも対物レンズ18および別の光学構成要素17を介して進行する。標本光は、ビームスプリッタ14によって照明光から分離され、それにより、標本光のみが、照明光無しで光測定装置30に案内される。ビームスプリッタ14は、部分的に透過性の鏡とすることができ、この鏡は、特に、波長または偏光に応じて光を透過または反射させることができる。標本光は、特に、標本において反射されるまたは散乱される照明光、または蛍光または燐光によって標本から発光される光とすることができる。
【0057】
標本において放射されて戻されるか、または反射される光が測定される示した例の代わりに、透過された光を測定することも可能であり、この場合、2つの対物レンズが標本20の両側に配置される。
【0058】
さらに、焦点調整装置19が、照明光の焦点を光学軸16に沿って、すなわち高さ方向/z方向/光伝播方向に調整するために設けられる。焦点調整装置19に加えて、走査装置(図示せず)もまた、横方向標本走査、すなわち光学軸16に対して垂直な走査のために設けられ得る。
【0059】
z方向の特に高い測定分解能のために、共焦点撮像が使用される。これを達成するために、ダイアフラム/ピン穴15が、標本面と共役な平面内に配置され得る。この方法では、実質的には焦点面からの標本光のみがピン穴15を通過させられ、一方で他の高さの層からの標本光は、実質的に遮られる。
【0060】
標本20の層厚さを決定するために、標本光は、光測定装置30によって測定され、その間焦点調整装置19は、照明焦点を高さ方向に変更する。こうして記録された測定データは、評価装置35によって評価される。これは、これ以後より詳細に説明される。
【0061】
図2は、照明光11がどのように投じられて検査される標本20において戻されるかを概略的に示す。標本20は、決定される層厚さを有する層23を含む。層23は、層23と隣接する媒体、たとえば空気との間のへり/境界部である上側縁または上側21を有する。層23は、さらに、層23が別の材料、たとえばベース24に隣接する下側縁または下側22によって限定される。層23の材料の屈折率は、隣接する材料の屈折率とは異なる。したがって、照明光11の一部は、上側21において反射され、この反射された光は、
図2では番号12によって参照される。照明光の別の部分は、上側21において屈折され、層23を通り抜け、下側22において反射され、光部分13として標本20を退出する。光部分12および13は、光測定装置上で互いに干渉し得る。
図2はまた、ピン穴15の境界部を概略的にのみ示す。標本光が光測定装置まで進行することができる領域は、ピン穴15によって横方向に(
図2ではx方向)および高さ方向(z方向)に限定される。複数の反射が標本層23内で起こることができ、ここで、ピン穴15は、ピン穴直径に応じて、複数回反射されている標本光を遮ることができ、これは
図2に概略的に示される。
【0062】
図2は、投じられて戻された光12、13が測定される変形形態を示すが、代替的には、標本20を通り、下側ベース材料24を通って進行する光を測定することが可能である。この場合も、検出された光の中で、すなわち
- 上側21において屈折され、下側22において反射されずに屈折される光部分と、
- 上側21において最初に屈折され、次いで下側22において反射され、再度上側21において反射される光部分との間に干渉が起こる。
【0063】
層厚さを決定するために、焦点調整装置は、照明光11を種々の高さの層上に連続的に集束させる。焦点面が上側縁21または下側縁22と位置合わせされる(同一である)場合、標本光の測定された強度は特に高くなり、それにより、上側縁21と下側縁22との間の距離を、測定された光強度をz焦点位置に応じて示す測定グラフにおいて決定することが可能になり、この距離を層厚さの値として推定することができる。
【0064】
図3は、測定された光強度(または反射係数などの光強度に線形依存する量)をz焦点位置に応じて示すそのような測定グラフ41を示す。この測定グラフおよびさらに以下に示すデータは、ほとんどの場合、例示目的のためのシミュレーションされたデータであることが留意される。測定グラフ41は、2つの強度帯または強度最大値を示す。第1の強度帯位置42は、z焦点位置が
図2の上側21にある場合に対応する。第2の強度帯位置43は、z焦点位置が
図2の下側22にある場合に対応する。焦点調整装置の設定値が変更されたとき、z焦点位置がどれだけ変更されたかが知られる。したがって2つの強度帯位置42と43との間の距離Aを決定することができる。
図3では、この距離は4μmであり、4μmの実際の層厚さとも等しい。
【0065】
原理上、強度帯が最大値を有するz焦点位置を強度帯位置42または43として使用することができる。しかし、通常、強度帯位置42または43は、強度帯の半値全幅内、すなわちz焦点位置の距離間隔内にあるこれらのz焦点位置の平均値または幾何学的重心によって決定され、ここでは距離間隔境界部における光強度は、強度帯の最大値の半分である。
【0066】
別の例示的な測定グラフ45が
図4に示される。この場合、検査される層はより薄く、すなわち1.4μmにすぎない。その結果、測定グラフ45の2つの強度帯は強く重複する。しかし、2つの決定された強度帯位置46および47は、この場合、正確には1.4μmの距離Aを有さない。重複する強度帯に関して、決定された強度帯位置46および47内にシフトがいくらか存在し、それにより、これらの距離Aは層厚さに完全に等しいわけではない。従来的に、共焦点顕微鏡は、したがって、
図3に示すような厚い層の層厚さの決定のみに使用されており、
図4に示すような薄い層の層厚さの決定には使用されていない。これとは対照的に、本発明は、
図4に示すような薄い層の層厚さも正確に決定することを可能にする数学的モデルを使用する。
【0067】
層は、その厚さが、2つの局所最大値ではなく1つの最大値だけが測定グラフ45内で見えるように小さい場合に、薄い層としてみなされ得る。したがって、薄い層における分類は、絶対厚さのみでなく、測定系にも依存する。
【0068】
決定された強度帯位置46および47におけるシフトの理由は、2つの強度帯の重複が、第1の強度帯の帯域最大値が第2の帯域の強度部分によってシフトされることを意味するためである。同じことは、上記で言及した幾何学的重心が帯域最大値の代わりに決定される場合にも当てはまる。
【0069】
決定された強度帯位置46および47のシフトの別の理由は、層の上側および下側において反射された光部分間の干渉である。照明光が上側に集束されたとき、上側において反射された光が測定されるだけでなく、上側において屈折され、次いで下側において反射された光も測定され、これは
図2を参照して説明されている。正または負両方の干渉が発生し得る。これに応じて、2つの強度帯位置の距離Aは、実際の層厚さより小さくなるか、または大きくなり得る。
【0070】
本発明は、2つの強度帯位置の決定された距離と実際の層厚さとの間の関係または依存を記述する数学的モデルを使用する。モデルは、強度帯位置に影響する上記で言及した干渉を考慮する。干渉は、モデル内の所定の(すでに知られている)パラメータである照明光の波長に依存する。さらに、開口数は、モデルの一部およびピン穴のサイズである。
図2に示すように、ピン穴15の直径は、複数回反射された照明光がどのように遮られるか、または光測定装置に送られるかに影響を及ぼす。さらに、ピン穴15の直径は、照明されたz焦点のサイズを決定し、各z焦点位置において、特定の光部分は、層の上側において反射され、ピン穴において透過され、また、下側において反射された特定の光部分は、ピン穴を抜けて透過する。そのような特定の光部分の量は、ピン穴の直径に依存し、数学的モデルにおいて考慮される。ピン穴のサイズは、エアリ単位で測定され得る。1エアリは、標本点が共焦点顕微鏡によってその上で撮像される回折ディスクの直径として定義され得る。さらに、標本層に撮像された光源点は、1エアリの直径を有する回折ディスクを形成するか、または形成することができる。
【0071】
数学的モデルは、測定された光強度Intをz焦点位置zの関数として、すなわちInt[z]を記述することができ、ここでInt[z]は、上側における反射の反射係数ra
0[z,ラムダ]および下側における反射または複数の反射の反射係数ra
i[d,z,ラムダ]の合計に依存する。反射係数ra
0およびra
iは、z焦点位置zおよび光波長ラムダに依存する。(光が層を通り抜けるための)反射係数ra
iは、実際の層厚さdにも依存する。簡単な数学的モデルでは、ra
iの指数iは、1または2に限定することができ、ここでra
1は、照明光が
図2の下側22において反射され、次いで、上側21において層を退出する場合を記述し、ra
2は、照明光が下側22において反射され、次いで上側21において反射され、次いで下側22において再度反射されてから上側21において層を退出する場合を記述する。このモデルでは、測定された光強度Int[z]は、たとえば以下に規定されるように、反射係数の合計の二乗に依存し、ここでは比例定数が補強され得る:
Int[z]=(ra
0[z,ラムダ]+ra
i[d,z,ラムダ])^2
【0072】
数学的モデルでは、反射係数ra0[z,ラムダ]は、z方向および横方向の焦点寸法を考慮する式によって記述される。この焦点寸法は、波長、開口数およびピン穴のサイズに依存する。最小ビーム直径(横方向直径)w0[ラムダ]を考慮することができ、これは焦点内に直接的に存在する。このモデルでは、このビーム直径w0[ラムダ]は、波長ラムダが増大するにつれて小さくなり、これは、開口数NAが増大するにつれて小さくなり、ピン穴のサイズAUが増大するにつれて大きくなる。たとえば、このモデルでは、以下のように推定され得る:
w0[ラムダ]=AU/(4*ラムダ)/NA
他のz位置では、ビーム直径w[z,ラムダ]は、より大きく、ここでは数学的モデルは、zの関数として、特にw0[ラムダ]により、ラムダ、AUおよびNAに依存してビーム直径w[z,ラムダ]を記述する式を含む。たとえば、以下のように推定され得る。
w[z,ラムダ]=w0[ラムダ]*sqrt(1+(z/π/(AU/4/NA)^2/ラムダ)^2)
式中、sqrtは、後続の式の平方根である。
【0073】
すべての言及された公式は、特に、比例因子または係数が補強され得るように修正されてよい。
【0074】
反射係数ra0[z,ラムダ]は、特有のz位置においてビーム直径が低減するにつれて増大し得る。これは、大きいビーム直径の場合、反射された光のより大きい部分がピン穴において遮られ、一方でビーム直径が低減するにつれて、ピン穴を通過することができる反射された光の部分がより多くなることを考慮する。これは、ra0[z,ラムダ]がw0[ラムダ]/w[z,ラムダ]に比例するか、または依存するように数学的に表現することができる。
【0075】
たとえば、このモデルにおいて、反射係数ra0[z,ラムダ]は以下のように記述され得る:
ra0[z,ラムダ]=rt01[ラムダ]*w0[ラムダ]/w[z,ラムダ]
係数rt01[ラムダ]は、光波の反射および透過を記述するフレネルの公式の結果から生じ得る。
【0076】
同様に、他の反射係数rai[d,z,ラムダ]は、ビーム直径およびフレネル公式による対応する係数に、たとえば以下のように依存する:
rai[d,z,ラムダ]=w0[ラムダ]/w[z,ラムダ]*(1-rt01[ラムダ]^2*rt10[ラムダ]^(i-1)*rt12[ラムダ]^i*expterm
ここでは、1-rt01[ラムダ]は、上側において透過され、反射されない光部分を記述する。rt10[ラムダ]の項は、下側において反射された光部分を考慮し、rt12[ラムダ]の項は、下側において反射され、次いで上側において透過される光部分を考慮する。exptermという表現は、フレネル公式から知られているような虚数iを有する指数項として記述され得る波を記述する。上記の公式内の他のiは、考慮される反射回数を示す指数を指し、たとえば、i=2に設定されてよい。
【0077】
照明波長、開口数NAおよびピン穴サイズAUが知られている場合、w0[ラムダ]およびw[z,ラムダ]を算出し、こうしてra
0およびra
iを算出することができ、したがって測定することができる強度Int[z]を最終的に算出することが可能である。
図3および4のデータは、この方法でシミュレーションされ、ここではNA=0.6およびラムダ=405nmが、このモデルにおいて推定され、d=4μmの層厚さが
図3に対して推定され、d=1.4μmが
図4に対して推定される。開口数NAおよび/またはピン穴直径AUが未知である場合、これらを層厚さdと一緒に数学的モデルによって測定データから決定することも可能である。
【0078】
理想的には、重複する強度帯の強度帯位置の特有の距離Aを層厚さに明確に割り当てることが可能でなければならない。しかし、これは常にそうではない。
図5は、2つの強度帯位置間の決定された距離Aが実際の層厚さdの関数A(d)として描かれるグラフを示す。比較するために、
図5は、実際の(本当の)層厚さdと等しい線g(d)=dも含む。2つの強度帯位置間の距離Aの特有の値が測定データから決定され、たとえばA=1.5μmの場合、この値を特有の実際の層厚さdに明確に割り当てることは可能ではなく、これとは対照的に、A=1.5μmの場合は、層厚さd=1.4μmまたはd=1.45μmまたはd=1.57μmに対応し得る。
【0079】
実際の層厚さdに対する距離Aの依存は、特に、強度帯位置が決定される方法によって影響を受ける。関数Aの場合、その位置は、上記でより詳細に説明したように、強度帯の幾何学的重心の算出によって決定される。比較のために、
図5は、2つの強度帯位置の距離を示す別の曲線AU2を示し、この場合、これらの位置は、これもまた上記でより詳細に説明したように強度帯の最大値を示す。ここでも、A2の特有の値を実際の層厚さdに明確に割り当てることは可能ではなく、ここではA2(d)の進行がA(d)とは大きく異なることが、
図5から明らかである。
【0080】
これらの曖昧さは、追加の推定が数学的モデルにおいて使用される場合に回避することができる。たとえば、Aの値をdの1つの値に正確に割り当てることが可能になるように、層厚さdの許容された値の範囲が予め決定されてよい。
【0081】
あるいは、追加の測定を実行して曖昧さを回避することも可能である。これを達成するために、少なくとも2つの測定グラフ、好ましくは3つ以上の測定グラフが記録され、この中では、同じ標本点(すなわち横方向平面/xy平面内の同じ点)に対して、異なるz焦点位置が焦点調整装置によって設定され、これは
図3および4を参照して説明される。複数の測定グラフは、測定のパラメータ、たとえば照明光の波長が異なる。各測定グラフから、2つの強度帯位置の距離Aを決定することができる。決定された強度帯位置のシフトは(上記でさらに説明したように)波長に依存するため、距離Aの種々の値が、1つの特有の層厚さdに対して波長に応じて決定される。これは、決定された距離を照明光の波長の関数として示す
図6に示される。
【0082】
図6は、2つの強度帯位置の決定された距離を種々の照明波長に対して示す実験データmを示す。さらに、これらの実験データの2つの当てはめ関数が示され、この当てはめ関数は、数学的モデルを使用する。第1の当てはめ関数A(ラムダ)は、強度帯位置が強度帯の幾何学的重心によって算出される場合の、種々の照明波長ラムダに対する2つの強度帯位置の距離Aを記述する。他の当てはめ関数A2(ラムダ)は、強度帯位置が強度帯のそれぞれの最大値の場所値として決定される場合の、種々の照明波長ラムダに対する2つの強度帯位置の距離Aを記述する。
【0083】
示す例では、A(ラムダ)の曲線当てはめは、結果として、1.44μm±0.045μmの層厚さdおよびNA=0.4の開口数を生み出す。この算出された層厚さは、本発明の手順の妥当性を強調するこの例では、強度帯位置の実験的に確認された距離の各々より大きい。
【0084】
照明波長を変更する代わりに、またはこれに追加して、別の測定パラメータを変更することも可能であり、ここではそれぞれの測定グラフは、測定されたパラメータの各設定値に対して記録される。たとえば、ピン穴の開口数または設定値(すなわち、サイズ、形状または位置)を変更し、それぞれの測定グラフを記録することが可能である。
【0085】
図7から
図9は、数学的モデルによってシミュレーションされたデータを示し、
図6と同様に、2つの強度帯位置間において決定することができる距離Aを波長ラムダの関数として示す。距離Aの値は、幾何学的平均値算出によって強度帯位置を決定することによって決定された。これとは対照的に、強度帯位置間の距離A2の別に示す値は、強度帯の最大値の位置を決定することによって決定された。
図7から9は、d=273nmの同じ層厚さに対してそれぞれシミュレーションされ、共焦点撮像のピン穴のサイズAUが異なる。
図7の場合、ピン穴の直径は、1.5エアリ単位、すなわちAU=1.5である。これとは対照的に、
図8の場合はAU=2.5であり、
図9の場合はAU=3.5である。特有の照明波長のAまたはA2の値は、異なるピン穴直径が使用される場合に大きく異なることが分かり得る。したがって、いくつかの測定グラフを記録する際に照明波長を変更することに加えて、またはその代わりに、ピン穴設定を変更することも可能である。図は、2つの強度帯位置の距離から層厚さを推測するための数学的モデルの重要性を示す。
【0086】
特に薄い層の場合、2つの重複する強度帯の距離が層厚さ、任意選択により別の量にどのように依存するかを考慮するだけで、層厚さを正確に決定することが可能になる。
【0087】
本発明は、したがって、これまで厚い層の検査に限定されていたか、または有意の追加の計測努力によってのみ薄い層の検査に使用することができる共焦点顕微鏡によって、薄い層の層厚さ決定を実行することを可能にする。
【符号の説明】
【0088】
10 光源、11 照明光、12 検査される層の上側において反射された光部分、13 検査される層を通り抜け、次いで層の下側において反射された光部分、14 ビームスプリッタ、15 共焦点撮像のためのピン穴、16 光学軸、17 光学構成要素、18 光学構成要素/対物レンズ、19 焦点調整装置、20 標本、21 層の上側、22 層の下側、23 層、24 基部、30 光測定装置、35 評価装置、41 光強度をz焦点位置に応じて示す測定グラフ、42 第1の強度帯位置、43 第2の強度帯位置、45 光強度をz焦点位置に応じて示す測定グラフ、46,47 強度帯位置、100 共焦点顕微鏡、d 層厚さ、m 種々の照明波長に対する2つの強度帯位置の確認された距離を示す実験データ、A,A(d) 2つの強度帯位置の距離/位置相違、A2,A2(d) 2つの強度帯位置の距離/位置相違。