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  • 特許-アンテナ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20220726BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
G06K7/10 232
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018141284
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020017913
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】坂東 佑介
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067178(JP,A)
【文献】特開平09-153730(JP,A)
【文献】特開2006-023817(JP,A)
【文献】特開2008-22250(JP,A)
【文献】特開2013-118720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループアンテナが形成されたアンテナ基板と、前記アンテナ基板とは別体として設けられた回路基板と、前記アンテナ基板および前記回路基板を収容する筐体とを備えたアンテナ装置であって、
前記アンテナ基板を前記筐体から自立させた状態で支持するとともに、前記ループアンテナを前記回路基板に電気的に接続する、前記回路基板に立設された第1の自立部材と、
前記アンテナ基板上に前記ループアンテナに近接して設けられた発光素子とを備え、
前記筐体は、少なくともその一部が前記発光素子からの光を透過させる構成とされており、
前記ループアンテナ及び前記発光素子は、前記アンテナ基板の前記筐体の前記一部と対向する面に設けられ、前記筐体に対して間隔を空けて配置されている、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたアンテナ装置において、
前記アンテナ基板を自立させた状態で支持するとともに、前記発光素子を前記回路基板に電気的に接続する、前記回路基板に立設された第2の自立部材を備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたアンテナ装置において、
前記第1の自立部材および前記第2の自立部材は、前記アンテナ基板を自立させた状態で支持するのに十分な強度を有する導体とされている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載されたアンテナ装置において、
前記発光素子は、前記ループアンテナに近接して非対称で3箇所以上設けられている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載されたアンテナ装置において、
前記発光素子は、前記ループアンテナに近接して発光色が異なる素子が2箇所以上設けられている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信に用いて好適なアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))では、非接触ICカードなどの通信対象と無線通信を行うためのループアンテナを筐体に収容するようにしている。
【0003】
この筐体にループアンテナを収容したアンテナ装置では、通信対象との距離が通信品質に大きく影響するため、筐体の外面に近い位置にループアンテナを配置することが重要となる。
【0004】
図2に、筐体にループアンテナを収容したアンテナ装置の基本的な事例を示す。このアンテナ装置200(200A)では、筐体201内に収容された回路基板202の基板上に、ループアンテナ203が形成されている。この事例において、回路基板202には、高さのある部品は搭載されていない。このため、筐体201の高さを低くして、ループアンテナ203を筐体201の外面201aに近い位置に配置することができている。
【0005】
図3に、筐体にループアンテナを収容したアンテナ装置の別の事例を示す。このアンテナ装置200(200B)では、回路基板202に高さのある部品204,205が搭載されており、この部品204,205を収容するために筐体201の高さが高くされている。この場合、回路基板202の基板上にループアンテナ203を形成すると、ループアンテナ203が筐体201の外面201aから離れてしまう。
【0006】
このような事例に対し、例えば特許文献1に示されたアンテナ装置では、制御回路などが搭載された回路基板に、略コの字状のアンテナエレメントを立設し、このアンテナエレメントと基板上の導電性パターンとを接続することによって、環状のループアンテナを構成している。これにより、回路基板に高さのある部品が搭載されていても、ループアンテナを筐体の外面に近い位置に配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-290275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示されたような構成としたとしても、ループアンテナが筐体に収容されている状況にあっては、ユーザの目線からは筐体内のどの位置にループアンテナが収容されているかが分かりにくく、ひいては通信対象を筐体のどこに近づければよいのか分かりにくい場合があった。また、暗所では、アンテナ装置自体、どこにあるのかを特定することが難しかった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、回路基板に高さのある部品が搭載されていても、ループアンテナを筐体の外面に近い位置に配置することができ、かつ、筐体の外側からループアンテナの位置を容易に把握することが可能なアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために本発明は、ループアンテナ(2)が形成されたアンテナ基板(3)と、アンテナ基板とは別体として設けられた回路基板(4)と、アンテナ基板および回路基板を収容する筐体(1)とを備えたアンテナ装置(100)であって、アンテナ基板を自立させた状態で支持するとともに、ループアンテナを回路基板に電気的に接続する、回路基板に立設された第1の自立部材(6)と、アンテナ基板上にループアンテナに近接して設けられた発光素子(5)とを備え、筐体(1)は、少なくともその一部が発光素子からの光を透過させる構成とされていることを特徴とする。
【0011】
この発明において、筐体には、ループアンテナが形成されたアンテナ基板と、アンテナ基板とは別体として設けられた回路基板とが収容されている。アンテナ基板は、回路基板に立設された第1の自立部材によって、自立した状態で支持されている。また、アンテナ基板に形成されたループアンテナは、第1の自立部材によって回路基板に電気的に接続されている。これにより、回路基板に高さのある部品が搭載されていても、ループアンテナを筐体の外面に近い位置に配置することができるようになる。
【0012】
また、本発明において、アンテナ基板上には、ループアンテナに近接して発光素子が設けられており、筐体は、少なくともその一部が発光素子からの光を透過させる構成とされている。これにより、発光素子が発する光を目印として、筐体の外側からループアンテナの位置を容易に把握することが可能となる。
【0013】
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、回路基板に立設された第1の自立部材によって、アンテナ基板を自立させた状態で支持するとともに、アンテナ基板に形成されたループアンテナを回路基板に電気的に接続し、アンテナ基板上にループアンテナに近接して発光素子を設け、筐体の少なくとも一部を発光素子からの光を透過させる構成としたので、回路基板に高さのある部品が搭載されていても、ループアンテナを筐体の外面に近い位置に配置することができ、かつ、発光素子が発する光を目印として、筐体の外側からループアンテナの位置を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るアンテナ装置の要部を示す斜視図である。
図2図2は、筐体にループアンテナを収容したアンテナ装置の基本的な事例を示す図である。
図3図3は、筐体にループアンテナを収容したアンテナ装置の別の事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るアンテナ装置100の要部を示す斜視図である。
【0017】
このアンテナ装置100において、筐体1には、ループアンテナ2が形成されたアンテナ基板3と、アンテナ基板3とは別体として設けられた回路基板4とが収容されている。アンテナ基板3上には、ループアンテナ2に近接して、発光色が異なる発光素子5が2箇所設けられている。この実施の形態において、発光素子5(5-1,5-2)は、LED(Light Emitting Diode)とされている。なお、発光素子5は、必ずしもLEDでなくてもよい。
【0018】
また、アンテナ基板3は、回路基板4に立設された第1の自立部材6と第2の自立部材7とによって、自立した状態で支持されている。この実施の形態において、第1の自立部材6および第2の自立部材7は、アンテナ基板3を自立させた状態で支持するのに十分な強度を有する導体とされている。また、第1の自立部材6によって、ループアンテナ2が回路基板4に電気的に接続され、第2の自立部材7によって、発光素子5-1,5-2が回路基板4に電気的に接続されている。
【0019】
なお、図1には、筐体1内におけるアンテナ基板3や回路基板4などの設置状態が分かるように、筐体1の前後を透視した図として示している。また、この実施の形態において、筐体1の上面1aは、発光素子5(5-1,5-2)からの光を透過させることが可能な構成とされている。また、図1において、回路基板4には、高さのある部品8,9が搭載されている。
【0020】
このアンテナ装置100では、回路基板4に立設された第1の自立部材(導体)6によって、アンテナ基板3が自立させた状態で支持されるとともに、アンテナ基板3に形成されたループアンテナ2が回路基板4に電気的に接続されている。
【0021】
これにより、回路基板4に高さのある部品8,9が搭載されていても、ループアンテナ2を筐体1の外面(上面1a)に近い位置に配置することができている。また、回路基板4上の他の回路(周辺回路)からも遠ざけられるものとなり、回路基板4上の導電性パターン(金属)の影響を受けにくいものとなる。
【0022】
また、このアンテナ装置100では、回路基板4に立設された第2の自立部材(導体)7によって、アンテナ基板3が自立させた状態で支持されるとともに、アンテナ基板3に設けられた発光素子5-1,5-2が回路基板4に電気的に接続されている。
【0023】
この場合、発光素子5-1,5-2は、ループアンテナ2と同じアンテナ基板3に搭載されているが、発光素子5-1,5-2に電力を供給するアンテナ基板3上の導電性パターン(金属)は、発光素子5-1,5-2の消費電力から見て極めて細い線で足りるため、ループアンテナ2に対して悪影響を及ぼすことがない。また、第2の自立部材7が第1の自立部材6と対に配置されることから、この2つの自立部材6,7でループアンテナ2と発光素子5-1,5-2が搭載されたアンテナ基板3を強固に支えることができる。
【0024】
また、このアンテナ装置100では、アンテナ基板3上に、ループアンテナ2に近接して発光素子5-1,5-2が設けられており、筐体1の上面1aは発光素子5-1,5-2からの光を透過させることが可能な構成とされている。これにより、発光素子5からの光を目印として、筐体1の外側からループアンテナ2の位置を容易に把握することが可能となる。また、暗所であっても、アンテナ装置100がどこにあるのかを特定することができる。
【0025】
なお、上述した実施の形態では、第1の自立部材6および第2の自立部材7を導体としたが、ループアンテナ2や発光素子5-1,5-2と回路基板4との電気的な接続を図ることができればよく、必ずしも導体としなくてもよい。例えば、自立部材6,7を導電性パターンを形成した基板などとしてもよい。また、例えば、第1の自立部材6を導電性パターンを形成した基板とし、この基板に形成された導電性パターンを通してループアンテナ2や発光素子5-1,5-2を回路基板4と電気的に接続させるようにして、第2の自立部材7を省略するようにしてもよい。
【0026】
また、上述した実施の形態では、アンテナ基板3に発光色が異なる発光素子5を2箇所設けるようにしたが、2箇所に限られるものではない。また、発光素子5をループアンテナ2に近接して非対称で3箇所以上設けるようにしてもよい。また、発光素子5を1箇所としてもよい。
【0027】
また、上述した実施の形態では、筐体1の上面1aを発光素子5からの光を透過させることが可能な構成としたが、筐体1の全部を発光素子5からの光を透過させることが可能な構成としてもよく、筐体1の上面1aの一部を発光素子5からの光を透過させることが可能な構成としてもよい。
【0028】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…筐体、1a…上面、2…ループアンテナ、3…アンテナ基板、4…回路基板、5(5-1,5-2)…発光素子、6…第1の自立部材、7…第2の自立部材、8,9…部品、100…アンテナ装置。
図1
図2
図3