(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】2つの部材の連結構造、及び、2つの部材の連結方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/24 20060101AFI20220726BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
E04B1/24 Q
E04B1/58 503F
(21)【出願番号】P 2019001288
(22)【出願日】2019-01-08
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】赤峯 弘城
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110357(JP,A)
【文献】特開平04-166527(JP,A)
【文献】特開2010-159550(JP,A)
【文献】実公昭52-004734(JP,Y2)
【文献】実開平04-034358(JP,U)
【文献】特開2012-127165(JP,A)
【文献】特開2003-321872(JP,A)
【文献】特公昭52-019368(JP,B2)
【文献】実開平02-023611(JP,U)
【文献】特開2007-023703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなす板状部を各々有する2つの部材が、各々の前記板状部の端部同士が突き合わされ、前記板状部の両面側にて前記2つの部材に跨がって配置されている2つの連結部材とともに貫通するボルトにより接合されている2つの部材の連結構造であって、
前記2つの部材は各々、
長手方向に貫通し断面形状がほぼ矩形状をなす中空部を有し、長手方向に連ねて互いの小口が当接する状態で突き合わされて配置され、カーポートを構成する2本の柱の上端部間に架け渡されて梁をなし、
前記板状部は、前記2つの部材において前記中空部の下に位置して当該中空部を形成し、前記ボルトの直径より大きく当該ボルトが挿通される挿通孔を有し
ており、
各々の前記連結部材は、前記板状部と対面して当接される板状の連結板部を有し、
前記板状部と、2つの前記連結板部とに、単一のドリルねじが螺合されて締結されていることを特徴とする2つの部材の連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の2つの部材の連結構造であって、
前記2つの連結部材は、連結されている前記2つの部材よりも剛性が高い材料により形成されていることを特徴とする2つの部材の連結構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の2つの部材の連結構造であって、
前記ボルトは、互いに間隔を隔てて複数箇所に螺合されており、
前記ドリルねじは、互いに隣り合う前記ボルトの螺合箇所の間に螺合されていることを特徴とする2つの部材の連結構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の2つの部材の連結構造であって、
前記2つの前記連結板部のうちの一方は、前記ボルトが螺合される螺合孔を有し、
前記2つの前記連結板部のうちの他方と前記板状部とを挿通されている前記ボルトが前記螺合孔に螺合されていることを特徴とする2つの部材の連結構造。
【請求項5】
板状をなす板状部を各々有する2つの部材の、各々の前記板状部の端部同士を突き合わせ、前記板状部の両面側にて前記2つの部材に跨がって配置した2つの連結部材とともにボルトにより接合して前記2つの部材を連結する2つの部材の連結方法であって、
前記2つの部材は各々、
長手方向に貫通し断面形状がほぼ矩形状をなす中空部を有し、長手方向に連ねて互いの小口が当接する状態で突き合わされて配置され、カーポートを構成する2本の柱の上端部間に架け渡されて梁をなし、
前記板状部は、前記2つの部材において前記中空部の下に位置して当該中空部を形成しており、
前記板状部に設けられ前記ボルトの直径より大きく当該ボルトが挿通される挿通孔に挿通され、前記2つの連結部材が各々有し前記板状部と対面して当接される板状の連結板部とともに貫通させた前記ボルトにより前記板状部と2つの前記連結板部とを接合する接合ステップと、
前記ボルトにより接合された前記板状部と前記2つの連結板部とに、単一のドリルねじを螺合するドリルねじ螺合ステップと、
を有することを特徴とする2つの部材の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材を連結する2つの部材の連結構造、及び、2つの部材の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの部材を連結する2つの部材の連結構造としては、例えば、H型鋼で形成された鉄骨梁及びブラケットのフランジの外側端部に跨がって配置されるカバープレートと共に、フランジを挾んでカバープレートに対向配置されるスプライスプレートがボルト及びナットにより連結されている梁部材の接合構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような梁部材の接合構造では、ボルトが挿通され、当該ボルトの直径よりも大きな貫通孔が、フランジ、カバープレート、及び、スプライスプレートの各々に設けられており、各貫通孔に挿通されたボルトにナットが螺合されて接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記梁部材の接合構造のように、ボルトの直径よりも大きな貫通孔に挿通されたボルトにより連結されている部材同士は、外力が作用することにより、貫通孔とボルトとの間のクリアランス分、相対移動して2つの部材の間隔が開いてしまう可能性がある。また、このとき外力が作用して貫通孔の縁部にボルトが接触し支圧が作用すると、貫通孔を広げて更に大きく2つの部材の間隔が開いてしまう虞がある。特に、2つの部材が梁などのように大きな力が作用する部材の場合には、2つの部材の間隔が開いてしまうと、撓みが生じる、或いは、強度が低下するという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、連結した2つの部材の相対位置の変化が生じ難い2つの部材の連結構造、及び、2つの部材の連結方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の2つの部材の連結構造は、板状をなす板状部を各々有する2つの部材が、各々の前記板状部の端部同士が突き合わされ、前記板状部の両面側にて前記2つの部材に跨がって配置されている2つの連結部材とともに貫通するボルトにより接合されている2つの部材の連結構造であって、前記板状部は、前記ボルトの直径より大きく当該ボルトが挿通される挿通孔を有し、各々の前記連結部材は、前記板状部と対面して当接される板状の連結板部を有し、前記板状部と、2つの前記連結板部とに、単一のドリルねじが螺合されて締結されていることを特徴とする2つの部材の連結構造である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連結した2つの部材の相対位置の変化が生じ難い2つの部材の連結構造、及び、2つの部材の連結方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の梁部材の連結構造をなす梁の一使用例であるカーポートを示す図である。
【
図3】梁を長手方向に沿って切断した縦断面図である。
【
図4】梁を幅方向に沿って切断した縦断面図である。
【
図10】2本の梁部材を連結する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る2つの部材の連結構造として、例えば、
図1に示すように、3台の車両2が並べて駐車可能な3台用のカーポート1に用いられ、3台並べられている間口に沿うように掛け渡され、2つの部材としての2本の梁部材30が連結されている前梁(以下、梁という)3を例に挙げ図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態の梁3は、カーポート1が有する4本の柱4のうち、車両2の進入方向において手前側に立設されている2本の柱4の上端間に架け渡されている。
図1の例では、梁3の上方に、梁3に設けられた束材5を介して屋根6が設けられている。
【0011】
以下の説明においては、梁3が、カーポート1に組み込まれている状態で、上下となる方向を上下方向、間口に沿う方向であり梁3の長手となる方向を長手方向または左右方向、カーポート1の奥行きとなる方向を幅方向として示す。また、梁3を構成する各部材については単体の状態であっても、梁3がカーポート1に組み込まれている状態にて上下方向、左右方向または長手方向、幅方向にて方向を特定して説明する。尚、図面においては、同一図面において複数示されている部材の符号を一部省略している。
【0012】
梁3は、
図2~
図4に示すように、連結される2本の梁部材30と、2本の梁部材30内に挿入されて掛け渡される梁連結材31と、2本の梁部材30の下面部30fに掛け渡される下連結材32と、2本の梁部材30に嵌合されて下側を覆う下カバー33と、各梁部材30の上に固定される梁化粧材34と、を有している。
【0013】
梁3は、2本の梁部材30が長手方向に連ねて配置され互いの小口30aが突き合わされるとともに内部に梁連結材31が挿入されている。梁3の下側では、
図5に示すように、2本の梁部材30に跨がって当接される下連結材32とともに2本の梁部材30が梁連結材31にボルト7及びドリルねじ8により固定されている。ここで、梁連結材31及び下連結材32が、2つの部材に掛け渡されている連結部材に相当する。梁3の上側では、2本の梁部材30の各々と梁化粧材34とが2本の梁部材30に掛け渡されている梁連結材31にボルト7により固定されている。以下、詳述する。
【0014】
連結される2本の梁部材30は、長手方向に貫通する中空部30bを有するアルミニウム製の押出成形部材であって、同一の部材である。各梁部材30は、
図4に示すように、断面形状がほぼ矩形状をなす中空部30bを形成する梁本体部30cと、梁本体部30cよりも下方に延出された下延出部30dと、を有している。
【0015】
梁本体部30cは、幅方向において対向する梁壁部30eと、梁壁部30eの下端同士を繋ぐ下面部30fと、対向する梁壁部30eの上端部から各々対向する側に僅かに延出された対向延出部30gと、各対向延出部30gの先端から上方に立ち上がる立ち上がり部30hと、立ち上がり部30hの上端同士を繋ぐ上面部30iと、を有している。下延出部30dは、梁壁部30eと繋がって下面部30fよりも下方に延出され、幅方向において互いに対向している。
【0016】
各梁部材30の下面部30fには、
図6に示すように、連結される端部側に、梁連結材31とともにピン9が挿通される2つの梁側基準孔30jと、梁連結材31に螺合されるボルト7が下連結材32とともに挿通される8個の梁挿通孔30kと、が設けられている。ピン9は、
図7に示すように、直径が同一の円柱部9aと、円柱部9aと繋がって先端側の直径が円柱部9aの直径より漸次小さくなるテーパ部9bとを有している。
【0017】
2つの梁側基準孔30jは、連結される梁部材30の突き合わされる小口30aに対して、8個の梁挿通孔30kよりも離れた側に配置されている。8個の梁挿通孔30kは、長手方向に互いに間隔を空けて配置された4個ずつの梁挿通孔30kが、幅方向に2列に設けられており、4個ずつ並べられた梁挿通孔30kの、小口30aとは反対側に梁側基準孔30jがそれぞれ梁挿通孔30kと間隔を空けて設けられている。すなわち、長手方向に並べられた4個の梁挿通孔30kは、小口30aと梁側基準孔30jとの間に配置されている。
【0018】
8個の梁挿通孔30k、及び、突き合わされる小口30aの位置は、2つの梁側基準孔30jのいずれか一方に基づいて、すなわち、2つの梁側基準孔30jのいずれか一方を基準として設定されており、押出成形された部材にNC加工が施されて各梁部材30が形成されている。また、上面部30iには、下面部30fに設けられている8個の梁挿通孔30kのうちの小口30a側に設けられている6つの梁挿通孔30kと対向する位置に梁挿通孔30kが設けられている。
【0019】
梁連結材31は、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を断面がコ字状をなすように曲げ加工を施した2つの連結鋼材310を、
図4に示すように、互いの開放された側を幅方向に向かい合わせて接合し、断面が矩形状の角パイプ状をなしている。2つの連結鋼材310は、開放されている側の先端同士を重なり合わせて溶接されている。このとき、溶接した後の外周側の接合面が平坦になるように、重ねる一方の連結鋼材310の端部は、ほぼ板厚分、段曲げされている。溶接された梁連結材31は、長手方向に貫通する矩形状の中空部31aを有している。
【0020】
梁連結材31の長手方向の長さは、2本の梁部材30の小口30a同士を突き合わせたときの、一方の梁部材30の梁側基準孔30jと他方の梁部材30の梁側基準孔30jとの間隔より長く形成されている。また、梁連結材31の幅は、梁本体部30cが有する2つの立ち上がり部30hの間隔よりも僅かに狭く、梁連結材31の高さは、梁本体部30cの上面部30iと下面部30fとの間隔よりも僅かに低く形成されている。
【0021】
梁連結材31の下外面部31bには、
図8に示すように、長手方向における両端部側にそれぞれ、梁側基準孔30jに挿通されるピン9が挿通される連結材側基準孔31cと、両端部側に2つずつ設けられた連結材側基準孔31cの間に、各梁連結材31の梁挿通孔30kに挿通されたボルトが螺合される16個の螺合孔31dと、が設けられている。ここで、梁連結材31の下面31eが梁連結材31の同一平面をなす外側面に相当する。
【0022】
梁部材30に設けられている梁側基準孔30jと梁連結材31に設けられている連結材側基準孔31cとは同一の直径であり、ピン9の円柱部9aが嵌入可能に、ピン9の円柱部9aの直径より僅かに大きく形成されている。また、梁部材30に設けられている梁挿通孔30kは、ボルト7が挿通可能に、ボルト7の直径よりも僅かに大きく形成されている。そして、ピン9の円柱部9aと梁側基準孔30j及び連結材側基準孔31cと、ボルト7と梁挿通孔30kとは、いずれも僅かなクリアランスを有しているが、ピン9の円柱部9aと梁側基準孔30j及び連結材側基準孔31cとのクリアランスの方が、ボルト7と梁挿通孔30kとのクリアランスより小さく設定されている。
【0023】
4個の連結材側基準孔31cの長手方向における間隔は、2本の梁部材30の小口30a同士を突き合わせたときの、一方の梁部材30の梁側基準孔30jと他方の梁部材30の梁側基準孔30jとの間隔と一致するように、一方の端側に設けられる連結材側基準孔31cに対して他方の端側に設けられる連結材側基準孔31cの位置が設定されている。また、長手方向において、一方の端部側に配置される8個の螺合孔31dは、一方の端側に設けられる連結材側基準孔31cを基準として設定されており、他方の端部側に配置される8個の螺合孔31dは、他方の端側に設けられる連結材側基準孔31cを基準として設定されている。
【0024】
より具体的には、梁連結材31の一方の端側に配置された2個の連結材側基準孔31c及び8個の螺合孔31dと、他方の端側に配置された2個の連結材側基準孔31c及び8個の螺合孔31dとは、梁連結材31の長手方向における中央の位置から振り分けて線対称の位置に配置されている。また、一方の端側に配置された8個の螺合孔31dのうちの最も他端側に配置された2個の螺合孔31dと、他方の端側に配置された8個の螺合孔31dのうちの最も一端側に配置された2個の螺合孔31dと、長手方向における間隔は、他の螺合孔31dの長手方向における間隔よりも広く設けられている。
【0025】
そして、梁連結材31を連結する2本の梁部材30に掛け渡すように中空部30b内に挿入し、各梁部材30の小口30aを当接させ、各梁部材30の梁側基準孔30jと梁連結材31の連結材側基準孔31cとにピン9を嵌入すると、2本の梁部材30の互いの小口30aが突き合わされて当接した状態で、各梁挿通孔30kと各螺合孔31dとがほぼ中心が揃い重なり合うように構成されている。
【0026】
梁連結材31の上面には、下外面部31bに設けられている16個の螺合孔31dのうちの長手方向における中央側に設けられている12個の螺合孔31dと対向する位置に螺合孔31dが設けられている。
【0027】
下連結材32は、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を断面がコ字状をなすように曲げ加工を施して形成されている。下連結材32は、
図4に示すように、梁3の下面部30fと対面して下方から当接される当接板部32aと、当接板部32aの幅方向における両縁から各々垂設される垂設板部32bと、を有している。下連結材32の長手方向の長さは、梁連結材31の長手方向における中央側に設けられている12個の螺合孔31dが設けられている領域を覆い、残り4個の螺合孔31dに当接板部32aが被らない長さに設定され、幅方向の幅は、梁連結材31の幅方向の幅と同じ幅に形成されている。
【0028】
当接板部32aには、当該当接板部32aを、梁連結材31を2本の梁部材30の中空部30b内に挿入し、各梁部材30の小口30aを当接させてピン9を嵌入させた状態で、当該当接板部32aを2本の梁部材30の下面部30fに当接させたときに、
図9に示すように、梁連結材31の長手方向における中央側に設けられている12個の螺合孔31dを重なる位置に、ボルト7が挿通される12個の補強材挿通孔32cと、12個の補強材挿通孔32cの周りにドリルねじ8が螺合される位置を示す複数の位置指示孔32dと、が設けられている。ここで、ドリルねじ8とは、回転することにより下孔を開け、タップを立て、締め付けることができるねじを示している。
【0029】
梁連結材31に設けられている螺合孔31dと重なる位置に設けられている12個の補強材挿通孔32cは、下連結材32の長手方向における中央の位置から振り分けて線対称の位置に配置されている。12個の補強材挿通孔32cのうちの長手方向に並ぶ6個の補強材挿通孔32cは、中央側に位置する2個の補強材挿通孔32cの間隔が、他の補強材挿通孔32cの間隔より広く設けられている。
【0030】
複数の位置指示孔32dは、ドリルねじ8の直径よりも僅かに小さな下孔の直径よりも更に小さく形成されている。位置指示孔32dは、長手方向に並ぶ6個の補強材挿通孔32cの間と、幅方向に並ぶ2個の補強材挿通孔32cの間とにそれぞれ設けられている。長手方向に並ぶ6個の補強材挿通孔32cの間には、中央側に位置する2個の補強材挿通孔32c間に2個と、その他の互いに隣り合う2個の補強材挿通孔32c間に1個ずつ位置指示孔32dが設けられている。幅方向に並ぶ2個の補強材挿通孔32cの間には、それぞれ2個ずつ位置指示孔32dが設けられている。
【0031】
次に、2本の梁部材30を連結する方法について説明する。
図10に示すように、2本の梁部材30を連結する場合には、まず、2本の梁部材30の下面部30f及び梁連結材31の下外面部31b側が上方に向くように配置しておく(梁部材配置ステップS1)。次に、一方の梁3の中空部30bに梁連結材31を挿入し、梁側基準孔30jと連結材側基準孔31cとにピン9のテーパ部9bを挿通させる。次に、梁連結材31の反対側を、他方の梁3に挿入し、他方の梁側の梁側基準孔30jと連結材側基準孔31cにピン9のテーパ部9bを挿通させる。
【0032】
次に、テーパ部9bが挿通されているピン9をハンマー等により打ち込んで、ピン9の円柱部9aを梁側基準孔30jと連結材側基準孔31cとに嵌入させる(ピン嵌入ステップS2)。このとき、2本の梁3の小口30a同士は突き合わされて当接した状態となり、各梁挿通孔30kと各螺合孔31dとがほぼ中心が揃い重なり合う。このため、ピン9の円柱部9aは、梁部材30の下面部30fの肉厚と梁連結材31の肉厚とを合わせた厚みよりも長く形成されている。
【0033】
次に、嵌入されているピン9の隣に位置する4個の梁挿通孔30kにボルト7を挿通し、各々螺合孔31dに螺合する。この状態で、2本の梁部材30と梁連結材31とが梁部材30の下面部30f側にて連結されている。
【0034】
次に、下連結材32の当接板部32aが、2本の梁部材30の下面部30fに跨がって当接するように下連結材32を2本の梁部材30の下面部30f上に配置する。このとき、下連結材32に設けられている各補強材挿通孔32cと、ボルト7が挿通されていない各梁挿通孔30k及び各螺合孔31dとが重なり合うように下連結材32を配置する。次に、重なり合う各補強材挿通孔32c及び各梁挿通孔30kに挿通させたボルト7を各螺合孔31dに螺合する(下側接合ステップS3)。この状態で、2本の梁部材30、梁連結材31、及び、下連結材32が一体化されている。
【0035】
次に、下連結材32に設けられている各位置指示孔32dに順次ドリルを当てて、下連結材32の当接板部32a、梁部材30の下面部30f、及び、梁連結材31の下外面部31bを貫通し、位置指示孔32dよりも僅かに大きな直径をなす、ドリルねじ8用の下孔を形成する。次に、形成した各下孔にドリルねじ8を螺合する。この状態で、アルミニウム製の各梁部材30の下面部30fが、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板製の梁連結材31の下外面部31bと下連結材32の当接板部32aとにより挟持された状態でより密着した状態となる(ドリルねじ螺合ステップS4)。ここで、梁連結材31の下外面部31bと、下連結材32の当接板部32aとが、板状部を両面側から挟む2つの連結板部に相当する。また、ドリルねじ8を螺合した後にはピン9を抜きとっても構わない。
【0036】
次に、一体化された2本の梁部材30、梁連結材31、及び、下連結材32を、梁部材30の上面部30i側が上方に向くように配置する。
次に、2本の梁部材30上に各々梁化粧材34を載置し、梁化粧材34に設けられている化粧材挿通孔34aと、梁部材30の上面部30iに設けられた梁挿通孔30kに挿通させたボルト7を各々螺合孔31dに螺合して(上側接合ステップS5)、2本の梁部材30を連結が完了する。
【0037】
本実施形態の2本の梁部材30の連結構造によれば、2つの梁部材30の、突き合わされている下面部30fと、2つの梁部材30に掛け渡されて下面部30fを両面側から挟む下外面部31b及び当接板部32aとに単一のドリルねじ8が螺合されて締結されているので、連結された状態では、ドリルねじ8と下面部30fとの間にクリアランスが生じない。このため、連結した2つの梁部材30の相対位置の変化が生じ難い梁部材30の連結構造を提供することが可能である。
【0038】
また、下面部30fは、当該下面部30fが設けられている2つの梁部材30よりも剛性が高い下外面部31b及び当接板部32aに両面側から挟まれているので、たとえ、ドリルねじ8から下面部30fに支圧が作用したとしても、ドリルねじ8が喰い込むときに下面部30fが厚み方向に膨らむ空間が存在しない。このため、下面部30fに支圧が作用したとしても、下面部30fにおいてドリルねじ8が螺合されている孔は広がらないので、連結した2つの梁部材30の相対位置が変化することを抑制することが可能である。
【0039】
また、2つの梁部材30の下面部30fと、下外面部31b及び当接板部32aとがボルト7のみにより締結されている場合には、互いに隣り合うボルト7の螺合箇所の間において下面部30fと、当該下面部30fを両面側から挟む下面部30fと、下外面部31b及び当接板部32aとの間に浮きが生じ易い。上記2つの梁部材30の連結構造によれば、互いに隣り合うボルト7の螺合箇所の間にドリルねじ8が螺合されているので、ボルト7の螺合箇所の間をドリルねじ8により密着させておくことが可能である。このため、連結した2つの梁部材30の相対位置の変化が生じることを、より確実に抑制することが可能である。
【0040】
また、下外面部31b及び当接板部32aのうちの下外面部31bに設けられている螺合孔31dに、当接板部32aと下面部30fとに挿通されているボルト7が螺合されているので、ナットを用いることなく、2つの梁部材30を連結することが可能である。
【0041】
また、本実施形態の梁部材30の連結方法によれば、2つの梁部材30の、突き合わされている下面部30fと、2つの梁部材30に掛け渡されて下面部30fを両面側から挟む下外面部31b及び当接板部32aとに単一のドリルねじ8を各々螺合して締結するので、連結された2つの梁部材30とドリルねじ8との間にクリアランスが生じない。このため、連結した2つの梁部材30の相対位置の変化が生じ難い梁部材30の連結方法を提供することが可能である。
【0042】
また、本実施形態の梁部材30の連結構造によれば、梁連結材31に設けられている2つの連結材側基準孔31cが、2本の梁部材30に各々設けられている梁側基準孔30jと一致している状態で2本の梁部材30が連結されるので、連結材側基準孔31cに基づいて配置されている複数の螺合孔31dと、各梁部材30に設けられている複数の梁挿通孔30kの位置とが一致する。このため、重なるべき梁挿通孔30kと螺合孔31dとの位置が全て重なる状態に、2本の梁部材30と梁連結材31とが配置された状態でボルト7を挿通させることが可能である。このため、各梁挿通孔30kに挿通させたボルト7を螺合して2本の梁部材30を容易に連結することが可能である。
【0043】
また、2つの連結材側基準孔31cの間隔に基づいて、各々の梁部材30における梁側基準孔30jに対する小口30aの位置が設定されているので、2つの連結材側基準孔31cの位置と各々の梁部材30の梁側基準孔30jの位置とが一致している状態で、各梁部材30の小口30a同士を当接させて突き合わせることが可能である。このため、梁部材30の小口30a同士が当接されて連結されるので、2本の梁部材30の連結部分における梁3の曲がりの発生を抑制することが可能である。
【0044】
また、各々の梁部材30の中空部30bに挿入されている梁連結材31の同一平面をなす下外面部31bに2つの連結材側基準孔31cと螺合孔31dとが設けられているので、2つの連結材側基準孔31cに対する螺合孔31dの位置精度をより高めることが可能である。このため、より位置精度が高い2つの連結材側基準孔31cと一致している梁側基準孔30jが設けられている梁部材30の複数の梁挿通孔30kと梁連結材31の複数の螺合孔31dとの位置を容易に合わせることが可能である。
【0045】
また、連結材側基準孔31cと梁側基準孔30jとに挿通されて2本の梁部材30と梁連結材31とを位置合わせするピン9は、連結材側基準孔31c及び梁側基準孔30jに嵌入される円柱部9aの長さが、梁部材30の板状部としての下面部30fの肉厚と梁連結材31の肉厚とを合わせた厚みよりも長いので、連結材側基準孔31cと梁側基準孔30jとに、いずれもピン9の円柱部9aを配置することが可能である。このため、連結材側基準孔31cと梁側基準孔30jとの中心同士を一致させることが可能である。このため、より高い精度にて2本の梁部材30と梁連結材31とを位置合わせすることが可能である。
【0046】
また、連結材側基準孔31c及び梁側基準孔30jと円柱部9aとのクリアランスは、梁挿通孔30kとボルト7とのクリアランスより小さいので、連結材側基準孔31c及び梁側基準孔30jに円柱部9aを、ボルト7よりも先に嵌入することにより、各梁挿通孔30kに挿通させた複数のボルト7を各螺合孔31dにより容易に螺合させることが可能である。
【0047】
上記実施形態においては、連結する2つの部材を2本の梁部材30とした例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、板状をなす板状部を各々有する2つの部材であって、各々の板状部の端部同士が突き合わされ、板状部の両面側にて2つの部材に掛け渡されている連結部材とともに貫通するボルトにより接合される部材であれば、構わない。
【0048】
また、上記実施形態においては、各梁部材30に2つの梁側基準孔30jが設けられ、梁連結材31に4個の連結材側基準孔31cが設けられている例について説明したが、これに限らず、少なくとも各梁部材に1つの梁側基準孔が設けられ、梁連結材の両端部側にそれぞれ1個の連結材側基準孔が設けられていれば構わない。
【0049】
また、上記実施形態においては、梁連結材31に設けられている螺合孔31dにボルト7を螺合する例について説明したが、これに限るものではない。例えば、梁連結材にボルトが挿通される挿通孔が設けられており、当接板部、下面部とともに挿通されたボルトにナットが螺合されて締結されていても構わない。
【0050】
上記実施形態においては、挿通部材をピン9とした例について説明したが、これに限らず、例えば、挿通部材は、梁部材及び梁連結材のいずれにも螺合されるねじであっても構わない。
【0051】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0052】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
板状をなす板状部を各々有する2つの部材が、各々の前記板状部の端部同士が突き合わされ、前記板状部の両面側にて前記2つの部材に跨がって配置されている2つの連結部材とともに貫通するボルトにより接合されている2つの部材の連結構造であって、前記板状部は、前記ボルトの直径より大きく当該ボルトが挿通される挿通孔を有し、各々の前記連結部材は、前記板状部と対面して当接される板状の連結板部を有し、前記板状部と、2つの前記連結板部とに、単一のドリルねじが螺合されて締結されていることを特徴とする2つの部材の連結構造である。
【0053】
このような2つの部材の連結構造によれば、2つの部材の、突き合わされている板状部と、2つの部材に跨がって配置されている2つの連結板部とに単一のドリルねじが螺合されて締結されているので、連結された状態では、ドリルねじと2つの部材との間にクリアランスが生じない。このため、連結した2つの部材の相対位置の変化が生じ難い2つの部材の連結構造を提供することが可能である。
【0054】
かかる2つの部材の連結構造であって、前記2つの連結部材は、連結されている前記2つの部材よりも剛性が高い材料により形成されていることを特徴とする。
このような2つの部材の連結構造によれば、板状部は、当該板状部が設けられている2つの部材よりも剛性が高い連結板部に両面側から挟まれているので、たとえ、ドリルねじから板状部に支圧が作用したとしても、ドリルねじが喰い込むときに板状部が厚み方向に膨らむ空間が存在しない。このため、板状部に支圧が作用したとしても、板状部においてドリルねじが螺合されている孔は広がらないので、連結した2つの部材の相対位置が変化することを抑制することが可能である。
【0055】
かかる2つの部材の連結構造であって、前記ボルトは、互いに間隔を隔てて複数箇所に螺合されており、前記ドリルねじは、互いに隣り合う前記ボルトの螺合箇所の間に螺合されていることを特徴とする。
【0056】
2つの部材の板状部と、連結板部とがボルトのみにより締結されている場合には、互いに隣り合うボルトの螺合箇所の間において板状部と板状部を両面側から挟む2つの連結板部との間に浮きが生じ易い。上記2つの部材の連結構造によれば、互いに隣り合うボルトの螺合箇所の間にドリルねじが螺合されているので、ボルトの螺合箇所の間をドリルねじにより密着させておくことが可能である。このため、連結した2つの部材の相対位置の変化が生じることを、より確実に抑制することが可能である。
【0057】
かかる2つの部材の連結構造であって、前記2つの前記連結板部のうちの一方は、前記ボルトが螺合される螺合孔を有し、前記2つの前記連結板部のうちの他方と前記板状部とを挿通されている前記ボルトが前記螺合孔に螺合されていることを特徴とする。
【0058】
このような2つの部材の連結構造によれば、2つの連結板部のうちの一方に設けられている螺合孔に、他方の連結板部と板状部とに挿通されているボルトが螺合されているので、ナットを用いることなく、2つの部材を連結することが可能である。
【0059】
また、板状をなす板状部を各々有する2つの部材の、各々の前記板状部の端部同士を突き合わせ、前記板状部の両面側にて前記2つの部材に跨がって配置した2つの連結部材とともにボルトにより接合して前記2つの部材を連結する2つの部材の連結方法であって、前記板状部に設けられ前記ボルトの直径より大きく当該ボルトが挿通される挿通孔に挿通され、前記2つの連結部材が各々有し前記板状部と対面して当接される板状の連結板部とともに貫通させた前記ボルトにより前記板状部と2つの前記連結板部とを接合する接合ステップと、前記ボルトにより接合された前記板状部と前記2つの連結板部とに、単一のドリルねじを螺合するドリルねじ螺合ステップと、を有することを特徴とする2つの部材の連結方法である。
【0060】
このような2つの部材の連結方法によれば、2つの部材の、突き合わされている板状部と、2つの部材に跨がって配置した2つの連結板部とに単一のドリルねじを螺合して締結するので、連結された2つの部材とドリルねじとの間にクリアランスが生じない。このため、連結した2つの部材の相対位置の変化が生じ難い2つの部材の連結方法を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
3 梁、7 ボルト、30 梁部材、30f 下面部、30k 梁挿通孔、
31 梁連結材、31b 下外面部、31d 螺合孔、32 下連結材