(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】泡状クレンジング用化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20220726BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220726BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220726BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220726BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20220726BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/86
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2019061024
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【氏名又は名称】中村 理弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202430
【氏名又は名称】太田 千香子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 理一
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-302445(JP,A)
【文献】特開2011-213680(JP,A)
【文献】パフィーリッチホットクレンジングフォーム、pdc、2016年2月22日, Cosmetic-Info.jp [online],[検索日 2022.05.31], インターネット<URL:https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=43954>
【文献】NEWS RELEASE「パフィーリッチホットクレンジングフォーム」2015年12月11日、株式会社pdc [online],[検索日 2022.05.31], インターネット<URL:https://www.p-dc.com/press/20151211.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Aを5~15質量%含有し、A:Bの質量比が5:1~1:2である、A~Dを含む泡状クレンジング用化粧料。
(A)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン
(B)グリセリン、ジグリセリン及びポリグリセリンより選択される1種または2種以上
(C)
HLB値が10~15である親水性界面活性剤
(D)
トリエチルヘキサノイン及び/又はエチルヘキサン酸セチルを含む油剤
【請求項2】
増粘剤を含有しない
請求項1に記載の泡状クレンジング用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器から吐出すると泡状を呈するクレンジング用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の汚れや、化粧料を取り除くために、油性成分を多く含むクレンジング化粧料が使用される。クレンジング化粧料には様々な形態(タイプ)のものが提供されている。
油分を主体とする組成物を噴射剤によってエアゾール化し泡状とする泡状化粧料は、泡状であることから垂れ落ちにくく手に適量を取り出すことができ皮膚や毛髪に塗布しやすいことから、クレンジング化粧料に応用されている。
泡状のクレンジング化粧料は、油分に界面活性剤を添加した組成物を揮発性の噴射剤とともにエアゾール化することで、油分が泡沫状となる。油分とともに用いられる界面活性剤としては、エアゾール化した時の起泡性や泡の持続性が良いことからポリグリセリン脂肪酸エステルが第一に選択され、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む泡沫化粧料の技術が多数開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
油分を主体とするマッサージ化粧料やパック化粧料、クレンジング化粧料は、いずれも皮膚に塗布した後にふき取るか洗い流す必要がある製剤である。しかし近年、これらの製剤は、洗い流すタイプが主流になりつつある。また、洗い流した後の化粧料の肌へのあと残り感がなく感触がさっぱりとしたものが好まれる傾向にある。
【0004】
泡質や水性汚れ除去能の向上を課題として、親油性と親水性のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用した泡沫エアゾール形態のクレンジング化粧料の技術が知られている(特許文献3)。この技術は乳化組成物を泡沫状とする技術であって、水の配合が必須であり、クレンジング力は、必ずしも十分ではない。一般的に、水を実質的に含まない油性成分主体のクレンジング化粧料の方が、油性のメイク汚れとのなじみがよく、水を含むクレンジング化粧料よりもクレンジング力に優れているといわれている。
【0005】
油性メイク落としにすぐれたクレンジング化粧料として、特許文献4には、液状油60~95質量%及び(B)親水性界面活性剤2~40質量%を含むエアゾールタイプのクレンジング化粧料が開示されている。
本出願人も、(A)液状油、(B)炭素数が6~18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル、(C)水酸基の1~3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステルを含有する、泡沫化粧料を提案し、特許を取得している(特許文献5)。
また特許文献6には、多価アルコールを含むエアゾール用組成物であって、塗布面での液ダレ等を生じず、使用感が優れているクレンジング剤が開示されている。
このように様々な、泡状のクレンジング化粧料が提案されているがいずれも十分に満足できるものはなかった。さらにすぐれた泡状のクレンジング化粧料が望まれており、具体的にはエアゾール化した時の吐出性、起泡性が良好で、泡の弾力、キメ細かさ、泡の持続性に優れ、クレンジング化粧料とした場合のクレンジング力、洗い流した後の肌へのあと残り感(ぬるつき)がないことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-241745号公報
【文献】特開2004-250355号公報
【文献】特開2005-325038号公報
【文献】特開2014-201523号公報
【文献】特許第6026312号公報
【文献】特開平06-100414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エアゾール容器からの吐出性と起泡性が良好で、得られる泡の弾力、泡のキメ細かさ、泡の持続性が良好であり、さらにクレンジング化粧料とした場合のクレンジング力、洗い流した後の肌へのあと残り感(ぬるつき)がない泡状のクレンジング用化粧料を提供することを課題とする。
【0008】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)Aを5~15質量%含有し、A:Bの質量比が5:1~1:2である、A~Dを含む泡状クレンジング用化粧料。
(A)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン
(B)グリセリン、ジグリセリン及びポリグリセリンより選択される1種または2種以上
(C)親水性界面活性剤
(D)油剤
(2)(D)油剤がトリエチルヘキサノイン及び/またはエチルヘキサン酸セチルを含むものである(1)に記載の泡状クレンジング用化粧料。
(3)(C)親水性界面活性剤のHLB値が10~15である(1)又は(2)に記載の泡状クレンジング用化粧料。
(4)増粘剤を含有しない(1)~(3)のいずれかに記載の泡状クレンジング用化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供される泡状クレンジング用化粧料は、噴射容器からの泡の吐出性と気泡性が良好で、泡の弾力、キメ細かさ、泡の持続性が優れ、化粧汚れを落とすクレンジング機能が高く、洗い流し性が良好であり、クレンジング化粧料とした場合のクレレンジング力、洗い流した後の肌へのあと残り感(ぬるつき)がない泡状クレンジ化粧料となる。本発明の泡状クレンジング用化粧料は、噴射容器に充填して使用し、噴射することで泡状クレンジング化粧料となるが、吐出した泡は、キメ細かく弾力性の高い良質な泡であり、クレンジング行為中に、長時間泡の状態を維持できるため、クレンジングしている時に皮膚から垂れ落ちたりせずに、使用性が良い。本発明の構成をとることで、所謂、液状の油性クレンジング料が垂れ落ち防止のために配合する増粘剤を配合しなくても、使用性の優れたクレンジング料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願明細書中、泡状クレンジング化粧料というときは、特にことわりのない限りは、液状のクレンジング用化粧料(泡状クレンジング化粧料を得るための原液のことで、以下、液状クレンジング用化粧料と言う場合もある)が、充填された容器から噴射剤によって、容器外に吐出して噴射剤としてのエアゾールを含む泡状の形態をとる場合をいう。また、泡状クレンジング用化粧料の各成分の含有量を示す基礎として、クレンジング化粧料の全量を示すときは、そのクレンジング化粧料は、噴射剤(常温常圧で気体成分)以外の全質量を示す。
以下に本発明の配合成分について説明する。
【0011】
<必須成分>
(A):ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン
本発明の泡状クレンジング用化粧料は、必須成分としてジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含有する。ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは、シリコン基剤にフェニル基を付加して、粘性・エモリエント性を高めたシリコンである。本発明の泡状クレンジング用化粧料には、泡状クレンジング用化粧料全量に対し、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを5~15質量%、より好ましくは5~10質量%配合すると好ましい。
【0012】
(B)グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン
本発明のクレンジング化粧料は、第2の必須成分としてグリセリン、ジグリセリン及びポリグリセリンから選択される1または2以上の物質を含有する。なお、ポリグリセリンとしては、平均重合度3~10のものが好ましく、ポリグリセリン-3が特に好ましい。本発明の泡状クレンジング用化粧料には、B成分はそれぞれ単独で配合しても、組み合わせて配合してもよい。組み合わせて配合する場合は、その合計量をB成分の配合量とする。グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンの配合量(合計配合量)は、(A)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの配合量に応じて決定される。(B)成分であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンの配合量は、泡状クレンジング用化粧料に含有されるA成分とB成分の配合比率、A:Bが、質量比で5:1~1:2となるように配合することが好ましく、より好ましくは5:4~1:2となるように配合する。
【0013】
(C)親水性界面活性剤
本発明のクレンジング用化粧料は、親水性界面活性剤を配合する。親水性界面活性剤は、クレンジング後に水で洗い流した時に、さっぱりとした洗い上がりを実現するために配合する。本発明で用いる親水性界面活性剤としては、その目的から、HLB値が10~15のものを配合すると好ましい。具体的には、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(30EO)(HLB15.0)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO)(HLB10.4)、ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB12.0)、イソステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB14.0)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB11.1)、ジカプリン酸ポリグリセリル-6(HLB10.2)、ポリソルベート60(HLB14.9)、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン(HLB15.0)等を例示できる。ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸PEG-20ソルビタンが特に好ましい。
親水性界面活性剤の配合量は、クレンジング用化粧料の全量中10~30質量%、好ましくは15~25質量%、特に好ましくは15~22質量%含有する。
【0014】
(D):油剤
本発明のクレンジング用化粧料に用いる油剤としては、通常化粧料に使用される油性成分であれば使用可能である。中でも液状油が好ましい。本発明でいう液状油とは、常温(25℃)で液状であって化粧料に用いられる油であればいずれを用いてもよい。また固体油やペースト状油、半ペースト状の油剤であっても、同時に配合する成分に溶解して液状になるものであれば配合しても構わない。本発明で用いる油剤としては、例えばトリグリセリド、一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステル(以下、エステル油とする)、液体蝋、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
トリグリセリドとしてはオリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ種子油、アボガド油、サフラワー油、米糠油、米胚芽油、小麦胚芽油、ヒマシ油、ブドウ種子油、アーモンド油、ヤシ油、パーム油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(2-エチルヘキサン酸とグリセリンのトリグリセリド)等、液体蝋としてはホホバ油等、炭化水素油としては流動パラフィン、スクワラン等、高級脂肪酸としてはイソステアリン酸、オレイン酸等、高級アルコールとしてはオクチルドデカノール、オレイルアルコール等が好ましく挙げられる。
エステル油としては、例えばイソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、オクタン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、イソオクタン酸セチル(エチルヘキサン酸セチル)、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル等が挙げられる。特にトリグリセリドは油剤の中では泡立ちやすいので本発明に好ましく用いられる。またエステル油はメイク汚れとなじみやすく、クレンジング力が高まるので本発明に好ましく用いられる。トリグリセリドとエステル油を組み合わせて配合すると、泡立ちとクレンジング力を兼ね備えた泡状クレンジング用化粧料が実現しやすくなるので好ましい。油剤は合計量として、噴射剤を除くクレンジング用化粧料全量中、55~80質量%配合すると好ましい。例えば、トリグリセリドとしてトリエチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)を選択し、エステル油としてエチルヘキサン酸セチルを選択し組み合わせて配合する場合、噴射剤を除くクレンジング用化粧料の全量中、トリエチルヘキサノインを0~25質量%、好ましくは5~22質量%配合し、エチルヘキサン酸セチルを45~80質量%配合すると特に好ましい。
【0015】
(E);噴射剤
本発明の泡状クレンジング用化粧料は、容器内に充填して吐出することによって液状から泡状(泡状クレンジング化粧料)へと変化する。容器内に噴射剤とともに充填すると好ましい。
本発明に使用する噴射剤としてはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン;プロパン、イソブタン、イソペンタン、ノルマルブタン、液化石油ガス(LPG)などの液化ガス、炭酸ガス、窒素ガスなどを挙げることができる。LPGとしては、例えば、プロパン、ブタンの混合物等化粧品用として一般に用いられるものであれば特に制限はない。泡状クレンジング化粧料を肌に塗布した際の安全性、低刺激性を考慮すると、炭酸ガスを使用することが好ましい。噴射剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
本発明の泡状クレンジング用化粧料は、常法に従って製造することができる。すなわち、配合成分すべてを適宜加熱して撹拌混合し、室温まで冷却して得ることが出来る。
本発明の泡状クレンジング用化粧料を泡沫化するためには、さらに噴射剤を配合して噴射可能な容器に充填して常法に従って製造することができる。例えば、エアゾール缶やPET樹脂容器、耐圧ガラス容器等のエアゾール用容器に液状に調整したクレンジング用化粧料を入れ、前記容器に噴射剤を充填することにより製造することができる。
【0017】
本発明の泡状クレンジング用化粧料を泡沫化する場合における、泡状クレンジング用化粧料と噴射剤の混合比は、特に限定されないが、泡状クレンジング用化粧料組成物:噴射剤の配合比率(質量比率)が70:30~98:2の範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、本発明の泡状クレンジング用化粧料の泡沫化が、充分に行われる。泡状クレンジング用化粧料組成物:噴射剤の配合比率(質量比率)が98:2をはずれて噴射剤の配合量が2質量%を下回ると、良好な泡沫化がおきにくく、好ましい泡状クレンジング化粧料が得にくくなる恐れがある。
【0018】
<任意成分>
本発明の泡状クレンジング用化粧料には、任意成分として化粧料に常用される各種原料を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
例えば、保湿剤、防腐剤、香料等を配合することができる。また本発明で必須の(C)成分以外の界面活性剤も本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で配合可能である。例えば、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB5.5)は親油性界面活性剤であるが、配合する全界面活性剤の混合HLB値が10~15の範囲に入る量であれば配合しても構わない。
【0019】
本発明において、クレンジング効果を十分に発揮させるためには、水を含有しないか或いは、水の添加量は極力少ない方が好ましい。水を固形の水溶性成分の溶媒とする場合など、必要に応じて含有させることは制限されない。
【実施例】
【0020】
以下に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
(1)泡状クレンジング用化粧料(エアゾール容器に充填する前のクレンジング化粧料)の調製
表1に示す組成にて実施例1~12、表2に示す組成にて比較例1~10の泡状クレンジング用化粧料を調製した。
なお、以下、泡状クレンジング化粧料とあるのは、容器から吐出した泡状の組成物のことを指し、泡状クレンジング用化粧料(エアゾール容器に充填する前のクレンジング化粧料)とは区別している。泡状クレンジング用化粧料のことを単にクレンジング化粧料という場合がある。
・調製方法
(A)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、(B)グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンより選択される1種または2種以上、(C)親水性界面活性剤、(D)油剤を80℃以上に加温し、均一に溶解後に撹拌しながら冷却し、泡状クレンジング用化粧料(原液)を調製した。
次いでこの泡状クレンジング用化粧料を、噴射剤(E)とともに容器に充填した。噴射剤として二酸化炭素を用い、泡状クレンジング用化粧料と噴射剤の配合比率が97:3質量比となるようにエアゾール容器に充填した。
【0021】
(2)泡状クレンジング化粧料の評価
本発明の泡状クレンジング化粧料は、泡の吐出性と泡の弾力、キメ細かさ、泡の持続性が優れ、化粧汚れを落とすクレンジング機能が高く、洗い流した後の肌へのあと残り感(ぬるつき)がない泡状クレンジ化粧料となる。
評価項目及び評価基準は次のとおりである。
【0022】
<1>泡の持続性
30mL容量のビーカーにエアゾール容器から3g噴出させて、泡を形成させ、泡の体積が1/3 になるまでの時間を測定し、泡の持続時間とした。
評価基準は以下の通りである。
◎:6分以上
〇:4分以上6分未満
△:2分以上4分未満
×:2分未満
【0023】
<2>使用性評価
官能評価員10名が、評価項目[吐出性、泡のキメ細かさ、泡の弾力性(泡弾力)]について、下記評価基準に従い目視で評価した。表には10名の協議で決定された評価を記載した。
評価は、各泡状クレンジング化粧料が掌にピンポン玉1個分の大きさになる量を吐出しておこなった。
【0024】
1)吐出性
(評価基準)
〇:泡が連続的にフォームされる
×:泡が連続的にフォームされず、目詰まりしたようにフォームされる
【0025】
2)泡のキメ細かさ
(評価基準)
〇:泡のキメが細かい
×:泡のキメが粗い
【0026】
3)泡の弾力
(評価基準)
1点:非常に悪い
2点:悪い
3点:普通
4点:良い
5点:非常に良い
なお、泡の弾力については、官能評価員10名の評点の平均点を求め、下記基準により◎~×の判定をつけ表に記載した。
×:1~2.0点
△:2.1~3.0点
○:3.1~4.0点
◎:4.1~5.0点
【0027】
<3>クレンジング力の評価
官能評価員10名が前腕内側部に口紅を適量塗布し、30分乾燥させた後に、泡状クレンジング化粧料を定量(ピンポン玉1個分の大きさ)吐出させ、30回円を描くように指で擦り口紅を落とした。次にクレンジング部位に流水を当てながら、指で3回軽く擦りながら洗い流し、洗い流した後の肌状態を目視で確認した。評価基準は以下の通りである。
○:口紅が完全に落ちている
×:口紅の跡残りがある
【0028】
<4>洗い流し性の評価
官能評価員10名が前腕内側部に泡状クレンジング化粧料を定量(ピンポン玉1個分の大きさ)吐出させ、30回円を描くように指で擦りつけるように馴染ませる。次に、流水を当てながら、指で3回軽く擦りながら洗い流し、洗い流した後の肌の感触を指で触って評価した。評価基準は以下の通りである。
○:油性のぬるつきを感じない
△:わずかに油性のぬるつきを感じる
×:油性のぬるつきを感じる
【0029】
【0030】
【0031】
(3)泡状クレンジング化粧料の評価結果
実施例1、実施例3、実施例12の評価から、A成分と、B成分にグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン-3を含む泡状クレンジングは、泡の持続性、吐出性、泡のキメ細かさ、泡の弾力、洗い流し性が良好であることが分かった。一方、A成分を含むが、B成分を含まず、B成分に替えて水を3%配合した比較例8では泡の吐出性が悪くなり、また泡の弾力も悪くなることが分かった。またB成分に替えて、類似成分であるジプロピレングリコール(DPG)、ペンタンジオールを配合した比較例9、10では、泡の持続性、吐出性、キメ細かさ、泡の弾力が悪くなり、洗い流し性も悪くなることが分かった。
【0032】
実施例8と比較例4の対比から、B成分の配合だけでは吐出性、泡のキメ細かさ、泡の弾力は改善できず、A成分(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)とB成分を組み合わせて配合することで吐出性、泡のキメ細かさ、泡の弾力が良好になることが分かった。
【0033】
実施例7と比較例6~7の対比から、A成分としてジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを配合した泡状クレンジング用化粧料は、泡の持続性、キメ細かさ、弾力が良好になることが分かった。一方、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンに替えて、同じシリコン系化合物であるジメチコンやシクロペンタシロキサンを配合しても、泡の持続性や、キメ細かさ、泡の弾力を改善する効果は得られないことが分かった。
【0034】
実施例1~12と比較例5の対比から、A成分(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)の配合量が5~15質量%の範囲内であり、B成分(グリセリン、ジグリセリン)との配合比がA:B=5:1~1:2である場合は、泡の持続性、泡の弾力等の使用性すべてが良好になることが分かった。そして、A成分(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)の配合量が3質量%、B成分(グリセリン)の配合量が3質量%であり、AとBの配合比がA:B=1:1である比較例5は泡弾力が△評価であるが、これは官能評価員10名の平均点が「普通」レベルに届かないことを示しており、本発明においてA成分の配合量と、A成分とB成分の比率が重要であることがわかった。
【0035】
以上の通り、(A)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、(B)グリセリン、ジグリセリン及びポリグリセリンより選択される1種または2種以上、(C)親水性界面活性剤、(D)油剤を含み、(A)を5~15質量%含有しA:Bが5:1~1:2である泡状クレンジング用化粧料は、エアゾール容器からの吐出性が良好であり、得られる泡の弾力、キメ細かさが良好であり、泡の持続性に優れ、さらにクレンジング化粧料として使用した場合のクレンジング力、洗い流した後の肌へのあと残り感(ぬるつき)がないものとなった。