IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ビルシステムの特許一覧

特許7111668ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法
<>
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図1
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図2
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図3
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図4
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図5
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図6
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図7
  • 特許-ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20220726BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20220726BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20220726BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 Q
G06Q50/16 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019158003
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021035879
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】三好 雅則
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 洋一
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-112614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0173970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/00
G06Q 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の顧客が管理する一つまたは複数のビル設備の各々について顧客とビル設備の情報に加え保守契約の本契約者を表す契約者IDを含む顧客情報と、当該一つまたは複数のビル設備について収集された情報を含み当該一つまたは複数のビル設備の各々の稼働状態を表す稼働状態情報とを基に、前記一つまたは複数のビル設備の少なくとも一つのビル設備の稼働状態を、当該少なくとも一つのビル設備を管理する顧客に対して可視化する可視化処理部を備えた可視化装置において、
新規顧客または既契約顧客である対象顧客との間で保守契約の折衝中のビル設備に関し当該対象顧客と当該ビル設備とを表す情報の入力を受け付け、当該情報を含む折衝中情報を、保守契約の折衝中のビル設備毎の折衝中情報が登録される折衝中顧客情報に登録する契約状態入力部と、
前記入力され登録された折衝中情報について前記対象顧客に属する契約者IDとして仮契約者を意味する値である“仮契約者”を生成し、当該折衝中情報と当該生成された契約者ID“仮契約者”とを含んだ情報を前記顧客情報に登録する仮契約者生成部と
を備え、
前記可視化処理部が、前記顧客情報のうち前記対象顧客について契約者ID“仮契約者”が関連付けられている情報と、前記稼働状態情報のうち契約者ID“仮契約者”に対応したビル設備の情報とを基に、保守契約締結前のビル設備の稼働状態を、前記対象顧客に対して可視化する、
可視化装置。
【請求項2】
前記仮契約者生成部は、前記対象顧客に関し、保守契約の折衝中の期間である試用期間において、契約者ID“仮契約者”に対して、前記対象顧客に属するいずれかの本契約者のIDを関連付け、
前記可視化処理部は、前記対象顧客から、契約者IDとしていずれかの本契約者のIDが指定された場合、当該本契約者のIDが契約者IDとして関連付いている一つ以上のビル設備の稼働状態を、前記対象顧客に対して可視化し、
当該一つ以上のビル設備は、前記指定されたIDが契約者ID“仮契約者”に関連付いていれば、契約者ID“仮契約者”に対応したビル設備を含む、
請求項1に記載の可視化装置。
【請求項3】
前記顧客情報において、保守契約が締結されたビル設備を有するビルの位置と、保守契約を締結した契約者の位置とのうちの少なくとも一つを表す情報を含み、
前記仮契約者生成部は、
契約者ID“仮契約者”に対応したビル設備を有するビルの位置である対象位置から一定の範囲にある位置のうち、前記対象位置に最も近い位置にあるビルまたは契約者を、前記顧客情報から特定し、
前記特定されたビルにあるビル設備の本契約者のID、または、前記特定された契約者のIDを、当該契約者ID“仮契約者”に関連付けるIDとして特定する、
請求項2に記載の可視化装置。
【請求項4】
前記可視化処理部は、契約者ID“仮契約者”のビル設備について可視化する情報を、当該ビル設備の保守契約の本契約に至るまでの段階に応じた情報に制限する、
請求項1に記載の可視化装置。
【請求項5】
前記仮契約者生成部は、保守契約について本契約がされたビル設備毎に本契約者のIDが契約者IDとされ顧客IDを有する情報を含む既契約顧客情報を参照し、前記対象顧客のIDを顧客IDとした情報である該当情報があれば、当該既契約顧客情報中の該当情報と、契約者ID“仮契約者”が関連付けられた折衝中情報とを前記顧客情報に登録する、
請求項1に記載の可視化装置。
【請求項6】
一または複数の顧客が管理する一つまたは複数のビル設備の各々について顧客とビル設備の情報に加え保守契約の本契約者を表す契約者IDを含む顧客情報と、当該一つまたは複数のビル設備について収集された情報を含み当該一つまたは複数のビル設備の各々の稼働状態を表す稼働状態情報とを基に、前記一つまたは複数のビル設備の少なくとも一つのビル設備の稼働状態を、当該少なくとも一つのビル設備を管理する顧客に対して可視化する可視化方法において、
新規顧客または既契約顧客である対象顧客との間で保守契約の折衝中のビル設備に関し当該対象顧客と当該ビル設備とを表す情報の入力を受け付け、当該情報を含む折衝中情報を、保守契約の折衝中のビル設備毎の折衝中情報が登録される折衝中顧客情報に登録し、
前記入力され登録された折衝中情報について前記対象顧客に属する契約者IDとして仮契約者を意味する値である“仮契約者”を生成し、当該折衝中情報と当該生成された契約者ID“仮契約者”とを含んだ情報を前記顧客情報に登録し、
前記顧客情報のうち前記対象顧客について契約者ID“仮契約者”が関連付けられている情報と、前記稼働状態情報のうち契約者ID“仮契約者”に対応したビル設備の情報とを基に、保守契約締結前のビル設備の稼働状態を、前記対象顧客に対して可視化する、
可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ビル設備の稼働状態の可視化装置、およびビル設備の稼働状態の可視化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル設備の一例として、エレベーターがある。エレベーターのオーナーが、自分のパソコンでWebサイトにアクセスし、エレベーター運行状況、稼働履歴状況を直接確認できる技術として、特開2002-288306号公報(特許文献1)に開示のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-288306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、顧客は、保守契約を締結した後でないと、エレベーターの稼働状態(例えば、運行状況および稼働履歴)を確認することができない。
【0005】
このため、保守契約を締結する前の新規顧客は、保守サービスのパンフレットなどにより、保守サービスの内容を確認し、保守契約を締結するかどうかを決断しなければならない。
【0006】
また、別のエレベーターについては保守契約の締結済みである既契約顧客は、保守契約を締結前に新規のエレベーターについては、稼働状態を確認することができない。
【0007】
上述の課題は、エレベーター以外のビル設備、例えば、エスカレーターのような乗客コンベアや、空調設備についてもあり得る。
【0008】
そこで、本発明は、保守契約を締結前でもビル設備の稼働状態を可視化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
可視化装置は、一または複数の顧客が管理する一つまたは複数のビル設備の各々について顧客とビル設備の情報に加え保守契約の本契約者を表す契約者IDを含む顧客情報を基に、少なくとも一つのビル設備の稼働状態を顧客に対して可視化するようになっている。このような可視化装置が、対象顧客との間で保守契約の折衝中のビル設備に関する情報の入力を受け付けたら、当該情報を含む折衝中情報について契約者IDとして仮契約者を意味する値である“仮契約者”を生成し、当該折衝中情報と契約者ID“仮契約者”とを含んだ情報を顧客情報に登録する。可視化装置は、契約者ID“仮契約者”が関連付けられているビル設備の稼働状態を、対象顧客に対して可視化する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保守契約を締結前でもビル設備の稼働状況の可視化が可能となる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るシステム全体の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態において新規顧客の顧客DBへの登録の一例を示す図である。
図3】実施形態において既契約顧客の顧客DBへの登録の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る稼働状態確認画面の第1の表示例を示す図である。
図5】実施形態に係る稼働状態確認画面の第2の表示例を示す図である。
図6】実施形態に係る仮契約者一時変更画面の表示例を示す図である。
図7】実施形態に係る新規顧客登録処理のフローの一例を示す図である。
図8】実施形態に係る既契約顧客登録処理のフローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、「インタフェース装置」は、一つ以上のインタフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインタフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インタフェースデバイス。I/Oインタフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインタフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインタフェースデバイスは、通信インタフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインタフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インタフェースデバイス。一つ以上の通信インタフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インタフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インタフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0014】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(たとえば補助記憶デバイス)であり、具体的には、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0016】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0017】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスである。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(たとえばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「kkk部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェアデバイス(たとえばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「xxxDB」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のデータでもよいし(例えば、構造化データでもよいし非構造化データでもよいし)、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxDB」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各DBの構成は一例であり、一つのDBは、二つ以上のDBに分割されてもよいし、二つ以上のDBの全部又は一部が一つのDBであってもよい。なお、「DB」は、データベースの略である。
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下、本明細書において、同一機能を有するものは、特に断らない限り、同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、エレベーターを構成する主ロープ、釣合い錘、乗りかご、巻上機などについての説明を省略する。また、以下の説明では、ビル設備の一例として、エレベーターを採用するが、本発明は、エレベーターに代えてまたは加えて、エレベーター以外のビル設備、例えば、エスカレーターのような乗客コンベアや、空調設備といったビル設備にも適用できる。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るシステム全体の構成を示すブロック図である。
【0022】
可視化装置1に、通信ネットワーク4を通じてエレベーター制御装置2が接続され、また、通信ネットワーク5を通じて顧客操作端末3が接続される。
【0023】
エレベーター制御装置2は、図示しないエレベーターに備えられた装置であり、エレベーターの稼働状態(例えば、故障の有無)を常時監視して記憶し、当該稼働状態を表す情報を可視化装置1に送信する。複数のエレベーターについて複数のエレベーター制御装置2が存在する。
【0024】
通信ネットワーク4および5の各々は、例えば、インターネット、移動体通信網、有線LAN、無線LAN、専用回線、或いはこれらの組み合わせでもよい。また、通信ネットワーク4および5は、一つの通信ネットワーク(例えば、インターネット)であってもよい。また、顧客操作端末3は、顧客が所持する情報処理端末であって、表示装置と入力装置とインタフェース装置とを備える。入力装置は、キーボードおよびマウスの他、表示装置と一体とされたタッチパネルであってもよい。このような顧客操作端末3の具体例は特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、およびスマートフォンなどが該当する。また、顧客操作端末3は、一つに限定されず、複数であってもよい。
【0025】
可視化装置1は、インタフェース装置、記憶装置12およびそれらに接続されたプロセッサを備える装置でもよいし、当該装置(例えばクラウド基盤)上に実現された装置でもよい。インタフェース装置は、通信ネットワーク4および5に接続される。可視化装置1は、契約状態入力部11と、仮契約者生成部15と、収集処理部17と、可視化処理部19とを備える。また、記憶装置12は、折衝中顧客DB13と、既契約顧客DB14と、顧客DB16と、稼働状態DB18とを格納する。折衝中顧客DB13は、保守契約の折衝中の顧客に関する情報を保持する。既契約顧客DB14は、保守契約の本契約者が属する顧客である既契約顧客に関する情報を保持する。顧客DB16は、顧客に関する情報を保持する。稼働状態DB18は、エレベーターの稼働状態に関する情報を保持する。
【0026】
可視化装置1において、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶装置12は、メモリは含む。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)である。ROMに格納されたプログラムコードをCPUが読み出して実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとが協働して、契約状態入力部11、仮契約者生成部15、収集処理部17および可視化処理部19といった機能が実現される。記憶装置12は、ROMおよびRAMの他に、HDD(Hard Disk Drive)のような永続記憶装置を含む。
【0027】
収集処理部17は、顧客DB16が表すエレベーターごとに、例えば30分に1回など、通信ネットワーク4を通じてエレベーター制御装置2に接続し、エレベーターの稼働状態を表す情報を定期的に収集し、収集された情報を稼働状態DB18に登録する。なお、エレベーターの稼働状態を表す情報には、エレベーターが稼働中か停止中かが判断できる情報が含まれているものとする。
【0028】
例えば、営業活動を行う営業員が、契約状態入力部11を通じて、まず、保守契約の折衝中の顧客の情報(折衝中情報)を折衝中顧客DB13に登録する。保守契約の折衝中の情報が折衝中顧客DB13に登録されると、仮契約者生成部15は、折衝中の顧客に対して仮契約者を示す値を契約者IDとして付与し契約者ID“仮契約者”が関連付いた情報を顧客DB16に登録する。
【0029】
より詳細には、図2図3に示すように、折衝中顧客DB13に折衝中情報が登録されると、仮契約者生成部15は、折衝中顧客DB13に登録された顧客IDをキーに既契約顧客DB14を検索して情報を取得し、折衝中情報と既契約情報をまとめて顧客DB16に登録する。
【0030】
図2は、新規顧客の顧客DB16への登録の一例を示す図である。なお、以下の説明では、折衝中顧客DB13内のレコードを「折衝中レコード」と言い、既契約顧客DB14内のレコードを「既契約レコード」と言い、顧客DB16内のレコードを「顧客レコード」と言う。折衝中レコードが折衝中情報の一例である。
【0031】
折衝中顧客DB13は、保守契約の折衝中のエレベーター毎に、折衝中レコードを有する。折衝中レコードは、既契約レコードから少なくとも契約者IDを除いた構成とされる。契約者IDが除かれる理由は、保守契約の折衝中とは、保守契約の締結(本契約)に至る前の状態であるためである。
【0032】
既契約顧客DB14は、保守契約の締結がされたエレベーター毎に、既契約レコードを有する。既契約レコードは、顧客ID、契約者ID、ビルID、ビル住所(ビル位置の一例)、エレベーターIDで構成される。既契約レコードは、顧客レコードに含まれる情報要素の全てを有してよい。本実施形態では、既契約レコードの構成は、顧客レコードと同じである。
【0033】
顧客DB16は、保守対象のエレベーター毎に、顧客レコードを有する。
【0034】
新規顧客の顧客DB16への登録は、次の通りである。すなわち、既契約顧客DB14には、折衝中顧客DB13に登録された顧客IDと同じ顧客IDの情報が無い。このため、仮契約者生成部15は、折衝中顧客DB13から、新規顧客のIDに一致する顧客IDを持つ折衝中レコードを取得する。仮契約者生成部15は、さらに仮契約者を示す値を契約者IDとして付与する。仮契約者生成部15は、取得した折衝中レコードと生成した契約者ID“仮契約者”との組合せを顧客レコードとして顧客DB16に登録する。
【0035】
図3は、既契約顧客の顧客DB16への登録の一例を示す図である。
【0036】
既契約顧客DB14に、折衝中顧客DB13に登録された顧客IDと同じ顧客IDを持つ既契約レコードが有る。このため、仮契約者生成部15は、折衝中顧客DB13から、既契約顧客のIDに一致する顧客IDを持つ折衝中レコードを取得する。仮契約者生成部15は、さらに仮契約者を示す値を契約者IDとして付与する。仮契約者生成部15は、取得した折衝中レコードと生成した契約者ID“仮契約者”とを組合せた顧客レコードを顧客DB16に登録する。また、仮契約者生成部15は、既契約顧客DB14から、既契約顧客のIDに一致する顧客IDを持つ既契約レコードを取得し、取得した既契約レコードを顧客レコードとして顧客DB16に登録する。このように、既契約顧客については、保守契約の折衝中のエレベーターと、保守契約の締結済みのエレベーターとの両方について、顧客レコードが顧客DB16に登録される。
【0037】
なお、保守契約の折衝を終えて保守契約が締結された場合は、契約状態入力部11が、営業員から、保守契約済みの顧客の情報として、顧客のIDと、エレベーターのIDと、保守の契約者ID(本契約者のID)とを受け付ける。仮契約者生成部15が、当該顧客IDおよびエレベーターIDを持つ折衝中レコードと、受け付けた契約者IDとの組合せを既契約レコードとして既契約顧客DB14に登録すると共に、当該折衝中レコードを折衝中顧客DB13から削除する。この際、仮契約者生成部15は、当該登録された既契約レコードに対応する顧客レコードのうちの契約者IDを、“仮契約者”から本契約者のIDに更新する。具体的には、図3を参照して一例を説明をすると、ビルID“ビルE”と“ビルF”の保守契約が締結され、本契約者が“A支店”の場合は、顧客レコードにおける契約者IDが“仮契約者”から“A支店”に更新される。
【0038】
図2および図3に示した通り、折衝中顧客DB13と既契約顧客DB14とで顧客が対応付けられるように同じ顧客IDを用いて登録するように構成する。
【0039】
また、契約者ID“仮契約者”のエレベーターについてのレコードは、営業活動において当該エレベーターについて保守契約が締結されなかった場合、営業員は、保守契約の手結がされなかったエレベーターについて、顧客IDとエレベーターIDとを契約状態入力部11に対して入力する。仮契約者生成部15は、当該顧客IDとエレベーターIDとを持つ折衝中レコードを折衝中顧客DB13から削除する。この際、仮契約者生成部15は、当該顧客IDとエレベーターIDとを持つ顧客レコードを、顧客DB16から削除する。
【0040】
なお、記憶装置12が、ユーザDB(図示せず)を格納してもよい。「ユーザ」とは、本実施形態では、顧客に属する者(例えば、従業員)である。ユーザDBは、ユーザ毎にユーザレコードを有してよい。ユーザレコードは、ユーザIDと、パスワードと、顧客IDとを含んでよい。ユーザIDおよびパスワードは、可視化装置1にアクセス可能なユーザを識別するための認証情報である。ユーザは、顧客操作端末3を操作して、通信ネットワーク5を通じて可視化装置1に接続する。可視化処理部19は、ユーザにユーザIDおよびパスワードを要求する。可視化処理部19は、ユーザDBに登録されているユーザIDおよびパスワードを受け付けた場合、顧客操作端末3に、顧客DB16と稼働状態DB18から取得した情報を表示することが可能となる。可視化処理部19が作成する可視化データは、そのデータ形式が特に限定されることはないが、例えば、画像形式、HTML形式、XML形式、CSV形式などを採用することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、エレベーターの稼働状態の可視化について説明するが、エレベーターの稼働状態に代えてまたは加えて、エレベーターについての問合せ対応、点検予定日、点検実績などを表示するようにしてもよい。また、エレベーター以外にもエスカレーターや空調設備といった保守対象装置の稼働状態を表示してもよい。
【0042】
次に、図4図5を参照して、エレベーターの稼働状態確認画面の表示の一例について説明する。図4は、エレベーターの稼働状態確認画面301の第1の表示例を示す図である。また、図5は、エレベーターの稼働状態確認画面301の第2の表示例を示す図である。
【0043】
これらの図に示すように、可視化処理部19によって顧客操作端末3に表示される稼働状態確認画面301は、例えばGUI(Graphical User Interface)であり、顧客ID表示欄3011、契約者ID選択欄3012、ビルID選択欄3013、稼働中台数表示欄3014、および、仮契約者変更ボタン3015を有する。これらのツール3011~3015の各々は、例えばGUI部品である。
【0044】
契約者ID選択欄3012が操作されると、契約者ID選択肢一覧3012aが表示される。当該一覧3012aに示されるように、“すべて”、あるいは、顧客DB16で管理されている契約者ID一覧のいずれかを選択可能とする。
【0045】
また、ビルID選択欄3013が操作されると、ビルID選択肢一覧3013aが表示される。当該一覧3013aに示されるように、“すべて”、あるいは、顧客DB16で管理されているビルID一覧のいずれかを選択可能とする。当該一覧3013aが表示するビルID一覧は、契約者ID選択欄3012でいずれかの契約者IDが選択された場合には、当該契約者IDに対応したビルID一覧に絞られる。
【0046】
稼働中台数表示欄3014での表示は、稼働状態の表示の一例である。稼働中台数表示欄3014は、契約者ID選択欄3012、およびビルID選択欄3013の選択条件に合う全てのエレベーターの台数を分母にした数値と、稼働中のエレベーター(すなわち、故障や点検などにより停止していないエレベーター)の台数を分子にした数値と、分母と分子の数値を使用したドーナツグラフとを示している。
【0047】
図4の表示においては、契約者ID選択欄3012で契約者ID“仮契約者”が選択されると、表示が、図4の第1の表示例から図5の第2の表示例に遷移する。
【0048】
ビルID選択肢一覧3013bに示すように、“すべて”、および契約者ID“仮契約者”に対応付けられたビルID“ビルE”と“ビルF”が選択可能となる。つまり、選択可能なビルIDは、契約者ID“仮契約者”に紐付いているビルIDに絞られる。このような表示制御は、顧客DB16と稼働状態DB18とのうちの少なくとも一つを基に可視化処理部19により行われる。
【0049】
契約者ID選択欄3012で“仮契約者”、ビルID選択欄3013で“すべて”が選択された場合は、可視化処理部19により、稼働中台数表示欄3014の表示が選択条件に合うように更新される。
【0050】
仮契約者変更ボタン3015は、契約者ID“仮契約者”を保守契約の締結が完了するまでの期間、一時的に、顧客IDに対応付けられている正式な契約者IDに変更する(言い換えれば、いずれかの本契約者のIDを契約者ID“仮契約者”に関連付ける)場合に使用するボタンである。仮契約者変更ボタン3015が押されると、可視化処理部19は、図6に例示の仮契約者一時変更画面302を表示する。
【0051】
図6に示すように、可視化処理部19によって顧客操作端末3に表示される仮契約者一時変更画面302は、仮契約者一覧3021と、一時変更ボタン3023とを有する。
【0052】
仮契約者一覧3021は、一覧No.、契約者ID、ビルID、および契約者一時変更選択欄3022を有する。本実施形態では、仮契約者一覧3021に、顧客DB16で管理されている顧客IDに対応付けられた契約者IDのうち、“仮契約者”の情報だけを表示することしているが、“仮契約者”以外の情報を表示してもよい。
【0053】
契約者一時変更選択欄3022は、一時変更選択肢一覧3022aに示すように、顧客DB16で管理されている顧客IDに対応付けられた契約者IDを一覧表示する。いずれかの契約者IDの選択が可能である。
【0054】
例えば、ユーザが、一覧No.“1”で表示した“ビルE”について、契約者一時変更選択欄3022で“A支店”を選択して一時変更ボタン3023を押すと、仮契約者生成部15は、顧客ID“△△不動産”およびビルID“ビルE”に対応した契約者ID“仮契約者”について契約者ID“A支店”を関連付ける。これにより、エレベーターの稼働状態確認画面301の契約者ID選択欄3012で“A支店”が選択された場合、可視化処理部19は、ビルID選択肢一覧3013aに“ビルE”を追加表示する。これにより、保守契約の締結が完了するまでの期間、一時的に、契約者ID“A支店”で、保守契約の折衝中の“ビルE”を管理することが可能となる。なお、“A支店”から“仮契約者”に戻したい場合には、ユーザは、契約者一時変更選択欄3022で“仮契約者”を選択し、一時変更ボタン3023を押せばよい。なお、営業活動において保守契約を締結できなかった場合は、契約者ID“仮契約者”と“A支店”の関連付けは削除され、仮契約者一時変更画面302に表示がされなくなる。
【0055】
本実施形態では、ユーザが仮契約者一時変更画面302を操作し、顧客IDに対応付けられて管理されている正式な契約者IDに手動で変更するようにしたが、それに代えてまたは加えて、次の方法が採用されてよい。すなわち、仮契約者生成部15が、仮契約のビル住所と、同一顧客IDの契約締結済みビル住所、または既契約者住所(図示せず)との距離を測定し、最も距離の近いビル住所に対応した契約者ID、または、既契約者住所に対応した契約者IDを、契約者ID“仮契約者”に割り当てるようにしてもよい。
【0056】
次に、図7を参照して、新規顧客の登録について説明する。図7は、新規顧客の顧客登録処理のフローの一例を示す図である。
【0057】
まず、契約状態入力部11が、営業員から、契約折衝中の顧客の新規の顧客IDを受け付ける(S11)。さらに、契約状態入力部11が、新規の顧客IDの他に、ビルID、ビル住所およびエレベーターIDを営業員から受け付け、顧客ID、ビルID、ビル住所およびエレベーターIDを有する折衝中レコードを折衝中顧客DB13に登録する(S12)。折衝中顧客DB13に新規顧客の折衝中レコードが登録されたことを契機に、仮契約者生成部15の処理が開始される(S13)。
【0058】
仮契約者生成部15は、既契約顧客DB14を参照し、新規作成した顧客IDと同一の顧客IDが存在するか確認する(S14)。同一の顧客IDが存在する場合(S14:Yes)、仮契約者生成部15は、エラー処理を行い、同一顧客IDが既に存在することを営業員に通知し(S16)、処理を終了する(S17)。同一の顧客IDが存在しない場合(S14:No)、仮契約者生成部15は、折衝中顧客DB13に登録された折衝中レコードと契約者ID“仮契約者”との組合せを顧客レコードとして顧客DB16に登録する(S15)。そして、顧客DB16に登録が完了すると仮契約者生成部15の処理が終了する(S17)。
【0059】
次に、図8を参照して、既契約顧客の登録について説明する。図8は、既契約顧客の顧客登録処理のフローの一例を示す図である。
【0060】
まず、契約状態入力部11は、営業員から、既契約顧客DB14内の顧客IDの指定を受け付け、当該顧客IDを既契約顧客DB14から取得する(S21)。契約状態入力部11は、さらに、契約折衝中のビルID、ビル住所およびエレベーターIDの入力を営業員から受け付け、取得した顧客ID、契約折衝中のビルID、ビル住所およびエレベーターIDで構成された折衝中レコードを折衝中顧客DB13に登録する(S22)。折衝中顧客DB13に既契約顧客の折衝中レコードが登録されたことを契機に、仮契約者生成部15の処理が開始される(S23)。
【0061】
仮契約者生成部15は、既契約顧客DB14を参照し、登録された折衝中レコードが持つ顧客IDと同一の顧客IDが存在するか確認する(S24)。同一の顧客IDが存在しない場合(S24:No)、仮契約者生成部15は、エラー処理を行い同一顧客IDが存在しないことを営業員に通知し(S27)、仮契約者生成部15の処理を終了する(S28)。同一の顧客IDが存在する場合(S24:Yes)、仮契約者生成部15は、既契約顧客DB14から対象の顧客IDを持つ既契約レコードを取得する(S25)。続いて、仮契約者生成部15は、折衝中顧客DB13から取得した折衝中レコードと契約者ID“仮契約者”との組合せとしての顧客レコードと、S25で取得した既契約レコードとしての顧客レコードとを顧客DB16に登録する(S26)。そして、仮契約者生成部15は、顧客DB16に登録が完了すると処理を終了する(S28)。
【0062】
以上の説明を、例えば下記のように総括することができる。
【0063】
顧客DB16は、一または複数の顧客が管理する一つまたは複数のエレベーターの各々について顧客とエレベーターの情報に加え保守契約の本契約者を表す契約者IDを含む。稼働状態DB18は、当該一つまたは複数のエレベーターについて収集された情報を含み当該一つまたは複数のエレベーターの各々の稼働状態を表す。可視化処理部19は、顧客DB16と稼働状態DB18とを基に、少なくとも一つのエレベーターの稼働状態を、当該少なくとも一つのエレベーターを管理する顧客に対して可視化するようになっている。
【0064】
このような可視化装置1に、契約状態入力部11と、仮契約者生成部15とが備えられる。契約状態入力部11は、対象顧客(新規顧客または既契約顧客)との間で保守契約の折衝中のエレベーターに関し当該対象顧客と当該エレベーターとを表す情報である折衝中情報の入力を受け付け、当該折衝中情報を、保守契約の折衝中のエレベーター毎の折衝中情報が登録される折衝中顧客DB13に登録する。仮契約者生成部15は、入力され登録された折衝中情報について対象顧客に属する契約者IDとして仮契約者を意味する値である“仮契約者”を生成し、当該折衝中情報と契約者ID“仮契約者”とを含んだ情報を顧客DB16に登録する。
【0065】
稼働状態DB18が表す複数のエレベーターが、対象顧客との間で保守契約の折衝中のエレベーターを含む。可視化処理部19が、顧客DB16のうちの対象顧客の情報と、稼働状態DB18のうちの対象顧客が管理するエレベーターの情報とを基に、対象顧客が管理するエレベーターの稼働状態であって、契約者ID“仮契約者”が関連付けられているエレベーターの稼働状態を、対象顧客に対して可視化する(具体的には、対象顧客の顧客操作端末3に、エレベーターの稼働状態を表す情報を表示する)。
【0066】
一比較例によれば、保守契約の折衝中のエレベーターについての情報の構成は、営業員の任意の構成とされる。
【0067】
そこで、本実施形態では、折衝中レコードの少なくとも一部の構成が定義される。具体的には、折衝中顧客DB13は、保守契約の折衝中のエレベーター毎に、折衝中レコードを有する。折衝中レコードは、既契約レコードから少なくとも契約者IDを除いた構成とされる。契約者IDが除かれる理由は、保守契約の折衝中とは、保守契約の締結(本契約)に至る前の状態であるためである。
【0068】
そして、契約状態入力部11は、対象顧客との間で保守契約の折衝中のエレベーターに関し当該対象顧客(例えば顧客ID)と当該エレベーター(例えばエレベーターID)とを表す情報の入力を受け付け、当該情報を含む折衝中レコードを折衝中顧客DB13に登録する。仮契約者生成部15は、当該折衝中レコードと契約者ID“仮契約者”とを含んだ顧客レコードを顧客DB16に登録する。「仮契約者」とは、エレベーターの保守契約の締結には至っていないが当該エレベーターについて保守サービスを受けることが一定の試用期間において許容された者を意味する。折衝中レコードに契約者ID“仮契約者”が追加されるので、稼働状態の表示の際に参照される顧客DB16の形式に適合した形式で折衝中レコードの格納が可能となっている。
【0069】
このため、可視化処理部19は、顧客DB16のうち対象顧客について契約者ID“仮契約者”が関連付けられている顧客レコードと、稼働状態DB18のうち契約者ID“仮契約者”に対応したエレベーターの情報とを基に、保守契約締結前のエレベーターの稼働状態を、対象顧客に対して可視化できる。つまり、保守契約を締結前のエレベーターについても稼働状態を可視化できる。
【0070】
具体的には、例えば、保守契約の有無によらず、対象顧客は、自身が保有する全てのエレベーターの稼働状態をまとめて確認したり、仮契約者のグループだけに絞り込んでエレベーターの稼働状態を確認したりすることが可能となる。
【0071】
また、特に、対象顧客が新規顧客の場合には、保守契約を締結する前に、お試しで保守サービスを体感することで、保守サービス内容の理解度を高まり、保守契約を締結するか否かを判断し易くなる。
【0072】
仮契約者生成部15は、対象顧客に関し、保守契約の折衝中の期間である試用期間において、契約者ID“仮契約者”に対して、対象顧客に属するいずれかの本契約者のIDを関連付けてよい。可視化処理部19は、対象顧客から、契約者IDとしていずれかの本契約者のIDが指定された場合、当該本契約者のIDが契約者IDとして関連付いている一つ以上のエレベーターの稼働状態を、対象顧客に対して可視化してよい。当該一つ以上のエレベーターは、上記指定されたIDが契約者ID“仮契約者”に関連付いていれば、契約者ID“仮契約者”に対応したエレベーターを含む。これにより、エレベーターの稼働状態の確認のために対象顧客が行う必要がある入力操作を削減することができ、以って、対象顧客にとって利便性が向上する。なお、顧客DB16において、保守契約が締結されたエレベーターを有するビルの位置と、保守契約を締結した契約者の位置とのうちの少なくとも一つを表す情報を含んでよい。仮契約者生成部15は、契約者ID“仮契約者”に対応したエレベーターを有するビルの位置である対象位置から一定の範囲にある位置のうち、対象位置に最も近い位置にあるビルまたは契約者を、顧客DB16から特定してよい。仮契約者生成部15は、特定されたビルにあるエレベーターの本契約者のID、または、特定された契約者のIDを、当該契約者ID“仮契約者”に関連付けるIDとして特定してよい。折衝中のエレベーターについて本契約を行う契約者としては、当該折衝中のエレベーターがあるビルから近いビルのエレベーターについても本契約を行った者か、あるいは、当該折衝中のエレベーターがあるビルから近い位置で勤務している者である可能性が高いと考えられる。そこで、仮契約者生成部15は、上述した位置比較の結果を基に、契約者ID“仮契約者”に関連付ける本契約者のIDを決定する。これにより、入力操作の一層の削減と利便性の一層の向上が期待できる。なお、位置は、住所で表現されてもよいし、緯度/経度で表現されてもよい。
【0073】
可視化処理部19は、契約者ID“仮契約者”のエレベーターについて可視化する情報を、当該エレベーターの保守契約の本契約に至るまでの段階に応じた情報に制限してよい。例えば、契約状態入力部11が、顧客IDおよびエレベーターIDと、保守契約の本契約に至るまでの段階とを表す情報を、保守契約の折衝の進行に応じて営業員から受け付けてよい。当該段階を表す情報が入力された場合、仮契約者生成部15は、契約者ID“仮契約者”に対応する顧客レコードに、当該入力された段階を登録してよい。その段階を参照して、可視化処理部19が表示制御を行ってよい。このように、契約者ID“仮契約者”としたエレベーターIDに該当するエレベーターについては、稼働状態確認画面301に表示するコンテンツや機能の一部のみが使用可能とされ、保守契約の締結後にすべてのコンテンツや機能が使用可能とされてよい。つまり、契約の段階に応じて確認できる情報や使用可能な機能が制御されてもよい。契約の段階に応じてサービス内容を変更することで、顧客は段階的に保守サービスを理解でき保守契約を締結するか否かを一層適切に判断できる。
【0074】
仮契約者生成部15は、保守契約について本契約がされたエレベーター毎に本契約者のIDが契約者IDとされ顧客IDを有するレコードを含む既契約顧客DB14を参照し、対象顧客のIDを顧客IDとした既契約レコードがあれば、当該既契約レコードに従う顧客レコードと、契約者ID“仮契約者”と折衝中レコードとの組合せに従う顧客レコードとを顧客DBに登録してよい。これにより、保守契約の折衝中のエレベーターについてのレコードと本契約済みのエレベーターについてのレコードとをまとめて顧客DB16へ登録することができる。
【0075】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除または置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…可視化装置、3…顧客操作端末、11…契約状態入力部、13…折衝中顧客DB、14…既契約顧客DB、15…仮契約者生成部、16…顧客DB、17…収集処理部、18…稼働状態DB、19…可視化処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8