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特許7111692被覆基板の製造方法、被覆基板、およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】被覆基板の製造方法、被覆基板、およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/36 20060101AFI20220726BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20220726BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20220726BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20220726BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B05D1/36 Z
B05D3/04 C
B05D3/10 E
B05D5/06 C
B05D5/06 D
B05D5/06 G
B05D7/24 302Y
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019502152
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2017057484
(87)【国際公開番号】W WO2017167844
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-30
(31)【優先権主張番号】16163054.6
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518347277
【氏名又は名称】ハー・エー・ツェー・ハイ・エンド・コーティング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HEC HIGH END COATING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,マティアス
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-534522(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353773(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0004464(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0145523(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0075152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆非金属基板の製造方法であって、
a)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する非金属基板を準備するステップと、
b)金属層を積層するための真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムを準備するステップと、
c)少なくとも1つのプラズマ発生器、前記真空蒸着システムまたは前記スパッタリングシステムの中にまたはその構成要素として準備するステップと、
d)前記非金属基板を、または前記非金属基板の前記被覆されることが可能な面を、前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップと、
e)ステップa)もしくはd)に従って得られた前記非金属基板を、または、前記非金属基板の前記被覆されることが可能な面を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、プラズマ重合を利用して処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
f)ステップe)に係る前記ポリシロキサン層を前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップと、
g)少なくとも1つのプライマー層をステップe)もしくはf)に係る前記ポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
j-k)DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは「つや消し」(G3)である、つや消しのコーティングを少なくとも1つ積層する、または、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、コーティングを少なくとも1つ積層するステップと、
k)アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、モリブデン、タングステン、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された1つの第1金属を含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄、アルミニウム合金、マンガン合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、少なくとも1つの金属層を、前記真空蒸着システムまたは前記スパッタリングシステムを用いて、ステップj-k)に係る前記コーティングに積層するステップと、
m)ステップk)に従って得られた前記金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、プラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
n)ステップm)に係る前記ポリシロキサン層を前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップと、
o)ステップn)に係る処理された前記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの着色オーバーコートを積層するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記金属層は、ステップk)において、蒸着またはスパッタリング技術を用いることにより、前記金属層が可視光に対して透明にも半透明にもならない厚みになるように、積層されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被覆金属基板の製造方法であって、
A)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する金属基板を準備するステップと、
B)真空蒸着システムを準備するステップと、
C)少なくとも1つのプラズマ発生器を、前記真空蒸着システムの中にまたはその構成要素として準備するステップと、
D)前記金属基板または前記金属基板の被覆されることが可能な面をクリーニングするステップと、
G)ステップA)に従って得られた前記金属基板、または、ステップA)に従って得られた前記金属基板の被覆されることが可能な面を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いてプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
H)ステップG)に係る前記ポリシロキサン層を、前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップと、
I)ステップA)に係る前記金属基板もしくは前記金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップG)に係る前記ポリシロキサン層の上に、変換層を積層するステップと、
M)少なくとも1つのプライマー層を、前記金属基板もしくは前記金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップG)に係る前記ポリシロキサン層の上に、または、ステップI)に係る前記変換層の上に積層するステップと、
P-Q)DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは「つや消し」(G3)である、つや消しのコーティングを少なくとも1つ積層する、または、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢があるコーティングを少なくとも1つ積層するステップと、
Q)アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属を含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、少なくとも1つの金属層を、前記真空蒸着システムを用いて、蒸着技術を利用することにより、積層するステップと、
S)ステップQ)に従って得られた前記金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、プラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
T)ステップS)に係る前記ポリシロキサン層を前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップと、
U)ステップT)に係る処理が行われた前記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの着色オーバーコートを積層するステップとを含む、方法。
【請求項4】
前記金属層は、ステップQ)において、蒸着技術を用いることにより、前記金属層が可視光に対して透明にも半透明にもならない厚みになるように、積層されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップD)、G)、H)、M)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)が各々、相互に連続していることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非金属基板は、ガラス、セラミック、複合繊維材料、カーボン材料、プラスチック、コーティング、または、木を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップは、
-少なくとも1つの不活性ガスを用いる、または、
-少なくとも1つの不活性ガスと、酸素、窒素、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、過酸化水素ガス、水蒸気、オゾンおよび/または空気とを用いる、または、
-不活性ガスを除外し、酸素、窒素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、過酸化水素ガス、水蒸気、オゾンおよび/または空気を用いることにより、実行されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するステップは、
-アルゴンを用いる、または、
-アルゴンと、酸素、窒素、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、過酸化水素ガス、水蒸気、オゾンおよび/または空気とを用いる、または、
-少なくとも1つの不活性ガスと酸素とを用いる、または、
-アルゴンと酸素とを用いる、または、
-不活性ガスを除外し、酸素を用いることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記オーバーコートは、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、アミノプラスチック樹脂、またはポリウレタン化合物を含む、または、からなり、および/または
前記オーバーコートは、UV硬化コーティング材料である、または1Kもしくは2K焼付けラッカーから得られることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記非金属基板、前記ポリシロキサン層、前記プライマー層、前記つや消しのコーティング、前記金属層、および/または前記オーバーコートは、構造化された面を有することを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆基板の製造方法、被覆基板、およびこれらの被覆基板の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
平滑なおよび/または光沢がある表面を作製するために、金属成分および非金属成分で被覆することが多い。一般的に、これは多層被覆システムを必要とする。また、高品質で魅力的な外観の表面を得るために、そのような被覆システムは通常、高い防食性を得ることも意図している。長期防食が機械的損傷によって無効になるのは珍しいことではない。多くの場合、ほんのわずかな機械的損傷であっても被覆面に腐食が生じる。これは、退色だけでなく、結果として侵入現象をもたらす可能性がある。そうすると被覆領域が剥がれ落ちることはよくあることである。耐食性を有する光沢被覆面を与えることを目的とする実験は今まで十分に実施されている。たとえばDE 123 765 A1には、シリコン化合物ベースのゾル、アミノアルキル官能化アルコキシシラン、またはこれら2つの成分の変換産物が使用されている耐食層を金属面上に製造する方法が記載されている。
【0003】
DE 38 33 119 C2によると、基板に対する密着性が非常に高い防食クロマタイズ金属面は、中間乾燥なしでクロマート層上に電着被膜を直接積層することによって得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属基板用の防食皮膜は今もなお、特に大量生産される、特に複雑な形状を有する製品において、密着性および防食性の点において改善する余地がかなりある。
【0005】
つや消しのまたは着色された外観を有する被覆金属外観基板を低コストでかつ高品質で製造することは重要なことであった。
【0006】
本発明はしたがって、先行技術の欠点が克服され、特に、大量生産において、防食性が高くおよび/または密着性が高く、また、つや消しのもしくは着色された外観を有する、被覆基板を提供するという目的に基づいている。ここではまた、表面が機械的に損傷しても直ちに侵入現象が発生せず、特に層が剥がれ落ちない、このような被覆製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
結果として、被覆非金属基板特にプラスチック基板を製造する方法が発見された。この方法は、
a)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する非金属基板特にプラスチック基板を準備するステップと、
b)金属層を積層するための積層システム、特に真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムを準備するステップと、
c)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを、特に、上記真空蒸着システムまたはスパッタリングシステム等の上記金属層を積層するための積層システムの中にまたはその構成要素として準備するステップと、
d)任意で、上記非金属基板特にプラスチック基板を、または上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
e)任意で、ステップa)もしくはd)に従って得られた上記非金属基板特にプラスチック基板を、または、上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
f)任意で、ステップe)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
g)任意で、少なくとも1つの、任意で着色されたプライマー層を、ステップa)もしくはd)に係る上記非金属基板特にプラスチック基板の上に、もしくは上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係る上記ポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
h)任意で、ステップg)に係る上記プライマー層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
i)任意で、ステップg)またはh)に従って得られた上記プライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
j)任意で、ステップi)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
j-k)特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは好ましくは「つや消し」(G3)である、つや消しの、特にカラーの、つや消しラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層する、または、特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、特にカラーの、光沢ラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層するステップ、好ましくは上記つや消しのコーティングを積層するステップと、
k)アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、モリブデン、タングステン、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された1つの第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特にステンレス鋼、アルミニウム合金、マンガン合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップj-k)に係る上記コーティングに積層するステップと、
l)任意で、ステップk)に係る上記金属層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
m)好ましくは、ステップk)またはl)に従って得られた上記金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
n)好ましくは、ステップm)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
o)ステップk)、l)、m)またはn)に係る上記層の上に、特にステップn)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明のおよび/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0008】
上記方法において、金属層特にアルミニウム層は、好ましくは、ステップk)において、特に蒸着またはスパッタリングにより、特にステップl)、m)、n)、および/またはo)に係る上記金属層が可視光に対して透明にも半透明にもならない厚みになるように、積層される。驚くべきことに、上記金属層は可視光に対して半透明でも透明でさえもない厚みになるように積層されるが、この方法に従って得られる最終製品は、それでもなおつや消しの外観を示すことが明らかにされている。よって、つや消しという特徴は積層された金属層に移される。結果として、この方法に従って得られる非金属基板、特に被覆プラスチック製品は、非常に洗練された外観を有する。ここで、防食性の高さが傑出しているだけでなく、つや消し面を有する製品の中ではよく見られるように表面に対する機械的な影響がこの表面の外観を損なうということがないという利点もある。たとえば、機械的な影響を受けた場所において摩耗またはつや消しの外観の変化は生じない。同様に、光沢のあるコーティングを用いることにより、上に積層された金属層の光沢も強くなる。つや消しまたは光沢コーティングの作製には、必要などの色を使用してもよい。不透明な金属層が積層される場合、言い換えると可視光に対して透明でも半透明でもない場合、このコーティングの色ではなくコーティングのつや消しまたは光沢という特徴のみが積層された金属層に移る。当業者はつや消しのコーティングおよび光沢コーティングを熟知している。つや消しのコーティングは、たとえば、いわゆるつや消しペーストを用いることで得られる。
【0009】
本発明の意味において、特に蒸着またはスパッタリング技術を用いて積層する金属層等は、透明または半透明ではなく、厚みが、少なくとも60、たとえば60nm~120nmの範囲、好ましくは75nm~110nmの範囲に含まれる。
【0010】
代替的に、好ましくはないがさらなる実施形態において、金属層特にアルミニウム層を、ステップk)において、特に蒸着またはスパッタリングを用いて、この層が可視光に対して透明または半透明になるような厚みに積層することが可能である。ここで、この透明または半透明の金属層は、好ましくは平均厚さ特に絶対厚さが1nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲、特に好ましくは15nm~30nmの範囲に含まれる。
【0011】
本発明の基礎をなす目的はさらに、以下を含む被覆非金属基板特にプラスチック基板の製造方法の使用によって達成される。この方法は、
a)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する非金属基板特にプラスチック基板を準備するステップと、
b)金属層を積層するための積層システム、特に真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムを準備するステップと、
c)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを、特に、上記真空蒸着システムまたはスパッタリングシステム等の上記金属層を積層するための積層システムの中にまたはその構成要素として準備するステップと、
d)任意で、上記非金属基板特にプラスチック基板を、または上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
e)任意で、ステップa)もしくはd)に従って得られた上記非金属基板特にプラスチック基板を、または、上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
f)任意で、ステップe)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
g)任意で、少なくとも1つの、特に着色されたプライマー層を、ステップa)もしくはd)に係る上記非金属基板特にプラスチック基板の上に、もしくは上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係る上記ポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
h)任意で、ステップg)に係る上記プライマー層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
i)任意で、ステップg)またはh)に従って得られた上記プライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
j)任意で、ステップi)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
jj-kk)好ましくは、少なくとも1つのカラー層を、ステップa)もしくはd)に係る非金属基板もしくは非金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップg)もしくはh)に係るプライマー層の上に、または、ステップi)もしくはj)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
k’)アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、モリブデン、タングステン、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップa)もしくはd)に係る上記非金属基板特にプラスチック基板のもしくは上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係る上記ポリシロキサン層の上に、または、ステップe)もしくはf)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップg)もしくはh)に係るプライマー層の上に、または、ステップi)もしくはj)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップjj-kkに係るカラー層の上に、積層するステップとを含み、上記金属層特にアルミニウム層は、特に蒸着またはスパッタリング技術により、特にステップl)、m)、n)、および/またはo)に係る上記金属層が可視光に対して透明または半透明になる厚みになるように、積層され、
l)任意で、ステップk’)に係る上記金属層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
m)好ましくは、ステップk’)またはl)に従って得られた上記金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
n)好ましくは、ステップm)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
o)ステップk’)、l)、m)またはn)に係る上記層の上に、特にステップn)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明のおよび/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0012】
ここで、ステップk’)における透明または半透明の金属層は、好ましくは、平均厚さ特に絶対厚さが、1nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲、特に好ましくは15nm~30nmの範囲に含まれる。
【0013】
上記方法において、好ましい実施形態では、ステップm)およびn)はステップo)よりも前に実行される。
【0014】
オーバーコートの反対側において透明または半透明の金属層(層k’)に隣接して、好ましくは、カラー層(層jj-kk)、カラーもしくは着色ポリシロキサン層、カラーもしくは着色プライマー層、またはカラーもしくは着色非金属基板が配置される。このようにして、非常に高品質の外観のコーティングシステムが得られる。
【0015】
たとえば、透明または半透明の金属層の上に配置された黒色層または黒で着色された非金属基板を使用することにより、黒色クロム層の印象を生み出すことができる。
【0016】
被覆非金属基板を製造するための上記2つの異なる方法において、たとえば、ステップd)、e)およびf)は任意にすぎない。個々のケースにおいて、これらは、密着性の改善および防食性の向上に寄与することができる。任意のステップi)についても同じである。いくつかの適用例において、ポリシロキサン層、特に、いずれの場合も好ましくはプラズマ処理および/またはコロナ処理、特にプラズマ処理を受けた、プラズマによって生成されたポリシロキサン層が、金属層の両側にある場合に好都合であることが、明らかにされている。
【0017】
プライマー層を積層するという任意の方法ステップは、凹凸のある領域を示す表面または低品質の表面を有する非金属基板特にプラスチック基板に、特に適している。
【0018】
非金属基板特にプラスチック基板を被覆するための上記2つの方法において、これらの種類の方法は、以下の場合に好都合であることが明らかにされている。すなわち、
特にステップd)、e)および/またはf)を除いて、またはステップd)を用いステップe)およびf)を除いて、ステップg)、h)、j-k)、k)、m)、n)およびo)、または、g)、h)、k’)、m)、n)およびo)、または、g)、h)、jj-kk)、k’)、m)、n)およびo)が各々、特に直接的に相互に連続している、または、
特にステップd)、e)および/またはf)を除いて、またはステップd)を用いステップe)およびf)を除いて、ステップg)、h)、i)、j-k)、k)、m)、n)およびo)、または、g)、h)、i)、k’)、m)、n)およびo)、または、g)、h)、i)、k’)、m)、n)およびo)が各々、特に直接的に相互に連続している、または、ステップd)、e)、f)、j-k)、k)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、k’)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、jj-kk)、k’)、m)、n)およびo)が各々、特に直接的に相互に連続している、または、
ステップd)、e)、f)、i)、j-k)、k)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、i)、k’)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、i)、jj-kk)、k’)、m)、n)およびo)が各々、特に直接的に相互に連続している、または、ステップd)、e)、f)、g)、j-k)、k)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、g)、k’)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、g)、jj-kk)、k’)、m)、n)およびo)が各々、特に直接的に相互に連続している、または、
ステップd)、e)、t)、g)、i)、j-k)、k)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、g)、i)、k’)、m)、n)およびo)、または、d)、e)、f)、g)、i)、jj-kk)、k’)、m)、n)およびo)が各々、特に直接的に相互に連続している、場合である。
【0019】
好ましい実施形態において、いずれの場合も、金属層を積層するステップk)またはk’)の前に、特にプラズマによって生成されたポリシロキサン層を積層してもよい(ステップi)。上記種類の方法はしたがって、特に、欠陥がない非金属基板、特に欠陥がない平滑な面を有するプラスチック基板に適用することができる。
【0020】
特に意図する実施形態において、特に先に述べたように、ステップk)またはk’)に従って積層される金属層の下にある層は、プラズマ発生器を用いたプラズマ処理および/またはコロナ処理を受ける(たとえばステップj)、f)またはd))。
【0021】
上記方法ステップは実質的に直接的に連続することが好都合であることがわかっている。このことは特に、プラズマ処理ステップ後の休止期間が延びることを回避することを意味する。それよりも、次の方法ステップが直接前のステップに連続していることが好都合である。上記方法ステップの間にさらに他の方法ステップを挿入することは概ね不要であることも明らかにされている。
【0022】
ある好ましい実施形態において、特に高い密着性および防食性という点で、非金属基板特にプラスチック基板が、プラズマ処理および/またはコロナ処理、特にプラズマ処理(ステップd)を受けることが好都合であることも、わかっている。
【0023】
適切な非金属基板は、ガラス、セラミック、複合繊維材料、カーボン材料、プラスチック、特に好ましくは着色プラスチック、成形部品または好ましくは着色プラスチック、コーティング、または、木、特に木製パネルを含む。適切な木製パネルは、たとえば、合板またはサンドイッチパネル、チップ材料パネル、OSBパネル、MDFパネル、繊維材料パネル、無垢材からなる木製パネル、または無機結合木材パネルを含む。また、着色した形態等のMDFパネルは特に好都合であることが明らかにされている。これはたとえば、着色合成ポリマー材料を混合することによって得ることができる。木製パネルたとえばMDFパネルのような木製基板は、表面の再構築によって、たとえば傑出した木目を有し得る。したがって、本発明の意味における非金属基板はまた、着色された非金属基板を含む。
【0024】
本明細書に記載する発明に係る方法は、耐久性がある高光沢の製品を得ることを目的としたプラスチック基板のコーティングに特に適している。適切なプラスチック基板は、たとえば、PVC、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、たとえばPBTおよびPETER、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、スチレン(共)重合体、たとえばABS、SAN、ASAまたはMABSなど、ポリオキシアルキレン、たとえばPOM、テフロン(登録商標)およびポリマーのブレンド、特にABS/PPE、ASA/PPE、SAN/PPEおよびまたはABS/PCのブレンドを含むまたはからなる。本発明の意味におけるプラスチック基板はまた、プラスチック材料からなるコーティングと含み、プラスチック材料で被覆されたMDFパネル等である。
【0025】
本発明の基礎をなす目的はさらに、以下を含む被覆金属基板の製造方法によって達成される。この方法は、
A)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する金属基板を準備するステップと、
B)金属層を積層するための積層システム、特に真空蒸着システムを準備するステップと、
C)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを、特に、真空蒸着システムまたはスパッタリングシステム等の上記金属層を積層するための積層システムの中にまたはその構成要素として準備するステップと、
D)任意で、金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面をクリーニングするステップと、
E)任意で、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウムを含む、もしくは、からなる、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金からなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップA)またはD)に係る金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面の上に、積層するステップと、
F)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)に係る金属層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
G)任意で、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板、または、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)もしくはF)に従って得られた金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
H)任意で、ステップG)に係るポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
I)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、変換層を積層するステップと、
J)任意で、ステップI)に係る変換層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
K)任意で、ステップI)またはJ)に従って得られた変換層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
L)任意で、ステップK)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
M)任意で、少なくとも1つの、任意で着色されたプライマー層を、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
N)任意で、ステップM)に従って得られたプライマー層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
O)任意で、ステップM)またはN)に従って得られたプライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
P)任意で、ステップO)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
P-Q)特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは好ましくは「つや消し」(G3)である、つや消しの、特にカラーの、つや消しラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層する、または、特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、特にカラーの、光沢ラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層するステップ、好ましくは上記つや消しのコーティングを積層するステップと、
Q)アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップP-Q)に係るプライマー層上に積層するステップと、
R)任意で、ステップQ)に係る金属層をプラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
S)好ましくは、ステップQ)またはR)に従って得られた金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
T)好ましくは、ステップS)に係るポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
U)ステップQ)、R)、S)またはT)に係る上記層の上に、特にステップT)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明および/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0026】
上記方法において、金属層特にアルミニウム層は、好ましくは、ステップQ)において、特に蒸着またはスパッタリングにより、特にステップl)、m)、n)、および/またはo)に係る上記金属層が可視光に対して透明にも半透明にもならない厚みになるように、積層される。驚くべきことに、上記金属層は可視光に対して半透明でも透明でさえもない厚みになるように積層されるが、この方法に従って得られる最終製品は、それでもなおつや消しの外観を示すことが明らかにされている。よって、つや消しという特徴は積層された金属層に移される。結果として、この方法に従って得られる非金属基板、特に被覆プラスチック製品は、非常に洗練された外観を有する。ここで、防食性の高さが傑出しているだけでなく、つや消し面を有する製品の中ではよく見られるように表面に対する機械的な影響がこの表面の外観を損なうということがないという利点もある。たとえば、機械的な影響を受けた場所において摩耗またはつや消しの外観の変化は生じない。同様に、光沢のあるコーティングを用いることにより、上に積層された金属層の光沢も強くなる。つや消しまたは光沢コーティングの作製には、必要などの色を使用してもよい。不透明な金属層が積層される場合、言い換えると可視光に対して透明でも半透明でもない場合、このコーティングの色ではなくコーティングのつや消しまたは光沢という特徴のみが、積層された金属層に移る。当業者はつや消しコーティングおよび光沢コーティングを熟知している。つや消しコーティングは、たとえば、いわゆるつや消しペーストを用いることで得られる。
【0027】
上記方法において、好ましい実施形態では、ステップS)およびT)はステップU)よりも前に実行される。
【0028】
本発明の基礎をなす目的はさらに、以下を含む被覆金属基板の製造方法によって達成される。この方法は、
A)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する金属基板を準備するステップと、
B)金属層を積層するための積層システム、特に真空蒸着システムを準備するステップと、
C)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを、特に、真空蒸着システムまたはスパッタリングシステム等の上記金属層を積層するための積層システムの中にまたはその構成要素として準備するステップと、
D)任意で、金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面をクリーニングするステップと、
E)任意で、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウムを含む、もしくは、からなる、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金からなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップA)またはD)に係る金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面の上に、積層するステップと、
F)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)に係る金属層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
G)任意で、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板、または、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)もしくはF)に従って得られた金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
H)任意で、ステップG)に係るポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
I)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、変換層を積層するステップと、
J)任意で、ステップI)に係る変換層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
K)任意で、ステップI)またはJ)に従って得られた変換層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
L)任意で、ステップK)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
M)任意で、少なくとも1つの、好ましくは着色されたプライマー層を、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
N)任意で、ステップM)に従って得られたプライマー層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
O)任意で、ステップM)またはN)に従って得られたプライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
P)任意で、ステップO)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
PP-QQ)好ましくは、少なくとも1つのカラー層を、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップM)もしくはN)に係るプライマー層の上に、または、ステップO)もしくはP)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
Q’)アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップM)もしくはN)に係るプライマー層の上に、または、ステップO)もしくはP)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップPP-QQ)に係るカラー層の上に、積層するステップとを含み、上記金属層特にアルミニウム層は、特に蒸着またはスパッタリング技術により、特にステップl)、m)、n)、および/またはo)に係る上記金属層が可視光に対して透明または半透明になる厚みになるように、積層され、
R)任意で、ステップQ)に係る金属層をプラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
S)好ましくは、ステップQ)またはR)に従って得られた金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
T)好ましくは、ステップS)に係るポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
U)ステップQ’)、R)、S)またはT)に係る上記層の上に、特にステップT)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明および/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0029】
ここで、ステップQ’)における透明または半透明の金属層は、好ましくは平均厚さ特に絶対厚さが、1nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲、特に好ましくは15nm~30nmの範囲に含まれる。
【0030】
上記方法において、好ましい実施形態では、ステップS)およびT)はステップU)よりも前に実行される。
【0031】
オーバーコートの反対側において透明または半透明の金属層(層Q’)に隣接して、好ましくは、カラー層(層PP-QQ)、カラーもしくは着色ポリシロキサン層、カラーもしくは着色プライマー層、またはカラーもしくは着色非金属基板が配置される。このようにして、非常に高品質の外観のコーティングシステムが得られる。
【0032】
たとえば、透明または半透明の金属層の上に配置された黒色層または黒で着色されたプライマー層を使用することにより、黒色クロム層の印象を生み出すことができる。
【0033】
非金属基板特にプラスチック基板を被覆するための上記方法において、上記方法の変形は、特に、密着性、光沢および/または耐食性に関して極めて申し分のない結果を得るためには、以下の場合に好都合であることが明らかにされている。すなわち、
ステップD)、M)、N)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、N)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、N)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、M)、N)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、N)、O)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、N)、O)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、E)、F、)、M)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、F、)、M)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、F)、M)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、E)、F)、M)、O)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、F)、M)、O)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、F)、M)、O)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、G)、H)、M)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、M)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、M)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、G)、H)、M)、O)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、M)、O)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、M)、O)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、E)、G)、H)、M)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、G)、H)、M)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、G)、H)、M)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、E)、G)、H)、M)、O)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、G)、H)、M)、O)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、E)、G)、H)、M)、O)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、M)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または、ステップD)、M)、O)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、O)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、M)、O)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、G)、H)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、PP-QQ)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、または
ステップD)、G)、H)、O)、P-Q)、Q)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、O)、Q’)、S)、T)およびU)、または、D)、G)、H)、PP-QQ)、O)、Q’)、S)、T)およびU)が各々、特に直接的に相互に連続している、場合である。
【0034】
いくつかの適用例では、被覆金属基板の製造において、ポリシロキサン層、特にプラズマ重合ポリシロキサン層が、金属層の両側にある場合に好都合であることが、明らかにされている。すなわち、方法ステップ(O)が、好ましくは続くプラズマ処理および/またはコロナ処理、特にプラズマ処理を伴って、挿入されていることが好都合である。したがって、たとえば、上記種類の方法にステップO)を設けることも可能である。
【0035】
また、特に重要な防食は、本発明に係る方法に従って得ることができる金属基板において、少なくとも1つの金属層が、ステップD)に従ってクリーニングされた金属基板上に、または、金属基板のクリーニングされた被覆されることが可能な面の上に、積層された場合に、得られる。この金属層は、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウムを含む、もしくは、からなる、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金からなるものであり、特に、蒸着および/またはスパッタリング技術(ステップE)を利用することによって得られる。この金属層が次にプラズマ処理ステップ(ステップF)を受けることが特に好都合である。
【0036】
ある特定の意図する実施形態において、ステップQ)またはQ’)に従って積層される金属層の下にある層は、プラズマ発生器を用いたプラズマ処理および/またはコロナ処理を受ける(たとえば、ステップQ)またはQ’)よりも前のステップP)、N)、L)、J)、H)、F)、またはD))。これは特にポリシロキサン層についても同様である。
【0037】
好ましい実施形態において、特に高い密着性および防食性という点で、金属基板特クリーニングされた金属基板が、プラズマ処理および/またはコロナ処理、特にプラズマ処理(ステップF)を受けることが好都合であることも、わかっている。
【0038】
したがって、多くの場合において、ポリシロキサン層を積層しこのポリシロキサン槽に対してその後プラズマ処理および/またはコロナ処理、特にプラズマ処理を実施することが好都合であることがわかっている。同じことがプライマー層の積層についても言える。ここでも、得られたプライマー層に対して先ずプラズマ処理および/またはコロナ処理、特にプラズマ処理を実施することが好都合であることがわかっている。
【0039】
また、このように、本発明の方法に従う被覆金属基板の製造において、上記方法ステップを実質的に直接的に連続して実行することが好都合であることもわかっている。このことは特に、プラズマ処理ステップ後の休止期間の増大が回避されるはずであることを意味する。それよりも、次の方法ステップを前のステップの直後に実施することが好都合である。上記方法ステップの間にさらに他の方法ステップを挿入することは不必要であることも明らかにされている。
【0040】
金属基板には、金属および金属合金を使用することができ、特に好適な金属基板は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金特に鋼鉄もしくは特殊鋼もしくはステンレス鋼、銅、銅合金、チタン、チタン合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、モリブデン、モリブデン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、鉛、鉛合金、タングステン、タングステン合金、マンガン、マンガン合金、真鍮、青銅、ダイカストニッケル、ダイカスト亜鉛、およびダイカストアルミニウム、またはこれらの任意の混合物からなる群より選択することができる。
【0041】
金属基板の好適なクリーニング方法は当業者には周知である。そのようなクリーニング方法(ステップD)は、脱脂、酸洗い、リン酸処理、特にリン酸鉄処理および/またはリン酸亜鉛処理、研磨、研削特に仕上げ研削、および/またはドライアイスによる処理を含む。これらの方法は、個別でも、任意の所望の組み合わせでも、使用することができる。多くの適用例において、金属基板はドライアイスによる処理によってクリーニングすることが十分であることがわかっている。ドライアイスによるクリーニング中、一般的に、ドライアイスの適切なブロックから削り取られたペレットの形態または結晶の形態のドライアイス粒子が、圧縮空気によって加速され、クリーニング対象の金属面に向けられる。クリーニング効果は、熱、運動、および相変態効果から得られると考えられる。金属面をドライアイスでクリーニングするための装置および方法は、たとえば、DE 195 44 906 AlおよびEP 2 886 250において見出すことができる。
【0042】
金属基板の表面は、たとえばアルカリ性または酸性試薬で脱脂することができる。工業用脱脂ステップは、ホットアルカリクリーニングまたは酸洗いクリーニングという用語でも知られている。これに代わるものとして、金属面は、電解脱脂槽におけるアノード効果によって脱脂することができる。
【0043】
いくつかの実施形態の変形において、金属基板の面、特に脱脂された金属基板の面に対し、少なくとも1つの酸洗いステップを実施することが好都合である。金属基板の面を酸洗いするために、たとえば、酸性フラッシング槽を用いる。適切な酸洗い溶液は、たとえば、希釈塩酸(1:10vol/vol)によって提供される。酸洗いの結果、通常は実質的に酸化物がない金属面が得られる。脱脂ステップと同様に、酸洗いステップは一般的に、フラッシングステップで終わる。金属基板の面を研磨および/または研削または仕上げ研削する場合、脱脂ステップおよび/または酸洗いステップなしで実施できることが多い。この形態の表面処理では通常、十分な材料が、この面に付着している汚染物質またはその他の構成要素を一緒に取り除くために、除去される。表面が研磨または研削される場合、第1のプライマー層および任意で第2のプライマー層の積層を省略できることも多い。多くの場合、研磨または研削によって十分に平坦または平滑な面が既に提供されているので、プライマー層を積層することによってさらに平滑にすることは最早必要ではない。しかしながら、金属基板が相当な数の角度および角(かど)を有する場合は、苦もなく単純に十分研磨または研削することができないので、第1のプライマーステップを追加し、できれば第2のプライマーステップも追加することが推奨される。
【0044】
脱脂ステップに続いてまたは脱脂ステップの代わりに、金属基板の面をリン酸処理および/または不動態化してもよい。これは特にアルミニウムからなるまたはアルミニウムを含む基板については好ましい。
【0045】
本発明に係る被覆金属基板の製造方法のさらに他の実施形態において、特段の耐食性を有する基板は、次のようにして得ることができる。金属層を積層するステップにおいて、第1金属特にアルミニウム、または、第1金属合金特にアルミニウム合金を、金属層の積層のための積層システム、特に真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムにおいて、第1金属と異なる第2金属とまたは第1金属合金とは異なる第2金属合金と、時間を重複させて、一緒に蒸着する。第2金属は特に、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群より選択され、特にジルコニウムである。第2金属合金は特にジルコニウム合金である。これはたとえば以下の形態で生じる。第1金属または第1金属合金の金属ペレットまたはロッドが適切な第1の収容容器、特に第1のボート要素または第1の螺旋シャフトに導入され、第2金属または第2金属合金の金属ペレットまたはロッドが、適切な第2の収容容器、第2のボート要素または第2の螺旋シャフトに導入され、第1金属および第2金属の融点、または第1金属合金および第2金属合金の融点、または第1金属および第2金属合金の融点、または第1金属合金および第2金属の融点に、実質的に同時にまたは重複期間内において、達するようにおよび/またはその融点が維持されるように、第1および第2の収容容器が加熱される。
【0046】
適切な水性変換システムを利用することにより、変換層が得られる。この水性変換システムは当業者には良く知られている。例としてUS2,825,697およびUS2,928,763の開示を参照されたい。
【0047】
プライマー層の積層について、当業者は一般的に知られている方法を利用できる。したがって、好ましい実施形態において、プライマー層は特に、UV硬化粉末ポリエステル樹脂化合物またはエポキシ/ポリエステル粉末に基づいていてもよい。参照できる例は、ウェットコーティングプロセス、粉末コーティングプロセス、またはUV硬化コーティングシステムを用いた積層を含み得る。当然ながら、先に述べたように、プライマー層を積層する前に、金属基板の面をたとえば研削および/または研磨または仕上げ研削によって機械的に平滑化することも可能である。
【0048】
好適な有機ケイ素化合物は当業者には周知である。意図する実施形態において、そのために、少なくとも1つのアミノ含有シラン、特に、アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、またはその任意の組み合わせを使用することができる。ヘキサメチルジシロキサンおよびテトラメチルジシロキサンを使用することが特に好ましく、ヘキサメチルジシロキサンは通常特に好適である。
【0049】
適切な有機ケイ素化合物も同様に、モノマーとしてまたはコモノマー構造単位として、以下の式(I)の化合物を含む。
【0050】
X-R-Si(R3-m(R (I)
式中の置換基および指数の意味は次の通りである。
【0051】
m 0、1、2または3、特に2または3。
R1 C1~C10炭化水素残基、特にC1~C10炭化水素鎖であり、その中に酸素または窒素、特にメチル、エチル、またはi-もしくはn-プロピル、好ましくはi-もしくはn-プロピルが割り込んでいてもよい。
【0052】
R2 同一のまたは異なる加水分解基、特にアルコキシ基、たとえばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシまたはt-ブトキシ、特にメトキシまたはエトキシである。
【0053】
R3 同一のまたは異なるC1~C5アルキル基、特にメチル、エチル、またはi-もしくはn-プロピル、好ましくはi-またはn-プロピル。
【0054】
X 重合可能な官能基、特に、たとえば1~10、好ましくは2~4のC原子を有するω位置の不飽和アルケニル基等の、ω位置の不飽和有機残基、または、最大4の炭素原子を有するカルボン酸のω位置の不飽和カルボン酸残基、および、最大6の炭素原子を有するアルコール。
【0055】
特に好適な残基Xは、たとえば、ビニル、アルキルビニル、特にメチル、エチル、もしくはプロピルビニル、(メタ)アクリロキシアルキル、特に(メタ)アクリロキシメチル、(メタ)アクリロキシエチレンまたは(メタ)アクリロキシプロピル、特に(メタ)アクリロキシプロピルを、含む。
【0056】
本発明に係る方法のさらなる発展形において、第1の有機ケイ素化合物は、積層システム特に真空チャンバに、金属層の積層のための積層システムの外側に位置する、特に真空蒸着システムの真空チャンバの外側に位置する、第1の容器から、供給ラインを介して送られ、第1の有機ケイ素化合物と異なる第2の有機ケイ素化合物は、積層システム特に真空チャンバに、金属層の積層のための積層システムの外側に位置する、特に真空蒸着システムの真空チャンバの外側に位置する、第2の容器から、供給ラインを介して送られる。代わりに、同一の有機ケイ素化合物が第1および第2の容器の中にあってもよい。特に、同一の有機ケイ素化合物を使用する場合、これらの有機ケイ素化合物のうちの一方は、他の異なる有機ケイ酸化合物および/または着色剤、特に染料と混合されて存在してもよい。したがって、本発明に係る方法はまた、特にプラズマ重合のための、上記少なくとも1つの有機ケイ素化合物とともに、少なくとも1つの着色剤、特に染料が、金属層の積層のための積層システムに、好ましくは混合物の形態で、導入されることを特徴とする。この後者の方法の変形は、着色剤の使用を含み、当然ながら使用する容器が1つのみの場合も成功する。
【0057】
金属層を積層するための、本発明に係る方法の実現に適した積層システムは、少なくとも1つの第1の容器を含む。第1の容器は、特に金属層の積層のための積層システムの外側に位置し、特に真空蒸着システムの真空チャンバの外側に位置し、積層システムへの、特に真空チャンバへの供給ラインを有する、第1の有機ケイ素化合物を保持するための容器である。積層システムはまた、少なくとも1つの第2の容器を含む。第2の容器は、特に金属層の積層のための積層システムの外側に位置し、特に真空蒸着システムの真空チャンバの外側に位置し、積層システムへの、特に真空チャンバへの供給ラインを有する、第2の有機ケイ素化合物を保持するための容器である。
【0058】
また、耐食性を制限しない特に高い密着性は、特に、ヘキサメチルジシロキサン等の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して処理することによりポリシロキサン層を形成するステップが、酸素、窒素、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、過酸化水素ガス、水蒸気、オゾンおよび/または空気等の、少なくとも1つの反応性ガスの存在下で、特に酸素または空気の存在下で、実行されることにより、得られる。反応性ガス特に空気または酸素を重合プロセスに導入することにより、反応性ガスを同時に使用することが記載されていないこのようなポリシロキサン層の従来の製造と比較して、特にプラズマによって生成されたより高硬度のポリシロキサン層が得られる。これらのより高硬度のポリシロキサン層はまた、拡散コンシステンシーがより高いことを特徴とする。この文脈において、特に意図される実施形態では、少なくとも1つの有機ケイ素化合物特にヘキサメチルジシロキサンと、少なくとも1つの反応性ガス特に酸素または空気とを、処理ステップのための混合物として使用することができる。特にプラズマによって生成されるポリシロキサン層の製造において反応性ガスを同時に使用する上記実施形態は、好ましくは、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて特にプラズマ重合を利用して処理することによりポリシロキサン層を形成する、少なくとも1つのステップで使用される、または、ポリシロキサン層を作製する各ステップとともに使用される。この方法の変形が被覆非金属基板特にプラスチック基板の製造における方法のステップm)および被覆金属基板の製造におけるステップS)において使用される。次の方法ステップ、すなわち方法ステップn)およびT)において、プラズマ処理は、好ましくは、不活性ガス特にアルゴン、および酸素もしくは空気もしくは窒素、特に酸素から形成されたプラズマガスを用いて、または、酸素、空気もしくは窒素から形成されたプラズマガスを用いて、行われる。この手順もまた、オーバーコートを含む全システムの外観の向上に寄与する。
【0059】
プラズマ発生器を用いるプラズマ処理のステップに対し、原則的に、選択対象のいくつかの方法の変形がある。第1の変形によると、プラズマは、少なくとも1つの不活性ガス特にアルゴンを用いて形成することができる。代わりに、好適なプラズマを生成するために、少なくとも1つの不活性ガス特にアルゴンと、酸素、窒素、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、過酸化水素ガス、水蒸気、オゾンおよび/または空気等の反応性ガスとの混合物を使用することもできる。ここでは、酸素および窒素、特に酸素を使用することが好ましい。最後に、不活性ガスを除外し、酸素、窒素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、過酸化水素ガス、水蒸気、オゾンおよび/または空気等の反応性ガスのみを、プラズマの生成に使用することも可能である。この状況において、好ましくは酸素を使用する。プラズマ発生器を用いたプラズマ処理により、基板の被覆面が活性化される。プラズマプロセスにおいて、高エネルギのプラズマが成形部分の面上で定期的に発生し、活性中心がこの面に形成される。これは、たとえば、水酸基および/またはカルボニル基を必要とし得る。同様に、被覆対象の基板面の面活性化は、火炎処理によって実現することができる。好ましい実施形態において、揮発性シランまたはチタンとアルミニウムとを含有する化合物を、プロパンガスの火炎等の火炎に追加すると、この火炎は大気雰囲気中で燃焼する。火炎を適用するので、基板特にプラスチック基板の表面は、プラズマプロセスと同様に変化し、それによってたとえばヒドロキシル基を形成することができる。
【0060】
本発明に係る方法は、ほぼすべての方法ステップを金属層の積層のための積層システム内で実行できるという大きな利点を提供する。また、金属層の積層は、プラズマ発生器を用いたプラズマ処理の使用による表面の活性化にも、特にプラズマ重合を利用するポリシロキサン層の積層にも、関連する。クリーニングステップ、プライマー層の積層、変換層の積層、およびオーバーコートの積層のみが、通常は上記積層システムの外部で実行される。したがって次のように定めることができる。プラズマ処理、特に各プラズマ処理は、プラズマ発生器を用いて実行され、および/または、積層、特に金属層の各積層、および/または積層、特にポリシロキサン層の各積層は、金属層の積層のための積層システムの中で、特に真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムの中で実行され、および/または、プラズマ層の積層および/または変換層の積層および/またはオーバーコートの積層は、金属層の積層のための積層システム、特に真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムの外部で実行される。
【0061】
オーバーコートに、たとえば水希釈可能なコーティング組成物を使用することもできる。オーバーコートは、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、アミノプラスチック樹脂、またはポリウレタン化合物から形成することができる。好ましくは、本発明に係る方法において、そのようなオーバーコートは、UV硬化コーティング材料をベースにして積層される。したがって、好ましいオーバーコートはUV硬化オーバーコートである。オーバーコートは、たとえば、クリアラッカーまたは透明粉末を使用することによって得ることができる。オーバーコートは、好ましくは、ウェットラッカープロセスまたは粉末コーティングプロセスによって積層される。オーバーコートは、したがって、単一成分、2成分、または多成分ラッカーであってもよく、クリアラッカーが好ましい。これらのクリアラッカーは、たとえば、化学的に架橋された2成分ラッカー、単一成分熱硬化性ラッカー、または、UV硬化ラッカーであってもよい。加えて、1Kまたは2K焼付けラッカーをオーバーコートに使用してもよい。
【0062】
通常、オーバーコートの厚みは、10~50μmの範囲、好ましくは20~30μmの範囲に含まれる。本発明に係る方法の発明の重要性は、オーバーコートを形成する材料が、プラズマ処理および/またはコロナ処理を用いて先に活性化されている、好ましくはプラズマ重合によって得られたポリシロキサン層の上に積層されており、好ましくは実質的に時間的な遅延が発生しない点である。
【0063】
プラズマ発生器を用いるプラズマ処理は、グローという用語で説明されることもある。
金属層の積層のために、たとえば、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、電子ビーム蒸発器を用いる蒸着、抵抗蒸発器を用いる蒸着、誘導蒸着、アーク蒸発、またはカソードもしくはアノード霧化(スパッタコーティング)の技術を用いることができる。したがって、金属層の積層のための積層システムは、好ましくは、たとえば、真空蒸着システムまたはスパッタリングシステムを含む。好適な真空蒸着システムは、意図して、PVDシステム(物理蒸着)、CVDシステム(化学蒸着)、電子ビーム蒸発器、抵抗蒸発器、誘導蒸発器、およびアーク蒸発器を含む。好適なスパッタリングシステムは、たとえば、カソード噴霧器およびアノード噴霧器を含む。当業者には周知であるように、金属層の大部分が金属で構成される。これは、たとえばカーボンの形態のステンレス鋼とともに使用されるような添加剤を完全に除外する訳ではない。好ましくは、この状況における金属層の金属含有量は、90重量%、特に95重量%よりも高く、より具体的には、98重量%以上である。
【0064】
好ましくは、金属層は蒸着されたまたはスパッタリングにより積層された金属層、特にPVD金属層である。PVD法において、一般的に、抵抗加熱された金属螺旋シャフトまたは金属ボート要素蒸発器が使用され、相違の幅が最も大きい形態のタングステンシュートが好ましい。PVD法において、一般的に、蒸発器には螺旋シャフトが装着され、螺旋シャフトは、相互に絶縁されている蒸発器レール上にクランプすることができる。好ましくは、正確に求めた量の成膜金属を各シュートに投入する。PVDシステムを閉じて真空にした後に、電源のスイッチを入れることにより、蒸発を開始することができる。その結果、蒸発レールにより、シュートは白熱する(グロー)。固体金属が溶融し始め、全体的にシュートを濡らす。シュートは大抵の場合ねじれた形態である。エネルギをさらに加えると、液体金属は気相に変換され、被覆対象の基板上に成膜することができる。気相に変換される金属の量により、および/または被覆フェイズの期間により、金属層の厚みを、したがって、その外観も、明確に調整することができる。
【0065】
金属層を基板上に成膜するさらに好ましい方法は、カソード霧化(スパッタリング)である。ここで、カソードは、真空にされた容器内に配置され、電流源の負極に接続される。霧化するコーティング材料はカソードの直前に配置され、被覆対象の基板は、霧化するコーティング材料の反対側に配置される。加えて、プロセスガスとしてのアルゴンを、電流源の正極に接続されたアノードも収容する上記容器を通して送ってもよい。容器が予め真空にされると、カソードおよびアノードは電流源に接続される。アルゴンの取込みは目標通りでありかつ管理されているので、電荷キャリアの平均自由経路長は大幅に減じられる。アルゴン原子はカソードとアノードとの間の電界において電離される。正に帯電した粒子は、高エネルギによって、負に帯電したカソードに向けて加速される。衝突時に粒子はコーティング材料に当たるので、この材料は気相に変換され、高エネルギで自由空間の中に向けて加速し、その後、被覆対象の基板の上で凝縮する。スパッタリングは、金属層の異なる厚みを明確に調整することを可能にする。
【0066】
また、非金属および金属基板上にあるコーティングの着色は、本発明に係る方法により、少なくとも1つの着色剤たとえば少なくとも1つの顔料および/または少なくとも1つの染料を含むコーティング材料をオーバーコートの積層に使用することによって、得ることができる。当業者には周知であるグレーズを用いてオーバーコートを着色することもできる。たとえば、それにより、真鍮、チタンおよび金色のシェードを得る、または、赤、青、黄、緑等の個々のカラーシェードを得る、または陽極酸化されたカラーシェードを得ることができる。たとえば、効果顔料、たとえばパール光沢顔料、LCP(液晶ポリマー)顔料、またはOV(光学可変)顔料等の効果顔料を使用することもできる。
【0067】
本発明の基礎をなす目的はさらに、好ましくは本発明に係る方法に従って得られるまたは得ることが可能な、被覆非金属基板、特に被覆プラスチック基板によって達成される。この基板は、
-特にプラズマおよび/またはコロナ処理された非金属基板、特にプラスチック基板と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-任意の、少なくとも1つの、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理されおよび/または着色されたプライマー層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは好ましくは「つや消し」(G3)である、つや消しの、特にカラーの、つや消しペイント等のコーティングを少なくとも1つ、または、特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、特にカラーの、光沢ペイント等のコーティングを少なくとも1つ、好ましくは少なくとも1つのつや消しのコーティングと、
-アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、蒸着および/またはスパッタリング技術を用いることによって得られ、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、金属層、特にアルミニウム層と、
-好ましくは、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-好ましくは上記処理されたポリシロキサン層の上にある、特に透明のおよび/または着色された、少なくとも1つのオーバーコートとを、
この順序で含む。
【0068】
上記金属層は、可視光に対して透明ではなく半透明でもない厚みを有することが好都合である。そのような金属層は、不透明であると説明することもできる。本発明の意味において透明ではない金属層とは、この金属層が基板上にまたは基板上の層の上に積層されたときに上記基板または層の詳細が認識できないような金属層である。すなわちこの金属層は視野透過性を有しない。本発明の意味において半透明ではない金属層とは、この金属層が基板上にまたは基板上の層の上に積層されたときに上記基板または層の詳細が認識できないような金属層である。すなわち、この金属層は不透光性を有しない。言い換えると、半透明の金属層は光は通すが視野は通さない。半透明の金属層の場合、たとえば、基板または下にあるコーティングの色は認識できる。
【0069】
本発明の基礎をなす目的はさらに、好ましくは本発明に係る方法に従って得られるまたは得ることが可能な、被覆非金属基板、特に被覆プラスチック基板によって達成される。この基板は、
-特にプラズマおよび/またはコロナ処理された非金属基板、特にプラスチック基板と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-任意の、少なくとも1つの、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理され、特に着色されたプライマー層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-好ましくは、少なくとも1つの、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理されたカラー層と、
-アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、積層システムを使用し、蒸着および/またはスパッタリング技術を用いることによって得られ、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、可視光に対して透明または半透明である金属層、特にアルミニウム層と、
-好ましくは、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-好ましくは上記処理されたポリシロキサン層の上にある、特に透明のおよび/または着色された、少なくとも1つのオーバーコートとを、
この順序で含む。
【0070】
上記透明または半透明である金属層は、平均厚さ特に絶対厚さが、1nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲、特に好ましくは15nm~30nmの範囲に含まれることが、好都合である。
【0071】
上記被覆非金属基板の、好ましい実施形態では、少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、プラズマおよび/またはコロナ処理も施された、ポリシロキサン層が、金属層とコーティング層との間にある。
【0072】
加えて、好ましい実施形態の変形では、蒸着および/またはスパッタリング技術を使用することによって得られる金属層に隣接して、カラーまたは着色された非金属基板の、カラー層、カラーまたは着色されたポリシロキサン層、カラーまたは着色されたプライマー層が、設けられている。
【0073】
ここで、特に魅力的で特に洗練された表面はまた、非金属基板、少なくとも1つのポリシロキサン層、プライマー層、つや消しまたは光沢のあるコート、カラー層、金属層および/またはコーティング層、特につや消しまたは光沢のあるコーティングまたはカラー層が、構造化された面を有する場合に、得ることができる。
【0074】
本発明の基礎をなす目的はさらに、特に本発明に係る方法に従って得られるまたは得ることが可能な、被覆金属基板によって達成される。この基板は、
-特にプラズマおよび/またはコロナ処理されおよび/または浄化された金属基板と、
-任意の、蒸着および/またはスパッタリング技術を使用することによって得られ、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウム、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金を含む、もしくは、からなる、金属層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-任意の、少なくとも1つの、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された変換層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-任意の、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理され、および/または着色された、少なくとも1つのプライマー層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)、好ましくは「つや消し」(G3)である、つや消しの、特にカラーの、つや消しペイント等のコーティングを少なくとも1つ、または、特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、特にカラーの、光沢ペイント等のコーティングを少なくとも1つ、好ましくは少なくとも1つのつや消しのコーティングと、
-アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、蒸着および/またはスパッタリング技術を用いることによって得られ、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、金属層、特にアルミニウム層と、
-好ましくは、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-好ましくは上記処理されたポリシロキサン層の上にある、特に透明のおよび/または着色された、少なくとも1つのオーバーコートとを、
この順序で含む。
【0075】
上記カバー層に隣接する金属層、特にアルミニウム層は、可視光に対して透明ではなく半透明でもないことが好都合である。
【0076】
上記被覆非金属基板の、好ましい実施形態では、少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、プラズマおよび/またはコロナ処理も施された、ポリシロキサン層が、金属層とコーティング層との間にある。
【0077】
最後に、本発明の基礎をなす目的はまた、特に本発明に係る方法に従って得られるまたは得ることが可能な、被覆金属基板によって達成される。この基板は、
-特にプラズマおよび/またはコロナ処理されおよび/または浄化された金属基板と、
-任意の、蒸着および/またはスパッタリング技術を使用することによって得られ、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウム、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金を含む、もしくは、からなる、金属層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-任意の、少なくとも1つの、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された変換層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-任意の、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理され、および/または着色された、少なくとも1つのプライマー層と、
-任意の、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-好ましくは、少なくとも1つの、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理されたカラー層と、
-アルミニウム、銀、金、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、銅、クロム、パラジウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、および亜鉛からなる群より選択された第1金属特にアルミニウムを含む、もしくは、からなる、または、真鍮、青銅、鋼鉄特に特殊鋼もしくはステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金からなる群より選択された第1金属合金を含む、もしくはからなる、積層システムを使用し、蒸着および/またはスパッタリング技術を用いることによって得られ、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、可視光に対して透明または半透明である金属層、特にアルミニウム層と、
-好ましくは、特に少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、好ましくはプラズマおよび/またはコロナ処理された、ポリシロキサン層と、
-好ましくは上記処理されたポリシロキサン層の上にある、特に透明のおよび/または着色された、少なくとも1つのオーバーコートとを、
この順序で含む。
【0078】
ここで、上記カバー層に隣接する金属層、特にアルミニウム層は、平均厚さ特に絶対厚さが、1nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲、特に好ましくは15nm~30nmの範囲に含まれることが、好ましい。
【0079】
上記被覆金属基板の、好ましい実施形態では、少なくとも1つの有機ケイ素化合物のプラズマ重合を利用することによって得られる、プラズマおよび/またはコロナ処理も施された、ポリシロキサン層が、金属層とコーティング層との間にある。
【0080】
加えて、好ましい実施形態の変形では、蒸着および/またはスパッタリング技術を使用することによって得られる金属層に隣接して、カラー層、カラーまたは着色されたポリシロキサン層、カラーまたは着色された変換層の、カラーまたは着色されたプライマー層が、設けられている。
【0081】
ここで、好都合な設計において、金属基板、少なくとも1つの金属層、少なくとも1つのポリシロキサン層、変換層、プライマー層、つや消しまたは光沢のあるコーティング、カラー層および/またはオーバーコート、特につや消しまたは光沢のある層またはカラー層は、構造化された面を有する。
【0082】
方法ステップjj-kkおよびPP-QQにおいて使用できるカラー層等のカラー層であって、本発明に係る方法に従って得ることが可能な被覆基板において見出すことができるカラー層に対し、2Kラッカーシステム、1Kラッカーシステム、およびUVラッカーシステムを使用することができる。
【0083】
金属層の積層のための積層システムは、真空蒸着システムに含まれるまたは真空蒸着システムによって代表される。真空蒸着システムは、真空チャンバと、少なくとも1つ特に複数の、第1の加熱可能な収容部、特にトレイ、ボート要素または螺旋シャフトとを含む。これらは各々、第1の加熱装置に作動的に結合され、または第1の加熱装置を含みもしくは代表し、第1の融点または溶融範囲を有する第1金属または第1金属合金を収容するように構成されその収容に好適である。上記真空蒸着システムはさらに、少なくとも1つ特に複数の、第2の加熱可能な収容部、特にトレイ、ボート要素または螺旋シャフトを含む。これらは各々、第2の加熱装置に作動的に結合され、または第1の加熱装置を含みもしくは代表し、第2の融点または溶融範囲を有する第2金属または第2金属合金を収容するように構成されその収容に好適である。第1の融点または第1の溶融範囲は、第2の融点または第2の溶融範囲とは異なっている。上記真空蒸着システムはそれに加えて、第1および第2の金属または第1および第2の金属合金が実質的に同時にまたは時間的に重複して蒸発するように(同時蒸着)、第1および第2の温度を調整する制御装置を含む。
【0084】
ここで、ある実施形態の変形において、金属層の積層のための積層システムは、特に真空蒸着システムの真空チャンバの外側に位置し真空チャンバへの供給ラインを有する、第1の有機ケイ素化合物を収容するための、少なくとも1つの第1の容器と、特に真空蒸着システムの真空チャンバの外側に位置し真空チャンバへの供給ラインを有する、第2の有機ケイ素化合物を収容するための、少なくとも1つの第2の容器とを、含み得る。
【0085】
金属層を積層するための積層システムにとって、特に真空チャンバの内部に配置され長手方向および少なくとも1つのサポートを有する少なくとも1つのフレームを備えることが特に重要であることがわかっている。上記サポートは特にシャフトの形状でありフレームの長手方向に実質的に沿って配置されている。フレームは、少なくとも1つ、特に複数の非金属および/または金属基板を収容するように構成され、フレームおよび/または少なくとも1つのサポートは、軸を中心として回転可能である。積層システムに使用できる好適なフレームは、たとえばEP 2 412 445およびDE 20 2007 016 072において見出すことができる。
【0086】
本発明に係る方法によって得ることが可能な非金属および金属基板は、たとえば、自動車製造、オートバイ製造、自転車製造もしくは造船用の付属品として、リム特に軽量金属合金リム、ホイール特に軽量金属合金ホイールの付属品として、もしくはその構成要素として、衛生設備用品用の付属品として、特にタップもしくはミキサーとして、もしくはその構成要素として、自動車本体の内部または外部部品用の付属品として、もしくはその構成要素として、ハンドルまたはハンドル構成部品特にドアハンドル用の付属品として、もしくはその構成要素として、プロファイルまたはフレーム特に窓枠用の付属品として、もしくはその構成要素として、取付器具システム用の付属品として、もしくはその構成要素として、特に看板およびドア標識用の付属品として、住宅またはパッキング用の付属品として、もしくはその構成要素として、船舶の内部および外部構成部品用の付属品として、もしくはその構成要素として、宝飾品用の付属品として、もしくはその構成要素として、高品質構造部材用の付属品として、もしくはその構成要素として、台所、職場もしくは家庭用家具等の屋内もしくは屋外用家具用の付属品として、家庭用品特にコーヒーマシン用の付属品として、もしくはその構成要素として、航空機の内部もしくは外部構成部品用の付属品として、またはその構成要素として、建築物の内部もしくは外部構成部品用の付属品として、またはその構成要素として、加熱要素またはパイプ用の付属品として、もしくはその構成要素として、昇降機部品用の付属品として、もしくはその構成要素として、電子部品もしくは機器の部品用の付属品として、もしくはその構成要素として、台所用品たとえばコーヒーマシンの構成部品用の付属品として、または通信部品または装置特に携帯電話の一部として、もしくはその構成要素として、使用することができる。
【0087】
加えて、本発明の基礎をなす目的は、以下を含む被覆非金属基板特にプラスチック基板の製造方法の使用によって達成される。この方法は、
a)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する非金属基板特にプラスチック基板を準備するステップと、
c)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを準備するステップと、
d)任意で、上記非金属基板特にプラスチック基板を、または上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
e)任意で、ステップa)もしくはd)に従って得られた上記非金属基板特にプラスチック基板を、または、上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
f)任意で、ステップe)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
g)任意で、少なくとも1つの、任意で着色されたプライマー層を、ステップa)もしくはd)に係る上記非金属基板特にプラスチック基板の上に、もしくは上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係る上記ポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
h)任意で、ステップg)に係る上記プライマー層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
i)任意で、ステップg)またはh)に従って得られた上記プライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
j)任意で、ステップi)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
j-k)特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは好ましくは「つや消し」(G3)である、つや消しの、特にカラーの、つや消しラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層する、または、特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、特にカラーの、光沢ラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層するステップ、好ましくは上記つや消しのコーティングを積層するステップと、
k’’)金属色の印象を与える少なくとも1つの効果ラッカーを不透明に積層するステップと、
l)任意で、ステップk’’)に係る上記効果層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
m)好ましくは、ステップk’’)またはl)に従って得られた上記効果層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
n)好ましくは、ステップm)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
o)ステップk’’)、l)、m)またはn)に係る上記層の上に、特にステップn)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明のおよび/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0088】
上記方法と、本発明に係る対応する方法との違いは、ステップk)がステップk’’)(金属色の印象を与える少なくとも1つの効果ラッカーを不透明に積層)に置き換えられている点である。同じように、上記本発明に従って得ることが可能な被覆非金属基板と、ステップk)を含む、対応する方法に従って得ることが可能な被覆非金属基板との違いは、金属層が、不透明に積層され金属色の印象を与える効果ラッカーに置き換えられている点である。ステップk)を含む方法およびその方法に従って得ることが可能な被覆製品に関して説明した一般的なおよび好ましい具体的特徴および実施形態の変形は、同じように、本発明に従って得ることが可能なステップk’’)を含む方法または被覆製品についても当てはまる。
【0089】
加えて、本発明の基礎をなす目的は、以下を含む被覆非金属基板特にプラスチック基板の製造方法によって達成される。この方法は、
a)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する非金属基板特にプラスチック基板を準備するステップと、
c)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを準備するステップと、
d)任意で、上記非金属基板特にプラスチック基板を、または上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
e)任意で、ステップa)もしくはd)に従って得られた上記非金属基板特にプラスチック基板を、または、上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
f)任意で、ステップe)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
g)任意で、少なくとも1つの、特に着色されたプライマー層を、ステップa)もしくはd)に係る上記非金属基板特にプラスチック基板の上に、もしくは上記非金属基板特にプラスチック基板の上記被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係る上記ポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
h)任意で、ステップg)に係る上記プライマー層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
i)任意で、ステップg)またはh)に従って得られた上記プライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
j)任意で、ステップi)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
jj-kk)好ましくは、少なくとも1つのカラー層を、ステップa)もしくはd)に係る非金属基板もしくは非金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップe)もしくはf)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップg)もしくはh)に係るプライマー層の上に、または、ステップi)もしくはj)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
k’’’)金属カラーの印象を与える少なくとも1つの効果ラッカーを、得られたコーティングが可視光に対して透明または半透明になるように、積層するステップと、
l)任意で、ステップk’’’)に係る上記効果層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
m)好ましくは、ステップk’’’)またはl)に従って得られた上記効果層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
n)好ましくは、ステップm)に係る上記ポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
o)ステップk’’’)、l)、m)またはn)に係る上記層の上に、特にステップn)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明のおよび/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0090】
上記方法と、本発明に係る対応する方法との違いは、ステップk’)がステップk’’’)(少なくとも1つの効果ラッカーを、得られたコーティングが可視光に対して透明または半透明になるように積層)に置き換えられている点である。同じように、上記本発明に従って得ることが可能な被覆非金属基板と、ステップk’)を含む、対応する方法に従って得ることが可能な被覆非金属基板との違いは、金属層が、可視光に対して透明または半透明になるように積層された金属色の印象を与える効果ラッカーに置き換えられている点である。ステップk’)を含む方法およびその方法に従って得ることが可能な被覆製品に関して説明した一般的なおよび好ましい具体的特徴および実施形態の変形は、同じように、本発明に従って得ることが可能なステップk’’’)を含む方法または被覆製品についても当てはまる。
【0091】
加えて、本発明の基礎をなす目的は、以下を含む被覆金属基板の製造方法によって達成される。この方法は、
A)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する金属基板を準備するステップと、
C)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを準備するステップと、
D)任意で、金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面をクリーニングするステップと、
E)任意で、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウムを含む、もしくは、からなる、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金からなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップA)またはD)に係る金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面の上に、積層するステップと、
F)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)に係る金属層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
G)任意で、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板、または、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)もしくはF)に従って得られた金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
H)任意で、ステップG)に係るポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
I)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、変換層を積層するステップと、
J)任意で、ステップI)に係る変換層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
K)任意で、ステップI)またはJ)に従って得られた変換層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
L)任意で、ステップK)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
M)任意で、少なくとも1つの、任意で着色されたプライマー層を、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
N)任意で、ステップM)に従って得られたプライマー層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
O)任意で、ステップM)またはN)に従って得られたプライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
P)任意で、ステップO)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
P-Q)特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年02月発行)に従って決定される光沢グレードが「中間光沢」(G2)もしくは好ましくは「つや消し」(G3)である、つや消しの、特にカラーの、つや消しラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層する、または、特に、DIN EN ISO 2813:2014(2015年2月発行)に従って決定される光沢グレードが「光沢」(G1)である、光沢がある、特にカラーの、光沢ラッカー等のコーティングを少なくとも1つ積層するステップ、好ましくは上記つや消しのコーティングを積層するステップと、
Q’’)金属色の印象を与える少なくとも1つの効果ラッカーを不透明に積層するステップと、
R)任意で、ステップQ’’)に係る効果層をプラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
S)好ましくは、ステップQ’’)またはR)に従って得られた効果層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
T)好ましくは、ステップS)に係るポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
U)ステップQ’’)、R)、S)またはT)に係る上記層の上に、特にステップT)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明および/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0092】
上記方法と、本発明に係る対応する方法との違いは、ステップQ)がステップQQ’’)(金属色の印象を与える少なくとも1つの効果ラッカーを不透明に積層)に置き換えられている点である。同じように、上記本発明に従って得ることが可能な被覆非金属基板と、ステップQ)を含む、対応する方法に従って得ることが可能な被覆非金属基板との違いは、金属層が、不透明に積層され金属色の印象を与える効果ラッカーに置き換えられている点である。ステップQ)を含む方法およびその方法に従って得ることが可能な被覆製品に関して説明した一般的なおよび好ましい具体的特徴および実施形態の変形は、同じように、本発明に従って得ることが可能なステップQQ’’)を含む方法または被覆製品についても当てはまる。
【0093】
最後に、本発明の基礎をなす目的は、以下を含む被覆金属基板の製造方法によって達成される。この方法は、
A)少なくとも一部の領域において被覆されることが可能な少なくとも1つの面を有する金属基板を準備するステップと、
C)少なくとも1つのプラズマ発生器および/または少なくとも1つのコロナシステムを準備するステップと、
D)任意で、金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面をクリーニングするステップと、
E)任意で、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選択された第2金属特にジルコニウムを含む、もしくは、からなる、または、チタン合金、ハフニウム合金、およびジルコニウム合金からなる群より選択された第2金属合金からなる、少なくとも1つの金属層を、上記積層システムを用いて、特に蒸着および/またはスパッタリング技術を利用することにより、ステップA)またはD)に係る金属基板または金属基板の被覆されることが可能な面の上に、積層するステップと、
F)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)に係る金属層を、上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
G)任意で、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板、または、ステップA)もしくはD)に従って得られた金属基板の被覆されることが可能な面、または、ステップE)もしくはF)に従って得られた金属層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
H)任意で、ステップG)に係るポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
I)任意で、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、変換層を積層するステップと、
J)任意で、ステップI)に係る変換層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
K)任意で、ステップI)またはJ)に従って得られた変換層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
L)任意で、ステップK)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
M)任意で、少なくとも1つの、好ましくは着色されたプライマー層を、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
N)任意で、ステップM)に従って得られたプライマー層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
O)任意で、ステップM)またはN)に従って得られたプライマー層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
P)任意で、ステップO)に従って得られた処理されたポリシロキサン層を、プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
PP-QQ)好ましくは、少なくとも1つのカラー層を、ステップA)もしくはD)に係る金属基板もしくは金属基板の被覆されることが可能な面の上に、または、ステップE)もしくはF)に係る金属層の上に、または、ステップG)もしくはH)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップI)もしくはJ)に係る変換層の上に、または、ステップK)もしくはL)に係るポリシロキサン層の上に、または、ステップM)もしくはN)に係るプライマー層の上に、または、ステップO)もしくはP)に係るポリシロキサン層の上に、積層するステップと、
Q’’’)金属カラーの印象を与える少なくとも1つの効果ラッカーを、得られたコーティングが可視光に対して透明または半透明になるように、積層するステップと、
R)任意で、ステップQ’’’)に係る効果層をプラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
S)好ましくは、ステップQ’’’)またはR)に従って得られた効果層を、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を用いて、特にプラズマ重合を利用して、処理することにより、ポリシロキサン層を形成するステップと、
T)ステップS)に係るポリシロキサン層を上記プラズマ発生器を用いてプラズマ処理するおよび/またはコロナ処理するステップと、
U)ステップQ’’’)、R)、S)またはT)に係る上記層の上に、特にステップT)に係る処理が行われた上記ポリシロキサン層の上に、少なくとも1つの、特に透明および/または着色オーバーコートを積層するステップとを含む。
【0094】
上記方法と、本発明に係る対応する方法との違いは、ステップQ’)がステップQ’’’)(少なくとも1つの効果ラッカーを、得られたコーティングが可視光に対して透明または半透明になるように積層)に置き換えられている点である。同じように、上記本発明に従って得ることが可能な被覆金属基板と、ステップQ’)を含む、対応する方法に従って得ることが可能な被覆金属基板との違いは、金属層が、可視光に対して透明または半透明になるように積層された金属色の印象を与える効果ラッカーに置き換えられている点である。ステップQ’)を含む方法およびその方法に従って得ることが可能な被覆製品に関して説明した一般的なおよび好ましい具体的特徴および実施形態の変形は、同じように、本発明に従って得ることが可能なステップQ’’’)を含む方法または被覆製品についても当てはまる。
【0095】
金属のような外観を与える効果ラッカーは、当業者に周知である。そのような効果ラッカーは通常、たとえばアルミニウムをベースとする、いわゆる金属効果顔料または金属顔料を使用する。好適な効果ラッカーまたは効果顔料は、たとえば、DE10 2007 007908、WO2004/026971、WO2004/026972、DE4422287、およびDE19505161に記載されている。Endlendt Color(D-16775 Sonnenberg)による効果ラッカーおよびクロムラッカーのさらに他の例は、たとえばWO2008/046567A1に開示されており、Holtmann & Stierle Chemie GmbH(D-32130 Enger)によるHS効果ラッカーが引用されている。
【0096】
本発明は以下の驚くべき発見に基づいている。本発明に係る方法に従って得ることが可能な基板の、つや消し金属の外観を有する表面は、色彩に富む金属面として、簡単にかつ確実に、すなわち低コストで、等しく得ることができる。本発明に係る方法は、大量生産に簡単に適応することができる。これらによって、プラスチック基板および金属基板の全面的に新しい応用分野を開発することが可能になる。さらに、本発明に係る方法または本発明に係る製品によって、その光沢を恒久的に保つ高品質の着色高光沢コーティングを提供することができる。加えて、本発明に係る方法により得ることが可能な被覆非金属および金属基板は、優れた耐食性を有する。本発明に係る方法により得ることが可能な被覆基板はさらに、非常に高い密着性を特徴とする。したがって、これらの被覆基板は、たとえば石の衝突または擦り傷による機械的損傷を受けていても、高い耐食性を示す。また、つや消しの外観を有する本発明に係る基板の場合、機械的応力を受けても表面の欠陥が検出されないことも、好都合である。本発明に係る方法に固有のさらに他の利点は、新たな基板バッチの被覆のために必要な移行時間が非常に短いことである。さらに、本発明に係る方法により、クリーニング前のこれから被覆が行われる基板から始まる、色彩豊かなまたはつや消しの外観を有する被覆基板を製造するためのシステム全体の範囲が、実質的に減じられる。よって、従来のシステムと比較して必要な空間は大幅に減じられる。加えて、本発明に係る方法において、販売前の被覆基板の寛成までの処理時間を実質的に短縮することが可能である。減じられたサイクルタイムは必然的にこれに伴って生じる。
【0097】
上記説明および請求項において開示する本発明の特徴は、個別でも何らかの組み合わせとしても、本発明をさまざまな実施形態で実現するための重要な特徴である。