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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】脱毛用の自動システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/067 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
A61N5/067
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019502183
(86)(22)【出願日】2017-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017043038
(87)【国際公開番号】W WO2018017811
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】15/216,005
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510308779
【氏名又は名称】レストレーション ロボティクス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RESTORATION ROBOTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ツィンガレッティ,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】マッカラム,ジェイムズ,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ボッダルリ,モハン
(72)【発明者】
【氏名】ギルデンバーグ,フィリップ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】カッデス,ドナルド,イー.
【審査官】鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0154247(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0060810(US,A1)
【文献】特開2013-027684(JP,A)
【文献】特開2002-011106(JP,A)
【文献】特開2000-245525(JP,A)
【文献】特開2006-271566(JP,A)
【文献】特表2007-533391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0032092(US,A1)
【文献】国際公開第2002/060531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/067
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化システムを用いて脱毛のためのエネルギー送達デバイスを選択する方法であって、
画像化装置によって取得された画像において、前記自動化システムが、体表面の領域における望まない毛包の位置および向きを自動的に識別するステップと、
前記自動化システムが、前記識別された望まない毛包の一部または全部についての体毛の色素沈着値と、前記識別された望まない毛包を有する体表面の領域における皮膚の色素沈着値と、の一方または両方を自動的に測定して割り当てるステップと、
前記自動化システムが、前記割り当てられた皮膚の色素沈着値と、1またはそれ以上の識別された望まない毛包の前記割り当てられた体毛の色素沈着値と、の一方または両方に基づいて、前記自動化システムに動作可能に接続された複数のエネルギー送達デバイスから1のエネルギー送達デバイスを自動的に選択するステップと、
前記自動化システムが、前記1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの識別された位置および向きに基づいて、前記1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの毛幹の大まかな方向に対して前記選択されたエネルギー送達デバイスが位置するように自動的に方向付けるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記自動的に方向付けるステップが、前記自動化システムが、前記エネルギー送達デバイスを毛幹の大まかな方向に整列させるステップ、または前記自動化システムが、前記エネルギー送達デバイスを前記1またはそれ以上の識別された毛包の皮膚の下の毛幹部分の大まかな方向に整列させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法において、前記エネルギー送達デバイスを自動的に選択するステップは、複数の識別された望まない毛包の割り当てられた体毛の色素沈着値に基づくことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの方法において、前記自動化システムが、識別された毛包の各々または選択されたグループに対してエネルギー送達デバイスを選択するステップを繰り返すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの方法において、前記自動化システムが、前記1またはそれ以上の識別された毛包の各々に対して前記整列させるステップを繰り返すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの方法において、前記皮膚の色素沈着値を自動的に測定して割り当てるステップが、前記自動化システムが皮膚の色素沈着に関する既存のデータを分析するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの方法において、前記自動化システムが前記識別された望まない毛包のうちのいくつかまたはすべての中で、発毛段階の成長期にある毛包を識別するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、前記発毛段階の成長期にある毛包を識別するステップが、前記自動化システムが前記識別された毛包の対応する直径を特定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの方法において、前記自動化システムが、前記エネルギー送達デバイスを操作して、前記1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つを脱毛または除毛するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
自動化システムを用いて脱毛のためのエネルギー送達デバイスを選択する方法であって、
画像化装置によって取得された画像において、前記自動化システムが、体表面の領域における望まない毛包の位置および向きを自動的に識別するステップと、
前記自動化システムが、前記識別された望まない毛包の一部または全部の体毛の色素沈着値を自動的に測定して割り当てるステップと、
前記自動化システムが、前記識別された望まない毛包を有する体表面の領域における皮膚の色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、
前記自動化システムが、前記割り当てられた皮膚の色素沈着値と、1またはそれ以上の識別された望まない毛包の前記割り当てられた体毛の色素沈着値との一方または両方に基づいて、前記自動化システムに動作可能に接続された複数のエネルギー送達デバイスから1のエネルギー送達デバイスを自動的に選択するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
脱毛用の画像誘導自動化装置であって、
体表面の画像を含む画像データを受信するのに適合されたインターフェースと、
請求項1に記載の方法を実行するための命令のセットを含むプロセッサとを具え、前記命令のセットが、
画像処理装置によって取得された画像において、体表面の領域内の望まない毛包の位置および向きを自動的に識別するステップと、
前記識別された望まない毛包の一部または全部の体毛の色素沈着値を自動的に測定して割り当てるステップと、
前記識別された望まない毛包を有する体表面の領域における皮膚の色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、
前記割り当てられた皮膚の色素沈着値と、1またはそれ以上の識別された望ましくない毛包の前記割り当てられた体毛の色素沈着値との一方または両方に基づいて、自動化システムに動作可能に接続された複数のエネルギー送達デバイスから1のエネルギー送達デバイスを自動的に選択するステップと、
1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの前記識別された位置および向きに基づいて、1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの毛幹の大まかな方向と整列するように、前記選択されたエネルギー送達デバイスを自動的に向けるステップと、を実行させる命令を含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項12】
請求項11の画像誘導自動化装置において、当該装置がロボットアームを具えるロボット装置であり、前記複数のエネルギー送達デバイスが前記ロボットアームに結合されていることを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項13】
請求項11または12の画像誘導自動化装置において、標的の毛包に気流を向けるように構成されたエアジェットをさらに具えることを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項14】
請求項13の画像誘導自動化装置において、前記プロセッサまたは異なるプロセッサが、前記エネルギー供給装置と整列するように前記エアジェットを自動的に向けるステップと、前記エネルギー供給装置の作動と同時に前記エアジェットを作動させるステップと、を実行させる命令を含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかの画像誘導自動化装置において、前記選択されたエネルギー送達デバイスが治療用レーザまたは美容用レーザを含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれかの画像誘導自動化装置において、当該装置が少なくとも2つのレーザを具えることを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれかの画像誘導自動化装置において、前記プロセッサは、皮膚の色素沈着と、1)同定された成長期の体毛の色素沈着、および2)同定された成長期の体毛の直径の1またはそれ以上とに基づいて、前記選択されたエネルギー送達デバイスが作動されるべき時間を決定および制御するようにさらに構成されることを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれかの画像誘導自動化装置において、ディスプレイをさらに具え、発毛段階の成長期にあると判定された識別された毛包にグラフィック表現が割り当てられ、関心のある領域の画像には前記識別された成長期の毛包のそれぞれに割り当てられたグラフィック表現が入っていることを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項19】
請求項11乃至17のいずれかの画像誘導自動化装置において、前記プロセッサまたは異なるプロセッサが、発毛段階の成長期にある毛包を識別するステップと、1)前記識別された成長期の毛包、および2)関心領域内の成長期の毛包の分布、の一方または両方に少なくとも部分的に基づいてて、脱毛計画を作成するステップとを実行する命令を含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項20】
請求項11乃至19のいずれかの画像誘導自動化装置において、異なる波長の光を用いて皮膚表面の上下の画像を取得するように構成された1またはそれ以上のカメラを具え、前記画像を処理するステップが、前記毛包ユニットの前記皮膚表面より下の毛管部分を識別するために、前記皮膚表面より上と前記皮膚表面より下の画像を画像処理する際に減算および/または組み合わせを含み、前記プロセッサは、少なくとも部分的に前記皮膚表面より下の毛幹部分の識別の結果について、前記エネルギー伝達装置を毛幹と位置合わせするステップを実行させる命令を含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項21】
請求項19または20の画像誘導自動化装置において、前記成長期の体毛の特定された割合と、前記領域内の成長期の体毛の分布との一方または両方に少なくとも部分的に基づいて、現在の脱毛予定と後続の脱毛予定との間の時間間隔を決定するためのモジュールをさらに含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項22】
請求項11乃至21のいずれかの画像誘導自動化装置において、前記選択されたエネルギー送達デバイスを自動的に向けるステップは、前記エネルギー送達デバイスを皮膚の下の毛幹の部分の大まかな方向と整列させるステップ、または前記エネルギー送達デバイスを前記1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの皮膚の上の毛幹の部分の大まかな方向に対しオフセットした角度で向けるステップを含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項23】
脱毛用の画像誘導自動化装置であって、
体表面の画像を含む画像データを受信するのに適合されたインターフェースと、
請求項1に記載の方法を実行するための命令のセットを含むプロセッサとを具え、前記命令のセットが、
画像処理装置によって取得された画像において、体表面の領域内の望まない毛包の位置および向きを自動的に識別するステップと、
前記識別された望まない毛包の一部または全部の体毛の色素沈着値を自動的に測定して割り当てるステップと、
前記識別された望まない毛包を有する体表面の領域における皮膚の色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、
前記割り当てられた皮膚の色素沈着値と、1またはそれ以上の識別された望まない毛包の前記割り当てられた体毛の色素沈着値との一方または両方に基づいて、自動化システムに動作可能に接続された複数のエネルギー送達デバイスから1のエネルギー送達デバイスを自動的に選択するステップと、を実行させる命令を含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【請求項24】
請求項23の画像誘導自動化装置において、前記命令のセットは、1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの前記識別された位置および向きに基づいて、1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの毛幹の大まかな方向と整列するように、前記選択されたエネルギー送達デバイスを自動的に向けるステップを実行させる命令を含むことを特徴とする画像誘導自動化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、正確な診断と医療治療処置を実行するための画像誘導ロボットシステムに関し、より具体的には、脱毛を含む、体毛や皮膚の治療処置のための、標的となる皮膚および皮下の組織領域への、体表面へのまたは体表面を通してのエネルギーの制御された適用のための自動(例えばロボット)システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]患者の体の標的領域について、毛髪移植、脱毛、治療的および美容的注射、タトゥーおよびその除去を含む治療的および美容的目的(審美的と再建的の両方)のために現在多数の処置が行われているか、検討されている。治療的または美容的な皮膚および体毛の処置のために、エネルギーが典型的には皮膚組織領域に適用されるが、いくらかの皮下組織領域に浸透することがある。例えば、現在、脱毛、皺を治療するためのレーザ皮膚表面再仕上げ、タトゥー除去、非破壊的皮膚治療など、多数の皮膚および髪の処置にレーザが使用されている。一般に、これらの処置は手持ち式レーザアプリケータの使用を伴う。利用されるレーザの種類と、含まれる生理学的および/または化学的プロセスは、処置の種類に依存する。しかしながら、レーザおよびRFエネルギーの治療的および美容的適用のための現在のシステムは、レーザの位置決め、照準および操作にマニュアル技術を必要とする。これらのマニュアル技術を利用する治療は往々にして長く、退屈である。さらに、レーザまたはRF装置が手動で位置決めおよび操作されるので、そのような処置の有効性は操作者に依存することとなり、したがって一貫性がない可能性がある。
【0003】
[0003]米国特許第6,585,746号は、ロボットアームと、当該ロボットアームに付随する毛包導入器とを含む、ロボットを利用する毛髪移植システムを開示している。患者の身体の治療領域へのエネルギーの印加を伴うものを含む、他の美容的、診断的および治療的処置、特に正確な位置の特定とエネルギー送達デバイスなどのツールの多くの動きを必要とする処置を実行するための自動化(例えばロボット)装置および方法の開発と同様に、ロボット毛髪移植におけるさらなる改良が必要である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の一般的な態様によれば、画像誘導ロボットシステムといった自動システムが、(非限定的な例として)脱毛および/または移植、反復的な針注射(例えば、コラーゲン充填剤、メラニン細胞、タトゥーインクの送達)、タトゥーやほくろの除去、レーザまたは高周波(RF)エネルギーの適用、低温療法(例えばほくろやいぼの除去)パターン化された微小組織の除去(例えば、従来の「フェイスリフト」処置の代わりとして)、および現在人間が制御する装置を使用して行われている他の任意の処置などの、正確に制御された診断および治療医療処置を実行するために使用される。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態によれば、例えば皮膚癌スクリーニングのための正確な画像データを取得すること、および超音波診断を実行することなど、診断評価を実行するために自動化システムを使用することもできる。様々な実施形態において、ロボットシステムは、一般に、システムコントローラによって制御されるロボットアームと、ロボットアームの遠位(ツール)端に結合されたエンドエフェクタアセンブリと、当該エンドエフェクタアセンブリに結合された1以上の高速カメラを有し「視覚サーボ」プロセスを用いてロボットアームの動作のための制御信号を提供するために処理される画像を取得するための画像取得システムとを具える。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態によれば、不要な毛を脱毛または除去するための自動システムが提供され、このシステムは、可動アームと、当該可動アームに取り付けられたツールと、前記可動アームに取り付けられた1またはそれ以上のカメラと、前記1またはそれ以上のカメラによって取得された画像を受診して処理するように構成されたプロセッサと、当該プロセッサと機能的に関連づけられ前記1またはそれ以上のカメラによって取得され処理された画像に少なくとも部分的に基づいて前記可動アームを位置決めするように構成されたコントローラとを具え、前記ツールが隣接する体表面に対して所望の向きに配置されるように前記可動アームが位置決め可能である。
【0007】
[0007]非限定的な例として、自動化システムはロボットシステムであり、可動アームはロボットアームであり、プロセッサおよびコントローラは、ロボットアームの視覚サーボによってツールを位置決めするように構成され得る。いくつかの実施形態では、単一のカメラを用い、プロセッサはカメラの基準座標系をロボットアームのツールフレーム基準座標系と位置合わせするように構成される。例えば、プロセッサは、ロボットアームがツールフレーム基準座標系の1またはそれ以上の軸に沿って動くときに取得される固定の較正ターゲットの画像に基づいて、カメラの基準座標系をツールフレーム基準座標系に位置合わせし得る。別の例として、一対のカメラをロボットアームに取り付けて、プロセッサが、カメラのそれぞれの基準座標系を互いに、およびロボットアームのツールフレーム基準座標系と位置合わせするように構成されてもよい。ここでも、プロセッサは、ロボットアームがツールフレーム基準座標系の1またはそれ以上の軸に沿って動くときに取得される固定の較正ターゲットの画像に基づいて、それぞれのカメラ基準座標系をツールフレーム基準座標系に位置合わせし得る。さらに別の例として、1またはそれ以上のカメラは、前記ロボットアームに取り付けられた第1および第2のカメラのペアをそれぞれ含み、第1のペアは第1の視野の画像を取得するように焦点を合わせ、第2の視野は、第1の視野よりも実質的に狭い第2の視野を取得するように焦点を合わせる。この実施形態では、プロセッサは、第1および第2のカメラ対のそれぞれの基準座標系を互いに、そしてロボットアームのツールフレーム基準座標系と位置合わせするように構成され得る。ここでも、プロセッサは、ロボットアームがツールフレーム基準座標系の1またはそれ以上の軸に沿って動くときに取得される固定の較正ターゲットの画像に基づいて、それぞれのカメラ基準座標系をツールフレーム基準座標系に位置合わせし得る。
【0008】
[0008]様々な実施形態では、プロセッサは、1またはそれ以上のカメラによって取得された画像内で毛包ユニットのおおよその物理的境界を識別するように構成され得る。例えば、プロセッサは、取得画像から、体表面に埋没した皮下の基部領域と体表面の外に延びる遠位先端領域とを含む毛包ユニットのおおよその物理的境界を識別するように構成され、ここで画像は皮下イメージを含む。さらに別の実施形態では、体表面に気流を向けるために可動アームにエアジェットが設けられている。さらに別の実施形態では、脱毛または移植される毛包または毛包ユニットの場所、位置、向き、および深さのうちの1またはそれ以上に関する命令をプロセッサとコントローラの一方または双方に入力するためのユーザインタフェースが提供される。
【0009】
[0009]さらなる実施形態によれば、体毛を除去、破壊、または脱毛するための自動システムは、可動アームと、当該可動アームに取り付けられたツールと、一対のカメラと、これらのカメラによって取得された画像を受信し処理するように構成されたプロセッサであって、カメラのそれぞれの基準座標系を互いに位置合わせするように構成されたプロセッサと、当該プロセッサと動作可能に関連付けられ、カメラによって取得された処理画像に少なくとも部分的に基づいて可動アームを位置決めするように構成されたコントローラとを具え、前記可動アームは、隣接する体表面に対して所望の向きにツールを配置できるように位置決め可能である。非限定的な例として、自動システムはロボットシステムであり、可動アームはロボットアームであり、プロセッサはさらに、それぞれのカメラの基準座標系をロボットアームのツールフレームの基準座標系と位置合わせするように構成される。そのような実施形態では、プロセッサおよびコントローラは、ロボットアームの視覚サーボによってツールを位置決めするように構成されてもよい。
【0010】
[0010]本開示のなお別の態様によると、自動化システムの可動アーム上に配置されたツールを皮膚上の関心のある位置または対象と整列させる方法が提供される。この方法は、可動アーム上に配置されたツールと可動アーム上に配置された少なくとも2つのカメラとの間の固定関係を特定するステップであって、前記ツールは組織を操作可能であるステップと、皮膚上で関心のある場所または対象物を選択するステップと、少なくとも2つのカメラからの関心対象の位置の位置ずれを同定するステップと、少なくとも部分的に、同定されたずれと、前記ツールを整列させながら前記少なくとも2つのカメラとツールの間の固定関係に維持することに基づいて、可動アームを自動的に動かしてツールを皮膚上の位置または対象物に合わせるステップとを含む。例えば、自動システムはロボットシステムであり、可動アームはロボットアームであり、プロセッサはさらに、それぞれのカメラ基準座標系をロボットアームのツールフレーム基準座標系と位置合わせするように構成されてもよい。関心対象が体毛であるいくつかの実施形態では、ツールを体毛と整列させるために可動アームを自動的に動かすステップは、例えば、体表面に対する体毛の出現角度に応じて、ツールの長手方向軸を、皮膚の上の体毛の長軸または皮膚下に予想される体毛の軸と整列させるステップを含む。いくつかの実施形態では、ツールを配向させる方法は、関心のある毛包の出現角度を特定するステップと、ツールの最小接近角度を選択するステップと、関心のある毛包の出現角度をツールの最小接近角度と比較するステップと、関心のある毛包の出現角度とツールの最小接近角度との比較結果に基づいて、関心のある毛包に対してツールを配向するステップとを含む。ツールを配向するステップは、ツールが動作可能に接続されているロボットアームを自動的に動かすステップ、ツールの位置/配向を変えるために様々なモータや機構を作動させるステップ、あるいは上記の任意の組み合わせを含み得る。ツールの最小接近角度を選択するステップは、少なくとも部分的には、ある領域内の複数の体毛の平均または中間の出現角度に基づいてもよい。他の実施形態では、ツールを配向または整列させる方法は、関心のある毛包の出現角度を特定するステップと、所定のオフセット角度を選択するステップと、特定された関心のある毛包と所定のオフセット角度とに基づいて、関心のある毛包に対してツールを配向させるステップとを含む。所定のオフセット角度は0~45度、例えば10~20度の範囲の角度を含み得る。
【0011】
[0011]上記の方法論を実施するように構成またはプログラムされたプロセッサを有する自動化システムまたは装置もまた提供される。そのようなプロセッサは、開示された方法の様々なステップを実施するための命令を実行するための1またはそれ以上のモジュールを含み得る。この自動化システムはまた、画像化装置と画像プロセッサとを有することができ、画像プロセッサは、本方法の様々なステップの実施を制御する別個のプロセッサまたは同じプロセッサの一部とすることができる。
【0012】
[0012]本開示のさらなる別の態様や、体毛および皮膚治療処置のための、患者の皮膚層へのまたはそれを通るエネルギーの標的組織領域(「治療位置」)への制御された適用のための自動(例えばロボット)システムおよび方法である。治療位置は、皮膚、皮膚層内の組織、体毛、および/または皮膚のすぐ下の皮下脂肪層のうちの1またはそれ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、自動治療システムは、可動アーム(例えば、ロボットアーム)上に配置されたエネルギー送達デバイスを含む。このシステムはまた、可動アームの動きを制御し、任意でツールの動き/動作を制御するように構成されたプロセッサおよび/またはコントローラも具える。ツールの動作は、別個のプロセッサ/コントローラによって、および/または様々な機構によって制御されてもよい。システムは1またはそれ以上の撮像装置も含むことができ、プロセッサおよび/またはコントローラは、1またはそれ以上の撮像装置(例えばカメラ)によって取得された画像に少なくとも部分的に基づいて可動アーム(任意でツールも)の動きを指示することができる。カメラは、関心領域内の皮膚および/または体毛に関する情報、ならびに治療位置に対するエネルギー送達デバイスの位置に関する情報を含む、関心領域に関する情報を提供するように構成され得る。カメラは、可動アーム上、異なるアーム上、またはシステムの他の何らかの構造体上に配置することができる。あるいは、撮像装置は別個の装置であってもよく、自動治療システムはそのような別個の撮像装置から得られた画像を受け取るように構成されたインターフェースを含んでもよい。
【0013】
[0013]エネルギー送達デバイスは、皮膚および皮下組織領域に治療用または美容用エネルギーを適用するための任意の適切なデバイスであり、以下に記載されるレーザおよび光源のいずれかを含むがこれらに限定されない。エネルギー送達デバイスは、任意の所望の形態でエネルギーを伝達するように選択され得る。非限定的な例として、エネルギーは、レーザまたは他のエネルギー源を使用する、無線周波数、可視光、マイクロ波、X線、赤外線などを含むがこれらに限定されない電磁エネルギー;超音波;電気;または磁気であり得る。エネルギー送達デバイスは可動アームに一体化されてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー送達デバイス用の電源ユニットも、可動アーム上のエネルギー送達デバイスと一体化されてもよいし、あるいは可動アーム上以外に配置され、エネルギーが電源ユニットから可動アームに取り付けられたエネルギー送達デバイスへと送られてもよい。例えば、レーザ電源ユニットをロボットアームから離して配置し、光ファイバケーブルを使用して、レーザビーム(エネルギー)をロボットアーム上のレンズなどのエネルギー供給装置、あるいはロボットアームに取り付けられた他のエネルギー送達デバイスへと送ることができる。
【0014】
[0014]ユーザインターフェースが、プロセッサおよび/またはコントローラに動作可能に結合され、カメラによって撮影された画像や、カメラによって撮影された画像を処理した結果として作成された情報/画像を表示するように構成される。ユーザインターフェースは、他の考えられるパラメータの中でも、治療位置の所望の面積、治療に用いられるエネルギーデバイスの種類、強度または持続時間、スポットサイズ、および/またはフルエンスなどの治療のパラメータおよび/または命令をユーザが入力できるようにさらに構成されてもよい。ユーザインターフェースはまた、ロボットシステム25など、システムによって自動的に示唆される1またはそれ以上のパラメータ/命令をユーザに表示するように構成されてもよく、これには限定はしないが、治療位置、種類、治療のために利用されるエネルギーデバイスの強度または持続時間、スポットサイズ、および/またはフルエンスが含まれ、ユーザが自動的に提案されたパラメータのうちの1またはそれ以上を修正、承諾、または削除することが可能であってもよい。
【0015】
[0015]さらに別の態様によれば、自動化システムを使用した体毛の除去または脱毛の方法が提供される。この方法は、撮像装置によって取得された画像について、体表面の領域内の不要な毛包の位置および向きを自動的に識別するステップを含む。この方法はまた、識別された不要な毛包を有する体表面の領域における皮膚色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、識別された不要な毛包のいくつかまたはすべてについての体毛色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、の一方または両方を含む。1またはそれ以上の識別された不要な毛包の割り当てられた皮膚色素沈着値および割り当てられた体毛色素沈着値の一方または両方に基づいて、自動システムに動作可能に接続された複数のエネルギー送達デバイスから1つのエネルギー送達デバイスが自動的に選択される。1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つの識別された位置および向きに基づいて、選択されたエネルギー送達デバイスが、当該1またはそれ以上の識別された毛包と整列するように自動的に方向付けられる。自動位置合わせは、1またはそれ以上の識別された毛包の毛幹部分の大まかな方向と自動的に整列させるステップを含み、いくつかの実施形態では、自動位置合わせは皮膚表面下の毛幹部分の大まかな方向と自動的に位置合わせするステップを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、エネルギー送達デバイスを操作して、1またはそれ以上の識別された毛包のうちの1つを脱毛するステップをさらに含み得る。1またはそれ以上の毛包の識別は、成長期の発毛期にある毛包を識別するステップを含んでもよく、それは体毛の直径を識別するステップを含み得る。
【0016】
[0016]上記の方法論を実施するように構成またはプログラムされたプロセッサを含む自動化システムまたは装置がさらに提供される。そのようなプロセッサは、開示された方法の様々なステップを実施するための命令を実行するための1またはそれ以上のモジュールを含み得る。自動化システムはまた、インタフェースと、撮像装置と、ロボットアームと、当該ロボットアームに結合されたツールとを含み得る。ツールは、ユーザによって、またはシステムによって自動的に、選択的に作動させることができる1またはそれ以上のエネルギー送達デバイスを含み得る。この装置はさらに、標的の毛包に気流を向けるように構成されたエアジェットを具え、プロセッサは、エネルギー送達デバイスと整列するようにエアジェットを自動的に向けるとともにエネルギー送達デバイスの作動と同時にエアジェットを作動させるための命令を含んでもよい。さらなる実施形態では、プロセッサは、皮膚の色素沈着に基づいて、さらに識別された成長期の毛髪の色素沈着および識別された成長期の毛髪の直径のうちの一方または両方に基づいて、選択されたエネルギー送達デバイスの動作時間(連続またはパルス)を決定するように構成される。
【0017】
[0017]さらなる態様によれば、自動化システムを使用した脱毛の方法が提供される。この方法は、撮像装置によって取得された画像内で、体表面の領域内の1またはそれ以上の不要な毛包の位置および向きを自動的に識別するステップと、前記1またはそれ以上の毛包のうちどれが成長期の発毛期にあるかを自動的に判定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、識別された不要な毛包のいくつかまたはすべてについて体毛色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、識別された不要な毛包を有する体表面の領域において皮膚色素沈着値を自動的に測定し割り当てるステップと、のうちの一方または両方を任意にさらに含んでもよい。成長期の発毛期と識別された毛包に基づいて(そして任意選択で、割り当てられた体毛色素沈着値および/または皮膚色素沈着値に基づいて)、1またはそれ以上の毛包が脱毛のために選択される。提案された方法によれば、1のエネルギー送達デバイスが選択され、それは脱毛のために選択された1またはそれ以上の毛包に対して位置決めされ配向される。いくつかの実施形態では、1またはそれ以上の毛包のうちどれが成長期の発毛期にあるかを判定するステップは、皮膚の上の毛幹の少なくとも一部の直径を特定するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、脱毛しようとする毛包に空気流を向けるステップを含む。他の実施形態では、エネルギー送達デバイスを1またはそれ以上の毛包に対して位置決めおよび配向させるステップは、エネルギー送達デバイスを毛幹の一般的な方向と整列させるステップ、エネルギー送達デバイスを皮膚下の毛幹の一部の一般的な方向と整列させるステップ、またはエネルギー送達デバイスを皮膚表面の上の毛包のうちの1つの毛幹の一般的な方向に対してオフセットされた角度に配向するステップを含む。
【0018】
[0018]上記の方法論を実施するように構成またはプログラムされたプロセッサを含む自動化システムまたは装置も提供される。
【0019】
[0019]したがって、本開示の自動治療システムおよび方法は、現在のマニュアル技術と比較してより標準的で一貫した治療エネルギーの適用を提供するだけでなく、そのような処置をより正確にし、効率的にし、持続時間を短縮し、潜在的に疼痛や周辺組織へのダメージを低減させる。
【0020】
[0020]本開示の他のおよびさらなる目的および利点は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
[0021]本明細書に記載の実施形態の特徴および利点が、添付の図面に限定ではなく例として示されており、これらの図面では、同じ参照符号は同様の要素を示す。
図1】[0022]図1は、エンドエフェクタツールまたはツールを患者の皮膚表面上の標的位置に位置決めおよび配向するためのロボットアームを具える、画像誘導ロボットシステムの一実施形態の図である。
図1A】[0023]図1Aは、いくつかの実施形態による位置決めアセンブリを有するツールの一例である。
図2】[0024]図2は、図1のロボットアームに固定され、ロボットアームおよび取り付けられたエンドエフェクタツールアセンブリの動きを案内するために複数の視野から画像データを取り込むために使用される第1および第2のステレオカメラ対を示す図である。
図2A-B】[0025]図2A、2Bは、本開示によるロボットシステムのハウジング内に複数のエネルギー送達デバイスをどのように収容し得るかについてのいくつかの代替例を示す。
図3】[0026]図3は、図2のシステムの拡大画像であり、エンドエフェクタツールをより明確に示す。
図4】[0027]図4は、カメラが取り付けられたロボットアームの遠位(作業)端部に設けられたツールフレームを有する単一のカメラの光軸および関連するカメラ基準フレームを較正するための手順のフロー図である。
図5】[0028]図5は、細長いエンドエフェクタツール、例えば、選択した毛陽を有する体毛を採取および/または移植するために使用されるツールを整列させる(位置および向きの両方)ための反復手順のフロー図である。
図5A-B】[0029]図5A、5Bは、本開示による体毛に対するエネルギー送達デバイスの整列/配向のいくつかの代替例を示す。
図6】[0030]図6は、人間の頭皮の関心領域における毛包ユニットのカメラ画像を示す。
図7】[0031]図7は、カメラ基準フレームに対する体毛の、x,yオフセット、ならびに面内および面外角度によって定義される例示的な位置および向きを示す。
図8】[0032]図8は、例えば人間の頭皮の関心領域における多数の毛包のそれぞれの位置および向きを識別し、次いで識別された毛包または毛包ユニットの一部または全部を除去するための自動化された処置のフロー図である。
図9】[0033]図9は、ステレオカメラ対から取得された画像を用いて、関心領域内の毛包ユニットまたは体毛を識別し、次いで識別された毛包ユニットまたは体毛のそれぞれの位置および向きを計算するアルゴリズムのフロー図である。
図10】[0034]図10は、画像誘導ロボットシステムの自動誘導機能を示すフロー図である。
図11】[0035]図11は、いくつかの実施形態による自動脱毛のための一般的な方法の一例を示すフロー図である。
図12】[0036]図12は、いくつかのさらなる実施形態による自動脱毛のための一般的な方法の別の例を示すフロー図である。
図13】[0037]図13は、発毛期の概略図を示す。
図14】[0038]図14は、本明細書に記載の様々な実施形態に利用可能なスキンテンショナの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0039]図1は、Adept Technology、Inc(www.adept.com)により製造販売されている種類のプログラム可能なロボットアーム27を有する画像誘導ロボットシステム25を示す。本開示の実施形態に適したロボットアームアセンブリの別の供給元は、Kuka Robot Group(www.kuka.com)によって製造販売されている。ロボットアーム27は、当技術分野で知られているように、6自由度(x、y、z、ω、ρ、r)で遠位端プレート(図1には示さず)の精密に制御された動きを提供する。遠位プレートのそのような動きは、ロボットアーム27のそれぞれのアームジョイント34に配置されたそれぞれのモータおよびエンコーダによって、高度の反復性および精度(例えば、20ミクロンまで)が提供される。
【0023】
[0040]人間または動物の患者に対して様々な処置を行うために、様々な異なるエンドエフェクタツールおよび/またはアセンブリをロボットアーム27の遠位端プレートに取り付けることができる。一例として、図1~3に示されるエンドエフェクタアセンブリまたはツールアセンブリ30は、毛包を人間の頭皮から採取/頭皮内へ移植するために設計されている。本開示の実施形態は、図2に示されるツール40のような多くの異なる種類のエンドエフェクタツールと、ロボットアーム27の能力を利用する診断的および治療的医療処置を実行するためのアセンブリとを使用して、患者の皮膚表面の所望の位置にそれぞれのツール(例えば、針、レーザ)やアセンブリを迅速かつ正確に位置決めすることができることが理解されよう。当然のことながら、エンドエフェクタアセンブリ自体が可動の制御可能な部品を含んでもよい。例として、1つのエンドエフェクタアセンブリは、真皮を通して正確に標的化された反復注射を送達するために使用される往復動針を具える。
【0024】
[0041]画像誘導ロボットシステム25のロボットアーム27に取り付けられたツールアセンブリ30は、エネルギー送達デバイスまたはツール40と、当該エネルギー送達デバイス40を制御して所定のエネルギー値を治療箇所(例えば、体表面の特定領域)に選択された向きで送達することを担う対応する制御モジュールとを具える。あるいは、制御モジュールは別の場所にあってもよく、それに応じて制御モジュールがエネルギー送達デバイスを動作させられるように必要な相互接続が提供されてもよい。ツールアセンブリ30は、例えばそのハウジング内に動力ユニット22を具え、この動力ユニットがエネルギー送達デバイスまたはツール40に送達されるエネルギーを生成し、それが次にエネルギーを標的治療位置に伝達してもよい。いくつかの構成では、ツールアセンブリ30は、図2A、2Bを参照してより詳細に説明されるように、ロボットアーム27および対応する制御モジュールに取り付けられた少なくとも2つのエネルギー送達デバイスを含み得る。一実施例では、例えば、図2Aに示すように、少なくとも2つのエネルギー送達デバイス70がハウジングまたはモジュール72内に配置されており、中央76を中心にハウジングを割り出す割り出し機構74を用いて、少なくとも2つのエネルギー供給装置70のうちの1つを選択することができる。別の構成では、例えば図2Bに示すように、少なくとも2つのエネルギーデバイス80がハウジングまたはモジュール82内に配置されているが、これらがすべて単一の点に向けられているか、実質的に集束するように構成される。単一の点に向けたり集束させたりすることは、ハウジングまたはモジュール82、あるいは別の場所に取り付けられた追加のレンズまたは適切な他のそのような構成要素を用いてもよい。このようにすれば、ハウジングの割り出しは必要なく、少なくとも2つのエネルギーデバイス80のうちの1つの選択を、選択されたエネルギーデバイスを作動させるかまたは「オン」状態に切り替えることによって達成することができる。起動されていない、または「オン」にされていないエネルギーデバイス80は、デフォルトでは選択されていない。図2A、2Bに例として示されているハウジングまたはモジュール72、82は、線形、円筒形、円形、または目的を達成する他の任意の形態をとることができる。好ましくは、ハウジングまたはモジュール72、82は、システム25から容易に取り外したりシステム全体へと繋ぎ直すことができ、したがって、様々な組み合わせのエネルギーデバイスを異なる個々のハウジングまたはモジュール72、82に配置することができ、オペレーターが選択し易くなる。
【0025】
[0042]ロボットアーム27は、安定したプラットフォーム上に設けられた基部を有する。(処置が行われる)体表面を有する患者は、ロボットアーム27に対して位置決めされ、その結果、標的となる体表面は、エネルギー送達デバイス70、80が動く方向と一直線に向けられる。
【0026】
[0043]図1Aは、いくつかの実施形態によるロボットシステム25の遠位部分を示す。ロボットシステム25は、力センサ(図示せず)と、位置決めアセンブリ106とを具え得る。力センサは、位置決めアセンブリ106内に配置されてもよく、例えば、3つの異なる直交方向X、Y、Zにおける力Fx、Fy、Fzを検知するように構成されてもよい。図1Aに示すように、力センサは、当該力センサからデータを受信するコンピュータ120に接続されてもよい。図示の実施形態では、位置決めアセンブリ106は、ツール40と係合する保持ユニット109を具え、さらに(該当する場合)複数のポジショナ107a~107cを有してもよい。保持ユニット109は、ツールアセンブリ30の異なる部分と係合するように構成されており、これによりツールアセンブリ30全体が位置決めアセンブリ106によって位置決めされる。いくつかの実施形態において、位置決めアセンブリ106は、ツールアセンブリ30の異なる構成要素を動かすための1またはそれ以上のモータを含み得る。例えば、脱毛または標的物(毛髪など)へのエネルギー送達に使用するためのシステムに関して、位置決めアセンブリ106は、エネルギー送達ツールに位置決めおよび照準機能を提供するための構成要素を有し得る。例えば、エネルギー送達デバイスは、プロセッサまたは制御装置の制御において、エネルギー送達デバイスによって伝達されたエネルギーを所望の方向に向けるための標的化アセンブリを含み得る。当業者は、例えば、この標的化アセンブリは、エネルギーが送達される方向を制御するために1またはそれ以上のミラー、レンズ、または他のそのような付属品を含み得ることを理解するであろう。他の構成では、エネルギー送達デバイスはまた、ロボットアーム27の遠位端に取り付けられた別個の標的化アセンブリに取り付けられてもよい。この標的化アセンブリは、(通常、ロボットアーム27が提供する動きよりも小さい)ある限られた動きを提供し、エネルギー送達デバイスの照準を合わせるように構成され得る。
【0027】
[0044]本明細書でより詳細に説明されるように、ロボットアーム27の動きは、例えばロボットアームの遠位端(エンドエフェクタアセンブリ30の近く)に取り付けられた一対の「ステレオ」カメラ28によって取得された画像データから導出された制御信号に応答して、システムコントローラ(図示せず)によって管理される。代替実施形態では、単一のカメラのみを画像取得に用いる必要がある。また、図2に示すように(本明細書により詳細に説明されるように)、異なる(すなわち、より広いおよびより狭い)視野を撮像するために、複数対のステレオカメラ28A、28Bを使用してもよい。さらに他の実施形態では、単一のカメラを使用して第1の(すなわち広い)視野を撮像し、第2のカメラを使用して第2の(すなわち狭い)視野を撮影してもよい。他のカメラ構成も可能であり、これらのカメラは、例えばロボットアーム27上または外の任意の適切な位置に、たとえばツールアセンブリ30のハウジングに取り付けられる。
【0028】
[0045]カメラ28によって取得された画像データは、ロボットシステム25に付随するコンピュータ120(図1Aに示す)で処理され、これがロボットアーム27の動きを指示するための制御信号をシステムコントローラに提供する。特に、画像は、所望の倍率(例えば、一実施形態では6倍から10倍の範囲)およびデューティサイクル(例えば一実施形態では30ヘルツ)で、対28の各カメラから取得される。取得画像は、関心対象の位置および向きを識別するために、カメラ28に機能的に連結されたプロセッサ、またはコンピュータ上のソフトウェアに実装された既知の画像分割技術を使用してデジタル化される。毛包の除去または移植を伴う処置の場合には、画像処理技術の有効性を高めるために、処置の前に関心のある毛包を暗い色で消滅(die)させるか、異なる色の光を用いて画像を取得することが望ましい場合がある。また、処置の前に、(場合によっては)関心のある領域の毛包を実質的に均一な長さにカットまたは刈り込むことが望ましい場合がある。
【0029】
[0046]当業者には理解されるように、照明、カメラのフィルタ、および様々な画像処理技術を調整することによって皮膚表面下を視覚化することができる。これは、皮膚表面による光の反射と吸収が、使用される光の波長に基づいて変化するためである。さらに、光自体の皮膚への浸透深さも波長に基づいて変化する。これらの基本的な光の性質を理解すると、可視光スペクトルと赤外の両方を含む適切なそれぞれの波長の光を使用し、異なる画像フィルタを用いて異なる光の波長をキャプチャし、画像処理において画像を減算および/または結合することにより、毛包ユニット(毛包)の皮下部分の画像を取得することができる。このアプローチにより、毛球までの全域を含めて、皮膚の外側と皮膚表面の下との両方で、毛包ユニットの毛幹を視覚化することができる。この皮膚表面の下を見るための他の光学的技術を利用してもよい。
【0030】
[0047]より具体的には、ロボットシステム25は、3つの異なる基準フレームに対する遠位端プレート(およびエンドエフェクタツールまたはアセンブリ)の動きを6自由度(x、y、z、ω、ρ、r)のそれぞれにおいて正確に追跡することができる。「ワールドフレーム」は、そのx、y、z座標の原点がロボットアーム27の基部32の中心点にあり、x-y座標はロボットアーム27の基部32が取り付けられたテーブル36の表面の平面に沿って延びている。ワールドフレームのz軸は、ロボットアーム27の第1の部分を通ってテーブル面に対して直角に延びる。「ツールフレーム」は、そのx、y、z座標の原点が遠位端ツールプレートに確立されている。最後に、「ベースフレーム」は、ワールドフレームとツールフレームに対して登録される。各カメラは、カメラの光軸(「カメラ軸」)がx、y座標の原点を通る(二次元の)カメラ座標系(「カメラフレーム」)も有する。ワールドフレーム、ツールフレーム、ベースフレームおよびカメラフレームをそれぞれ整列させることによって、システムコントローラは、ツールプレートに固定された物体(例えば、針)を、例えば患者の皮膚表面から外に延びる毛包などの他の物体に対して正確に位置決めおよび方向付けることができる。
【0031】
[0048]カメラ軸を、ロボットアーム25の遠位ツールプレートに固定されたエンドエフェクタツール(例えば、細長い針カニューレ)の軸と物理的に整列させるためには、較正することができ、それによって、エンドエフェクタの「ツール軸」とカメラ軸との間の位置オフセットおよび回転オフセットを補償するための情報と同様に、これらの各軸の平行からの偏差の情報を有することが実際上重要である。例示的な較正手順が図4に示されている。前提として、ロボットアーム27の近位ベースはテーブル面36に取り付けられ、それによりテーブル面36はロボットシステムのワールドフレームのx-y座標面と整列される。したがって、テーブル面の任意の地点は、ワールドフレームにおいてx-y座標位置を有し、これは、ロボットアームの近位ベースがテーブル面36と接する中心点に位置するワールドフレームの原点からのxyのオフセット値として同定することができ、ここでワールドフレーム内の点のz座標位置はゼロに等しい。
【0032】
[0049]ステップ60において、ロボットアーム27の遠位端ツールプレートに固定された単一のカメラのカメラ軸は、テーブル面36上に位置する固定の「較正点」と位置合わせされる。ロボットシステムのベースフレームが次に開始され、これはベースフレームの原点が「較正点」に設定され、カメラ軸がテーブル面上の較正点と位置合わせされることを意味する。この初期位置は「ホーム」位置および向きと呼ばれ、ロボットアーム27は、たとえ較正点がない場合でも常にこの位置から始まる。
【0033】
[0050]ステップ62において、ベースフレームに対するカメラ画像の縮尺および向きが、ロボットアーム27(したがってカメラ)を最初にベースフレームのx軸に沿って固定距離(たとえば5mm)だけ移動させることによって特定される。したがって、較正点は得られた画像に未だキャプチャされているが、最早カメラ軸とは一致しない。カメラフレームのx-y軸はベースフレームのx-y軸と整列していないため、ベースフレームのx軸に沿って動くと、カメラフレーム内でx方向とy方向の両方に移動し、較正点の新しい位置が、再配置されたカメラ軸を含むピクセルと、較正点を含むピクセルの間のそれぞれx方向とy方向の画像ピクセル数として測定される。
【0034】
[0051]このプロセスは、ロボットアーム27(およびカメラ)をベースフレームのy軸に沿って固定距離(例えば5mm)移動させ、再び較正点の新たな位置のカメラフレーム内のx、yオフセットを測定することによって繰り返される。当業者には理解されるように、これらの測定により、ロボット/カメラの物理的移動(mm)をカメラ画像における対象物の移動(ピクセル)でスケーリングし、同様にベースフレームのx-y軸に対するカメラフレームのx-y軸の面内配向をスケーリングすることができる。さらに、ステップ60、62のスケーリングと配向プロセスが複数のカメラシステム内の各カメラについて繰り返され、それによって各カメラ間の画像移動の変動もまた特定され較正され得ることが理解されよう。
【0035】
[0052]ステップ64において、カメラフレームがベースフレームに対して較正されると、カメラ軸はテーブル面36にある固定の較正点と再び整列され、ベースフレームが「ホーム」位置および向き(0,0,0,0,0,0)に戻される。次いで、ロボットアーム27は、6自由度(x、y、z、ω、ρ、r)のうちの1またはそれ以上において動かされ、その結果、ツールプレートに取り付けられたエンドエフェクタツール(例えば、針の尖端)がツールプレートに接触する。ツールの先端が較正点に接触しているときにロボットアーム27の移動をツールフレームの初期ホーム位置/配向からその位置/配向まで正確に追跡することによって、システムコントローラは初期ホーム位置とカメラ軸との間の並進オフセットおよび回転オフセットを計算する。カメラはツールプレートに固定されているため、測定されたオフセットは一定になり、ツールフレームとカメラフレーム(ひいてはベースフレーム)との整列処理を通して使用される。
【0036】
[0053]本明細書でより詳細に説明されるように、ステレオカメラ対、例えば図1のカメラ対28を使用する場合、カメラのそれぞれの光軸(およびカメラフレーム)は通常平行に設定または維持されておらず、例えば約10度など僅かに傾いており、これは、既知の画像処理技術を介して補償することができる。特に、それぞれのカメラフレームは、共通のx(水平)軸を有するように整列され、それによって、平行画像内にキャプチャされた対象物の位置および向き(面内深さを含む)は、画像処理技術を用いて整列させることができる。ステレオカメラ対28を使用することの1つの利点は、識別された対象物のカメフレーム内での「深さ」が、それぞれの(左対右の)カメラフレームにおける物体のx、y位置オフセットの差に基づいて計算できることである。
【0037】
[0054]毛包ユニットのような選択された対象物の深さを計算するために、ステレオカメラ対から得られた左右の画像を最初に整列される必要がある。それぞれのカメラ画像は水平に整列されているので、2つの画像の同じ水平走査線に同じ対象物が現れる。そして、カメラレンズに対する対象物の深さは既知の範囲内(例えば、それぞれのカメラの焦点距離によって定まる)であるため、第1の画像内の選択対象物(例えば毛包ユニット)は、第2の画像内の可能性のある(すなわち、同じ走査線にある)候補物体と対になった場合の対象物の有効深さを計算し、どの「対」が可能性のある範囲における算出された深さを有するかを特定することによって、第2の画像内のそれ自体とマッチングすることができる(それによって互いに整列する)。
【0038】
[0055]ステレオカメラ対28を使用することの別の利点は、エンドエフェクタツール(例えば、図2、3に示す毛包ユニット採取ツール40、またはレーザといったエネルギー供給装置)の位置および向きに関する画像データを、皮膚表面の関心対象(例えば、毛包、皺線、タトゥー、ほくろなど)の位置および向きに関して得られた画像データと同じ基準フレーム内で取得できることである。左右のそれぞれのカメラフレームは、単一のカメラフレームについて上述したのと同じ方法でツールフレームを用いて較正される。これらのオフセットが確立されると、エンドエフェクタツールと皮膚表面上の対象物(例えば、毛包ユニット)との相対位置および向きが特定され、ツールフレーム内で追跡することができる。
【0039】
[0056]図5は、画像取得に単一のカメラを用いて、毛包ユニット採取ツール40の縦軸の位置および向きを、頭皮から延びる毛包ユニットの毛幹の縦軸と整列させるための一実施形態による手順の単純化したフロー図である。簡単に言うと、採取ツール40は一般に、例えば、カニューレをドリルのような動きで回転させることによって、またはその長手方向軸に沿った素早い往復推力によって、毛包ユニット全体を包み込み、捕獲し、真皮の下にある脂肪皮下組織から除去するために、毛包ユニットの外周のすぐ近くの表皮および真皮を穿刺するための鋭利な遠位端を有する中空管状カニューレを具える。採取ツール40は、例えば摩擦および/または弱真空を用いることによって、それぞれの毛包ユニットを抜いて除去するために、それ自体を長手方向に移動させることによって(すなわち、それが取り付けられた器具プレートに対して)、ロボットアーム27を長手方向に移動させることによって、またはその両方の組み合わせによって、前進および後退させることができる。例えば、エンドエフェクタは、ロボットシステム25とは別個のそれ自体のコントローラおよび作動システムを有してもよい。
【0040】
[0057]また、採取ツール40の長軸を毛包ユニットの長軸と整列させるために使用される位置決めおよび配向プロセスは、単なる脱毛および/または移植処置よりもはるかに広い応用性を有することを理解されたい。非限定的な例として、実質的に同様の位置決めおよび配向手順を、適時かつ正確な方法で、患者の所望の物理的特徴および/または皮膚表面上の位置に、レーザや注射針を整列させるために使用することができる。
【0041】
[0058]カメラフレームがツールフレームと整列されるようにロボットシステム25が起動され較正された後(図4に関連して上述した)、カメラフレーム内の関心対象を識別するためにシステムコンピュータによって画像データが取得され処理される。一例として、図6は、人間の頭皮の関心領域50内の毛包ユニットのカメラ画像を示す。この関心領域50の画像から、コンピュータ内にある画像分割およびスクリーニングソフトウェアが、頭皮から除去するための関心のある1またはそれ以上の特定の体毛または毛包ユニットを識別し選択する。図7を参照すると、選択された体毛または毛包ユニット52の位置が、カメラフレーム内のそのx、yオフセット座標によって識別される(z軸は、好ましくは領域50における頭皮表面に対して実質的に直交して位置合わせされるカメラ光軸である)。
【0042】
[0059]カメラ軸が毛包ユニット52の縦軸と正確に整列(この場合、毛包ユニットが毛幹の端面図を表す円形の点として現れる)しない限り、毛包ユニットの画像は、毛包ユニットに対するカメラフレームの角度によって「見かけの」長さを有する細長い線の形態となる。毛包ユニットの物理的属性のために、その基部(すなわち、真皮から出ている端部)は、画像分割プロセスの一部としてその先端と容易に区別することができる。例えば、基部は異なる外形を有し、一般に遠位先端部よりも太い。また、毛包ユニットの影は、基部に「付着」しているとの定義によって典型的に識別することができる。
【0043】
[0060]次いで、カメラフレーム内の毛包ユニット基部のx、y位置が計算され、体毛基部の位置オフセットを表す。毛包ユニット52の配向オフセットも、(i)カメラフレームのx(またはy)軸に対して、同一面内で識別された毛包ユニットの毛幹によって形成される面内角度α、(ii)毛包ユニットの毛幹と頭皮との間、すなわち毛包ユニットとカメラフレームのx、y軸平面との間に形成される「見かけの」角度である面外角度δ、に関して計算される。上述のように、毛幹は、処置の前に例えば2mmなどの実質的に既知の長さにトリミングされることが好ましいので、面外角度δは推定される実際の長さに対する測定された画像の見かけの長さの比に基づいて計算することができ、この比は面外角度δのコサインに等しい。
【0044】
[0061]図5に戻ると、ステップ42で、上述のように、選択された毛包ユニットまたは毛包についてx、y位置および方向オフセットが同定される。次に、コンピュータはロボットアーム27に必要な動きを計算してカメラ軸を計算されたオフセットと同じ位置および向きに整列させる。ベースフレームとツールフレームも同じx、y、回転オフセットで(つまり、角度αとδが両方とも0になるまで)「移動」されるため、カメラ、ベース、およびツールフレームはカメラ軸の新たな位置および向きに整列されたままとなる。システムおよび(例えば、毛包ユニットの長さに関する)仮定に内在する起こり得る変動および誤差のために、毛包ユニットの実際の位置および向きは計算値と一致しない可能性がある。したがって、ロボットアーム27(およびカメラ軸)が計算された位置オフセットおよび回転オフセットだけ動かされると、毛包ユニットが再び撮像され、(ステップ46で)カメラ軸が毛包ユニットの位置および向きに許容範囲内で整列しているかどうかについての判定が行われる。カメラ軸が毛包ユニットと適切に位置合わせされている場合、採取ツール40をカメラ軸の「確認済みの」位置に整列させるために、(ステップ48で)ロボットアーム27が最後に動かされる(すなわち、上記の較正プロセスで得られたオフセットに基づいて)。しかしながら、(ステップ46において)カメラ軸が毛包ユニットと適切に整列していない場合、ステップ42~46の手順が、新しいカメラ軸の位置から始めて繰り返される。
【0045】
[0062]当業者には理解されるように、様々な実施形態において、画像取得および処理のデューティサイクルは、ロボットアーム27の移動よりも有意に早く、そしてカメラ軸に対する選択された毛包ユニットの位置および向きのオフセットを同定および計算するプロセスは、ロボットアームが動くにつれて「オンザフライ」で効率的に行うことができる。したがって、ロボットアーム27(および採取ツール40)の最終目的地(すなわち位置および向き)は、(任意で)採取ツール40が毛包ユニットと整列されるときに絶えず調整(すなわち微調整)されてもよい。そのような調整はすぐに始まるので、ロボットアーム27の動きはより流動的であり、ぎくしゃくすることが少ない。「視覚サーボ」と呼ばれるこの反復的なフィードバックプロセスは、採取ツール40の所望の位置および向きを継続的に計算し再調整する。
【0046】
[0063]いくつかの実施形態では、本明細書に記載の位置決めおよび配向プロセスを使用して、ツール40の長軸を皮膚表面上の毛幹の可視部分の長軸と整列させることができる。しかしながら、他の実施形態では、図5A-5Bを参照して後述するように、ツール40の長軸を皮膚の下の毛幹の部分の長軸と整列させることが望ましい場合がある。毛包は、皮膚の下では同じ成長方向を維持しない。多くの場合、毛包は、皮膚の下で方向または角度が著しく変化し、皮膚の上の毛幹の部分の向きと皮膚の下の毛幹の部分の向きとが異なることになる。一般に、皮膚からの体毛の出現角度はその皮下経路よりも鋭角であるとが観察されている。結果として、例えばレーザまたは他の脱毛ツールといったツールを、皮膚の上に見える軸ではなく(その予想される位置に従って)体毛の皮下軸と整列させると、より良好な標的化と、体毛の成長に関与する毛包幹細胞およびメラニン形成細胞を含む毛包の重要な構造を含む体毛部分へのエネルギーのより効果的な伝達をもたらし得ることが発見された。体毛のこれらの構造/部分(例えば、毛球、皮脂腺、外毛根鞘)は、典型的にはすべて、毛幹の皮下部分に沿って配置されている。さらに、そのような位置合わせはまた、皮膚自体に伝達されるエネルギーを低減させることができ、したがって、痛みおよび/または皮膚への悪影響を減少させることができる。
【0047】
[0064]図5Aに見られるように、Fとして識別される体毛または毛包は、「皮膚の上」の毛幹部分102と、「皮膚の下」の毛幹部分104と、出現角度θFとを有する。図5Aから分かるように、毛包Fの出現角度θFはかなり鋭角であり、毛幹部分102と104の方向間には有意な違いがあり、皮下軸部分104の皮下方向はそれほど鋭角ではない。一方、毛包Fはより直立した出現角度を有し、毛包Fの毛幹の皮膚の上の部分および毛包Fの毛幹の皮膚の下の部分はより平行に近い。したがって、皮膚の上の部分102に整列させた場合、エネルギー送達デバイス100からのビームが、体毛の皮下の標的破壊部分を外す代わりに皮膚組織と交差する可能性は、体毛Fの場合よりも比較的高くなる。これは、体毛Fが皮膚表面上でほぼ平らに横たわっているように示されるからである。Fの可視部分に整列させると、エネルギー送達デバイス(例えば、レーザ)などのツール100は、体毛Fの脱毛または除去を得られず、患者に不要な痛みを引き起こす可能性がより大きくなる。対照的に、ツール100が体毛Fの可視部分に実質的に整列する場合、皮膚の下の毛幹の向きは皮膚の上の毛幹の向きに近いので、体毛Fの脱毛または除去が成功する可能性がより高くなり、周辺皮膚への付随的ダメージが少なくなる。
【0048】
[0065]本開示のさらなる態様によれば、図5Bは、特定の実施形態による、関心のある毛包に対してツールを方向付ける方法を示す。例えばスポットサイズや波長による侵入深さなどの利用されるエネルギー送達デバイスのパラメータを含む様々なファクタおよび特定の特性に基づいて、それ以下では除去される体毛と整列させるべきでないカットオフツールアプローチ角度θmin(ツールの「最小アプローチ角度」とも呼ばれる)が存在することが特定された。それは、例えば、エネルギー送達デバイス100からのビームが体毛の毛幹(体毛の成長に関与する様々な破壊標的を含む)ではなく皮膚組織に向けられる可能性が比較的高いためである。言い換えれば、毛包θの出現角度が最小アプローチ角度θminより小さい場合、ツールの軸を毛包ユニットの毛幹の可視部分と整列させるのではなく、ユーザはツールをこの最小アプローチ角度θminと整列させると、毛幹の皮下部分の角度により近くに対応することになる。カットオフまたは最小ツールアプローチ角度θminは、約40°~65°の範囲内、好ましくは45°~55°の範囲内、さらに特定の工具や用途では好ましくは50°~55°の範囲内で選択されなければならないことが示唆される。上記実施形態では最小アプローチ角度に関して説明したが、いくつかの実施形態では最大アプローチ角度も決定され用いられてもよいことを理解されたい。この最大アプローチ角度は、例えば、最大アプローチ角度より上の角度で現れている毛包に対して使用されるべきツール角を決定するために使用され得る。例えば、最大ツールアプローチ角度θmaxは、45~90度の範囲で規定することができる。図5Bは、毛包Fの皮膚の上の毛幹部分102の出現角度が最小アプローチ角度(θF1<θmin)より小さいので、システムはツール軸を(100’で示すように)この部分102に整列させないが、その代わりに、エネルギー送達ツールの軸を100”で示されるように最小アプローチ角度θminに整列/配向させる(これは、毛包Fの毛幹の皮膚下部分104と実質的に平行であるか、少なくとも近くに位置合わせされる)。
【0049】
[0066]いくつかの実施形態では、システムのスループットを向上させるために、関心のある体毛の出現角度は、関心のある複数のまたは一群の毛包からの情報に基づいて、グループ代表の出現角度として決定されてもよい。例えば、一群/複数の毛包の画像が最初に取得される。グループ内の各毛包、または代表的な数の毛包、または既定の数の毛包グループの出現角度を特定し、特定された出現角度の平均値または中間値を計算する。例えば、選択された近隣(例えば、100個の毛包;またはユーザディスプレイの画面上の目に見える体毛、または選択された毛包の半径25mm以内など)における毛包の出現角度を平均することは有益であり得る。平均化によって個々のノイズが除去され、ロボットシステムにとっても、ツールの再配向および移動があまり必要とならなくなるので処置の速度および効率が高まる。ツールの最小アプローチ角度は、例えば、いくつかの要因を挙げると、特定の用途または関連する治療、患者に関する統計情報、体表面積、ツールおよび/または患者についての物理的限界、のいずれか1つまたはそれらの組み合わせに基づいて選択することができる。次に、毛包グループの特定された出現角度の平均値または中間値(これが関心のある毛包の出現角度を表すものとして使用される)が、ツールの最小アプローチ角度と比較される。上記の比較結果に基づいて、ツールは当該グループの各毛包に対して同じアプローチ角で配向される。このようにして、治療セッション中にツールに必要な再配向の回数を最小限に抑えることができ、効率が向上する。前述のように、関心のある毛包の決定された「グループ代表」の出現角度が選択された最小アプローチ角度より小さい場合、ツールは最小アプローチ角度に配向される。
【0050】
[0067]別の実施形態によれば、角度調整およびツール配向に関する以下のロジックが実装されてもよい。最小アプローチ角度は、関心のある毛包の出現角度と比較され、その比較結果に基づいて以下のロジックが適用され得る。
a)最小アプローチ角度が関心のある毛包の出現角度よりも大きい場合、最小アプローチ角度をその特定の毛包に対する実際のツールアプローチ角度として使用されてもよい。しかし、一例として、この初期論理に次のような修正を加えてもよい。例えば、最小アプローチ角度と関心のある毛包の出現角度との間の差が、選択された角度(例えば、5°または10°)よりも小さい場合、この選択された角度と関心のある毛包の出現角度の合計と実質的に等しいツールアプローチ角度を選択することが望ましい場合がある。
b)最小アプローチ角度が関心のある毛包の出現角度と同じかそれより小さい場合、関心のある毛包の出現角度をツールアプローチ角度として使用することができる。しかしながら、やはり、この初期論理に以下の修正を加えてもよい。例えば、選択された角度と関心のある毛包の出現角度の合計と実質的に等しいツールアプローチ角度を選択することが望ましい場合がある。いくつかの例では、関心のある毛包の出現角度が最小アプローチ角度よりも所定の値を超えて大きい場合、ツールは最小アプローチ角度よりも大きいが、最小アプローチ角度と所定値の合計の最大値を超えない角度(例えば、最小アプローチ角度と所定値との合計に等しい角度)に向けられてもよい。
【0051】
[0068]さらに別の実施形態によれば、角度調整およびツール配向についての代替方法が実施されてもよい。いくつかの実施形態では、ツールを配向する方法は、関心のある毛包の出現角度を特定するステップと、所定のオフセット角度を選択するステップと、特定された毛包の出現角度と所定のオフセット角度とに基づいて関心のある毛包に対してツールを配向させるステップとを含み得る。体毛除去または脱毛のための処置に関して、所定のオフセット角は、0~45度、例えば10~20度の間の任意の角度を含み得る。所定のオフセット角度は、患者の既存のデータ、他の患者からの既存のデータ、または他の信頼できる情報源を介して収集されたデータ、そうでなければ履歴データまたは統計データ、に基づくことができる。脱毛以外の処置の目的では、所定のオフセット角度は、それぞれの関連する処置および体表面に適切なように決定することができ、例えば0~90度の範囲であり得る。
【0052】
[0069]本開示のさらなる態様によれば、システム25として例示したものと同様の画像誘導ロボットシステムを使用して、関心領域における多数の毛包または毛包ユニットの位置および向きを識別して、正確に毛包または毛包ユニットの一部または全部を採取または除去するための自動または半自動手順を実行することができる。ロボットアームの作業遠位端に取り付けられた1またはそれ以上のカメラが、患者の頭皮または他の体表面の選択された領域の画像を所望の倍率で取り込む。コンピュータシステムが画像を処理し、(既知のしきい値処理および分割技術を介して)個々の体毛、ならびにカメラフレームに対するそれぞれの位置および向きを識別する。体毛移植に関して、ユーザインターフェース(例えば、ディスプレイや標準的なコンピュータマウス)を介して、外科医は、毛包ユニットが採取される頭皮上の領域を規定するとともに、例えば、その領域内の毛包ユニットを一つおきに取る、採取された毛包ユニット間に所定数の毛包ユニットを残す、一定の割合の毛包ユニットを取って審美的に許容可能なパターンを残すなどの採取パターンを規定することができる。
【0053】
[0070]例えば、広い視野のステレオカメラ対から得られた画像を、外科医が関心領域を大まかに特定するために用いる一方で、狭い視野のステレオカメラ対から得られた画像を、選択した個々の毛包ユニットに採取ツールを正確に案内するために用いることができる。一旦採取されるべき毛包ユニットが同定されると、ロボットシステムは採取されるべき各体毛と採取ツール(例えば採取ツール40)を規則正しく整列させる。それぞれの毛包が採取され、規定された採取領域内の選択されたすべての毛包ユニットについてこのプロセスが繰り返される。いくつかの場合には採取された個々の毛包ユニットが次に患者の頭皮の別の部分に移植され、他の場合には採取された毛包ユニットが廃棄されることが理解されるであろう。また、ツール40のようなコアリング採取ツールではなく、例えばレーザといった他の種類の脱毛用エンドエフェクタツールを使用してもよいことも理解されたい。さらに、エンドエフェクタツールを正確に位置合わせするためにカメラフレームをロボットツールフレームと整列させるための上述の技術は、エネルギー伝達装置、レーザ、ビーム送達用の光ファイバケーブル、患者の皮膚表面にタトゥーを形成するためのインク注入に使用される注入針(または複数の注入針)などの他の種類のエンドエフェクタツールにも等しく適用可能であり得ることが理解されよう。
【0054】
[0071]図8は、関心領域内のすべての毛包ユニットまたは体毛の位置および向きを識別し、次いで識別された毛包ユニットまたは毛包の一部または全部の抜去または除去を正確に行うための自動(または半自動)手順のフロー図である。
【0055】
[0072]図9は、ステレオカメラ対を使用して関心領域内の個々の毛包ユニットを識別し、次いでそれぞれのカメラフレームおよびロボットツールフレーム内の各毛包ユニットの位置および向きを計算する手順のフロー図である。この手順は、周知の技術に従って、ステレオカメラ対を較正して内部パラメータと外部パラメータの両方を同定することから始まる。内部パラメータは、内部光学系、歪み、スケーリングなど、個々のカメラに固有のものである。外部パラメータは、2つのカメラ間の特性、例えばそれぞれの光軸のアライメントの違い(理想的には互いに平行であるが、これは実際問題としてありえず、数学的補償が必要となる)に関する。内部パラメータおよび外部パラメータの較正は、ステレオイメージングの分野で周知であり、本明細書では詳細に説明しない。上述したように、毛包の中心の位置は、左右両方の修正画像において同定され一致される。次に、各毛包の頭部と末尾が左右の画像の両方で識別され、そこで毛包の頭部と末尾の三次元座標が計算される。最後に、毛包とカニューレの位置および方向の相対的なオフセットが、カニューレと毛包の両方を見ているカメラ画像を用いて、周知のステレオイメージング技術に従って決定される。
【0056】
[0073]関心領域内の個々の毛包ユニットを識別し、それぞれのカメラフレームとロボットツールフレーム内の位置および向きを計算するために利用可能な当業者に知られている他の方法があることが理解されよう。これらの方法のいくつかは、ステレオカメラ対ではなく単一のカメラのみを必要とする。例えば、一実施形態では、個々の毛包ユニットを識別できるデータを取得するために利用可能な単一のカメラを用い、深度センサ(例えば飛行時間カメラ、レーザレンジスキャナ、構造化光スキャナ)または類似のデバイスを利用して、距離などの空間データを取り込むことができる。
【0057】
[0074]図10は、グローバルランドマーク(例えば、既存の体毛、タトゥー、または他の際立った特徴)に関するロボットシステムの自動案内機能の一例を示す。この方法が、体毛が除去されるべき場所を含む様々な場所のプランニングに等しく適用できることは明らかであろう。ロボットを動かして患者のランドマークを登録し、登録された情報をメモリに格納して参照することができる。ロボットは、作業面に対する位置を認識するための基準点として、登録されたランドマークを利用することができる。ロボットは、グローバルランドマークに対するそれぞれの脱毛位置および向きへと移動することができる。グローバルランドマークは、グローバル動作のためのグローバル基準を提供する。これらの位置や向きは、近隣の既存の体毛あるいはすでに体毛が除去された位置といった近くのランドマークに基づいて微調整される。近くのランドマークは、局所的動作のための局所的な基準を提供する。
【0058】
[0075]本明細書に開示されるさらに別の態様によれば、上記の画像処理技術および実施形態は、ロボットシステムを用いるか用いない診断手順に利用することができる。例えば、ロボットアーム27を使用して、それ以上のエンドエフェクタアセンブリを必要とすることなく、遠位ツールプレートに固定された1またはそれ以上のカメラ28を操作することができる。あるいは、1またはそれ以上のカメラが、位置決め可能であるか固定であるかにかかわらず、そして静的または可動であるかどうかにかかわらず、非ロボット的アセンブリに取り付けられてもよい。あるいは、1またはそれ以上のカメラは手持ち式であってもよい。非限定的な例として、そのような手順は、(i)患者の皮膚表面、または皮膚表面の下の検査、(ii)経時的な皮膚状態の変化の検出および/またはモニタおよび/または追跡、(iii)レーザ、薬物送達デバイスなどの医学療法を支援するための画像データ取得のため、を含み得る。撮像システムによって取得された画像データは、患者の病歴の一部として保存することができる。また、撮像システムによって取得された画像データは、遠隔医療システムで使用するために保存し、後処理し、および/または強化することができる。
【0059】
[0076]別の態様によれば、本開示の様々な実施形態に従って構築および運用される自動化システムおよび装置は、上述したように、哺乳類の体への治療用および美容用の体毛および皮膚治療処置のための標的組織領域へのまたは標的組織領域を通してのエネルギーの制御された摘要に用いることができる。適用されるエネルギーは、美容上の理由(審美的、再建的、またはその両方)、治療上の理由(治療的または緩和的)、または美容上および治療上の理由の組み合わせから選択され得る。本開示による自動化システムの使用には、様々な種類のエネルギーおよび多数の異なる治療が特によく適している。非限定的な例として、上記全ての種類のエネルギーおよびエネルギー送達デバイス、ならびに全ての体毛および皮膚治療は、本開示のシステムおよび方法と互換性がある。
【0060】
[0077]光が毛包を破壊し得る脱毛方法には、熱的(局所加熱による)、機械的(衝撃波または急激なキャビテーションによる)、および光化学的(一重項酸素またはフリーラジカルのような有毒メディエータの生成による)な3つの方法がある。発毛に関与する毛包幹細胞は、表皮から約1.5mm下の、立毛筋の付着部近くのバルジと呼ばれる領域の外側の根の鞘に位置している。したがって、バルジと毛球の両方が永久的な毛包破壊の重要な標的となる。
【0061】
[0078]毛包の光熱破壊は、選択的光熱分解の原理に基づく。この原理によれば、ターゲットによって優先的に吸収される波長で十分なフルエンスがターゲットの熱緩和時間(「TRT」)以下の期間に送達されると、着色ターゲット構造の選択的熱損傷が生じる。適切な光源に関して、ノーマルモード694nmルビー、ノーマルモード755nmアレキサンドライト、800nmパルスダイオードレーザ、長パルス1064nmNd:YAGレーザ、および強力パルス光(「IPL」)技術はすべてこのメカニズムを使用している。
【0062】
[0079]可視~近赤外領域において、メラニンは毛包を標的とする場合の天然の発色団である。赤色または近赤外波長領域で作動するレーザまたは光源は、メラニンによる選択的吸収が真皮への深い浸透と結合するスペクトルの光学ウィンドウを有する。これにより、600~1000nmの領域で、毛幹と、毛包上皮と、強く着色されたマトリックスとの深く選択的な加熱が可能となる。しかしながら、表皮中のメラニンは吸収部位の競合がある。表皮を選択的に冷却すると、表皮損傷を最小限に抑えることが示されている。冷却は、冷却ゲル層、冷却ガラス室または冷却サファイア窓、および寒剤スプレーパルスを含む様々な手段によって達成することができる。本開示の新規な特徴によれば、いくつかの実施形態において、冷却は、以下に詳述するように、自動制御されたエアジェットを用いて達成される。
【0063】
[0080]熱伝達理論によって示唆されるように、レーザパルス幅もまた重要な役割を果たすと考えられる。レーザパルス間の熱伝導は、各々の光エネルギー吸収の微細箇所の周囲領域を加熱する。熱損傷を空間的に限定するには、パルス持続時間を毛包の熱緩和時間以下にしなければならない。ヒトの末端毛包の熱緩和は、大きさにもよるが、約10~50ミリ秒(ms)であると推定される。したがって、脱毛用の装置はミリ秒ドメイン領域のパルス幅を有する。下の表に、光源や波長など、各レーザの主な仕様とともに、脱毛用の一般的なレーザの数を示す。
【0064】
[0081]タトゥー除去において、レーザ光の標的は、マクロファージ内または真皮全体の細胞外に散在しているタトゥーインクの小粒子からなる。良性の色素性病変の治療では、レーザは主にメラニンをその発色団として標的にする。しかしながら、毛包のメラニンを多く含むユニットが標的となるレーザ脱毛とは異なり、良性色素性病変の治療は、メラニン形成細胞、ケラチノサイトおよび皮膚マクロファージ内に見られるメラニンの小粒子を標的とすることになる。タトゥーおよび良性色素性病変の両方における標的は、サイズがかなり小さい。結果として、正常な周囲組織への付随的な熱損傷を最小限にするために熱緩和時間の概念を用いると、効果的な治療に必要な光のパルスは非常に短いものとなる。したがって、ナノ秒やピコ秒の範囲のパルス幅を有するQスイッチレーザが、良性色素性病変およびタトゥーの両方に対する治療の主力となる。これらのレーザのほとんどは、オペレーターが変更不能な、事前設定された、不変のパルス幅を有する。
【0065】
[0082]メラニンは500~1200nmの範囲の光を吸収する。より長い波長では、より短い波長よりも吸収が少なく浸透が深くなる。例えば、QスイッチNd:YAG(1064nm)レーザは、真皮中に2~3mm侵入する光を放出し、それ故、太田母斑に見られるような深い真皮色素沈着の除去に適している。KTP結晶にビームを通過させると周波数は2倍になり、波長は半分になる(532nm)。より短い波長はより浅く浸透し、したがって、雀卵斑(そばかすとしても知られている)のような表皮色素、および日光性黒子(斑点)の除去により有用である。皮膚に1mm未満しか侵入しないルビー(694nm)レーザも、そばかすやカフェオレ斑などの表在性病変の治療に最も役立つ。
【0066】
[0083]Qスイッチレーザは、わずか数ナノ秒のパルスを生成するのに用いられる電気光学デバイスである。これらは、メラノソームの推定されるTRT(0.5~1マイクロ秒(μs))以内になるように設計されているが、これは低ナノ秒ドメインのTRTを有するタトゥー粒子のものよりは長い。フラッシュランプのパルスはミリ秒の範囲内であるが、これはこの文脈では比較的長い。ナノ秒ライトは、メラニンおよびタトゥーインクを細片化および分散させ、それによってその光学特性を変化させる。緩和の多くは、リンパ系を通る活性マクロファージによる細片化された粒子の漸進的な取り込みおよび除去によって起こる。いくつかの着色は、表皮除去によっても除去することができる。
【0067】
[0084]黒または青のタトゥー顔料は、可視および近赤外スペクトルの広範囲の波長にわたる放射線を吸収する。緑のインクは、Qスイッチルビー(例えば、694nm)およびQスイッチアレキサンドライト(例えば、755nm)レーザに最適に反応するが、しばしば残存する。逆に、赤色顔料は、周波数逓倍Nd:YAG(例えば、532nm)で放出された緑色光に最もよく反応する。Nd:YAGレーザは青黒いタトゥーには効果的だが、緑色顔料にはあまり吸収されない。それでも、色素沈着した皮膚のタトゥーの治療に成功裏に使用されている。酸化鉄または酸化チタンを含む赤、褐色、白または肌色のインクは、レーザ治療中に化学的に還元されて、恒久的なスレートグレーまたは黒色になる。その後、スレートグレーまたは黒色は以降の治療で褪色する。
【0068】
[0085]タトゥーや肌の着色の除去に使用されるいくつかの典型的なレーザを、各レーザのいくつかの仕様とともに以下の表に記載する。
【0069】
[0086]皮膚血管病変は、皮膚科におけるレーザ治療の最も一般的な適応症の一つである。これらの血管病変には、毛細血管拡張症、紅斑、血管腫、ポートワイン母斑(毛細血管奇形)などの先天性および後天性血管病変が含まれる。これらの一般的な症状の治療は効果的で、耐用性が高く、すべての肌タイプに合わせて調整することができる。
【0070】
[0087]選択的光熱分解の理論は、適切な波長、パルス幅、およびフルエンスを選択することによって、周囲の構造を損傷することなく皮膚の特定の発色団を標的にする能力である。したがって、治療パラメータを最適化すると、他の組織に対する付随的な損傷を最小限に抑えながら、意図したものの正確な治療が可能となる。血管病変の治療における標的発色団はオキシヘモグロビンである。オキシヘモグロビン吸収のピークは、18nm、542nm、および577nmにある。オキシヘモグロビンを選択すると、周囲の血管は十分なエネルギーを吸収して凝固する。周囲の構造への熱損傷を最小限に抑えるためには、レーザパルス持続時間を意図するターゲットの熱緩和時間以下とする必要がある。熱緩和時間はターゲットの冷却時間であり、ターゲット直径の二乗に比例する。例えば、ポートワイン母斑には、平均直径50~100ミクロンの血管が含まれる。熱緩和時間は約1~10msである。熱緩和時間よりもパルス幅が長いと、熱拡散をもたらし、その結果として他の構造にダメージを与える可能性がある。
【0071】
[0088]いくつかの典型的なレーザと血管病変の仕様を以下の表に示す。
【0072】
[0089]光損傷は、環境紫外線への長期的な曝露の累積的な作用である。それは、細かいものから深い皺、肌の弛み、および革状、石目調、または肌のきめの粗さを含む、肌の変化によって表される。重度の光損傷があると、皮膚が薄くなり、乾燥やざらつき、色素沈着の悪化、毛細血管拡張、そして易傷性をもたらし得る。光損傷は一般に目の周り、口の周り、鼻唇側、および眉間部の領域で最も顕著となり、これらは通常患者が最も悩まされる領域である。光老化した皮膚の非切除治療に有効であることが示されている多様なレーザおよび光システムがある。これらのシステムには、KTP、パルスダイ、Nd:YAG、ダイオード、エルビウム:ガラスレーザ、および強力なパルス光デバイスが含まれる。歴史的には、切除レーザは光損傷を受けた皮膚に最適な治療法であったが、回復時間の長期化、永久的な色素沈着、および/または瘢痕化の重大なリスクにより、切除による皮膚のリサーフェシングは患者と医師の間で人気が低下している。結果として、非切除的な皮膚の若返り処置が、治療法として光の若返り処置の選択肢となっている。それは、光損傷と老化に関する問題のための優雅で、効果的で、非侵襲的な治療法を提供する。
【0073】
[0090]紫外線による光損傷は、通常の老化過程の生理的変化を加速させ、拡大させる。紫外線への曝露は、フリーラジカル形成、アポトーシス、血管新生、メラニン形成、DNA変異、発癌、免疫抑制、マトリックスメタロプロテイナーゼ誘発および結合組織の分解など、皮膚に無数の変化をもたらす。光損傷を受けた皮膚の組織学的症状には、表皮真皮におけるコラーゲンの喪失および弾性線維の異常な凝集が含まれる。加えて、超微細構造分析により、表皮の薄化、扁平面、血管構造の増加、慢性炎症、大量の弾性材料の蓄積を含む弾性変化、コラーゲン束間の空間の広がり、およびコラーゲン繊維のランダム沈着が示される。これらの組織学的変化および超微細構造変化は、皺、弛緩、黄色変色および毛細血管拡張症と臨床的に相関している。非切除的な皮膚の若返り処置は、真皮におけるコラーゲンの正常な構造を回復するために創傷治癒反応を生じさせる。関連する血管損傷は、線維形成およびコラーゲンの均質化をもたらす炎症性メディエータを補充する。
【0074】
[0091]下表に示すように、臨床的光損傷は3種類に分類される。
【0075】
[0092]一般に、光若返り治療は、日光にさらされた顔、首、胸上部、および手の部分に行われる。非切除的な肌の若返り技術は、血管レーザ、中赤外線レーザ、強力なパルス光システム、および無線周波数装置の4つの異なる一般的なモダリティに分類することができる。「非切除的の皮膚の若返り」との用語は、非侵襲的な若返り、皮膚の色調整、および真皮の新形成による皺の減少、ならびに表皮の改善および真皮のコラーゲンの再構成による光若返りを含む。
【0076】
[0093]より深刻な光損傷および皺の治療のために、COレーザがしばしば使用される。COレーザを用いて皺の治療が成功したという報告は、1980年代に初めて発表された。現在、COレーザリサーフェイシングは、顔面の皺、ニキビ跡および重度の光損傷の改善のための最適な治療法であり続けている。これは効果的に不均一な顔の色素沈着、日光性皮膚病、黒子、質感の不規則性、および細かい線から深い線までを減らすことができる。精密に管理された方法で、それは外側の損傷のある皮膚層を効果的に取り除き、新しいコラーゲンと表皮の発達を促進するために用いることができる。COレーザ治療後の組織引き締め効果および結果として生じるコラーゲン収縮のために、しっかりして健康的な外観が生じる。しかしながら、上述したように、これらのレーザは、低侵襲治療(例えばIPL)が十分ではない場合に使用される。
【0077】
[0094]高周波による組織締め付けを実施するエネルギー送達デバイスも、非切除レーザ技術に代わるものとして使用することができる。高周波装置によって発生する深部皮膚加熱のために、高周波エネルギーを治療先の膜の内面に送達する前、その間、およびその後に通常寒剤スプレーが用いられる。それは、過熱や後の損傷から真皮を保護するために冷却を提供する。寒剤スプレーは真皮の上部の冷却も提供する。これにより真皮を通して逆方向の熱勾配が生じ、これが真皮深部および皮下組織さえも容積加熱および締め付けをもたらす。この加熱の深度は、治療先端部の形状および冷却期の長さに依存する。
【0078】
[0095]本開示の自動治療システム25は、上記の治療的および美容的な体毛および皮膚の治療処置のいずれかを実行するために利用することができる。しかしながら、システム25は、上述したように、関連する処置のために適切なツールや1またはそれ以上のエネルギー送達デバイスを装備する必要がある。また、システムに関連するプロセッサおよび/またはコントローラは、上記方法を実行し、特定のエネルギー送達デバイスおよび特定の種類の治療に対して治療パラメータを適用するように構成またはプログラムされなければならない。このプロセスは、ロボットアーム27を有する画像誘導式コンピュータ制御システムを使用して自動化されるので、任意の数の動作、ならびに正確な標的化およびエネルギー印加を容易かつ迅速に達成することができる。一例として、システム25は、1秒間に少なくとも60サイクルの頻度で移動、標的化およびエネルギー印加サイクルを実行し得る。
【0079】
[0096]ロボットシステム25は、プロセッサおよび/またはコントローラ120(システム25の他の場所で使用されているのと同じプロセッサ、または異なるプロセッサもしくはコントローラであってもよい)に動作可能に結合されたユーザインターフェースを含むことが好ましい。図1Aに見られるように、ユーザインターフェースは、モニタ122と、キーボード124、マウス、ポインタ、および/またはタッチスクリーンなどの1またはそれ以上の入力装置とを含む。あるいは、ユーザインターフェースは、スマートデバイス、携帯電話、スマートフォン、または他のそのようなデバイスを含んでもよい。ユーザインターフェースは、システムオペレータによる治療パラメータおよび/またはエネルギー送達デバイスの標的組織からの位置、配向、および距離のうちの1またはそれ以上に関する命令の入力を可能にし、またはシステムがいくつかのパラメータを自動的に提案してもよい。さらに、一例として、システムオペレータが、ユーザインターフェースを介して1またはそれ以上の治療箇所をグラフィカルに選択できるようにしてもよい。また、ユーザインターフェースを介して入力または調整され得る治療パラメータは、例えば、治療箇所で標的組織に送達されるべき治療用または美容用エネルギーの種類、強度、および/または治療期間の持続時間を含み得る。
【0080】
[0097]本開示のさらなる態様によれば、本開示の自動画像誘導システムを使用して様々な治療および手順を計画し、そのような計画を実行するための方法論が提供される。例えば、いくつかの実施形態では、治療計画は、毛包を第1の領域(採取領域)から標的領域(移植領域)に移植する体毛移植手順に関し、あるいは体表面から体毛を破壊/除去する脱毛または脱毛処置に関するように設計された処方計画である。これらの場合、治療アプリケーションに応じて、治療計画は、体毛が除去される領域の外側境界、除去/移植されるべき毛包の数、採取領域の位置、移植領域の位置、目標移植位置に関するランダム度合い、隣接する目標移植位置間の間隔、毛包の深さ、移植深さ、患者の識別、採取領域の幾何学的プロファイル、移植領域の幾何学的プロファイル、マーカー位置、および目標移植位置の密度などの1またはそれ以上のパラメータを含み得る。
【0081】
[0098]システム25を用いた治療計画の作成方法についてのいくつかの例を以下に説明する。予備ステップとして、ロボットアーム27を操作して、カメラ28が治療領域の1またはそれ以上の画像を撮ることができるように、撮像装置(例えば、1またはそれ以上のカメラ28)を治療位置の近くに位置決めする。そのような操作は、例えば、1またはそれ以上の画像(脚、腕など)における治療の境界を同定し、治療境界を示すために基準を利用し、または治療部位に対してカメラを手動で位置決めすることによって実質的に自動的に達成することができる。カメラで撮影された治療位置の画像は、プロセッサによって受信され様々な画像処理技術を使用して処理されてもよい。プロセッサは、治療位置のデータと、不要な体毛の特定の位置、体毛のタイプ/分類、直径、体毛の幅または太さ、体毛の長さ、体表面に対する体毛の相対角度、体毛の色/色素沈着、目的の体毛を囲む皮膚の色/色素沈着を含むがこれらに限定されない他の手順に関連する情報を特定し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、処理画像および情報に基づいて提案された治療計画を提案または生成することもできる。他の実施形態では、画像および治療位置データがユーザインターフェース上に表示されてもよく、システムオペレータ/ユーザは治療パラメータおよび/または命令をシステム25に入力してもよい。あるいは、ユーザは、システムによって自動的に提案された治療計画を単に拒否または修正してもよい。
【0082】
[0099]治療計画をコンピュータ120に入力するために様々な技術を使用することができる。例示の実施形態では、治療計画は、例えば図1Aに見られるように、モニタ122およびキーボード124を含むユーザインターフェース、またはタッチスクリーン、モバイルデバイス、スマートデバイス、タブレットまたは電話を使用して入力されてもよい。あるいは、治療計画は、ディスケット、コンパクトディスク、またはUSBドライブなどの記憶装置を使用して入力されてもよい。他の実施形態では、治療計画は、クラウド環境などを介して遠隔のサーバ/場所からダウンロードされてもよい。さらなる実施形態において、治療計画は、上記の技術の組み合わせを使用して入力されてもよい。例えば、いくつかのパラメータはディスケットを使用してコンピュータ120に入力され、他のパラメータはユーザインターフェースを使用して入力されてもよい。いくつかの実施形態では、治療計画の1またはそれ以上のパラメータをリアルタイムで(たとえば治療セッション中に)決定することができる。前述のように、治療計画は、取得された画像に基づいて自動システム25のプロセッサによって生成されてもよい。
【0083】
[00100]治療計画がシステム25にプログラムされたら、システムは、例えば脱毛の目的で、関心のある領域内の各体毛の位置および向きを既に特定して知っているので、ロボットアーム27を操作してエネルギー送達デバイスを処置計画に沿った特定の毛包に対して位置決めする。次いで、システム25は、コントローラを介してエネルギー送達デバイスを操作して、治療位置の標的組織にエネルギーを向ける。これは、毛髪除去または脱毛の場合は標的の毛包である。多くの場合、治療位置は、例えば体表面のある領域からの脱毛のために、この領域全体を治療するために送達装置によって複数回のエネルギー適用を必要とする領域を含み得る。このような場合には、ロボットアーム27は、処置領域の領域全体が処置されるまで、処置計画領域内で識別された各毛包にエネルギー送達デバイスを再配置して向けるように繰り返し操作される。
【0084】
[00101]さらなる態様によれば、本開示のシステム、装置、および方法はまた、レーザ脱毛装置を含む、脱毛のための既存の装置に存在するいくつかの問題を排除または実質的に軽減する。既存のレーザ脱毛技術は、体毛を除去しようとする体表面の領域にレーザビームを適用する。メラニンが足りない体毛はレーザの適用による影響を受けず、レーザエネルギーはこれらの体毛に十分に吸収されず、したがってメラニンが足りない体毛は実質的に無傷のままとなる。しかしながら、メラニンが足りない体毛へのレーザエネルギー(および関連する熱)の適用は無駄な労力となるだけでなく、潜在的に不快感、痛みおよび周囲組織への不必要な損傷を引き起こす可能性がある。さらに、体毛のないまたは少ない領域へレーザを適用すると、皮膚などの周囲組織に存在するメラニンの沈着物を標的としてしまう可能性があり、これもレーザエネルギーを吸収するため、やはり組織損傷(例えば熱の形態で)を引き起こす可能性があり、治療の受け手に苦痛を与えるか、そうでなければ潜在的に不快感を引き起こす。さらに、肌が黒くなったり、(黒い肌タイプの人には)明るくなったりする場合もあり、これらすべての不快感や痛みは脱毛や除毛の実際の利益なく生じる。
【0085】
[00102]さらに、典型的にはレーザ脱毛予約時に、処置の受け手は全体の標準的な肌の色調または髪の色に基づいて選択されたレーザで処置される。脱毛処置センターは、通常、特定の処置において、処置領域内に存在し得る髪の毛や肌の色素沈着の変化、あるいは処置を受ける人が特定の治療セッションのときに有し得る1またはそれ以上の新しい日焼けラインの存在、すなわち、着色/色において互いに実質的に異なり得る互いに隣接する領域であって、一方の領域は他方の領域よりも黒いか暗い領域の存在を考慮することはない。本開示の方法およびシステムは、既存の装置および手順の多くの問題および問題に対する解決策を提供する。
【0086】
[00103]本開示による、皮膚および体毛に関する治療的または美容的処置を実行するために自動治療システム25を使用する一般的な方法を、図11を参照して説明する。脱毛または除毛の例を用いて、図11は体表面から脱毛するための改良された方法130のフロー図を示し、この方法は半自動化または完全自動化することができる。提案された改良された方法およびそのような方法を実施するように構成されたシステムはまた、患者にとって苦痛が少なく、および/または、より効率的な処置や処置時間の短縮が可能となる。いくつかの実施形態では、提案された方法は、関心のある毛包の発毛段階を自動的に決定し、その情報を特定の治療セッション中に除去する体毛を選択する際の要素の1つとして使用する。また、その情報を用いて、必要な処置数と処置間のタイミング間隔をスケジュールする。図11の例は脱毛について説明しているが、同じ一般的な方法を他の処置に使用することができ、特定の治療または用途のために必要に応じて調整されてもよいことを理解されたい。
【0087】
[00104]予備事項として、取得された1またはそれ以上の画像から、体表面上の1またはそれ以上の関心領域、例えば、患者の背中の上部や患者の脚の下部といった脱毛が望まれる領域を同定することができる。これらの1またはそれ以上の関心領域は、ユーザインターフェースを通じて、オペレータによって手動で、またはシステムによって半自動的あるいは自動的に、同定することができる。例えば、オペレータが関心領域を撮像するようにカメラを手動で位置決めしてもよいし、システムが関心領域の境界(脚、腕など)を自動的に同定し、または基準点を利用して関心領域の1またはそれ以上の境界を示すようにしてもよい。方法のこの予備ステップ132は破線で示され、このステップが方法において任意選択的であり、個別に実行されてもよいことを示している。関心領域が同定されると、この方法はステップ134で、例えば分割、エッジ検出およびしきい値処理を含むがこれらに限定されない既知の画像処理技術を使用して関心領域内のすべてまたはいくつかの髪を識別することから開始する。毛包を識別するステップは、(体表面に対する角度および方向を含む)3D座標系におけるそれらの位置および向きを識別するステップを含む。
【0088】
[00105]上述のように体毛を同定した後、ステップ136において、関心領域で同定された体毛の成長段階の判定が行われる。どの体毛がどの体毛成長期にあるかを特定すること(および特に成長育毛期の体毛を特定すること)は、本開示のこの態様にかかる体毛除去を計画するステップに有用である。特定された育毛期は、例えば、他の要因と組み合わせて用いられ、処置結果の成功を得ることができる。例えば、体毛成長段階の情報は、除毛のために特定の髪を選択するためだけでなく、セッション総数を減らすために各除毛セッションのタイミングを選択するためにも使用することができる。問題の体表面の様々な部分にわたり体毛成長段階の全体的な状態および異なる成長段階における体毛の分布もまた、重要な治療計画ツールとして用いて、より成功した結果を実現することができる。
【0089】
[00106]図13を参照すると、毛髪成長の様々な段階が説明されている。発毛サイクルには、成長期、退行期、休止期という3つの主な段階がある。成長期(202)は、その間に新しい毛髪が成長し、毛包210が伸長している発毛サイクルの第一段階である。毛球212は、毛包の底部にある球形の構造体である。これが髪の生きている部分である。毛球は、体内の他のどの細胞よりも早く23~72時間で分裂する数種類の幹細胞を保持する。毛球は、体毛の成長に影響を与えるホルモンを含んでいる。毛球212の幹細胞は、体毛に栄養を与え、そして体毛および皮膚の両方に色素を産生および貯蔵する細胞であるメラニン細胞を産生する。この段階は、体毛の長さを決定する役割を担い、脚、脇の下、そしてビキニ部分の体毛の成長期は、通常4~6週間である。また、成長期では、体毛は退行期や休止期よりも典型的には太く/粗く、約0.05mmと比較して典型的には約0.1mmの太さである(年齢、性別、人種/民族、体毛の場所、体毛の性質などの様々な要因による)。毛髪は長く、メラニンが豊富であり、フェオメラニンを含む場合は金髪、赤または白(グレー)の体毛となり、ユーメラニンを含む場合は茶色や黒髪の体毛となる。健康な人の頭皮中の毛包の約75%~95%は通常成長期にある。この発毛サイクルの長さと割合は、体の他の部分で異なってもよく、例えば、眉毛の毛の成長サイクルは通常4~7ヶ月である。
【0090】
[00107]退行期(204)は、発毛サイクルの第二段階であり、毛の成長が止まり毛が休止期間へと移行する際の発毛サイクルにおける短い部分である。これは、典型的には2~3週間続く移行段階であり、毛母細胞のアポトーシスおよび毛包下部の退縮によって特徴付けられる。退行期では、毛球212は皮下組織から真皮中部へと移動し、毛の長さは短くなり、毛は幹細胞からの栄養が少なくなり、したがって色素沈着/色が薄くなる。
【0091】
[00108]最終段階(休止段階)である休止期(206)は、退行期に続く発毛サイクルの部分である。毛は幹細胞から栄養を受けず、色素沈着/色もない。この段階では、毛幹の生産はなくなり、毛球は完全に角質化される。休止期は、頭皮の毛包の場合、約3~4ヶ月続くが、下肢など他の身体部位ではかなり長くなる。休止期の間、毛幹は毛包に固定されたままである。成長期の髪は1日に約0.35mm(1月に1cm)の割合で成長するのに対し、休止期の髪は成長しない。
【0092】
[00109]図11の一般的な方法のステップ136によれば、同定された体毛の成長段階の特定は、その体毛が成長期にあるか否かを特定するステップを含む。例えば、脱毛処置を受ける人は、種々の方法でどの体毛が成長期にあるかを特定するために最初の予約をすることを要求される。この段階は、上述のように、例えば、その太さや直径によって特定することができる。しかしながら、患者の既存のデータ、他の患者からの既存のデータ、または他の信頼できるソースを介して収集されたデータ(ヒストリカルまたは統計データと呼ばれる)のいずれかに基づいて発毛段階の成長期の体毛の同定に採用できる方法は他にもある。このデータは、性別、年齢、人種、民族、患者の病歴、患者の治療歴、および/または除毛される身体領域のうちの1またはそれ以上に基づいて特徴付けられてもよい。任意で、またはそれに加えて、同定された毛包ユニットの画像データを利用して、成長期にある髪を識別し、領域内で体毛を同定するのと同時に体毛の成長段階を特定することができ、したがってステップ134と136は同時に実行することができる。
【0093】
[00110]成長期において、体毛は1日当たり0.25~0.45mm以上、例えば1日当たり0.33mm成長することが知られているので、実質的に成長のない体毛は成長期にはなく、むしろ休止期にあると仮定することができる。したがって、一例では、患者が脱毛予約時の約3日前に脱毛しようとする領域を剃毛し、予約時にその剃毛した領域の画像を撮影すると、この3日間で約1mm成長した体毛を成長期にある体毛と同定するすることができる。上記量まで成長しなかった体毛は、退行期または休止期の体毛であると考えることができる。別の例では、そのような分類は、上述され図13に示されるように、たとえばプロセッサによって、発毛段階の1またはそれ以上の他の特徴に基づいて自動的に実行されてもよい。例えば、体表面の上および/または下の画像処理により、ほんの数例を挙げると、体毛の太さ/直径、毛幹に関する色素沈着/色、体表面の下の毛幹の長さ、のうちの1またはそれ以上に関してデータを得ることができる。いくつかの実施形態では、任意選択で、ステップ138に破線で示すように、成長期のサブ段階または特定期間、典型的には成長期の中間期を、さらに同定することができる。このサブ段階は、活性化エネルギー送達デバイスによって標的化されたときに体毛の加熱能力を最適化する可能性があるため、効率的な脱毛を行うための最適期間であり得る。代替的または付加的に、この任意ステップ138において、発毛成長期のメラニンが豊富な段階にある体毛を同定してもよい。
【0094】
[00111]関心領域の体毛集団のどの体毛が発毛成長期にあるかを特定したら、いくつかの実施形態では、その表示が、例えば、表示画面上でオペレータに中継される。一実施形態では、成長期と判定された体毛にグラフィック表現が割り当てられ、このグラフィック表現が対応する体毛に重ね合わされ、あるいはモニタ上に表示することができる。ステップ140において、処置される1またはそれ以上の毛包が選択される。この選択は、システムによって自動的に実行されてもよいし、あるいは任意選択で、オペレータが例えばユーザインタフェースを介して、成長期の体毛であると特定され視覚化された体毛を脱毛するかどうか、および/または、脱毛処置に加える追加の毛包の識別、または1またはそれ以上の特定された成長期の体毛を脱毛から除外することを示す入力をシステムに提供してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、成長期にあると判定された毛包が体表面から除去される順序をユーザインターフェースを介してさらに指示することができる。自動化された実施例において、画像処理ユニットは、成長期にあると同定された毛包の一部または全部を脱毛すべく選択し、任意で除毛の順序を指示するように構成され得る(例えばプログラムされる)。
【0095】
[00112]この段階で、オペレータは、ステップ142において、提供された情報に基づいて、関心領域から特定された成長期の体毛を除去するために適切なエネルギー送達デバイスを選択する。あるいは、ステップ142において、エネルギー送達デバイスは、取得画像データに少なくとも部分的に基づいて、システムによって自動的に選択されてもよい。エネルギー送達デバイスまたは供給源は、特定の個々の毛包について選択されてもよいし、適切で効率的である場合には、特定の領域内の一群の毛包について選択されてもよい。このようにして、成長期と特定された毛包のみがエネルギー送達デバイス、例えばレーザの標的とする治療計画が生成され、任意の追加の適切な選択パラメータが脱毛のための体毛の最終選択のために考慮される。同時に、成長期にないこれらの毛包は回避される。
【0096】
[00113]レーザ脱毛施術を受ける人の中には、例えば腕、背中、足などの体表面の多様な部分の脱毛を望む場合がある。最も適切なエネルギーデバイスが(オペレータによってまたはシステムによって自動的に)確実に選択されるために、とりわけ、そのような体表面の区別が考慮され得る。任意選択で、最も適切なエネルギー送達デバイスまたは供給源を選択するために、体毛の色素沈着/色および/または体表面の関心領域の色素沈着/色がステップ143または144、あるいはその両方で特定される。前述したように、体毛/皮膚の色素沈着/色に基づいて、いくつかのエネルギー源が他のものより適している場合がある。ステップ142でエネルギー源を選択した後、任意のステップ146で、選択した源の1またはそれ以上のパラメータを、体毛除去に使用される前に調整することができる。エネルギー送達デバイスに関連する1またはそれ以上のパラメータは、例えば、その動作周波数/波長、スポットサイズ、活性化時間、パルス長、パルス持続時間および/またはフルエンスを含み得る。レーザの選択に重要なパラメータの1つは、達成できる侵入深さを決定づける波長である。他のパラメータは、例えばパルス幅/スポットサイズを含む。大きなスポットサイズ、またはビームを大きな物理幅とすると、ビームがより多くの毛包を貫通することができ、したがってより短くより安価な治療が提供される。パルス幅が大きいと、発生された熱がより長期間持続し、したがって、標的の体毛が破壊される可能性がより大きくなる。フルエンスは、適用されるエネルギー密度の測定基準であり、値が大きいほど熱が大きくなって、体毛を破壊する可能性が高くなる。しかし、周波数/波長、スポットサイズ、パルス幅、フルエンスは組み合わせによって、体毛だけでなく肌にも影響を与える可能性があり、適切なエネルギー源およびそれに関連するパラメータの選択は、達成される結果全体にとって重要である。ステップ148において、選択されたエネルギー送達デバイスまたは供給源のエネルギービームが、選択された体毛のうちの1つに向けられ、それに対して整列/配向される。ビームを選択された体毛に向けて、整列/配向させるステップは、例えば、図5、5Aまたは5Bを参照して上述したように達成することができる。選択された毛包が処置され、そして集団内のいくつかの毛包に対して同じエネルギー送達デバイスが選択された場合、選択されたエネルギー送達デバイスは、選択されエネルギーデバイスが識別されたグループ内の別の毛包に向けられ、これがグループ内のすべての毛包が処置されるまで繰り返される。しかしながら、選択されたエネルギー送達デバイスが特定の毛包または小グループの毛包のみに最適である場合、エネルギー送達デバイスを選択するステップが他の1またはそれ以上の毛包に対して繰り返され、新たに選択されたエネルギー源またはデバイスが選択されたそれぞれの1またはそれ以上の毛包に向けられる。エネルギー送達デバイスの選択は、理論的にはすべての毛包に対してそれぞれ連続的に行われてもよいが、これは明らかに時間がかかり、したがって、同じエネルギー送達デバイス(およびエネルギー送達デバイスの設定も)をグループ内の複数の体毛に使用することができる限りにおいて、そのような手法はより有益であろう。
【0097】
[00114]異なる波長の光を使用して皮膚表面の上下の画像を得るために1またはそれ以上のカメラを利用することにより、例えば皮膚表面の上および下の画像の減算および/または組み合わせを含む画像処理、皮膚表面下の毛包ユニットの毛幹部分を同定することができ、それによって、レーザのターゲットとなるより正確な位置が提供される。次に、プロセッサは、少なくとも部分的に、皮膚表面下の毛幹部分の同定結果に基づいて、毛包ユニットに対してレーザを向けるように構成されたコントローラにその情報を伝達する。いくつかの実施形態では、レーザはさらに、毛包ユニットの毛球に向けられてもよい。周囲組織ではなく実質的にこれらの領域のみを標的とすることによって、周囲組織への損傷を最小限とし、そしてより重要なことには処置の受け手にとって、皮膚加熱が減少し、したがって対応する不快感や痛みの減少が期待できる。
【0098】
[00115]いくつかの実施形態では、レーザビームなどのエネルギー送達デバイスのスポットサイズは、毛包のメラニンを多く含むすべての部分を標的としカバーするのに十分大きくなるように選択される。いくつかの実施形態では、コントローラは、エネルギー送達デバイスのスポットサイズが、レーザビーム、毛幹の少なくとも一部分および成長期と同定された体毛の毛球の少なくとも一部分の間の交差が実質的に最大となるようにエネルギー送達デバイスを操作する。
【0099】
[00116]特定の波長を有するエネルギー送達デバイス(レーザビームなど)でこれらの特定された領域のみを特定の時間標的とすることによって、十分なエネルギーが吸収され、標的領域が加熱され、実質的に発毛に寄与する細胞が破壊され、それによって少なくともしばらくの間、体毛のさらなる成長が抑制される。ビームの影響を受けないであろう体毛にエネルギー(レーザビームなど)を向けて時間を無駄にしないこと、およびレーザビームなどを必要のないときに身体表面の不要な領域にさらさないことによって、処置の受け手が受ける潜在的な不快感および/または痛みを軽減することができる。処置のために医師によって採用された価格設定に応じて、レーザ照射期間の短縮、処置期間の短縮、およびオペレータが処置を提供するのに費やす時間の短縮のうちの1またはそれ以上が実現可能であり、処置の受け手にとって最終的な費用を潜在的に削減し得る。
【0100】
[00117]処置を進める決定、並びに処置の提案されたタイミングは、(例えば予めプログラムされた情報に基づいて)システムによって自動的に提案されてもよいし、ユーザ(施術者)によってユーザインタフェースを通じて利用可能ないくつかのオプションから選択されてもよいし、施術者によって直接選択されてもよい。一実施形態では、患者が施術を受ける最善の期間、または発毛成長期にある領域内の体毛の割合またはパーセンテージに基づいて施術が成功する可能性が最も高い期間として定義される最善の期間に関して決定がなされる。その成長期にレーザエネルギーにさらされる体毛は、除毛される可能性がより高く、したがって、脱毛セッションの成功に寄与し望ましい審美的結果を達成するのを助ける。
【0101】
[00118]さらなる態様によれば、脱毛または除毛を計画するために発毛段階の分析を用いる方法は、体表面上の所定の領域内の1またはそれ以上の毛包を同定するステップと、当該1またはそれ以上の毛包についての発毛段階の種類を特定するステップと、発毛段階の成長期にある体毛の割合を特定するステップと、所定の領域に表現を割り当て、発毛段階の成長期にある体毛に対応する表現のみを入れるステップと、少なくとも部分的に、前記領域に入れた表現の特定された成長期の体毛の割合および/または分布に基づいて脱毛処置を計画するステップとを含む。計画するステップは、いつ脱毛処置を行うかを決定するステップを含んでもよい。前記表現は、発毛段階の成長期にある体毛の割合の指標だけでなく、所定の領域全体にわたるそれらの分布も示す指標を提供するのを補助する。
そのような指標は、例えば、除毛セッションの長さの指示を提供するために利用することができ、これは不必要な不快感および/または痛みを引き起こすことなく除去できる体毛の数に基づくことになる。そのような指標はまた、成長期にある体毛の数および分布に基づいて、必要なセッション数や、そのようなセッションがどれだけの間隔でスケジュールされるかを決定するために用いることができる。他の実施形態では、除毛された場所を記録し、後の予約で参照することによって、特定の患者に関する特定の記録を作成することができる。
【0102】
[00119]いくつかのさらなる実施形態による自動システムを用いる脱毛の一般的な方法の別の例が図12に示されている。前述のように、方法150は、関心領域内の複数の望ましくない毛包を識別することから始まる(ステップ152)。このステップは、前述のように、それぞれの不要な毛包の位置と向きを同定するステップを含み得る(それらの3D座標を含む)。ステップ154は、a)同定された毛包のいくつかまたはすべてについて色または色素沈着値を特定する(例えば、自動的に測定し割り当てる)こと(ステップ156、b)体表面上の関心領域(例えば、皮膚の色または皮膚の一部)の色/色素沈着値を割り当てる(例えば、自動的に測定し割り当てる)こと(ステップ158)、の一方または双方を含む。ステップ160では、例えば図11を参照して説明したように、エネルギー供給装置を選択する。任意選択で、いくつかの実施形態では、ステップ162において、エネルギー送達デバイスは、同定された毛包のうちの1つの毛幹の一般的な方向と整列するなど、同定された毛包のうちの1つと整列するように自動的に向けられる。これは例えば、図5、5A、または5Bを参照して説明したようにして達成することができる。エネルギー送達デバイスのビームは、皮膚より上の毛包の毛幹部分または当該毛幹の表面より下の部分の予想される方向と整列される。この方法は、同定された毛包のうちの1またはそれ以上を脱毛するようにエネルギー送達デバイスを動作させるステップを含み得る。
【0103】
[00120]さらに別の態様によると、脱毛装置といった自動処置システム25は、代替的に、関心領域において2以上の異なる処置を提供するように構成されてもよい。例えば、患者は自身の背中の上部領域からタトゥーの除去を望む場合であって、それが経年によりいくらかの毛で覆われている場合、オペレータは患者がタトゥー除去処置を受ける前に除毛することが当該患者にとって有益であると考えるかもしれない。本開示のこの態様によれば、単一のシステム25を、潜在的に同じ治療セッションにおいて、両方の処置に利用することができる。タトゥーを含む体表面の1またはそれ以上の画像を取得した後、システムは、タトゥーがどこに配置されているかを自動的に同定するとともに、同じ領域にある体毛を同定することができる。これにより、体毛の成長段階を特定することができる。タトゥー領域内の発毛段階の成長期にある体毛の色素沈着が特定され、そして関心領域(タトゥーが存在する領域)の色素沈着の特定が確認されると、システムは適切なエネルギーを自動的に選択して、発毛段階の成長期にある毛およびタトゥーの除去を行い、それに応じて周波数、スポットサイズ、パルス幅またはフルエンスのうちの1またはそれ以上を調整する。しかしながら、本例では、タトゥー除去のためにエネルギー源を活性化し皮膚色素に向ける前に、体毛を除去するためにレーザなどの選択されたエネルギー源を活性化させて発毛段階の成長期にある体毛へと向ける。この方法により、タトゥー除去のためにエネルギー源または送達デバイスが活性化されて皮膚の色素に向けられるとき、対処すべき体毛はなく、潜在的に痛みの少ないタトゥー除去プロセスを提供することができる。関心領域にて2以上の異なる処置が望まれる状況の他の例には、加齢によるしみ、日光によるしみ、ニキビ跡、そばかす、および望ましくない体毛を含み得る領域が含まれる。
【0104】
[00121]例えば、日焼けラインによる体表面の色素沈着の差および日光曝露による体毛の色素沈着の差に対応できるように、同様のエネルギー源の組み合わせを選択することができることが理解されよう。一構成では、コントローラに組み込まれたソフトウェアが、リアルタイムで、体毛ごとに、または一群の毛包に対して、またはその領域内のすべての毛包に対して適切なエネルギー源を選択するように構成することができる。別の構成では、エネルギー源が活性化される前に、成長期の体毛、体毛の色素沈着、体表面の色素沈着、および毛包内のメラニンに富む領域のうちの1つまたは任意の組み合わせを決定するようにシステムを構成することができる。処置計画は、1つ目のエネルギー源の活性化を必要とすると特定された体毛のすべてが、2つ目のエネルギー源が活性化される前に処置されるように提供される。
【0105】
[00122]本開示のシステムおよび装置は、除毛処置が行われる体表面の領域の組織を保護し、痛みを軽減するための自動化された効果的かつ効率的な冷却を可能にするので、既存の脱毛装置を超えるさらなる改良を提供する。寒剤スプレーの手動適用や鎮痛薬の服用の代わりに、本開示によるいくつかの実施形態では、冷却はエアジェットを用いて達成される。1またはそれ以上のジェットを含み得るエアジェットは、体表面に空気流を向けるために可動アーム上に設けることができる。1またはそれ以上のジェットは、放出される空気がエネルギー送達デバイスからのエネルギーの方向と自動的に実質的に整列するように構成することができる。特定の実施形態では、エアジェットは、前述のように、毛包と整列されたときにエネルギー送達デバイスの方向に従って自動的に作動され、方向付けられ、整列され得る。さらに別の実施形態では、ユーザが、エアジェットをどのくらいの期間、どの場所で、どの向きで作動させるかのタイミング(例えば、エアジェットがエネルギー送達デバイスと同時に作動させる)に関する命令をプロセッサおよびコントローラの一方または両方に入力するためのユーザインターフェースを提供することができる。さらに、エアジェットではなく、他の冷却流体を利用してもよい。
【0106】
[00123]図14は、本書記載の実施形態と共に使用することができるスキンテンショナ500の一例を示す。スキンテンショナ500は、シャフト501と、水平支持体502と、両側のタイン503とを具える。各タイン503は、皮膚表面を押圧するための遠位部分504を具える。シャフト501の近位端506は、ロボット毛髪移植システムのエンドエフェクタと係合するように構成されている(例えば、大きさおよび形状)。水平支持体502は、x軸に沿って力を加えるバネ荷重機構(図示せず)を具え、それによってタイン503が互いに離れるように拡がる。使用時、タイン503の遠位部分504が、体毛が2つの遠位部分504の間にある状態で、毛包または毛包ユニットの隣に配置される。次に、バネ荷重機構がタイン503を離隔させ、それによって皮膚に張力をかける。その結果、毛包に関連する毛幹は頭皮表面に対してより直立した状態となる。穿刺針およびコアリング針、またはレーザビームなどの本明細書記載の他の任意の器具を、タイン503の遠位部分504の間で作用させることができる。他の構成のスキンテンション装置を、本開示のシステムおよび方法と共に用いてもよい。
【0107】
[00124]さらに、一実施形態の個々の特徴が、当該実施形態について述べられ図示されており他の実施形態にはない場合でも、前記実施形態の個々の特徴は、別の実施形態の1またはそれ以上の特徴や複数の実施形態の特徴と組み合わせることができる。非限定的な例として、1つの図または実施形態を参照して説明された特定の特徴または特徴は、他の図または実施形態で説明された特徴または特徴と適切に組み合わせることができることを当業者は理解するであろう。出願人は、本開示の主題は、本明細書に開示されているさまざまなステップ、要素、特徴、機能、および/または特性のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションを包含することを企図する。本開示の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態以外の他の実施形態を利用することができ、構造的または論理的な変更を加えることができることを理解されたい。したがって、詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。実施形態の意図された機能から逸脱することなく、上述の方法論は個別のステップとして説明されているが、1またはそれ以上のステップを組み合わせること、または削除することさえも可能であることも明らかであろう。
【0108】
[00125]前述の図示され説明された実施形態は様々な修正および代替形態を受け入れることができ、そして本明細書に記載された特定の実施形態と同様に一般的に本発明は開示された特定の形態または方法に限定されず、反対に添付の特許請求の範囲内に含まれるすべての変更、均等物および代替物を包含するものである。非限定的な例として、本開示は、それぞれのカメラおよびツールアセンブリを担持して体表面の近くに正確に位置決めするために使用できるアームアセンブリを有するロボットアームを含むロボットシステム、および移動可能な可動部を有する他の自動および半自動システムの使用に限定されないことを当業者は理解するであろう。
図1
図1A
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14