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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】画像センサ、および伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/378 20110101AFI20220726BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220726BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220726BHJP
   G06F 13/376 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H04N5/378
H04N5/232 300
H04N5/225 800
G06F13/376
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019504331
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2017044958
(87)【国際公開番号】W WO2018163554
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2017044021
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三林 秀樹
【審査官】笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-208781(JP,A)
【文献】特開2006-099288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/378
H04N 5/232
H04N 5/225
G06F 13/376
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像を行う撮像部と、
撮像に応じた画像を示す画像データのデータバスへの出力を制御する制御部と、
を備え、
他の画像センサが接続され、画像データが伝送される前記データバスと、前記他の画像センサが接続され、抵抗を介して第1レベルの電圧にプルアップされる衝突検出線とに、それぞれ接続され、
前記制御部は、
前記衝突検出線に固有の電圧パターンで電圧を出力し、前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態に基づいて、前記画像データの出力により前記データバスにおいて前記画像データの衝突が生じるかを判定する第2の判定を行い、
前記第2の判定において前記衝突が生じると判定されない場合に、前記衝突検出線の状態が前記第1レベルであるかを判定する第1の判定を行い、前記第1の判定により前記衝突が生じるかを判定し、
前記第1の判定により前記衝突が生じると判定されない場合に、前記データバスに画像データを出力させる、
画像センサ。
【請求項2】
前記衝突検出線は、オープンドレイン回路により電気的に接続され、
前記衝突検出線の状態は、前記オープンドレイン回路を介して検出される、請求項1に記載の画像センサ。
【請求項3】
前記衝突検出線の状態は、前記オープンドレイン回路を介して前記衝突検出線に出力される電圧の電圧レベルと、前記他の画像センサから記衝突検出線に出力される電圧の電圧レベルとの、ワイヤード・アンド論理となっている、請求項2に記載の画像センサ。
【請求項4】
前記画像データを出力させるときには、前記オープンドレイン回路を介して、前記衝突検出線に前記第1レベルの電圧よりも小さな第2レベルの電圧を出力する、請求項2に記載の画像センサ。
【請求項5】
前記制御部は、前記衝突が生じると判定された場合には、前記画像データを出力させない、請求項に記載の画像センサ。
【請求項6】
前記第1の判定を行う場合、前記制御部は、
前記衝突検出線の状態が前記第1レベルである場合に、前記衝突が生じると判定せず、
前記衝突検出線の状態が前記第1レベルよりも小さな第2レベルである場合に、前記衝突が生じると判定する、請求項に記載の画像センサ。
【請求項7】
前記制御部は、
前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態と、前記電圧パターンの電圧レベルとが一致する場合に、前記衝突が生じると判定せず、
前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態と、前記電圧パターンの電圧レベルとが一致しない場合に、前記衝突が生じると判定する、請求項に記載の画像センサ。
【請求項8】
前記制御部は、
前記画像データを出力させるときには、前記衝突検出線に前記第1レベルの電圧よりも小さな第2レベルの電圧を出力し、
前記画像データの出力が完了した後に、前記衝突検出線に前記第1レベルの電圧を出力する、請求項に記載の画像センサ。
【請求項9】
それぞれが、撮像を行う撮像部と、撮像に応じた画像を示す画像データのデータバスへの出力を制御する制御部と、を備え、画像データが伝送される前記データバスと、抵抗を介して第1レベルの電圧にプルアップされる衝突検出線とにそれぞれ接続される複数の画像センサと、
前記データバスに接続される処理装置と、
前記衝突検出線を前記第1レベルの電圧にプルアップする前記抵抗を含むプルアップ回路と、
を有し、
前記複数の画像センサのそれぞれにおいて、前記制御部は、
前記衝突検出線に固有の電圧パターンで電圧を出力し、前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態に基づいて、前記画像データの出力により前記データバスにおいて前記画像データの衝突が生じるかを判定する第2の判定を行い、
前記第2の判定において前記衝突が生じると判定されない場合に、前記衝突検出線の状態が前記第1レベルであるかを判定する第1の判定を行い、前記第1の判定により前記衝突が生じるかを判定し、
前記第1の判定により前記衝突が生じると判定されない場合に、前記データバスに画像データを出力させる、
伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像センサ、および伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプロセッサとセンサと間の接続などの、デバイス間の接続に係る技術が開発されている。デバイス間の接続に係る技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2014/0281753号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電子機器の高機能化、多機能化などに伴い、プロセッサなどの処理装置を備える電子機器の中には、複数の画像センサを備えるものがある。また、上記のような処理装置を備える電子機器では、処理装置に接続されるデータバスの数を減らすことが望まれている。処理装置に接続されるデータバスの数を減らすことによって、例えば下記のようなことを実現することが可能となる。
・処理装置と複数の画像センサとを接続する配線領域をより小さくすること
・処理装置のハードウェア構成をより簡略化すること
【0005】
ここで、プロセッサ(処理装置の一例。以下、同様とする。)と画像センサとをデータバス(信号の伝送路の一例)で接続する規格としては、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)アライアンスのCSI-2(Camera Serial Interface 2)規格がある。CSI-2規格は、プロセッサと画像センサとをデータバスで1対1で接続するための規格である。CSI-2規格のような既存の規格では、“データバス上で、プロセッサと複数の画像センサとが接続されること”は、想定されていない。そのため、CSI-2規格のような既存の規格を単に利用して、プロセッサと複数の画像センサそれぞれとをデータバスで接続する場合には、プロセッサに接続されるデータバスの数は、画像センサの数分必要となる。よって、CSI-2規格のような既存の規格を単に利用する場合には、上記配線領域をより小さくすること、および上記プロセッサに接続されるデータバスの数を減らすことを実現することは、困難である。
【0006】
また、処理装置に接続されるデータバスの数を減らすための方法としては、複数の画像センサでデータバスを共有する方法が、考えられる。また、複数の画像センサでデータバスを共有させる場合には、“複数の画像センサそれぞれがデータバスに出力する画像データがデータバス上で衝突すること”を防止するための衝突防止策をとる必要がある。
【0007】
ここで、上記衝突防止策としては、複数の画像センサそれぞれに対して固有の遅延量を設定することが考えられる。複数の画像センサそれぞれに対して固有の遅延量が設定されることによって、各画像センサが画像データを出力するタイミングをずらすことが可能となるので、各画像センサがデータバスに出力する画像データがデータバス上で衝突することを防止することができる。
【0008】
しかしながら、複数の画像センサそれぞれに対して固有の遅延量を設定する場合、例えば、遅延量の設定ミスなどにより設定される遅延量が適切でないときには、各画像センサが画像データを出力するタイミングを重複してしまうことが起こりうる。よって、複数の画像センサそれぞれに対して固有の遅延量を設定したとしても、“複数の画像センサそれぞれがデータバスに出力する画像データがデータバス上で衝突すること”を防止することができるとは、限られない。
【0009】
本開示では、複数の画像センサで共有されているデータバスにおいて画像データの衝突が生じることを防止することが可能な、新規かつ改良された画像センサ、および伝送システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、撮像を行う撮像部と、撮像に応じた画像を示す画像データのデータバスへの出力を制御する制御部と、を備え、他の画像センサが接続され、画像データが伝送される前記データバスと、前記他の画像センサが接続され、抵抗を介して第1レベルの電圧にプルアップされる衝突検出線とに、それぞれ接続され、前記制御部は、前記衝突検出線に固有の電圧パターンで電圧を出力し、前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態に基づいて、前記画像データの出力により前記データバスにおいて前記画像データの衝突が生じるかを判定する第2の判定を行い、前記第2の判定において前記衝突が生じると判定されない場合に、前記衝突検出線の状態が前記第1レベルであるかを判定する第1の判定を行い、前記第1の判定により前記衝突が生じるかを判定し、前記第1の判定により前記衝突が生じると判定されない場合に、前記データバスに画像データを出力させる、画像センサが、提供される。
【0011】
また、本開示によれば、それぞれが、撮像を行う撮像部と、撮像に応じた画像を示す画像データのデータバスへの出力を制御する制御部と、を備え、画像データが伝送される前記データバスと、抵抗を介して第1レベルの電圧にプルアップされる衝突検出線とにそれぞれ接続される複数の画像センサと、前記データバスに接続される処理装置と、前記衝突検出線を前記第1レベルの電圧にプルアップする前記抵抗を含むプルアップ回路と、を有し、前記複数の画像センサのそれぞれにおいて、前記制御部は、前記衝突検出線に固有の電圧パターンで電圧を出力し、前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態に基づいて、前記画像データの出力により前記データバスにおいて前記画像データの衝突が生じるかを判定する第2の判定を行い、前記第2の判定において前記衝突が生じると判定されない場合に、前記衝突検出線の状態が前記第1レベルであるかを判定する第1の判定を行い、前記第1の判定により前記衝突が生じるかを判定し、前記第1の判定により前記衝突が生じると判定されない場合に、前記データバスに画像データを出力させる、伝送システムが、提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複数の画像センサで共有されているデータバスにおいて画像データの衝突が生じることを防止することができる。
【0013】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】データバスを共有する伝送システムの構成の一例を示す説明図である。
図2図1に示す伝送システムを構成するセンサにおける状態遷移を示す説明図である。
図3】伝送システムにおける画像データの伝送の一例を示す説明図である。
図4】伝送システムにおける画像データの伝送の他の例を示す説明図である。
図5】本実施形態に係る伝送システムの構成の一例を示す説明図である。
図6図5に示す伝送システムを構成するセンサにおける状態遷移を示す説明図である。
図7図5に示す伝送システムを構成するセンサにおける動作の一例を示す説明図である。
図8】本実施形態に係る伝送システムにおける画像データの伝送の一例を示す説明図である。
図9】本実施形態に係るセンサ(画像センサ)の構成の一例を示すブロック図である。
図10】本実施形態に係るセンサ(画像センサ)が備える衝突検出回路の構成の一例を示す説明図である。
図11】本実施形態に係る伝送システムにおける衝突検出線Lの状態の一例を示す説明図である。
図12】本実施形態に係る伝送システムにおける、衝突検出線Lにセンサが出力する電圧と、衝突検出線Lの状態との一例を示す説明図である。
図13】本実施形態に係る伝送システムにおける画像データの伝送の一例を示す説明図である。
図14】本実施形態に係る伝送システムにおける画像データの伝送の一例を示す説明図である。
図15】本実施形態に係る衝突検出パターンの一例を示す説明図である。
図16】本実施形態に係るセンサ(画像センサ)に適用される第2の衝突検出方式の概要を示す説明図である。
図17】本実施形態に係るセンサ(画像センサ)における第2の衝突検出方式による衝突判定の一例を示す説明図である。
図18】本実施形態に係るセンサ(画像センサ)における第2の衝突検出方式による衝突判定の他の例を示す説明図である。
図19】本実施形態に係る伝送システムにおける画像データの伝送の一例を示す説明図である。
図20】本実施形態に係るセンサ(画像センサ)に適用される第2の衝突検出方式の他の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る伝送システム
2.本実施形態に係るプログラム
【0017】
(本実施形態に係る伝送システム)
[1]データバスを共有する伝送システム
本実施形態に係る伝送システムの構成について説明する前に、データバスを共有する伝送システムについて、説明する。
【0018】
図1は、データバスを共有する伝送システム50の構成の一例を示す説明図である。伝送システム50は、例えば、プロセッサ10(処理装置)と、画像を出力する機能を有する複数のセンサ20A、20B、…(画像センサ)と、メモリ30と、表示デバイス40とを有する。以下では、複数のセンサ20A、20B、…を総称して、または、複数のセンサ20A、20B、…のうちの1つのセンサを代表的に示して、「センサ20」と示す場合がある。
【0019】
なお、伝送システム50が有するセンサの数は、3つ以上に限られず、伝送システム50は、2つの画像センサを有する構成であってもよい。
【0020】
プロセッサ10と複数のセンサ20それぞれとは、1つのデータバスB1により電気的に接続される。つまり、伝送システム50では、データバスB1が複数のセンサ20で共有される。データバスB1は、プロセッサ10とセンサ20それぞれとを接続する、一の信号の伝送路である。例えば、センサ20それぞれから出力される画像を示すデータ(以下、「画像データ」と示す場合がある。)が、センサ20からプロセッサ10へとデータバスB1を介して伝送される。
【0021】
伝送システム50においてデータバスB1により伝送される信号は、例えば、CSI-2規格、PCI Expressなどの、伝送されるデータの開始と終了とが所定のデータにより特定される任意の規格によって、伝送される。上記所定のデータとしては、例えば、CSI-2規格におけるフレームの開始パケット、CSI-2規格におけるフレームの終了パケットなどが挙げられる。
【0022】
また、プロセッサ10と複数のセンサ20それぞれとは、データバスB1とは異なる制御バスB2により電気的に接続される。制御バスB2は、プロセッサ100とセンサ200それぞれとを接続する、他の信号の伝送路である。例えば、プロセッサ10から出力される制御情報(後述する)が、プロセッサ10からセンサ20へと制御バスB2を介して伝送される。なお、図1では、プロセッサ10と複数のセンサ20それぞれとが、1つの制御バスB2により接続される例を示しているが、伝送システム50では、複数のセンサ20が異なる制御バスによりプロセッサ10と接続されていてもよい。また、プロセッサ10と複数のセンサ20それぞれとは、制御バスB2を介して制御情報(後述する)を送受信する構成に限られず、例えば、制御情報の送受信を行うことが可能な任意の通信方式の無線通信によって制御情報(後述する)を送受信する構成であってもよい。
【0023】
[1-1]プロセッサ10
プロセッサ10は、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサや、各種処理回路などで構成される。プロセッサ10は、バッテリなどの伝送システム50を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力、または、伝送システム50の外部電源から供給される電力によって、駆動する。
【0024】
プロセッサ10は、例えば制御バスB2を介して、センサ20それぞれに対して制御情報を送信する。
【0025】
制御情報には、例えば、センサ20を示す識別情報と、処理要求とが含まれる。
【0026】
センサ20を示す識別情報としては、例えば、センサ20に設定されているIDなどの、センサ20を特定することが可能な任意のデータが挙げられる。制御情報に識別情報が含まれることによって、制御バスB2を介して制御情報を取得したセンサ20は、取得された制御情報が、自装置に対して送信された制御情報であるか否かを特定することができる。なお、例えば、伝送システム50がセンサ20ごとに異なる制御バスを有する構成である場合には、制御情報に識別情報が含まれていなくてもよい。
【0027】
処理要求とは、センサ20における動作を制御するための命令を示すデータである。処理要求としては、例えば、センサ20の動作を規定する設定を行わせる設定要求や、センサ20における撮像動作を開始させる開始要求、センサにおける撮像動作を停止させる停止要求などが、挙げられる。
【0028】
なお、制御情報に含まれるデータは、上記示す例に限られない。
【0029】
例えば、制御情報には、センサ20の動作を規定する設定を示す設定情報が、含まれていてもよい。設定情報が示す設定としては、例えば、データバスB1への画像データの出力に係る遅延量の設定や、フレームの開始パケットを出力するか否かを規定する設定、フレームの終了パケットを出力するか否かを規定する設定、画像サイズを規定する設定、フレームレートを規定する設定などが、挙げられる。
【0030】
例えば設定情報を含む制御情報が、制御バスB2を介してプロセッサ10からセンサ20に伝達されることによって、センサ20では、設定情報が示す設定に対応する動作が行われる。
【0031】
[1-2]センサ20
センサ20は、画像センサである。センサ20は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、ステレオカメラなどの撮像デバイスや、赤外線センサ、距離画像センサなどの、任意のセンサデバイスを含み、生成された画像を出力する機能を有する。ここで、センサ20において生成される画像は、センサ20におけるセンシング結果を示すデータに該当する。
【0032】
センサ20は、センサ20を構成するレジスタなどの記録媒体に記憶されている設定情報に基づいて、設定情報が示す設定に対応する動作を行う。
【0033】
例えば、センサ20は、設定情報が示す画像サイズに基づいて同期信号Vsyncの生成タイミングをとる。伝送システム50では、センサ20それぞれが、生成された同期信号Vsyncをトリガとして撮像動作を行うことによって、複数のセンサ20における同期した撮像が、実現される。
【0034】
また、センサ20は、例えば、設定情報が示す遅延量に基づいて、同期信号Vsyncが生成されてから当該遅延量に対応する時間が経過した後に、撮像動作を行う。よって、伝送システム50では、センサ20それぞれが、設定情報が示す遅延量に基づいて撮像動作を遅延させることによって、各センサ20が画像データを出力するタイミングをずらすことができる。
【0035】
図2は、図1に示す伝送システム50を構成するセンサ20における状態遷移を示す説明図である。センサ20の状態としては、画像データを出力しない状態ST1と、画像データを出力する状態ST2とが挙げられる。
【0036】
以下では、センサ(センサ20および後述する本実施形態に係るセンサ)が、画像データを出力しない状態ST1にあることを「出力Off」と示す場合がある。また、以下では、センサ(センサ20および後述する本実施形態に係るセンサ)が、画像データを出力する状態ST2にあることを「出力On」と示す場合がある。
【0037】
センサ20において、画像データを出力しない状態ST1から画像データを出力する状態ST2への遷移は、例えば、同期信号Vsyncが生成されてから設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過した後に、撮像素子を含む画素アレイ(後述する)に対して画素読み出し要求が伝達されることによって、行われる。
【0038】
また、センサ20において、画像データを出力する状態ST2から画像データを出力しない状態ST1への遷移は、例えば、画素アレイ(後述する)を構成する全ての画素の読み出しが完了したときに、行われる。
【0039】
[1-3]メモリ30
メモリ30は、伝送システム50が有する記録媒体である。メモリ30としては、例えば、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。
【0040】
メモリ30には、例えばセンサ20それぞれから出力された画像データが記憶される。メモリ30への画像の記録は、例えばプロセッサ10により制御される。
【0041】
[1-4]表示デバイス40
表示デバイス40は、伝送システム50が有する表示デバイスである。表示デバイス40としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode Display)ともよばれる。)などが挙げられる。
【0042】
表示デバイス40の表示画面には、例えば、センサ20それぞれから出力された画像データが示す画像や、プロセッサ10において実行されるアプリケーションに係る画面、UI(User Interface)に係る画面など、様々な画像や画面が表示される。表示デバイス40の表示画面への画像などの表示は、例えばプロセッサ10により制御される。
【0043】
[1-5]伝送システム50における画像データの伝送例
伝送システム50では、上述したように、センサ20それぞれが、設定情報が示す遅延量に基づいて画像データをデータバスB1に出力する。
【0044】
図3は、伝送システム50における画像データの伝送の一例を示す説明図である。図3では、伝送システム50が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における画像データの伝送の一例を示している。
【0045】
図3に示す“Vsync”は、同期信号を示している(他の図においても同様とする。)。また、図3に示す“センサ状態”は、画像センサの状態を示している(他の図においても同様とする。)。また、図3に示す“データ出力”は、データバスB1への画像データの出力を示している(他の図においても同様とする。)。
【0046】
図3において“遅延”と示すように、センサ1と示されるセンサ20、およびセンサ2と示されるセンサ20それぞれは、設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過した後に、画像データを出力しない状態ST1から画像データを出力する状態ST2へと遷移する。よって、図3に示すように、伝送システム50では、各センサ20が重複しないタイミングで画像データをデータバスB1に出力することが、実現される。
【0047】
しかしながら、伝送システム50のように、設定情報が示す遅延量のみで各センサ20が画像データを出力するタイミングが制御される場合には、例えば、プロセッサ10が実行するソフトウェア(コンピュータプログラム)の不具合などによって遅延量の設定ミスが生じたときに、複数のセンサ20が画像データを出力するタイミングが重複してしまうことが、起こりうる。
【0048】
図4は、伝送システム50における画像データの伝送の他の例を示す説明図であり、複数のセンサ20が画像データを出力するタイミングが重複した場合における、画像データの伝送の例を示している。図4では、図3と同様に、伝送システム50が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における画像データの伝送の一例を示している。
【0049】
図4に示すように、複数のセンサ20が画像データを出力するタイミングが重複した場合には、データバスB1上で画像データの衝突が生じる。また、データバスB1上で画像データの衝突が生じた場合には、例えば下記のような望ましくない事態が生じる恐れがある。
・画像データが破損する
・電気的な短絡によりセンサ20が物理的に破損する
【0050】
よって、伝送システム50のように、設定情報が示す遅延量のみで各センサ20が画像データを出力するタイミングを制御したとしても、“複数のセンサ20それぞれがデータバスB1に出力する画像データがデータバスB1上で衝突すること”を防止することができるとは、限られない。
【0051】
[2]本実施形態に係る伝送システムの構成、および本実施形態に係る伝送システムにおける衝突防止方法
そこで、本実施形態に係る伝送システムでは、“画像センサそれぞれが、画像データの出力によりデータバスにおいて画像データの衝突が生じるかを判定した上で、データバスに画像データを出力すること”によって、データバスにおいて画像データの衝突が生じることを防止する。以下では、“画像データの出力によりデータバスにおいて画像データの衝突が生じるかを判定すること”を「衝突判定」と示す場合がある。
【0052】
本実施形態に係る伝送システムは、図1に示す伝送システム50と同様に、プロセッサ(本実施形態に係る処理装置の一例。以下、同様とする。)と、複数の画像センサとを有し、データバスが複数の画像センサで共有されるシステムである。本実施形態に係る伝送システムとしては、例えば、スマートフォンなどの通信装置や、ドローン(遠隔操作による動作、または、自律的な動作が可能な機器)、自動車などの移動体、PC(Personal Computer)などのコンピュータ、タブレット型の装置、ゲーム機など、様々な電子機器が挙げられる。なお、本実施形態に係る伝送システムの適用例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0053】
図5は、本実施形態に係る伝送システム1000の構成の一例を示す説明図である。
【0054】
第1の構成例に係る伝送システム1000は、例えば、プロセッサ100(本実施形態に係る処理装置)と、複数のセンサ200A、200B、…(本実施形態に係る画像センサ)と、プルアップ回路300と、メモリ400と、表示デバイス500とを有する。以下では、複数のセンサ200A、200B、…を総称して、または、複数のセンサ200A、200B、…のうちの1つのセンサを代表的に示して、「センサ200」と示す場合がある。
【0055】
なお、図5では、3つ以上のセンサ200を有する伝送システム1000を示しているが、本実施形態に係る伝送システムが有するセンサ200の数は、図5に示す例に限られない。例えば、本実施形態に係る伝送システムは、2つのセンサ200を有する構成であってもよい。
【0056】
プロセッサ100と複数のセンサ200それぞれとは、図1に示す伝送システム50と同様に、1つのデータバスB1により電気的に接続される。つまり、伝送システム1000では、図1に示す伝送システム50と同様に、データバスB1が複数のセンサ200で共有される。例えば、センサ200それぞれから出力される画像データが、センサ200からプロセッサ100へとデータバスB1を介して伝送される。
【0057】
また、プロセッサ100と複数のセンサ200それぞれとは、図1に示す伝送システム50と同様に、制御バスB2により電気的に接続される。例えば、プロセッサ100から出力される制御情報が、プロセッサ100からセンサ200へと制御バスB2を介して伝送される。なお、図5では、プロセッサ100と複数のセンサ200それぞれとが、1つの制御バスB2により接続される例を示しているが、伝送システム1000では、複数のセンサ200が異なる制御バスによりプロセッサ100と接続されていてもよい。また、プロセッサ100と複数のセンサ200それぞれとは、制御バスB2を介して制御情報を送受信する構成に限られず、例えば、制御情報の送受信を行うことが可能な任意の通信方式の無線通信によって制御情報を送受信する構成であってもよい。
【0058】
また、複数のセンサ200は、衝突検出線Lにそれぞれ接続される。より具体的には、衝突検出線Lは、センサ200が備えるオープンドレイン回路(後述する)により電気的に接続される。
【0059】
衝突検出線Lは、プルアップ回路300により第1レベルの電圧にプルアップされる。本実施形態に係る第1レベルの電圧とは、ハイレベルの電圧(伝送システム1000において設定される第1の閾値以上の電圧、または、当該第1の閾値よりも大きな電圧)である。
【0060】
複数のセンサ200は、オープンドレイン回路(後述する)を介して衝突検出線Lの状態を検出する。そして、複数のセンサ200は、衝突検出線Lの状態に基づいて、画像データの出力によりデータバスB1において画像データの衝突が生じるかを判定する。
【0061】
ここで、衝突検出線Lの状態は、複数のセンサ200それぞれがオープンドレイン回路(後述する)を介して衝突検出線Lに出力する電圧の電圧レベルの、ワイヤード・アンド論理となる。換言すると、衝突検出線Lの状態は、全てのセンサ200が第1レベルの電圧を出力している場合に、第1レベルに対応する値“1”を示し、複数のセンサ200のうちの少なくとも1つのセンサ200が第2レベルの電圧を出力している場合に、第2レベルに対応する値“0”を示す。
【0062】
複数のセンサ200それぞれは、画像データを出力させるときには、オープンドレイン回路(後述する)を介して、衝突検出線Lに第2レベルの電圧を出力する。本実施形態に係る第2レベルの電圧とは、第1レベルの電圧よりも小さなローレベルの電圧(伝送システム1000において設定される第2の閾値以下の電圧、または、当該第2の閾値よりも小さな電圧。ただし、第2の閾値は、第1の閾値以下の値である。)である。
【0063】
つまり、伝送システム1000では、複数のセンサ200のうちのいずれか1つのセンサ200が画像データをデータバスB1に出力している場合、衝突検出線Lの状態は、第2レベルに対応する値“0”を示すこととなる。
【0064】
よって、複数のセンサ200は、衝突検出線Lの状態を用いることによって、伝送システム1000を構成するいずれかのセンサ200が画像データをデータバスB1に出力しているか、または、いずれのセンサ200も画像データをデータバスB1に出力していないかを、一意に特定することができる。
【0065】
ここで、一のセンサ200が、伝送システム1000を構成するいずれかのセンサ200が画像データをデータバスB1に出力していると特定したときに、当該一のセンサ200が画像データを出力すると、データバスB1において画像データの衝突が生じる。つまり、複数のセンサ200は、衝突検出線Lの状態を用いることによって、画像データの出力によりデータバスB1において画像データの衝突が生じるか否かを判定することが、できる。
【0066】
伝送システム1000では、複数のセンサ200それぞれが、画像データを出力する前に、衝突検出線Lの状態に基づき衝突判定を行う。そして、複数のセンサ200それぞれは、衝突が生じると判定されない場合に画像データをデータバスB1に出力させ、また、衝突が生じると判定された場合には画像データを出力させない。
【0067】
したがって、データバスB1が複数のセンサ200で共有されている伝送システム1000では、データバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することが、実現される。
【0068】
以下、伝送システム1000の構成の一例を説明しつつ、伝送システム1000における衝突防止方法について、より具体的に説明する。
【0069】
[2-1]プロセッサ100(本実施形態に係る処理装置)、メモリ400、表示デバイス500
プロセッサ100、メモリ400、および表示デバイス500それぞれは、図1に示す伝送システム50を構成するプロセッサ10、メモリ30、および表示デバイス40と、同様の機能、構成を有する。
【0070】
[2-2]プルアップ回路300
プルアップ回路300は、衝突検出線Lを第1レベルの電圧にプルアップする抵抗R(プルアップ抵抗)を含む回路である。プルアップ回路300を構成する抵抗Rの一端は、電源に接続され、抵抗Rの他端は衝突検出線Lに接続される。ここで、上記電源は、プルアップ回路300が備えていてもよいし、プルアップ回路300の外部の電源であってもよい。
【0071】
なお、プルアップ回路300の構成は、図5に示す例に限られない。例えば、プルアップ回路300は、衝突検出線Lを第1レベルの電圧にプルアップすることが可能な、任意の構成の回路であってもよい。
【0072】
[2-3]センサ200(本実施形態に係る画像センサ)
[2-3-1]センサ200の概要
まず、センサ200の概要を説明する。
【0073】
センサ200は、画像センサである。センサ200は、上述した図1に示す伝送システム50を構成するセンサ20と同様に、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、ステレオカメラなどの撮像デバイスや、赤外線センサ、距離画像センサなどの、任意のセンサデバイスを含み、生成された画像を出力する機能を有する。ここで、センサ200において生成される画像は、センサ200におけるセンシング結果を示すデータに該当する。
【0074】
また、センサ200は、基本的に、図1に示す伝送システム50を構成するセンサ20と同様の機能を有する。具体的には、センサ200は、例えばセンサ20と同様に、センサ200を構成するレジスタなどの記録媒体に記憶されている設定情報に基づいて、設定情報が示す設定に対応する動作を行う。
【0075】
図6は、図5に示す伝送システム1000を構成するセンサ200における状態遷移を示す説明図である。センサ200の状態としては、画像データを出力しない状態ST1と、画像データを出力する状態ST2と、衝突判定を行う状態ST3と、エラー状態ST4とが挙げられる。
【0076】
図6に示すセンサ200における状態遷移と、図2に示すセンサ20における状態遷移とを比較すると、センサ200は、衝突判定を行う状態ST3およびエラー状態ST4という、センサ20にはない2つの状態をとりうる。
【0077】
衝突判定を行う状態ST3では、上述したように、衝突検出線Lの状態に基づいて衝突判定が行われる。本実施形態に係る衝突判定の方式としては、例えば、後述する第1の衝突検出方式と、後述する第2の衝突検出方式とが挙げられる。以下では、第1の衝突検出方式を「方式1」と示し、第2の衝突検出方式を「方式2」と示す場合がある。また、以下では、センサ200が、衝突判定を行う状態ST3にあることを「衝突判定」と示す場合がある(他の図においても同様とする。)。
【0078】
エラー状態ST4は、衝突判定において衝突が生じると判定された場合におけるセンサ200の状態である。エラー状態ST4のセンサ200は、データバスB1に画像データを出力しない。
【0079】
エラー状態ST4のセンサ200が画像データを出力しないことによって、伝送システム1000では、データバスB1において画像データの衝突が生じることが防止される。つまり、エラー状態ST4のセンサ200が画像データを出力しないことによって、伝送システム1000では、フェイルセーフが実現される。
【0080】
また。エラー状態ST4のセンサ200が画像データを出力しないことによって、プロセッサ100は、画像データの伝送において何らかのエラーが発生していることを検出することが可能である。
【0081】
センサ200において、画像データを出力しない状態ST1から衝突判定を行う状態ST3への遷移は、例えば、“同期信号Vsyncが生成されてから設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過した後であって、撮像素子を含む画素アレイ(後述する)に対して画素読み出し要求を伝達する前”に、行われる。
【0082】
また、センサ200において、衝突判定を行う状態ST3から画像データを出力する状態ST2への遷移は、例えば、衝突判定において衝突が生じると判定されない場合に、行われる。
【0083】
また、センサ200において、衝突判定を行う状態ST3からエラー状態ST4への遷移は、例えば、衝突判定において衝突が生じると判定された場合に、行われる。
【0084】
また、センサ200において、画像データを出力する状態ST2から画像データを出力しない状態ST1への遷移は、図5に示すセンサ20と同様に、画素アレイ(後述する)を構成する全ての画素の読み出しが完了したときに、行われる。
【0085】
図6に示すように、センサ200では、衝突判定の結果によって、衝突判定を行う状態ST3から画像データを出力する状態ST2へと遷移するか、または、衝突判定を行う状態ST3からエラー状態ST4へと遷移するかが、決まる。
【0086】
図7は、図5に示す伝送システム1000を構成するセンサ200における動作の一例を示す説明図である。図7のAは、衝突判定において衝突が生じると判定されない場合におけるセンサ200の動作の一例を示している。また、図7のBは、衝突判定において衝突が生じると判定された場合におけるセンサ200の動作の一例を示している。
【0087】
図7のAに示すように、センサ200は、衝突判定において衝突が生じると判定されない場合に、データバスB1に画像データを出力する。また、図7のBに示すように、センサ200は、衝突判定において衝突が生じると判定された場合には、データバスB1に画像データを出力しない。
【0088】
伝送システム1000を構成する複数のセンサ200それぞれは、図7に示すように、衝突判定の結果によって、選択的にデータバスB1に画像データを出力する。よって、伝送システム1000では、仮に、“プロセッサ100が実行するソフトウェアの不具合などによって遅延量の設定ミスが生じ、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複してしてしまうこと”が生じたとしても、データバスB1における画像データの衝突は、発生しない。
【0089】
図8は、本実施形態に係る伝送システム1000における画像データの伝送の一例を示す説明図である。図8は、図4と同様に、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複した場合における、画像データの伝送の例を示している。図8では、伝送システム1000が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における画像データの伝送の一例を示している。
【0090】
図8に示すように、センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれは、衝突判定を行った上で、選択的にデータバスB1に画像データを出力する。図8に示す例では、センサ2と示すセンサ200は、データバスB1に画像データを出力しないので、データバスB1において画像データの衝突が生じることが防止される。
【0091】
なお、伝送システム1000における画像データの伝送の例は、図8に示す例に限られない。例えば、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複していない場合には、伝送システム1000では、図3と同様に、画像データが伝送される。
【0092】
[2-3-2]センサ200の構成
次に、センサ200の構成の一例を説明する。図9は、本実施形態に係るセンサ200(画像センサ)の構成の一例を示すブロック図である。
【0093】
センサ200は、例えば、撮像部202と、制御部204とを備える。センサ200は、バッテリなどの伝送システム1000を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力、または、伝送システム1000の外部電源から供給される電力によって、駆動する。
【0094】
撮像部202は、撮像を行う。撮像部202は、例えば、画素アレイ206を有する。また、撮像部202は、例えば、対物レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどの1または2以上のレンズとミラーなどの光学素子で構成される、光学系(図示せず)を有する。
【0095】
画素アレイ206は、例えば、画素に該当する撮像素子がマトリクス状に配置されて構成される。各撮像素子には、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子を有する画素回路が接続され、当該画素回路の動作は、制御部204(より具体的には、例えば後述する画素読み出し制御回路208)により制御される。撮像素子としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などが、挙げられる。
【0096】
制御部204は、センサ200の動作を制御する役目を果たす。制御部204における処理は、例えば、MPUなどの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサ(図示せず)により主導的に行われる。
【0097】
また、制御部204は、例えば、画素読み出し制御回路208と、レジスタ210と、Vsync生成回路212と、衝突検出回路214とを有する。
【0098】
画素読み出し制御回路208は、画素アレイ206を構成する各撮像素子から撮像に応じた画像信号を読み出す。画素読み出し制御回路208は、画素アレイ206に対して、画素アレイ206を構成する画素回路の動作を制御する制御信号を印加することによって、画像信号を読み出す。
【0099】
より具体的には、画素読み出し制御回路208は、Vsync生成回路212から同期信号Vsyncが伝達されると、レジスタ210に記憶されている設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過した後に、画素アレイ206を構成する各撮像素子から画像信号を読み出す。
【0100】
画素読み出し制御回路208は、例えば、同期信号Vsyncの同期パルス(エッジ)が検出されたときに、同期信号Vsyncが伝達されたことを検出する。同期信号Vsyncの同期パルスとしては、例えば、同期信号Vsyncの立ち下りエッジ、または、同期信号Vsyncの立ち上りエッジが挙げられる。なお、画素読み出し制御回路208は、所定の信号パターンを検出することにより、同期信号Vsyncが伝達されたことを検出してもよい。
【0101】
また、画素読み出し制御回路208は、衝突検出回路214において検出された衝突検出線Lの状態に基づく衝突判定の結果に基づいて、画素アレイ206から読み出された画像信号に対応する画像データを、選択的にデータバスB1に出力する。
【0102】
ここで、衝突検出線Lの状態に基づく衝突判定に係る処理は、制御部204を構成するプロセッサ(図示せず)において行われてもよいし、画素読み出し制御回路208が行ってもよい。また、衝突検出線Lの状態に基づく衝突判定に係る処理は、衝突検出回路214において行われてもよい。つまり、センサ200において、衝突検出線Lの状態に基づく衝突判定に係る処理は、当該処理を行うことが可能な任意の構成要素において行われうる。
【0103】
レジスタ210は、制御部204が有する一の記録媒体である。レジスタ210には、例えば設定情報が記憶される。制御部204は、レジスタ210に記憶されている設定情報に基づいて、動作する。
【0104】
Vsync生成回路212は、例えば、同期信号Vsyncを生成する信号発生器(図示せず)と、カウンタとを有する。Vsync生成回路212は、例えば、カウンタを用いて同期信号Vsyncの生成タイミングをとり、生成タイミングごとに、同期信号Vsyncを生成する。Vsync生成回路212は、例えばレジスタ210に記憶されている設定情報が示す画像サイズに基づいて同期信号Vsyncの生成タイミングをとる。
【0105】
衝突検出回路214は、衝突検出線Lの状態を検出する。衝突検出回路214は、例えばオープンドレイン回路を有し、センサ200は、オープンドレイン回路によって衝突検出線Lと電気的に接続される。衝突検出線Lの状態は、オープンドレイン回路を介して検出される。
【0106】
図10は、本実施形態に係るセンサ200(画像センサ)が備える衝突検出回路214の構成の一例を示す説明図である。衝突検出回路214は、例えば、トランジスタTrと、トランジスタTrの制御端子に接続されるNOT回路とを有する。
【0107】
トランジスタTrの第1端子は、衝突検出線Lと接続され、トランジスタTrの第2端子は、グランド(基準電位点)に接続される。図10に示す例では、トランジスタTrがNチャネル型のFETであり、第1端子はオープンドレイン端子に該当する。
【0108】
センサ200は、オープンドレイン回路を介して、第1レベルの電圧または第2レベルの電圧を、衝突検出線Lに出力する。
【0109】
オープンドレイン回路を介した第2レベルの電圧の出力は、例えば、トランジスタTrを導通状態(オン状態)とすることにより実現される。センサ200は、少なくとも画像データを出力させるときに、オープンドレイン回路を介して、衝突検出線Lに第2レベルの電圧を出力する。
【0110】
本実施形態に係る画像データを出力させるときとは、例えば、“衝突判定において衝突が生じると判定されなかった時点から、画像データの出力が完了するまでの期間”が挙げられる。
【0111】
また、オープンドレイン回路を介した第1レベルの電圧の出力は、例えば、トランジスタTrを非導通状態(オフ状態)とすることにより実現される。センサ200は、例えば、少なくとも画像データの出力が完了した後に、衝突検出線Lに第1レベルの電圧を出力する。
【0112】
伝送システム1000では、複数のセンサ200それぞれが、オープンドレイン回路のオープンドレイン端子によって衝突検出線Lに相互接続され、オープンドレイン回路を介して第1レベルの電圧または第2レベルの電圧を衝突検出線Lに出力する。また、上述したように、衝突検出線Lは、プルアップ回路300によって第1レベルの電圧にプルアップされる。
【0113】
よって、衝突検出線Lの状態は、上述したように、複数のセンサ200それぞれがオープンドレイン回路を介して衝突検出線Lに出力する電圧の電圧レベルの、ワイヤード・アンド論理となる。
【0114】
図11は、本実施形態に係る伝送システム1000における衝突検出線Lの状態の一例を示す説明図である。図11は、“複数のセンサ200のうちの一のセンサ200が衝突検出線Lに出力する電圧の電圧レベルと、衝突検出線Lの状態との組み合わせ”を、状態1、状態2、状態3と示している。図11に示す“1”は、第1レベルに対応する値であり、図11に示す“0”は、第2レベルに対応する値である。
【0115】
図11に示すように、一のセンサ200が衝突検出線Lに出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態との組み合わせとしては、状態1、状態2、および状態3という3つの組み合わせがある。
【0116】
ここで、図11に示す状態2および状態3は、伝送システム1000において、複数のセンサ200のうちのいずれかのセンサ200において画像データの出力が行われている状態である。また、図11に示す状態1は、複数のセンサ200のうちのいずれのセンサ200においても画像データの出力が行われていない状態である。
【0117】
よって、センサ200は、例えば、衝突検出線Lの状態が“1”を示すかを判定すること、すなわち、衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定することによって、衝突が生じるかを判定することができる。
【0118】
図12は、本実施形態に係る伝送システム1000における、衝突検出線Lにセンサ200が出力する電圧と、衝突検出線Lの状態との一例を示す説明図である。図12では、伝送システム1000が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における例を示している。
【0119】
図12に示す“衝突検出出力”は、センサ200が衝突検出線Lに出力する電圧レベルを示している(他の図においても同様とする。)。また、図12に示す“衝突検出線状態”は、衝突検出線Lの電圧の変化を示している(他の図においても同様とする。)。
【0120】
図12のA、図12のBに示すように、先に衝突判定を行ったセンサ200が第2レベルの電圧を衝突検出線Lに出力することによって、衝突検出線Lの状態は、第2レベルに対応する値を示すこととなる。よって、後に衝突判定を行うセンサ200は、衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定することによって、衝突が生じるかを判定することができる。
【0121】
なお、上記に示す“衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定することによって、衝突が生じるかを判定する衝突検出の方式”は、後述する第1の衝突検出方式に該当する。つまり、センサ200における衝突検出の方式は、後述する第2の衝突検出方式に示すように、上記に示す“衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定することによって、衝突が生じるかを判定する衝突検出の方式”に限られない。
【0122】
センサ200は、例えば図9に示す構成を有する。例えば図9に示す構成を有することによって、センサ200は、衝突検出線Lの状態に基づく衝突判定の結果に基づいて、画像データを、選択的にデータバスB1に出力する。
【0123】
なお、センサ200の構成が、図9に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、図9では、撮像部202と制御部204という2つの機能ブロックに分けて説明したが、センサ200の機能は、任意の切り分け方により切り分けられてもよい。
【0124】
[2-3-3]センサ200における衝突検出の方式
次に、センサ200に適用することが可能な衝突検出の方式について、より具体的に説明する。
【0125】
[2-3-3-1]第1の衝突検出方式による判定
センサ200は、衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定することによって、衝突が生じるかを判定する。以下では、第1の衝突検出方式による判定を、第1の判定と示す場合がある。
【0126】
なお、センサ200は、判定を行う前に第1レベルの電圧を衝突検出線Lに出力していることを確認し、確認がとれた後に判定を行ってもよい。また、確認がとれなかった場合、センサ200は、第1レベルの電圧を衝突検出線Lに出力して、判定を行う。
【0127】
第1の衝突検出方式による判定を行う場合、センサ200は、衝突検出線Lの状態が第1レベルである場合に、衝突が生じると判定しない。また、第1の衝突検出方式による判定を行う場合、センサ200は、衝突検出線Lの状態が第2レベルである場合に、衝突が生じると判定する。
【0128】
より具体的には、第1の衝突検出方式による判定は、下記示すStep.1、およびStep.2という2つのステップにより行われる。
【0129】
(1)Step.1
センサ200は、衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定する。センサ200は、衝突検出線Lの状態が“1”を示す場合に、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定する。
【0130】
衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定された場合、センサ200は、後述するStep.2の処理を行う。
【0131】
また、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定されない場合、センサ200は、衝突が生じると判定して、画像データを出力しない。
【0132】
(2)Step.2
センサ200は、第2レベルの電圧を衝突検出線Lに出力し、画像データをデータバスB1に出力する。そして、センサ200は、画像データの出力が完了した後に、衝突検出線Lに第1レベルの電圧を出力する。
【0133】
図13は、本実施形態に係る伝送システム1000における画像データの伝送の一例を示す説明図であり、第1の衝突検出方式による衝突判定が行われる場合における画像データの伝送の一例を示している。また、図13は、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複していない場合における、画像データの伝送の一例である。図13では、伝送システム1000が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における画像データの伝送の一例を示している。
【0134】
センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれでは、同期信号Vsyncの立ち下りエッジが検出され、設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過したときに、上記Step.1の処理が行われる。
【0135】
複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複していない場合、上記Step.1の処理において、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定される。よって、センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれは、図13に示すように、上記Step.2の処理を行い、画像データをデータバスB1に出力する。
【0136】
図14は、本実施形態に係る伝送システム1000における画像データの伝送の一例を示す説明図であり、第1の衝突検出方式による衝突判定が行われる場合における画像データの伝送の他の例を示している。また、図14は、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複している場合における、画像データの伝送の一例である。図14では、図13と同様に、伝送システム1000が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における画像データの伝送の一例を示している。
【0137】
センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれでは、同期信号Vsyncの立ち下りエッジが検出され、設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過したときに、上記Step.1の処理が行われる。
【0138】
複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複している場合、先に衝突判定を行うセンサ1と示すセンサ200では、上記Step.1の処理において、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定される。よって、センサ1と示すセンサ200は、図14に示すように、上記Step.2の処理を行い、画像データをデータバスB1に出力する。
【0139】
また、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複している場合、後に衝突判定を行うセンサ2と示すセンサ200では、上記Step.1の処理において、衝突検出線Lの状態が第2レベルであると判定される。よって、センサ2と示すセンサ200は、図14に示すように、画像データをデータバスB1に出力しない。
【0140】
例えば図13図14に示すように、センサ200は、衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定する第1の衝突検出方式による判定を行うことによって、衝突が生じるかを判定した上で、データバスB1に画像データを出力することができる。
【0141】
よって、第1の衝突検出方式による判定を行う機能を有するセンサ200で構成される伝送システム1000では、複数のセンサ200で共有されているデータバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することができる。
【0142】
[2-3-3-2]第2の衝突検出方式による判定
センサ200は、上記第1の判定(第1の衝突検出方式による判定)を行う前に、さらに、衝突検出パターンを衝突検出線Lに出力して衝突判定を行う第2の判定を行う。
【0143】
ここで、本実施形態に係る衝突検出パターンとは、センサ200が衝突検出線Lに出力する、固有の電圧パターンの電圧である。固有の電圧パターンである衝突検出パターンは、第1レベルと第2レベルとの組み合わせで表される。衝突検出パターンは、例えば設定情報に規定される。センサ200は、レジスタ210から設定情報を読み出すことによって、衝突検出パターンのパターン長、および第1レベルと第2レベルとの組み合わせを、特定する。
【0144】
センサ200は、第1レベルの電圧と第2レベルの電圧とを、設定情報が示す電圧パターンに従って衝突検出線Lに出力することによって、衝突検出パターンを衝突検出線Lに出力する。
【0145】
センサ200は、例えば設定されているシンボル期間が経過するごとに、電圧パターンに従った電圧レベルの切り替えを行う。シンボル期間とは、衝突検出パターンの1要素の出力にかかる期間である。シンボル期間は、例えば設定情報に規定される。また、伝送システム1000では、全てのセンサ200に対して、同一のシンボル期間が設定される。以下では、シンボル期間を、「シンボル期間t1」または「t1」と示す場合がある。
【0146】
図15は、本実施形態に係る衝突検出パターンの一例を示す説明図である。図15のAは、伝送システム1000を構成するセンサ200の最大数が4つである場合における衝突検出パターンの一例を示している。また、図15のBは、伝送システム1000を構成するセンサ200の最大数が8つである場合における衝突検出パターンの一例を示している。
【0147】
なお、本実施形態に係る衝突検出パターンの例は、図15に示す例に限られない。例えば、伝送システム1000では、衝突検出パターンのパターン長を増やすことにより、任意の個数のセンサ200に対応することができる。以下では、衝突検出パターンの他の例として、伝送システム1000が、センサ1およびセンサ2と示す2つのセンサ200を有する例を挙げる。
【0148】
衝突検出パターンを衝突検出線Lに出力すると、センサ200は、衝突検出パターンの出力時における衝突検出線Lの状態に基づいて、衝突が生じるかを判定する。センサ200は、衝突検出パターンの出力時における衝突検出線Lの状態と、衝突検出パターンの電圧レベルとが一致する場合に、衝突が生じると判定しない。また、センサ200は、衝突検出パターンの出力時における衝突検出線Lの状態と、電圧パターンの電圧レベルとが一致しない場合に、衝突が生じると判定する。
【0149】
そして、センサ200は、第2の判定において衝突が生じると判定されない場合に、上記第1の判定(第1の衝突検出方式による判定)を行う。また、センサ200は、第2の判定において衝突が生じると判定された場合には、上記第1の判定(第1の衝突検出方式による判定)を行わず、画像データをデータバスB1に出力しない。
【0150】
上記のように、センサ200は、上記第1の判定(第1の衝突検出方式による判定)を行う前に第2の判定を行い、第2の判定において衝突が生じると判定されない場合に、上記第1の判定を行う。つまり、第2の衝突検出方式は、上記第1の衝突検出方式を包含する衝突検出方式であるといえる。
【0151】
上述したように、センサ200において第1の衝突検出方式による判定が行われることによって、データバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することが可能である。第2の衝突検出方式は、第1の衝突検出方式を包含するので、第1の衝突検出方式による判定が行われる場合と同様に、データバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することが可能である。
【0152】
ここで、衝突検出線Lの状態は、センサ200が衝突検出線Lに出力する電圧によって変化する。そのため、衝突検出線Lの状態は、センサ200が衝突検出線Lに出力する電圧によって即時に変化せず、衝突検出線Lの状態が変化するまでには、ある程度の時間がかかる。一例を挙げると、衝突検出線Lの状態が第1レベルのときに、複数のセンサ200のうちの一のセンサ200が第2レベルの電圧を衝突検出線Lに出力した場合、衝突検出線Lの状態は第2レベルに即時にはならない。以下では、衝突検出線Lの状態が変化するまでにかかる時間を、「期間t0」または「t0」と示す場合がある。
【0153】
よって、仮に、期間t0に第1の判定が行われた場合には、誤判定が起こる可能性は、ゼロではない。
【0154】
第2の衝突検出方式では、第1の衝突検出方式に対応する第1の判定の前に、第2の判定を行うので、仮に、第1の判定が行われるタイミングが期間t0内となる場合であっても、第2の判定によって、データバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することができる。
【0155】
したがって、第2の衝突検出方式による判定を行う機能を有するセンサ200で構成される伝送システム1000では、複数のセンサ200で共有されているデータバスB1において画像データの衝突が生じることを、より確実に防止することができる。
【0156】
図16は、本実施形態に係るセンサ200(画像センサ)に適用される第2の衝突検出方式の概要を示す説明図である。
【0157】
第2の衝突検出方式による判定は、第1の衝突検出方式に対応するStep.1、およびStep.2に、Step.0を加えた、3つのステップにより行われる。
【0158】
図17は、本実施形態に係るセンサ200(画像センサ)における第2の衝突検出方式による衝突判定の一例を示す説明図であり、第2の判定により衝突が生じると判定される例を示している。また、図18は、本実施形態に係るセンサ200(画像センサ)における第2の衝突検出方式による衝突判定の他の例を示す説明図であり、第1の判定により衝突が生じると判定される例を示している。図17図18では、伝送システム1000が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における、第2の衝突検出方式による衝突判定の一例を示している。
【0159】
以下、図17図18を例に挙げつつ、第2の衝突検出方式による衝突判定について、説明する。
【0160】
(I)Step.0
センサ200は、衝突検出パターンを衝突検出線Lに出力し、衝突検出パターンの出力時における衝突検出線Lの状態に基づいて、衝突が生じるかを判定する。
【0161】
センサ200は、設定されているシンボル期間t1ごとに、衝突検出パターンに従った電圧レベルの電圧を、衝突検出線Lに出力する。
【0162】
センサ200は、シンボル期間t1ごとに、衝突検出パターンに従って出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とを、比較する。
【0163】
センサ200は、衝突検出パターンに従って出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とが一致しない場合に、衝突が生じると判定する。図17に示す例では、図17において“Fail”と示すように、センサ1と示すセンサ200が、衝突検出パターンに従って出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とが一致していないために、衝突が生じると判定している。
【0164】
また、センサ200は、衝突検出パターンに従って出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とが一致する場合には、衝突検出パターンに従って出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態との比較を繰り返す。
【0165】
衝突検出パターンの出力が終了し、かつ、衝突検出パターンに従って出力する全ての電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とが一致する場合に、Step.0の処理は、完了する。また、Step.0の処理が完了すると、センサ200は、下記の(II)、(III)に示すように、第1の衝突検出方式による判定を行う。
【0166】
(II)Step.1
センサ200は、上記(1)と同様に、衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定する。
【0167】
衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定された場合、センサ200は、Step.2の処理を行う。また、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定されない場合、センサ200は、衝突が生じると判定して、画像データを出力しない。図18に示す例では、図18において“Fail”と示すように、センサ2と示すセンサ200が、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定されないために、衝突が生じると判定している。
【0168】
(III)Step.2
センサ200は、上記(2)と同様に、第2レベルの電圧を衝突検出線Lに出力し、画像データをデータバスB1に出力する。そして、センサ200は、画像データの出力が完了した後に、衝突検出線Lに第1レベルの電圧を出力する。
【0169】
図19は、本実施形態に係る伝送システム1000における画像データの伝送の一例を示す説明図であり、第2の衝突検出方式による衝突判定が行われる場合における画像データの伝送の一例を示している。また、図19は、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複していない場合における、画像データの伝送の一例である。図19では、伝送システム1000が、センサ1、センサ2と示す2つの画像センサを有する場合における画像データの伝送の一例を示している。
【0170】
センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれでは、同期信号Vsyncの立ち下りエッジが検出され、設定情報が示す遅延量に対応する時間が経過したときに、上記Step.0の処理が行われる。
【0171】
複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複していない場合、上記Step.0の処理では、衝突検出パターンに従って出力する全ての電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とが一致する。よって、センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれは、上記Step.1の処理が行われる。
【0172】
また、複数のセンサ200が画像データを出力するタイミングが重複していない場合、上記Step.1の処理において、衝突検出線Lの状態が第1レベルであると判定される。よって、センサ1と示すセンサ200、およびセンサ2と示すセンサ200それぞれは、図19に示すように、上記Step.2の処理を行い、画像データをデータバスB1に出力する。
【0173】
例えば図19に示すように、センサ200は、第2の衝突検出方式による判定(衝突検出パターンを利用して衝突検出線Lの状態を判定する第2の判定、および衝突検出線Lの状態が第1レベルであるかを判定する第1の判定による、衝突判定)を行うことによって、衝突が生じるかを判定した上で、データバスB1に画像データを出力することができる。
【0174】
よって、第2の衝突検出方式による判定を行う機能を有するセンサ200で構成される伝送システム1000では、複数のセンサ200で共有されているデータバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することができる。また、上述したように、第2の衝突検出方式による判定を行う機能を有するセンサ200で構成される伝送システム1000では、第1の衝突検出方式による判定を行う機能を有するセンサ200で構成される伝送システム1000よりも確実に、データバスB1において画像データの衝突が生じることを防止することができる。
【0175】
なお、本実施形態に係る第2の衝突検出方式による判定方法は、上述した例に限られない。
【0176】
図20は、本実施形態に係るセンサ200(画像センサ)に適用される第2の衝突検出方式の他の例を説明するための説明図である。図20は、図5に示す伝送システム1000において、複数のセンサ200それぞれにクロック信号を供給するクロック信号線(図示せず)がさらに設けられる場合に適用することが可能な、第2の衝突検出方式の例である。上記クロック信号は、例えば、プロセッサ100がクロック信号線(図示せず)に出力する。また、上記クロック信号は、例えば、伝送システム1000が備える信号発生器(図示せず)など、他の構成要素がクロック信号線(図示せず)に出力してもよい。
【0177】
図20に示す例では、センサ200は、クロック信号の立ち上がりエッジで、衝突検出パターンに従って出力する電圧の電圧レベルと衝突検出線Lの状態とを比較して衝突判定を行う。また、図20に示す例では、センサ200は、クロック信号の立ち下りエッジで衝突検出線Lに出力する電圧の値を設定して、設定された値に対応する電圧を衝突検出線Lに出力する。
【0178】
例えば図20に示す第2の衝突検出方式が用いられる場合であっても、センサ200は、衝突が生じるかを判定した上で、データバスB1に画像データを出力することができる。
【0179】
[2-4]本実施形態に係る伝送システムの他の構成例
本実施形態に係る伝送システムは、例えば図5に示す構成を有する。なお、本実施形態に係る伝送システムの構成は、図5に示す例に限られない。
【0180】
例えば図20を参照して説明したように、本実施形態に係る伝送システムでは、図5に示す構成に加えて、複数のセンサ200それぞれにクロック信号を供給するクロック信号線(図示せず)がさらに設けられていてもよい。
【0181】
また、例えば、複数のセンサ200から出力される画像が本実施形態に係る伝送システムの外部の記録媒体に記憶される場合、または、複数のセンサ200から出力される画像がプロセッサ100が備える記録媒体に記憶される場合には、本実施形態に係る伝送システムは、図5に示すメモリ400を有していなくてもよい。
【0182】
また、本実施形態に係る伝送システムは、図5に示す表示デバイス500を有さない構成をとることも可能である。
【0183】
また、本実施形態に係る伝送システムは、上述した本実施形態に係る伝送システムが適用される電子機器が有する機能に応じた、任意の構成を有していてもよい。
【0184】
[3]本実施形態に係る伝送システムにより奏される効果の一例
本実施形態に係る伝送システムが用いられることによって、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る伝送システムにより奏される効果が、下記に示す効果に限られないことは、言うまでもない。
・データバスを共有する複数の画像センサで構成されるシステムに、衝突検出線を1本設け、各画像センサが衝突検出線の状態をみた上でデータバスに画像データを出力することによって、複数の画像センサのデータ出力の衝突が発生しないことが、保証される。
【0185】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0186】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0187】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
他の画像センサが接続され、画像データが伝送されるデータバスと、前記他の画像センサが接続され、抵抗を介して第1レベルの電圧にプルアップされる衝突検出線とに、それぞれ接続され、
前記衝突検出線の状態に基づいて、前記画像データの出力により前記データバスにおいて前記画像データの衝突が生じるかを判定した上で、前記データバスに前記画像データを出力する、画像センサ。
(2)
前記衝突検出線は、オープンドレイン回路により電気的に接続され、
前記衝突検出線の状態は、前記オープンドレイン回路を介して検出される、(1)に記載の画像センサ。
(3)
前記衝突検出線の状態は、前記オープンドレイン回路を介して前記衝突検出線に出力される電圧の電圧レベルと、前記他の画像センサから記衝突検出線に出力される電圧の電圧レベルとの、ワイヤード・アンド論理となっている、(2)に記載の画像センサ。
(4)
前記画像データを出力させるときには、前記オープンドレイン回路を介して、前記衝突検出線に前記第1レベルの電圧よりも小さな第2レベルの電圧を出力する、(2)または(3)に記載の画像センサ。
(5)
撮像を行う撮像部と、
撮像に応じた画像を示す画像データの前記データバスへの出力を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記衝突検出線の状態に基づいて前記衝突が生じるかを判定し、
前記衝突が生じると判定されない場合に、前記画像データを出力させる、(1)~(4)のいずれか1つに記載の画像センサ。
(6)
前記制御部は、前記衝突が生じると判定された場合には、前記画像データを出力させない、(5)に記載の画像センサ。
(7)
前記制御部は、前記衝突検出線の状態が前記第1レベルであるかを判定する第1の判定を行うことにより、前記衝突が生じるかを判定する、(5)または(6)に記載の画像センサ。
(8)
前記第1の判定を行う場合、前記制御部は、
前記衝突検出線の状態が前記第1レベルである場合に、前記衝突が生じると判定せず、
前記衝突検出線の状態が前記第1レベルよりも小さな第2レベルである場合に、前記衝突が生じると判定する、(7)に記載の画像センサ。
(9)
前記制御部は、
前記衝突検出線に固有の電圧パターンで電圧を出力し、前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態に基づいて前記衝突が生じるかを判定する、第2の判定を、前記第1の判定を行う前に行い、
前記第2の判定において前記衝突が生じると判定されない場合に、前記第1の判定を行う、(7)または(8)に記載の画像センサ。
(10)
前記制御部は、
前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態と、前記電圧パターンの電圧レベルとが一致する場合に、前記衝突が生じると判定せず、
前記電圧パターンの電圧の出力時における前記衝突検出線の状態と、前記電圧パターンの電圧レベルとが一致しない場合に、前記衝突が生じると判定する、(9)に記載の画像センサ。
(11)
前記制御部は、
前記画像データを出力させるときには、前記衝突検出線に前記第1レベルの電圧よりも小さな第2レベルの電圧を出力し、
前記画像データの出力が完了した後に、前記衝突検出線に前記第1レベルの電圧を出力する、(5)~(10)のいずれか1つに記載の画像センサ。
(12)
画像データが伝送されるデータバスと、抵抗を介して第1レベルの電圧にプルアップされる衝突検出線とにそれぞれ接続される複数の画像センサと、
前記データバスに接続される処理装置と、
前記衝突検出線を前記第1レベルの電圧にプルアップする前記抵抗を含むプルアップ回路と、
を有し、
前記画像センサそれぞれは、前記衝突検出線の状態に基づいて、前記画像データの出力により前記データバスにおいて前記画像データの衝突が生じるかを判定した上で、前記データバスに前記画像データを出力する、伝送システム。
【符号の説明】
【0188】
10、100 プロセッサ
20、20A、20B、200、200A、200B センサ
30、400 メモリ
40、500 表示デバイス
50、1000 伝送システム
202 撮像部
204 制御部
206 画素アレイ
208 画素読み出し制御回路
210 レジスタ
212 Vsync生成回路
214 衝突検出回路
300 プルアップ回路
B1 データバス
B2 制御バス
L 衝突検出線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20