(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】細菌
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20220726BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20220726BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20220726BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20220726BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20220726BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20220726BHJP
C12R 1/225 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A61K35/741
A61K35/747
A61K35/745
A61P13/00
A23L33/135
C12R1:225
(21)【出願番号】P 2019514740
(86)(22)【出願日】2017-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2017072919
(87)【国際公開番号】W WO2018050650
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32108
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32107
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32109
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32103
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32097
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32115
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32101
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32100
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32113
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 32102
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】デュポン ニュートリション バイオサイエンシーズ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヘリ・プターラ
(72)【発明者】
【氏名】ソフィア・フォルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】サンポ・ラハティネン
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥール・オウェハンド
(72)【発明者】
【氏名】ジャアナ・メッテ
(72)【発明者】
【氏名】ハリ・メキヴオッコ
(72)【発明者】
【氏名】インゲル・マッツビー-バルツェル
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・アンデルシュ
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-523231(JP,A)
【文献】特表2008-517014(JP,A)
【文献】特表2003-522731(JP,A)
【文献】特表2019-528738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00 -1/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSM 32101、DSM 32100、DSM 32109、DSM 32113、またはDSM 32102として寄託されている細
菌。
【請求項2】
請求項
1に記載の細
菌及び好適なキャリアを含むプロバイオティック組成物。
【請求項3】
請求項
1に記載の2、3、4または5つの細菌
株の組み合わせを含む、請求項
2に記載のプロバイオティック組成物。
【請求項6】
請求項
2~5のいずれか一項に記載のプロバイオティック組成物の製造方法であって、前記方法が、前記選択された細
菌を好適なキャリアと組み合わせる工程を含む方法。
【請求項7】
請求項
2~5のいずれか一項に記載のプロバイオティック組成物を含む食品、栄養補助食品、医療食品、栄養補給または医薬組成物。
【請求項8】
請求項
1に記載の細
菌または請求項
2~5のいずれか一項に記載のプロバイオティック組成物を、薬学的に有効な量で含む、対象者に投与する泌尿生殖器疾患の予防および/または治療用の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規細菌およびそれらの代謝産物、プロバイオティック組成物および食品でのそれらの使用、ならびにプロバイオティック細菌の選択方法に関する。本発明はまた、泌尿生殖器疾患の予防および/または治療のための前記細菌、代謝産物および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人体は、1000超の細菌種を表す無数の微生物でコロニー形成される。微生物叢の構成および密度は、各身体場所に特異的である。細菌バイオマスの大半は、2つの個体群(互いに異なる内腔および粘膜関連個体群)が存在する、胃腸管(GIT)に、とりわけ大腸の内腔に存在する。微生物叢は、ヒトの健康において重要な役割を持っている。それは、腸管組織の成熟に、宿主栄養摂取、病原菌抵抗性、上皮細胞増殖、宿主エネルギー代謝および免疫反応に寄与する。GIT微生物叢の構成および多様性の変更は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、リウマチ性関節炎、アトピー性湿疹、ぜんそくおよび1型糖尿病などの、幾つかの病気と関連している。
【0003】
成人の微生物叢は、経時的にかなり安定しており、個人内で独特である。支配的な微生物個体群の類似性は、血縁関係がない対象者と比べて一卵性双生児においてより高く、微生物叢構成に関する宿主遺伝因子の役割を示唆する。いくつかの動物研究は、主な組織適合性錯体が腸管微生物叢の遺伝子調節に関与していることを示唆している。しかしながら、どの遺伝子または他の因子が微生物構成のスペクトルを決定するかまたは制御するかに関してほとんど知られていない。
【0004】
腸管上皮組織を覆う粘膜層は、宿主防衛の第1層としての重要な役割を持っているが、それはまた、腸微生物叢と宿主との間の接触を可能にする。粘液は主に、ムチン(タンパク質コアと結合オリゴ糖とを含有する大きい糖タンパク質)からなる。粘液層は、結腸中の細菌と上皮細胞との直接接触を防ぐけれども、それは、GIT細菌向けの接着部位を提供し、したがって細菌コロニー形成において重要な役割を持っている。接着部位に加えて、分泌された粘液は、細菌に内因性基質を提供する。粘液は、他の場所に由来する炭水化物が制限される、状況では主要な栄養源であり得る。
【0005】
腸管の微生物叢に加えて、泌尿生殖器管、皮膚、口腔組織および鼻腔組織などの、他の粘膜組織は、片利共生的な微生物のそれら自体のレパートリーを有する。これらの組織における微生物叢のバランスは、宿主の健康安心にも同様に重要である。これらの組織における微生物のスペクトルについてまだ多くは知られていない。健康な膣では、L.クリスパタス(L.crispatus)、L.ガセリ(L.gasseri)、L.ジェンセニイ(L.jensenii)およびL.イナース(L.iners)などのラクトバチルス(Lactobacillus)種の幾つかの種が優勢である。細菌性膣炎では、微生物叢のバランスは嫌気性生物によるコロニー形成の方へシフトし、とりわけガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、アトポビウム(Atopobium)種、幾つかのプレボテラ(Prevotella)種、例えばP.ビビア(P.bivia)およびP.ブカリス(P.buccalis)、ならびにメガスパエラ(Megaspaera)種が一般に検出され得る(SrinivasanおよびFredricks 2008)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在市場で入手可能な多くのプロバイオティック栄養補助食品および微生物叢調節製品は、あらゆる個人にとって所望の健康効果を増進するのに効果がなく、効果は一般に、人によって変わる。したがって、より効率的に健康効果をもたらすことができるより特有のまたは個人に合わせた製品が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ある種の細菌株が、インビトロ上皮細胞モデルでの抗菌性物質の生産および泌尿生殖器管病原菌コロニー形成の競争的排除によって泌尿生殖器管病原菌への阻害効果を示すという本発明者らの意外な発見に基づくものである。さらに、これらの菌株のいくつかは、良好な胆汁および/または酸耐性を実証し、それらが胃腸管での条件に耐えることができ、それ故に経口投与製品での使用に特に好適であることを意味する。
【0008】
理論に制約されることなく、それは、プロバイオティック菌株の経口投与が、膣免疫に影響を及ぼす腸粘膜免疫を高め、環境を、病原菌をより少なく受け入れるような状態にすることによって泌尿生殖器健康を改善することであり得る。プロバイオティック菌株による病原菌阻害についての1つの潜在的なメカニズムは、過酸化水素産生の生成である。別の潜在的なメカニズムは、プロバイオティック菌株による乳酸、バクテリオシンおよび他の微生物代謝産物の生産である。さらに、プロバイオティック菌株は、直腸外皮から膣へのプロバイオティックおよび/または先住ラクトバチルス(lactobacilli)属の上昇を増加させるおよび/または直腸外皮から膣への病原菌の上昇を減少させるのに役立ち得る。
【0009】
したがって、本発明は、
a)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138と比較されるときに少なくとも1.0のインビトロ膣細胞接着についての評価分析における結合親和性;ならびに
b)本明細書での過酸化水素産生評価分析において測定されるときに1.5時間中に生成した蛍光カウントして測定される1128581超および/またはラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14のそれよりも高いレベルの過酸化水素産生レベル
で特徴付けられる細菌またはその代謝産物を提供する。
【0010】
本発明による細菌またはその代謝産物は、
c)耐酸性評価分析に規定されているように1.5時間pH2.5で測定されるときにlog変化として表される-2.6超の平均酸耐性;および/または
d)耐胆汁性評価分析に規定されているように胆汁なしのMRSでの増殖の百分率として0.9%脱水新鮮胆汁での増殖として表される40%超の平均胆汁耐性
でさらに特徴付けられ得る。
【0011】
本発明の細菌は、DSM 32101、DSM 32108、DSM 32107、DSM 32100、DSM 32109、DSM 32113、DSM 32103、DSM 32102、DSM 32097、DSM 32115またはそれらの突然変異株、変異株および/もしくは後代として寄託された細菌株であり得る。
【0012】
本発明の別の態様によれば、本発明による細菌またはその代謝産物と、好適なキャリアとを含むプロバイオティック組成物が提供される。
【0013】
本発明のプロバイオティック組成物は、任意選択で1つ以上のさらなる細菌株と組み合わせて、2、3、4、5または6つの細菌株またはそれらの代謝産物の組み合わせを含んでもよい。
【0014】
一実施形態では、本発明のプロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)BL-04;ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)LPC37;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)HN019、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)HN001、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)La-14および/またはビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bi-07から選択される1つ以上の菌株をさらに含む。
【0015】
一実施形態では、本発明のプロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)HN001、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)HN019、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)Bb-03、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bi-07、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bl-04、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)Bl-05、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)La-14、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)Lb-64、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)Lbr-35、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)Lc-11、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)Ll-23、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)Lp-115、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)Lpc-37、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)Lr-32、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)Ls-33、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)St-21、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GG、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bb-12、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GR-1、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)Rosell-11、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)Rosell-52、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacilllus helveticus)LAFTI L10、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)HA-108、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)HA-111、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)HA-112、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)HA-119、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)HA-179、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)HA-188などの、1つ以上の菌株をさらに含む。
【0016】
本プロバイオティック組成物は、プレバイオティック構成成分をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明はまた、本発明のプロバイオティック組成物の製造方法であって、本方法が、選択された細菌またはその代謝産物を好適なキャリアと組み合わせる工程を含む方法を提供する。
【0018】
本発明は、本発明によるプロバイオティック組成物を含む食品をさらに提供する。
【0019】
本発明の別の態様によれば、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138と比較されるときに少なくとも1.0のインビトロ膣細胞接着についての評価分析における結合親和性を有する細菌またはその代謝産物が提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、
a)i)1つ以上の試験細菌を増殖させる工程;
ii)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138の対照培養物を増殖させる工程;
iii)1つ以上の試験細菌およびラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138の対照培養物を、1つ以上の膣上皮細胞とともに培養する工程;
iv)1つ以上の膣上皮細胞への試験細菌および対照の接着を測定する工程
を含む方法を用いて膣細胞接着を評価分析する工程と;
b)i)1つ以上の試験細菌を増殖させる工程;
ii)ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14対照培養物を増殖させる工程;
iii)1つ以上の試験細菌および対照培養物を同じ期間培養する工程;
iv)1つ以上の試験細菌および対照における過酸化水素産生を測定する工程
を含む方法を用いて過酸化水素産生を評価分析する工程と;
c)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138対照と比較されるときに少なくとも100%の親和性で1つ以上の膣上皮細胞に接着する、かつ、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14対照培養物よりも多い過酸化水素を産生する細菌を選択する工程と
を含む細菌またはその代謝産物の選択方法が提供される。
【0021】
一実施形態では、工程a)iii)およびb)iii)における培養試験細菌および対照は、別個のバイアル中で培養される。
【0022】
別の態様では、本方法は、
d)工程c)において選択された細菌の平均酸耐性を1.5時間pH2.5で評価分析する工程;および/または
e)工程c)において選択された細菌の平均胆汁耐性を0.9%胆汁で評価分析する工程;および
f)1.5時間pH2.5で測定されるときにlog変化として表される-2.6超の平均酸耐性および/または胆汁なしのMRSでの増殖の百分率として0.9%胆汁での増殖として表される40%超の平均胆汁耐性を有する1つ以上の細菌を選択する工程
をさらに含む。
【0023】
本発明は、本発明の方法によって選択された細菌またはその代謝産物をさらに提供する。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、泌尿生殖器疾患を予防するおよび/または治療するための調合物の製造のための、本発明のもしくは本発明の方法によって選択された細菌もしくはその代謝産物、または本発明のプロバイオティック組成物の使用を提供する。
【0025】
本発明はまた、泌尿生殖器疾患の予防および/または治療での使用のための、本発明のもしくは本発明の方法によって選択された細菌もしくは代謝産物、または本発明のプロバイオティック組成物を提供する。
【0026】
一実施形態では、使用、使用のための細菌または代謝産物はさらに、胃腸疾患を予防するおよび/または治療するためのものである。
【0027】
別の態様において、本発明は、本発明によるもしくは本発明の方法によって選択された細菌もしくは代謝産物、または本発明のプロバイオティック組成物を、薬学的に有効な量で対象者に投与する工程を含む、泌尿生殖器疾患の予防および/または治療方法を提供する。
【0028】
別の実施形態では、本方法はさらに、胃腸疾患を予防するおよび/または治療するためのものである。
【0029】
本発明の実施形態が、添付図面に関連して、単なる例として以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】10%ウマ血清で補完されたGEM培地での病原菌の増殖を示す。
【
図2】試験菌株の上清によるガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)(A)およびアトポビウム・バギナエ(Atopobium vaginae)(B)菌株の増殖を示す。水平表題の第2列目に示される数字は、試験菌株の48時間培養後のGEM培地のpHを示す。赤線は、50%阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
特に定義しない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton,et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY,20 ED.,John Wiley and Sons,New York(1994)、およびHale & Marham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY,Harper Perennial,NY(1991)は、本開示において用いられる用語の多くの一般辞書を当業者に提供する。
【0032】
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法および原材料によって制限されず、本明細書に記載のものと類似のまたは同等の任意の方法および原材料を、本開示の実施形態の実施または試験において使用することができる。数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。
【0033】
本明細書において提供される見出しは、本明細書を全体として参照することによって持つことができる本開示の種々の態様または実施形態を制限するものではない。したがって、直下に定義される用語は、本明細書を全体として参照することによってより十分に定義される。
【0034】
用語の他の定義は、本明細書全体にわたって出現する可能性がある。例示的な実施形態がより詳細に記載される前に、本開示は、記載される特定の実施形態に限定されず、それ自体、当然ながら、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書において用いられる専門用語は、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうから、特定の実施形態を記載する目的のためにすぎず、限定的であることを意図しないことがまた理解されるべきである。
【0035】
値の範囲が提供される場合、前後関係が明らかに特に指示しない限り、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限の単位の少数第一位まで、具体的にまた開示されていると理解される。表示範囲内の任意の表示値または介在値間のそれぞれのより狭い範囲、およびその表示範囲内の任意の他の表示値または介在値は、本開示内に包含される。これらのより狭い範囲の上限および下限は独立して、その範囲内に包含されるかまたは除外される可能性があり、そのより狭い範囲内にいずれかもしくは両方の限度が含まれるか、または両方の限度が含まれない各範囲はまた、表示範囲内で任意の限度が具体的に除外されることを前提として本開示に包含される。表示範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限度のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた本開示に含まれる。
【0036】
本明細書でおよび添付の特許請求の範囲で用いられるところでは、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、前後関係が明らかに特に指示しない限り、複数形指示対象を含むことが留意されなければならない。
【0037】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示について専ら提供される。本明細書では何も、そのような刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成することの容認と解釈されるべきでない。
【0038】
下記において、本発明の1つの幅広い態様との関連で言及される好ましい実施形態は、本明細書に記載される本発明の他の幅広い態様のそれぞれに等しく適用できることが理解されるであろう。前後関係が特に指示しない限り、本明細書に記載される好ましい実施形態は組み合わせられてもよいことがさらに理解されるであろう。
【0039】
用語「細菌」または「細菌の」は、任意の細菌種、菌株またはそれらの組み合わせを意味するために本明細書で用いられ、プロバイオティクスとして現在認められている菌株に限定されない。しかしながら、本発明に使用される細菌株は、ヒトおよび/または動物の摂取に好適なものである。当業者は、食品産業および/または農産業において使用され、かつ、ヒトおよび/または動物の摂取に好適と一般に考えられている、本明細書に記載される属内からの特定の種およびまたは菌株を容易に知るであろう。そのような細菌株は、典型的には非病原性であり、ヒトの使用に安全であると一般に見なされ得る(例えばGRAS)。
【0040】
用語「細菌」は一般に、全細菌、例えば全生菌を意味するために用いられる。
【0041】
本発明に使用するのに好適な細菌には、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ステレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ペジオコッカス(Pediococcus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属および/またはオエノコッカス(Oenococcus)属が含まれるが。それらに限定されない。
【0042】
一実施形態では、細菌は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する。ラクトバチルス(Lactobacillus)属の好適な菌株には、L.アシドフィルス(L.acidophilus)、L.アミロボラス(L.amylovorus)、L.ブレビス(L.brevis)、L.カゼイ(L.casei)、L.クリスパタス(L.crispatus)、L.フェルメンタム(L.fermentum)、L.バギナリス(L.vaginalis)、L.クルバチス(L.curvatis)、L.デルブルエキイ・ブルガリクス(L.delbrueckii bulgaricus)、L.ガセリ(L.gasseri)、L.ヘルベティカス(L.helveticus)、L.ジェンセニイ(L.jensenii)、L.ムコサエ(L.mucosae)、L.パラカゼイ(L.paracasei)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.ラムノサス(L.rhamnosus)、L.シルバリウス(L.silvarius)およびL.ルミニス(L.ruminis)が含まれる。
【0043】
さらなる態様では、本発明は、新規細菌株DGCC11795、DGCC11864、DGCC11860、DGCC4299、DGCC11865、DGCC1753、DGCC5111、DGCC911、DGCC11887およびDGCC11881を提供する。これらの菌株は、DuPont Nutrition Biosciences ApSによって、特許手続きのための微生物の寄託の国際認識に関するブタペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the purposes of Patent Procedure)の下で、Leibniz Institute DSMZ-German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Inhoffenstr.7 B,D-38124 Braunschweigにおいて2015年7月29日に受入番号DSM 32101、DSM 32108、DSM 32107、DSM 32100、DSM 32109、DSM 32113、DSM 32103、DSM 32102、DSM 32097およびDSM 32115の下で寄託されている。
【0044】
我々は本明細書によって、寄託者が本出願の寄託生物学的物質について言及する権限を本出願人に与えており、そして寄託物質が公衆に利用可能にされることに寄託者の無条件のおよび取消不能の同意を与えていることを確認する。
【0045】
本発明は、寄託細菌株の突然変異株、変異株および/または後代をさらに提供する。
【0046】
本明細書で用いるところでは、用語「突然変異株」は、親(すなわち、寄託)株の変性によって生じる任意の微生物を意味する。例えば、突然変異株は、寄託菌株の遺伝子組み換えから生じる微生物であってもよい。
【0047】
本明細書で用いるところでは、用語「変異株」は、親株(すなわち、寄託株)に由来する天然由来の微生物を意味する。例えば、変異株は、特定の細胞培養条件への順応から生じる微生物であってもよい。
【0048】
本明細書で用いるところでは、用語「後代」は、寄託株のいずれか1つの再生産または増殖から生じる任意の微生物を意味する。それ故、「後代」は、寄託株のいずれか1つの任意の直系の子孫を意味する。したがって、後代株はそれ自体、親(すなわち、寄託)株と同じ菌株と特定され得る。無性再生産のプロセスのために、後代株が親株と遺伝子学的に実質的に同一であることは当業者に明らかであろう。したがって、一実施形態では、後代は、親株と遺伝子学的に同一であり得るし、親株の「クローン」であると考えられ得る。代替として、後代は、親株と実質的に遺伝子学的に同一であり得る。
【0049】
突然変異株、変異株または後代は、それらの親株と、細菌ゲノムの全体長さにわたって少なくとも90、95、98、99、99.5または99.9%の配列同一性を有し得る。さらに、突然変異株、変異株または後代は、寄託親株と同じ表現型を保持しているであろうし、例えば突然変異株、変異株または後代は、親株と同じまたは同等レベルのインビトロ膣細胞接着および過酸化水素産生を実証し得る。
【0050】
本明細書で用いるところでは、用語「代謝産物」は、プロバイオティック製品製造および貯蔵中のならびに哺乳類での胃腸通過中の細菌の増殖、生存、存続、通過または存在の間に細菌の代謝の結果として細菌によって産生されたまたは変性された全ての分子を意味する。例としては、全ての有機酸、無機酸、塩基、タンパク質およびペプチド、酵素および補酵素、アミノ酸および核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、ビタミン、全ての生物活性化合物、無機成分を含有する代謝産物、ならびに全ての小分子、例えば亜硝酸分子または亜硫酸を含有する分子が挙げられる。
【0051】
1つまたは複数の代謝産物は典型的には、それから細菌細胞が除去された細胞培養物の上清から得られる。一実施形態では、細胞は、37℃で6~24時間嫌気条件下にMRS培地で増殖させられてもよい。さらなる実施形態によれば、細菌細胞培養物は、少なくとも約OD600 0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0、例えば1.5~2.5OD600の細胞密度まで増殖させられてもよい。細胞は、遠心分離によってまたは濾過によって好適にも除去され得る。上清が本発明の調合物に直接使用されてもよいこと、または代謝産物の1つ以上が、使用前に任意の好適な手段によって上清から単離されてもよいことは明らかであろう。
【0052】
本発明での使用に好適な代謝産物には、上述の細菌のいずれかからの代謝産物が含まれるが、それらに限定されない。
【0053】
本発明によれば、細菌またはその代謝産物は、対照菌株に関して、そのインビトロ膣細胞接着で特徴付けされる。接着は、細菌またはその代謝産物を膣細胞と混合し、そして任意の好適な試験または評価分析に従って接着を測定することによって測定され得る。一実施形態では、細菌は、(例えば、放射性または蛍光標識を用いて)標識化され、培養されたヒト膣上皮細胞に適用される。非結合細菌が洗い流され、各試料についての標識(例えば、放射能または蛍光)が測定される。別の実施形態では、細菌は、好適な抗体を使用して検出される。さらなる実施形態では、接着性細菌が培養され、特定される。その上さらなる実施形態では、細菌に結合する膣細胞での受容体が公知である場合には、親和性カラムが使用され得る。
【0054】
本発明の一態様によれば、膣細胞接着は、ATCC安全寄託番号SD5587を有する、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138と比較される。
【0055】
特許請求される細菌または代謝産物は、対照菌株に関してH2O2を産生するその能力でさらに特徴付けられる。H2O2の産生は、好適な試験または評価分析により測定することができる。一実施形態では、菌株は、H2O2産生を誘導するために37℃で3時間通気下に培養される。試料は、1.5時間および3時間培養後に通気培養物から取り出され、試料中のH2O2の存在は、過酸化水素蛍光分析検出キットを用いて測定される。別の実施形態では、菌株は、数日間好気性条件下でセイヨウワサビペルオキシダーゼを含有するテトラメチルベンジン(TMB)寒天で培養される。周囲空気への暴露後に、過酸化水素産生コロニーは青色になる(Rabe LK,Hillier SL J Clin Microbiol 2003,41(7):3260-3264)。さらなる実施形態では、H2O2は、Amplex Redを使ったHorseradishペルオキシダーゼベースの蛍光分析評価分析、3,5,3’5’-テトラメチルベンジジンを使ったHRPベースの分光光度評価分析、フェリチオシアネート発生に基づく分光光度評価分析、またはキシレノール・オレンジ存在下での第二鉄酸化(FOX)法に基づく分光光度評価分析を用いて検出することができる。
【0056】
細菌またはその代謝産物は、胆汁および/または酸へのその耐性に基づいてさらに選択され得る。これらの特性は、細菌またはその代謝産物が胃および胃腸管の条件に生き残ることを可能にするのに役立ち、それ故プロバイオティック細菌にとって有利な特性である。
【0057】
任意の好適な耐胆汁性評価分析が、平均胆汁耐性を測定するために用いられ得る。一実施形態では、耐胆汁性評価分析は、嫌気性条件下に24時間37℃で0.9%または0.3%などの、規定量の脱水新鮮胆汁(例えば雄牛の胆汁(oxgall)、BDから銘柄名DifcoTMで入手可能な)を含有する培地(例えばMRS)で菌株培養物を培養することを含む。増殖は、培養の前後で測定され、胆汁耐性結果は、胆汁なしの増殖と比較して胆汁ありの%増殖(OD)として表される。
【0058】
任意の好適な耐酸性評価分析が平均耐酸性を測定するために用いられ得る。一実施形態では、酸耐性評価分析は、37℃で少なくとも90分間中性pH(すなわち、pH7.2)レベルでおよび比較酸性pH(pH2.5またはpH3.5などの)で好適な培地(例えばPBS)で細菌細胞を培養することを含む。10倍希釈シリーズがMRS寒天上で増殖させられ、コロニーが、37℃で嫌気性条件下に48時間培養後にカウントされる。耐酸性についての結果は、中性pHと比較して酸性条件への暴露後のCFUの増殖log減少として表される。
【0059】
本発明は、本発明の方法に従って選択された1つ以上の細菌株を含むプロバイオティック組成物をさらに提供する。組成物は、本発明の単一菌株、または2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10つの菌株の組み合わせを含んでもよい。プロバイオティック組成物は、追加の菌株、例えば商業的に入手可能なプロバイオティック細菌株をさらに含んでもよい。
【0060】
一実施形態によれば、本発明のプロバイオティック組成物は、1つ以上のさらなる細菌株をさらに含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、さらなる微生物は、以下の属:ラクトコッカス(Lactococcus)属、ステレプトコッカス(Streptococcus)属、ペジオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、カルノバクテリウム(Carnobacterium)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、およびバゴコッカス(Vagococcus)属の1つ以上からの細菌であり得る。1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つのさらなるプロバイオティクス微生物は、ラクトバシラス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属およびサッカロミセス(Saccharomyces)属から選択される。
【0062】
好ましい実施形態では、さらなるプロバイオティック微生物は、細菌、好ましくはプロバイオティック乳酸菌および/またはプロバイオティックビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属である。一実施形態では、好ましくは、さらなる微生物は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属もしくはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属からのものであるか、またはそれらの混合物である。好適にも、微生物は、L.アシドフィルス(L.acidophilus)種、L.クルバツス(L.curvatus)種、L.ラムノサス(L.rhamnosus)種、L.カゼイ(L.casei)種、L.パラカゼイ(L.paracasei)種、L.サリバリウス(L.salivarius)、B.ラクチス(B.lactis)種、B.アニマリス(B.animalis)種、B.ロングム(B.longum)種および/またはB.ビフィダム(B.bifidum)種からの菌株であり得る。一実施形態では、好ましくは、微生物は、L.アシドフィルス(L.acidophilus)種、L.クルバツス(L.curvatus)種、L.サリバリウス(L.salivarius)種、および/またはB.ラクチス(B.lactis)種からの菌株であり得る。
【0063】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属は、プロバイオティック効果を有する任意のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属であり得るし、典型的にはビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)種、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)種、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)種、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)種、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)種、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)種およびビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)種に属する菌株が使用される。
【0064】
ラクトバチルス(Lactobacillus)細菌は、次のもの:ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillis amylovorus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルエキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ペントサセウス(Lactobacillus pentosaceus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、およびラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)のいずれかであり得る。
【0065】
一実施形態によれば、本発明のプロバイオティック組成物は、次の商業的に入手可能な菌株:ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)BL-04;ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)LPC37;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)HN019、および/またはビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bi-07の2、3、4または5つの組み合わせなどの、1つ以上をさらに含む。
【0066】
一実施形態では、本発明のプロバイオティック組成物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)HN001、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)HN019、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)Bb-03、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bi-07、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bl-04、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)Bl-05、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)La-14、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)Lb-64、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)Lbr-35、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)Lc-11、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)Ll-23、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)Lp-115、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)Lpc-37、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)Lr-32、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)Ls-33、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)St-21、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GG、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bb-12、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GR-1、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)Rosell-11、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)Rosell-52、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LAFTI L10、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)HA-108、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)HA-111、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)HA-112、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)HA-119、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)HA-179およびラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)HA-188などの1つ以上の菌株をさらに含む。
【0067】
本明細書で用いるところでは、用語「プロバイオティック」は、十分な量で投与された場合に、受容体に健康利益を与える生きた微生物を意味する。それらは、ヒトの摂取に好適であり、それ故非病原性および非毒性である。これらのプロバイオティク株は一般に、消化管の上部を通り抜けて生き残る能力を有する。プロバイオティック細菌は典型的には、一方で消化管において常在微生物叢との生態学的相互作用によって、かつ、他方で「GALT」(腸管関連リンパ系組織)を介して積極的に免疫系に影響を与えるそれらの能力によって、それらの有益な影響を健康に及ぼす。プロバイオティック細菌は、十分な数で与えられる場合、生きて腸を通過する能力を有する。しかしながら、それらは腸バリアを越えないし、それらの主な効果はそれ故、胃腸管の内腔および/または壁に誘導される。それらは次いで、投与期間中に常在微生物叢の一部を形成する。このコロニー形成(または一時的コロニー形成)は、プロバイオティック細菌が、微生物叢中に存在する潜在的病原性微生物の抑制および腸の免疫系との相互作用などの、有益な影響を及ぼすことを可能にする。
【0068】
プロバイオティック使用について下限または上限は全くないが、1日用量として少なくとも106~1010などの、少なくとも106~1012、例えば108~109)cfuが対象者において所望の健康効果を達成するのに有効である得ることが示唆されている。したがって、本発明に従って使用されるプロバイオティック細菌は、支持体の1g当たり106~1012CFUの細菌、より特に支持体の1g当たり108~1012CFUの細菌、典型的には凍結乾燥形態について1g当たり109~1012CFUを含んでもよい。
【0069】
好適にも、細菌は、1回分当たり約106~約1012CFUの微生物、典型的には1回分当たり約108~約1012CFUの微生物の投与量で投与されてもよい。用語「1回分当たり」とは、この量の微生物が、1日当たりかまたは1回の摂取量当たりかのどちらかで、典型的には1日当たり対象者に与えられることを意味する。例えば、微生物が食品中(例えば、ヨーグルト中)で投与される場合、そのヨーグルトは典型的には、約108~約1012CFUの微生物を含有するであろう。しかしながら、代替として、この量の微生物は、任意の特定の時間(例えば24時間の期間ごとに)で対象者が受ける微生物の全体量が、約108~約1012CFUの微生物などの、約106~約1012CFUの微生物である限り、それぞれがより少量の微生物使用量からなる複数回投与に分けられてもよい。
【0070】
本発明に従って、微生物の少なくとも1菌株の有効量は、1回分当たり少なくとも106CFUの微生物、例えば、1回分当たり約108~約1012CFUの微生物などの、1回分当たり約106~約1012CFUの微生物であり得る。
【0071】
CFUは、「コロニー形成単位」を表す。「支持体」とは、食品、栄養補助食品または薬学的に許容される支持体またはキャリアを意味する。
【0072】
本発明による細菌または代謝産物を単独で(すなわち、いかなる支持体、希釈剤または賦形剤もなしで)投与することが可能であるが、それらは典型的には、製品の一部として、特に食品、栄養補助食品または医薬製剤の一構成成分としてキャリアもしくは支持体上でまたはキャリアもしくは支持体中で投与される。これらの製品は典型的には、当業者によく知られた追加の構成成分を含有する。
【0073】
組成物から恩恵を受けることができる任意の製品が、本発明に使用され得る。これらには、食品、特に果物砂糖漬ならびに乳製品および乳製品派生製品、ならびに医薬製品が含まれるが、それらに限定されない。
【0074】
本発明の細菌組成物は、栄養補助食品として調合され得る。細菌組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤、粉末剤またはエマルションの形態にあってもよい。
【0075】
典型的なプロバイオティック成分は、1グラム当たり、例えば、1010~1012の生プロバイオティック細菌細胞を含有する凍結乾燥粉末である。粉末は、スキムミルクまたは糖などの、好適なキャリア、典型的には、スクロースまたはトレハロースなどのオリゴ糖をさらに含んでもよい。
【0076】
代替として、細菌組成物は、アルギン酸塩、デンプンまたはキサンタンなどのキャリアを使用してカプセル化されてもよい。典型的なカプセル製剤は、1カプセル当たりおよそ109~1011の生プロバイオティック細菌細胞を含有してもよい。
【0077】
本発明のプロバイオティック組成物は、1つ以上のプレバイオティクスをさらに含有してもよい。用語「プレバイオティック構成成分」は、本明細書で用いるところでは、所望のプロバイオティック健康効果を支えるもしくは高めるために、またはプロバイオティック細菌の増殖および/もしくは活性を支援するために使用される任意の化合物、栄養物または追加微生物を意味する。典型的には、プレバイオティクスは、炭水化物(オリゴ糖などの)であるが、その定義は、非炭水化物を排除するものではない。プレバイオティクスの最も広く行き渡っている形態は、可溶性繊維として栄養学的に分類される。ある程度、食物繊維の多くの形態は、あるレベルのプレバイオティック効果を示す。
【0078】
一実施形態では、プレバイオティクスは、宿主の幸せおよび健康に利益を与える胃腸微生物叢の構成および/または活性の両方で、特定の変化を可能にする選択的発酵成分である。
【0079】
好適には、プレバイオティクスは、0.1~50g/日、または0.5~20g/日などの、0.01~100g/日の量で本発明に従って使用され得る。一実施形態では、プレバイオティクスは、2~9g/日、または3~8g/日などの、1~10g/日の量で本発明に従って使用され得る。別の実施形態では、プレバイオティクスは、10~25g/日などの、5~50g/日の量で本発明に従って使用され得る。
【0080】
プレバイオティクスの食事供給源の例としては、ダイズ、イヌリン源(エルサレム・アーティチョーク、ジカマ、およびチコリー根などの)、生オート麦、未精製小麦、未精製大麦ならびにヤーコンが挙げられる。
【0081】
好適なプレバイオティクスの例としては、アルギン酸塩、キサンタン、ペクチン、ローカストビーンガム(LBG)、イヌリン、グァーガム、ガラクトオリゴ糖(GOS)、フルクトオリゴ糖(FOS)、ポリデキストロース(すなわち、Litesse(登録商標))、ラクチトール、ラクトスクロース、ダイズオリゴ糖、イソマルツロース(PalatinoseTM)、イソマルトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ベータ-グルカン、セロビオース、ラフィノース、ゲンチオビオース、メリビオース、キシロビオース、シクロデキストリン、イソマルトース、トレハロース、スタキオース、パノース、プルラン、バーバスコース、ガラクトマンナン、および全ての形態の難消化性デンプンが挙げられる。プレバイオティクスの特に好ましい例は、ポリデキストロースである。
【0082】
本発明のプロバイオティック組成物は、食品として、または食品の調製において使用され得る。本明細書では、用語「食品」は、幅広い意味で用いられ、ヒト用の食品ならびに動物用の食品(すなわち、飼料)を包含する。一態様では、食品は、ヒトの摂取のためのものである。
【0083】
食品は、用途および/または適用方法および/または投与方法に応じて溶液の形態にあってもまたは固体としてであってもよい。
【0084】
典型的なプロバイオティック食品は、1日用量当たりおよそ109~1011の生プロバイオティック細菌細胞を含有してもよい。プロバイオティック細菌は、凍結乾燥粉末などの、プロバイオティック成分として食品中に組み込まれてもよいし、または製品において培養されてもよい。
【0085】
機能性食品などの、食品としてまたは食品の調製において使用される場合、本発明の組成物は、栄養学的に許容されるキャリア、栄養学的に許容される希釈剤、栄養学的に許容される賦形剤、栄養学的に許容されるアジュバント、および栄養学的に活性な成分の1つ以上と併用され得る。
【0086】
例として、本発明のプロバイオティック組成物は、ソフトドリンク、乳清タンパク質を含む果汁または飲料、健康茶、ココア飲料、ミルク飲料および乳酸菌飲料、ヨーグルトおよび飲用ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、水氷およびデザート、菓子、ビスケットケーキおよびケーキミックス、スナック食品、バランスの取れた食品および飲料、フルーツフィリング、保護グレーズ、チョコレートベーカリーフィリング、チーズケーキ風味付けフィリング、フルーツ風味付けケーキフィリング、ケーキおよびドーナツの糖衣、即席ベーカリーフィリングクリーム、クッキー用のフィリング、直ちに使用できるベーカリーフィリング、低カロリーフィリング、成人用栄養飲料、酸性化大豆/ジュース飲料、無菌/レトルトチョコレート飲料、バーミックス、飲料粉末、カルシウム強化大豆/プレーンおよびチョコレートミルク、カルシウム強化コーヒー飲料中の成分として使用することができる。
【0087】
プロバイオティック組成物は、アメリカンチーズソース、粉および細切りチーズ用の固化防止剤、チップディップ、クリームチーズ、ドライブレンドホイップトッピング無脂肪サワークリーム、凍結/解凍乳製品ホイップクリーム、凍結/解凍に安定なホイップトッピング、低脂肪および低カロリーナチュラルチェダーチーズ、低脂肪スイス型ヨーグルト、気泡入り冷凍デザート、ハードパックアイスクリーム、ラベルフレンドリーで、改善された経済性および道楽のハードパックアイスクリーム、低脂肪アイスクリーム:ソフトクリーム、バーベキューソース、チーズディップソース、コテッジ・チーズドレッシング、ドライミックスアルフレドソース、ミックスチーズソース、ドライミックストマトソースなどの食品中の成分としてさらに使用することができる。
【0088】
用語「乳製品」は、本明細書で用いるところでは、動物および/または植物由来のミルクを含む媒体を含むことを意図する。動物由来のミルクとしては、ウシの、ヒツジの、ヤギのまたはバッファローのミルクを挙げることができる。植物由来のミルクとしては、本発明により使用することができる植物由来の、特に大豆、米または穀類由来の任意の発酵性物質を挙げることができる。
【0089】
1つの特定の態様によれば、本発明に従って用いられる食品は、発酵ミルクまたは人乳近似(humanized)ミルクである。
【0090】
ある種の態様については、本発明は、ヨーグルト生産、発酵ヨーグルト飲料、ヨーグルト、飲用ヨーグルト、チーズ、発酵クリーム、ミルク系デザートなどの発酵乳製品および非乳製品に関連して用いられ得る。
【0091】
好適には、組成物は、チーズ用途、食肉用途、または保護培養物を含む用途の1つ以上における成分としてさらに使用することができる。
【0092】
本発明はまた、食品または食品成分の調製方法であって、本方法が本発明による組成物を別の食品成分と混ぜ合わせる工程を含む方法を提供する。
【0093】
有利には、本発明は、本発明のプロバイオティック組成物と(および任意選択で他の構成成分/成分と)接触させた製品であって、この組成物が製品の栄養摂取および/または健康利益を向上させることができる量で使用される製品に関する。
【0094】
本明細書で用いるところでは、用語「接触させた」は、製品への本発明の組成物の間接的または直接的適用を意味する。用いられ得る適用方法の例としては、組成物を含む材料中で製品を処理すること、組成物を製品と混合することによる直接的適用、製品表面上へ組成物を噴霧すること、または製品を組成物の調合液中へ浸漬することが挙げられるが、それらに限定されない。
【0095】
本発明の製品が食材である場合、本発明の組成物は典型的には、製品と混ぜ合わせられる。代替として、組成物は、食材のエマルションまたは未加工成分中に含められ得る。さらなる代替では、組成物は、香味料、グレーズ、着色剤混合物などとして適用され得る。
【0096】
一部の用途向けには、組成物が、影響を受ける/処理される製品の表面上でまたは表面上に利用可能にされることが重要である。これは、組成物が次の有利な特徴:すなわち、栄養摂取および/または健康利益の1つ以上を付与することを可能にする。
【0097】
本発明の組成物は、制御された量の微生物を製品に散在させる、被覆するおよび/または含浸させるために適用され得る。
【0098】
一実施形態では、組成物は、ミルクまたはスクロース強化乳またはスクロースおよび/もしくはマルトース入り乳酸菌用培地を発酵させるために使用され、この場合に、組成物のすべての構成成分、すなわち、本発明による前記微生物-を含有する結果として生じた培地は、例えば、106~1010cfuの1日用量を与える最終製品中の濃度でなどの、好適な濃度でヨーグルトミルクに成分として添加することができる。本発明による微生物は、ヨーグルトの発酵前または発酵後に使用され得る。
【0099】
有利には、製品が食品である場合、プロバイオティック細菌は、食品が小売業者によって販売のために提供される、通常の「販売期限」または「賞味期限」日まで有効なままであるべきである。有効期間は有益にも、食品損傷が明らかになる通常の鮮度保持期間の終わりまでそのような期日を越えて延ばし得る。所望の期間の長さおよび通常の保存可能期間は、食材によって変わるであろうし、当業者は、保存可能時間が食材の種類、食材のサイズ、貯蔵温度、加工条件、包装材料および包装設備によって変わることを認めるであろう。
【0100】
本発明のプロバイオティック組成物は、機能性食品として使用されてもよく、または機能性食品に添加されてもよい。本明細書で用いるところでは、用語「機能性食品」は、栄養学的効果および/または味覚を提供することができるだけでなく、追加の健康利益などの、さらなる有益な効果をまた消費者にもたらすことができる食品を意味する。
【0101】
したがって、機能性食品は、純粋な栄養学的効果以外の、医学的または生理学的利益などの、特定の機能的利益をその食品に与える構成成分または成分(本明細書で記載されたものなどの)がそれらの中へ組み込まれている普通の食品である。機能性食品の法的な定義は全くないけれども、それらは一般に、特定の健康効果を有するとして市場に出されている食品である。
【0102】
いくつかの機能性食品は、栄養補助食品である。本明細書で用いるところでは、用語「栄養補助食品」は、栄養学的効果および/または味覚の満足感を提供することができるだけでなく、消費者に治療上の(または他の有益な)効果をもたらすことができる食品を意味する。栄養補助食品は、食品と薬剤との間の伝統的な境界線を横断するものである。
【0103】
さらなる態様によれば、本発明は、泌尿生殖器疾患の予防および/または治療のための、膣細胞への結合接着および過酸化水素産生を実証する細菌もしくはその代謝産物、または1つ以上のそのような細菌を含むプロバイオティック組成物の使用に関する。
【0104】
本明細書で用いるところでは、用語「泌尿生殖器疾患」には、生殖器官または泌尿器系に関連する任意の病気または疾患、特に泌尿生殖器感染症が含まれる。疾患は、泌尿生殖器微生物叢の構成および/または多様性の変更に関連していることが知られているものであり得る。泌尿生殖器疾患は、泌尿管感染症(例えば、大腸菌(E.coli)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)もしくはスタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)による感染症)、細菌性膣炎(例えば、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)などの嫌気性細菌での感染症)または酵母膣炎(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)および/もしくはカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)などの酵母による感染症)であり得る。
【0105】
本発明の別の態様では、特許請求される細菌、その代謝産物またはプロバイオティック組成物はさらに、胃腸疾患の治療に使用され得る。
【0106】
本明細書で用いるところでは、用語「胃腸疾患」には、胃腸管に関する任意の病気または疾患が含まれる。疾患は、例えば、GIT微生物叢の構成および多様性の変更に関連していることが知られているものであり得る。胃腸疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、クローン(Crohn)病、潰瘍性結腸炎、便秘または下痢であり得る。
【0107】
医薬品として-またはその調製において使用される場合、本発明の組成物は、薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に有効な成分の1つ以上と併用され得る。
【0108】
薬学的に許容される支持体は、例えば、圧縮錠剤、錠剤、カプセル剤、軟膏、坐薬または飲用溶液の形態での支持体であり得る。他の好適な形態は以下に提供される。
【0109】
医薬品は、用途および/または適用方法および/または投与方法に応じて、溶液の形態にあっても、または固体としてであってもよい。
【0110】
細菌もしくはその代謝産物またはプロバイオティック組成物は、-単独の場合であろうと、または他の構成成分もしくは成分との組み合わせで存在する場合であろうと-任意の好適な形態で本発明に従って使用され得る。本発明で使用される細菌は、本明細書では「組成物」と言われることがある。同様に、本発明の組成物と、他の構成成分および/または成分(すなわち、食品成分、機能性食品成分または医薬品成分などの成分)とを含む組み合わせが、任意の好適な剤形で使用され得る。
【0111】
細菌もしくはその代謝産物またはプロバイオティック組成物は、固体もしくは液体製剤またはそれらの代替の形態で本発明に従って使用され得る。固体製剤の例としては、水和性でも、噴霧乾燥されていても、または凍結乾燥されていてもよい錠剤、カプセル剤、粉剤、粒剤および粉末剤が挙げられるが、それらに限定されない。液体製剤の例としては、水溶液、有機もしくは水性有機溶液、懸濁剤およびエマルションが挙げられるが、それらに限定されない。
【0112】
剤形の好適な例としては、即時放出、遅延放出、調節放出、持続放出、パルス放出または制御放出用途向けの、香味剤または着色剤を含有してもよい、錠剤、丸剤、カプセル剤、オビュール剤、液剤または懸濁剤の1つ以上が挙げられる。
【0113】
例として、本発明の組成物が、機能性成分として使用するためなどの-錠剤形態で使用される場合、錠剤はまた、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤;デンプン(トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプンなどの)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の複雑なケイ酸塩などの崩壊剤;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシアゴムなどの造粒結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの平滑剤の1つ以上を含有してもよい。
【0114】
剤形を調製するのに使用するための栄養学的に許容されるキャリアの例としては、例えば、水、食塩水、アルコール、シリコーン、ワックス、ワセリン、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエスラル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0115】
剤形用の好適な賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。
【0116】
水性懸濁剤および/またはエリキシル剤のためには、本発明の組成物は、様々な甘味剤または香味剤、色素または染料と、乳化剤および/または懸濁化剤と、そして水、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤、ならびにこれらの組み合わせと組み合わせられ得る。
【0117】
これら剤形にはまた、ゼラチンカプセル剤、食物繊維カプセル剤、食物繊維錠剤または食物繊維飲料が含まれ得る。
【0118】
経口投与のための調合物が理想的には胃腸管の通過中に安定なままであり得るべきであることは、当業者に明らかであろうし;例えば、それは、タンパク質分解に耐性を示し、酸性pHで安定であり、かつ、胆汁の洗浄効果に耐性を示し得る。
【0119】
代替として、細菌もしくはその代謝産物またはプロバイオティック組成物は、例えば膣内または直腸ルートによる、経粘膜的投与のために調合され得る。調合物は、クリーム、錠剤、ペッサリーまたは座薬であり得る。
【0120】
本発明は、番号付き段落の形態で提示される、以下の開示をさらに提供する:
1.a)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138と比較されるときに少なくとも1.0のインビトロ膣細胞接着についての評価分析における結合親和性;ならびに
b)本明細書での過酸化水素産生評価分析において測定されるときに1.5時間中に生成した蛍光カウントして測定される1128581超および/またはラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14のそれよりも高いレベルの過酸化水素産生レベル
で特徴付けられる細菌またはその代謝産物。
【0121】
2.前記細菌またはその代謝産物が、
c)耐酸性評価分析に規定されているように1.5時間pH2.5で測定されるときにlog変化として表される-2.6超の平均酸耐性;および/または
d)耐胆汁性評価分析に規定されているように胆汁なしのMRSでの増殖の百分率として0.9%脱水新鮮胆汁での増殖として表される40%超の平均胆汁耐性
でさらに特徴付けられる段落1に記載の細菌またはその代謝産物。
【0122】
3.前記細菌が、DSM 32101、DSM 32108、DSM 32107、DSM 32100、DSM 32109、DSM 32113、DSM 32103、DSM 32102、DSM 32097、DSM 32115またはそれらの突然変異株、変異株および/もしくは後代として寄託されている段落1または2に記載の細菌。
【0123】
4.段落1~3のいずれか1つに記載の細菌またはその代謝産物を含むプロバイオティック組成物。
【0124】
5.好適なキャリアをさらに含む、段落4に記載のプロバイオティック組成物。
【0125】
6.段落1~3のいずれか1つに記載の2、3、4、5または6つの細菌株またはそれらの代謝産物の組み合わせを含む、段落4または5に記載のプロバイオティック組成物。
【0126】
7.1つ以上のさらなる細胞株をさらに含む、段落4~6のいずれかに記載のプロバイオティック組成物。
【0127】
8.前記1つ以上のさらなる細菌株が、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)BL-04;ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)LPC37;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)HN019、および/またはビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bi-07から選択される、段落7に記載のプロバイオティック組成物。
【0128】
9.DSM32109、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)BL-04;ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)LPC37;ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)HN019およびビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bi-07を含む段落8に記載のプロバイオティック組成物。
【0129】
10.少なくとも1つのプレバイオティック構成成分をさらに含む、段落4~9のいずれか1つに記載のプロバイオティック組成物。
【0130】
11.段落4~10のいずれか1つに記載のプロバイオティック組成物の製造方法であって、本方法が、選択された細菌またはその代謝産物を好適なキャリアを組み合わせる工程を含む方法。
【0131】
12.段落4~10のいずれか1つに記載のプロバイオティック組成物を含む食品、栄養補助食品、医療食品、栄養補給または医薬組成物。
【0132】
13.a)i)1つ以上の試験細菌を増殖させる工程;
ii)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138の対照培養物を増殖させる工程;
iii)1つ以上の試験細菌およびラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138の対照培養物を、1つ以上の膣上皮細胞とともに培養する工程;
iv)1つ以上の膣上皮細胞への試験細菌および対照の接着を測定する工程
を含む方法を用いて膣細胞接着を評価分析する工程と;
b)i)1つ以上の試験細菌を増殖させる工程;
ii)ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14対照培養物を増殖させる工程;
iii)1つ以上の試験細菌および対照培養物を同じ期間培養する工程;
iv)1つ以上の試験細菌および対照における過酸化水素産生を測定する工程
を含む方法を用いて過酸化水素産生を評価分析する工程と;
c)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138対照培養物と比較されるときに少なくとも100%の親和性で1つ以上の膣上皮細胞に接着する、かつ、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14対照培養物よりも多い過酸化水素を産生する細菌を選択する工程と
を含む細菌またはその代謝産物の選択方法。
【0133】
14.工程a)iii)およびb)iii)における培養試験細菌および対照が、別個のバイアル中で培養される段落13に記載の方法。
【0134】
15.段落13または14に記載の方法であって、前記方法が、
d)工程c)において選択された細菌の平均酸耐性を1.5時間pH2.5で評価分析する工程;および/または
e)工程c)において選択された細菌の平均胆汁耐性を0.9%胆汁で評価分析する工程;および
f)1.5時間pH2.5で測定されるときにlog変化として表される-2.6超の平均酸耐性および/または胆汁なしのMRSでの増殖の百分率として0.9%胆汁での増殖として表される40%超の平均胆汁耐性を有する1つ以上の細菌を選択する工程
をさらに含む方法。
【0135】
16.段落13~15のいずれか1つに記載の方法によって選択された細菌またはその代謝産物。
【0136】
17.泌尿生殖器疾患を予防するおよび/または治療するための調合物の製造のための、段落1~3もしくは16のいずれか1つに記載のまたは段落13~15のいずれか1つに記載の方法によって選択された細菌もしくは代謝産物、または段落4~10のいずれか1つに記載のプロバイオティック組成物の使用。
【0137】
18.泌尿生殖器疾患の予防および/または治療での使用のための、段落1~3もしくは16のいずれか1つに記載のまたは段落13~15のいずれか1つに記載の方法によって選択された細菌もしくは代謝産物、または段落4~10のいずれか1つに記載のプロバイオティック組成物。
【0138】
19.段落17または18に記載の使用のための細菌またはその代謝産物の使用であって、前記使用がさらに胃腸疾患を予防するおよび/または治療するためのものである使用。
【0139】
20.段落1~3もしくは16のいずれか1つに記載のまたは段落13~15のいずれか1つに記載の方法によって選択された細菌もしくはその代謝産物、または段落4~10いずれか1つに記載のプロバイオティック組成物を、薬学的に有効な量で対象者に投与する工程を含む泌尿生殖器疾患の予防および/または治療方法。
【0140】
21.段落20に記載の方法であって、前記方法がさらに胃腸疾患を予防するおよび/または治療するためのものである方法。
【0141】
22.実質的に図面に関連して本明細書に記載されるような細菌、代謝産物、プロバイオティック組成物、食品、方法、使用のための細菌もしくは代謝産物、使用またはそれらの組み合わせ。
【0142】
本発明は、以下の実施例に関連して、ほんの例として、説明される。
【実施例】
【0143】
原材料および方法
菌株のプロバイオティック特性
菌株の酸耐性は、1.5時間pH2.5およびpH3.5において、胆汁耐性は、24時間0.9%および0.3%Oxgall(Difco)胆汁濃度において試験した(Saarela et al.2009)。手短に言えば、菌株を、18時間37℃で嫌気性条件下にMRSブロスで正副2通り培養した。ペレット化細胞を10mlのPBS pH7.2で2回洗浄し、試料の光学密度(OD600)が1である(1×108CFU/mlに等しい)ように0.01モル/LのPBS pH7.2に再懸濁させた。酸耐性は、細胞を、37℃で90分間PBS pH7.2、PBS pH2.5およびPBS pH3.5において培養することによって試験した。10倍希釈シリーズをMRS寒天上で増殖させ、コロニーを、37℃で嫌気性条件下に48h培養後にカウントした。酸耐性についての結果は、pH7.2と比較してpH2.5または3.5への暴露後のCFUの増殖log減少として表した。胆汁耐性は、1:10希釈菌株培養物を、嫌気性条件下に24時間37℃で0.9%Oxgall雄牛の胆汁を含有するMRS、0.3%Oxgallを含有するMRSでおよび平板MRSで培養することによって試験した。増殖は、Multiskan RC(Labsystems)によってOD595として培養前後に測定した。胆汁耐性結果は、胆汁なしのMRSでの増殖(OD)と比較して0.9%または0.3%Oxgall入りMRSでの%増殖(OD)として表した。さらに、菌株の酸および胆汁耐性を、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)LGG(VTT E-96666)菌株のそれと比較した。測定は全て、正副2通り行い、菌株のほとんどについて2回繰り返した。
【0144】
H2O2産生
H2O2を産生する菌株の能力を、病原菌阻害のための潜在的メカニズムとして試験した。ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14を、各実験において対照菌株として含めた。菌株を一晩37℃においてMRSで微好気性条件下に培養した。一晩培養後のOD600は、Multiskan RC(Labsystems)によって測定し、平均2.2(1.8~2.4)であった。H2O2評価分析のために、1mlの培養物を10mlのMRSブロス中に植菌し、H2O2産生を誘導するために37℃で3時間通気下に培養した。50μl試料を、培養の開始時(=0時間)に、ならびに1.5時間および3時間培養後に通気培養物から採取した。50μl試料中のH2O2の存在は、製造業者の使用説明書に従って過酸化水素蛍光分析検出キット(Enzo Life Sciences)によって測定した。手短に言えば、50μl反応カクテルを50μl試料に添加し、室温で暗所にて10分間培養し、蛍光をWallac Viktor2 1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer)によって測定した。結果は、3時間中に産出されたH2O2として表した。
【0145】
膣上皮細胞上での生体外接着
健康な供与者(不特定の年齢)から単離された一次膣細胞は、CelProgen(San Pedro.CA.USA)に由来した。細胞を、血清(Serum)(CelProgen)入りのヒト膣上皮細胞増殖培地(Human Vaginal Epithelial Growth Media)でヒト膣上皮増殖(Human Vaginal Epithelial Expansion)ECM t75フラスコ(CelProgen)において増殖させた。細胞を可能な最早期継代での接着評価分析に使用した。細胞を5%CO2雰囲気で、37℃で培養した。
【0146】
接着評価分析のための細菌細胞の調製:細菌株を、適切な増殖培地下に一晩増殖させた(病原菌については表1を参照されたい)。DAVE菌株を37℃で嫌気性条件下にMRS)で培養した。細菌を、10μlのメチル-1.2 [3H]チミジン(4.4TBq/ミリモル)(Perkin Elmer)が添加された1.5mlの適切な培地で、37℃で嫌気的に一晩それらを培養することによって放射能で標識化した。次の日に、細菌を5分間2800×gでの遠心分離によって集め、細菌ペレットをPBS(Life Technologies)に懸濁させ、PBSで2回洗浄した。細菌量を、Apajalahti et al.2002によって記載されているようにフローサイトメトリーで測定した。カウント後に、1つの膣細胞当たり10の細菌に相当する細菌細胞数を遠心分離し、DMEMに希釈した。
【0147】
接着評価分析:接着評価分析のために、150,000の膣上皮細胞をヒト膣上皮細胞培地(Human Vaginal Epithelial Culture)ECM 24ウェルプレート(CelProgen)に接種した。一晩(o/n)培養後に、細胞をいかなる栄養補完物もなしのDMEM(Life Technologies)で2回洗浄し、標識化細菌を細胞上に適用し、1時間培養した。非結合細菌を、PBS(Life Technologies)で4回洗浄することによって洗い流し、その後100μlのDMEMおよび1mlのOptiphaseスーパーミックス(Perkin Elmer)をピペットで量って細胞上に移した。各評価分析のために、次の対照を含めた:
対照1:細胞あり、しかし細菌なしの対照ウェル
対照2:同じ量の細菌が含まれたが、細胞が全く含まれなかった対照ウェル。これは、試料から得ることができる最大数の放射能カウントを表す。
対照3:細菌も細胞もなしのウェル。
【0148】
放射能は、1450 Microbeta Trilux Liquid Scintillation and Luminescenceカウンター(Perkin Elmer)を用いてカウントした。各細菌についての接着は、次の通り計算した:
【数1】
【0149】
各細菌の接着を、ATCC安全寄託番号SD5587を有する、対照菌株ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)LH0138の接着と比較した。対照の結合親和性を100%としてまたは1.0として表し、試験菌株の結合親和性をそれと比較した。%接着については、これは、試料%接着を対照菌株の平均%接着値で割ることによって得られた。
【0150】
病原菌増殖阻害
病原菌ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)CCUG 3717T、CCUG 44114、CCUG 44157、CCUG 44159、アトポビウム・バギナエ(Atopobium vaginae)CCUG 38953T、CCUG 39382、CCUG 44156、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)CCUG 9557T、CCUG 34043およびCCUG 56865の増殖を阻害する試験菌株の能力を試験した。増殖阻害試験については、試験菌株を、1%グルコースで補完されたGEM培地(Saarela et al.2004)で培養し、病原菌を、10%ウマ血清で補完されたGEMで培養した。病原菌および試験菌株は両方とも、48時間37℃で嫌気的に増殖させた。各試験菌株および病原菌対を、10%ウマ血清入りの100μlのGEM培地に100μlの研究される病原菌を植菌し、そしてGEM増殖試験菌株の100μlの0.22um濾過上清を添加することによって試験した。各試験-病原菌対のODを、Bioscreen(Growth Curves Ltd.)による37℃での48時間好気性培養の前後に測定した。各Biocreen培養および測定を2反復で行い、各実験対照菌株L.ラムノサス(L.rhamnosus)GGを、試験菌株ならびに陰性対照(10%ウマ血清入りの、いかなる細菌もなしの300μlのGEM培地)および各病原菌についての陽性増殖対照(10%ウマ血清入りの200μlのGEM培地中の100μl病原菌)に加えて試験した。Bioscreen培養前後のOD差を計算し、DAVE菌株なしの病原菌の増殖と関連付けた。病原菌、G.バギナリス(G.vaginais)CCUG 44157、A.バギナエ(A.vaginae)CCUG 39382および全てのP.ビビア(P.bivia)菌株が、10%ウマ血清で補完されたGEM培地上で不十分に増殖した。それ故DAVE菌株の増殖阻害能は、これらの病原菌を使って研究することができなかった。
【0151】
膣細胞株上での病原菌接着排除
病原菌接着排除を、Celprogenから入手した一次膣上皮細胞(カタログ番号36078-11)を使って研究した。病原菌接着排除は、4つの病原菌(表1)でスクリーニングした。
【0152】
【0153】
病原菌接着排除評価分析のために、病原菌は標識化し、接着を阻害するために使用されるラクトバチルス(lactobacillus)属は標識化しなかった。だから、ラクトバチルス(lactobacillus)属接着評価分析とは対照的に、カウントが低ければ低いほど、接着阻害はより良好であった。病原菌接着排除評価分析は、3~4反復で3回繰り返した。
【0154】
接着排除手順:膣細胞を栄養補完物なしのDMEMで2回洗浄し、ラクトバチルス(lactobacillus)属を、1つの膣細胞に対して10細菌細胞の量として細胞の上に投与した。ラクトバチルス(lactobacillus)属を1時間膣細胞に結合させ、その後非結合細胞をDMEMで3回まで洗い流した。洗浄後に、病原菌を10:1比で細胞の上に適用し、1時間結合させた。(例外:実験3については、1膣上皮細胞当たり10病原菌細菌の代わりに、1膣上皮細胞当たり20細菌を使用した。これは、病原菌についてのみ適用され、ラクトバチルス(lactobacillus)属の量は、実験3において他の実験におけるのと同じものであった。)非結合細菌を4回PBSで洗浄し、100μlのDMEMならびに1mlのOptiphase Supermixをピペットで量って細胞上に移し、1450 Microbeta Trilux Liquid Scintillation and Luminescenceカウンターを用いてカウントした。結合についての値は、%接着値が、病原菌のみありしかしラクトバチルス(lactobacillus)属なしで培養された対照細胞に対して正規化されたことを除いては、セクション4.5におけるのと同様に計算した。
【0155】
微生物培地からのSCFAの測定
短鎖脂肪酸および乳酸の生産を、25菌株サブセットについて分析した。菌株を、2日間好気性条件下にGEM培地で培養した。微生物培地の短鎖脂肪酸および乳酸含量は、次の通りガスクロマトグラフィーによって測定した:1mlの内部標準(20mMのピバリン酸)、3mlの水および2.5mlの飽和シュウ酸溶液を、1mlの試料に添加した。十分な混合後に、試料を60分間4℃で放置し、その後5分間16000×gで遠心分離した。1mlの上清を、175℃および24ml/分の流量でのキャリアガスとしてのヘリウムで、80/120のCarbopack B-DA/4%Carbowax 20 M固定相(Supelco.Bellefonte PA.USA)を詰められたガラスカラムを使用するガスクロマトグラフィーによって分析した。注入器および水素炎イオン化検出器の温度は、それぞれ、200℃および245℃であった。酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2-メチル酪酸および乳酸の濃度を測定した。
【0156】
実施例1
多数の異なる判定基準を用いて、泌尿生殖器健康を改善するように設計されたプロバイオティック組成物についての対照菌株と比べて有利な特性を有する本発明の細菌を選択した。
【0157】
用いられた判定基準および選択されたカットオフ値を表2において以下に示す。
【0158】
【0159】
評価分析は、原材料および方法セクションにおいて上記のように実施した。これらの分析の結果を、多数の菌株について以下に提示する。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
実施例2
酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、2-メチル酪酸、イソ吉草酸、乳酸および吉草酸生産を、いくつかの菌株について測定した。結果を表11に提示する。菌株は、乳酸を出産する能力において異なり、DSM 32115は、約200μモル/ml以上の乳酸を生産し、DSM 32113は、100~200μモル/mlを生産する。残りの菌株は、100μモル/mlよりも下を生産する。
【0169】
【0170】
実施例3
病原菌の増殖を阻害する選択された菌株の上清の能力を測定した。9の試験された病原菌のうちで、5病原菌(G.バギナリス(G.vaginalis)菌株CCUG 3717T、CCUG 44114、CCUG 44159、アトポビウム・バギナエ(Atopobium vaginae)菌株CCUG 38953T、CCUG 44156)が、適用された培地、10%ウマ血清で補完されたGEMで十分に増殖した(
図1)。試験条件で十分な増殖を示す菌株についての結果を
図1に提示する。
【0171】
GEM上で増殖する全ての病原菌は、少なくとも1つの菌株の上清によって阻害された。特に、菌株DSM 32109およびDSM 32113は、全ての試験された病原菌の増殖をよく阻害した(
図2)。48時間培養後の菌株の培地のpHを測定し(
図2)、これらの菌株においてpHは4.3から4.5まで変わった。阻害は、pHと相関関係を持たず、pH低下が増殖阻害結果を専ら説明するわけではないことを示唆した。
【0172】
実施例4(泌尿生殖器急性感染モデル)
雌C57Bl/6マウス(6~8週齢)に、膣植菌日の3日前におよび植菌日に100μl油キャリア中の0.5mgのベータ-エストラジオールを腹腔内注射する。マウスをイソフルオランで麻酔し、マウスに105、106、107、108および/または109CFU/マウスの1回分で、プロバイオティクスありまたはなしの20μlの滅菌PBS(OD600≒5.0)中の約5×107CFUのストレプトマイシン耐性ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)を膣内植菌する。
【0173】
24および72時間ポスト感染時点で、200μlピペットを用いて膣を50μLの滅菌PBSでフラッシュし、10回上下にピペッティングし、引き続き滅菌Eppendorfチューブ中の追加の10μLのPBS中へリンスすることによって膣洗浄液を集める。膣洗浄液および膣組織を、G.バギナリス(G.vaginalis)、シアリダーゼ活性、炎症および/または上皮剥奪について分析する。
【0174】
G.バギナリス(G.vaginalis)の分析
膣洗浄液および子宮組織を、G.バギナリス(G.vaginalis)についてqPCRで分析する。
【0175】
シアリダーゼ活性
膣洗浄試料を、300μMの4-メチルウンベリフェリル-Neu5Ac(50μL)を含有する100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)で1:2希釈する。基質加水分解をプレートリーダーで定量化する。
【0176】
上皮剥奪および炎症
膣切片をパラフィン中に埋め込み、組織構造切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、顕微鏡下で可視化して炎症および上皮剥奪の程度を評価する。画像を上皮厚さの測定のために取り込む。
【0177】
マウス膣洗浄液における上皮剥奪の評価のために、5μLの膣洗浄液を顕微鏡下で可視化する。5つの代表的な画像を各試料から取り込み、上皮細胞を、平均剥奪度について各画像からカウントする。
【0178】
追加の情報は、参照により本明細書に援用される、Gilbert et al.Clinical features of bacterial vaginosis in a murine model of vaginal infection with Gardenella vaginalis.PLoS One 2013;8(3):e59539に見いだすことができる。
【0179】
実施例5(泌尿生殖器感染予防モデル)
雌C57Bl/6マウス(6~8週齢)を、植菌前の2週間プロバイオティクス(107、108および/もしくは109CFUの1日用量)またはビヒクルで強制飼養する。
【0180】
マウスに次に、植菌日の3日前におよび植菌日に100μl油キャリア中の0.5mgのベータ-エストラジオールを腹腔内注射する。マウスをイソフルオランで麻酔し、マウスに、20μlの滅菌PBS(OD600≒5.0)中の約5×107CFUのストレプトマイシン耐性ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)を膣内植菌する。
【0181】
24および72時間ポスト感染時点で、200μlピペットを用いて膣を50μLの滅菌PBSでフラッシュし、10回上下にピペッティングし、引き続き滅菌Eppendorfチューブ中の追加の10μLのPBS中へリンスすることによって膣洗浄液を集める。膣洗浄液および膣組織を、G.バギナリス(G.vaginalis)、シアリダーゼ活性、および/または上記のような上皮剥奪について分析する。
【0182】
追加の情報は、参照により本明細書に援用される、Gilbert et al.Clinical features of bacterial vaginosis in a murine model of vaginal infection with Gardenella vaginalis.PLoS One 2013;8(3):e59539に見いだすことができる。
【0183】
本明細書で言及された全ての公文書は、言及される主題に特別の注意を払いながら、それらの全体を参照により本明細書によって援用される。本発明の記載された態様の様々な修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明は、具体的な好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、特許請求されるような本発明は、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、当業者に明らかである、本発明を実施するための記載された方式の種々の修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを意図される。