(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】抗がん剤およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 493/10 20060101AFI20220726BHJP
A61K 31/35 20060101ALI20220726BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220726BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220726BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220726BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220726BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20220726BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220726BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
C07D493/10 C CSP
A61K31/35
A61P35/00
A61P15/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P1/18
A61P43/00 121
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2019537750
(86)(22)【出願日】2017-09-22
(86)【国際出願番号】 US2017052967
(87)【国際公開番号】W WO2018057897
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-15
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598063203
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ アラン ケー.
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0178098(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0096879(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0307512(US,A1)
【文献】国際公開第2015/077370(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/031999(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02233463(EP,A1)
【文献】国際公開第2014/158242(WO,A1)
【文献】Organic Letters,16(23),2014年,P.6200-6203
【文献】Journal of Natural Products,2014年,77(8),P.1864-1870
【文献】Tetrahedron,2006年,62(7),P.1378-1389
【文献】Heterocycles,2004年,64,P.51-56
【文献】Chemistry - A European Journal,2011年,17(3),P.895-904
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 493/00
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式
Ibの化合物、またはその立体異性体、
もしくは薬学的に許容される塩:
式中
Aは基A
1
:
であり;
R
1はH、ヒドロキシル保護基、およびアルキルからなる群より選択され;
R
5
、およびR
8~R
12はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
13
は-C(O)R
16
であり、ここでR
16
はアルキル
、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここ
でR
17およびR
18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する。
【請求項2】
R
16がアルキルである、請求項
1記載の化合物。
【請求項3】
R
16が-NR
17R
18であ
り、R
17
およびR
18
が、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、請求項
1記載の化合物。
【請求項4】
前記式Ibの化合物が、下記式:
(式中、Y
1
は、-OH、アルキル、アルキル-O-、および-NR
17
R
18
からなる群より選択され、ここでR
17
およびR
18
はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択されるか、またはR
17
およびR
18
は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する。)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記式Ibの化合物が、下記式:
(式中、Y
2
は、非存在、O、CH
2
またはNR
19
であり、ここでR
19
はHまたはアルキルである)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
下記:
から選択される化合物、またはその立体異性体、もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1記載の、式
Ibの化合物の作製法であって:
式IIの化合物:
式中:
Aは基A
1
:
であり;
R
1はH、ヒドロキシル保護基、およびアルキルからなる群より選
択される、該式IIの化合物を、
式
IIIbの化合物:
式中:
R
5およびR
8~R
12はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され
;
R
13
は-C(O)R
16
であり、ここでR
16
はアルキル
、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここ
でR
17およびR
18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、該式
IIIbの化合物と接触させる段階
を含む、方法。
【請求項8】
R
16がアルキルである、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
R
16が-NR
17R
18であ
り、R
17
およびR
18
が、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、請求項
7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月23日提出の米国特許仮出願第62/398,783号の恩典を主張し、その内容は本明細書において完全に示されるがごとく参照により組み入れられる。
【0002】
米国政府支援の言明
本発明は国立衛生研究所により授与されたGM053386の下での政府支援により行った。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
アメリカがん協会は、がんがその医学的処置の費用(年間約800億ドル)ならびに死亡および/または能力障害による生産性損失(年間約1200億ドル)により、米国の経済に対し年間ほぼ2000億ドルの負担になると推定している。もちろん、愛する者が多くの形態のがんと診断され、処置され、時にはそれが原因で死亡する場合の人間的損失もある。がんの高い社会的および経済的費用ゆえに、新しいがん処置は、米国立衛生研究所などの機関、ならびに主要な製薬会社にとって、最優先事項である。
【発明の概要】
【0004】
説明
開示する主題の一定の態様について、ここで詳細に述べることになり、その例を部分的に添付の図面に示す。開示する主題を列挙する特許請求の範囲と共に記載するが、例示する主題は特許請求の範囲を開示する主題に限定する意図はないことが理解されるであろう。
【0005】
がんなどの増殖性疾患は、周辺(または遠隔)組織の健康機能を妨げる、細胞の急速な成長により、体に害をおよぼす。細胞は速やかに複製するため、転写経路を妨害する化合物は疾患と闘うのに有用である。すなわち、転写経路において役割を果たす1つまたは複数のタンパク質の機能を妨害することが可能であれば、がん性細胞の増殖(および転移の可能性)は制限されるであろう。そのような妨害は少なくとも患者の寿命をさらに数ヶ月または数年延ばす助けとなるであろう。
【0006】
転写経路に関与するタンパク質複合体の1つのファミリーはスプライソソームである。スプライソソームは典型的には、共にはたらいて転写中にゲノム材料からのエクソンの切断(すなわち、イントロンのスプライシング)を制御する、100を超えるタンパク質を含む。スプライソソームまたはスプライソソーム-制御タンパク質の機能を妨げる化合物は、増殖性疾患の拡大を遅延または停止させるのに有用である。
【0007】
態様は、増殖性細胞の成長を制限するのに有効で、がん治療剤として有用な化合物を含む。態様は、これらの化合物を含む組成物ならびに患者に投与すると化合物を生じるプロドラッグも含む。化合物は、がん、特に乳がん、肺がん、子宮頸がん、前立腺がん、卵巣がん、膵がん、および腎細胞がんなどの、固形腫瘍細胞がんの処置のために有用である。化合物、組成物、およびプロドラッグは、増殖性疾患、例えば、がんの処置を必要としている患者に投与することができる。
【0008】
態様は、本明細書に記載の様々な態様の治療化合物の作製法をさらに含む。
【0009】
様々な態様は、式Iを有する化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体(例えば、米国特許第8,663,643号を参照されたく、その内容は本明細書において完全に示されるがごとく参照により組み入れられる)を対象とする:
式中
X
1を含む環内の破線は二重または一重結合であり;
X
1は、隣接する炭素原子に二重結合で結合している場合、CHおよびNからなる群より選択され;または
X
1は、隣接する炭素原子に一重結合で結合している場合、O、CH
2、およびNHからなる群より選択され;
Aは基A
1~A
5からなる群より選択され:
nは1~10(例えば、1~5;1~3;または2~5)の整数であり;
X
1aは-(CH
2)
g-X
1b-であり、ここでgは1~5の整数であり、かつX
1bは結合、OまたはNR
1aであり、ここでR
1aはHまたはアルキルであり;
R
1はH、ヒドロキシル保護基、およびアルキルからなる群より選択され;
R
2、R
3、R
5、およびR
8~R
12はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
4は-N
3、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル-X
2、およびアリールアルキル-X
2-からなる群より選択され、ここでX
2は-O-もしくはNHであるか、またはR
4は-C(O)R
14であり、ここでR
14はH、-OH、アルキル-O-、および-N(R
15)
2からなる群より選択され、ここで各R
15は独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
6およびR
7は、一緒に、二重結合またはシクロアルキル基を形成し;かつ
R
13はH、アルキル、および-C(O)R
16からなる群より選択され、ここでR
16はH、-OH、アルキル、アルキル-O-、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここでR
17およびR
18はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択されるか、またはR
17およびR
18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する。
【0010】
様々な他の態様は、式Ia~Icを有する化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体を対象とする:
式中、AおよびR
5~R
13は本明細書において定義される。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0011】
様々な他の態様は、式IおよびIa~Icの化合物を対象とし、式中R13は-C(O)R16である。いくつかの態様において、R16はアルキルまたは-NR17R18である。いくつかの態様において、R16は-NR17R18である。いくつかの態様において、R17およびR18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5または6員複素環を形成する。
【0012】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、X
1は本明細書において定義され;Y
1は-OH、アルキル、アルキル-O-、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここでR
17およびR
18は本明細書において定義され;かつY
2は、複素環が5員複素環であるような非存在、O、CH
2またはNR
19であり、ここでR
19はHまたはアルキルである。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0013】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体でもある:
式中、X
1、Y
1、およびY
2は本明細書において定義され;かつZ
1はHまたはアルキルである。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0014】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれるさらに他の化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、X
1、Y
1、およびY
2は本明細書において定義される。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0015】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれるさらに他の化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、n、R
14、X
1、Y
1、およびY
2は本明細書において定義される。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0016】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる他の化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、X
1、Y
1、およびY
2は本明細書において定義される。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0017】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、n、R
2、R
14、X
1、Y
1、およびY
2は本明細書において定義される。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0018】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、n、R
2、R
14、X
1、およびY
1は本明細書において定義され;X
3はアルキル、アリール、およびR
20-O-からなる群より選択され、ここでR
20はアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群より選択される。いくつかの態様において、X
1はOである。
【0019】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である。
【0020】
式IおよびIa~Icのうちの1つまたは複数に含まれる化合物は、以下の式の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体である:
式中、Y
4はt-ブチルオキシカルボニル(BOC)基またはフルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)基などの保護基である。
【0021】
本開示の態様は、式Vの化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体(例えば、米国特許第8,663,643号を参照されたく、その内容は本明細書において完全に示されるがごとく参照により組み入れられる)も含む:
式中、X
1、A、R
5~R~R
10は式Iの化合物について本明細書において定義され、かつIa~Icは本明細書において定義され;かつX
4はアリールまたは5~6員複素環である。
【0022】
式Vに含まれる化合物の例には、式Vaの化合物が含まれる:
式中、X
4は:
であり、ここでX
6はCH
2または-CH
2CH
2-であり;X
5はアルコキシ、またはNHアルキルであり;かつX
7はC(O)OR
21、C(O)NR
21R
22、OR
21またはNR
21R
22であり、ここでR
21はH、アルキルまたはアシルであり;かつR
22はHまたはS(O)
qR
23であり、ここでR
23はアルキルまたはアリールであり;qは0、1または2であり;かつdは1または2である。
【0023】
【0024】
式Vaの化合物の例には、式(Vb)の化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体(例えば、米国特許第8,663,643号を参照されたく、その内容は本明細書において完全に示されるがごとく参照により組み入れられる)が含まれる:
X
8およびX
9はそれぞれ独立に、H、アルキルもしくはアルコキシであるか、またはX
8およびX
9は、それらが結合している炭素原子と一緒に、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル)を形成する。
【0025】
式V、Va、およびVbの化合物の例には、以下の式の化合物が含まれる。
【0026】
本開示の態様は、式VIの化合物、およびその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体(例えば、米国特許第8,663,643号を参照されたく、その内容は本明細書において完全に示されるがごとく参照により組み入れられる)も含む:
式中、Aは本明細書において定義され、かつ各Aは同じでも異なっていてもよい。
【0027】
【0028】
さらに他の態様は、式IおよびIa~Icを有する化合物、ならびにその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体の調製法であって、以下の段階を含む方法を対象とする:
式IIの化合物:
式中:
Aは基A
1~A
5からなる群より選択され:
nは1~10(例えば、1~5;1~3;または2~5)の整数であり;
X
1aは-(CH
2)
g-X
1b-であり、ここでgは1~5の整数であり、かつX
1bは結合、OまたはNR
1aであり、ここでR
1aはHまたはアルキルであり;
R
1はH、ヒドロキシル保護基、およびアルキルからなる群より選択され;
R
2およびR
3はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
4は-N
3、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル-X
2、およびアリールアルキル-X
2-からなる群より選択され、ここでX
2は-O-もしくはNHであるか、またはR
4は-C(O)R
14であり、ここでR
14はH、-OH、アルキル-O-、および-N(R
15)
2からなる群より選択され、ここで各R
15は独立にHおよびアルキルからなる群より選択される、該式IIの化合物を、
式IIIの化合物:
式中:
R
5およびR
8~R
12はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
6およびR
7は、一緒に、二重結合またはシクロアルキル基を形成し;かつ
R
13はH、アルキル、および-C(O)R
16からなる群より選択され、ここでR
16はH、-OH、アルキル、アルキル-O-、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここでR
17およびR
18はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択されるか、またはR
17およびR
18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、該式IIIの化合物と、オレフィンメタセシス触媒存在下で接触させて、
式I、およびIa~Icを有する化合物、ならびにその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)または抗体結合体を生成する段階。
【0029】
いくつかの態様において、式IIの化合物は、式IIaの化合物、およびその立体異性体である:
式中、R
1は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IIaの化合物には、以下の式の化合物:
および、特に、以下の式の化合物:
が含まれる。
【0030】
いくつかの態様において、式IIの化合物は、式IIbの化合物、およびその立体異性体である:
式中、R
1~R
3は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IIbの化合物には、以下の式の化合物:
および、特に、以下の式の化合物:
が含まれる。
【0031】
いくつかの態様において、式IIの化合物は、式IIcの化合物、およびその立体異性体である:
式中、R
1は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IIcの化合物には、以下の式の化合物:
および、特に、以下の式の化合物:
が含まれる。
【0032】
いくつかの態様において、式IIの化合物は、式IIdの化合物、およびその立体異性体である:
式中、n、R
1、R
2、およびR
4は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IIdの化合物には、以下の式の化合物:
式中、n、R
1、R
2、およびR
14は本明細書において定義される;および、特に、以下の式の化合物:
が含まれる。
【0033】
いくつかの態様において、式IIIの化合物は、式IIIaの化合物である:
式中、X
1およびR
5~R
13は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IIIの化合物は、式IIIbの化合物である:
式中、X
1、R
5、およびR
8~R
13は本明細書において定義される。さらに他の態様において、式IIIの化合物は、式IIIcの化合物である:
式中、X
1、R
5、およびR
9~R
13は本明細書において定義される。さらに他の態様において、式IIIの化合物は、式IIIdの化合物である:
式中、X
1およびR
9は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式III、IIIa、IIIb、IIIcまたはIIIdの化合物中、X
1はOである。
【0034】
いくつかの態様において、式IIIの化合物は、式IVの化合物である:
式中、X
1、R
5、およびR
8~R
13は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IVの化合物は、式IVaの化合物である:
式中、X
1、R
5、およびR
9~R
13は本明細書において定義される。さらに他の態様において、式IVの化合物は、式IVbの化合物である:
式中、X
1は本明細書において定義される。いくつかの態様において、式IV、IVa、およびIVbの化合物中、X
1はOである。
【0035】
当業者であれば、本明細書に記載の化合物はキラル中心を含むことを理解するであろう。本明細書に記載の化合物のすべてのジアステレオマー、ならびにラセミ体が本明細書において企図される。当業者であれば、本明細書に記載の化合物は二重結合を含み、そのそれぞれはE(逆に(engegen))またはZ(一緒に(zuzammen))立体配置を有し得ることも理解するであろう。本明細書に記載の化合物のすべての異性体(例えば、E,E;Z,Z;E,Z;およびZ,E)が本明細書において企図される。
【0036】
様々な態様は、本明細書に記載の様々な態様の1つまたは複数の化合物および1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはその組み合わせを含む、薬学的組成物も企図する。「薬学的組成物」とは、対象(例えば、哺乳動物)への投与に適した化学的または生物学的組成物を意味する。そのような組成物は、頬側、皮膚、皮膚上、硬膜外、注入、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、肺、浣腸または坐剤による直腸、皮下、真皮下、舌下、経皮、および経粘膜を含むが、それらに限定されない、いくつかの経路の1つまたは複数による投与のために特に製剤してもよい。加えて、投与は、カプセル剤、滴剤、フォーム、ゲル、ガム、注射剤、液剤、パッチ、丸剤、多孔性パウチ、散剤、錠剤、または他の適切な投与手段によるものであり得る。
【0037】
「薬学的賦形剤」または「薬学的に許容される賦形剤」は、担体、時には液体を含み、その中で活性治療剤を製剤する。賦形剤は、一般には、いかなる薬理活性も製剤に提供しないが、化学的および/または生物学的安定性、ならびに放出特性を提供してもよい。適切な製剤の例は、例えば、Remington, The Science And Practice of Pharmacy, 20th Edition, (Gennaro, A. R., Chief Editor), Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000において見出すことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」または「賦形剤」は、生理的に適合性の任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤を含む。1つの態様において、担体は非経口投与のために適切である。または、担体は静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下、または経口投与のために適切であり得る。薬学的に許容される担体には、滅菌注射用液剤または分散剤の即時調製のための滅菌水性溶液または分散液および滅菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒質および作用物質の使用は、当技術分野において周知である。任意の通常の媒質または作用物質が活性化合物と不適合である場合を除き、本明細書に記載の薬学的組成物におけるその使用が企図される。補助的活性化合物を組成物中に組み込むこともできる。
【0039】
薬学的組成物は、製造および貯蔵の条件下で無菌かつ安定であり得る。組成物を溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または他の高い薬物濃度に適した規則構造として製剤することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびその適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性を、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散物の場合は必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0040】
多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことによりもたらすことができる。さらに、本明細書に記載の組成物を、持効性製剤で、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物で製剤することもできる。活性化合物を、植込剤およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの、組成物を急速放出から保護する担体と共に調製することもできる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポロオルトエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸ポリグリコール酸共重合体(PLG)などの、生体分解性、生体適合性ポリマーを用いてもよい。そのような製剤を調製するための多くの方法が当業者には公知である。
【0041】
経口投与剤形も本明細書において企図される。薬学的組成物をカプセル剤(硬または軟)、錠剤(フィルムコーティング、腸溶コーティングまたは非コーティング錠)、散剤もしくは顆粒剤(コーティングまたは非コーティング剤)または液剤(溶液または懸濁液)として経口投与してもよい。製剤を、当技術分野において周知の任意の方法によって都合よく調製してもよい。薬学的組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈液、流動剤、緩衝化剤、湿潤剤、保存料、着色料、甘味料、香料、および薬学的に適合性の担体を含む、1つまたは複数の適切な生産補助剤または賦形剤を含んでもよい。
【0042】
列挙した態様のそれぞれについて、化合物を当技術分野において公知の様々な剤形によって投与することができる。当業者には公知の任意の生物学的に許容される剤形、およびその組み合わせが企図される。そのような剤形の例には、咀嚼錠、急速溶解錠、発泡錠、再構成可能散剤、エリキシル剤、液剤、溶液、懸濁剤、乳剤、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル剤、ゼラチン軟カプセル剤、ゼラチン硬カプセル剤、カプレット、ロゼンジ、咀嚼ロゼンジ、ビーズ、散剤、ガム、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒、カシェ剤、圧注、坐剤、クリーム、外用剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒状吸入剤、植込剤、デポー植込剤、経口摂取剤、注射剤(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)、注入剤、およびその組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0043】
混合によって含むことができる他の化合物は、例えば、錠剤またはカプセル剤のためのラクトース、デキストロースサッカロース、セルロース、デンプンまたはリン酸カルシウム、軟カプセル剤のためのオリーブ油またはオレイン酸エチルおよび懸濁剤または乳剤のための水または植物油などの、医学的に不活性な成分(例えば、固体および液体希釈剤);シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムおよび/またはポリエチレングリコールなどの、滑沢剤;コロイド状粘土などのゲル化剤;トラガカントガムまたはアルギン酸ナトリウムなどの増粘剤、デンプン、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤;デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩またはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤;発泡性混合物;染料;甘味料;レシチン、ポリソルベートまたはラウリルスルフェートなどの湿潤剤;ならびにそのような製剤の公知の添加剤である、保水剤、保存料、緩衝剤および抗酸化剤などの、他の治療的に許容される補助成分である。
【0044】
経口投与用の液体分散剤は、シロップ、乳剤、溶液、または懸濁剤であり得る。シロップは担体として、例えば、サッカロースまたはサッカロースとグリセロールおよび/もしくはマンニトールおよび/もしくはソルビトールを含み得る。懸濁剤および乳剤は、担体、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含み得る。
【0045】
様々な態様の治療組成物中の活性化合物の量は、疾患状態、年齢、性別、体重、患者病歴、危険因子、疾患素因、投与経路、既存の処置計画(例えば、他の薬物療法との可能性のある相互作用)、および個人の体重などの因子に応じて変動し得る。投与計画を、最適な治療反応を提供するよう調節してもよい。例えば、単一ボーラスを投与してもよく、いくつかに分割した用量を経時的に投与してもよく、または用量を、治療状況の緊急性によって示されるのに比例して低減もしくは増大してもよい。
【0046】
本明細書において用いられる「単位剤形」とは、処置する哺乳動物対象のための単位投薬量に適した物理的に分離した単位を意味し;各単位は、必要な薬学的担体と共に所望の治療効果を生じるよう計算された活性化合物の所定の量を含む。単位剤形の仕様は、活性化合物の固有の特性および達成すべき特定の治療効果、ならびに個人の感受性の処置のためにそのような活性化合物を配合する技術分野に固有の制限によって指示され、それらに直接依存する。化合物またはその適切な薬学的組成物が有効な、哺乳動物(例えば、ヒト)における状態を処置するための治療的使用において、化合物を有効量で投与してもよい。適切な投薬は、本明細書に記載の組成物、薬学的組成物または任意の他の組成物であってもよい。
【0047】
列挙した態様のそれぞれについて、投薬量を典型的には1日に1回、2回、または3回投与するが、より頻繁な投与間隔も可能である。投薬量を毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、および/または7日毎(週に1回)に投与してもよい。1つの態様において、投薬量を毎日、最大30日まで、好ましくは7~10日の間まで投与してもよい。別の態様において、投薬量を1日2回10日間投与してもよい。患者が慢性疾患または状態に対する処置を必要とする場合、投薬量を徴候および/または症状が持続するかぎり投与してもよい。患者は「維持処置」を必要とすることもあり、その場合、患者に投薬量を毎日数ヶ月間、数年間、またはその人生の残りの間与える。加えて、本明細書に記載の組成物は再発する症状の予防をもたらしてもよい。例えば、投薬量を1日に1回または2回投与して、危険度が高い患者、特に無症候性の患者の症状の発症を予防してもよい。
【0048】
本明細書に記載の組成物を、以下の経路のいずれかで投与してもよい:頬側、皮膚上、硬膜外、注入、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、肺、浣腸または坐剤による直腸、皮下、真皮下、舌下、経皮、および経粘膜。好ましい投与経路は頬側および経口である。投与は局所でもあり得、その場合、組成物を疾患の部位に直接、それに接して、局所性に、近くに、それに向けて、その周りに、もしくはその近辺に、または全身に投与し、ここで組成物は患者に投与され、体を広く通過して、それにより疾患の部位に達する。局所投与は、疾患を含み、および/もしくは疾患に冒され、かつ/あるいは疾患の徴候および/もしくは症状が活性であるか、または起こる可能性がある、細胞、組織、臓器、および/または臓器系への投与でもあり得る。投与は、局所効果を伴う外用でもあり得、組成物をその作用が望まれる場所に直接適用する。投与は腸内でもあり得、ここで所望の効果は全身性(非局所性)であり、組成物を消化管を介して投与する。投与は非経口でもあり得、ここで所望の効果は全身性であり、組成物を消化管以外の経路によって投与する。
【0049】
いくつかの態様において、様々な態様は、本明細書に記載の様々な態様の1つまたは複数の化合物の治療的有効量を含む組成物を企図する。いくつかの態様において、組成物は、がんの処置法であって、様々な態様の1つまたは複数の化合物の治療的有効量をそれを必要としている患者に投与する段階を含む方法において有用である。いくつかの局面において、様々な態様は、がんの緩和を必要としている患者を処置するための薬剤として用いるための、例えば、式Iの化合物を企図する。いくつかの態様において、がんには、下記を含むがそれらに限定されない固形腫瘍細胞がんが含まれるが、それらに限定されない:膵がん;膀胱がん;結腸直腸がん;転移性乳がんを含む乳がん;アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺がんを含む前立腺がん;例えば、転移性腎細胞がんを含む腎がん;肝細胞がん;例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、細気管支肺胞上皮がん(BAC)、および肺の腺がんを含む肺がん;例えば、進行性上皮性または原発性腹膜がんを含む卵巣がん;子宮頚がん;胃がん;食道がん;例えば、頭部および頸部の扁平上皮がんを含む頭頚部がん;メラノーマ;転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌がん;例えば、神経膠腫、退形成乏突起膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人退形成星状細胞腫を含む脳腫瘍;骨がん;および軟部肉腫。造血器腫瘍の例には、急性骨髄性白血病(AML);移行期CMLおよびCML急性転化期(CML-BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML);急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL);ホジキン病(HD);濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫 (MM);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加型不応性貧血(RAEB)、および移行期のRAEB(RAEB-T)を含む骨髄異形成症候群(MDS);ならびに骨髄増殖性症候群、例えば、乳がん、肺がん、子宮頸がん、前立腺がん、卵巣がん、膵がん、および腎細胞がん。
【0050】
本明細書において用いられる「治療的有効量」なる用語は、処置中の疾患または障害の症状の軽減を含む、研究者、獣医、内科医または他の臨床医が探究している、組織系、動物またはヒトにおける生体または薬物反応を誘発する、本明細書に記載の様々な態様の1つまたは複数の化合物の量を意味する。いくつかの態様において、治療的有効量は、任意の薬物処置に適用できる妥当な損益比で、疾患または疾患の症状を処置または軽減し得るものである。しかし、本明細書に記載の化合物および組成物の合計1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医が決定し得ることが理解されるべきである。任意の特定の患者に対する具体的な治療的有効用量レベルは、処置中の状態および状態の重症度;用いる具体的化合物の活性;用いる具体的組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別および食餌;投与の時間、投与経路、および用いる具体的化合物の排出速度;処置の持続時間;用いる具体的化合物と組み合わせて、または同時に用いる薬物;および研究者、獣医、内科医または他の臨床医には周知の同様の因子を含む、様々な因子に依存することになる。治療的有効量は、本明細書に記載の化合物の1つまたは複数の投与中に起こり得る任意の毒性、または他の望ましくない副作用に関連して選択し得ることも理解されよう。
【0051】
いくつかの態様において、本明細書に記載の様々な態様の化合物の治療的有効量は、1日に受容者の体重1キログラムあたり約0.05~50mg;例えば、約0.1~25mg/kg/日、または約0.5~10mg/kg/日の範囲であり得る。したがって、例えば、70kgの人への投与のために、投薬量の範囲は1日に約35~70mgであり得る。
【0052】
いくつかの態様において、本明細書に記載の様々な態様の化合物は、約1nM未満~約100nMのがん細胞株(例えば、ATK 293細胞株およびMDR細胞株)に対するインビトロIC50値を有する。
【0053】
いくつかの態様において、本明細書に記載の様々な態様の化合物のうちの1つまたは複数を、ドセタキセル、パクリタキセル、ベバシズマブ(アバスチン(商標))を含むが、それらに限定されない、少なくとも1つの他の抗がん剤との組み合わせで投与することができる。
【0054】
本明細書に表示および記載するものに加えて、その様々な改変および多くのさらなる態様は、当業者には、本明細書において引用する科学および特許文献への参照を含む、本文書の全内容から明らかになるであろう。本明細書における主題は、その様々な態様およびその等価物において適合させうる、重要な情報、例示および指標を含む。
【発明を実施するための形態】
【0055】
使用している用語および表現は、説明のために用いるものであって、限定のためではなく、そのような用語および表現の使用において、表示および記載する特徴の任意の等価物またはその一部を除外する意図はなく、様々な改変が可能であることが理解されよう。したがって、様々な態様を本明細書において具体的に開示してきたが、本明細書において開示する概念の改変および変種が、当業者によって用いられ得ること、ならびにそのような改変および変種は添付の特許請求の範囲によって定義される様々な態様の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0056】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、1~40の炭素原子(C1~C40)、1~約20の炭素原子(C1~C20)、1~12の炭素(C1~C12)、1~8の炭素原子(C1~C8)、または、いくつかの態様において、1~6の炭素原子(C1~C6)を有する、置換または無置換直鎖および分枝アルキル基およびシクロアルキル基を意味する。直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチル基などの1~8の炭素原子を有するものが含まれる。分枝アルキル基の例には、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、および2,2-ジメチルプロピル基が含まれるが、それらに限定されない。代表的置換アルキル基は、本明細書において列挙する任意の基、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基で1回または複数回置換され得る。「アルキル」なる用語は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、および-CH2CH(CH3)CH2-などの置換または無置換直鎖および分枝二価アルキル基も含む。
【0057】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」なる用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル基などであるが、それらに限定されない、置換または無置換環式アルキル基を意味する。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3から約8~12の環構成員を有し得るが、他の態様において、環炭素原子の数は3~4、5、6、または7の範囲である。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3~6の炭素原子(C3~C6)を有し得る。シクロアルキル基には、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、およびカレニル基などであるが、それらに限定されない、多環式シクロアルキル基、およびデカリニルなどであるが、それらに限定されない、縮合環がさらに含まれる。
【0058】
本明細書において用いられる「アシル」なる用語は、カルボニル部分を含む基を意味し、ここで基はカルボニル炭素原子を介して結合している。カルボニル炭素原子は、置換または無置換アルキル、アリール、アラルキル シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部であり得る、別の炭素原子にも結合している。カルボニル炭素原子が水素に結合している特別な場合、基は「ホルミル」基、すなわち用語が本明細書において定義されるアシル基である。アシル基は、カルボニル基に結合している0から約12~40、6~10、1~5または2~5の追加の炭素原子を含み得る。アクリロイル基はアシル基の一例である。アシル基は本明細書の意味の範囲内でヘテロ原子も含み得る。ニコチノイル基(ピリジル-3-カルボニル)は本明細書の意味の範囲内のアシル基の一例である。他の例には、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイル、およびアクリロイル基などが含まれる。カルボニル炭素原子に結合している炭素原子を含む基がハロゲンを含む場合、基は「ハロアシル」基と呼ぶ。一例はトリフルオロアセチル基である。
【0059】
本明細書において用いられる「アリール」なる用語は、環内にヘテロ原子を含まない、置換または無置換環式芳香族炭化水素を意味する。したがって、アリール基には、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、およびナフチル基が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、アリール基は基の環部分に約6~約14の炭素(C6~C14)または6~10の炭素原子(C6~C10)を含む。アリール基は、本明細書の定義のとおり、無置換でも置換されていてもよい。代表的な置換アリール基は一置換または多置換、例えば、2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換フェニルまたは2~8置換ナフチル基であり得、これらは本明細書に列挙するものなどの炭素または非炭素基で置換され得る。
【0060】
本明細書において用いられる「アラルキル」および「アリールアルキル」なる用語は、アルキル基の水素または炭素結合が本明細書の定義のアリール基への結合で置き代えられている、本明細書の定義のアルキル基を意味する。代表的なアラルキル基にはベンジルおよびフェニルエチル基が含まれる。
【0061】
本明細書において用いられる「ヘテロシクリル」および「複素環式」なる用語は、3つ以上の環構成員を含み、その1つまたは複数はN、O、およびSなどであるが、それらに限定されない、ヘテロ原子である、置換または無置換芳香環および非芳香環化合物を意味する。したがって、ヘテロシクリルはシクロヘテロアルキル、もしくはヘテロアリール、または多環式の場合、その任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は3~約20の環構成員を含むが、他のそのような基は3~約15の環構成員を含む。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基には、3~8の炭素原子(C3~C8)、3~6の炭素原子(C3~C6)または6~8の炭素原子(C6~C8)を含むヘテロシクリル基が含まれる。C2-ヘテロシクリルと示すヘテロシクリル基は、2つの炭素原子および3つのヘテロ原子を有する5員環、2つの炭素原子および4つのヘテロ原子を有する6員環などであり得る。同様に、C4-ヘテロシクリルは1つのヘテロ原子を有する5員環、2つのヘテロ原子を有する6員環などであり得る。炭素原子の数プラスヘテロ原子の数は環原子の合計数に等しい。ヘテロシクリル環は、1つまたは複数の二重結合も含み得る。ヘテロアリール環はヘテロシクリル基の一態様である。「ヘテロシクリル基」なる語句は、縮合芳香族および非芳香族基を含むものを含む、縮合環種を含む。代表的なヘテロシクリル基には、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、フラニル、ピロリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、チオフェニル、テトラヒドロフラニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、トリアジオリル(triazyolyl)、テトラゾリル、ベンゾキサゾリニル、およびベンズイミダゾリニル基が含まれるが、それらに限定されない。
【0062】
本明細書において用いられる「アルコキシ」なる用語は、本明細書の定義の、シクロアルキル基を含む、アルキル基に接続された酸素原子を意味する。直鎖アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されない。分枝アルコキシの例には、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されない。環式アルコキシの例には、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されない。アルコキシ基は、酸素原子に結合している1から約12~20または約12~40の炭素原子を含み得、さらに二重または三重結合を含み得、ヘテロ原子も含み得る。例えば、アリルオキシ基は、本明細書の意味の範囲内のアルコキシ基である。メトキシエトキシ基も、構造の2つの隣接原子がそれによって置換されている状況におけるメチレンジオキシ基と同様、本明細書の意味の範囲内のアルコキシ基である。
【0063】
本明細書において用いられる「アミン」なる用語は、例えば、式N(基)3を有する一級、二級、および三級アミンを意味し、ここで各基は独立にHまたはアルキル、アリールなどの非Hであり得る。アミンには、アルキルアミン、アリールアミン、アリールアルキルアミン;ジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジアラルキルアミン、ヘテロシクリルアミンなど;およびアンモニウムイオンが含まれるが、それらに限定されない。
【0064】
本明細書において用いられる「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハロゲン化物」基なる用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に記載がないかぎり、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
【0065】
本明細書において用いられる「塩」および「薬学的に許容される塩」なる用語は、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を作製することにより修飾されている、開示する化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性基の鉱酸または有機酸塩;およびカルボン酸などの酸性基のアルカリまたは有機塩が含まれるが、それらに限定されない。薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される、親化合物の通常の非毒性塩または四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような通常の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、および硝酸などの無機酸由来のもの;ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、およびイセチオン酸などの有機酸から調製した塩が含まれる。
【0066】
薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、通常の化学的方法により合成することができる。いくつかの場合に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中、または2つの混合物中で反応させることにより調製することができ;一般にはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985に見出され、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0067】
「溶媒和物」なる用語は、非共有結合性の分子間力によって結合している化学量論または非化学量論量の溶媒をさらに含む、化合物またはその塩を意味する。溶媒が水の場合、溶媒和物は水和物である。
【0068】
「プロドラッグ」なる用語は、生物学的条件(インビトロまたはインビボ)下で加水分解、酸化、またはそれ以外に反応して、本明細書に開示および記載の化合物を含む、活性化合物を提供し得る、化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カーボネート、生物加水分解性ウレイド、および生物加水分解性ホスフェート類縁体などの生物加水分解性部分を含む、本明細書に記載の化合物の誘導体および代謝物が含まれるが、それらに限定されない。カルボキシル官能基を有する化合物の具体的なプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子上に存在する任意のカルボン酸部分をエステル化することにより都合よく形成される。プロドラッグは典型的には、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers GmbH)によって記載されるものなどの、周知の方法を用いて調製することができる。
【0069】
「ヒドロキシル保護基」なる用語は、ヒドロキシル基における反応を防止する基を意味する。適切な酸素保護基の例には、シリル保護基(例えば、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、およびt-ブチルジフェニルシリル)、テトラヒドロピラニル保護基、エトキシエチル保護基、ベンジル保護基、ナフチルメチル保護基、p-メトキシベンジルエーテルなどが含まれるが、それらに限定されない。ヒドロキシル基の他の一般に用いられる保護基については、Peter G.M Wuts and Theodora W. Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis (4th ed. 2007)を参照されたい。
【0070】
範囲様式で表される値は、範囲の上下限として明らかに示される数値のみならず、各数値および部分範囲が明らかに示されるかのごとく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値または部分範囲も含むと、柔軟な様式で解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、および4%)および部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。「約X~Y」なる言明は、特に記載がないかぎり、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Y、または約Z」なる言明は、特に記載がないかぎり、「約X、約Y、または約Z」と同じ意味を有する。
【0071】
本文書において、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」なる用語は、文脈が特に明記しないかぎり、1つまたは複数を含むために用いられる。「または」なる用語は、特に記載がないかぎり、非排他的な「または」を意味するために用いられる。加えて、本明細書において用いられる術語または用語は、特に記載がないかぎり、説明のためにすぎず、限定のためではないことが理解されるべきである。項の表題の任意の使用は、文書を読む際の補助を意図するものであり、限定的であると解釈されるべきではない。さらに、項の表題に関連する情報は、その特定の項の範囲内または範囲外で起こり得る。さらに、本文書において引用するすべての出版物、特許、および特許文書は、個別に参照により組み入れられるがごとく、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0072】
本明細書に記載の方法において、段階は、時間的または操作上の順序が明白に示されている場合を除き、本明細書に記載の原理から逸脱することなく、任意の順で実施することができる。さらに、明示した段階は、明白な請求項の用語がそれらが別々に実施されると示さないかぎり、同時に実施することもできる。例えば、Xを行う請求項記載の段階およびYを行う請求項記載の段階は、単一の操作内で同時に行うことができ、その結果としての方法は請求項記載の方法の文字通りの範囲内に入るであろう。
【0073】
本明細書において用いられる「約」なる用語は、例えば、示した値または示した範囲限界の10%以内、5%以内、または1%以内の値または範囲の変動率を許容し得る。
【0074】
本明細書において用いられる「置換された」なる用語は、その上に含まれる1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数の置換基によって置き代えられている、基(例えば、アルキル、アリール、およびヘテロアリール)または分子を意味する。本明細書において用いられる「置換基」なる用語は、分子上または基上に置換され得る、または置換されている、基を意味する。置換基の例には、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、およびI);ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボン酸塩、およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基などの基における酸素原子;チオール基、硫化アルキルおよびアリール基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、ならびにスルホンアミド基などの基における硫黄原子;アミン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、ニトロ基、N-オキシド、ヒドラジド、アジド、およびエナミンなどの基における窒素原子;および様々な他の基における他のヘテロ原子が含まれるが、それらに限定されない。置換炭素(または他の)原子に結合され得る置換基の非限定例には、F、Cl、Br、I、OR、OC(O)N(R)2、CN、NO、NO2、ONO2、アジド、CF3、OCF3、R、O(オキソ)、S(チオノ)、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0-2N(R)C(O)R、(CH2)0-2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、またはC(=NOR)Rが含まれ、ここでRは、例えば、水素、アルキル、-(アルキル-O)q-(ここでq=1~1000、例えば、1~500、1~50、および1~5の整数)、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり得、ここで各アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルはそれぞれ置換され得る。-(アルキル-O)q-基の非限定例には、式-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2O-の基および式-CH2CH2OCH2CH2O-の基が含まれる。
【実施例】
【0075】
本明細書に記載の態様は、以下の非限定例を参照すればより良く理解することができ、これらは例示のために提供するものである。
【0076】
実施例1
EtOAc(50mL)中のトリ-O-アセトキシ-D-グルカール(5.00g、18.4mmol、1.0当量)の溶液に、10%Pd/C(0.195g、1.84mmol、0.10当量)を加えた。反応容器にゴム栓を付け、混合物を脱気し、H2を3回充填した。次いで、反応容器にH2の風船を付け、12時間撹拌した。ゴム栓を反応容器から取り除き、DCM(50mL)を加えた。混合物をセライトのパッドでろ過し、CH2Cl2で洗浄した。ろ液を蒸発させて透明油状物を得、それ以上精製せずに次の段階に進んだ。
。
【0077】
実施例2
実施例1の化合物をMeOH(40mL)に溶解し、K
2CO
3(0.025g、0.184mmol、0.01当量)を加えた。9時間後にTLCをチェックすることにより反応が完了したと判断した。MeOHを蒸発させ、それ以上精製せずに次の段階に進んだ。
【0078】
実施例3
実施例2の化合物をDMF(40mL)に溶解した。溶液にp-アニスアルデヒドジメチルアセタール(3.44mL、3.68g、20.2mmol、1.2当量)およびCSA(1.07g、4.59mmol、0.25当量)を加えた。反応容器にゴム栓を付け、アルゴン雰囲気下で24時間撹拌した。反応を飽和NaHCO
3溶液で停止した。EtOAc(100mL)を加え、溶液を抽出した。水相をEtOAc(100mL)で再度抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(2×50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5:4)で精製して、無色油状物を得た(3.46g、12.88mmol、70%)。
。
【0079】
実施例4
DCM(25ml)中の実施例3の化合物(1.5g、5.35mmol)の溶液に、NaHCO3(2.69g、32.1mmol、6.0当量)と、続いてDMP(3.39g、8.0mmol、1.5当量)を加えた。混合物を室温で、TLC分析により出発原料の消費が示されるまで(約2時間)撹拌した。反応混合物に1.0M Na
2S2O
3(30mL)およびDCM(75mL)を加えた。二相混合物を、両方の層が透明かつ均質になるまで(約10分間)撹拌した。混合物をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、蒸発させた。シリカゲルのクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=6:4)による精製。
。
【0080】
実施例5
無水THF(15mL)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.85g、5.18mmol)の懸濁液に、tBuOK(THF中1.0M溶液、5.0mL)を0℃で加えた。黄色混合物を0℃で30分間撹拌した。5mLのTHF中の実施例5の化合物(500mg、1.79mmol)の溶液を反応混合物に加えた。黄色懸濁液を室温でさらに4時間撹拌した。その後、反応を水の添加により停止し、層を分離し、50mLのエーテルで抽出し、食塩水で洗浄した。これを次いでMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。粗製残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=7:3)で精製して、生成物を収率82%で得た。
。
【0081】
実施例6
トルエン(13mL)中の実施例5の化合物(384mg、1.39mmol、1.0当量)の溶液に、アルゴン雰囲気下、-78℃で、DIBAL-H(4.17mL、4.17mmol、3.0当量)をシリンジから、内部温度が-60℃を超えない速度で加えた。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。次いで、反応容器を-10℃の氷/NaCl浴に入れ、TLCにより出発原料の消費が観察されるまで(約30分間)厳密にモニターした。MeOHをピペットから発泡が止まるまで注意深く滴加した。EtOAc(25mL)および飽和ロッシェル塩(5mL)を加えた。反応混合物を室温に戻し、2時間撹拌した。EtOAcを抽出し、飽和NaClで洗浄し、MgSO
4で乾燥した。粗製残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=7:3)で精製して、生成物を収率80%で得た。
。
【0082】
実施例7
DCM(6ml)中の実施例6の化合物(155mg、0.58mmol)の溶液に、0℃でNaHCO
3(292mg、3.48mmol、6.0当量)と、続いてDMP(497mg、1.17mmol、2.0当量)を加えた。次いで、混合物を室温で、TLC分析により出発原料の消費が示されるまで(約2時間)撹拌した。反応混合物に1.0M Na
2S
2O
3(5mL)およびDCM(15mL)を加えた。二相混合物を、両方の層が透明かつ均質になるまで(約10分間)撹拌した。混合物をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、蒸発させて、それ以上精製せずに次の段階に進んだ。
【0083】
無水THF(6mL)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(572mg、1.60mmol、4当量)の懸濁液に、tBuOK(THF中1.0M溶液、1.2mL)を0℃で加えた。黄色混合物を0℃で30分間撹拌した。2mLのTHF中の粗製アルデヒドの溶液を反応混合物に加えた。黄色懸濁液を室温でさらに2時間撹拌した。その後、反応を水の添加により停止し、層を分離し、50mLのエーテルで抽出し、食塩水で洗浄した。これを次いでMgSO
4で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。粗製残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=8:2)で精製して、生成物を収率81%で得た。
。
【0084】
実施例8
DCM(2mL)およびリン酸緩衝液(0.2mL、pH=7.2)中の実施例7の化合物(62mg、0.24mmol、1.0当量)の溶液に、0℃でDDQ(70mg、0.3mmol、1.3当量)を一度に加えた。混合物を0℃で、TLC分析により出発原料の消費が示されるまで(約1時間)撹拌した。反応を50%飽和NaHCO
3(2mL)で停止し、DCM(5×2mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。粗製残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=7:3)で精製して、生成物を収率90%で得た。
。
【0085】
実施例9
無水DCM(5mL)中の実施例8の化合物(70mg、0.5mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で、NaHCO
3(420mg、5.0mmol)およびm-CPBA(86mg、0.5mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌した後、m-CPBA(86mg、0.5mmol)を再度加えた。さらに30分後、混合物を5%NaOH(5mL)で反応停止した。水相をDCM(15×2mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO
4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。次いで、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(2:1~1:1ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、生成物(60mg、88%)をアモルファス固体で得た。
。
【0086】
実施例10
無水ジクロロメタン(1mL)中の実施例_の化合物(5mg、0.032mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下、室温で、無水ジクロロメタン(500μL)中の実施例_の化合物(10mg、0.032mmol)の溶液およびグラブス第二世代触媒(3mg、0.004mmol)を加えた。得られた混合物を5時間加熱還流し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(2:1~1:2ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、生成物(3mg)をアモルファス固体で得た。
。
【0087】
実施例11
MeOH中の市販の3,4,6-トリアセチルグルカール(2.0g、7.34mmol)の溶液に、K
2CO
3(14mg、0.103mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。これを濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈し、溶媒を蒸発させた。残渣を乾燥して粗生成物を得、これをDMF(5.7mL)およびピリジン(2.8mL)に溶解し、次いで(tBu)
2Si(OTf)
2(2.61mL、8.08mmol)を-30℃で10分かけて滴加した。得られた混合物を1.5時間かけて室温に戻した。酢酸エチルを混合物に加え、有機相を10%CuSO
4(×2)、H
2O(×3)および食塩水(×3)で洗浄した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=30/1~18/1)で精製して、生成物(1.5g、2段階で71%)を白色固体で得た。
【0088】
実施例12
50mLの密封チューブに、実施例11の化合物(1.65g、5.77mmol)、エチルビニルエーテル(12mL)およびHg(OAc)
2(551mg、1.73mmol)を逐次加えた。得られた溶液を65℃で加熱し、Hg(OAc)
2(167mg、0.52mmol)を24時間毎にさらに4回加えた。5日後、これを室温まで冷却した。酢酸エチルを加え、H
2O(×3)および食塩水(×3)で洗浄した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=50/1~20/1)で精製して、生成物(1.17g、65%)および出発原料(375mg)を得た。
【0089】
実施例13
トルエン中の実施例12の化合物(1.17g、3.75mmol)の溶液を、TLCにより示されるように、出発原料が完全に消費されるまで、密封チューブ中、180℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、(α-ホルミルエチリデン)トリフェニルホスホラン(1.21g、3.81mmol)を加え、さらに4時間加熱還流した。溶媒を蒸発させて残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=40/1~30/1)で精製して、生成物を得た(888mg、2段階で67%)。
。
【0090】
実施例14
無水THF中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(6.14g、17.2mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(1.92g、17.2mmol)を0℃で加えた。この温度で30分間撹拌した後、これをTHF中の実施例13のアルデヒド(2.42g、0.91mmol)の溶液に0℃で滴加した。得られた溶液を、出発原料が完全に消費されるまで2時間撹拌した。水を加えて反応を停止し、次いで酢酸エチルで抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=40/1~25/1)で精製して、5(2.05g、85%)をシロップで得た。
。
【0091】
実施例15
無水THF(16mL)中の実施例14のジエン(2.26g、6.4mmol)の溶液に、TBAF(12.8mL、12.8mmol)を室温で加えた。得られた混合物を、TLCにより示されるように、出発原料が完全に消費されるまで撹拌した。褐色溶液を濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=1/1、1%DCM)で精製して、(1.32g、97%)を無色シロップで得た。
。
【0092】
実施例16
無水DCM(5mL)およびピリジン(3mL)中の実施例15のジオール(760mg、3.62mmol)の溶液に、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(1.42g、4.70mmol)を加えた。得られた混合物を40℃で4時間加熱した。次いで、これを室温まで冷却し、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(200mg、0.66mmol)を追加し、終夜撹拌した。次いで、水およびDCMを加え、1N HCl、飽和NaHCO
3、および食塩水で洗浄した。合わせた有機層を濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=5/1~3/1)で精製して、泡状物(1.32g、76%)を得た。
【0093】
実施例17
新しく蒸留したTHF(15mL)中の実施例16の化合物(1.06g、2.23mmol)の溶液に、LAH(338mg、8.91mmol)を0℃でゆっくり加えた。得られた懸濁液を1時間加熱還流した。Na
2SO
4・10H
2Oを注意深く加えて反応を停止した。混合物を無水N
2SO
4で乾燥し、セライトのパッドを通してろ過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製して、(373mg、86%)を無色シロップで得た。
。
【0094】
実施例18
無水DCM(12mL)中の実施例17の化合物(360mg、1.86mmol)の溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(1.73g、4.08mmol)を0℃で加えた。得られた溶液を、TLCにより示されるように、出発原料が完全に消費されるまで、徐々に室温まで加温した。次いで、飽和NaHCO
3および飽和Na
2S2O
3溶液を加えて、反応を停止した。DCMで抽出し、食塩水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。溶媒を濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=8/1)で精製して、(266mg、74%)をシロップで、および出発原料(45mg)を得た。
。
【0095】
実施例19
新しく蒸留したEt2O(10mL)中のCuBr・Me2S(835mg、4.06mmol)の懸濁液に、MeLi(2.62mL、3.1M、8.31mmol)をアルゴン雰囲気下、-78℃で10分かけて滴加した。1時間撹拌した後、Et
2O(4mL)中の実施例18の化合物(260mg、1,35mmol)の溶液を滴加した。撹拌をさらに2時間続け、水を注意深く加えて反応を停止した。これを酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製して、生成物(240mg、85%)をシロップで得た。これをただちに次の段階で用いた。
。
【0096】
実施例20
無水メタノール(8mL)中の実施例19の化合物(170mg、0.8mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で酢酸アンモニウム(755mg、9.8mmol)およびNaBH
3CN(205mg、3.2mmol)を加えた。次いで、反応混合物を徐々に室温まで加温した。24時間撹拌した後、反応混合物をNaOH水溶液(4M、mL)に加えて、pHを約8~9の範囲に調節し、次いで酢酸エチル(mL)で希釈した。得られた混合物をMgSO
4で直接乾燥し、ろ過し、濃縮して粗製アミンを得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(DCM/MeOH=15/1)で精製して、アミンの混合物を得た。
【0097】
無水アセトニトリル(4mL)中の酸(95mg、mmol):
および粗製アミン(105mg、0.5mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下、室温でHATU(143mg、0.4mmol)およびDIPEA(273μL、1.6mmol)を加えた。得られた混合物を終夜撹拌した。飽和NH
4Clを加えて反応を停止した。これを酢酸エチルで抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製して、純粋なジアステレオマー(60mg)を得た。
。
【0098】
実施例21
室温で、触媒量のK
2CO
3(58mg、0.42mmol、0.1当量)を、メタノール(14mL、0.3M)に溶解した公知のトリアセテート(1.32g、4.2mmol、1当量):
の橙色溶液に加え、室温で撹拌した。3時間後、メタノールをロータリーエバポレーションにより除去した。任意の残存メタノールを除去するために、反応フラスコをクロロホルムで洗浄および濃縮し(×3)、続いて高減圧下、35℃で終夜放置した。これにより粗製チオールを得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0099】
室温で、アニスアルデヒドジメチルアセタール(1.43mL、8.4mmol、2当量)およびCSA(293mg、1.26mmol、0.3当量)を、無水DMF(8mL、0.5M)に溶解した粗製トリオールの橙色溶液に逐次加えた。反応が2時間以内に完了しなければ、高減圧をかけて、反応の完了を助けた。反応混合物をトリエチルアミン(0.5mL、3.53mmol)で中和した。粗生成物を酢酸エチル(×3)で抽出し、食塩水(×2)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(20%~50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.1g(2段階で収率85%)の生成物を白色固体で得た。
。
【0100】
実施例22
-78℃で、1/1のMeOH/CH
2Cl
2(26mL、0.2M)に溶解した実施例21のオレフィン(1.617g、5.28mmol、1当量)の溶液にオゾンを、特徴的な灰青色が生じるまで(10分間)通気し、次いでPPh
3(2.076g、7.92mmol、1.5当量)で反応停止した。反応混合物を0℃まで加温し、この温度で30分間撹拌し、その後NaBH
4(400mg、10.56mmol、2当量)を加えた。0℃で1時間撹拌した後、反応を飽和NH
4Clで停止した。粗生成物をDCM(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(70%~100%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.725g(定量的収率)のジオール生成物を白色固体で得た。
。
【0101】
実施例23
0℃で、イミダゾール(750mg、11mmol、2当量)およびTBDPS-Cl(1.3mL、4.96mmol、0.9当量)を、DCM(27mL、0.2M)に溶解した実施例22のジオール(1.71g、5.51mmol、1当量)の溶液に逐次加え、これを次いで室温まで加温した。終夜撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、粗生成物をDCM(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(20%~30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、2.3235g(収率77%)のシリルエーテルを白色泡状物で得た。
【0102】
DCM(21mL、0.2M)に溶解したシリルエーテル(2.3g、4.2mmol、1当量)の溶液に、NaHCO3(2.1g、25.2mmol、6当量)およびDMP(2.67g、6.29mmol、1.5当量)を0℃で逐次加え、これを次いで室温まで加温した。3時間撹拌した後、反応を飽和Na2S2O3/飽和NaHCO3の1/1溶液で停止し、20分間激しく撹拌した。粗生成物をDCM(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(20%~30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.926g(収率84%)のケトンを白色泡状物で得た。
【0103】
0℃で、KtOBu(1M THF、1.8mL、1.8mmol、2.5当量)をTHF(5mL)中のPh3PCH3Br(774mg、2.17mmol、3当量)の混合物に加えた。明るい黄色の溶液を0℃で20分間と、次いで室温で20分間撹拌し、20分間で再度0℃まで冷却した。別のフラスコ中、ケトン(390mg、0.713mmol、1当量)をTHF(1mL)に溶解し、カニューレから反応フラスコに0℃で滴加し、橙色を生じた。残存ケトンをTHF(0.5mL)で洗浄し、同様にカニューレから反応フラスコに加えた。0℃で30分間撹拌した後、反応を飽和NH4Clで停止した。粗生成物を酢酸エチル(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。
【0104】
フラッシュクロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物、313mg(収率81%、三段階で52%)の環外オレフィンを透明、粘稠油状物で得た。
。
【0105】
実施例24
DIBAL-H(ヘキサン中1M、5.6mL、5.6mmol、3.1当量)を、トルエン(18mL、0.1M)に溶解した実施例23のアセタール(986mg、1.81mmol、1当量)の溶液に-78℃でゆっくり加えた。ドライアイス/アセトン浴を氷/水浴に換えて反応混合物を0℃に加温した。30分後、反応を酢酸エチルと、続いて飽和酒石酸カリウムで停止し、次いで室温まで加温した。終夜激しく撹拌した後、粗生成物を酢酸エチル(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、599mg(収率77%)の一級アルコールを透明油状物で得た。
【0106】
NaHCO3(343mg、4.08mmol、6当量)およびDMP(577mg、1.36mmol、2当量)を、DCM(7mL、0.1M)に溶解した一級アルコール(372mg、0.68mmol、1当量)の溶液に0℃で逐次加えた。反応混合物を室温まで加温し、1時間後に飽和Na2S2O3/飽和NaHCO3の1/1溶液で反応停止し、20分間激しく撹拌した。粗生成物をDCM(×3)で抽出し、飽和NaHCO3(×1)および食塩水(×1)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物をそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0107】
0℃で、KtOBu(THF中1M、2.7mL、2.7mmol、4当量)を、THF(6mL)中のPh3PCH3Br(1.21g、3.4mmol、5当量)の混合物に加えた。明るい黄色の溶液を0℃で20分間と、次いで室温で20分間撹拌し、20分間で再度0℃まで冷却した。別のフラスコ中、粗製アルデヒド(0.68mmol、1当量)をTHF(1mL)に溶解し、カニューレから反応フラスコに0℃で滴加し、暗橙色を生じた。残存アルデヒドをTHF(0.5mL)で洗浄し、同様にカニューレから反応フラスコに加えた。0℃で10分間撹拌した後、反応を飽和NH4Clで停止した。粗生成物を酢酸エチル(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(5%~10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、251mg(2段階で68%)のジエンを透明油状物で得た。
【0108】
実施例25
0℃で、TBAF(THF中1M、0.9mL、0.903mmol、2当量)を、THF(4.5mL、0.1M)に溶解した実施例24のシリルエーテル(245mg、0.451mmol、1当量)の溶液に加え、次いでこれを室温まで加温した。1.5時間後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(20%~70%酢酸エチル/ヘキサン)で直接精製して、105mg(収率77%)の一級アルコールを透明油状物で得た。
【0109】
0℃で、NaHCO3(167mg、2.0mmol、6当量)およびDMP(282mg、0.664mmol、2当量)を、DCM(3mL、0.1M)に溶解した一級アルコール(101mg、0.332mmol、1当量)の溶液に逐次加え、これを室温まで加温した。2時間後、反応を飽和Na2S2O3/飽和NaHCO3の1/1溶液で停止し、20分間激しく撹拌した。粗生成物をDCM(×3)で抽出し、飽和NaHCO3(×1)および食塩水(×1)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物をそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0110】
メタノール(80μL、2.0mmol、6当量)およびPDC(749mg、2.0mmol、6当量)を、無水DMF中の粗製アルデヒド(0.332mmol)の溶液に、室温で逐次加えた。終夜撹拌した後、黒色溶液を酢酸エチルおよび水で希釈し、セライトでろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を濃縮し、粗生成物を酢酸エチル(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(10%~20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、所望のメチルエステルを透明油状物で得た。
。
【0111】
実施例26
実施例25のメチルエステル(64mg、0.193mmol、1当量)をDCM(2mL、0.1M)に溶解し、0℃に冷却し、その後NaHCO
3(32mg、0.386mmol、2当量)、ピペットで2滴のメタノールおよびDDQ(44mg、0.193mmol、1当量)を逐次加えた。暗緑色溶液を0℃で1時間撹拌した後、二回目のNaHCO
3、メタノールおよびDDQを加え、さらに1時間撹拌した。三回目で最後のNaHCO
3、メタノールおよびDDQを加え、1時間(0℃で撹拌)後、反応を飽和NaHCO
3で停止し、DCMで希釈した。粗生成物をDCM(×3)で抽出し、食塩水(×1)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィ(20%~60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、40.2mg(収率98%)のアルコールを透明油状物で得た。
【0112】
VO(acac)2(9.5mg、0.036mmol、0.2当量)を、DCM(2mL、0.1M)に溶解したアルコールメチルエステル(38mg、0.179mmol、1当量)に加えた。反応混合物を0℃に冷却し、その後TBHP(デカン中5~6M、75μL、0.376mmol、2.1当量)を加え、得られた暗赤色溶液を室温まで加温した。5時間後、反応は出発原料/生成物が1/1以上に進行しなかったため、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(40%~50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、所望のエポキシドを得た。
【0113】
実施例27
3つの別々のフラスコ中に、DCM(0.5mL)に溶解した実施例20のジエン(8mg、0.023mmol、1当量)、DCM(1mL)に溶解した実施例26のエポキシド(5.23mg、0.023mmol、1当量)およびDCM(1mL)に溶解したグラブスII触媒(3.9mg、0.0046mmol、0.2当量)を加えた。エポキシドおよびグラブスIIの約1/3の溶液を、ジエンのフラスコに逐次加え、還流した。1.5時間後、二回目のエポキシドおよびグラブスIIを加えた。さらに1.5時間後、最後のエポキシドおよびグラブスIIを加え、フラスコを少量のDCMで洗浄した。2時間後、反応混合物を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(30%~80%酢酸エチル/ヘキサン)で直接精製して、5.9mg(収率47%)の所望のメチルエステルを透明油状物で得た。
。
【0114】
以下の態様が提供されるが、その番号付けは重要性のレベルを示すと解釈されるべきではない:
態様1は、
式Iの化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ(例えば、エステル)もしくは抗体結合体に関連し:
式中
X
1を含む環内の破線は二重または一重結合であり;
X
1は、隣接する炭素原子に二重結合で結合している場合、CHおよびNからなる群より選択され;または
X
1は、隣接する炭素原子に一重結合で結合している場合、O、CH
2、およびNHからなる群より選択され;
Aは基A
1~A
5からなる群より選択され:
nは1~10(例えば、1~5;1~3;または2~5)の整数であり;
X
1aは-(CH
2)
g-X
1b-であり、ここでgは1~5の整数であり、かつX
1bは結合、OまたはNR
1aであり、ここでR
1aはHまたはアルキルであり;
R
1はH、ヒドロキシル保護基、およびアルキルからなる群より選択され;
R
2、R
3、R
5、およびR
8~R
12はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
4は-N
3、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル-X
2、およびアリールアルキル-X
2-からなる群より選択され、ここでX
2は-O-もしくはNHであるか、またはR
4は-C(O)R
14であり、ここでR
14はH、-OH、アルキル-O-、および-N(R
15)
2からなる群より選択され、ここで各R
15は独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
6およびR
7は、一緒に、二重結合またはシクロアルキル基を形成し;かつ
R
13はH、アルキル、および-C(O)R
16からなる群より選択され、ここでR
16はH、-OH、アルキル、アルキル-O-、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここでR
17およびR
18はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択されるか、またはR
17およびR
18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する。
態様2は、
式Iaを有する、態様1の化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは抗体結合体に関連する:
。
態様3は、
式IbまたはIcを有する、態様1または2の化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは抗体結合体に関連する:
。
態様4は、
R
13が-C(O)R
16である、態様1~3のいずれかの化合物に関連する。
態様5は、
R
16がアルキルである、態様1~4の化合物に関連する。
態様6は、
R
16が-NR
17R
18である、態様1~4の化合物に関連する。
態様7は、
R
17およびR
18がそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択される、態様6の化合物に関連する。
態様8は、
R
17およびR
18が、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、態様6の化合物に関連する。
態様9は、
X
1がOである、態様1~8のいずれかの化合物に関連する。
態様10は、
態様1~9のいずれかの化合物、またはその塩、プロドラッグもしくは抗体結合体のうちの1つまたは複数と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む、薬学的組成物に関連する。
態様11は、
そのような処置を必要としている対象におけるがんの処置法であって、1つまたは複数の、態様1~9のいずれかの化合物またはその塩、プロドラッグもしくは抗体結合体、あるいは態様10の薬学的組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、方法に関連する。
態様12は、
がんが固形腫瘍がんである、態様11の方法に関連する。
態様13は、
がんが子宮頸がん、前立腺がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、腎細胞がん、および膵がんから選択される、態様11または12の方法に関連する。
態様14は、
1つまたは複数の化合物の治療的有効量を60日の期間内に少なくとも2回投与する、態様11~13のいずれかの方法に関連する。
態様15は、
1つまたは複数の、態様1~9のいずれかの化合物またはその塩、プロドラッグもしくは抗体結合体、あるいは態様10の薬学的組成物の治療的有効量を、少なくとも1つの他の抗がん剤との組み合わせで投与する段階をさらに含む、態様11~13のいずれかの方法に関連する。
態様16は、
態様1~9のいずれかの、式Iの化合物の作製法であって:
式IIの化合物:
式中:
Aは基A
1~A
5からなる群より選択され:
nは1~10(例えば、1~5;1~3;または2~5)の整数であり;
X
1aは-(CH
2)
g-X
1b-であり、ここでgは1~5の整数であり、かつX
1bは結合、OまたはNR
1aであり、ここでR
1aはHまたはアルキルであり;
R
1はH、ヒドロキシル保護基、およびアルキルからなる群より選択され;
R
2およびR
3はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
4は-N
3、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル-X
2、およびアリールアルキル-X
2-からなる群より選択され、ここでX
2は-O-もしくはNHであるか、またはR
4は-C(O)R
14であり、ここでR
14はH、-OH、アルキル-O-、および-N(R
15)
2からなる群より選択され、ここで各R
15は独立にHおよびアルキルからなる群より選択される、該式IIの化合物を、
式IIIの化合物:
式中:
R
5およびR
8~R
12はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択され;
R
6およびR
7は、一緒に、二重結合またはシクロアルキル基を形成し;かつ
R
13はH、アルキル、および-C(O)R
16からなる群より選択され、ここでR
16はH、-OH、アルキル、アルキル-O-、および-NR
17R
18からなる群より選択され、ここでR
17およびR
18はそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択されるか、またはR
17およびR
18は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、該式IIIの化合物と接触させる段階
を含む、方法に関連する。
態様17は、
R
13が-C(O)R
16である、態様16の方法に関連する。
態様18は、
R
16がアルキルである、態様16または17の方法に関連する。
態様19は、
R
16が-NR
17R
18である、態様16または17の方法に関連する。
態様20は、
R
17およびR
18がそれぞれ独立にHおよびアルキルからなる群より選択される、態様19の方法に関連する。
態様21は、
R
17およびR
18が、それらが結合している窒素原子と一緒に、5~6員複素環を形成する、態様19の方法に関連する。
態様22は、
X
1がOである、態様16~21のいずれかの方法に関連する。